第35話「必殺!タロウ怒りの一撃!」(1973年11月30日)
いつものように都内をパトロールしていた光太郎であったが、ひっきりなしに車の行き交う道の真ん中をうろうろしていた野良犬を助けようと、いきなり歩道から飛び出してきた少女を、もう少しで轢いてしまうところであった。
血相変えて車から出てきて、犬を抱いて蹲っている少女を叱る光太郎。

光太郎「君、危ないじゃないか!」
まち子「お兄ちゃん!」
……が、その女の子がこんな↑顔だったので、管理人のテンションは急降下するのだった。

光太郎「この犬は君の犬かい?」
まち子「ううん……似てるわぁ、私のお兄ちゃんは犬を助けようとして死んだのよ」
光太郎「君だってもう少しで命をなくすところだったよ」
まち子「だってぇ、お兄ちゃんが言ったのよ、どんな小さな虫にだって生き物にはみんな命があるって……」
光太郎「うん、その通りだ。でも今はほんとに危なかったぞ!」
光太郎はくれぐれも危ない真似はしないようにとまち子に言い聞かせると、再び車に乗り込む。
光太郎「僕の名前は東光太郎って言うんだ、さようならーっ」
まち子「さようならーっ……死んだお兄ちゃんと同じ名前だわ」
光太郎の車を見送りながら、縁起でもないことをつぶやくまち子だった。
その直後、光太郎を後ろから追い抜いていく車の運転席で、異形の怪物がハンドルを握っているのを目撃し、光太郎は「あっ、宇宙人だ!」と叫ぶ。

確かに宇宙人以外の何者でもなかった……。

ここから、特撮番組では珍しい、本格的なカーチェイスが行われる。
しかし、あんな着ぐるみを被ったままでのカースタントって、大変だろうなぁ。

宇宙人の車はぐるっと回って最初の場所に戻ってくるが、そこでハンドル操作を誤り、ガードレールをぶち破って空き地へ突っ込み、激しく爆発、炎上する。
炎上している車のそばにさっきの女の子が気を失って倒れているのに気付き、光太郎は慌てて抱きかかえ、ZATの病院へ担ぎ込む。

医者「外傷に比べてこの子の肉体的疲労が激し過ぎますな。つまり、この程度の怪我でこんなにうなされるほどの状態にはならないと言うことです。まるで
この子の中に別人が住んでるような症状ですね」
どんな症状やねん。 しかし、この台詞はほとんどネタばらしに近いよね。「新マン」のあの有名なエピソードがすぐ思い出されるが……。
光太郎「それで、この子の命は?」
医者「さぁ?」 光太郎「さぁ? じゃねえだろ! てめえ真面目にやらんとぶっ殺すぞ!」 医者「ヒィーーーッ!」
途中から嘘であるが、例によってこんな場合の医者がクソの役にも立たないことは事実である。
ついでに、この看護婦さんがなかなか美人なのである。
医者と看護婦が退室した後、まち子は苦しい息の中から、「私、セブンのお人形が欲しいわ」とねだる。
光太郎「セブンの人形が?」
まち子「うん、セブン……セブン……」
うわごとのように、光太郎の兄でもあるセブンの名を繰り返し呼ぶまち子。

光太郎はすぐデパートの、ソフビ人形が山積みになっている玩具コーナーへ直行する。
今となってはまさに宝の山だね……。

光太郎「これ下さい!
タダで」
それをまち子のところへ持って行こうと運河沿いの道をテクテク歩いている光太郎……あたりはすっかり闇に包まれている。
その背後から音もなく忍び寄る車、ハッとして振り返れば、運転席にはあの宇宙人の不気味な姿があった。
光太郎、なんとか車をよけるが、右手を負傷してしまう。

それでも病院まで行ってまち子の枕元にセブン人形を置き、ついでに右手の手当てをして貰い、ZAT本部に戻った光太郎、二度の襲撃事件について、他の隊員たちと話している。
今回は、久しぶりに朝日奈隊長が現場に出ている。代わりに、荒垣副長の姿がない。
南原「東、昼間の宇宙人じゃないのか?」
北島「俺もそう思ってたところなんだよ」
と、電話のベルがけたたましく鳴り、

森山「はい、ZAT本部です」
愛しの森山いずみ隊員が受話器を取る。

森山「はい、東ですね、お待ち下さい」

森山「病院からよ」
あまりに森山隊員が美しいので、顔の角度が変わるたびにいちいち画像を貼らざるを得ない管理人であった。
光太郎「はい、東ですが……はい、はい、分かりました」
電話はあの医者からで、まち子が光太郎の名を呼び続けているとのことで、出来ればまち子のそばにいてやってくれないかと言う要請であった。
人情味溢れる隊長は「すっかり気に入られちまったようだな」と、快くそれを許す。

