第20話「唯、絶叫!礼亜・壮烈な死」(1987年3月26日)
19話で、影の草としての運命を拒絶して逃亡を図り、三姉妹に助けられた田島康男は、去り際、東野成美と言う名前を告げ、彼女をマークすれば影の首領・翔に会えるだろうと言い残した。
それに続く20話では、東野成美なる女性を見付け出して、翔に近付こうとする唯たちの活躍、そして三姉妹を影ながらサポートしてきた礼亜の最期が描かれることになる。
どうでもいいけど、サブタイトルでネタバレするのやめてくれないかなぁ。
その最低の例↓

Gモンスター「……え、俺、死ぬの?」
プロフェッサー・ドク「みたいですね」
「スカイライダー」第17話より

今回がラストと言うことで、冒頭から、珍しく二人きりでプライベートな会話を交わしている礼亜と唯。
礼亜「もう何年も夕暮れを眺めることなんて忘れてたわ……毎日、日は昇り、落ちてるのにね」
唯「礼亜さんがそんげなこち言うの初めち聞いた……こんだけ一緒におっても、わち礼亜さんのこと何も知らんとよね。風魔に生まれて、いつ自分の運命を知ったと?」
礼亜「8才になった時……(以下略)」

礼亜は風魔の子として生まれたからこそ、唯たちに出会えたのだと、自分の運命を前向きに捉えていた。
礼亜「たくさんの人たちが笑ったり泣いたりして、懸命に街に生きてる。そんな人たちの幸せをそっと見詰めるの……誰にもこの世界を壊させたくない! すべては翔とあなたをめぐって動き出したわ。結花と由真は東野成美と言う影の草として生きる少女を追ってる。東野成美は必ず翔と言う謎の人物と接触する筈……唯、あなたは成美と言う少女の心の扉を開いて翔の謎を解くことになるわ。その時、私の運命も……」
礼亜、予知能力でもあるのか、
台本を読んだのか、先の展開を見通すようにつぶやくのだった。
さて、結花と由真は、とある警察署から放免されて出てきた東野成美と言う不良少女の前ににこやかに立って、
結花「東野成美さんね、私たち、康男君の友達よ。心配しなくて良いわ」
何気なく成美の腕に手をかけた結花だったが、成美はいきなりその手を掴むと、思いっきり噛み付く。
それをやめさせようとする由真の頭と腹に鋭い頭突きを入れて、無言で駆け出す成美。

途中、振り向いてこちらを睨み付けた眼差しには、百戦錬磨のスケバン二人をその場に釘付けにする威圧感があった。
成美に逃げられた後、三姉妹はいつもの忍者ルームで般若、礼亜と会っている。
礼亜「東野成美、幼くして父が死亡した後、母は蒸発、養護院で育てられる。そこで成美の草としての血を知った影が接触した模様……」
般若「成美の心の中には凄まじいほどの人への憎しみが渦巻いている。自分を受け入れてくれなかった世の中への憎悪、それが成美を草とさせたのだ」
由真「確かにゾッとさせられたよ、あの目には」
唯「じゃけど、憎むっちゅうことが出来ることは感情があるってことじゃろう、じゃったら愛することも出来る筈じゃ」
結花「唯の言う通りよ、自分たちを逃がしてくれたのは成美だって、康男君が言ってたわ、もしそれが本当だったら……」

……と言う訳で、唯が成美に近付いて、その心を開かせようとする様子が、「シャドウハンター」をBGMにしたイメージ的なシーンで描かれる。
勿論、そう簡単に成美が唯のことを受けて入れてくれる筈もない。

深夜、自殺でもするつもりなのか、成美がレールをベッド代わりにして横たわっていると、その近くに唯も体を横たえる。

やがて、近くの踏み切りの警報が鳴り響いて、一台の列車が唯の寝ている方から接近してくる。
だが、唯は本当に眠ったように身動きひとつしない。
成美(どうせこいつは逃げるに決まってる。カッコだけに決まってる……)

その様子を、結花と由真も物陰から見詰めていた。
由真「姉貴、とめよーよ、あいつドッカンだから電車に轢かれたらどうなるか分かってないんだよ」
結花「まさか、それじゃドッカン通り越してズッコンじゃない!」
由真「……こんな時に冗談言ってる場合かよ」

