第41話「マグマ怪人ゴースター 桜島大決戦」(1972年1月8日)
タイトルからお察しの通り、前回に引き続き、死神博士とその仲間たちが九州南部でどえらいことを企む(企むだけ)と言うストーリー。
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なお、全くの余談ですが、先月、時代劇専門チャンネルで杉良太郎の「遠山の金さん」第78話を見てたら、なんと、ルリ子役の真樹(森川)千恵子さんと、一文字隼人役の佐々木剛さんが夢の共演をされているではありませんか。しかも、恋人同士の役で。「仮面ライダー」の中では一度も実現しなかった異色の顔合わせであり、特撮ファンにとっては鼻血モノのキャスティングと言えるでしょう。
しかし、残念ながら、現在の管理人の環境ではその画像を貼ることが出来ません。いつかは貼りたいと思っているのですが……。と言う訳で、時代劇専門チャンネルが見れる人は、是非チェックして頂きたい。
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さて、41話である。
死神博士は、新たな怪人ゴースターを呼んで、今度は桜島に標的を定めていた。

死神「ゴースターよ、えびの高原と桜島を結ぶトンネル工事はまだ完成しないのか」
ゴースター「ウーフーッ! トンネル内の温度が高くて作業員の体がもちません。ウーフーッ!」
死神「人間が足りなければどんどん補充しろ!」
……また人力ですかぁ?
いい加減、地元の業者とかに発注しましょうよー。

が、死神博士の命令は絶対なので、地震観測所の職員に化けた戦闘員がバスでえびの高原ホテルの前にやってきて、「硫黄谷が大噴火を起こす恐れがあります。ホテルの皆さんは直ちにバスに乗って下さい!」と呼びかける。

と、すぐにわらわらと宿泊客がホテルから出てきて疑うことなくバスに乗り込む。
だが、彼らに必要なのは労働力なので、五郎ともう一人の子供は、乗せてもらえず、置き去りにされる。
……しかし、労働力にはならなくても人質にはなるし、目撃者を作らない為にも五郎たちも一緒に連れて行くべきだったろう。
当然、おやっさんたちはバスをとめさせようとするが、

最後部の座席には、一度倒された筈のアルマジロングが陣取っていた。
怪人「愚かな人間どもよ、今からお前たちは偉大なるショッカーの為に働くのだー!」
バスに乗せられた母親と離れ離れになったタツジ(タダシ?)と言う少年は、えびの高原を母親の姿を求めて彷徨っていた。
そして、ちょうどそこへショッカーの陰謀を探索していた隼人と猛が現れる。

猛「坊や、どうしたんだ」
隼人「男の癖にメソメソするな!」
タツジ「母ちゃんがどっかへ連れてかれたんだ」
この子役、二人のライダーと共演して、月曜日の教室では、クラスメイトの羨望の的だったろうな。
タツジから事情を聞いた隼人は、早速活動を開始しようとするが、

猛「待て、隼人、追跡はひとりでいいだろう」
隼人「分かった、じゃあどうやって決める? お前と俺」
猛「好きな方……」
外国のコインを取り出し、コイントスで役割を決めようと言う猛。

隼人「おいおい、両方表だなんてコインを使うんじゃないんだろうな?」
猛「俺を信用しろよ」
隼人「ようし、表だ!」

猛「ふっ」
投げる前に、コインを持つ手の指で鼻の横をこする猛。
なんてことのない仕草が、平凡なシーンを忘れがたいものに変えてしまう演技のマジックである。
で、結果は「裏」となって、猛の勝ち。
隼人「俺はあの坊主を家まで送る。落ち合う場所は?」
猛「桜島の展望台にしよう」
しかし、この時点ではまだショッカーが何処を狙っているのか不明なのだから、先回りして「桜島で……」と言ってるのはちょっと勇み足かも。
ついでに、隼人が「滝やおやっさんにも連絡をつけておくか」と言うのも、少し変じゃない? 二人はタツジから話を聞いて、おやっさんたちを含めたホテルの宿泊客が全員拉致されたことを知ってる筈なんだからね。

猛「一文字、悪く思うな。お前の言ったとおり、コインは両方とも裏だ。ふぁっははっ」
タツジをバイクの尻に乗せて遠ざかる隼人に向かって、猛が少年のような笑顔を見せて種明かしをする。
しかし、隼人に先に言わせたのでは、「裏」と言われたら絶対負けなので、確率的には普通のコインを使っても同じだったと思うのだが。

その頃、おやっさんたちは狭苦しいトンネルの中にいた。えびの高原の地下であろう。
彼らの足元には数本のスコップがやる気なさそうに立て掛けてある。
立花「おい、こんなところへ連れてきて、どうする気だ」

