第36話「ひきょうもの!花嫁は泣いた」(1973年12月7日)
姉・陽子と、弟・清彦の宮坂きょうだいが、家計を支える為に石焼芋のリヤカーを引いている。
ちょうどパトロール中の光太郎たちが通りがかり、石焼芋を買い求める。

光太郎「さおりさんから聞いたんだけど、結婚するんだってね」
陽子「ええ」
清彦「光太郎さん、姉ちゃんはね、ほら、あのマンションを建ててる現場の人と結婚するんだぜ。もうすぐあのマンションに三人で住むんだ」
清彦少年を演じるのは「仮面ライダー」のレギュラーだった矢崎知紀さん。
で、陽子役の女優さんは、管理人、てっきり望月真理子さんだとばかり思っていたが、さっきクレジットを確認したら久保田民絵さんだった。あらやだ。

清彦が誇らしげに指差す方を見ると、真新しいマンションが夜の闇に輝いて見えた。
(毎回言ってる気がするが)相変わらず、見事なミニチュアセットである。
光太郎たちが立ち去った直後、ふと振り向いた清彦は、空からあのマンションの上に青白い光が落ちてきて、一瞬、宇宙人っぽいシルエットを形作って消えるのを目撃する。

清彦「姉ちゃん、今あのマンションに宇宙人が降りたんだ」
陽子「宇宙人、まさかぁ~」
清彦「ほんとだよー」
陽子「流れ星でも見たんでしょ」
「ウルトラマンタロウ」に出ている癖に、陽子は弟の話をまるっきり信じようとしない。
二人はそのマンションにも立ち寄り、いつものことなのだろう、婚約者の岩坪や、他の作業員たちに焼き芋を振る舞う。

きくち「毎晩、焼き芋食うの、習慣になっちまったよ」
作業員「うまいからなぁ」
作業員「岩坪さん、あんたにとっちゃ、もっと旨いんでしょうね」
岩坪「ああ、一味違うねえ」
ほくほくの焼き芋を頬張りながら、軽口を叩き合う作業員たち。
で、その岩坪を演じるのが若き日の平泉征(成)さんなのだ。平泉さんは次の「ウルトラマンレオ」にもゲスト出演している。
ついでに、その横の作業員は「新マン」の中に入っていたきくち英一さんである。
彼らは焼き芋を食べ終わると、また現場に戻ろうとするが、清彦は念の為、岩坪に「宇宙人に気をつけてね」と注意する。無論、岩坪もそんな話は信じず、「大丈夫だよ、宇宙人のひとりやふたり、出てきたら捻り潰してやるから」などと適当なことを言って建物の奥へ消える。
清彦、マンションの屋上を見上げたまま、いかにも心が残る風情で、姉の引くリアカーを押しながらその場を離れる。
その夜、工事中のマンションの中で何が起きたのか、誰も知らない……。
翌朝、いつものように宮坂きょうだいが仲良く手を繋いであのマンションへ向かっている。
清彦は勿論、小学校へ行く途中なのだが、陽子については大学生なのかOLなのか、良く分からない。
陽子はさおりさんの友人らしいから、同じ女子大生なのだろうか。
内装工事中のエントランスに立って、岩坪の名を呼ぶ。
岩坪、昨夜とは打って変わって物静かに、二人の前にやってくる。

陽子「岩坪さん、はい、お弁当」

岩坪、まるでその包みを初めて見るような顔付きでしげしげと見詰めながら受け取るが、その途端、
岩坪「ああーっ! あーっ! あーっ、あーっ……」 物凄い悲鳴を上げて、包みを放り投げる。
平泉ファイト第798回結果速報 ×平泉VS焼き芋○ 包みから出てきたのはまたしても
焼き芋だった。
さすがに、弁当まで焼き芋と言うのは手を抜き過ぎなのでは?

岩坪「馬鹿、こんな熱い物」
陽子「ごめんなさい」
岩坪「もういい、帰れ!」
陽子「ああっ」
火傷でもしたように大袈裟に騒ぎ立て、更に陽子を突き飛ばしてさっさと向こうへ行ってしまう。
いつもの岩坪とはまるっきり別人であった。
まぁ、朝昼晩、焼き芋ばっかり食わせられていたら、さすがに嫌気がさす……と言うことではなく、彼らは既に猫舌星人・グロスト星人に憑依されていたのだ。
陽子「岩坪さん!」
清彦「少しも熱くなんかないのに……なんだあいつ、折角あっためて持ってきてやった弁当に!」
焼き芋を掴んで、もう見えない岩坪に向かって悪態をつく清彦。

陽子「岩坪さんは疲れてるのよ」
清彦「でもぉ」
陽子「いいのよ、行きましょ……」
陽子は包みを受付のカウンターに置いて、大人しく引き揚げる。
清彦は、昨夜見た宇宙人の仕業ではないかと姉に訴えるが、陽子は相変わらず耳を貸そうとしてくれない。

