第40話「死斗!怪人スノーマン対二人のライダー」(1972年1月1日)
今回紹介する第40話は、1月1日に放送されている。今では考えられないことだが、第4シリーズの開始、そして新たな大幹部・死神博士の登場、加えて1号ライダー本郷猛の復帰と言う、節目のエピソードにはふさわしい放送日だったと言えるだろう。
新年を迎えたスイスとイタリアの国境地帯、アルプス連峰の麓にある山小屋。

ミカ「さて、今年の運勢は如何に? だなぁ」
エミ「私のほうは暗号解読始め!」
ミカ「不吉なカード……」
エミ「ミカのトランプ占いはまぁず当たらない」
ミカ「あら失礼ね、本郷さんは私の占いはようく当たるって言ったわぁ」
テーブルに並んで腰掛けて何やら話しているのが、新ライダーガールのエミ(高見エミリー)とミカ(杉林陽子)である。
そう言えば、山本リンダさんも38話でお役御免となって、39話は遂にユリひとりになってたんだよね。
と、すぐ近くの雪山が噴火して、雪崩が起きてぐんぐんこちらに向かってくるではないか。
二人は他のスキー客と一緒に急いで脱出して事なきを得る。
その頃、ヨーロッパ各地では同様の災害が頻発していたが、勿論それは、
この方たちの仕業だった。チーン。
新年早々ご苦労様です!
首領「おめでとう、
実験は大成功だ」(あ、なんかしょっちゅう耳にする台詞だ……)
死神「偉大なるショッカー首領と世界制服の為に、乾杯!」
戦闘員「イーッ!」

首領「死神博士とショッカースイス支部の為に乾杯だ」
死神「いやその乾杯はショッカーにとって最大の難関である日本を占領するまでご辞退しよう」
首領にも劣らぬ貫禄の持ち主、新たなショッカーの大幹部として降臨したのは言うまでもなく死神博士その人であった。
嵌まり過ぎるくらい役に嵌まっているのは天本英世さん。当事、45歳(この翌日の2日が46歳の誕生日)。

死神「日本は世界でも指折りの火山地帯。その火山のマグマを動かして火山帯を次々と爆発させ混乱させるのです」
首領「その第一の目標は?」
死神「まず九州の南部、霧島と桜島の間に地下トンネルを掘って霧島火山帯を爆発させるのです!」
地図を使ってわかりやすく作戦について説明する死神博士。
口ほどにもなく敗退したゾル大佐に比べて、いかにも頼もしげな風貌に、首領も内心大いに期待を寄せる。
が、その直後、
戦闘員「大変です、日本征服計画書が盗まれました!」 死神「バカモノ! 逃がすな、殺してしまえ!」
首領(こいつもダメそうだ……) いきなり出鼻を挫かれて、新年から早くも、死神博士の行く手には暗雲が立ち込めているようであった。
しかも、

それを盗んだのがさっきの女の子二人だったと言う驚愕の事実が判明する。
おまけに、

ミカがいつも持っている大きなトランプを手裏剣のように投げると、

それが頭に突き刺さって死亡する戦闘員が出る始末。
戦闘員の妻「パパはね、女の子の投げたトランプが刺さって亡くなったのよ」
戦闘員の息子「ダサっ!」
さらに、いかにもどん臭いエミの空手にまったく太刀打ちできないと言う情けない奴もいる。
二人だけでも余裕で彼らを撃退できたと思われるが、そこへ仮面ライダーがサイクロンで助けに来る。
勿論、隼人の2号ではなく、本郷猛の1号である。

ライダー「乗るんだ! ……って、
二人も乗るなーっ!」
ミカ&エミ(いや、あんたが乗れって言うから……)
じゃなくて、
ライダー「乗るんだ! しっかり掴まってるんだ!」
しかし、バイクの後ろに成人女性が二人も乗ってる姿なんて、あまり見たことはない図である。
もっとも、実際にそのスタイルで走り出すことはなく、スノーマンと言う怪人が襲ってきたので結局二人は走って逃げるのだった。

