第26話「花園よ永遠なれ」(1985年4月6日)
いよいよ最終回である。
第1話を書いたのが2016年の8月だから、なんだかんだで2年近く掛かってしまった計算になる。

ナレ「1月7日、大阪花園ラグビー場、天候、曇り、気温摂氏7度、北西の風、やや強し……」
残すは全国大会決勝だけと言うことで、冒頭から、モデルとなったチームの実際の試合のテレビ中継の映像が使われている。

試合開始のホイッスルを、緊張の面持ちで待っているベンチのマネージャー、補欠たち。
前髪で左目が隠れて、鬼太郎みたいになってる清美が可愛いのである!
カメラは、観客席に陣取る夕子(with遺影of大三郎)や、圭子&光男、大木&マルモ、内田親子、山城元校長、そして節子とゆかり親子など、主要メンバーを映し出す。
そして遂に試合が始まる。
川浜のキャプテン・平山は、相変わらず左足の怪我に悩まされ、今日は試合の前に痛み止めの注射を打って貰っての出場だった。
しかし、普通に試合の様子を流しても視聴者がチャンネルを変えてしまうのは目に見えているので、試合の合間に、ほとんどそちらがメインのように頻繁に回想シーンなどが盛り込まれる。

OP前、まず試合前夜の宿舎で、なかなか寝付けない平山と清川の会話。
平山「キヨ……」
清川「うん?」
平山「……」
清川「足、痛むのか」
平山「いや、あのな……」
もしや、愛の告白でもされるのかと思わず身構えた清川であったが、そうではなく、平山は明日の決勝戦には出ない方が良いのではないかと言うことを言いたかったのだ。
もっとも、実際にそれを口にすることは出来ず、言葉は途切れたが、長年苦楽を共にしてきた清川には平山の気持ちが手に取るように分かった。

清川「誠、俺たち、明日の為に今まで頑張ってきたんだよな」

平山「……」
同時に、平山にも清川のさりげない言葉の裏に「お前が動けない分、自分たちがフォローしてやる」と言う熱い思いがありありと伝わるのだった。
ここでナレーターが「中学時代からコンビを組んで来た仲である……」と言うのだが、今までそんなシーン、ありましたっけ?
平山「キヨ!」
清川「誠!」
それにしても、むさくるしい男子高校生が布団を並べて見詰め合っているという図が、これほど気持ち悪いとは思わなかった。

管理人は、慌てて口直しに節子さんの画像を貼るのであった。
滝沢も試合の前夜、なかなか寝付けず、近くの神社にお参りに来ていたのだった。行って見ると、同じくお参りに来たのか、既に節子の姿があった。
紐を付けた(註・付けてません)硬貨を賽銭箱に入れて手を打ってから、自嘲気味に、
滝沢「勝手なもんだよな。普段、ろくに信仰してない奴が、いざとなると神様、仏様って……」
節子「うっふ、それが普通の人間よ」
節子は、明日、川浜は勝つだろうと妙にきっぱり断言する。
節子「私の勘って、大事な時には良く当たるのよ。あなたと初めて出会った時もそうだったわ」

嬉しいことに、ここで再び女子大生時代の節子さんの、可愛過ぎて発狂しそうなバレー部員スタイルが映し出される。
当時24、5才の岡田奈々さんが真っ赤なブルマですよ! ブルマ!
大学時代、ラグビー部の滝沢と、バレー部の節子は、合宿地で運命的な出会いを果たしたのだ。
節子「あの時、私、将来きっとこの人と結婚するんだって思ったの……当たったでしょ、私の勘」
滝沢「節子……」
滝沢、
「それは勘じゃなくて、お前の意思だろう」(註1)とツッコミを入れようかと一瞬迷ったが、入れたら賽銭箱に叩き込まれそうな気がしたので余計なことは言わずにひたすら微笑むのだった。
(註1……ここで「火垂るの墓」の有名な台詞をネタにしようとしたが不謹慎なのでやめにした)
ここでOP。
最後なので、