姉と別れた後、清彦は陽子のウェディングドレス姿を思い浮かべる。
ドレスを着た姉は眩しいほどの美しさであったが、

その晴れ姿に、禍々しい宇宙人のイメージが重なると、清彦は居ても立ってもいられない気持ちに駆られるのだった。
清彦はその足で再びマンションへ行き、資材や道具でゴタゴタしている内部へ侵入する。
そして、地下室の壁に、魚のようなグロスト星人の顔が取り付いているのを見付け、自分の考えが正しかったことを知る。
岩坪たちはグロスト星人の支配下に置かれ、召使のように恭しく仕えていた。
やがて岩坪たちに発見されて、マンションの中を追い掛け回されるが、なんとか脱出に成功する。
そしてたまたま近くにいた警官にそのことを話して助けを求めるが、
警官「さぁ、今日は何日かな、4月1日じゃないんだよ」
と、またまた信じてくれない。
話にならんと、その場から走り出す清彦に、ちょうど通学中のさおりが声をかける。

さおり「清彦ちゃーん」
清彦「さおりさん、光太郎さんは?」
さおり「ううん、さっき出掛けたわ」

すぐ駆け出そうとする清彦の手を取って引き止めようとするさおり。
この時、ふわっとスカートの裾が浮いて、ほんの筋くらいだが、さおりさんの汚れのないパンツが覗いている気がするのだが……。
キャプではまず分からないけどね。
さおり「ねえ、なにそんなに急いでんの」
清彦「大変なんだ、宇宙人が岩坪さんたちを……」

清彦がさおりにも言いかけるが、さおりはみなまで聞かず、
さおり「あっはぁ、朝から何いってるの、それより早く学校に行かないと」
清彦「そうだ、ZATだ、ZATに知らせよう!」
さおりさんもまるっきり信じてくれないので、清彦はそう叫んで走り出す。
しかし、余人はともかく、さおりさん、ついこの間テンペラー星人に憑依されたばっかりなんすけどね。

さおり「あっ、清彦ちゃん!」
「やれやれ……」と言うようにその後姿を見送るさおりさんのぶにっとした口が可愛いのである!
清彦は、最後の手段とばかり、電話ボックスからZATに電話をかけるが……、
北島「それは君の見間違いじゃないのかなー」 いや、他の誰が信じなくとも、
お前は信じてやらんとあかんやろ! 宇宙人の最初の目撃者が誰にも信じてもらえず右往左往するというのは特撮モノのパターンだけど、今回はいささかそれがくど過ぎる。

北島「もし怪獣や宇宙人がそのマンションに居れば、ZATの計器がとっくに探知してる筈だからねー」
森山「どうしたの」
北島「いや、お姉さんの婚約者が宇宙人で、お姉さんが危ないってんだよ」
森山「ふーん」
いや、森山さん、「ふーん」じゃなくて……。
何故か今回、大人たちはみんな揃いも揃って「宇宙人なんかいない派」に属してしまっているようであった。
南原「分かる分かるその気持ち、姉さんを取られてしまうような気がするんだなぁ」
北島「なぁーるほどねー」
南原隊員にいたっては、そんな児童心理学的な余計な深読みまでする始末である。
まぁ、本音を言えば、「朝っぱらから出動したくない」と言うことなのかも知れないが。
で、どこからも見放された清彦少年、なんと健気にも、リヤカーを引いてもう一度あのマンションへ行き、宇宙人に操られている岩坪たちに、石焼芋用の焼けた小石をスコップでぶちまけるという強硬手段にうってでる。
清彦は、彼らが熱さに弱いことを見抜いていたのだ。

焼け石をぶつけられて全力で恐れおののく平泉征さん。
平泉ファイト第799回結果速報 ×平泉VS焼け石○ 
いろいろあって、最後は漸く光太郎が駆けつけ、清彦を助け出し、タロウに変身する。
グロスト星人も巨大化し、体中に常に氷が張り付いているという独特のフォルムをあらわにする。
当然、グロスト星人の武器は冷凍ガスで、タロウと、その周辺一帯を氷漬けにしてしまう。
タロウは、キングブレスレットを宙へ投げて、その光で氷を溶かし、グロスト星人を撃破する。

ラスト、元通りになった岩坪と陽子の結婚式が教会で挙げられている。
で、非常に残念なのだが、森山隊員とさおりさんもそれに私服で参加しているというのに、どちらも大きく映してくれないまま番組が終わってしまうのである。
特に森山隊員のミニスカフォーマルドレス姿は大変貴重なのに……もう、スタッフの馬鹿ぁ!
おまけ 式の後、清彦が誇らしげにみんなに披露したウェディングケーキと言うのが、またまた焼き芋の山盛りだったと言う、最低のオチになる。
さすがにこれには普段温厚なZATの皆さんも激怒し、
光太郎「小僧、代わりにお前の肉を喰ってやろうかぁーっ?」 と、なるのだった。
終わりです。
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