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「仮面ライダーBLACK RX」 第23話「ブタになったRX」 前編

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 第23話「ブタになったRX」(1989年4月9日)

 「RX」のみならず、「仮面ライダー」シリーズを通して最低のサブタイトルと言われている23話である。

 冒頭、人気のない倉庫の中で、密かにクライシスの実験が行われていた。

 
 いきなり、可愛い茶トラ猫が映し出される。にゃう。

 
 その実験を発案し、仕切っているのはボスガンであった。

 科学者「準備完了です」
 ボスガン「うん、細胞変換装置の実験を開始せよ」

 
 ボスガンに命じられたクライシス人の科学者は、当時流行ったシステム手帳(クソの役にも立たねえ)風のリモコンボタンを押し、

 「ネコ ハ イヌ ニ ナレ」と言う文字を打ち込む。

 
 と、本体のメカが動き出して、その猫に特殊な光を浴びせ、

 
 一瞬で、巨大なドーベルマンに変化させてしまう。

 それを見ていた二人は、

 
 ボスガン「なんか、おかしくない?」
 科学者「……」

 いくら細胞変換したところで、小さな猫が、こんな大きな犬に変わる筈がない。

 「質量保存の法則」を忘れて貰っては困るのである。

 嘘はさておき、話を進めよう。

 科学者「やったぁ、成功です」
 ボスガン「よし、今度は他の動物で試すのだ、次!」

 ボスガンに言われて、ひとりの、いかにも今日初めて来ました感を出している頼りないチャップが、犬の入っているケースを開けようとするのだが、

 
 その動きをやけに丹念に映すので、もしや……と思ったら、案の定、そのチャップは、14話で皇帝の娘を死なせてしまうという大ドジをやらかしたチャップと同じく、ドジッ子系チャップだったようで、不用意にケースを開けて、ドーベルマンをケースから逃がしてしまう。

 
 で、走り回るドーベルマンを捕まえようと、チャップや科学者たちが右往左往、てんやわんやの大騒ぎを繰り広げる!

 ……

 クライシスって、他の悪の組織と比べても、こういう凡ミスが多いような気がする。

 結局、暴れ回るワンコのせいで、大切な実験装置が損傷してしまう。

 ジャーク「なに、事故が?」
 ボスガン「いえ、本体は無事です。性能も素晴らしい。ただ、リモコンキーボードがショートして爆発してしまったのです」

 クライス要塞のジャーク将軍は、モニター通信でそれを聞いてさっそく癇癪玉を爆発させようとするが、ボスガンのクールな声がそれを抑える。

 飯塚昭三さんの知的で冷静な声音は、実際、とても説得力に富んでいるのである。

 同じ内容でも、ゲドリアンの、バケツがひっくり返ったような素っ頓狂な声で言われると、あまり信用が置けないように聞こえるから不思議である。

 
 マリバロン「では実験は成功したのね」
 ボスガン「細胞変換装置は、特殊な超音波の力で、動物の細胞を変換させ、他の動物に変えることが出来る。どのような動物も自由自在に変えてしまうのだ。たとえば、人間は牛や馬に変えて奴隷として働かせる。子供はニワトリに変えてブロイラーとして食料にする。空にはカラスやスズメを極楽鳥に変えて飛び回らせ……」

 細胞変換装置でクライシス人のユートピアとなった地球の姿を語り、うっとりするボスガン。

 RXには全然勝てないくせに、クライシスの科学力は相変わらず必要以上に優秀なのである。

 と言うか、その凄まじい科学力をまっとうなことに利用すれば、数年も経たずに、クライシスは合法的に地球を経済的に支配できるようになったと思うのだが……。

 この細胞変換装置ひとつ取ってみても、無限の利用法が考えられるが、たとえば、安価に大量に養殖できる小動物を、高価で取引されている動物に変えてしまえば、それだけで莫大な利益が得られるだろう。

 あるいは、日頃から猫になりたいと思っている人間を、一定時間だけ猫にしてあげるサービスとか。

 無論、ある意味愚直なクライシスの皆さんは、そんなことに使おうとは1ミリも考えない。

 
 マリバロン「素晴らしいわ」
 ジャーク「地球をクライシスのユートピアに変えるのが、この計画の最終目的、その為、実験も地球で行っているのだ。マリバロン、直ちに予備のキーボードを地上に届けるのだ」

