第33話「シーザー大爆破?!」(1982年9月25日)
由美と言う小学生が学校から帰る途中、ターバンを巻いた、いかにもインド的ないでたちの男性に出会う。

ラムダス「これはお母様がくだすったものでね?」
由美「ええ、亡くなったママの形見なの」
ラムダス「これはパルジャ国の紋章……間違いない。王女様!」
由美「えっ、王女様って私のこと?」
男は、由美が胸にぶら下げている大きな赤い宝石のペンダントに気付くと、うやうやしく由美の前に跪く。

ラムダス「追っ手が迫っています、これを……」
だが、何者かに追われているらしいラムダスは、詳しいことは何も言わず、青色の宝石が象嵌された大きな腕輪を由美に託すと、そのまま走り去ってしまう。
ラムダスを付け狙っているは、無論、デスダーク一味であった。
マズルカとトラモズーに捕獲されそうになったラムダスであったが、たまたま近くにいたミキが駆けつける。

ミキ「危ない!」
良いですねえ、この張りのあるお尻……。

ミキ「デスダーク!」
良いですねえ、このキリッとした眉毛……。

ミキ「何を企んでる?」
良いですねえ、この美しいお顔……。
こんな調子だと、話がなかなか前に進みませんねえ……。

トラモズー「生意気言うな! 密林の王者、トラモズー様だ!」
ミキ(別に生意気なこと言ってないけど……) マズルカ「トラモズー、二人もろとも片付けておしまい!」
トラモズー「がってんだ、
ドロンジョ様!」
マズルカ「誰がドロンジョだっ」 ……あ、こないだ「ダイナマン」でやったか。
ドロンジョはさておき、彼らはラムダスからあの腕輪を奪い取ろうとしている筈なので、それをせずにいきなり殺そうとするのはいささか解せない行動である。

突進してきたトラモズーから、ラムダスを庇うミキ。
良いですねえ、このプリッとしたお尻……。

ミキ「モズーが現れたわ!」
良いですねえ、この髪がちょっとほつれたところとか……。

トラモズー「味方が来る前にお前を!」
ミキ「ええいっ、やあっ!」
トラモズーの長く鋭い二本の爪をかわすミキ。
良いですねえ、ホットパンツ越しに見えるお尻の割れ目……。
両者が戦っている隙に、マズルカはラムダスを押さえようとするが、ここで連絡を受けた他の4人が到着、ラムダスを救出する。

ミキ「えいっ、やあっ!」
その場で跳躍してトラモズーの頭を踏み付け(自分もミキに踏まれたいと思った人、手を挙げて!)、

ミキ「とおーっ! ええーいっ!」
周囲の菰(こも)巻きされた街路樹に次々と飛び移り、離れた場所に着地する。

トラモズー「お前はネコ年か?」
ミキ「トラモズー、お前たちの悪事は私が許さないわ! 行くわよ、ゴーグルピンク!」
ゴーグルピンクに変身したミキ、他の4人と共にトラモズーたちと戦うが、勝負はつかず、トラモズーたちは空しくデストピアに帰還する。

デスマルク大元帥はデスギラーに命じて、オレンジ色の腕輪をトラモズーの左腕に装着させる。
トラモズー「これは二つの腕輪の一方、地の腕輪!」

デスギラー「天と地と二つの腕輪を嵌めたものは、不老不死の力を得る。爆弾もろとも、体当たりしても決して死ぬことはない!」
いつもながらハイテンションのデスギラー将軍。

不死身となったトラモズーが超破壊爆弾を抱えてゴーグルシーザーに潜入し、シーザーが大爆発を起こすイメージ映像。
つまり、今回の最終目標はシーザーの破壊であり、その為にわざわざ下っ端のモズーを不死身にしてやろうとしている訳なのだ。デスダーク、「悪の組織」にしては極めて「人道的」と言えるだろう。少なくとも昔の日本軍より兵士の命を大事にしていることは間違いない。
しかし、不死身になるのなら誰がやっても良い訳で、それこそデスマルク自身がやっても構わないことになる。しかも不死身になれるという特典までついてくるのだから、下っ端のモズーに実行させるのは、ある意味勿体無い気がする。
一方、未来科学研究所の病室のベッドで眠っていたラムダスが、5人に見守られているうちに目を覚ます。

