「恐竜戦隊コセイドン」 第9回「タキオン21世紀直撃命令」
- 2017/01/13
- 20:16
第9回「タキオン21世紀直撃命令」(1978年9月1日)
前回までのあらすじ
21世紀へコスモ秘帖の謎を調べる為に一時帰還したゴウとテツは、最新の設備を使って見事、秘帖に隠されていた情報を見付けだす。だが、その文字を解読できるアルタシヤが、白亜紀でゴドメスの攻撃を受けて行方不明になったと知らされ、激しく落胆する。
ところが、長野県でアルタシヤらしき女性の氷漬けが発見されたという知らせが入り、ゴウとテツは直ちに長野へ向かう。二人はアルタシヤの氷漬けを本部へ持ち帰ろうとするが、その途中、白亜紀のゴドメス軍から再びエントロフィービームによる攻撃を受ける……。
時を越えて空間に干渉するエントロフィービームによる爆炎が上がる中、ゴウとテツが目にしたのは、彫像のように立つ、アルタシヤの美しい姿だった。

そう、偶然にも、7000万年前にエントロフィービームマイナスで凍結されたアルタシヤの体が、同じ時代から発射されたエントロフィービームプラスのエネルギーによって、無事に21世紀に蘇ったのだ。
管理人、7000万年の時を隔てて起こる壮大なストーリー展開に魅了され、この瞬間、この作品に「ノックアウト」されたと言っても過言ではない。
ゴウ「アルタシヤ、アルタシヤ!」
テツ「ゴウ、早く山を降りるんだ」
それと同時に、ニセ金髪だったアルタシヤが本来のつやつやした黒髪に戻ったのも嬉しい。
自分がアルタシヤの村野奈々美さんに魅かれたのも、このイメチェンによるところが大きいのだ。

ところでその頃、白亜紀でアルタシヤと一緒に凍結されていた三人のゴドメス兵まで、エントロフィービームによってゾンビのようにむくむくと復活を遂げていた。
また、ゴドメスの総監ザジは、戦艦ガルムスからひっきりなしにエントロフィービームを撃ち、そのエネルギー波によって日本各地で、火災や地震など甚大な被害が発生する。
そこに出て来る映像は、多くは過去の作品のバンクフィルムだろう。

無知な自分には、その中のひとつが、「怪奇大作戦」の「呪いの壺」に出てくるお寺の炎上シーンだとしか分からない。(コセイドンの)約10年前の作品なのだが、全く遜色のない(と言うか、むしろ1978年当時より優れている)見事な特撮である。
やがて、時空管理局のマザーコンピューターが、その原因がはるか昔の白亜紀からのタキオンによるものだと分析する。

バンノ「何事ですか」
長官「目下、日本列島に異常現象が多発しておる。マザーの観測では白亜紀からの異常エネルギーが原因とのことだ。直ちに観測を頼む」
白亜紀に残っているバンノたちが、ハクアス1号の操縦席で長官からの通信を受けている。
長官「それからな、喜ばしい知らせがある、アルタシヤと言う娘が21世紀で発見された」
マリ「ほんとですか! わーっ!」

再び21世紀。
長野の病院に収容されたアルタシヤは、こんこんと眠り続けていたが、ほどなく薄っすらと目を開ける。

ゴウ「アルタシヤ! 気がついたんだね」
アルタシヤ「……あなたは、誰?」
ゴウ「僕だよ、トキ・ゴウ! どうしたんだ」

アルタシヤ「トキ・ゴウ? 私、知らない」
ゴウ「アルタシヤ!」
アルタシヤ「アルタシヤ? 私のこと?」
ゴウ「そうだ、君の名はアルタシヤ、君はテレサ星の王女アルタシヤじゃないか」
アルタシヤ「テレサ星? 王女……アルタシヤ……わ、私が?」
だが、アルタシヤは言葉は理解できるが、ゴウの呼びかけにはひたすら首を横に振って美しい眉を八の字にして、困惑の表情を浮かべるだけ。

テツ「どうやら彼女は記憶喪失になったらしい」
ゴウ「記憶喪失?」
テツ「あまりに激しい出来事の連続でショックのあまり過去の記憶を全て忘れてしまったんだ」
ゴウ「なんだって、じゃあコスモ秘帖を読むこともできんのかっ」
折角アルタシヤが生き返ったというのに……、ゴウとテツは再び難題にぶち当たる。
白亜紀では、モリィとマリが空から21世紀に災厄を及ぼしているエネルギーの源を探索していた。
……と言っても、過去の経験から、ゴドメスの仕業以外考えられないのだが。
ところで、

マリ「隊長、北北東にエネルギー反応があります」
モリィ「北北西にエネルギー反応」
バンノ「ハクアスからは北北西か、よし分かったぞ、モリィ、11時の方向へ20キロだ」
バンノが、二人の位置と報告から、エネルギー源の所在を割り出す描写がなかなかリアルで感心してしまう。
子供向け特撮ドラマでは、なかなか見られないシーンだよね。