管理人がこのドラマをレビューしようと思ったきっかけとなった(註・嘘です)スカートまくり画像をもう一度貼っておこう。

それにしても、この名も無き女優さんも、自分のパンツと顔が放送から30年以上経った今も大勢の人に見られているとは、大概いい迷惑であろう。
で、そのキャプをしつこく貼っているのが、この私なのだが……。
そのうち、爆笑フライデーとかで
「あのスカートまくられ女優さんは今?」などと言う企画をやって欲しいものです。……え、要らんお世話ですか? そうですか。
OP後、引き続き川浜と城南の一進一退の激闘の模様。

序盤、スクラムから栗原がボールを持って敵陣に突っ込み、
明子「やったーっ!」
清美「いけ、いけーっ!」
早くも先制点のチャンスかと、興奮した声を上げる清美たち。
だが、トライ寸前でタックルを決められ、潰される。ぷちっ。

明子「ダメか」
マーク「上出来だよ、あそこまで行けばサイコーだよ」
再び前髪がかかって、鬼太郎っぽくなってる清美が可愛いのである!
……
もうとっくに察知された方もいると思うが、今回も編集方針は「節子・清美」推しで進めて行きたいと思う。
選手たち「最後の試合なんだから、少しは俺たちの画像も貼ってくれよ」
管理人「やだ」

何の説明もなく、解説席に座っているのは、青森のりんご園に帰ってナチス連合を結成すると語っていたナチスジャガーこと勝又であった。
勝又「素晴らしいスピードですね。攻撃の形がきちっと出来てます。今のところは川浜のペースですね」
もっとも、勝又はずーっとこの席から動かず、最後まで滝沢と一切絡みがないのがちと残念。
ナレ「城南のエース・曽根の胸の中は怒りと戸惑いで煮え滾っていた(中略)監督の為にも絶対勝つんだ」
ここで、珍しく相手チームの選手の心理描写がされる。
最後の最後に来て、川浜のことばかりじゃなく、相手チームのことも少しは描いて上げないと不公平ではないかと気付いたのだろうか。

ナレ「城南の監督・江川は暮れの30日に父親を病気で喪っていた。だが江川は通夜にも葬儀にも出ることなく、チームの指揮を取り続けていたのだ」
さらに、城南の監督の身にも、なかなか大変なことが起きていたが、いかにもとってつけたように語られる。
視聴者にしても、その人物像もろくに描かれていない江川のお父さんが亡くなったと出し抜けに言われても、「はぁ、それはそれは……」と、とりあえず曖昧に応じるしかないではないか。
これも回想シーンだが、競技場の前でバスから降りてマスコミの質問攻めに会う、江川、滝沢。

滝沢「やっと(中略)思います」
滝沢の中身のない決意表明などどうでも良くて、画面右端にちょこんと映り込んでいる清美が可愛いので貼ってみました。
カメラは続いて、観客席の大木、マルモを映し出す。

その二人の前にふらりと現われたのが、管理人もその存在を忘れかけていた、えー、名前なんだっけ、そうそう、名村直であった。
大木「あんた……」
直「飲みなよ」
大木「……ごほっごほっ、これ……」
大木、直が差し出したスキットルを呷るが、思わず咳き込んでしまう。

直「なんだよ、ブランデーの味もわかんねえのかよ」
そう言って、さりげなく大木からスキットルを取り、自分の口に当てる。
直(間接キス、ゲットだぜ~!) 直「こいつはちょっとした年代もんなんだぜ」

渡されたスキットルをもう一度飲む大木を、直が食い入るように見ている。
直「どうだ、カァーッと燃えてきただろう」
直(W間接キス、達成だぜ~!) アルコールが入って、大木の応援にもますます熱が入るが、ここでアクシデントが起きる。
内田治男が相手選手と激突してぶっ倒れてしまったのだ。

傷付き失神して、ますますブサイクに磨きが掛かる治男。
すぐに選手、滝沢、清美たちが集まって心配そうに治男を見守る。

滝沢「やれるか」
治男「やれます!」
清美「でも、その目……」
治男「右が見えなくなって、左が見えらぁ!」
幸い、すぐに治男は意識を取り戻し、右目を負傷していたが雄々しく立ち上がる。
その治男の腫れ上がった顔に、他の選手たちが気遣うように手を伸ばすが、なんか、触るとご利益があるお地蔵さんみたいである。
かつてタックルを恐れて退部届まで出した治男の見違えるほど逞しく成長した姿に、滝沢は胸が熱くなるのを抑えられなかった。
試合が再開される。
さて、さっきも書いたように客席には大三郎の遺影を抱いた夕子の姿があって、大三郎の笑顔が常に相手チームに対する威嚇になっていたが、