北島「良いんですか、あんな体で?」
朝日奈「東だって立派なZATの隊員だよ、とにかく、宇宙人発見に全力を挙げることだ」
ZAT基地のデザインを考えた人は天才じゃないかと思うのは、こうやって話している間にも、背後の螺旋階段をミニスカのすらりとしたエキストラ女性隊員が降りてくるのが見えることである。
雰囲気はアットホームだし、ほんと、就職するならZATに限りますな。
(第二候補はUGMかな)

隊員がヘルメットを掴んで出動しようとするが、不意に朝日奈が「森山君」と呼び止める。
森山「はいっ!」

森山「なんでしょうか?」
朝日奈「君ぃー、女の子だよねえ」
森山「えっ?」
朝日奈「へっ? あ、いやいや、どうだろうねえ、あの年頃の女の子だったらウルトラマン人形とフランス人形とどっちを欲しがるんだろうねえ」
森山「うふ、それはフランス人形ですわ……でも、何故ですか」
朝日奈「はっ、いや、なんでもない。行きたまえ」
森山隊員は怪訝な顔で頷くと、作戦室を出て行く。
朝日奈隊長の許可を得て、光太郎がまち子の病室へ見舞いに行く。
ふと見れば、床にセブンの人形がバラバラになって散らばっているではないか。

ギョッとしてそれを拾い上げ、ついで、まち子を見れば、まち子がいかにも悪意ありげな目付きでこちらを窺っているではないか。
もっとも、それだけですぐ、まち子があの暴走宇宙人に憑依されているとまでは気付かない。

光太郎「まち子ちゃん、この人形は?」
まち子「私の知らない間に壊されちゃったの……折角お兄ちゃんに買って貰ったのに」
下手な言い訳を並べるまち子だったが、光太郎はパッと明るい顔になって「そうかー」と露ほども怪しまない。また新しいのを買ってきてやるというと、
まち子「だったら今度はAが欲しいわ、兄ちゃんと私が一緒になったみたいな……」
光太郎「ああ、さぁ、安心してお休み」

が、今度も頼まれた人形を手に病院へ向かう途中、工事現場から資材などがガラガラ落ちてきて、光太郎が下敷きになるという事件が発生する。

そして、気を失った光太郎に、ナイフを持った子供のような手が近付いて、頭の上で振りかざす……。
が、ちょうど朝日奈と森山隊員の乗ったZATの車が駆けつけた為、間一髪、光太郎は殺されずに済む。
光太郎、自分もまち子と同じ病院に入院する羽目になる。
朝日奈は、光太郎に代わってAの人形をまち子のところへ持って行くが、部屋に入ると、まち子の姿はベッドにはなく、床には付き添いをしていた森山隊員が倒れていた。

朝日奈「森山君! 森山君!」
森山「……あ、たいひょう! いきなり首を絞められて……」
朝日奈にアゴをぶにゅっとされた森山隊員が可愛いのである!
朝日奈「東が危ない、あの少女は宇宙人なんだ!」

その頃、ベランダ伝いにまち子が窓から光太郎の病室へ入ってくる。
光太郎「そうか、歩けるようになったんだね」
まち子「光太郎さんって優しいのね、わたし、欲しいものがあるんだけどなぁ」
光太郎「いいとも、まち子ちゃんの全快祝いにプレゼントしよう」
まち子「ほんとー、嬉しいわー」
光太郎と会話しながら、さりげなくドアの前に移動し、後ろ手にロックをかける。
まち子「私、この地球が欲しいわ」
光太郎「え」
まち子「地球よ!」

ここで、まち子が宇宙人の声で「ふふふふふ」と笑い出し、幽霊めいた照明も当てられて、その正体が明らかになる。
光太郎「君は誰だ」
カタン「私はカタン星人だ。タロウを倒してこの地球を手に入れる」
光太郎「よくも騙したな!」
カタン「そうではない、私はこの少女を借りただけだ」
激昂する光太郎に、わざわざ「この女の子は悪くないのだよ」と説明してくれるカタン星人、割と良い奴。
ストーリーも、「新マン」のように、子供に乗り移った宇宙人をヒーローが倒そうとして、そうと知らない周りの人たちがヒーローをキチガイ扱いすると言うような陰鬱な展開にはならないのが、いかにも「タロウ」らしい明朗さである。

