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「新ハングマン」 第13話「天使を喰うハイエナ病院」 後編



 第13話「天使を喰うハイエナ病院」(1983年10月28日)
 の続きです。

 病院に潜入中の三好がピンチに陥ってるとも知らず、ハングマンたちはアジトでそれぞれ集めた情報について話していた。

 
 マリア「薬品会社のセールスマンが緑川に新薬を売り込んでるの。この薬を使う代わりに薬品会社から病院にバックマージンが行くって訳よ」
 ヌンチャク「やたら薬を使いたがる訳だ」

 喫茶店で盗撮した金銭授受の証拠写真を見せながら説明するマリア。

 いや、それってどこの病院でもやってることじゃ……いえ、なんでもないです。

 
 ヌンチャク「上が上ならインターンもインターンですよ、使用済みの注射器を高校生に流しているんです」
 マリア「注射器を?」
 ヌンチャク「薬局で注射器は手に入りにくい。そこで高校生たちはこうやって手に入れる訳さ。覚醒剤を打つ為にね、ひでーもんさ」

 ヌンチャクも独自に調べてきた事実を、写真と共に開陳する。

 注射器の使い回し……と来れば、当然、エイズの話になるかと思いきや、日本でエイズ患者が確認されたのはこの2年後なので、まだ彼らの口からそれに類した台詞は出て来ない。

 これが「ハングマン5」とか「あぶない刑事」とかになると、エイズ感染者=ホモなどという、よく地上波で流せたな的な偏見まるだしのやりとりが聞けるようになるんだけどね。

 それにしても、当時は、高校生にもかなりのジャンキーがいたんだね。

 これで日本の未来も安心だ!(註・なわけねえだろ)

 マリア「そうやって儲けたお金を豊里は、不動産、無記名の国債に換えてるわ、私が調べた範囲で25億、実際はそれ以上でしょうね」

 
 緑川「院長、回診の時間です」
 豊里「阿久津は血圧が高かったなぁ」
 緑川「はぁ」
 豊里「アレドフレキシロンを用意してくれ」
 緑川「院長、それは低血圧患者用の強心昇圧剤ですよ」

 
 豊里「阿久津との腐れ縁を切るにはいい潮時だ」

 豊里、ダニのようにまとわりつく阿久津を、医者の立場を悪用して抹殺しようと言い出す。

 いいよねえ、このクールなヒールっぷり。

 
 それに続く回診シーンは、まるでチープな「白い巨塔」のようであった。

 
 阿久津「何の注射だ?」
 豊里「あなた血圧が高いから下げる薬ですよ」
 阿久津「そうか」
 豊里「効果は覿面ですよ」

 阿久津も、まさか相手がそこまで思い切った手段に出るとは夢にも思っておらず、自分を殺す薬が自分の腕に注射されるのを、何の疑いもなく見ている。

 僅かな動揺も見せず、淡々と自分で注射をしてしまう豊里の度胸もまた見事であった。

 何しろ相手はヤクザの親分だからね。並大抵のワルモノに出来ることではない。

 
 一方、ETが三好の様子を見に病院を訪れるが、当然、病室はもぬけの殻になっていた。

 ET「隔離フロアに移した?」
 緑川「ゆうべ、急に暴れ出しまして」
 ET「いや、そ、そんなぁ!」

 緑川に告げられたETは、狼狽したふりをして緑川の腰に手を回し、今にもその唇を奪わんばかりに顔を寄せる。

 緑川「ま、ここだけの話ですが、お兄さんは覚醒剤中毒ですね」
 ET「ええっ」
 緑川「足の指の間に注射痕がありました。明らかに注射が切れた為の幻覚症状ですなぁ」

 ETは面会を求めるが、当然、拒否される。覚醒剤中毒と言われれば患者の肉親と言えど大人しく引き下がるしかなかった。

 しかし、病院側は、三好の行動を怪しんで隔離しているのだから、その弟だと言うETにも疑いの目を向けてしかるべきなのに、そう言う素振りが一切見えないのは不自然なようにも思える。

 
 その三好、隔離病棟の一室に監禁され、実際に覚醒剤を打たれていた。

 そのまま廃人にしてしまおうということなのだろうが、そんな金と手間の掛かることをせずとも、豊里が阿久津にやったような、病死に見せかけて始末する方が簡単だっただろう。

