第19話「危険な100点少年」(1981年6月13日)
冒頭、中尾工科学研究所なる施設を訪ね、中尾博士から説明を受けているのは、バルシャークこと、鮫島欣也。

中尾「これはただの水だが、この電解装置で瞬間的に水素を分離して、強力な水素エネルギーに変換するんだ」
中尾博士がそう言いながらコップの水を装置に注ぐと、たちまちそれにつながれた自動車のエンジンが回転を始める。しかも、その車はロープで大きなトラックを引っ張りながら爆走し、最後はロープが切れて敷地内の池に飛び込んでしまう。
中尾「エネルギーが強過ぎて爆発したんだ。ただ、ここまでくればあと一息、エネルギーさえ制御できれば実用化できる」
中尾博士を演じるのは、たいてい悪役をやることの多い原口剛さん。
だが、この時既にブラックマグマのガマモンガーが敷地内に侵入していて、実験の一部始終を目撃し、中尾博士の発明の凄さを本部に戻って報告する。
当然、ヘルサターンはその発明を軍事目的に利用しようと考え、その発明の強奪を命じる。
もっとも、ブラックマグマならずとも、そんなごっつい研究が進められていると知れば、世界中の政府、軍、企業、悪の組織が群がり寄って来ることは必定である。
あるいは、石油に取って代わる可能性の高い水素エネルギーの出現を喜ばない石油メジャーが、中尾博士の抹殺を図ってもおかしくはない。
嵐山長官は、サンバルカンに、平和守備隊と共に中尾博士の身辺をつきっきりでガードするよう命じる。

そんな折、庭の植え込みの中にいた、博士のひとり息子である宏を欣也たちが侵入者だと勘違いして出動する騒ぎが発生する。この研究所は、中尾博士の自宅兼用の建物らしい。
中尾「宏、何をやってるんだ、こんなところで……パパは今研究の一番大事なところなんだぞ。人騒がせな真似をして邪魔をしないでくれ」
宏「……」
朝夫「博士、もういいじゃないですか」
中尾「いや、この子はいくら言い聞かせても分からない子なんだから」
宏は、父親に対して何か含むところがあるようで、叱られてもそっぽを向いて風船ガムを膨らませている。
その後、欣也は、宏が点数の低いテストの答案を捨てようとしていたことを知り、「間違ったところをやり直し、分からないところを聞いたりすれば、パパだってその努力を認めて許してくれるんじゃないかなぁ」と、男気溢れるアドバイスを与える。
宏は欣也のアドバイスを鵜呑みにして、

宏「パパ、やってみたけど、どーしても分からないところがあるんだぁ」
研究も大詰めで、見るからに忙しそうな父親のところへ押し掛けて、空気も読まず話しかける。
中尾「なんだ、この忙しい時に……なんだ、またこんな点を取ってきたのか、あとにしろ、パパは今一番大切な時だってのが分からんのか?」
宏「……」
さすがに見兼ねて欣也たちがとりなそうとするが、宏は「パパいつもそうなんだ!」と叫び、部屋を飛び出してしまう。
絵に描いたような逆効果であった。
宏を探しに研究所を出た欣也の前に、ガマモンガーが現れ、襲ってくる。
その後、龍介と朝夫も駆けつけ、無駄に長い戦闘シーンに発展する。

そして、三人をその場に釘付けにしている隙に、公園のブランコに座っていた宏少年に、普通の格好をしたゼロツーとゼロフォーがにこやかに接近すると言う段取り。

ゼロフォー、ロングパンツでも履いてるのかと思いきや、昔の小学生みたいな黒い半ズボンだったのが、ちょっとミスマッチで萌えるのである。
ゼロスリー「僕、中尾宏君でしょ」
宏「……」
ゼロフォー「パパに愛されない、可愛そうな坊や」
ゼロスリー「あんなうちにいても面白くないでしょ、だからお姉さんたち、宏君を助けてあげようと思うの」