バンノの指示で飛行していたモリィは、着陸しているガルムスを発見する。

モリィ「隊長、ゴドメスの戦艦を発見!」
バンノ「え……そうだったのか池上彰、くそぉやつら何の為に21世紀を? おい、奴らの5キロ手前、13地点(?)に全員集結しろ! 奴らの目的を探り出すんだ!」
そのガルムスの司令室では、総監ザジが部下に指示を与えていた。
部下「第一次攻撃完了いたしました」
ザジ「よおし、二次攻撃に備え、エネルギーをチャージしておけ」
部下「はっ」
ザジ「おい、ビックラジィー」
ビックラジィー「あ、はい、はい、総監」
ザジ「貴様は直ちにタイムGメンの元へ戻り、21世紀日本の様子を探り出すんだ」
ビックラジィー「心得ました」
アルタシヤの忠実な家来だったビックラジィーは、アルタシヤが凍結された際の混乱の中でバンノたちとはぐれた末、ゴドメスに捕まって電磁頭脳を改造され、ゴドメスに忠誠を誓うロボットになっているのだ。
無論、そのことをバンノたちは知らない。
そのバンノたちGメンは、ガルムスの5キロ手前に集結してから、森の中を気付かれないように進んでいたが、がさがさと何かが近付いてくる音に、緊張の色を走らせ、それぞれ銃を構えて息を潜める。
が、やぶをかき分けて現れたのは、行方がわからなくなっていたビックラジィーだったので、ホッと緊張を解く。

マリ「ロボジィー!」
ビックラジィー「ふぁーっ、びっくらしたーっ」
バンノ「はは、なぁにがびっくらしただぁ」
ビックラジィー「これは隊長さん」
モリィ「やれやれ、もう少しでお前さんを撃つところだったよ」
バンノたちは笑顔を見せ、再会を喜ぶ。

ウララ「ビックラジィー、喜んどくれ~、アルタシヤが生きていたんだよ」
ビックラジィー「えっ、ほ、ほんとに?」
バンノ「ああ、21世紀日本、我が祖国で健在だ。コスモ秘帖ともどもな」
ビックラジィー「な、なぁにぃ、そ、それは一大事!」
マリ「どうしてえ?」
ビックラジィー「いや、その、なんでもない、そりゃ良かったですよ、あ、はははははは」
モリィ「おかしなじいさんだぜ」
アルタシヤとコスモ秘帖が無事だと聞いて、思わず本音を漏らしてしまうビックラジィーだが、マリたちもさすがにビックラジィーが脳改造を受けて敵のスパイになっているとは思わず、大して気にもしない。

21世紀、病院を出て、高原を散歩している三人。
その風景が白亜紀とまるっきり同じなのは、同じところ(須坂市?)でロケをしているのだから当たり前である。

アルタシヤ「まぁ、奇麗、フユラン(?)だわ」
テツ「この花を知ってるのかい」
アルタシヤ「ええ、お母様の一番好きなお花よ」
ごく自然にそう言うアルタシヤに、ゴウが色めきたって問いかける。

ゴウ「君のお母さんってのは、テレサ星の女王のことか?」
スッと記憶が戻ったのではないかと期待したのだが、

アルタシヤ「テレサ星? 女王?」
ゴウ「考えるんだ、そして思い出すんだ」
アルタシヤ「ううー、分からないーっ」
改めて思い出させようとすると、アルタシヤは頭を押さえてひどく苦しそうに呻くばかり。
テツ「ゴウ、やめろ、彼女は疲れてるんだ」

ゴウたちから離れ、荒い息をつくアルタシヤがふと目を上げると、草むらの中から、さっきのゴドメス兵たちがこちらをじっと見詰めているではないか。
アルタシヤ「ああーっ!」
ゴウ「どうしたんだ?」
アルタシヤ「ゴ、ゴド……」
ゴウ「ゴドメスか」
アルタシヤ、断片的に記憶を取り戻しつつあるようだった。
一方、白亜紀のバンノたちは敵に見付からないよう、慎重にガルムスに近付こうとしていたが、ビックラジィーが「ああーっ!」と足を滑らせて大声を上げた為、監視の兵士たちに見付かってしまう。
無論、実はゴドメスの一員であるビックラジィーがわざと自分たちの存在を知らせたのである。
バンノたちは兵士たちと交戦して倒し、残ったひとりに銃を突きつけ、
バンノ「このぉ、何故21世紀の地球を攻撃した? 言え、言わないと命はないぞ」
ゴドメス兵「コ、コスモ秘帖……」
割とあっさり兵士が口を割ろうとした瞬間、ビックラジィーが大きな石を放り投げ、その兵士の頭にぶつけて気絶させて口を封じる。
バンノ「何をするんだ」
ビックラジィー「すいません、隊長さんが危ないと思って……」
バンノ「バカヤロウ! ……まぁいいだろう、奴らの目的は分かった」
再び21世紀。
可憐な花の咲き乱れる草原で、ゴウたちは根気よくアルタシヤの記憶を呼び起こそうと努力していた。

