「ケータイ刑事 銭形雷」 第12話&第13話「ケータイ初の活弁劇!」
- 2018/01/18
- 18:22
第12話「ケータイ初の活弁劇!」(2006年3月19日)
第13話「ケータイ初の活弁劇!」(2006年3月26日)
様々な実験的な試みで知られる「ケータイ刑事」シリーズだが、今回は、2週連続で「活弁」をテーマにしたエピソードを放送すると言うことをやっている。
「活弁」と言うのは、つまり、無声映画に専門の弁士が説明や台詞を加えながら流すと言うアレである。
具体的には、まず第12話のAパートで、いつもの半分ほどの長さのドラマが普通に放送される。ついで、Bパートでは、Aパートと全く同じ映像に、今度は弁士(山田広野)付の無声映画と言う形で、ただし、シナリオは全く別物のドラマが放送される。
続く13話では、Aパートで、雷の活弁による12話のAパートと同じシナリオと映像。
Bパートでは、岡野の活弁による、これまた別のシナリオによる同じ映像。
書いてる自分も混乱してしまうが、要するに12話のAパートの映像が音声を変えて4回続けて流れる訳だ。
分かりにくいのでまとめて書くと、
第12話のAパート「雷が凶器?~森田正光殺人事件」
第12話のBパート「エロイムエッサイム! 我は求め訴えたり~森田正光殺人事件」(弁士・山田広野)
第13話のAパート「雷が凶器?~森田正光殺人事件」(弁士・雷)
第13話のBパート「えっ!? この人が犯人?~晴れときどき殺人事件」(弁士・岡野)
と言うことになる。
で、結論から言うと、全然面白くないのである。活弁で見ても。
13話のAパートは同じ話を活弁で繰り返しているだけだし、 12話のBパートと13話のBパートも、同じ映像で無理やり違う話を作っているので、無理だらけのシナリオで、おまけに活弁なので、これまたちっとも面白くないのだ。
よって、レビューではかろうじて見れるAパートのミニドラマだけを対象として、12話のBパート以降は忘れることにする。
12話のAパートも、最初は弁士(山田広野……誰?)による活弁調の説明が入る。
弁士「この男性、紹介するまでもないだろう。森田正光、日本一有名な気象予報士である。しかし森田さんがエアーギターの達人であることはあまり知られていない」
続いて、海辺の別荘風の建物の一室に設けられたパーティー会場の壇上で、エアーギターを披露している森田正光(本人)の映像となる。曲目は、「ケータイ刑事銭形雷」のOPテーマである。

雷「あれがエアーギターですか」
岡野「うん、直訳すれば空気ギター、いわゆるギターの弾き真似だな」
客の中には何故か雷と岡野の姿もあって、森田のパフォーマンスを驚きと感嘆の目で眺めていた。
今日は、森田のエアーギター世界選手権出場を控えて、その壮行会が開かれているのだ。

金剛地「いやぁ、グレイト! こんなプレーを見せられたんじゃ、僕もうかうかしてられませんねえ」
森田「またまたぁ、世界4位の金剛地君に私が勝てる訳ないじゃないですか~」
演技終了後、客の一人、金剛地武志(本人)が惜しみない賛辞と拍手をささげる。
金剛地さん、言われずと知れた初代鑑識の柴田役だが、今回は本人役で登場している。
彼がエアーギターの名手だということは割と有名であるが、世間の人は誰もエアーギターなんかに興味はないので、それほど有名ではない(どっちだよ)。
ま、エアーギターに命を賭けている人には悪いが、何が面白いの、これ?

渡辺「次の大会は、二人でワンツーフィッニッシュなんて良いんじゃない?」
続いて、このシリーズのメインライターの一人、渡辺睦月さん。こちらはさすがに俳優が演じている。

佐々木「ところでみんな、ケータイ刑事・ザ・ムービー、見てくれた?」
他にも、監督の一人、佐々木浩久(別人)や、

多聞「ワンツーフィニッシュなんてことになったらこう言ってよ、今の私たちがあるのはすべて、なにからなにまで、まるっと多聞さんのおかげですって、やめてよぉ、もう~」
名物プロデューサーの丹羽多聞アンドリウ(別人)など、「ケータイ刑事」にゆかりの深いメンバーが顔を揃えていた。

渡辺「ねえ、あの二人は? 見掛けない顔だけど」
森田「あ、警視庁の刑事さんたち……あの、ちょっと厄介なもの貰っちゃったんですよ。それで……」
岡野「どうも、警視庁の岡野警部……」
ほどよく彼らが自分たちに注意を向けてくれたので、二人はつかつかと彼らのそばへ行き、自己紹介する。

雷「……補」

雷「……と、銭形です」
岡野「……」
いつものように肩書きを詐称しようとする岡野の言葉をポンと肩を叩いて訂正してやる親切な雷であった。
金剛地「だけど、なんです、厄介なものって」
森田「殺人予報」
4人「殺人予報?」