まずその目に飛び込んで来たのは、ミキの神々しいばかりの美貌。

ミキ「良かった、気がついたのね」
ラムダス「ゴーグルファイブの皆さん、お願いです。王女様と天の腕輪を守って下さい」
赤間「王女様と天の腕輪?」
ラムダス「パルジャ国に伝わる天と地の二つの腕輪は、嵌めたものに不老不死の力を与えられるのです。パルジャ国はインド奥地にある小さな平和な国でございます。だが、ある日、突然デスダークが襲って来たんです」
彼らの狙いは国宝である二つの腕輪だった。地の腕輪はデスダークの手に落ちたが、天の腕輪はかろうじて王家に仕えるラムダスによって守られたのである。
しかし、その攻撃によって王族は全滅し、ラムダスは、天の腕輪を王族の血を引く由美に託す為に、デスダークに追われながら日本にやって来たと言う訳なのだ。
黒田「王家の血を引く人が、何故日本にいるんです?」
ラムダス「今は亡きアリーナ王女が、学術調査の為にやって来た日本の学者と結婚して生まれたのが由美様なのです」
同じ頃、その学者、すなわち由美の父親は由美からあの腕輪を見せられて驚きの声を上げていた。

父親「由美、この腕輪を何処で?」
由美「それよりも教えて、由美が王女様だって本当なの?」
父親「……」
父親は、無言で立ち上がると、抽斗の中にしまっていた一枚の写真を取り出して由美に見せる。パルジャ国の宮殿で撮られたもので、父親とアリーナ王女、そして生まれたばかりの由美が写っている。
ただ、そのアリーナ王女と言うのが、

お世辞にも美人とは言えないご面相だったので、由美のテンションは急降下するのであった。チーン。
アリーナは王位も捨てて由美の父親と結婚し、日本に移り住んだのだと言う。

父親「だから由美は王女なんかじゃない。日本の普通の女の子なんだ。この腕輪はパパが預かっておこうね」
由美「いやっ、これは由美のものよ! 由美はママと同じ王女様になるのよ!」
父親は噛んでふくめるように諭すが、自分が異国のプリンセスだと聞かされて舞い上がっている由美は聞く耳を持たず、父親の手から腕輪をもぎ取ると、バスケットに入れて家を飛び出す。

その由美の前に、ミキと青山が現われて声を掛ける。
ミキ「由美ちゃん、由美ちゃんね?」
由美「あなたたちは?」
青山「えへっ、今日から君を護衛させて貰うよ」
ミキ「由美ちゃんの持っている腕輪は悪者たちに狙われてるの。奪われたら大変なことになるの。だから協力してね」
良いですねえ、ファスナーの隙間から覗くミキの胸元……。
ミキは警戒させないように精一杯優しく語り掛けて由美の肩に手をやるが、由美は「うそっ!」と、その手を邪険に払いのける。

ミキ「由美ちゃん……」
由美「うまいこと言って、私の腕輪を取り上げるつもりでしょ!」
ミキ「由美ちゃん!」
由美はミキの体を押し退けると、走り去っていく。二人もすぐ後を追いかけるが、

マズルカ「お待ち申しておりました。王女様、あなたにお仕えする為に来た、召使でございます」
彼らに見付かる前に由美を公園に引き込んでその前に立ったのが、インド風の衣装をまとった、コスプレ大好きのマズルカであった。

マズルカ「上手いことを言って腕輪を取り上げようとするものに騙されてはいけませんよ。さあ、これをどうぞ」
由美「まぁ、素敵」
マズルカ「この衣装をつけたら、やっぱりあの腕輪をつけなければ……」
プリンセスになることを夢見ている由美を言葉巧みにおだててその気にさせるマズルカ。
この件に関しては、少女の心理を見事に見抜いたマズルカの作戦勝ちと言えるだろう。
由美、王女様と呼ばれて有頂天になり、疑うことなくバスケットを開けて天の腕輪をマズルカに見せてしまう。同時にミキが路上に現われ、「その腕輪を渡しちゃ駄目!」と叫ぶが、時既に遅し、マズルカは腕輪を掴むと、ミキと由美の周囲に爆発を起こし、遁走してしまう。

青山「ミキ、大丈夫か?」
ミキ「ええ」
由美「でも、腕輪が……」
ミキ「大丈夫、腕輪は必ず取り返すわ、悪の為になんか使わせないわ!」
力強い眼差しで、ミキはきっぱりと宣言する。
トラモズーはマズルカの持ち帰った天の腕輪を右腕に嵌めると、直ちに街へ繰り出して暴れ回る。ゴーグルファイブが戦いを挑むものの、腕輪の力で本当に不死身になってしまったようで、どんな攻撃も全く通じない。
戦いの最中、ピンクは何か腕輪の力を無効にする方法はないものか、病床のラムダスに聞いてくると戦場から離脱する。