大木も、イソップのスナップを密かに用意していた。
大木「イソップ、見ろよ、みんな頑張ってるぞ!」
そして、ベンチの明子も、

明子「山崎先輩……見て下さい」

試合前に出していた加代の写真立てを、グラウンドの方へ向けるのだった。
これぞ、関係者の遺影を三枚も、相手チームに見せ付けるように誇示するという、後に連邦軍から「黒い三枠星」と呼ばれて恐れられた、川浜チームの必殺技であった。
それはそれとして、眉のきりっと太い清美が可愛いのである!
加代に関連して、カメラは意外な場所に飛ぶ。和歌山の果樹園にある民家である。

そう、これもすっかり忘れかけていたが、加代の家族たちが住んでいる家であった。
無論、彼らはテレビの前に集まって、固唾を呑んで試合の経過を見守っていた。
テレビの上には、そこにも加代の遺影が……。
しかし、これだけ頻繁に遺影が出てくるドラマと言うのも、他にはないだろうな。

さらに、イソップの墓の前には、そぼ降る雨の中、傘も差さずにラジカセで試合中継を流している男性がいた。イソップの父親である。
また、その後ろに立ったのが、イソップの担任でもあった甘利先生であった。
しかし、普通はここで甘利先生がそっと傘を父親の頭上に掲げてやるものだが、二人とも傘を持っていないというのはちょっと不自然である。
父親「実は浩にも聞かせてやりたいと思いまして」
甘利「そうですか、実は僕も……」
甘利先生、少し照れ臭そうにポケットラジオを取り出して見せる。
川浜と城南の熱戦が続いていたが、ここで城南が反則を犯し、川浜にペナルティーキックが与えられる。
ペナルティーキックを控え、にわかに静まり返る花園競技場。
特に光男は、自身が川浜のエースキッカーだったと言う
勘違い自負から、余人以上にペナルティーキックには思い入れがあった。
ナレ「中でも、対相模一高戦に初勝利をもたらした逆転のゴールキックは、今でも彼の脳裏に鮮烈な記憶として残っている」
光男の人生のピークと言われている、そのゴールキックの映像が流れる。
それは過去の映像の使い回しであったが、

続いて、これは新撮の、回想シーンが挿入される。
滝沢「ラグビーがチームプレーで成り立っていることは言うまでもないが、たったひとつだけ、誰の手も借りずにひとりでやらなきゃならないプレーがある。ゴールキックだ。お前がキックする時、後ろにいる14人は誰もお前を助けてやることは出来ん、ただ息をつめ、祈りを込めてお前を見守ってるだけだ。敵も味方も、その場にいる全員がお前を注目してるんだ、そのプレッシャーの中でたったひとりで距離を測り、風を計算してボールを蹴る。それがゴールキッカーの宿命なんだ」

光男「先生、先生はそんな時、どうしたんですか? どうやってプレッシャーをはねのけたんですか」
滝沢「無心になろうと思った」
光男「虫に?」
滝沢「ちゃうわ!」 じゃなくて、
光男「無心?」
滝沢「そうだ、あのイングランド戦の時がそうだった。(中略)俺は何も考えまいとした。
ま、普段から何も考えてないから特に問題はなかったが」
光男「でしょうねー」
じゃなくて、
滝沢「余計なことは何も考えるな、お前はただ目の前にあるボールを見詰め、蹴れば良いんだってそう自分に言い聞かせて蹴ったんだ」
光男「で、結果は?」
滝沢「外れた……なにしろゴールポストを狙うことすら忘れてたからな」
光男「……」
でもありませんでした(じゃあなんだ?)