岡野「はい、これです。殺人予報、3月26日、北北西に進路を取っていた低気圧が南に停滞していた雷雲を押し上げ……」

岡野「これに伴い激しい雷が森田さんの頭に落ちる模様です。さようなら、森田さん、ゴロゴロ、ドカン」
岡野の読み上げる「殺人予報」の文面に合わせて、色んなポーズをとる雷が可愛いのである!
渡辺「3月26日って今日じゃない?」
金剛地「雷で森田さんを殺すってことですか」
岡野「おそらく」
多聞「でも雷って自由に操れるわけぇ」
森田「いや、無理だよ、100パーセント」
多聞「だったら、心配することないじゃないですかぁー」
と、その時、実際に窓の外で雷鳴が轟く。少なくとも雷雲が発生していることは間違いないようだ。
岡野「いいですか、今日はこの建物から絶対に出ないように」
渡辺「そんな怖がらなくても」
金剛地「そうですよ、外に出なきゃだいじょぶなんですから」
森田「分かってますけど……」

雷「みんな容疑者なんですか」
岡野「うん、この予告状を送り付けたのはあの中の誰かと見てまず間違いない」
その後、予告状の送り主は誰だろうと参加者の品定めをしている二人。
しかし、なんで「間違いない」のか、まったく根拠が示されていないのだが……。
岡野「まず、ピンクのシャツの多聞、オファーした仕事を森田さんに断られたらしいんだ」
岡野「赤いセーターの睦月、愛犬に森田さんが期限切れのおすむびを食べさせたらしいんだ」
岡野「青いスーツの金剛地、恋人の佐藤二朗さんが森田さんのファンクラブに入ったことを嫉妬して……」
岡野の台詞に合わせて、それぞれのキャラが一言言うのだが、

金剛地「僕の愛する二朗を返して!」
金剛地さんの悲痛な叫びに、なるほど、やっぱりそう言う関係だったのかとつい頷いてしまいがちになるが、無論、冗談である。
岡野「ユニフォームの佐々木、映画監督らしいんだが、自分の作ったケータイ刑事・ザ・ムービーを森田さんが見てないことを知って」

佐々木「えっ、まだ見てない。この野郎ーっ!」
なお、黒川芽以、堀北真希、夏帆の三人が共演している「ケータイ刑事・ザ・ムービー」だが、
はっきり言ってクソみたいな映画である。
雷「どれも殺すほどの動機には思えないんですけど」
岡野「まったくねー」
ところが、突然森田の「死にたくないよー」と言う悲鳴が上がり、呆気に取られる雷たちの眼前を森田が極度に狼狽した様子で駆けて行き、外へ出てはいけないと言っていたのに窓から庭へ出てしまい、庭に立ててあるテントの中に入ったかと思うと、そのテントに雷が落ちてきて、「殺人予報」どおり、森田は落雷によって即死してしまう。
二人は早速捜査を開始する。
テントもばらばらに壊れ、パイプ椅子や金具が散乱する芝生の上を調べていると、ルアーや釣竿が落ちていることに気付く。

雷「釣竿もあります」

雷「……よどむ、悪の天気」
二人は金剛地たちに話を聞く。すると、彼らは森田も含めて全員釣りの愛好家であることが判明する。
岡野「落雷現場に釣竿が落ちてました。しかも素材はカーボン」
雷「カーボンは炭素だから、雷が落ちやすいんです。だから犯人がテントに釣竿を立て、雷が落ちるように細工したんじゃないかって」

金剛地「ひとつ疑問が。おっしゃるような細工をいくらテントに施しても森田さんが中に入らなければ雷には打たれなかったんじゃありませんか?」
多聞「そのとおり、森田さんは自分の意思で外へ出てテントに入っていったんですよ。どうやったら私らが森田さんの行動を事前に予測できたって言うんですか?」
容疑者に推理の欠点を指摘され、二人は再び犯行現場に戻って捜査のやり直し。
しかし、金剛地の疑問の以前に、いくらカーボンの釣竿を立てていたからといって確実に雷が落ちるなんてことは誰にも言えない筈だし、さらに、森田がテントにいる間に雷が落ちる確率なんて、めちゃくちゃ低いわけで、とても成功しそうもない殺人方法である。
ま、これが通常の30分枠なら、落雷で死んだと思わせて、実は機械的なトリックが使われていたとか、もっと裏のある計画にすることも出来たかもしれないが、なにしろ15分しかないので、その問題点についてはあえてみんなも気付かないふりをしている。
さて、雷は現場で中身の入ったペットボトルを見付ける。岡野がポイとそれを捨てると、そこに居合わせた鑑識柴田が拾って、いきなり中の液体を飲んでしまう。