ライダー「貴様もショッカーの改造人間か?」

スノーマン「ヒマラヤの雪男を改造した、スノーマンだ!」
ライダー「えっ、雪男ってほんとにいたのか?」 変なところに食いつくライダーであった(嘘です)。
どうでもいいことだが、ここアルプスなんすけどね……。
それに、改造された当人が「~を改造した」なんて言います?
仮面ライダーが「本郷猛を改造した仮面ライダーだ」なんて言わないでしょ。
などと細かいツッコミをしていると日が暮れてしまうので、話を進める。
スノーマンはかなりの強敵で、ライダーキックをまともに受けても何のリアクションも示さない。
ライダー、逆に崖上から投げ落とされ、(偽装の?)爆発を起こす。
幸い、スノーマンはライダーが死んだものと思い込み、さっさと帰ってしまったので命は助かる。

爆煙が風に払われた後には、人間に戻った本郷猛の姿があった。
うつ伏せの状態からゆっくり立ち上がるのだが、まだこの時点では第1クール途中で大怪我をした藤岡さんの左足は完治しておらず、鉄の棒が入ったままだったと言うのは有名な逸話である。
それをふまえて見ると、立ち上がる時、左足を曲げないようにしているようにも見える。
……と言うより、撮影時、左足の神経が麻痺して感覚がなかったそうである。
医者からは、もし撮影中に棒が曲がったら一生歩けなくなると警告されていたそうで、それを覚悟の上での出演したと言う藤岡さんの役者魂に、心が熱くなる管理人であった。

猛「このままでは勝ち目がない。スノーマンか、恐るべき改造人間だ」
立ち上がり、素直に相手の強さを認める猛。
バンク映像ではない映像で本郷猛が視聴者の前に現れるのは、実に10話以来のことになるのかな?
久しぶりなので、一応ナレーションによって簡単な説明が入る。
ナレ「諸君はこの青年を記憶しているだろうか。そうかつて仮面ライダー第1号としてショッカーと戦った本郷猛だ、彼は仮面ライダー2号である一文字隼人に日本の守りを任してショッカーのヨーロッパでの破壊活動と戦っていたのである」
ちなみに仮面ライダー1号とか2号とか言うナンバリングによる呼称は、この40話から(厳密には39話の予告から)なんだよね。それまでは、どちらも単に仮面ライダーと呼ばれていた筈だ。

その後、助手であるエミとミカと合流する。
ミカ「私たち、仮面ライダーに助けられたのよ」
エミ「大変よ、ショッカーの大攻撃が始まるの、これがその秘密の書類よ」
例によって秘密主義のライダーは、二人にも自分の正体を隠して活動しているらしい。
猛は、二人に日本へ行き、一文字隼人に書類を届けてくれるよう頼む。
なお、とても残念なことに、猛を追って日本を離れた筈のルリ子さんについては全く言及されない。

職員「おい、岡田、見てくれ」
さて死神博士が狙っている日本の桜島観測所では、職員の一人が地震計の異常な揺れを見て驚きの声を上げていた。
ちなみにこの職員を演じているのは、怪人の声もやってる池水通洋さん……だと思う。

その声に、すぐ岡田と言う職員も顔を見せるのだが……、
なんでわざわざ似たような顔の人をキャスティングするの? 職員「桜島がまた大噴火を起こすかも知れん」
次のシーンでは、ミカたちとおやっさんたちが出会うシーンをすっ飛ばして、みんなで一緒にカーフェリー・セントポーリアに乗り込む場面になる。
そのフェリーは川崎から日向まで25時間(!)で航行するのだ。
今では考えられないのんびりした旅行である。

立花「確かに隼人と滝はこの船に乗ってる筈なんだがなぁ」
ユリ「船客名簿には載ってないのよー」
五郎「じゃあ帰ろうか」
ユリ「馬鹿ねー、もう船は動いちゃってるのよ」
死神博士の九州での計画を知った彼らは、隼人たちと一緒にこのフェリーに乗り込んだのだが、肝心の隼人たちの姿が見当たらず、弱っていた。

五郎「泳いで帰る訳にもいかないし、そうだ、九州まで観光旅行としゃれこもうかー」
立花「全く、子供は無責任でいいや……」
紋付袴姿の癖に「俺たちは遊びに来てるんじゃないぞ!」的な雰囲気を漂わせようとするおやっさん。
フェリーには死神博士も乗っていて、鋭い目を光らせてエミたちの動向を監視していた。
その後、ユリと五郎は船室をひとつひとつ片っ端から訪ね歩いて隼人たちを探し出そうとする。
そして、最後に貴賓室と書かれた部屋に辿り着くが、

