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アニメ「はいからさんが通る」 第15話・第16話



 第15話「さようなら古きものヨ」 作画監督 永木たつひろ

 好天に恵まれた伊集院伯爵家では、如月の監督下、敷地の一角にある土蔵が開かれ、収蔵されている様々な骨董品の虫干しが行われていた。

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 紅緒「虫干しですか、それじゃあ私も手伝います」
 夫人「ああーっ、あ、やめて、紅緒さんはよろしいのよ、何もせずとも」
 紅緒「ああ、なんか信用ないのだわ……」

 手伝おうと箱に手を掛けようとした紅緒を、伯爵夫人が慌てて止める。

 今回の担当は永木ふさひろ氏と言うことで、いかにも適当な感じの作画……いわば、ルパン三世パート2の面白くもなんともない中盤のエピソードでよく見られる雑なアニメーションである。

 原作では、この後すぐ、蘭子(蘭丸)が家宝の皿を割ってしまい、騒動になるのだが、アニメでは自分も何か虫干しするものはないかと自室へ戻った紅緒が、家を出る時に父親から渡された白い喪服(万が一、忍の身に何か起きたら、それを着て一生再婚しないと誓う証)を見て、そこから過去に……忍との様々な思い出へと想いを馳せると言う展開になる。

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 で、あれこれ思い煩ううちに、パニック状態になって懐剣を振り回しているところに、如月がやってきて、泡を喰って逃げ出し、紅緒が誤解を解こうと屋敷じゅうを追い掛け回すと言う、原作にはかけらもないシーンとなる。

 で、これが腹立たしいほどに長いのだ。

 紅緒に追い掛け回された挙句、如月は気絶してしまう。紅緒はすぐ山田医師を呼ぼうとするが、伯爵が今日は方角が悪いと、山田医師を呼ぶことに強く反対する。

 伯爵「暗剣殺の方角から医者を呼ぶと、助かるものも助からん!」
 紅緒「なにを縁起担いでるんですかー」
 伯爵「縁起ではない、信念じゃ。わしは経験に基づいて言うとるんじゃーっ」

 伯爵は、かつて鳥羽伏見の戦いで、方位の吉凶に従って進撃方向を変えて敵に襲い掛かり、大勝利を収めたと言う自分の経験談を紅緒に語って聞かせる。

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 ま、それは良いのだが、そこに出てくる幕府軍の装束が、いくらなんでも……源平合戦じゃないんだから。

 無論、そんな昔話を聞いて感銘を受けるようなはいからさんではない。

 紅緒「そんなのは偶然です。いつまでそんな古臭いこと言ってるんですか、この時代遅れ!」
 伯爵「くぅ~、時代遅れとはなんじゃーっ!」
 
 紅緒、結局、伯爵に逆らって山田医師を呼び、如月を診察して貰うのだった。

 CMを挟んで、やっと原作の続きになる。

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 蘭丸「こんな皿、大事に取っておくようなものかねえ。うちの猫の皿のほうがまだ奇麗だ……」

 ぶつぶつ言いながら、十枚揃いの皿を手にしていた蘭丸、つい手を滑らせて見事に皿を割ってしまう。

 周りのメイドたちはたちまち青ざめて言葉を失うが、蘭丸はそれがどんなに価値のあるものか知らず、「平気よ、お膝の皿が割れた訳じゃなし、糊で貼れば元通りよ」と、至極暢気なことを言っている。

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 ちょうど様子を見に来た伯爵は、大事な皿が割られたの知り、激怒する。
 伯爵「し、死刑!」
 蘭丸「し、死刑? 紅緒さ~ん!」

 こまわり君のようなポーズを取りつつ、蘭丸に即刻死刑を宣告する伯爵。
 このポーズは、原作でもやっている。

 騒ぎを聞きつけ、紅緒がすぐ飛んでくる。

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 紅緒「たかがお皿一枚でお手討ちだなんて、お皿と人の命とどっちが大事なんですか」
 伯爵「皿じゃ!」
 紅緒「……負けた!」

 即答する伯爵に、思わずギャグ顔になる紅緒。

 あくまで蘭丸を斬り、自分も切腹してやると息巻く伯爵に対し、紅緒は何を思ったか残りの9枚の皿を全部割ってしまう。

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 紅緒「皿一枚で人一人を斬るのなら、残り9枚の皿を割れば9人の人が斬られねばなりません、その9人分の命を私が引き受けましょう。さ、どうぞお斬りください」

