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アニメ「はいからさんが通る」 第29話「硝煙弾雨のシベリアで」



 第29話「硝煙弾雨のシベリアで」 作画監督 田中英二・岸義之

 3回続けてのタマプロ担当なのだが、今回は岸義之氏である。

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 鬼島「くそう、取り囲まれたか」

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 ロシア兵「ウラーッ!」
 鬼島「いよいよやって来やがったぜ」

 過去の経験から、今回もひどい作画だろうと思っていたのだが、それがそうでもない。西城・水村両氏には劣るが、シリーズ全体の中ではかなりの高水準である。

 それはさておき、前回のラストから引き続き、小隊からはぐれ、シベリアの荒野を圧倒的多数の敵兵から逃れながら疾走している忍と鬼島の美形コンビ。

 ちなみに「ウラーッ!(ばんざい)」などと訳の分からないことを叫びながら突撃している指揮官の声は、伊集院伯爵と同じ宮内幸平さんである。

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 忍「鬼島、あの林に逃げ込め」
 鬼島「よおし!」

 忍の指示で、鬼島が手綱を操って馬首をそちらへ向けるが、林の中にも既に敵兵が待ち構えていて、

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 彼らの足共に銃弾の雨を降らし、馬も驚いて棹立ちになる。

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 姿勢を崩しながら、鬼島の肩越しにピストルで反撃する忍。

 しかし、相手の姿も見えないのに闇雲に撃ったところで当たる筈もない。

 鬼島「ダメだ」
 忍「いよいよ最期かな」
 鬼島「くそぉ」

 愛しの少尉が生と死の瀬戸際に立たされているとも知らず、紅緒も前回から引き続き、舞踏会の会場で華族の女性たちから容赦のない嫉妬と羨望と蔑みの入り混じった視線を集めていた。

 いや、視線どころか、そのうち聞こえよがし露骨な陰口が叩かれ出す。

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 女「このようなお方が良く伊集院の若様とお近づきにおなりあそばしたこと」
 女「お羨ましいわ、きっとその電信柱のようなプロポーションが若様のお気に召したのですわねえ」
 女「まぁ、いやですわ。おっほっほっ」

 紅緒「イーッ、電信柱ぁ? ベーッだ、電信柱に手足があってたまるかーっ!」

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 女「忍様があなたなんかを本気で相手にするモンですか」
 女「そうですわ、若様って冗談がお好きな方ですもの」
 女「珍しいペットでも飼ってらっしゃるおつもりよ」

 紅緒「……」

 紅緒が大人しくしているのをいいことに、淑女たちの陰口はとどまるところを知らず、豪胆な紅緒も、そんな剥き出しの悪意を一身に浴びてはさすがに良い気持ちはしない。

 女「下々の方は私どもが考えもつかぬ事をなさいますのよ、家柄とか財産とか、下々の方が喉から手が出るほど欲しがるものを私たちは持っているのでございますもの」

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 紅緒(なによ、このおばさん、あたしが財産目当てで少尉と婚約したっていうつもり?)

 とりわけ権高そうな女の聞き捨てならない言葉に、紅緒もぐっと顎を引いて心の中で激しい怒りを燃やす。

 この紅緒の横顔などもなかなか良く描けている。作画がひどい時は三日月のように尖がるからねえ。

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 蘭子「うう、もう我慢できないわ。あのね、皆さん、言っておきますがね、紅緒さんは少尉に一方的にプロポーズされて、無理やり伊集院家に連れてこられたのよ!」

 そばで聞いていた蘭子(蘭丸)、ついに堪え切れなくなって紅緒の代わりに反論するが、

 女「じゃあ、やっぱり新しいペットのおつもりなのよ」
 蘭子「な、なんだってーっ!」(MMR風)

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 紅緒「やめて、蘭丸!」

 紅緒、蘭子が振り上げた腕を押さえて思わず本名を叫んでしまう。

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 女「蘭丸、蘭丸ですってよ?」
 女「そう言えば、踊りの藤枝蘭丸そっくり」
 女「まぁ、ほんと」

 蘭丸の名を聞いた途端、貴婦人たちの目の色が変わる。少尉同様、蘭丸も女の子たちの憧れの的なのだ。

 熱っぽい注目を浴びてついポーズを取ってしまう蘭子だったが、

 女「ああ、この人なのね、藤枝蘭丸に似ているので蘭丸気取りで得意になってるメイド!」
 女「じゃあ忍様は変わったペットを二人も飼っていらっしゃるのねえ!」
 女「どわっはっはっはっ!」(大ウケ)

