第12話「躍れ!悩ましの美少女?!」 作画監督 田中英二・西城隆司
全部ではないが、タマプロの西城氏が描いているので作画の出来はまずまずの回。
前回のラスト、伊集院家での園遊会の途中、紅緒は如月に呼ばれて新顔のメイドに引き合わされたのだが、それがなんと女に変装して潜り込んで来た蘭丸だったと言うところからスタート。
紅緒は慌てて蘭丸……屋敷では蘭子と名乗っている……を自分の部屋に連れて行く。

紅緒「一体どういうつもりなの、蘭丸、少しやり過ぎよ。いくらあんたが女の子より奇麗だからって」
蘭丸「だから、こうして髪形変えて来たんじゃないの、あたしって意外とこういう洋髪も似合うのよね」

コンパクトを取り出して、うっとりと自分の顔を映して見る蘭丸。
ナレ「大正4年、電気ゴテを利用し髪にウェーブをつけるのが流行、これすなわちパーマネントの元祖である」
紅緒「蘭丸!」
蘭丸「だって、こうでもしなきゃ紅緒さんと一緒にいることなんて出来ないもの」
紅緒「じゃああんたずっとここにいるつもり、メイドとして?」

あれこれやってると、忍が紅緒を迎えに来る。
紅緒、それが蘭丸だと気付かれないよう、ギャグ顔になって「少尉、良いお天気ですことぉ……こちら、私の新しいメイドの蘭子ですぅ」と説明する。
忍「蘭子さんか、ま、しっかりと……みんなが下で待ってますから」
紅緒「……良かった、気が付かなかったみたいね」
紅緒、とりあえず胸を撫で下ろすが、去り際に忍がクスクス笑いを噛み殺してるのを見て、不安になる。
紅緒「気になる笑い上戸」
蘭丸「気付かれたかな」
紅緒「まさかぁ、気付いたら何か言う筈でしょ」
紅緒、とにかく蘭丸にすぐ屋敷から出て行くよう言うが、蘭丸も覚悟を決めて来ているので引き下がらない。

蘭丸「だいたい、紅緒さんは縁談をめちゃくちゃにする目的で乗り込んだんだから……えっへっへっ、ばれて元々、ばれたらお尻に帆をからげてバイバイすれば良いでしょ」
紅緒「そりゃあそうよ」
蘭丸「第一、こっちは、おぎゃあと生まれた時から女形の修行を積んでるんですからね」
蘭丸、絶対自分が男だとばれっこないと自信たっぷりに言って、結局紅緒も押し切られる形になる。
原作ではそのまま夜のシーンになるのだが、アニメでは、延々と園遊会が続いている。
考えたら、パーティーの最中に如月が紅緒にメイドを紹介するのも変だよね……。
その後、伯爵に蘭丸のことを根掘り葉掘り聞かれ、なんとか誤魔化そうとする紅緒の姿が描かれる。
で、蘭丸が日本舞踊の藤枝流の名取だと自己申告した為、パーティーの余興としてみんなの前でひとさし舞うことになる。
蘭丸は実際に藤枝流の家元なので、舞そのものは実に見事なものであったが、

伯爵「うん、なかなかのものじゃ」
高屋敷「そりゃ当然ですよ、藤枝流の家元、若手歌舞伎の藤枝蘭丸じゃないですかーっ!」
と、環を家に送ってまた戻ってきた高屋敷に鋭く指摘されてしまう。
伯爵「藤枝蘭丸と言えば男じゃろう? 返答次第ではただでは済まさんぞ」
伯爵、その場で蘭丸を斬り捨ててしまいかねない剣幕だったが、紅緒が「蘭子は藤枝蘭丸を気取っているだけです」と釈明し、同時に、「バカぁ、あの悪い癖はまだ治らないの?」と叫びつつ、蘭丸の顔をバシバシ叩いたので、何とかその場は収まるのだった。
なんとなく釈然としないが……。
一難去ってまた一難、その夜、如月は、蘭丸に紅緒と一緒に風呂に入ってその世話をしろととんでもないことを言い出す。