などと光男が昔のことを思い出しているうちに、
審判「ピーッ!」
光男「……」
ボールは見事にゴールポストに突き刺さり、光男はその瞬間を見逃すという大失態を演じるのでした。
節子(キャーッ! またひと財産稼げるわーっ!) 今回も抜かりなく川浜の勝ちに大金をぶっこんでいる節子さん、発狂するほど大喜び。
とにかく、川浜は貴重な先制の3点を、スコアボードに刻むことが出来た。と言っても、ワンプレーで覆されてしまう僅差に過ぎず、試合の趨勢はまだ予断を許さない。
3対0のまま、前半が終了する。
ホイッスルが鳴ると同時に、清美たちは負傷した治男に駆け寄る。

明子「内田君、傷見せて」
治男「あ、わりぃ」
清美「まあ、まあ、ますますブサイクになったみたい」 治男「ほっとけ!」 じゃなくて、
清美「まあ、まあ、また腫れたみたい」
治男「そんなにひでえ面か」
明子「大丈夫、大丈夫、かえって良い男になったわよ」
治男「言ってくれるぜ、こいつ!」
治男、そう言って明子の額を小突く。
どうも、脳震盪を起こして、自分がモテキャラだと勘違いしているようであった。

滝沢「いいか……」
劇中では最後となる(中身のない)アドバイスを送ろうとするが、
ナレ「監督に喋らせるな、平山はそう考えていた。ハーフタイムに監督からあれこれ多くの指示が出るようじゃ、試合は負けだ」 平山は密かにそんなことを考えていた。

滝沢「バックスはここ一発の時には……」
選手たち「分かってます!」 滝沢「よし!」
いや、「監督に喋らせるな」と言うのはそう言う意味じゃないと思うんですが……。
なお、ハーフタイムになって、直は仕事があるからとさっさと帰ってしまう。これはちょっと残念な退場であった。
後半戦が始まるが、開始早々、治男がオブストラクション(走路妨害)を取られてしまい、今度は城南にペナルティーキックが与えられる。
しかし、映像で見ると、治男は妨害と言うより、思いっきり選手を突き飛ばしているようにしか見えない。
夕子「入れたら承知せんどー、いてもうたるぞ、お前は!」 客席からキッカーの曽根を脅す夕子。
いかにも夕子らしい台詞だが、いくらドラマと言っても、これはスポーツマンシップにもとる発言だろう。
曽根は夕子の脅しにも心を乱さず、あっさりゴールポストに蹴り込む。同点である。

ここでカメラは、もうひとりの懐かしい(と言っても前回も出てたけど)顔を映し出す。今は消防員となっているOBの尾本である。
消防局の宿舎で、同僚たちと一緒にテレビ観戦しているのだ。
同僚「尾本、お前休暇とって見に行けばよかったのに」
尾本「いや、今の俺のポジションは川浜市のフルバックだからな、消防署は市民の最後の砦だ。フルバックが川浜の町を放り出して花園なんか行ったら失格だもんなぁ」 ……
一瞬の静寂の後、
同僚「あ、また尾本がすべった」 尾本「すべっとらんわっ!」 と、その直後、警報ベルが鳴り響き、部屋に設置されていた赤ランプが点滅を開始する。
「尾本すべり警報」ではなく、「火災発生警報」であった。
それにしても、前にも書いた気がするが、尾本の言い草だと、まるで自分は現役時代、ひたむきにラグビーに打ち込んでいた歯の白いラガーマンだったように聞こえるが、ほんとはろくに練習もせず、下級生たちをいじめまくってた不良だったんだけどね。
イソップの墓前、川浜の職員室、そして再び加代の家族の様子。
父親「そこだ、川浜、行けーっ!」 川浜のチャンスに、興奮して雄叫びを上げる加代の父親。
その異様な熱の入れように、後ろにいる妻は「こいつ、金賭けてんじゃないだろうな?」と、ちょっぴり不安になるのでした。
熱戦が続く中、栗原が十八番の脱臼を披露する。
だが、すっかり手馴れた清美と明子によって、すぐに肩が入れられる。
ここでその栗原についての回想シーンとなる。

明子「やめる? 冗談じゃないわよ、そんなの契約違反じゃない」
栗原「契約違反?」
明子「そうよ、ラグビーやりながら首席で卒業するのがあんたの義務でしょう?」
栗原、脱臼癖を始め、度重なる故障で一度ラグビーをやめようと思ったことがあるらしい。
が、打ち明けられた明子と清美は言下にそれを却下する。