 上流階級の女性たちは、笑いがかなり安いらしい……。

 紅緒、なんとか蘭子をなだめて向こうへ立ち去らせる。

 ここでまたシベリアでの忍と鬼島の様子が描かれてから、再び舞踏会会場へ。

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 男「まぁ、この方、ぼくちゃんのご趣味にピッタンコ!」

 紅緒がそれがアルコールとも知らずジュースのつもりでシャンパンを何杯もおかわりしていると、見知らぬなよなよした長髪男が紅緒に目を付ける。

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 男「ねぇ、おかあたま」
 母親「なぁに、ぼうや」
 男「あのねえ、えっとねえ、ぼくちゃん、このお嬢ちゃんと踊りたいのぉ」
 母親「まぁ」

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 紅緒「ぷーっ!」

 原作にも出てくる、おかまっぽい上にマザコンと言う初めて見る人種に、さしもの紅緒も思わず口中のシャンパンを勢い良く吹き出す。

 ちなみにこの名前もないキャラクター(註・EDクレジットでは、シスターボーイと書かれている)、演じているのは、あの(どの?)三ツ矢雄二さんなのである。

 男「ねえ、ねえ、いいでしょう、おかあたまぁ」
 母親「しょうのないぼうやねえ」

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 紅緒(なんじゃこの男は? 男のおひきずりさんかしら?)

 男「ぼくちゃん、この人と踊りたいのぉ、ねえ、いいでしょー」
 母親「ううん、仕方がないわねえ、でもあんまり近付いてはいけませんよ、うっかりすると噛み付かれるかもしれないから」

 男は強引に紅緒と一緒に踊ろうとするが、それを見ていた伯爵が例によって怒り狂い、インテリアの甲冑の剣を掴んで男を追い掛け回す。

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 伯爵「情けない、最近の日本男子はおなごと一緒に踊ると言うのか? うーむ」
 紅緒(この時代遅れが少尉のおじいさまだなんて信じられないわ)

 ここで、またまたまたまたシベリアに舞台が飛ぶ。

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 鬼島「頼む、少尉、生き延びてくれ、小隊全員の為だ。俺たちならず者部隊には少尉が必要だ。みんなの為に生き延びてくれ」
 忍「……」

 執拗な敵の追撃をさけて、くぼみに身を潜めている二人。

 お守りの幸運のサイコロを忍の手に握らせ、熱っぽく訴える鬼島と、それを見詰める忍。

 CMの後、鬼島は忍を殴って気絶させ、自分が囮になって敵をひきつけ、忍を助けようとするが、逆に忍に打ちのめされて、あえなくダウン。

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 で、またまたまたまたまたまたまたまた舞台は舞踏会会場へ戻る。

 伯爵「あの馬鹿者、いつまでひとりでおどっとるんじゃ?」

 伯爵、ふと、フロアの一隅でオーケストラを指揮している指揮者に目を留める。

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 紅緒「ああ、あれは、指揮者と言いまして……」
 伯爵「なに、さては楽隊の一員だな?」

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 紅緒の説明をどう受け取ったのか、伯爵はつかつかと指揮者の背後に歩み寄り、

 伯爵「ああ、これこれ指揮者とやら、そこをのかぬか。そのほうが楽隊の前にいては、楽隊が見えんではないか」
 指揮者「なぁーにを言っとるんですか、あなた、指揮者ってのはね……」
 伯爵「邪魔だ。のかぬか」
 指揮者「何たる無知、無教養!」
 伯爵「のけと言うのに!」
 指揮者「頭がイカレとるのかしら、このじいさん、ほっとこ」

 かつて浅草オペラに勤めていて、紅緒の巻き起こした騒動のせいでそこをクビになってようやくここに再就職を果たした指揮者を演じるのは、ナレーター、紅緒の父もやってる永井一郎さんである。

 指揮者は伯爵を無視しようとするが、剣先で尻を突付かれて脅され、結局反対側を向いて指揮をさせられることになる。

 伯爵がそんなことをしている隙に、再びさっきのマザコン男が紅緒に近付いてダンスを教えようとするが、紅緒のハチャメチャな動きに翻弄され、最後は柔道の投げ技で床に叩き付けられてしまう。