戦闘員「お前たちはここで桜島までのトンネルを掘るんだ」
立花「バカヤロウ! そんなこと出来る訳ねえだろうがっ! ふざけるのもいい加減にしろっ!」 戦闘員「ヒッ!」
さすがに温厚なおやっさんも、これにはマジギレ。
戦闘員たちも
「我々も仕事なんで……形だけでもやって貰えませんかね。すぐ仮面ライダーが助けに来ると思いますし……」と、おやっさんをなだめるのに大変苦労したと言う(言いません)。
しかし、実際のところ、ゴミを捨てる穴を掘るくらいならともかく、そんな長い地下トンネルを素人数人が手作業で作れる訳がない。
さて、えびの高原の近くの火山に、猛がショッカーのアジトを探しにやってくる。
死神博士は、地下のアジトのモニターで、その接近を知る。
死神「本郷猛! ええい、はるばるスイスから追って来たな。地雷原に誘い込んで吹っ飛ばせ」

地雷を物ともせず、疾走する猛。
また藤岡さんに怪我でもされたら堪らないので、無論、これはスタントが運転しているのである。
それに、本格的なアクションもさせられないので、猛はすぐに仮面ライダーに変身する。
ただし、この時点では1号ライダーの変身ポーズは考えられていないので、変身シーン自体はない。

戦闘員「か、仮面ライダー!」
それを見た戦闘員たちは、一瞬たじろぐが、

次の瞬間、一斉に仮面ライダーに向かって突進していくのであった。
……
キミらはバカか? 怪人が一緒ならともかく、戦闘員だけで仮面ライダーに勝てる訳がないのに、どうして命を無駄に捨てようとするのか?

1号が戦闘員を片付けると、アルマジロング、そしてモグラングが相次いで現れる。
彼らはなかなか賢明で、自分たちで倒そうとせず、ゴースターのいるところまで1号を誘導する。
1号「貴様はショッカーの新怪人か」
ゴースター「俺の名はゴースター、仮面ライダー、どっからでも来い!」
1号はゴースターと殴りあった末、ライダーキックを放つが、跳ね返される。

そしてそのまま噴火口に落ちそうになり、必死に岩にしがみついて耐える。
1号「くそっ、熱い」
ゴースター「5000度の高熱に耐える俺の力を見ろ」

1号「熱い、いくら改造された俺の体でもこの中に落ちたら一分ともつまい……」
結局1号は手を滑らせて、そのまま噴火口へ落ちる。
ここで死神博士が余計なことを考えなければ、1号は確実にあの世行きだったと思われるが、

CM後、アジトで電気椅子のようなものに座らされている1号の姿が映し出される。
性懲りもなく、仮面ライダーを自分たちの味方にしようと考えた死神博士が、わざわざ噴火口から引き上げさせたらしい。
ゴースター「ウーフーッ! 何故殺してしまわないんです?」
死神「使い道がある。元はと言えば、仮面ライダーはショッカーが作った改造人間、それを正義だの、平和だの、人類愛などと、こざかしいことをほざきおって……ショッカーが作ったものはショッカーの為に力を尽くさねばならない! 見ろ、奴にセットした脳波コントロールの威力を」

大人しくヘルメットを被って、脳波をいじられ中の1号。
死神「奴の潜在意識は思うがままだ」
ゴースター「すると、仮面ライダーの1号と2号が」
死神「裏切り者と裏切り者が戦うのだ!」
しかし、本格的な脳手術ではなく、お手軽な脳波コントロールによる洗脳では、いかにも頼りない感じがして、早くも結末がどうなるか予測できてしまうなぁ。
今まで何度も言ってきたことだが、捕まえたらさっさと殺すのが吉である。
さて、舞台はさっさと桜島に移る。
五郎も、隼人を探して桜島の展望台に来ていた。
うーん、これも、都合の良過ぎる展開だね。

で、ここでやっと五郎は、タツジを連れた隼人と再会する。
隼人「おやっさんや、滝は?」
五郎「タツジ君のお母さんと一緒にショッカーに連れて行かれたんだ」
隼人「なにっ」
五郎「ユリ姉さんたちもみんな連れて行かれたんだ」
さっきも言ったけど、隼人がこの瞬間までおやっさんたちがどうなったか知らなかったと言うのは、やや迂闊である。タツジからの話を聞いて、えびの高原ホテルへ直接行くか、電話をすれば、彼らがタツジの母親と同じ運命に遭ったことは大体推測できることだと思うんだけどね。

隼人「これさえ使えれば滝と連絡が取れるんだが……」
死神「一文字隼人よ、貴様の仲間を助けたいのなら、島の火口まで来るが良い」
隼人が滝との間で使っている小型通信機を取り出すと、スピーカーから死神博士のしゃがれ声が聞こえてくる。

