第21話「ヤーダ!珍獣家族」(1984年7月27日)
さすがに1話からぶっ続けで脚本書いて、上原さんもちょっと疲れてたんだろうなぁと感じさせるエピソード。

冒頭、親子で楽しく、家の前の路上でキャッチボールをしているのどかな光景が映し出される。
今ではこんな光景もすっかり目にすることはなくなったが、良く考えたら当時もそんなに目にすることはなかったと思うので、感慨に耽るのは中止する。

と、向こうの通りから突然、昔の写真屋のような格好をした男が出てきて、
「坊や、そのまま、そのまま、では行きますよ、ポーズ!」
フラッシュを焚いて子供の写真を撮る。
続いて、父親と母親の写真も撮るのだが、

いつの間にか、二人は珍獣にすりかわっていて、

しかも、子供の目にはそれが本物の母親と父親に見えているらしいのだ。
同様に、子供の姿も珍獣ヤーダになるのだが、まず、このファーストシーンからして良く意味が分からないのである。
うえだ峻さん演じる男の正体は不思議獣スリスリと言い、フラッシュを浴びせることで人間の記憶を上書きし、特定の物体を家族だと思い込ませる能力を有しているらしい。
しかし、上記の描写だと、記憶の書き換えと言うより、人間が珍獣に取って代わられたようにしか見えないのである。

その後、臨海学校へ行って留守だった長女がその家に戻ってくる。
母親「どなた?」
千春「もー冗談言ってる場合じゃないのよ、毎晩遅くまでトランプやったりしてさぁ、くたくたよ、もー」
家に上がろうとする長女を慌てて押し止めると、母親は他の家族を呼ぶ。

父親「どうしたんだよ」
母親「うちに上がろうとするのよ、この子」
父親「うー、見たことのない子だね」
千春「何よ、パパまでも、僅か三日で娘を忘れたの? 雄一、雄一いるー?」
すると、奥から長男・雄一が出てくるが、そのそばにはヤーダがいて、雄一は「ねえ、ママ、あの人はだぁれ?」と、まるで母親に向かって言うように話しかけるではないか。
千春は頭がパニックになって、そのまま家を飛び出す。
このシーンも、なんか腑に落ちない。
夫婦の会話から、父親と母親は互いを正しく認識しているらしいのに、雄一はヤーダのことを母親だと思い込んでいるらしい。だとすると、母親が二人いることになって、その時点で家族間に混乱が生じると思うのだが、特にそう言う様子は見られない。
で、父親と母親は、ヤーダのことを長女だと思い込んでいるのか、あるいは最初から娘などいなかったことに記憶を書き換えられているのか?
とにかく、家を飛び出してうつろな顔で彷徨っていた千春を、偶然アニーが見付け、保護する。

一方、小次郎さんのペットショップでは、小次郎さんが「すりこみ」についてひよことロボットを使って子供たちに説明していた。
ルミ「ロボットをママだと思い込んでるの?」
小次郎「そうだよ、ひよこはね、生まれて初めて目にしたものを親だと思い込む習性があるんだ」
大「すりこみ現象って言うんだろう」
小次郎「その通り、大ちゃん!」

そこへ、女の子の一件を大に告げにアニーがやってくる。
小次郎「いらっしゃいませ、あの、何回かお見掛けしましたですねえ」
大「小次郎さん、僕の幼馴染なんだよ!」
小次郎「あ、そーですかー」
第21話にして漸く、アニーは他のレギュラーたちに正式に引き合わされる。無論、宇宙刑事と言う身分は内緒である。

アニー「アニーです、どうぞよろしく!」
真っ白な歯並びを見せて、にこやかに挨拶するアニーに、たちまち小次郎さんはでれでれと相好を崩す。
アニーは大に目配せして、二人はすぐにその場を離れる。

陽子「ふんっ」
大に気のある陽子は、それを見て不満そうに鼻を鳴らすのだった。

アニー「臨海学校から帰ったらね、あなた誰って言われたらしいの」
大「からかわれたんだよ、そりゃあ」
アニー「ショックを受けてるわ、相当なショックよ」

二人はとりあえず彼女を自宅へ連れて行くが、さっきとはうって変わって、両親と弟はごく普通に千春を迎え入れる。
父親「心配したぞ、千春」
母親「何処行ってたのよぉ、びっくりするじゃないの、帰ってくるなり急に飛び出しちゃって」
父親「みんなでなぁ、ほうぼう探し回ったんだぞ、
ママの尻の下とか」
雄一「そうだよ、お姉ちゃん」
怪訝な顔をしつつ、千春は家族と一緒に家へ入る。
千春の話しか聞いていない二人は、そこに何かフーマの企みが隠されているとまでは気付かない。