如月「紅緒様、お召し物をお脱ぎ遊ばせ、さ、早く」
紅緒「うわーっ! うわーっ! わあーっ、ううっ、いいーっ!」
予期せぬ事態に、精神崩壊を起こす紅緒。
「蘭子は大人しいので人前で裸になるのが恥ずかしいのです」と言い訳して、なんとか如月を追い払う。

紅緒「いくらなんでも一緒になんて入れないわ。あんたこっそり出て隠れてなさいよ」
蘭丸「うん、僕も紅緒さんの骨なんか見たくないよ」

紅緒「うっ、くーっ、見もしないでどーして分かるのよ!」
紅緒、蘭丸を思いっきりビンタする。
蘭丸の言う「骨」と言うのはあばら骨のことで、要するに紅緒の胸が平らで、肋骨まで透けて見えるほどだと言いたいのである。

紅緒、先にひとりで浴槽に体を漬けていたが、様子を見に来た如月に蘭丸が見付かり、強引に浴室へ叩き込まれる。
如月「戻らんかーっ、このがきゃあああっ!」
紅緒「キャアアアアーッ! エッチーっ!」

紅緒「ち、血迷ってしまった。ナインを見られて……」
初めて蘭丸に裸を見られて真っ赤になる紅緒であった。
原作ではギャグ絵で描いてあるが、アニメでは一瞬だがちゃんと乳首まで描いているのがえらい。
今回の原作消化も10ページほどだった。
第13話「恋は思案の帆かけ舟」 作画監督 田代和男
続く13話は、安心のBクラス作画の田代作品。
前回の入浴後、蘭丸は最初はほかのメイドたちと一緒に寝ていたが、さすがに起居を共にしていれば彼女たちに蘭子が男だとばれてしまうので、結局紅緒が自分の寝室へ連れて行き、カーテンで仕切りをしてその向こう側で寝させることにする。

その後、牛五郎を交えて、屋敷の庭で話している紅緒と蘭丸。
蘭丸「僕たちがここにいるのは一日も早く馬鹿げた縁談をご破算にする為でしょ」
牛五郎「そーそーそー、そうじゃねえんですかい、親分」
紅緒「う、うーん、まあね……」
蘭丸「だったら派手に暴れて一日も早くおん出されましょうよ」
牛五郎「いいねえ、実はあっしも腕がむずむずしてるんですよ、親分」
蘭丸「そろそろここを引き揚げる潮時じゃないの?」
紅緒、いかにも気乗り薄な感じだったが、二人に押し切られて、あえて屋敷を追い出される為に、主に如月をターゲットにして再び暴れることになる。

まず牛五郎がこれみよがしに門柱にこんな看板を出して、如月を怒らせる。

で、この作品ではお馴染みの、時間稼ぎとしてか思えない意味のない追いかけっこが始まる。

さらに、紅緒が天丸と地丸に引かれた人力車で屋敷内を走り回ると言う暴挙に出る。
さすがの豪傑・如月も遂にダウンし、寝込んでしまう。

だが、その晩、忍が親しく病床の如月を見舞ってるのを見て、「あの如月さんは少尉にとっては、あたしのばあやと同じような人だったのね。少しやり過ぎだったかしら……」と後悔の念を覚えていた。
忍の優しさが良く出ているシーンだが、原作にはない。

翌朝、テラスで新聞を読んでいる忍に、蘭丸が鹿爪らしい顔でお茶を持っていくが、
忍「蘭丸君、(胸)パットが縦に並んで背中に来てるよ」
その去り際、忍がさりげない口調で指摘する。

蘭丸、それを誤魔化す余裕もなく、「べ、べ、べ、べ、べーっ!」と紅緒のところへ飛んでいく。
蘭丸からとっくに忍に正体を気付かれていたらしいと聞いた紅緒、自分が男の蘭丸と同じ部屋で寝ているのに少尉は平気なのだろうかと乙女チックに悩むのだった。
今回も計ったように原作の10ページ分しか進んでない。
第14話「思い乱れて花二輪」 作画監督 田中英二・岸義之
タマプロ担当だが、監督は岸氏、しかも西城氏も水村氏も参加していないので、