カタン星人はまち子の体を捨て、その本来の姿を現わす。
光太郎、枕元のホルスターから銃を取ろうとするが、素早くカタン星人が目潰し光線を放って、その視力を奪う。
カタン「苦しむが良い、今までお前の倒した怪獣の苦しみを知るが良い。邪魔の入らぬ間にお前の命は貰うー」

カタン星人、目の見えない光太郎の首を絞めて殺そうとするが、今度もまた朝日奈と森山コンビに阻止される。
朝日奈「待て、宇宙人」
カタン「撃てるものなら撃つが良い、その代わり、少女の命はないぞ」
朝日奈「そうか、やっぱり貴様は少女の体を借りていたのか」
色々あって、その後、例によってカタン星人が巨大化する。

カタン星人が右手から炎を噴射し、

わらぶきの民家を焼き払う迫力のショット。
相変わらず、この民家のディティールとか、凄まじい作り込みである。燃やすのが勿体無い。

光太郎「森山君、まち子ちゃんを連れて早く逃げるんだ」
森山「東さんは」
光太郎「僕は良い、僕の為に君たち二人の命が危険に晒されている」

森山「いけないわ、私だってZATの隊員よ、最後の最後まで諦めないわ」

光太郎「やめろっ! それよりもまち子ちゃんを……森山君、この子は自分の命も顧みずに子犬の命を救ったんだ。僕たちZATもそれと同じだ。君も僕もZATじゃないか、今、ZATの隊員が一番しなければならないことをまずやるんだ!」
森山「東さん、あなたは」
光太郎「大丈夫、心配しないでくれ」
なんとなく噛み合ってない会話であったが、とにかく光太郎は森山隊員を説き伏せ、まち子を安全な場所へ連れて行かせる。
しかし、冷静に考えて、森山隊員が目の見えない光太郎を残して行くと言うのは明らかに変である。
おまけに、病院から走り出た森山隊員たちは、かえってカタン星人の格好の標的になってしまい、走っているとボンボン周囲で爆発が起きると言う状況になる。
なお、今回危うく見逃すところであったが、

まち子の体を抱き締めるように守っている森山隊員が前屈みになった時、森山隊員初めてのパン チラが炸裂する!
もっとも、生パンツと言うより、ブルマのような感じなのだが……(変態の)管理人としては大満足。

直後、激しい爆発が至近距離で起こる。
森山隊員が、こんな危険な目に遭ったのはこれが初めてだろう。
松谷紀代子さんも、こんな撮影は初めてではなかっただろうか?

一方、光太郎は見えない目でなんとか階段を伝って一階に降りると、放置してあったストレッチャーに乗って、それごと玄関の窓に向かって突進しながら、「タロウーっ!」と叫ぶ。
光太郎、窓ガラスを突き破ると同時にタロウに変身する。
変身して、光太郎の視力は回復したのだが、タロウになってから再び目潰し光線を浴びてしまい、同じ状態になる。

カタン星人の火炎攻撃は凄まじく、あたり一面を火の海に変えてしまう。
34話もそうだったが、「タロウ」における火炎のミニチュアワークスは実に素晴らしい。

朝日奈はタロウが目が見えないことに気付き、隊員たちに命じて鈴のついた首輪を、カタン星人の首にすっぽり嵌めて、その音を頼りに攻撃するようタロウをサポートする。
この、戦闘機の下部から首輪と鈴が出てきて星人の首に嵌まるまでの細かい操演が、これまた神業なのだが、管理人ももうだいぶ疲れたので、画像は省略することにする。

鈴の音で星人の位置を把握すると、
タロウ「ウルトラダイナマイト!」
今まで見せたことのない技を出す。
それは体中から文字通り怒りの炎を発し、

フラッシュを焚きながら相手に体当たりし、

密着した状態で大爆発を起こし、星人もろとも自爆……しているようにしか見えないのだが、煙が晴れると、そこにタロウの雄姿がすっくと立っているのだった。
ラスト、公園で遊んでいるまち子に、今度はタロウの人形をプレゼントする光太郎であった。
……しかし、結局まち子の両親も出てこず、犬を助けようとして死んだという兄のことも、終わってみればストーリーとはあまり関係がないままで、消化不良のシナリオであった。
まぁ、自分としては、森山隊員の出番が多くて画像をたくさん貼れたので、何かをやり遂げたという達成感に浸っているところなのである。
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