その頃、今回の作戦の中枢部であるコントロールルームでは、ギャルやミラクラーたちが多数のモニターで、「すりこみ」を施された各家庭の状況を逐一監視していた。
ちなみに左側は、どうやら夫婦が飼い犬を赤ん坊だと思い込んで世話しているところらしい。可愛い……。
無論、監視の目はフーマの宿敵シャイダーとアニーに対しても向けられていた。

ギャル5「(大とアニーが)引き揚げました」

ギャル5「もう安心です」
ヘスラー「よし、再び島井家の連中にすりこみ効果を」
ギャル5「はっ」
ギャル5がコントロール装置を操作すると、島井家に設置されているフラッシュ装置が作動し、「すりこみ」が行われる。

その途端、雄一はヤーダに「ママ!」と叫んで抱き付く。
千春「何言ってるの、こんなのママじゃないわよ」
雄一「ママだよ」
いや、その前に、千春は何で普通に同居している珍獣ヤーダに反応を示さないのだろう?

母親「(ヤーダに)雄一、夏休み帳、しっかりやらなきゃね」
父親「そうだよ、お前、それに食べてばっかりだと(千春を見て)ママみたいにでぶになっちゃうぞ」
母親「(父親に向かって)千春、ママに向かってなんてこと言うの?」
今度は、母親がヤーダを雄一のように扱い、父親も同様に注意するのだが、それに続く母親の台詞で決定的に管理人の頭は混乱してしまうのであった。これでは一体誰が誰のことを誰だと認識しているのかさっぱり分からなくなり、実際に生活している人々の意思疎通だって不能になって、まともな家庭生活が送れるとは到底思えなくなるのだ。
今回のシナリオの失敗は、「すりこみ」をされた家族一人一人の認識が全て異なっている設定にした点にあると思う。ここは、
「ヤーダのことをみんなが千春だと思い込む」と言うシンプルな書き換えで十分だったのではないだろうか?
それを、母親がヤーダを雄一、父親が千春を母親、雄一がヤーダを母親……と言うように、各人がてんでばらばらに対象を錯覚していては、見る方はひたすら困惑するばかりである。おまけに、この後、母親は普通に千春のことを千春と呼んでるし……。
千春はおかしなことばかり言う家族に耐え切れなくなって、「みんなどうかしてるわよ!」と叫び、自分の部屋に引き篭もってしまう。

ギャル5「島井家のすりこみ効果、完了!」
ギャル1「でもあの千春と言う娘は不安定です」
ヘスラー「不思議獣スリスリよ、今夜あたりすりこみを!」

男「お任せを!」
その場には人間の姿をしたスリスリもいて、チャップリンよろしく足踏みをして請合う。
その夜、千春がこっそり家族の寝ている姿を覗くと、母親が怪物メイクをして起き上がり、「見たな?」と言うのだが、これまた意味が分からない……。今回は、分からないことだらけ。
直後、千春はいつの間にか家に入り込んでいたスリスリに「すりこみ」される。
もっとも、その結果、千春がどうなったかの描写はない。
スリスリが島井家から出てきたところに、ちょうどアニーが通りがかり、その後を追跡する。
だが、アニーは野外音楽場のようなところへ誘い込まれ、「すりこみ」光線をまともに浴びてしまう。

その結果、割とおぞましいスリスリの姿が、

自分を手招くシャイダーに見えてしまい、無防備にそちらに向かっていこうとする。
が、寸前で本物のシャイダーが現れ、アニーがスリスリに刺し殺されるのを防ぐ。
スリスリは、シャイダーにもフラッシュを浴びせるが、何故かシャイダーには通じない。
で、ヘスラーやギャルたちも現れ、舞台の上で乱戦となる。