二人が漫才をしているうちにも、電車のライトがすぐそばまで迫ってくる。
これは実際に女優が寝ているレールの上を電車を走らせてるんだよね。すげ。
その分、スピードはかなり抑え目なので、いまひとつスリルに乏しいが。
結花「轢かれる!」
さすがにシャレにならないと、二人が飛び出す。

成美「ちくしょう!」
ほぼ同時に、成美が一声叫ぶと、唯の体を抱えて電車をぎりぎりでかわす。
唯「やっぱり助けてくれたんじゃね」
成美「誰だ、お前は?」
唯「成美さん、あんたほんとは優しい人じゃ。だから康男さんたちを助けたんじゃろ」
成美「ううーっ!」
不良少女と言うより、野獣少女と言ったほうがピッタリ来る成美、いきなり唯の首を絞める。
唯「……いくらでも絞めればええ、じゃけんど、あんたは影にはなれん。優しいもん。人を愛したくてたまらん人じゃ。康男さんも令子さんも元気じゃ……もうひとりぼっちはいいじゃろ!」

唯の言葉を聞いていた成美の腕から力が抜け、べったりと腰を落とす。
そして、我知らず咳き上げてくる悲しみを抑えきれず、唯の胸に、母親に縋る子供のように思いっきり抱きついて慟哭するのだった。
お恥ずかしい話ですが、管理人、このシーンでちょっと泣いちゃいました。
加齢で、涙腺がバカになっちゃってるらしいです。こないだも「西遊記2」見てて号泣したもんなぁ。
その後、成美から、翔と草の代表たちの会合の場所と時間に関する情報が密かに届けられる。

それを受けて、般若は唯に、その中へ潜入して成美を警護すると共に、翔の正体を突き止めるよう命じる。
唯「やる、やっちゃるわい!」
般若「うむ、結花と由真は唯の影となり、潜んで唯を助けるのだ」
礼亜「私は反対です。敵の中に潜入するほどまだ唯にも、結花にも由真にも力がないわ。危険過ぎます!」
般若「甘いことを言うな、礼亜」
いつになく礼亜が、般若の言葉に異を唱える。

唯「大丈夫じゃ、礼亜さん、心配は要らん。わちは三代目麻宮サキじゃ。一代目も二代目もそうやって生きてきたんじゃろう……それにわちにはごっつう強か姉ちゃんたちもついとる。弱音は吐かん!」
いや、一代目と二代目はそうやって生きてないと思うんですけどねえ……。忍者と戦ってないし。

三人を送り出した後も、般若と礼亜、師弟の意見の対立は解消されない。
礼亜「私に唯たちを見守らせて下さい。唯たちはどうあっても死なせてはいけない人たちです。唯は私たちの運命さえ切り開いていつか明るいところへみんなを連れて行ってくれる人です。誰がなんと言っても、私は唯たちを見守りたいんです」
般若「命令が聞けんと言うのか」
礼亜「そうです」
般若「……勝手にするが良い」

と突き放しつつも、自分の愛用の杖を投げ渡し、「持っていけ、何かの役に立つかも知れん」と温かい気遣いを見せるのが、般若の良いところである。
礼亜「般若……ありがとう」
礼亜は深々とお辞儀すると、般若の前から立ち去る。
そしてこれが、二人の最後の会話となった……。
それにしても、福永恵規さん、1話から
まったく演技が変化してないのが立派です。
余計なお世話ですか?
さて、問題の会合が開かれる日がやってきた。
深夜、続々とたくさんの若者……草が、「アービラウンケンソワカー」となんとかのひとつ覚えの真言を唱えながら、山の中の広場に集まってくる。

そこには簡単な祭壇が組み立てられており、その前に敷かれた布に草たちが整然と座っていく。

その中には、当然、東野成美と、おばさんパーマのかつらと黒ぶちのメガネをを付けた唯の姿も混じっていた。

祭壇には、翔の腹心ミヨズと、

同じくオトヒが横顔を見せて端座している。
やがて草たちの唱和の高まりが最高潮に達した瞬間、祭壇の上に激しい閃光が走り、

いつの間にかミヨズとオトヒの間に、小柄な少女が立っていた。
草たち「翔様ーっ! 翔様ーっ!」
が、なにしろ夜の闇に包まれ、明かりは松明だけなので、はっきりとはその姿が見えない。