 
 マリバロン「はっ!」

 張り切って答えるマリバロンであったが、その目が、
 「アレですよね、定番のアレをやるんですよね?」
 と、ジャーク将軍に無言で語りかけているように見えるのは管理人だけだろうか。

 案の定、

 
 マリバロンが地上に送り込んだのは、いかにもお調子者そうな二人のチャップであった。

 地上に降りると、二人は流行のファッションに身を固めた人間に化ける。

 当時、黒が流行っていたのだよ、若人よ。

 
 さらに、ちょうどそこに乗り捨ててあった赤い車に乗り込み(さすがにそんな都合が良い話はないので、それもマリバロンが送り込んだものかもしれない)、葉巻の匂いを楽しんだり、ラジカセから音楽を鳴らしたりしながら、ノリノリで走り出す。

 ちなみにこの左側の人は、RXの中の人の岡元さんですね。

 これで「アレ」のお膳立ては整った。

 あとは、何かが起こるのを待つばかりである。

 さて、一方、今回の主役であるマサオと言う子供がいた。彼は勉強が出来ないという珍しい理由で、他の子供たちからひたすらいじめられているかわいそうな子供だった。

 
 マサオ「みんな嫌いだ、友達も先生も、みんな嫌いだ! 学習塾なんて行きたくない!」

 マサオがそう叫びながらとぼとぼ土手の下を歩いていると、ちょうど目の前に蹴り頃のサッカーボールがあった。

 マサオは駆け寄ると、それを思いっきり蹴っ飛ばす。

 
 で、幸か不幸か、そのボールが土手の上を走っていたあの車の前を横切り、それに驚いたチャップがハンドル操作を誤り、車は工事現場のカラーコーンにぶつかって、助手席のチャップが車から放り出されてしまう結果となる。

 チャップは転がり落ちると、あっけなく死んで煙となって消えてしまい、運転していた方もぶつかった衝撃で消滅していた。

 どうもクライシス人と言うのは、地球人と比べて脆弱な体質のようだ。

 そして、助手席のチャップが持っていたケースがマサオの前に落ち、その中に、ボスガンに届ける筈のリモコンキーボードが入っていたというオチ。

 これがすなわち、「アレ」である。「仮面ライダー」以来、年中行事のように繰り返し行われ、歴代「悪の組織」によって伝承されてきた、

 「重要なアイテムを輸送中、運び屋が信じられないミスをして、ライダー関係者や第三者の手に渡ってしまう作戦」である!

 マリバロン、てっきりジャーク将軍がアイコンタクトでそうしろと言ってるのだと思い込んで、あえてお調子者コンビをこんな重要な任務に当てたのだが、無論、それはマリバロンの勘違いで、この後、ジャーク将軍に、いつも半分はみ出てるケツを思いっきり引っ叩かれたそうです。

 さて、マサオはそのキーボードを拾って、塾へ行く。

 
 マサオ(これは一体、なんだろう?)

 講義そっちのけで、リモコンをいじっているマサオ。

 
 講師「マサオ」
 マサオ「……」
 講師「マサオ!」
 マサオ「はっ、はいっ!」

 で、その塾の講師を演じているのが、「北斗の拳」の超絶予告ナレーションで文化勲章を貰った声優の千葉繁さんなのである。

 講師「お前、そう言うことだからダメなんだよ。この間のテストも18点しか取れなかったじゃないか」

 講師の叱声に、他の子供たちもマサオを嘲り笑って囃し立てる。

 
 マサオ(チェッ、先生なんか……)

 前々から積もっている恨みがあったのだろう、マサオは唇を噛むと、腹いせにキーボードにこんな命令を打ち込んでしまう。

 リモコンはちゃんと生きていて、その指令はただちに倉庫の装置本体に伝えられ、実行に移される。

 講師、急に苦しみだしたかと思うと、

 
 本当にブタになってしまう!

 もっとも、変わったのは頭部だけなので、厳密にはブタ人間なのだが、それにしてもキョーレツなビジュアルではある。

 
 ブタ講師「ぶ、ぶぶんしと、ぶぶんしが、も、もう割り切れない! たのぶーたーっ!」

 それでもなんとか授業を続ける講師の鑑であったが、子供たちはパニック状態になり、悲鳴を上げて逃げ出す。

 マサオ「先生が、ほんとにブタになっちゃったぞ」

 しかも、異変はその塾講師だけにとどまらなかった、

 
 とある病院で、看護婦が医者の横に立ち、

 看護婦「先生……」

 
 呼ばれて振り向いたイケメンドクター、

 
 これまたブタ人間になってしまう! ヒイイイーッ!