 凛然と言い放つ紅緒に、刀を振り上げる伯爵、固唾を呑んで見守る人々……と言うところで続く。

 今回も、原作消化は10ページ。

 第16話「いざさらば落第花嫁」 作画監督 田中英二・水村十司

 タマプロの水村氏が参加しているので、前回に比べて、作画は格段にグレードアップしている。

 伯爵の白刃に迫られ、最初は恐れおののいていた紅緒だったが、「ちょっと、お待ちを!」と言うと、突然何処かへ行ってしまう。

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 この際、走る紅緒のスカートの中の下着までちゃんと描いてあるのが、いかにも丁寧な仕事してるなぁと言う感じである。15話では、あれだけ紅緒が走り回っているのに下着は一切見えなかったからね。その差は歴然としている(別に下着が見たいと言ってる訳ではない)。

 紅緒は逃げたのではなく、あの白い喪服に着替え、覚悟を決めて戻ってくると、伯爵の前に正座する。

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 紅緒「さ、どうぞお斬り下さい」
 伯爵「む、良い覚悟じゃ。では参るぞ。か、観念せい!」
 紅緒(お父様、ばあや、先立つ不幸をお許し下さい……)

 如月はそばで青くなって見ていたが、さすがに伯爵夫人は慣れたもので、「斬れるものですか。御前は誰か止める人を待っているのですよ」と、平然としている。

 仕事から帰って、庭から一部始終を見ていた忍も、「よしもうだいぶ薬が効いたようだ、助け舟を出そう」と、やっと腰を上げる。

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 忍「おじいさま、もういいでしょ」
 伯爵「忍か、お前の出る幕ではない」
 忍「そんな強情を張らずに……この勝負、おじいさまの負けですよ」

 激昂する伯爵から刀を取り上げ、にっこり笑って鞘に収める。

 伯爵「ふわぁあああー、わしの家宝、島津公御下賜の品がぁ……」
 もっとも、皿が割れて伯爵がショックを受けたのは事実で、その場にばったりと崩れ落ちる。

 忍「紅緒さんも、もう十分でしょう」
 紅緒「あ、あなたね、見てたんなら、黙ってないでもっと早く止めてくれたらどうなんですか!」

 紅緒は紅緒で、忍の態度を猛然と非難する。

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 紅緒「あたしだって、ほんとはおっかなかったんだから!」

 緊張の糸が切れて、泣きそうな表情になって訴える紅緒。

 思わず二枚も貼ってしまうほど、可愛く描けている顔だ。毎回これだったらなぁ……。

 紅緒、忍とわりない仲らしい芸者・吉次のこともあり、遂に積もり積もった怒りを爆発させ、この家を出て行くと言い出す。

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 忍「それは違うんだ、聞いてください」
 伯爵「止めるな、忍!」
 紅緒「さようなら、少尉!」

 紅緒は涙を堪えながら、忍の前から走り去る。

 紅緒、今度は本気でこの家から出て行くつもりのようで、すぐに荷物をまとめ、牛五郎、蘭丸を引き連れて退散しようとする。だが、その前に、伯爵夫人のところへ行き、切々と自分の気持ちを語りかける。

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 紅緒「おばあさま、いえ、伊集院伯爵夫人様、お恨み申上げます。だって、伊集院伯爵夫人とあたしのおじいさまが昔恋をなさって、その恋をいつか実らせてようなんてお考えになったから、あたしはあたしはこんな目に遭うのです。何も知らないあたしは、父からひとたび嫁いだら、二夫にまみえるべからずと、こんな喪服を持たされて来ました。そして、そして、悲しい思いもしなければならないのです! どうか自分の恋を孫の代で実らせようなんて気まぐれは二度と、二度と起さないで下さいませ……何も知らないひとりの胸をどんなに傷付けるか、お考えになったことがあるのですか。伊集院伯爵夫人!」
 夫人「紅緒さん、その伊集院伯爵夫人と言うのだけはやめてください。おばあさまと呼んで……」
 紅緒「何をいまさら! さようなら伯爵夫人!」

 途中から涙声になり、最後は両頬を涙で濡らしながら、紅緒は夫人の声を振り切って屋敷を出て行く。

 原作には全然ないシーンなのだが、アニメーションの素晴らしさも手伝って、なかなか感動的なシーンになっている。

 三人は、すぐ花村家に戻る気にもなれず、とりあえずしるこ屋に立ち寄る。

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 紅緒「でも、やっぱりこんな時にあんみつってのは、気分が盛り上がらないわね」

