第13話「大暴れ地底ナマズ」(1982年5月1日)
冒頭、デスダークのアジトでナマズモズーによる人工地震発生実験が行われている。

具体的な方法は、スプリングの上に乗せた台にナマズモズーが寝転がり、
ナマズモズー「ぶぶぶぶ、ぶぶ、わ、わぁーっ! うわぁううーっ! ぶぶぶぶぶ……」
両手に持った剣から放射されるエネルギーを増幅装置に送り込み、どたんばたんと激しく体を揺らすと言う非常に分かりやすいものだった。
今では言われることもなくなったが、昔は地震は地下にいる巨大ナマズの仕業だと考えられていたのである。
そんなナマズモズーのひとり大騒ぎを見詰めているうちに、
マズルカ(私は一体何をしているのだろう? 結婚もせずに、こんなことしてて良いのだろうか?) ふと、我に返ってしまうマズルカさんでした。
ま、それは嘘なんだけど、この画像のマズルカの瞳が妙に澄んでいて、とても悪の組織の幹部には見えないことは事実である。
やがて実際に地震が起き始め、たまたま近くにトレッキングに来ていた4人の家族連れが巻き込まれる。地面が真っ二つに裂け、父親はその裂け目に飲み込まれてしまう。合掌。
デスギラー「地震ナマズの実験、成功いたしました」
タブー「おお、そうか」
デスギラー「アジトからは東京へ向かってこれだけの活断層が走っております。ナマズモズーのパワーアップを図り、むぉっと大きな地震を起こせば、次々と活断層から崩れ、東京大地震を引き起こすことが出来ます。現代文明は地震ナマズのひと揺れで滅びるのです」
タブー「素晴らしい、暗黒科学の偉大な力を今こそ思い知らせてやるのだ!」
だが、その特殊な地震はゴーグルファイブの知るところとなり、早くも5人が調査に乗り出す。

毎度お馴染みの洞窟を、入り口から覗き込んでいる赤間たち。
ミキがミニスカだったらなぁ……
と、洞窟の中から登山家のようないでたちをした黄島が出てくる。

赤間「どうだ?」
黄島「昔さ、こうやって日本国中、金を探して歩き回ったことがあるんだよ、こういう山の調査は任せといてくれたまえ」
意外にも、黄島にはそんな特技があったのだ。
赤間「よし、洞窟の方は黄島に任せて、俺たちはこのあたりを探そう。頼むぞ」
黄島「OK」

その後、別の洞窟に入ろうとした黄島は、クマのような先客がいるのに気付いて慌てて逃げ出すが、それはクマではなくて黄島と同じような格好をした中年男性だった。
壮一「なんだ、おどすかな」
黄島「おっさんこそおどかすなよ」
壮一「お前、山師か」
黄島「う、うん、金を探してるんだよ」
壮一「こんなとこから金は出やしねえよ。それにな、近頃は奇妙な地震が起きて物騒だ、とっととけえんな」
壮一に肩を押された黄島、バランスを失って尻餅をつくが、その際、壮一の胸にぶら下がっていた奇妙な形をした金色のペンダントを毟り取ってしまう。

黄島「いてえな……あっ?」
顔をしかめる黄島だったが、手のひらに残ったペンダントを見ると、たちまち真剣な表情になって、自分の持っていた星型のペンダントを取り出し、それと噛み合わせてみる。
果たして、二つはジグソーパズルのピースのように、ぴったり嵌まり込んだ。
黄島「合った! お袋が言ってたっけ、俺のおやじもV字のネックレスを持ってるって、そして金を探して世界中歩き回ってるって……」
壮一「……」
そう、そのおっさんこそ、黄島の生き別れの父親だったのだ!
「バイオマン」の終盤にもあった、メンバーの生き別れの肉親が突然目の前に現われると言うドラマであるが、この暴露はちょっと早過ぎたような気もする。
黄島壮一を演じるのはベテランの森章二さん。
だが、壮一は黄島の激情など取り合わず、無言で乱暴な手つきで黄島の手からペンダントを取り戻す。
黄島「待ってくれよ! じゃあ、おっさんが……俺の……」
黄島が言い掛けた時、再びあの奇妙な地震がその一帯を襲う。
ついで、地割れの中から、ナマズモズーと戦闘員が飛び出てくる。