 
 続いて、やる気のなさそうな生徒が二人と、八百原寿子さんの先生と言う、日本で一番ダメな日本舞踊の教室でも、

 
 先生と呼ばれているお師匠さんが、踊りながらブタ人間になってしまう。

 大部屋俳優として色んな役を演じてきた八百原さんも、まさか自分がブタを演じることになるとは夢にも思っていなかっただろう。

 さらに、学校の先生は勿論、料理教室の講師、国会議員など、とりあえず「先生」と呼ばれている人たちは片っ端からブタ人間になってしまい、社会は大混乱を来たす。

 ま、その理屈なら、冒頭の実験で、あらゆる猫も犬に変わってないと辻褄が合わないのだが、最初のは、あくまでその猫だけに対象を限定して行っていたのだろう。

 光太郎が玲子とそのことについて話していると、ジョーが慌てた様子で飛び込んでくる。

 ジョー「バタバタ倒れてんだよ、ブタにされた人たちが、人間が他の動物になるなんて土台無理なんだ、みんな死にかけてるんだよ」
 光太郎「なんだって!」

 しかし、考えたら、細胞変換されたものが短期間で死んでしまうということは、細胞変換装置自体に欠陥があるということだよね。それとも、まだ実験段階で、改良すれば死ななくなるのだろうか。

 後編に続く。


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コメント

どうも悪の組織の皆様は、こういう取り違え(入れ替わる)のミスを何度も繰り返しているようですね😅しかも、その失敗を学習しないという悲しい習慣も繰り返しているようですね😔一種の“十八番”がクライシスにも引き継がれているのが悲しいですね

Re:「仮面ライダーBLACK RX」 第23話「ブタになったRX」 前編(09/26)  

チャップは信じられない程貧弱ですね。女の子にもやられるショッカーの戦闘員が最弱だと思っていましたが、上には上がありますね。
それにしても変換後に死ぬのなら「ニンゲン ブタニ ナレ」とでも入力すれば簡単に地球を支配できると思うんですがね。まあ後片付けが大変ですが(笑)。

Re:「仮面ライダーBLACK RX」 第23話「ブタになったRX」 前編(09/26)  

しかし、キョーレツなタイトルとヴィジュアルですよね。
ある意味、バブル絶頂期の朗らかさを覚えます。
今回の実験、マクーだったら絶対に営利目的のために使いますね。
フーマだったら「嫌がらせ」でしょうね。

Re:「仮面ライダーBLACK RX」 第23話「ブタになったRX」 前編(09/26)  

序盤、大人しそうな猫が、ドーベルマンに変身させられる場面で、変身後チャップに喰らい付こうとした処を見ると、猫が心身ともにドーベルマンに変身してしまった様に見えます。しかしその後、マサオくんのイタズラで千葉先生(仮称)が豚化してしまった際は、千葉先生、そして他の「先生」たちは変身しても人としての自我は残っている様にも見え矛盾しています。
因みに「トムとジェリー」の「猫はワンワン 犬はニャーオ」と言うお話にも無差別に猫狩りをし、ここに観るボスガンよろしく変身実験をしていたキ○ガイな博士(笑い声やテンションはゲドリアン並み?)が登場していましたが、違う処は反対に外見はそのままに自我のみ変身させていた点(他の方のお言葉を借りれば、クライシスやマクーよりどちらかと言えばフーマ的な実験!!)。その博士の研究所に迷い込んだトムは、ジェリーを襲おうとする度にジェリーに手なずけられた犬化した猫に痛め付けられ、更にインコ化した像、羊化した鶏、猫化した犬までも目の当たりにして発狂し研究所から命からがら逃げ出して行きました!!