今回も、管理人の鷹のように鋭い目は、シャイダーに蹴られて後退するギャル5のスカートがめくれてピンクの下着が露出する瞬間を逃さなかった。

続いて、なるべく戦いに巻き込まれないように距離を取ろうとするあまり、後ろの壁に背中をくっつけてるギャル5が奥床しいのである!
……
Q.なんでもいいのか、ギャル5なら?
A.
いいんです! 
アニー「シャイダー、シャイダーが危ない!」
シャイダー「アニー、どうしたんだ?」
戦いの最中でも、アニーはひたすらスリスリのことをシャイダーと呼び続けるばかり。
しかし、アニーにはスリスリの姿がシャイダーに見えるのなら、本物のシャイダーはどのように見えているのだろう? その辺の説明不足も、このシナリオの欠点である。
シャイダーは、とりあえずアニーを連れてその場を離脱する。

幸い、バビロス号の誇るハイテク設備とコム長官のサポートで、アニーはほどなく正気に返る。
大「俺、誰だか分かる?」
アニー「からかわないでよ、シャイダー」
大「回復したんだ!」
アニー「…長官? マリーン?」

コム長官「すりこみ現象を人間に使われたら恐ろしいことになるぞ、それこそ、親は子を忘れ、子は親を忘れる。いや、夫婦の間でさえお互いを確認できなくなってしまう。まさに家族の崩壊だ」
大「フーマの狙いはそれか!」
なお、さきほどシャイダーに「すりこみ」が効かなかったのは、コンバットスーツの特殊なゴーグルのお陰であった。

ヘスラー「人間どもがひよこ同様になりました。親子でも夫婦でもこっちの思い通りにすりかえることができます!」
ポー「実験は大成功です」 あ、なんとなく聞き覚えのある不吉な台詞……。
ポー「うまくすりこめば、珍獣ですら、子供と信じ込み育てます」
クビライ「各家庭にフーマの珍獣を送り込み、珍獣家族を作り上げろ!」
ギャルたち(作ってどうすんだ?) しかし、それを行うには珍獣の在庫が圧倒的に不足してるような気がするんですが。

その後、大とアニーはスリスリに誘い出され、埠頭の倉庫の中にあるコントロールルームへ入り込むが、待ち受けていたスリスリに「すりこみ」を仕掛けられてしまう。
ヘスラー「罠にかかったな、あれを見ろ! これからは地球人どもの生活はフーマが全てを管理する」
二人が骨抜きになったと思い込んだヘスラーは、余裕たっぷりにモニターに各家庭の様子を映して見せる。
でも、全家庭の生活を管理するって、フーマの負担がめちゃくちゃ重くなるんじゃないの?

ギャル5「家族構成」
ギャル4「結婚」
ギャル3「教育」
ギャル2「思想」
ギャル1「生と死まで管理される24時間!」
ヘスラー「地球人はフーマの奴隷と成り果てるのだ!」
今回、ギャル5のアップが多くて嬉しい管理人であった。
しかし、ここもちょっと飛躍し過ぎてるよね。家族の「すりこみ」と、徹底した管理社会の構築とは、だいぶ距離が開いているように思えるのだが。
この辺の台詞は、いかにも上原さんらしいけどね。
さて、得意の絶頂のヘスラーであったが、

大「ようく分かったぞヘスラー」
ヘスラー「!」
アニー「フーマの陰謀、その内容までもね!」
ヘスラー「すりこまれた筈だ!」
二人はあらかじめコンバットスーツのゴーグルと同じ素材で出来たコンタクトを着けていて、「すりこみ」に掛かったふりをしていただけだったのだ。

そのまま戦いになるが、案の定、ヘスラーは自らの手で施設を破壊してしまうと言う、歴代の悪の人たちが踏んできた過ちを繰り返してしまう。
このバトルシーンではギャル5は特に目立ってないが、

思いっきり大の体を投げ飛ばした際、ギャル2の衣服が大きくまくれあがって、紫色の下穿きが豪快に露出するカットがちょっと目を惹いた。
正直、二代目ギャル2の大内さんはあまりタイプではないのだが、この生々しい肉感的なボディはちょっとそそられるものがあるのです。
なお、管理人、このほとんど同じような二枚の画像をキャプして、どちらを使おうかと1分ほど悩んだ末、
「そうだ、両方貼ればいいんじゃない?」とコロンブスの卵的な発想に到達した次第である。
後は特に書くこともない。
シャイダーがいつもの段取りを踏んでスリスリを撃破し、洗脳されていた人々もすべて元に戻り、事件解決となる。
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