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アニメ「はいからさんが通る」 第30話「花と散る 少尉の最後!」



 第30話「花と散る 少尉の最後!」 作画監督 田代和男

 ここ最近、作画がとても良かったのだが、無論、それがいつまでも続く筈もなく、今回は和男ちゃんが担当するいわゆるハズレ回である。

 前回のラストに引き続き、シベリアの荒野で、ひとり敵の大群に突撃して行った忍の姿を必死に探している鬼島軍曹。
 と、そのうち地平線の向こうから敵と思われる大勢の人影が現われ、ひたひたとこちらに向かってくる気配が感じられた。

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 鬼島(来たなぁ、ようし、俺一人で小隊長の弔い合戦だ)

 鬼島、覚悟を決めると短剣を銃の先端に取り付けると、それを構えて「わーーー」と喚きながら闇雲に走り出す。

 原作の鬼島なら、まずしそうもない無謀な自殺行為であったが、

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 意外にも、その一団は敵ではなく、味方の小隊、しかも先頭に立っているのは死んだと諦めていた忍の元気な姿であった。

 忍「鬼島!」
 鬼島「小隊長どのぉ!」

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 互いの肩に手をやり、その無事を喜び合う二人。

 忍「鬼島、貴様も無事だったか」
 鬼島「てっきり、死んだとばかり思っていたぜ」
 忍「良かった、一時は諦めていたんだぞ」
 鬼島「小隊長こそ、良く無事でしたね」
 忍「うん、お前をひとり残し、敵に殴り込みをかけた時は、もうこれまでと覚悟したんだ」

 二人の周りに、他の兵士たちも集まってきて歓喜の声を上げる。

 ……しかし、全員背丈が同じと言うのもナンだな。

 やがて、忍の口から、自分がどうやって助かったのかが語られる。

 サーベルを右手に、コサック兵のただ中に突っ込んだ忍、

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 へっぴり腰で敵を斬りつけるが、相手はそれ以上のへっぴり腰揃いだったようで、手にした銃を撃つこともせず、一方的に忍にやられまくる。

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 敵を斬った後の、この緊張感のないポーズとか、とても戦闘中のスタイルとは思えない。

 さすが和男ちゃんである。

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 続いて、画面全体を布地のように切り裂くことで、敵をばったばったと薙ぎ払っているところを表現した、手抜き、いや、斬新な演出。

 奮闘する忍であったが、所詮、多勢に無勢、背中を銃床で殴られ、大地に仰向けに倒れてしまう。

 絶体絶命であったが、そこへ、忍が助けた小林二等兵以下、他の隊員たちが総出で救援に駆けつけた為、コサック兵は、交戦しようとも、忍にトドメを刺そうともせず、さっさと退却してしまったのだ。

 こうして、忍と鬼島を中心としたならずもの部隊の団結はいやがうえにも高まるのだった。

 一方、東京の舞踏会会場では、紅緒がきっかけで始まった大乱闘がまだ行われていた。

 部屋の片隅では、蘭子こと蘭丸が、環から新しい服を貰って衝立の向こうで着替えていた。

 と、不意に蘭子が両目から涙を溢れさせて泣き出す。

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 環「どうしたの?」
 蘭子「紅緒さん、折角女らしくしようとしてたのに、僕のせいで……」
 環「蘭丸ちゃん、あなた、そんなに紅緒のことを……でもね、紅緒は忍さんを愛してるのよ」
 蘭子「ええ……良いんです、僕は万に一つの望みもない恋でも……こんな僕は全く馬鹿だと思うけど」

 この画像、まるで蘭子の魔法で環が小さくされちゃったように見える。

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 環「良い子ね、ほんとに良い子なのね、あなたは……」

 蘭子のひたむきな恋心を知った環は、実のお姉さんのように優しく蘭子を抱き締めてやるのだった。

 ここでは、唐突にデッサン風の止め絵になってしまうのだが、いくらタッチを変えたところで画力は向上しないのである。

 環(忍さん、あなたはきっと無事にお帰りにならなければ……そうでなければ、私たちの気持ちは何処にも行き場がなくなってしまう)

 さて、漸く狂乱の舞踏会の一夜が明ける。翌朝は、清清しい秋晴れで、屋敷の庭で紅緒が元気に竹刀を振り下ろしている。

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 蘭子「紅緒さん、また剣道始めたんだね」
 紅緒「まあね」

 落書きみたいな紅緒のところに、落書きみたいな蘭子と牛五郎がやってくる。

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 牛五郎「やれやれ、とばっちりが来なきゃ良いけどなぁ」
 紅緒「どうも、こう女らしくするってのは、柄じゃないのよね。肩が凝っちゃって……やっぱり無理はやめた! 私は私だもの」
 蘭子「そうだよ、やっぱり紅緒さんはそれが一番だよ」

