第42話「悪魔の使者 怪奇ハエ男」(1972年1月15日)
冒頭、見るからに100パーセント天然果汁のバカ三人が、オープンカーで暴走している。

んで、立花レーシングクラブの真ん前の横断歩道を渡ろうとしていた子供を轢いてしまう。
すぐ、隼人たちが緊張の面持ちで飛んでくる。

隼人「君たちは……!」
怒りの形相でバカたちを睨みつける隼人。

バカ1号「かすっただけだろう?」
パカ2号「もたもたしてるからいけねえんだいっ」
三人は反省の色をこれっぽっちも見せず、ふてぶてしく言い捨てるとさっさと走り去ってしまう。
隼人は子供をおやっさんたちに任せ、自分はバイクでその車を追いかける。
バカたちもバカなりに、隼人のバイクに体当たりをかまそうとしたりするが、改造人間である隼人にかなう筈もなく、結局追いつかれる。

隼人「貴様ぁ、なんとも思わんのか! お前は少年を轢き逃げしてるんだぞ!」
ショッカー以外の悪に対して、隼人がこれほどの怒りを見せるのは初めてのことだった。

運転していたリーダー格のバカことオサムちゃんは車を降りて近くの野原に逃げ込むが、すぐ隼人に捕まり、殴られる。
隼人「ええい、貴様、それでも赤い血の通った人間かっ?」 改造人間である隼人だからこその、重みのある問い掛けである。
オサム「うるせえなっ、日本にゃなぁ、人間が余るほどいるんだい。一人や二人や轢き殺したってかえって清々すらい」
隼人「ゆぅるせんっ!」
なおも憎まれ口を叩くオサムちゃんを、隼人はもう一度ぶん殴る。
性懲りもなく再び逃走するオサムちゃんだったが、かねてから、彼のような腐れ外道を怪人の素材として捜し求めていた死神博士によってショッカーのアジトへ引き摺り込まれ、隼人に撲殺されるのを免れる。

数分後、オサムちゃんは立派にショッカーの怪人ハエ男として生まれ変わり、これからは心を入れ替え、世のため、人のため、精一杯頑張ることを誓うのだった。これで、ご両親も安心だね!
ハエ「ブッブーッ、死神博士、俺は一文字隼人を殺すのだ! 奴は何処だ?」
人間だった時の記憶が残っているのか、ハエ男は開口一番、こんな台詞を放つ。
……なんで隼人の名前を知っているのだろう? ま、いいか。

死神博士「ハエ男、お前の悪魔の血が騒いできたな」
ハエ「ブーッ、ブブーッ!」
死神博士「それではこの薬を立花レーシングクラブの連中に飲ませて来い」
ケースに入った白いタブレットを飲んだ人間は、ハエ男の命令音波で自由に動かせるようになると言う。
もっとも、続けて死神博士は「お前が隼人を殺したいと思うと、薬を飲んだ人間も隼人を殺したくなる」と余計なことを付け加えているので、その効能について、
・ハエ男がコントロールできる
・ハエ男の精神と同調する
の、二通りの解釈が可能になってしまう。
さて、その夜、オサムちゃんの自宅の住所を突き止めたおやっさんたちは(なにしろ暇なので)どやどやとその家へ押し掛ける。
彼らを追って、ハエ男も実家にやってくるのだが、久しぶりの我が家かぁ~と感傷に耽ることはしない。

オサムちゃんの家はかなりの資産家らしかったが、応接室に現れた母親はいかにも上流階級の人間ザマスと言う雰囲気を漂わせた権高な婦人で、この親にしてあの子供あり……と言う感じであった。
母親「立花さん、あなたですか、オサムが子供を轢き逃げしたって言うのは……オサムはそんな不良なんかじゃありません。一体何の証拠があってそんなことを……」
立花「しかし現におたくの息子さんがひとりの少年を車ではねたんですから」
母親「言いがかりです、うちのオサムにはそんな教育をした覚えはありません!」
立花「出直すか、
こんなのに何言っても分からん」
おやっさんも母親の態度に呆れて、小声でぼそっとつぶやく。

だが、引き揚げる前におやっさんは、母親がしきりに勧める(のは不自然だけど)イタリアンローストの最高級コーヒーを「ユリも頂きなさい、こんな高価なものは一生飲めんかも知れんからなぁ」と、貧乏臭いことを言いながら、ユリともども口にする。

母親が下がった後、コーヒーを口にしたおやっさんとユリが急に苦しみだしたかと思うと、いかにもまともじゃないメイクに変貌する。
コーヒーに使われた水には、ハエ男のハエ型ドローンによってあらかじめあの薬が混入されていたのだ。

そして都合よくテーブルにあった果物ナイフを持ち、隼人と滝に迫る。
二人はひとまずおやっさんたちに当身を食らわせ、動きを封じる。

一方、庭の植え込みの中にいたハエ男は、玄関先に出て来た(人間だった頃は何かとお世話になったであろう)若いお手伝いさんに掴み掛かり、白い泡を至近距離から浴びせかける。
お手伝い「うぷっ」
女優として、若い女性として、心底嫌な体験だったろうなぁ(しみじみ)。