それを見ている黄島親子の図。
……
何と言う華のない画面であろう。
管理人が一度スルーしたのも理解して頂けると思う。

黄島、父親かも知れない男性の目も気にせず、即座にゴーグルイエローに変身して応戦する。
物陰から、息子の戦いぶりを見ていた壮一は、
壮一(なんか、急にスリムになったような気が……) じゃなくて、
壮一「小さい時に別れた子が、あんなに大きく、あんなに強く……」
と、感動に打ち震えていた。
しかし、ペンダントを見ただけで、黄島のことを息子だと断じてしまうのも、いささか速断のように思える。

ナマズモズー「ナマズエレキーッ!」
イエロー「うわーっ、しびれるーっ!」
ナマズモズー、地震を起こせるだけでなく、デンキナマズのように強力な電撃攻撃も可能と言う、いささか節操のないスペックを有していた。
苦戦するイエローだったが、そこへ他の4人が救援に駆けつける。が、結局決着はつかず、マズルカの指示でナマズモズーは退却する。
だが、壮一は逃げ去るナマズモズーの背中に小型発信機を取り付け、携帯受信機を手にその行方を追跡する。
黄島も、戦闘員を蹴散らすと、「あの男は自分の父親かも知れない」と仲間に告げてから、急いで壮一の後を追う。海辺の岩場を歩いていた壮一に追いつき、単刀直入に尋ねるが、
黄島「あんた、俺のおやじだろ?」
壮一「わしは君なんか知らんよ」
黄島「でも、このネックレス……」
壮一「貰ったんだよ、同じ山師仲間を助けたお礼にな」
壮一は、親子の名乗りを上げようとはせず、にべもなくそう答える。
黄島「貰った?」

そんな彼らを見下ろす崖の上から、デスギラーの率いる戦闘員が、バズーカ砲の狙いを定めていた。
デスギラー「撃て」

さっさと先に進もうとする壮一と、それを追いかけようとする黄島の周囲で激しい爆発が起きる。
……
なんか、ワープしてない? 黄島親子は、爆風にあおられて仲良く海へダイブするが、大した怪我もせず、近くの海岸に漂着する。

黄島「このネックレス、何処で貰った? その男は今何処にいるんだよ?」
壮一「そんなこと聞いてどうするんだ?」
黄島「あいてえ、俺のおやじだ!」
壮一「……」
黄島、壮一の咄嗟のでまかせを真に受けて、ペンダントの持ち主のことを聞き出そうとする。なにしろ、子供の頃に別れたきりなので、黄島は父親の顔をよく覚えていないのだ。
黄島「俺が山師になったのも、金を探してればいつかおやじに会えるかもしれないと思ったからなんだよ」
壮一「ゴーグルイエローたるもんが、そんな女々しいこって、どうすんだ? 任務ってもんがあるだろ」
父親ではないと否定したそぱから、つい父親のような言葉を口にしてしまう壮一。
黄島「ああ、でもな、俺は一言おやじに言ってやりたいことがあるんだよ! 何故幼い俺を捨て、お袋を捨て、金探しなんて夢みたいなことをしてるのか? お袋がどれだけ苦労したか……」
壮一「……」
黄島「ひとこと言ってやりたいんだよーっ!」 目の前にいるのがそのおやじだと知らず、目に涙を溜めて叫ぶ黄島。
黄島の口ぶりでは、母親は苦労の挙句に既に他界してしまったらしい。
壮一「……」
息子の満身の怒りに、壮一は言うべき言葉が見付からないのだった。