隼人「ショッカーの招待、一文字隼人、受けるぞ」
五郎「隼人兄ちゃん、行っちゃダメだ、ショッカーの罠だ」
隼人「五郎、人間、正義の為には、罠と知っていても行かなければならない時がある。お前も大きくなったら分かる時が来る……」 諄々と五郎を諭す隼人の台詞、これぞ孤高のヒーローと言う感じで良いですねえ。
隼人は一人バイクを飛ばして桜島へ。

それに続けて、地下で囚人服を着せられてトンネルを掘らされているおやっさんたちの姿が映し出される……
と言うことは、もう桜島の下までトンネルが出来ちゃってるの?
だいぶ前から作業は行ってきたのだろうが、それにしても進捗し過ぎの工事である。
でも、最初に連れてこられた時は「ここ(えびの高原)から桜島まで……」って言われてるんだけどね。

指定の場所に到着した隼人、ふと見れば向こうから1号ライダーがサイクロンで走ってくるのが見えたので、
「本郷、心配したぞ!」と、笑顔で呼びかける。
が、

1号は、「あ~らよっ」と言う感じに減速せずそのまま突っ込んでくる。
隼人「おわっ!」 あろうことか、1号は隼人を轢き殺そうとする。

隼人「本郷!」
1号「……」
死神博士の声「ふふふふ、ショッカーを裏切ったお前たち、裏切り者は裏切り者で始末する」
隼人「そうか、お前の脳はショッカーにコントロールされているのか、ようし、変身!」

激しくぶつかり合う二人の仮面ライダー。
前回は、初のダブルライダーで子供たちを歓喜させ、今度はライダー同士を戦わせてハラハラさせる、シナリオには突っ込みどころが山盛りだが、この辺のセンスはさすがである。

1号&2号「ライダー……」

1号&2号「キィィィック!」
前回は一緒にスノーマンに叩き込んでいたライダーキックを、互いの体に打ち込む二人。

2号「本郷、意識を戻せ、脳波を切り替えるんだ!」
1号「……」
戦いながら、2号が目を光らせて訴えるが、1号は目は光らせるものの、無言のまま。
2号「もう少しだ……」
1号「いやっ!」
だが、1号は引き続きパンチとキックを繰り出して、遂に2号を屈服させてしまう。
で、ここからまたショッカーがトンチキをやらかすので、みなさん注目ですよ。

彼らの周囲に怪人や戦闘員が出てきて、2号の生死を確認することもなく、味方である1号までその場で始末しようとするのである。
ゴースター「残るは貴様だ、かかれーっ!」
……
キミらはバカか? いや、キミらはバカ!(確定)
何でこのタイミングで1号を殺さなくてはいけないのか?
脳波コンロトールに自信があるなら、そのまま1号を自分たちの味方として頤使すれば良いのである。
あるいは、本格的な脳手術を行って、完全に仲間にするとかね。
いずれにしても、バカ丸出しの行動と言えるだろう。
おまけに、案の定、1号は既に洗脳が解けていて、2号も死んだふりをしていただけだった。

2号「とんだ見込み違いだったな」
1号「俺たち二人は何千キロ離れていてもテレパシーが通じ合ってるんだ」
2号「その働きで本郷の意識は元に戻ったんだ!」
ショッカーって、自分たちの作った改造人間の性能すら、まともに把握していなかったようである。
この後は特に贅言を費やす必要もあるまい。

最後は再びダブルライダーキックがゴースターに炸裂し、

さしも頑強なゴースターも倒される。
なお、キックを受けた瞬間、ゴースターの後ろにひとりの戦闘員が映っているのだが、これは一体なんなんだろう? このカットだけで、それ以降のシーンには出てこない。
まさか、戦闘員の格好のままアクションシーンのサポートをしていたとも思えないが。
とにかく、2号によっておやっさんたちも救出され、死神博士はさっさとアジトを放棄して撤退する。
ラスト、フェリーで九州を去る隼人たちを、港からタツジ親子や多くの人が手を振って送り出している。

だが、猛はあえて少し離れたところから、密かにおやっさんたちを見送っていた。
猛「俺も懐かしい立花のおやじや滝に会いたい。だが会えばまた日本を離れるのがつらい。俺の活躍の場はヨーロッパだ。みんな元気でいてくれ」
撮影の都合もあったのだろうが、最後まで猛がおやっさんたちと一切会わず、おやっさんたちも猛が帰国していたことを知らないまま東京へ帰っていくというのが、いかにもストイックで胸に迫るものがある。
隼人「ただひとり悪と戦う男、本郷猛、お前って、お前って男は本当の勇者だぞ!」
唯一猛の存在を知る隼人も、猛に惜しみない賛辞を送るのだった。
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