おまけに、よろめいて倒れた瞬間に、管理人にパン チラを抜かれてしまう羽目になる。

挙句の果てに、その泡の作用で爆発し、跡形もなく消滅してしまうのである。
しかも、彼女が殺される理由すら「特になかった」と言うのが哀れで不憫で仕方ない。
もっとも、世の中にはもっと不幸な人がいるもので……、

その後、庭で、ショッカー対レーシングクラブのバトルになるのだが、

そこで、隼人に盾に使われ、味方のハエ男の泡を浴びて、弾けて飛んで消えてしまう人(団体職員)と言うのが登場するのである……。
名も無き戦闘員に対し、
黙祷! 隼人も仮面ライダーに変身して応戦するが、結局勝負は引き分けに終わる。
それにしても、折角オサムちゃんの母親を出しながら、その変わり果てた姿であるハエ男と絡ませないのはドラマとして怠慢に思える。

ミカ「かわいそうだわ、縄で縛ったりして……」
隼人「ミカ、今の二人は正気じゃないんだ」
管理人のお気に入りのミカ姉さん、今回はエプロンみたいなジャンパースカートが良く似合っている。
滝がアンモニアの瓶を二人の鼻先に持っていくと、二人はあっさりと目を覚ます。しかも、すっかり元の人格に戻っていたので、隼人たちはホッと胸を撫で下ろす。

ついでに、ミカのアップ画像も貼っておこう。完全な個人の趣味である。
ところが、隼人たちが安堵したのは早計だった。

死神博士「その薬の効き目は三日間続くのだ。いまや一文字隼人のもっとも信頼していた立花藤兵衛は少なくともあとの二日間はお前の命令音波によって一文字隼人の命を狙う殺し屋となっているのだ」
死神博士はさらに、五郎とエミにも薬を飲ませるよう命じる。
で、まぁ仔細は省くが、二人ともあっさりその薬を飲んで、ハエ男の操り人形にされてしまう。

ほとんどゾンビのような動きで、病院の廊下を歩く五郎とエミ。
エミって、正直あまりスタイルは良くないのだが、この黒のエナメルブーツはかなりの色っぽさである。
ただ……、
三人が、そのままレーシングクラブまで歩いて行くと言うのはどうかと思う。 これじゃあ、病院内を歩いている段階で、人に見られて大騒ぎになると思うんですが?
とにかく、隼人が出先から戻ってくると、既に五郎とエミが背中を向けて事務所に座っている。

そして、滝からの電話を受けている隼人の背後から、ナイフを持った二人が密かに近付く……。
が、その時、二人の様子がおかしいので病院を抜け出してやってきた弘少年(オサムちゃんに轢かれた子供)が、「危ない!」と叫んだので、隼人は間一髪でナイフをかわす。

その際、エミが少し体のバランスを崩して、超ミニの下から白いパンツが可愛らしく顔を覗かせると言う、本日二度目のパン チラが出現する。
もっとも、この後もエミは動くたびにパンツが見えるくらいなので、これは見せパンなのかもしれない。

ミカ「隼人さん!」
続いて、再び邪悪メイクになったおやっさんたちがミカを人質にして現れる。
しかし、いくら殺意を持っているからと言って、ただの人間であるおやっさんたちが隼人を倒せる筈もない。
隼人はミカを取り戻すと、弘少年と一緒にレーシングクラブを飛び出す。

で、レーシングクラブの表から、三人がカメラの外へ移動すると、次のカットでは既に、久しぶりに登場のお化け団地に入り込んでいる。
お化け団地ってそんな近くにあったの?
三人は、おやっさんたちと、何処からか湧いてきた戦闘員たちに取り囲まれる。

弘「怖いよー」
ミカ「大丈夫よ、隼人さんがいるから」
子供を勇気付ける為に笑顔になるミカ姉さんだったが、さすがにこの状況で、心の底からの笑顔は変だろう。

嬉しいことに、今回はなんと、ユリまで慎ましやかなパン チラを披露なさっておられる。
ここで一首、
「白いパンツが眩しいね」と君が言ったから、1月15日は「パンツ記念日」 ご清聴ありがとうござ……ぎゃっ、石を投げないで下さい! もう言いませんから!
……こうして(どうして?)、仮面ライダーによってハエ男は何の見せ場もないまま倒され、おやっさんたちもそれと同時に完全に正気に戻るのだった。

弘少年と隠れていたミカも出てくるが、「みんな、今度はほんとに正気に戻ったの?」と怖々尋ねる。
戦いが済んでも珍しくその場に残り、背後でボーっと突っ立ってるライダーがちょっと笑える。
例によって、「あれ、隼人さんは?」と言う疑問は誰も口にしないのだった。
以上、白いパン チラ三連発と、ミカ姉さんの出番が多いのは個人的には嬉しかったが、せっかく悪魔のような男を怪人に仕立てたと言うのに、その設定が劇中であまり生かされていないのが物足りないエピソードだった。
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