 ほんとはお酒が飲みたいのだが、蘭丸たちに酒乱を警戒されている紅緒は、いかにもつまらなそう。

 そこへ、偶然、あの吉次が立ち寄り、紅緒が伯爵家を出たことを知り、忍に電話で確かめると言うシーンとなるが、これはアニメオリジナルの場面。

 紅緒たちはしるこ屋を出て、花村家に帰る。

 一方、紅緒のいなくなった伯爵家は火の消えたような寂しさであった。

 伯爵ひとりが「所詮、紅緒は我が家の家風には合わなかったのじゃ!」などと怒鳴っているが、夫人も忍も如月も、そっぽを向いて押し黙っている。

 伯爵「これ、言いたいことがあるなら申せと言うに……如月、その方なら分かってくれような」
 如月「はい、私長年このお屋敷にお仕えして参りましたが、あのような方は初めてでございます。殿様の頑固にお負けにならなかったのもあの方が初めてでございます! 私も随分と苦労いたしましたが、あのようなお方はもう二度といらっしゃいますまい」

 最初はあれだけ目の仇にしていた紅緒に対して好意的な発言をする如月に、伯爵はずっこける。

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 如月「私は若様のむつきの頃よりお世話をさせていただきましたが、紅緒様が先々、若様のお子をお生み遊ばすなら、それまでずっとお仕えして、ゆくゆくはそのお子にも私が子守唄を歌って差し上げられるなどと……心楽しく思ったこともございました」

 想像の世界で、忍と紅緒の赤ん坊をあやす、幸せそうな如月。

 夫人「紅緒さんのお子は私たちのひ孫でございますねえ」
 伯爵「にひひ、ひ孫かや?」
 夫人「でも、その子の顔は決して見ることが叶いません」
 如月「はい、それもお殿様のせいでございます」
 伯爵「だ、黙れ、まるでわしが赤ん坊を殺したような言い方はよせ!」

 如月が二人の子供について想像をめぐらすシーンは全て原作にはない、アニメオリジナルであるが、なかなか心温まるシーンである。

 伯爵はしばらく考えていたが、不意に「忍、紅緒はお前の許婚ではないか、早く連れ戻して来い!」と態度を豹変させる。

 忍「そう仰ると思っていました。おじいさまは他人の意見に決して動かされるお方ではありません。だから、今のお言葉が出てくるのを待っていたんです」

 忍はすぐ愛馬にまたがって、紅緒を迎えに花村家に向かう。
 その途中、忍は、部下たちと飲み歩いている上司の印念中佐と遭遇するのだが、これも原作にはない。

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 一方、紅緒は、久しぶりにばあやの手料理に舌鼓を打っていた。

 紅緒「おかわり!」
 ばあや「いい加減になさいませ、もう5杯目でございますよ」
 紅緒「いいじゃないのよ、つくねの焼き鳥なんて向こうじゃ食べられなかったんだから」
 ばあや「旦那様がお聞きになったらなんと仰るか。お嫁に入る前に追い出されたなんて……ま、こんなことになるんじゃないかと薄々は思っておりましたけどね!」

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 たらふく食べた後、紅緒は懐かしい自分の部屋でごろんと横になって、思う存分手足を伸ばす。

 やがて、父親の花村少佐が帰宅する。ばあやから事情を聞いた花村は、血相変えて紅緒の部屋へやってくる。

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 紅緒「あら、お帰りなさい、お父様」
 花村「……」
 紅緒「あら、しばらく見ないうちにお太りになったみたい」
 花村「おほ、そうかな……」

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 花村「痩せたわい!」

 娘の言葉に、一瞬微笑みかけた花村、いきなり怒鳴りつける。

 一種のノリ突っ込みであるが(そうか?)、この辺の呼吸はさすが永井一郎さんである。

 花村は紅緒の手を引っ張って、自分の書斎へ連れて行く。

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 花村「お前、追い出されたと言うのはほんとか」
 紅緒「それは違います。誤解です、お父様」
 花村「なに、追い出されたのではなかったのか。そうか、良かった良かった」
 紅緒「えー、喜んでよ、おんだされたんじゃなくて、自分からおんでたんですからね!」
 花村「ほー、そうか、そうか……な、なにぃ!」

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 花村「それなら同じことだ、バカモノ!」
 紅緒「だ、だって、お父様はご存じないのよ~まるで化け物屋敷みたいな家なんだから」

 ラスト、あの懐剣を掴んで血走った目で紅緒に「何のためにお前にこの懐剣を持たせたか分かるか?」と迫る時代錯誤的な父親に、唖然とする紅緒を映しつつ、つづく。

 ナレーションが「意外や我が家にもう一人、頑固おやじがござそうろう……」と語っているのだが、それを言ってるのも永井一郎さんなんだけどね。

 で、今回も律儀に原作消化は10ページほど。

 (C)大和和紀・講談社・日本アニメーション
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70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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