 病院の駐車場の車の中で、ETたちが三好を早く助けなければと焦っていると、一台の車が猛スピードで突っ込んできて、玄関前で急停止する。阿久津の部下たちである。

 
 早川「会長!」
 豊里「脳溢血です、私が駆けつけたときにはもう手遅れでした」
 早川「……」

 豊里、これまた淡々と部下たちに説明する。

 その態度があまりに落ち着いているので、早川たちもまさか豊里の仕業とは思わない。

 三好は完全なシャブ中になったと見せかけて、注射を打ちに来た看護人をぶちのめすと、鍵束を奪い、隣の上原美和子が監禁されている部屋のドアを開けて踏み込むが、美和子は完全にシャブ中になっていてるようで、廃人同然の状態だった。

 
 仕方なく、三好は美和子の体をおんぶして担ぎ出す。

 ……

 管理人、このカットを見て、「男性におんぶされている成人女性」のいやらしさについて啓発されたような気がした。

 なにより、管理人の大好きなお尻が強調されるのがミソである。

 これから「おんぶ女子」の時代が来るのではないかと思うが、来ないだろう。

 
 さいわい、警備はゆるく、三好は美和子を背負ったまま、誰にも見付からず一般病棟へ出ることが出来た。
 階段の踊り場から廊下を窺っていると、誰かがその肩を叩く。ETであった。

 
 三好「二枚目かー、脅かすなよ」
 ET「……」
 三好「かなりシャブ打たれてるようだ」
 ET「忠さん、だいじょうぶか」
 三好「あんたから貰った中和剤飲んでなきゃ、今頃この子とおんなじになるところだったぜ」

 用意周到なET、あらかじめ覚醒剤の中和剤(そんなのあるの?)を渡していたらしい。

 と、ちょうど彼らの鼻先を、阿久津の死体がストレッチャーで運ばれていくのが見えた。

 三好「あれ、阿久津じゃねえのか」
 ET「ああ」

 
 さらに、豊里と緑川が廊下へ出て来て、彼らの目の前で、

 緑川「うまく行きましたね、院長」
 豊里「阿久津に生きていられちゃ面倒だからな、ま、ひと安心だ」

 堂々とそんな罪の告白に等しいやりとりを大きな声で交わしてくれる。

 それこそ時代劇のようにわかりやすい悪役たちであった。

 とにかく時代劇の悪役と言うのは、ちょうど天井裏に密偵が潜んでいる時にわかりやすく自分たちの悪事を順序立てて聞き取りやすい声で説明したり、誰かを襲撃したあとで、まっすぐ依頼主の屋敷に戻ったり、何よりも分かりやすさが大切なのである。

 
 三好「院長が阿久津を殺したのか」
 ET「ああ、下に車を用意してある。彼女をあんたの事務所へ連れてってくれ」

 廃人同然なので台詞は何もないのだが、ずーっとおんぶされたまま、たまに目をぱちくりさせている美和子がなんか可愛いのである。

 こうして無事美和子を助け出したハングマン、ここでやっとハンギングの時間となる。

 翌朝、緑川が青い顔で三好と美和子がいなくなっていると豊里に報告している。

 
 豊里「早川を呼べ、あいつに探させるんだ」
 緑川「はぁ」
 豊里「どうなってるんだ?」

 だが、事務所に電話しても早川は誰も出ず、さらに1階にマスコミ連中が集まってると聞いて、豊里はますます神経を苛立たせる。

 
 そこへふらりと入ってきたのが、ETだった。

 豊里「誰だ、君は」
 ET「隔離病棟から逃げた男の弟ですよ。面白い話を色々聞かせて貰いましたよ。上原美和子さんからね」
 豊里「なにぃ」
 ET「おい」

 
 ETが合図すると、三好が車椅子を押して、美和子を連れてくる。

 まだ目はうつろだったが、一晩かかってなんとか彼女から詳しい話を聞きだしたのだろう。

 
 ET「保険料の水増し、脱税、薬漬け、おまけにシャブ漬けまでね」
 豊里「……」
 ET「それにもうひとつ、阿久津をあんたが殺したことも分かってるんだ」
 豊里「君は何を言ってるのかね」