ちょうどその時、昇り始めた朝日が山の向こうから眩しいほどの光を投げかけてきて、

息を詰めて見守る唯たちの前で、遂に1話から謎に包まれてきた翔の素顔が、白日の下に晒される!
……
可愛い。
翔は無言で探るような目を居並ぶ草たち一人一人の顔を見ていく。

そして、成美の僅かな表情の変化から、彼女が影の裏切り者であることを知り、いきなり黄金の冠からビームを放つ。

唯も自ら変装を解き、
唯「待てぇ、あんたのもんじゃ、返しちょく」
10話でミヨズに殺された風花良に託されていた翔のネーム入りの短刀を投げ付ける。

が、翔は念力でそれを空中で停止させると、「滅びよ、風魔のものどもよ!」と、しわがれた老婆の声で叫ぶと、短刀を媒介にして、唯たちの周辺をドーム状のバリアのようなもので覆ってしまう。
唯と成美に激しい風が吹きつけてきて、成美は岩に頭をぶつけてぐったりする。

その時、草たちの中に紛れ込んでいた礼亜が飛び出してきて、唯を守るように杖を構える。
唯「礼亜さん」
礼亜「唯、この空間を抜け出すのよ!」
唯「いやじゃ」
礼亜「あなたはこんなところで死んじゃいけない」
唯「礼亜さんを残してなんかいけん」
礼亜「生きるのよ、唯!」

あ、お取り込み中のところ済みませんが、ちょっとミヨズ(屋敷かおり)の画像が貼りたくなったので貼りますね~。
礼亜「盛り上がってる時に邪魔すんな!」(バコッ)
管理人「でーっ、ごめんなさいっ!」

礼亜「この空間は私が破って見せる、般若……」
般若から貰った杖(鞭と言った方が正しいのかな)を握り締め、念を込めると、あら不思議、蛍光灯でも握っているように青く光り出したではありませんか。

そしてライトセーバーあるいはレーザーブレードのように振り回して、翔の作り出した結界を打ち破る。
だが……、その瞬間、翔が念力で飛ばした短刀が礼亜の背中にぶすりとめり込む。
……唯がわざわざそんなもん持ってこなかったら、礼亜は死なずに済んでいたような気がするんですが。
礼亜、割と大きな鼻の穴を広げながら劇的な動きでその場に倒れる。

唯「礼亜さん、礼亜さん!」
礼亜「結花、由真、唯を頼んだわ。唯、あなたはこの世にいなくてはならない人なのよ……」
礼亜、割とさばさばした感じであの世へ旅立つ。

当然、唯の怒りはただならないものがあり、額にいつもの梵字を浮かび上がらせ、壇上の翔を睨み付ける。
このシーンで、唯が倒れている成美にもチラと目をやっているので、てっきり成美も死んだのかと思ったが、単に気絶してるだけで、後に風魔の忍びとして再登場することになる(その時に死ぬみたい)。

唯の目の部分のアップと、

翔の真っ白い顔が素早くカットバックされる。
唯、ヨーヨーを構えるものの、翔は冠からビームを放って唯の周りを火で囲む。

そして一瞬、唯が視線を逸らした隙に、三人とも忽然と祭壇から消えていた……。
ついでに大勢の草たちもどっか行っちゃったみたい。

本部に戻った翔は、可愛い口を尖がらせながら、
「風間唯、あの娘、恐ろしい心の力を持っておる。草どもがあの娘の心に打たれ、わらわを裏切っていく。あの娘がおる限り、我らの目的は達せられまいぞ」と、敵に対して初めて警戒を覗かせていた。
林美穂さん、薄っすらと産毛のような口ヒゲが生えている……。
なお、1作目の「スケバン刑事」で、林さんが幼い頃の麻宮サキを演じていたのはご存知のとおり。
翔の言葉は、裏返せば唯への賞賛でもある訳だったが、当の唯は、ひたすら自分の不甲斐なさを責めて落ち込んでいた。

唯「わちは、わちは礼亜さんも成美さんも助けようと思えば助けられたんじゃ……じゃけん、わちの体は怖くて怖くて動かんかった! わちの為に礼亜さんは死んだんじゃ! わちはもうダメじゃーっ! 礼亜さん、もう何もかもいやじゃーっ!」
目の前で、信頼していた礼亜を死なせてしまった唯の受けた衝撃は、このまま唯をリタイアさせてしまいかねないほど深く、唯の心をえぐってしまったようであった。
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