ゼロフォー「もう勉強しなくてもいいし、学校に行かなくてもいいし、パパに叱られなくてもいい、とってもいい方法があるのよ」
宏「ほんと?」
ゼロフォー「うんっ!」 宏の問い掛けに、可愛らしい返事をしてから、ゼロツーと目を見交わすゼロフォー。
この「うんっ」が、濃いメイクとの落差もあってめっちゃラブリーなのだが、当然、キャプではそれが伝わらないのが残念である。
ぶっちゃけ、今回の一番の収穫はこのゼロフォーの半ズボンだろうなぁ。
とにかく、宏は二人の甘言に乗って、ほいほいブラックマグマのアジトへついて行ってしまう。
そして、各種データを測定され、そのデータを元に宏そっくりのダークQが作り出される。
それをスパイとして博士の身辺に送り込もうと言う作戦なのだ。

宏「あ、俺がいる!」
ニセ宏(無言で頷く)
ゼロツー「今からこの子があなたの代わりを務めてくれるのよ」
ゼロフォー「その間、あなたは遊びまわってればいいの」
宏「そうか、そいつは良いやー」
宏、物事をあまり深く考えない性格なのか、それとも
ただのバカ なのか、彼らがどう見てもワルモノなのに、一向に怪しまず、手放しで喜ぶ。
しかし、宿題や授業の時間だけでなく、ずーっと入れ替わりっぱなしと言うことは、とりもなおさず宏は中尾家に戻れなくなることを意味する訳で、小学生の彼がたちまち路頭に迷うことは簡単に想像がつく。
だが、宏は、明日は明日の風が吹くイズムの持ち主なのか、それともやっぱり
ただのバカ なのか、

言われたとおり、ゲーセン(ゲームコーナー)で遊びほうけるのだった。
もっとも、当時はまだビデオゲームより、スマートボールやもぐら叩きやら、物理的なゲームばかりである。2年前の「バトルフィーバーJ」では、メンバーがインベーダーゲームに興じるシーンもあったけどね。
なお、この入れ替わりプロット、「宇宙刑事シャイダー」第12話「百点源太の正体?」とクリソツである。脚本は、こちらが曽田さんで、あちらは上原さんだけど。
ただし、「シャイダー」では、両親もニセモノとの入れ替わりを承知していて、本物はそのまま家に残ってゴロゴロしている……と言う風に変えられていて、管理人が指摘した疑問点を解消している。
ついでに言えば、路頭に迷った宏が、早晩、父親に助けを求めて、結果的に入れ替わり作戦に支障が出るであろうことは、ゼロガールズたちにも容易に察しがついた筈で、そう言う意味から、彼らがわざわざ本物の宏を解放したのは不可解である。
ダークQさえ宏そっくりに仕立ててしまえば、本物は用済みなので、殺すか、人質に取っておくと言うのが、由緒正しい悪の組織の取るべき道であったろう。

その夜、中尾博士、ニセ宏、サンバルカンの三人が同じ食卓を囲んで家庭料理(誰が作ったんだ?)を味わっている。
三人は研究所に寝泊りしているのだろう。
それにしても、スーパーヒーローがこうやって茶碗でご飯を食べてるシーンってありそうであまりない光景だよね。基本的にヒーローは家庭を持たないことになってるからね。

ニセ宏「パパ、今日はごめんなさい、これから心を入れ替えて一生懸命勉強します」
中尾「うん?」
朝夫「ひょひょうっ、どういう風の吹き回しなんだろうねー」
中尾「お前、刺身は嫌いだったんじゃないのか」
ニセ宏「今日から全部やり直すと言ったでしょ、天国のママにも誓ってきたんですよ」
まるで別人のように良い子ちゃん発言を連発する宏。
でも、ここまで極端に改心すると、かえって怪しまれそうな気がするのだが、続けてニセ宏は、中尾博士と宏しか知らない、家族旅行の話を持ち出して自分が本物だと言うアピールをする。
龍介「研究が終わればまた二人で行けるさ、ねえ、博士」
中尾「そうだな」
ニセ宏「うわー、楽しみだなー」
一方、本物の宏はどこかの家の犬小屋に潜り込んで、一夜を過ごす。