死神「何か、御用かな?」
そこにはいかにも気味悪げな男性がひとり佇んでいた。

ユリ「すいません、部屋を間違えたんです」
五郎「いやー、良い天気ですね……」
二人は慌てて退散する。
でも、死神博士が貴賓室に乗ってると言うのは、いかにもふさわしい感じがするよね。
で、肝心の隼人たちは貴賓室の近くの部屋に、船員に扮装して潜んでいた。
彼らはショッカーの目をかすめて、エミたちから作戦計画書を受け取ろうと考えているのだ。
……って、二人がレーシングクラブに来た時に普通に受け取れば良かったのでは?

その後、死神博士はバスルームに隠れている(気の毒に……)スノーマンを呼び出す。
スノーマン「死神博士、この船を沈めてしまいますか?」
死神「いや、ワシも乗ってるから……」 じゃなくて、
死神「待て、お前の任務は第一に我がショッカーの秘密書類を奪い返すことだ」
スノーマン「ぬーわぁああーっ!」
でも、秘密書類の内容は既に彼らに読まれているのだから、今更取り返すことに何の意味があるのだろう? それに、自分たちは百も承知の計画なんだから、わざわざ奪い返さなくても、彼らもろとも破棄してしまえば済む話である。
つまり、スノーマンが最初に言った「船を沈めますか」と言う行動こそ、ベストの方針だったのではないだろうか?

ラウンジで、得意のトランプ占いをしているミカ。
エミ「スペードのA」
五郎「どうしたの?」
ミカ「なんだか気になるわ、今度の旅……」

と、窓際に座っているおやっさんの背後に、あのスノーマンが現れる。
覗き見るとか、そんななまやさしい感じじゃなくて、ガン見しているのだが、誰もそれに気付かない。

エミ「これを隼人さんに渡すまでは気になって夜も眠れないわ」
ユリ「私が預かってあげる」
エミ「でも……」
ユリ「あら、信用しないの、あなたがたが本郷猛の助手なら私も一文字隼人の助手よ」
そう言われて、エミはユリに書類を預ける。
無論、その様子はばっちりスノーマンに見られていた。

その夜、右舷デッキから夜の海を眺めている三人娘。
ミカ「あー、なんだか眠くなってきちゃった」
エミ「ふぁー、私もよー」
ユリ「良いわよ、先に休んでも」
あくびを連発するヨーロッパ組の二人。
普通なら「時差ボケね」みたいな台詞が飛び出すシーンである。

ひとり残ったユリを、船に潜り込んでいる戦闘員が襲おうとするが、隼人に邪魔され、逆に捕まって尋問される。
隼人「何故あの女を狙ったんだ? 言うんだ?」
戦闘員「言うもんか……」
弱弱しい声で、しかしきっぱりと拒絶する立派な戦闘員であったが、次の瞬間、仲間の投げたナイフが突き刺さってあっさり死亡する。口封じである。
戦闘員、何をやらせてもダメだが、こういうことだけはきちんとやり遂げるんだよね。

滝はフェリーから降りる直前にやっとおやっさんたちと合流し、日向港からえびの高原のホテルへ直行する。
どう考えても観光に来てるよな、こいつら……。

滝、階段のところでユリとすれ違うが、驚いて振り返る。
滝「うぇっ、どうしたんだ、その格好は?」

ユリ「うふふっ、着慣れないもんてダメね、取り替えちゃった」
滝「へーっ、一体誰と?」
いや、「誰と?」じゃないでしょーっ?(管理人の魂の叫び)
一方、ユリの着物を着たエミと、ミカは、ホテルの近くの松林を散策していた。

エミ「似合うでしょーっ?」
そこには、えびの高原周辺の観光名所の写真パネルが嵌め込まれたドーム状の装置がいくつも置かれていた。
当事、実際にあった観光用のアイテムなのだろうか?
しかし、現地に来てるのにわざわざそんなもん見る奴いるかね?