 
 ET「認めないなら警察へ彼女を連れて行くだけだ」
 豊里「ちょっと待てくれ」

 ふてぶてしくそらっとぼけて見せた豊里だが、ETが美和子を警察へ連れて行く気組みを見せると、思わず立ち上がる。

 ET「阿久津殺しを認めるのなら金で解決しても良い」
 豊里「やはり狙いは金か。いくら欲しい」
 ET「阿久津殺しを認めるのが先だ」

 
 豊里「……」

 ETに迫られて、しばし無言で考え込む豊里だったが、ETのことをただの恐喝屋だと判断し、迂闊にも「確かに私が阿久津を殺した」と言ってしまう。

 ET「邪魔になったからか」
 豊里「そうだ」
 ET「ふふふ」

 
 ETが指を鳴らすと、そこへヌンチャクが早川を連れてくる。

 とっくの昔に早川たちはハングマンの手に落ちていたのだ。

 豊里「早川さん」
 早川「きっさまぁ~、会長をやりやがったのか!」
 豊里「いや、私は別に……」

 二人が醜い言い争いを始めた頃、一階に集まっていたマスコミの前に、ひとりの看護婦がやってきて、

 
 マリア「みなさん、阿久津氏の急死について院長が記者会見を行う予定ですが、もう少々お待ちください……」

 それは看護婦に扮したマリアだったが、あいにく、その姿を(と言うか胸を)大きく映してくれない。

 マスコミの中には、前夜、ハングマンから招待状を受け取った杉本の未亡人の姿もあった。

 と、マリアが立ち去ると同時に、スピーカーから二人のいさかいの声が大音量でフロアに流れ出す。

 ETが気を利かして、院長室での心温まるやりとりを1階のスピーカーから生中継しているのである。

 
 早川「今までさんざん会長に世話になっておきながら、その会長を殺しやがって!」
 豊里「ま、待ってくれ、仕方がなかったんだ」
 早川「うるせえっ!」
 豊里「あのな、阿久津の代わりに君にもうまい汁を吸わせてやる。良いクヌギの林があるんだ」
 早川「俺はクワガタか!」

 じゃなくて、

 豊里「この病院がある限り、金はいくらでも入ってくる。な、頼む、それで手を打とう」
 早川「ほんとうか?」
 豊里「邪魔な人間は隔離病室でシャブ漬けにしてやる。麻酔に使うヘロインも流してやる」

 ざわつくマスコミの前に、再びマリアが現れ、これから会見場へ案内すると言う。

 
 砂糖にたかるアリのようにマリアに群がるマスコミが連れて来られたのは、他でもない、隔離病棟の、美和子が監禁されていた一室だった。

 そこには、ベッドの金網に手錠で縛られたワルモノどもが雁首揃えて待っていた。

 
 豊里「皆さん、私は何もしてないんですよ、ねえ、助けてくださいよ」

 カメラのフラッシュが焚かれる中、なおも往生際悪く潔白を主張する豊里。

 だが、

 
 緑川「わ、私は何も知りませんよ、院長の命令で動いていただけですから」
 豊里「緑川、今更お前、何を……」
 緑川「そうじゃないですかー、私は院長の命令に従って忠実に動いてただけなんです」
 豊里「何を言ってるんだ、今までのことお前、忘れたのかっ」

 
 早川「貴様ら二人がやったんじゃねえか、会長を」
 豊里「な、なにー、わしがいつお前の会長をやったんだ?」

 当然のごとく、醜い仲間割れと罪のなすりあいを始める三人だった。

 それにしても、貫太郎の横顔、なんか、カッパみたいだ……。

 シャッター音と怒号が鳴り響く隔離病棟にも、やがてパトカーのサイレンが近付いてきて、遂に彼らも年貢の納め時を迎えるのだった。

 しかし、「年貢の納め時」って何時なんだろう? やっぱり秋から冬にかけてなんだろうか。

 
 とにかく、悪人たちの末路を、マスコミの後ろで仁王立ちで見ているハングマン。

 
 ラスト、ETが三好のアパートを訪ねると、三好が、額に脂汗を浮かべて、原稿用紙に向かって一心に書き物をしていた。

 ET「どうだ原稿の進み具合は」
 三好「どうも俺は物書きのタイプじゃねえみたいだなぁ」
 ET「彼女の内部告発と忠さんの病院潜入の体験ルポを出版すればベストセラー間違いなしだからなぁ。病院をゆするより金になるぜ、おい」
 三好「わかってるよ」