 紅緒の宣言に蘭子も笑顔で賛成する。

 ここは原作では、朝の陽光を浴びて、紅緒と蘭子が並んでいると言う、印象的なカットになっているのだが、アニメではごくあっさりと流されている。

 ちなみにそのコマの蘭子の足は異様に長くて、頭から腰までの長さと、足の長さの比率が1対3くらいになっている。ほとんど妖怪である。

 例によって、紅緒が一緒にやらないかと誘うと、二人とも恐れをなして逃げてしまう。

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 紅緒(少尉、この頃手紙が来ない。最前線へ移動すると連絡があったっきり……いいえ、心配するのはやめましょう。あなたは無事に帰ってくるって約束したのだから)

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 再びシベリア。

 森の中の野営地で、忍たちはそれぞれ焚き火を焚いて暖を取っている。森の外からは爆発音がひっきりなしに聞こえてくる。

 忍「敵さん、だいぶ近付いてきたらしいな。あれは70ミリ榴弾砲だろう?」
 鬼島「あんたも随分ドンパチ慣れしてきたようだな」
 忍「ふっふっふっふっ、最前線へ来てからもう2ヶ月にもなるからな」
 鬼島「なんだってあんたみたいな人がこんなところへ来ちまったのかねえ……俺たちは札付きだ。部隊のはみ出しものの集まりで、いずれ最前線に送られる運命だったが……東京から小倉、そしてロシア、ひでえ飛ばされ方だ。可愛い恋人がいるんだろう?」
 忍「そうだな」

 酒を酌み交わしながら、くつろいで話している忍と鬼島。

 原作では、小林二等兵の脱落から始まる一連の戦場シーンは一切なく、最前線に向かった後、すぐこのシーンに飛んでくるので、鬼島がそんなことを聞くのも不自然には思えないのだが、アニメだと、そんな話をするくらいの時間はたっぷりあったように思えるので今更感が拭えない。

 また、そもそもの始まりは忍が婚約者(紅緒)からの手紙を読んでいるのを、部下が忌々しく思って喧嘩をふっかけたことだったのだから、それから2ヶ月経って鬼島が「恋人がいるのか?」と訊ねるのも変な話である。もっとも、それは原作でもアニメでも同じことなのだが。

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 それはともかく、鬼島は忍が大切に持っている紅緒の写真を見せて貰うが、

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 鬼島「はぁー、こいつはちんくしゃだなぁ」

 一目見た途端、思わず嘆声を上げる。

 「ちんくしゃ」と言うのは、要するにブサイクと言う意味である。

 前にも書いたが、紅緒はこの世界ではブサイク、少なくとも取り立てて美人ではないと言うことになっているのだ。

 ま、幸か不幸か、ちょうど和男ちゃんの担当回だったので、写真の紅緒の顔もほどほどのブサイクになってるのは、この場面では好都合だったかもしれない。

 忍「はっはは、実物はそうでもないさ」

 忍、一応そう弁護してから、(荒っぽくて、すぐにむきになるが、ほんとは優しくて正義漢で逞しくておおらかで……他人のことを放っておけない)と、心の中で紅緒を褒めちぎる。

 鬼島「小隊長、何でロシアくんだりまで飛ばされたんだね」
 忍「僕の不徳の致すところさ」

 いまさら印念中佐とのいきさつを話したところで仕方ないと思ったのか、忍はただそう答えるだけだった。

 CM後、紅緒は朝食の席で、このところ、伊集院伯爵夫妻が忍のことを案じて食欲もなくなっていることに気付く。

 如月「せめてパンひとかけらでもお摂り下されば……」
 紅緒「パンひとかけらねえ」

 紅緒のつぶやきに続いて、ファンファーレが鳴り響き、

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 庭で、二人のメイドが紅白だんだら模様の棒を持って、その間にアンパンを垂らした紐が渡してあると言う映像になる。

 もしやと思ったら、

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 案の定、伊集院家の人々総出で、「パン食い競争」が始まってしまうのである。

 しかも、これ、紅緒の想像じゃなくて、実際に行っているようなのだ。

 管理人、この作品を見てて時々イヤになるのは、こう言うシーンを見た時である。

 もっとも、ぶら下がっているアンパンを見て、忍の幼い頃の逸話を思い出して涙ぐむ如月……と言うシーンから、

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 戦地の忍が、朝食に非常食の乾パンを出されて驚くシーンに繋がると言うストーリー上の工夫がされている。

 忍「小林、非常食に手をつけなければならんのか」
 小林「はい、米はもう一粒もありません」

 忍、他の兵士たちも乾パンを朝食代わりに空腹を満たしている様子を痛ましげに見遣る。

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 鬼島「やつら、食い物のことじゃあこれっぽっちも文句を言いませんがね、しかし、これじゃあいくらなんでもかわいそうですぜ」
 忍「分かっている。本来なら、一昨日補給隊が来る筈なんだが……後方からは何の連絡も来ない!」