Re[1]:「仮面ライダーBLACK RX」 第23話「ブタになったRX」 前編(09/26)  

ふて猫様

ま、そうじゃないとヒーローが負けちゃいますからね。

Re[1]:「仮面ライダーBLACK RX」 第23話「ブタになったRX」 前編(09/26)  

式部省様
>チャップは信じられない程貧弱ですね。女の子にもやられるショッカーの戦闘員が最弱だと思っていましたが、上には上がありますね。

ま、怪魔界と環境の異なる地球なので、余計死に易くなっていたとは思いますが。

>それにしても変換後に死ぬのなら「ニンゲン ブタニ ナレ」とでも入力すれば簡単に地球を支配できると思うんですがね。まあ後片付けが大変ですが(笑)。

確かに。折角のハイテクもあまり有効に利用できてませんね。

Re[1]:「仮面ライダーBLACK RX」 第23話「ブタになったRX」 前編(09/26)  

影の王子様
>ある意味、バブル絶頂期の朗らかさを覚えます。

何か文明批判的な深みがあるわけでもなく、ひたすら騒動を描いてるだけなのも、バブルらしい演出ですよね。

Re[1]:「仮面ライダーBLACK RX」 第23話「ブタになったRX」 前編(09/26)  

笑太郎様

詳しい解説ありがとうございます。

Re[2]:「仮面ライダーBLACK RX」 第23話「ブタになったRX」 前編(09/26)  

zura1980さんへ

ご返信ありがとうございます。また今回マサオくんの所為で不運にも豚化してしまった千葉先生ですが、千葉繁さんと言えば「北斗の拳」ではナレーションの他にも拳王偵察隊のリーダーにしてカメレオン人間のシーカも忘れられません!!マミヤ(声は藤田淑子さん)に対し
「俺、拳王偵察隊のシーカってんだけど、お前はケンシロウ一味のマミヤだみゃっ?!(中略)さあマミヤさんっ、ケンシロウのいる所へ案内してもらいまみょうみゃーーーっ!!!」
とカメレオン語(?)で恫喝する場面は目と耳に焼き付いています!

Re[3]:「仮面ライダーBLACK RX」 第23話「ブタになったRX」 前編(09/26)  

笑太郎様

千葉さんの台詞回しは人間国宝ものですよね。

もっとも、実は「北斗の拳」ってあまり見たことなくて、むしろ「パトレイバー」や「うる星やつら」の方が印象が強いです。

細胞変換装置の影響

学習塾で先生に馬鹿にされた事で腹を立てたマサオ君は「センセイ・ブタ・ニ・ナレ」と入力しましたが、その結果、ありとあらゆる分野の先生が豚になりましたが東映特撮チャンネル内でも同じ事が起きたらどうなりますか?
そうなるとあらゆる特撮作品で豚にされる先生系のキャラは誰ですか?
例 ギンガマンの鈴子先生
マジレンジャーのヒカル先生
デンジマンの5人(ジムの先生だから)
アバレンジャーの仲代壬琴
カクレンジャーのガリ先生
ガオレンジャーの獅子走
ジライヤの山地哲山
トトメスの松本先生
アマゾンのマサヒコ
ギンガマンの敵バルバンのブクラテス
ダイレンジャーの敵ゴーマの電話先生
カブタックの国立先生とカブタック(同一人物)
ターボレンジャーの山口先生
ファイブマンの星川兄弟はゾーン襲撃を機に先生を辞めたため免れましたが。
すると周りの人々はどんな反応?
上記の関係者の場合
ゴウキ「大変だ!鈴子先生が豚になった!」
小津麗「大変よ!私の好きなヒカル先生が豚になっちゃったわ!」
伯亜凌駕「大変だ!俺を助けた事もあった仲代先生が豚になった!」
ジライヤ「オーマイガッ!ガリ先生が豚になっちゃいました!」
山本大介「日本語を教えてくれたマサヒコが豚になった!」
ゼイハブ「ブクラテス先生が豚になっただと?」
高円寺譲「カブタック大変だ!国立先生が豚に…ってカブタックも豚になった!」
炎力「太宰博士大変です!山口先生が豚になってしまいました!」
しかしファイブマンの5人はゾーン襲撃を機に先生を辞めたため助かった。
健「兄貴、大変だ!俺達がかつて勤めていたニュータウン小学校の同僚の教師達が豚になった!」
数美「変だわね?私達はゾーン襲撃前までは先生だったのに何故星川兄弟だけは豚にならなかったかしら?」
学「俺達はゾーンと戦うため先生を辞めた。だから心置きなくゾーンと戦えるぞ!」

Re: 細胞変換装置の影響

お詳しいですね。

ちょうど今「ファイブマン」の下書きを書いてるところです。

赤い車について

20ソアラの兄弟車・70スープラです。

Re: 赤い車について

ご教示ありがとうございます。

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