 ETにそそのかされたのか、三好、今度の一件をルポにまとめて出版するという柄にもない仕事に取り組んでいるのだった。

 だが、ろくに漢字も知らず、国語辞書と首っ引きで悪戦苦闘している三好の様子を見る限り、美和子はともかく、彼の体験ルポが出版される日は永久に来ないだろう。

 ET「ま、ベスセラーを目指して頑張ってくれよ」

 ET、さりげなく、今度の協力のお礼としていくばくかの金を、机の上のアルバイト雑誌の間に挟んで置いていくのだった。

 以上、三好忠治と言う男、なかなか面白いキャラだと思うのだが、代役はこの二本だけで、二度と番組に登場することはなかったのである。


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コメント

豊里の悪者振りが時代劇の悪代官と重なって見えたのは私だけではないと思うのですがね😓美和子の背負われ姿(所謂おんぶ)も中々のものですね😅

Re:「新ハングマン」 第13話「天使を喰うハイエナ病院」 後編(09/29)  

>いいよねえ、このクールなヒールっぷり。
ここまで性根が据わっているとむしろ爽快感すら覚えますね。
出来ればも~ちと最後まで白を切り通して欲しかったけど。
菅貫太郎さんの魅力が炸裂してましたね・・・・

Re[1]:「新ハングマン」 第13話「天使を喰うハイエナ病院」 後編(09/29)  

ふて猫様

次回はさらに大胆なシーンが出てくるのでご期待ください。

Re[1]:「新ハングマン」 第13話「天使を喰うハイエナ病院」 後編(09/29)  

影の王子様

同じ悪人でも上と下があるんだなぁと言うことが分かりますね。

Re:「新ハングマン」 第13話「天使を喰うハイエナ病院」 後編(09/29)  

今回はなかなか上手くできている話じゃないですか?ハンギングもそれなりに効果的なやり方ですし。惜しむらくはエロシーンがあまりないところですね。それにしても美和子だけでなく豊里も顔色がよくないように見えるのは気のせいでしょうか?

Re:「新ハングマン」 第13話「天使を喰うハイエナ病院」 後編(09/29)  

最近、「大岡越前」の事をこの場で述べるのが続いていますが、ここに観る豊里は菅貫太郎さんである事も手伝い、正に以前別記事でも述べた第8部の「兄を殺した非道医者」に登場した悪医者・林田玄庵の現代版と言える事ができるでしょう!!

>豊里、ダニのようにまとわりつく阿久津を医者の立場を悪用して抹殺しようとする。

しかし豊里の悪医者としてのやり口は上記の林田玄庵以上に、第6部の「死体が歩いた長屋露地」と言うお話での悪医者・三森玄庵(残念ながらこちらは菅さんではなく、高野眞二さん)に近いとも思えます。
阿久津に相当するのが、高利貸しとして悪名高いおかん婆さん(演じるは「ラピュタ」のドーラ婆さんの声でお馴染みの初井言榮さん)。三森玄庵はこのおかん婆さんとグルになり美味しい思いをして来たと同時に、お抱え医として不老不死の妙薬と称した丸薬を提供していましたが、くせ者はその丸薬!
阿久津同様徐々に見返りとし苛烈な条件を突き付ける様になったおかん婆さんが目障りになった三森玄庵は、毒薬を通常の薬でコーティングした物を投薬し何の警戒も無くそれを飲んでしまったおかん婆さんは時間差で死ぬと言う、医者の知識を悪用した巧妙なアリバイ工作を披露!!
そんな三森玄庵をお白州で大岡様以上に中心をなりハンギングしたのが、小石川養生所の新三郎先生(西郷輝彦さん)!その時代では珍しかった腑分けにより摘出したおかん婆さんの胃から毒を検出。アリバイを見事崩された三森玄庵はおかん婆さんの事を
「こんな事になったのも全部あのおかん婆のせいだっ!あいつは鬼だーーーっ、鬼婆だーーーっ(泣)!!」
と罵る豊里以上の醜態を晒しながら捕り手たちに引っ立てられていきました!

Re[1]:「新ハングマン」 第13話「天使を喰うハイエナ病院」 後編(09/29)  

式部省様

まぁ、つまらなくはないですね。

Re[1]:「新ハングマン」 第13話「天使を喰うハイエナ病院」 後編(09/29)  

笑太郎様

いつもながら細かいところまで良く覚えておられますね。

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70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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