 それにしても、森功至さんの声でこんな台詞を聞くと、つい「さては……謀ったな、シャア!」と言う台詞を連想してしまうガンダムおたくの管理人であった。

 ま、森さんがガルマをやるのは、この番組の後なんだけどね。

 そのうち、歩哨に立っていた兵が、いつの間にかコサックの大部隊に包囲されていると血相変えて知らせに来る。忍は、すぐにその場を引き払い、後方の駐屯地に撤退すると決断を下す。

 鬼島「しかし、この地点を死守せよという本部命令でしたぜ」
 忍「僕が責任を取る」

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 忍(三日も食糧を補給して寄越さないのは何故だ。本部にも非はある)

 忍たちの小隊は敵に追撃されることなく無事に駐屯地に辿り着くが、すでに将兵はそこを引き揚げた後で、人っ子一人いないもぬけの殻だった。

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 鬼島「畜生、本部のやつら、俺たちを見捨ててやがったな」
 忍「と言うより、半端ものの我々は囮に使われたんだ」
 鬼島「えらいさんの考えそうなことだぜ、チッ」

 鬼島、忌々しそうに唾を吐く。

 鬼島「食糧の補給も来ねえ筈だ!」

 仕方なく、忍は夜になるのを待って、夜陰に紛れて敵陣を抜け、後方の師団本部への合流を目指す。

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 森の中から敵の大部隊を窺いつつ、小隊長として最後の訓辞を行う忍。

 忍「いいか、みんな、敵を倒すことを考えるな。走って走って走り抜け! この戦争は日本の国の為の戦いではない、単なる介入戦争だ。だから、決して犬死はするな!」

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 忍の魂の訓辞を聞いている、いかにもテキトーに描かれた兵士たち。

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 忍「来るぞ!」
 鬼島「小隊長、あんたもな! 生きてその紅緒さんとやらのところへな」

 やがて、敵の騎馬隊の隊長が「ウラーッ!」と掛け声を発しながら、こちらに向かって突撃を開始する。

 ちなみにその隊長の声は、伯爵と同じ宮内幸平さんだったりする。

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 忍「総員、突撃ーっ!」

 既に弾薬も尽きているのだろう、忍たちはサーベルや銃剣を手に大軍に向かって突っ込んでいく。

 周囲には榴弾砲が降り注ぎ、忍たちの運命は風前の灯……かと思いきや、

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 今度もまたコサックさんたちは銃を使わず、忍たちと剣で斬り合ってくれるのでした。

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 おまけに弱っちくて、歩兵の忍にあっさり斬って落とされてしまう。

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 あと、主人が落ちて、周囲を兵士たちが駆け抜けているのに、隊長の乗っていた馬が微動だにせずその場に立っているのも、なんだかなぁと言う感じである。

 忍の一か八かの作戦は見事に図に当たり、小隊は無事に包囲を突破して、その向こうの森の中に逃げ込むことに成功する。

 だが、鬼島が足に銃弾を受けて、荒野にひとり取り残されていると知った忍は、小林たちが止めるのも聞かず、再び敵陣の中へ斬り込んで行く。

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 鬼島「やめろー、こっち来るな、俺のことなんかほっとけーっ! なんて馬鹿なことを……あんた日本に帰れなくなっても……」

 自分の名を呼びながらこちらに向かっている忍の姿に、鬼島も懸命に引き返すよう叫ぶが、

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 鬼島のところに辿り着く前に、忍の体を、コサック兵の銃剣が刺し貫く!

 鬼島「小隊長どのぉーっ!」

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 忍(白い、白いマリンカの……花……)

 鬼島の叫びも空しく、数人のコサック兵に斬り刻まれ、崖から谷底へ落ちていく忍。

 その脳裏に最後に浮かんだのは、

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 可憐なマリンカの花を連想させる愛しい紅緒の微笑だった。

 ……しかし、これじゃあ紅緒の生首が花柄の晒し台に載せられているようにしか見えん。

 だから、その紅緒の生首が「きっと、ご無事で、少尉」と囁きかけるのを聞いても、「人の心配するより自分の心配しろ!」と、怒鳴り返したくなるのである。

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 同時刻、東京の伊集院邸では、紅緒の目の前で、忍の写真立てが勝手に落ちて割れると言う、ありがちな現象が起きていた。

 紅緒「少尉の写真が……まさか、少尉の身に何か?」

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 ラスト、永遠に降り続くかと見える雪の中を、鬼島がひとり、忍の名を呼びながら、その姿を捜し求めて彷徨っていた。

 鬼島(馬鹿だよ、あんた、きっと恋人の下に帰ると言っていたのに……)

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 鬼島「小隊長どの、なんで俺の身代わりになんかなったんだよーっ!」

 鬼島の姿も、やがて白い闇に飲み込まれて見えなくなってしまう。

 鬼島は、この事件を契機に軍隊、そして日本と言う国自体に愛想を尽かし、そのまま大陸に残って馬賊となり、後に紅緒と不思議な邂逅を果たし、帰国して忍とも再会するのだが、アニメでは話が途中で終わってしまったので、これっきり忍と再会することがないままだったのが、ちょっと寂しいのである。

 (C)大和和紀・講談社・日本アニメーション
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Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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