赤間「この男は?」
みどり「この人こそ、黄島さんの実の父、壮一さんなんです」
一方、本部に戻った4人に、みどりが一枚の写真を見せる。それは若い頃の壮一の顔写真だった。

一目見れば分かると思うが、赤間たちは、黒田がその写真にサインペンで口ヒゲを書き足してから、やっとそれが黄島と一緒にいた男だと気付く。
黒田「おっ、この人は」
赤間「あの時の!」
さゆり「黄島さんの個人データを調べていて、未来科学研究所の極秘ファイルから見付け出したんです」

みどり「本郷博士が20年前、デスダークの陰謀に気付いた時、たったひとり博士を信じ、博士の片腕になったひと、その人が黄島さんのお父さんだったんです」
みどりの言葉で、壮一がただの無責任な夢想家ではなかったことが分かる。
恐らく、20年前から本郷博士と共に、日本(世界?)各地を経巡り歩いてデスダークのことを調査していたのだろう。
と言って、別にデスダークに捕まっていた訳ではないのだから、たまには家に帰ってあげても良かったんじゃないのか?
それにしても、久しぶりに貼ったけど、みどりの小林伊津子さんが保母さんみたいで可愛いのである!
その後、黄島はレッドからやはりあの男が父親だったと知らされる。壮一が敵のアジトに向かったと知ると、
黄島「おやじーっ! おやじーっ! 死なぬよ、ゴーグルイエロー!」
一方、デスダークもより強力な地震を起こそうと再び地震発生装置を稼動させていた。

イガアナ「ただいま、東京の震度5」
デスギラー「素晴らしい、もう一息だ」
マズルカ「頑張れ、ナマズモズー!」
ナマズモズー「ようし、最後の力を振り絞ってぇ!」
東京ではかなりの大地震となり、ビルが倒壊し、地面が割れ、コンビナートも爆発し、多大な物的・人的被害が出る。洞窟の中で壮一を助けたイエローに踏み込まれ、結局装置を破壊されてしまうのだが、デスダークの作戦としてはかなりの成果を上げた作戦だったと言えるのではないだろうか。
それから、実に8分にわたる長い長い戦闘シーンを経てナマズモズーは倒され、デスダークの策謀は潰える。
船で海外へ旅立つ壮一を見送りに、黄島と他の4人が港を訪れている。
ミキ「20年ぶりに親子の名乗りをするのね」
青山「おやじーって、抱きつくんだろうな」
離れたところから見ているミキたちはそんな予想を立てるが、

黄島「お願いします、俺のおやじに会ったら、伝えて欲しいことがあるんです」
壮一「なんだね」
黄島「俺は元気でいると伝えて下さい」

壮一「分かった。立派な青年になっていると伝えよう」
黄島「はい」
予想に反し、黄島も壮一も、あくまで他人として別れの言葉を交わすのだった。
だが、二人の目には熱い涙が光っていた。

ミキ「どうして名乗りあわないのかしら?」
黒田「いや、あれでいいんだ」
赤間「ああ、デスダークとの戦いが終わるまでは俺たちには親も子もない。それが戦うもののさだめではないだろうか?」
年少組の疑問に、年長組の二人が答える。こう言う風に、メンバー内ではっきり年齢差があるのは、ドラマに深みが出て良いよね。
ミキ「そうね……」
そう応じつつ、今夜、両親と一緒に食事をすることになっているとは口が裂けても言えないミキなのだった。
でも、「フラッシュマン」ならともかく、彼らはコンピューターで機械的に戦士に選ばれただけなんだから、普通に家族がいてもなんら不思議じゃないよね。
赤間の口ぶりでは、まるでゴーグルファイブになった途端、家族と縁を切ったように聞こえるではないか。
……と言う訳で、改めてレビューしてみたが、やっぱりあんまり面白くないエピソードだった。
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