翌日、ニセ宏は100点満点の答案を手に、誇らしげに学校から戻ってくる。
中尾「やればできるんだなぁ」
龍介「昨日は20点だったのに」
欣也「急にこんな良い点が取れるもんかなぁ」
中尾「私の息子だもの、これが当然だ」
欣也だけはやや不審そうな顔になるが、父親は疑う素振りも見せない。
その後、本物の宏がニセ宏を公園に連れ出し、もう一度入れ替わって欲しいと懇願する。

ニセ宏「僕たちは入れ替わる約束をしたんですよ」
宏「でも俺が本当の子供だ」
ニセ宏「じゃあ算数で100点取れますか? 明日は理科のテストがあります。僕はパパに100点取ると約束しました。君にはそんな約束できますか? できっこないでしょう。そう言う子はもうパパの子ではないのです。何故ならパパは僕を見直したからです。僕こそ本当の子供だと思っているからです」
無論、ニセ宏がそんな要求を入れる筈もなく、滔滔とまくし立てて宏を黙り込ませる。
最終的にはつかみ合いの喧嘩になるが、人間がダークQにかなう筈もなく、本物の宏は負けて逃げ出す。

宏は、レギュラー子役たちに伴われてサファリにやってくる。
正男「マスター、ちょっとこの子の話聞いてやってくれよー」

まり「家出してきたみたいだけどー」
次郎「なんだかさっぱり訳の分からないことを言ってるんだー」
管理人、未だにどっちが正男でどっちが次郎だか良く分からない……
ま、どっちでもいいか……
宏「俺、負けたんだ、俺、ニセモンの宏に負けちまったんだ!」
嵐山「君は、誰なの?」

宏「中尾宏、本物の中尾宏だぞ!」
何度も書いて恐縮だが、管理人はまりちゃんの顔が好きである。

宏の聞き捨てならない言葉に、人差し指をつき合わせて唇に当てる嵐山。
嵐山「ちょっと薬を持って来てあげようね……」
嵐山、美佐に後を任せて奥に引っ込む。次のカットでは、

嵐山「嵐山だ、そちらの宏君はニセモノだぞ」
きっちり、嵐山長官の姿になってから、研究所のサンバルカンに通信している。
いや、この場合、別に服装は替えなくても良いと思うんですが……
三人はそれを受けて、中尾博士にも協力して貰い、ガマモンガーやニセ宏を研究所の外へ誘い出し、彼らを(うんざりするほど長い戦闘シーンを経て)撃破する。
事件解決後、サファリで感動の再会を果たす中尾親子。
中尾「パパがいけなかったんだ、許しておくれ……パパは研究にばかりに夢中になっていてお前のことを忘れていたんだよ。もうこれからは決して寂しい思いはさせないよ」
宏「パパーっ!」
そして今回も、

最後に「サンバルカン体操」のコーナーがある。
これを専門用語で
「トホホでやんす」と言う。
16話では、変身後の三人だったが、ここでは役者本人が踊っている。

また、今回はレギュラー子役三人も後列に加わっているようだ(画面左端がまりちゃん)。
で、それを眺めているのが、美佐と、

嵐山……じゃなくて、何故か、中尾博士なのだった。
管理人、不覚にも、いかにもナイスミドルな原口さんを見て、吹き出してしまったことを告白しておく。

さらに、途中から美佐と中尾博士まで加わって、元気にヒーロー的なポージングを見せるのだった。
原口さんのこんな姿、まず他では見られないよね。
これが、いかにもマイホームパパと言う感じで可愛いのだ。
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