雷「あっあっ、毒物だったらどうするんですか!」
岡野「かまわん」
岡野、ひでー。
液体を口にした柴田、一瞬顔を歪ませるが、
柴田「これは、オズマ返しです!」

雷「オズマ返し?」
柴田「はい、遅効性の猛毒オズマ殺しの毒性を一気に消し去る解毒剤」

雷「そうか、謎は解けたよ、ワトソン君!」
しばし考え込んでいた雷、あっさりと解答に辿り着いていつもの決め台詞をカメラに向かって放つ。
その夜、何の前触れもなく雷の「お仕置き」が真犯人の頭上に落ちる。

それは意外にも、番組の縁の下の力持ちとも言える金剛地であった。
さすがに「ケータイ刑事」元祖レギュラーの誇りにかけて、金剛地さん、切れのあるシビレ演技を見せた後、豪快に白い粉を吹き上げて見せる。

雷「あなたが犯人ですね、金剛地さん」
金剛地「何を証拠に?」
雷「あなたは今日の14時半、この上空に雷雲が来るのを知っていた。昨日あなたは森田さんに今日の天気を詳しく聞いたそうですね。だからあなたはテントにカーボンの釣竿を立て、雷が落ちるように細工をしたんです」
金剛地「いいでしょう、100歩譲って僕が釣竿を仕掛けたとします、しかし森田さんは自分の意思でテントに入って行った、それはどう説明しますか?」
雷「それはあなたがそうするように仕向けたんです」
金剛地「どうやって?」
雷「たとえば、こんな風に」

金剛地「森田さんのグラスにはオズマ殺しが入っています。知ってますよね、猛毒のオズマ殺し、解毒剤はあのテントにあります。残された時間は1分……」
森田「死にたくない、死にたくないよーっ!」
雷、金剛地の使った手口を推理して再現してみせる。

雷「これが現場に残されていた解毒剤です。違いますか?」
金剛地「さすがだねぇ、雷ちゃん、参った!」
時間がないので、金剛地もジタバタせず、すんなり犯行を認める。
しかし、これだけでは金剛地の仕業だと断定するのは無理があるのでは? ペットボトルに指紋でもついていればまだしも……。
だいたい、どうして金剛地は馬鹿正直に解毒剤を用意していたのか? 最初から落雷で殺すつもりだったのなら、解毒剤など必要なかった筈である。
それともうひとつ、いくら錯乱したとは言え、森田がテントに向かって走りながら「金剛地めーっ」みたいなことを口走っていたらどうするつもりだったのだろう?
岡野、やはり森田と二朗さんとの三角関係のもつれが原因かと尋ねるが、
金剛地「いいえ、あんな浮気者!」

雷「じゃあ、どうして?」
金剛地「怖かったんですよ、森田さんのエアーギター、森田さんに抜かれるんじゃないかって……」
金剛地、ぽつりと動機を漏らすが、「ケータイ刑事」シリーズの中でもサイテーの動機と言えるだろう。
さて、手錠をかけられる前に、金剛地は雷たちのはからいで、世界4位のエアーギターのテクニックを思う存分披露するのだっだが、どうでもいいのでカット。

雷「事件発生から逮捕まで15分、番組始まって以来のスピード解決ですね」
岡野「でも、やばくない? ケータイ刑事は30分の番組だよ、それがこんなに早く終わってしまって」
雷「あ、時間の問題ですか」
岡野「違うよ、ギャラだよ!」
ラストも、型破りな楽屋落ちの台詞が交わされる。

雷「皆さん、大丈夫ですよ。残りの15分は山田広野さんにお願いしてありますから」
雷が、カメラに向かって話しかけたところで、一応、エンドマークが出る。
そしてCM後、
山田「えー、それでは続きまして、私、山田広野が先ほどと同じ映像を用いて活弁によって語らせて貰います。古くて新しい日本の和芸、ご堪能下さい」
お断りだ!(by管理人)
で、活弁による12話のBパートは、それぞれの役柄も変わり、雷もエアーラッパーの選手として大会に参加しているという設定になる。
Aパートにおける殺人事件も、ここでは森田が別の時代に行ってしまったとか言う訳の分からないストーリーに置き換えられているのだった。無論、死ぬほどつまらない。
もしこのBパートの詳しいレビューをしなければならなくなったとしたら、管理人はきっぱりレビュアーから足を洗いたいと思う。
ま、これだけならまだ許容範囲だが、最初に書いたように、続く13話でも、

Aパートは、さっきのストーリーと全く同じものを雷の活弁で見させられることになる。
雷「本日のケータイ刑事は、私、銭形雷が活弁します……」
そして、Bパートは、岡野の活弁による、三つ目のストーリーが語られるのだが、もうここまで来ると管理人もぶち切れる寸前で、それがどんなストーリーなのか確かめる気にもなれない。
確か、雷が真犯人だったと言うオチだったと思うが、どうでもいい。
終わりです。
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