当然、作画レベルはCになる。
……でもまぁ、全体を通して見れば、まだマシな方である。
前半、紅緒が意地悪して、出勤する忍にどちらも右手の手袋を渡すと言うエピソードが出てくるが、これはアニメオリジナルのもの。
牛五郎から、連隊旗手の忍が、ちゃんと制服を着ていなかったら大きな恥を掻くことになるだろうと推測すると、紅緒は(少尉、そんなつもりじゃなかったのよ、ごめん……)と心の中で詫びるのだった。
続いて、女学校からの帰り、牛五郎の人力車に乗っていた紅緒の前にすみれ組のチンピラと名乗る、落書きのような三人のキャラクターが立ちはだかり、喧嘩を吹っかけてくる。
原作では本格的に戦う前に吉次が止めに入っているが、アニメではひとしきり紅緒とチンピラのバトルがひどい動画で描かれている。

で、そこへ登場したのが、芸者の吉次であった。
吉次「お前さんたち、なんだい、たったひとりを大勢で……余計なことをおしでないよ!」
初登場からデッサンが崩れて気の毒だが、吉次の声を演じるのは峰不二子でお馴染み、増山江威子さん。
ついでに、チンピラのひとりをブライト艦長こと鈴置洋孝さんがあてている。
三人は、吉次の為にと紅緒を襲撃したらしい。吉次は手を振って三人を追い払う。

吉次「私、柳橋の芸者、花乃屋吉次と申します。お嬢さんは花村紅緒様?」
紅緒「は、はぁ」
吉次「そう、やっぱり……この吉次はね、伊集院の若様に惚れておりましたのさ」
紅緒「ええっ」
吉次「勿論片思いですけどね。でも、いくらこちらが熱を上げてもかなわない筈、こんなお嬢様が許婚なら……」
紅緒「あ、あら、違います。私たちまだ婚約なんて正式じゃないし……それに少尉は私のことなんか」
吉次「何を仰います。お嬢様をひとめ見れば分かります……それに引き換え私など、華族様と芸者風情、結ばれるなんて夢のまた夢……でも出来ることなら婚約をぶち壊してやりたい、とまで思っていました。今日図らずもこうしてお嬢様とお会いするまではねえ」
吉次は初対面の紅緒の手を握り、「若様をよろしくお頼みしましたわよ」と告げて去るのだった。
紅緒はてっきり、忍が二股かけていたのだと思い込み、激怒する。
紅緒「まぁ、あの女性の敵! 少尉の奴、あの芸者さんと陰で適当にやってたのね! うーん、許せない、断じて許せないのだ」

屋敷に戻った紅緒は、蘭丸から少尉宛の大量のラブレターを見せられ、ますます頭に血が昇る。

紅緒「原作者! お前もか……」
その中には、原作者の大和和紀先生の名前もあったりして……。
その後、忍が勤務から帰ってくる。紅緒は一言忍に言ってから屋敷を出て行くつもりだったが、その前に一応、今朝の悪戯の件について謝っておく。
だが、忍はたまたま左手の手袋だけ持ってきていた人がいたので、その人と取り替えて事なきを得たと紅緒を安心させる。そしてそのそそっかしい人物とは、他ならぬ紅緒の父・花村少佐だった。
そこから話が横へそれて、忍が、紅緒のばあやや仲良しの子供から預かってきた手紙を紅緒に渡すと言うどうでもいい話になる。
紅緒「少尉のメッキはもう剥げてるんですからね、吉次姐さんがよろしくですって」
忍「……彼女に会ったんですか?」
吉次の名を聞いた途端、忍の顔色が変わる。
忍「彼女は……違います、紅緒さん、そんな、誤解しないで下さい」
紅緒「言い訳は見苦しいわ。あなたのように女の気持ちを弄ぶ人、だいっ嫌い! 出てって、二人とも!」
紅緒は忍の言い訳を聞こうともせずに蘭丸ともども部屋から追い出し、ベッドに身を投げ出してサメザメと泣くのであった。
今回も律儀に原作の消化は10ページほどでした。
14話まででやっと単行本の1巻をほぼ消化したことになる。
(C)大和和紀・講談社・日本アニメーション
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