さゆり「無理ですわ、話を聞くなんて」
ミキ「困ったわ」
だが、ラムダスはマズルカやトラモズーに襲われた傷のせいでまだ眠っており、話せる状態ではないと言う。
と、ドアが開いて由美が顔を見せ、申し訳なさそうに頭を下げる。

由美「ごめんなさい。私の我儘の為にこんなことになってしまって」
ミキ「もう良いのよ、由美ちゃん」
もう何度も書いてきたことだが、ミキの笑顔、最高です!
由美「ラムダスさん、お願い、目を覚まして!」
由美、ラムダスの枕元に立つとその手を掴んで祈るようにその顔を見詰める。思わずこぼれた涙がその掌に落ちると、ラムダスはハッと目を覚ます。王家の血が起こした奇跡であろうか。

ラムダス「王女様」
由美「教えて、あの腕輪の魔力はどうしたら破れるの?」
ラムダス「天と地の精霊が、命あるものに永遠の生命を与えたのです。今更それを破ることは出来ません」
しかし、折角意識を取り戻したラムダスの言葉も、トラモズーを倒す助けにはならなかった。
ピンクは戦場に戻るが、トラモズーの猛攻の前にゴーグルファイブは防戦一方で、そのうち強化スーツのエネルギーすら枯渇し始める。
レッドはやむなく、ゴーグルシーザーを呼んで一時退却しようとするが、それこそトラモズーが待ち望んでいた展開だった。

トラモズー「俺様の狙いはゴーグルシーザーだったのだ。この爆弾もろとも体当たりして粉々にしてやる!」
黙って突っ込めば良いのに、わざわざ自分の狙いを敵に暴露してしまうトラモズー。
レッドたちは慌ててトラモズーの進路を遮ろうとするが、それよりコンボイに命じて、シーザーをすぐ帰らせれば良いのでは?
レッドたちは懸命にトラモズーを押し返そうとするが、どうやっても不死身のトラモズーの進撃を止めることは出来ない。

あかね「大変だわ!」
春男「ゴーグルシーザーがやられちゃうよ!」
ゴーグルファイブの苦戦の様子をモニターで見ているコンボイたち。
いや、お前らもボケーッと見てないでさっさとシーザーを呼び戻せよ……。 ゴーグルファイブ絶体絶命のピンチであったが、ここでピンクがラムダスの「命あるものに……」と言う一節を思い出し、トラモズーの腕輪を毛皮の部分ではなく、機械で出来ている腕先にずり落とせば効力がなくなる筈だと、正直、よく訳の分からない理屈を編み出して、ピンクリボンで引っ掛けて腕輪をずらし、トラモズーの不死身属性を無効にすることに成功するのであった。
つまり、毛皮の部分に嵌まっていれば腕輪が有効で、機械の部分だと無効と言うことらしい。
うーん、なんだかなぁ。あまりすっきりした解決法とは言い難い。ここは、普通に腕輪を外して不死身でなくさせると言うのが分かりやすかったかも。
とにかく、ゴーグルファイブは強敵トラモズーを撃破し、事件は解決する。

だが、面白いのはラスト、由美がパルジャ国の王女としてほんとにパルジャ国へ行ってしまうことである。
父親「パルジャ国はデスダークによって打撃を受けました。由美は亡き母にかわってどうしてもパルジャ国の為に働きたいと言うんです。私も負けました」
ミキ「頑張ってね、由美ちゃん」
由美「ありがとう」
昔の時代劇とかで、長屋暮らしの子供が大名のご落胤だと分かって、長屋にとどまるか、大名になるか迷うと言うのはよくあるストーリーだが、その場合、たいてい子供は結局育ての親のところへ戻ってくるものだが、ここでは珍しく、ほんとに王女様になって日本を離れてしまうと言う結末となっている。
しかし、父親も同行するのか、日本に残るのか不明だが、そんな大きな決断をあっさり下してしまっていいのだろうかと、ちょっと心配になる。
由美がどちらの道を選ぶか、その葛藤が、いつものように無駄に長い戦闘シーンに圧迫されて、ほとんど(と言うか、全く)描かれていないのが、今回のエピソードの欠点である。
よって、ご覧のとおり、レビューもストーリーよりミキの魅力に重点を置いて書かせて貰った次第である。
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