エミ「うん、とっても可愛いわよ、あー、私もエミみたいなジーパンにすればよかった」
白いセーターに包まれた胸の膨らみがまぶしいミカ。
管理人、割とミカが好みのタイプだが(知るか)、1クールで退場してしまうのが残念である。

そう言ってから何気なくパネルを覗き込むと、

その向こうからスノーマンがにょにょにょとせり出してくる。
ミカ「キャアッ!」
エミ「どうしたの、ミカちゃん」
戦闘員も出てきて、ミカを殴って気絶させると、エミだけ担いで連れて行く。

すぐに五郎が駆けつけ、ミカを揺り起こす。
五郎「ミカ姉さん、お姉さん!」
ミカ「あ、五郎ちゃん、エミが、エミがいないわ。ショッカーが!」
エミとミカ、どっちもなかなかふくよかで安産体型なんだよね。女性のお尻はでかいに限りますね!

スノーマン、意気揚々と死神博士のところへエミを連れてくるが、
死神「殺せ、この女を」
スノーマン「しかし、この女を囮にするのでは」
死神「よく見ろ、着ているものは一文字の連れの女と同じだが、顔は違う」
スノーマン、エミを殺して、ユリを連れて来ますと申し出る。
しかし、このやりとり、おかしくない?
さっきの流れからすると、スノーマンは着物姿のユリが計画書を持ってると考えたからこそ着物姿のエミを拉致したのだろう? だとすれば、何をおいてもまず計画書を見付け出そうとする筈なのに、ここでは計画書の「け」の字も出てこない。
それに、囮にするのなら、別にユリじゃなくてもエミでも同じことだろう。
彼らは、隼人が「俺の助手じゃないからどうなっても知らないよー」などと抜かす薄情な男だとでも思っているのだろうか?
スノーマン、わざわざ蒸気の吹き上げる岩山に行き、高いところからエミを放り投げて殺そうとする。

が、真下に滝が潜んでいて、エミの体を無事にキャッチする。
滝「人違いだからって殺す手はなかろう!」
しかし、なんで滝は彼らの先回りをすることが出来たのだ? この時点では彼らの潜伏先すら知らない筈なのに。

すぐ、ユリと、おっぱいをゆさゆささせながらミカが駆けつける。

スノーマン「FBIの若造め、かかれーっ!」
滝は女の子たちを避難させると、降りてきた三人の戦闘員をゴミでも片付けるように片付ける。
隼人「スノォマン!」

ドスの利いた声が横から飛んできて、カメラがそちらにパンすると、
隼人「お前の目当てはここだ!」
滝「隼人!」
いつの間にか岩の上に隼人が立っているというのが、実にカッコイイ。
隼人「この九州で何を企んでいるのか知らんが、お前たちに勝手な真似はさせない!」
スノーマン「一文字隼人、俺が相手だ」

隼人「変身!」
ほら、そこの僕、遠慮してないで背後から襲いかからないとダメでしょー? ショッカーって、あれだけ何度も戦っていながらライダーが変身ポーズを取っている瞬間が攻撃の最大のチャンスだと言うことには決して気付かない、いや、気付こうとしないのである。
何故なら、そんなことをするとアクション監督に叱られるからである。

2号「スノーマン、貴様の計画はある人物を通じて既に筒抜けなんだ」
スノーマン「仮面ライダー、その為に、まず貴様を殺す! それが死神博士の作戦なのだ」
2号「死神博士? 新しいショッカーの指揮官か」
隼人、さっき「何を企んでるのか知らんが」とか言ってませんでしたっけ?
いつの間にか、計画書の争奪も、どっかに行っちゃってるしなぁ……。
とにかく、スノーマンに苦戦する2号であったが、そこへ予想されたように1号が応援にやってくる。

で、Wライダー初めての共同作業……二人がかりでひとりの怪人を攻撃すると言う、言葉にしたらかなりみっともないシーンが展開される。

最後は一緒にジャンプして、

これも本邦初公開となる、ライダーWキックが炸裂する。

強敵を撃破した後、がっちり手を握るWライダー。二人(と言ってもスーツアクターだが)が劇中で会うのはこれが初めてだが、無論、設定では旧知の間柄と言うことになっている。
猛「隼人」
隼人「本郷! 死神と言う指揮者がいる限り、また九州は狙われるな」
猛「うん、俺も協力するぞ」
……ところで、滝は何処行ったの? ラスト、隼人と猛がバイクで併走するシーンを映しつつ、41話に続くのであった。
- 関連記事
-
スポンサーサイト