テツ「君の名はアルタシヤ、君のお母さんはテレサ星の女王で、君の星は悪いゴドメスに攻撃されたんだ。君はロボットのビックラジィーと共にこの星に逃げてきたんだ」
アルタシヤ「ビックラジィー?」
ゴウ「アルタシヤ、君がテレサ星の王女のしるしだ」
ゴウ、柄にもなく花輪を作って、アルタシヤの頭に乗せてやる。

アルタシヤ「似合うかしら?」
アルタシヤ、めっちゃ可愛い……。
管理人は大体この辺りで、アルタシヤに魂を抜かれましたね、ええ。
アルタシヤ、川べりにしゃがんで、水面に自分の姿を映して見とれていたが、あのゴドメス兵が背後から自分を見ているのに気付き、悲鳴を上げて走り出し、森の中へ入り込む。ゴドメス兵士たちもそれを追う。

ローブのような衣装をひらひらさせて疾走するアルタシヤ。
もしや下着が見えているのではと、念の為コマ送りしてみましたが、見えませんでした。ああ、良かった。
ゴウとテツも急いで彼らの後を追いかけ、アルタシヤを襲っているゴドメス兵士たちを倒す。
が、そのショックで気絶したアルタシヤが目を覚ますと、今度こそ完全に記憶を取り戻しているのだった。

白亜紀では、バンノがモリィをこっそり呼び出し、内密の話をしていた。
モリィ「な、なんですか、隊長」
バンノ「俺たちの中にスパイがいるんだ」
モリィ「そ、そんな馬鹿な」
バンノ「どうも腑に落ちんことがある。考えても見ろ、何故コスモ秘帖が21世紀にあることを奴らが知ってるんだ?」
モリィ「そう言えば、そうですな」
バンノ「あいつだよ、スパイしてるんだよ、あいつが、ロボットが臭いんだ」
バンノはモリィにビックラジィーの動きを監視するよう命じる。

そこへ長官から通信が入る。
長官「間もなくアルタシヤがここへやってくる。コスモ秘帖の謎が解けるのももうすぐだ」
バンノ「ほんとですーかっ! あっはっはっ、おい……」
モリィ「はっはっはっはっはは」
ビックラジィーに聞かせるようにわざと大声を出して、その様子を窺うと、ビックラジィーはいそいそと何処かへ行ってしまう。モリィがすかさずその後をつける。
長官「どうしたんだ、バンノ君?」
バンノ「は、実はそのう……」
バンノがビックラジィーのことを長官に話したことが、また別の問題を生み出すことになる。
ビックラジィーは、駐屯地のすぐ近くでゴドメス兵と会っていた。
そこをばっちりモリィに目撃されるが、そのモリィも他のゴドメス兵に見付かり、戦いになる。

ビックラジィーはガルムスに戻ろうとするが、駆けつけたバンノに後頭部を撃たれ、ダウンする。

時空管理局に、ゴウ、テツ、アルタシヤが戻ってくる。
ゴウ「アルタシヤを連れてただいま戻りました」
テツ「長官、一刻も早くアルタシヤにコスモ秘帖の解読を!」
長官「……」
長官、何故か不機嫌そうに黙りこくっていたが、やがて口を開く。

長官「……ところで、ビックラジィーと言うロボットはあなたのお仲間でしたな」
アルタシヤ「はい」
長官「バンノ君からの報告によればそのロボットがゴドメスのスパイだったということが分かりました」
アルタシヤ「まさか!」
長官「ま、念の為にお知らせしたまでです。早速コスモ秘帖の謎を解いていただきましょう」
だが、長官の申し出に対し、

アルタシヤ「お断りします」
長官「な、なんですとっ」
アルタシヤ「じいは、はるばるテレサ星からあたしとコスモ秘帖を守ってやってきたのです。そのじいがゴドメスのスパイなどと、あたしには信じられません。じいをスパイなどと呼ぶ、あなたがたを信じるわけには参りません。コスモ秘帖をお返しください!」
一難去ってまた一難、アルタシヤはたちまち態度を硬化させ、協力を拒絶してしまうのだった。
うーむ、これまた実に良く出来たシナリオだよね。なかなか謎が解けない、このもどかしさが、ストーリーを益々盛り上げてくれるのだ。
そして今回も、コセイダーは登場しなかった。
はっきり言って、コセイダーが登場しなくてもドラマは成立しているし、正直、いない方が面白いかも?
「特撮番組にはスーパーヒーローが欠かせない」と言う固定概念を、このドラマは見事にぶっ壊してくれているように思えるのだ(無論、スーパーヒーローの出てこない特撮ドラマはいくつもあるけどね)。
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