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 紅緒は諦めたマザコン男は、今度は蘭子の美貌に惹かれ、ぐいぐい迫ってくる。

 蘭子「困りますわ、私、メイドですのよ」
 男「なんの、恋に身分があるものか! さ、お嬢さん!」

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 蘭子「ねえ、あんた、生憎だけど僕、男なの!」
 男「ひええええ!」

 男を追い払おうと、いきなり胸元をガバッと広げて自分の正体を明かす蘭子。

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 男「あれが男だなどとは、なんたる神への冒涜!」
 蘭子「ひひひひ」
 男「何のこれしき、恋に男女の区別はなぁーい! ふっふっふっふっ」
 蘭子「な、なんと!」

 水鳥拳……いえ、なんでもないです。

 男「おお、ベイビー、僕ちゃんの宝石」
 蘭子「ま、負けた」
 男「さぁ、禁断の木の実を共に摘み、ソドムの愛を共に語ろう」
 蘭子「あれー、紅緒さーん!」

 自らも胸毛を露出して、委細構わず迫るマザコン男にさすがの蘭子もタジタジ。

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 紅緒「ううー、堪忍袋の緒が切れた! 許せ、少尉よ、あたしゃやっぱり大和撫子失格!」

 紅緒、遂にぶち切れて、心の中で忍に謝ってから、蘭子を助けようとマザコン男に掴みかかる。

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 ところが、逆に突き飛ばされた紅緒、思わず指揮者のズボンにすがりつき……、

 紅緒「溺れるものは何でも掴む!」
 指揮者「あ、ああーーーっ!」

 公衆の面前でパンツを暴かれ、世界が終わったような悲痛な叫び声を放つ指揮者。

 この辺の演技はさすが永井一郎さんと言った感じである。

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 指揮者(無知無教養のじさまにからかわれ、その上、この屈辱! はぁーっ、折角オペラ座からここへ就職できた矢先ではあるが、もう、駄目だ!)

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 指揮者「クェッ、クェッ、クェッ、クェッ……元気かね、明智君?」
 紅緒「およっ!」

 人格崩壊した指揮者、血走った目を紅緒に向けると、大和和紀先生の好きな(?)乱歩ネタで宣戦布告する。

 ちょうどそこへボーイがパイ皿の載ったワゴンを押して入ってくる。指揮者はそのパイ皿を掴むと、紅緒目掛けてぶん投げる。

 が、紅緒はひょいと首を傾げてかわし、パイは紅緒の後ろにいた貴婦人の顔に命中。

 それをきっかけに優雅な舞踏会会場は、誰彼見境なくパイ皿をぶつけあい、蘭子とマザコン男が走り回り、果てはみんなで乱闘騒ぎに突入するカオスな空間に変貌する。

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 紅緒(でも、おかしいわね、今日はお酒を飲んでもいないのに、どうしてこんなに大騒ぎになっちゃったのかしら?)

 騒ぎの原因を作った紅緒だけはひとり乱闘に加わらず、みんなの狂騒ぶりを不思議そうに眺めていた。

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 ボーイ「シャンペンをどうぞ」
 紅緒「ジュースじゃないの、これ?」
 ボーイ「いいえ、お酒でございます」
 紅緒「ひええっ、このジュース、お酒だったの?」

 ボーイ(塩沢兼人)の言葉に、漸く自分が随分前からアルコールを摂取していたことを知る紅緒。

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 紅緒「うわー、大変! 禁酒の誓いを破ってしまった! 少尉! 少尉の身に万一のことが……」

 紅緒、知らず知らずのうちに忍の無事を祈願しての酒断ちを破っていたことに気付き、たちまち酔いも醒めて青くなる。

 果たして、忍は絶体絶命の窮地に立たされていた。

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 忍「さらばだ、鬼島……紅緒さん、見ててくれ!」

 紅緒がヤケクソになって巨大なパイ皿を放り投げている頃、忍は押し寄せてくる大軍に向かって、単身、サーベルを抜いて突撃を敢行するのだった。

 どれくらい経ったか、鬼島は目を覚ます。だが、地溝から這い上がってみると、満天の星空の下、忍の姿も敵兵の姿も、跡形もなく消えていた。

 凍り付くようなシベリアの荒野に、忍の名を呼ぶ鬼島の叫び声が空しく響き渡る……。

 (C)大和和紀・講談社・日本アニメーション
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70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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