清美「栗原君、体のことだったら私たち一生懸命面倒見るからさ……頑張ってラグビー続けてよ」
栗原「杉本!
……ついでに下半身の面倒も見てくれないか?」
清美「出てけ!」 じゃなくて、
栗原「杉本!」
清美「だって、あんたにラグビーやめられちゃったら、やっぱり勉強とスポーツは両立できないんだって、みんなに言われちゃうよ」

明子「そうよ、あんた、あたいたちボンクラの希望の星なんだよ!」
栗原「西村! 分かった。もうやめるなんて言わないよ!」
随分簡単だな、オイ! 
明子「ほんとぉ」
清美「良かったーっ!」
両手を繋いで何度も上下させて、全身で喜びを表す二人。
それを見ながら栗原は、
(あれ、俺もボンクラの中に入ってるの?)と、素朴な疑問を抱くのでした。
ベンチに戻った滝沢、競技場のすぐ外にあるアドバルーンを見て、「風向きが変わったな」と気付く。

平山「追い風だ。ハイパンで行くぞ。30番!」

店員「OK、メビウス・エクストラライト・ボックスですね」
平山「タバコの注文してんじゃねえ!」 ……嘘である。
無論、30番は、フォーメーションのことを指しているのだ。
風向きの変化で、川浜がハイパント攻撃を仕掛けてくることは城南の曽根も敏感に察知してチームメイトに注意を促す。

ナレ「風向きを気にしている男がもう一人いた。グランドキーパー主任の海老名健三である」
海老名「邪魔やな」
同僚「はぁ」
海老名「アドバルーンのことや、まあ、よそさんの土地で上げてるもんやさかい、文句言うたかて聞いてくれんやろけどな」
海老名は、長年の経験から、風向きによってはアドバルーンがパントキックの邪魔になることを知っていたのである。
そして意味ありげに「今日にも生まれそうな初孫の為、名前を考えるよう頼まれていた」とナレーターが言い、海老名がメモに書いたいくつもの名前の候補を映し出す。
ちなみに今回だけ登場の海老名を演じるのは、管理人の好きなおじいちゃん俳優、武内文平さんです。
気がつけば、試合はもう残り5分となってしまった。

父親「出せっ! 出せっ!」
相変わらず、憑かれたような目でテレビに釘付けになっている加代の父親。

母親(そう言えば、昨日、銀行にお金出しに行ってたわね、この人……)
その狂気を感じさせる眼差しを見るにつけ、母親の懸念はいよいよ深まるのであった(註・嘘です)。
このタイミングで、平山の足の麻酔が切れたことを滝沢が悟る。
滝沢「いかん、麻酔が切れた」

滝沢の言葉に思わず息を呑む清美が可愛いのです!
激しい城南の攻撃に、川浜がオフサイドの反則を犯し、城南のペナルティーキックが生じる。
キッカーは再び曽根。
江川は「もらった!」と、勝利を確信するが、ボールは無情にもポストに弾かれて勝ち越しならず。

滝沢「時間は?」
明子「5分ないと思います」
じりじりしながら試合を見ていた清美、我慢できなくなったように立ち上がり、滝沢のそばに駆け寄る。

清美「先生、平山君の足、大丈夫でしょうか?」
滝沢「……」
滝沢には、平山の足のことが相手チームに気取られないことを祈ることしか出来なかった。
残り時間僅かとなり、このままノーサイド、すなわち国体と同じく同時優勝になるかと思われたが……。
いよいよ大詰めを迎えた川浜と城南の死闘。
最後の最後に、清川と平山が無言で意思を通わせ、スクラムから出たボールを、平山に投げると見せかけて、その向こうの選手にパスするというトリックプレーを見せる。
それによって、城南チームのディフェンスの出足が一瞬遅れ、その心理的空隙に、ボールを持った栗原が死に物狂いで突っ込んでいく。
大木たち観客が懸命に声援を送る中、曽根の猛追をかわした栗原がゴールライン左端の地面にボールを叩き付ける。
それから、審判がホイッスルを鳴らすまでの数秒が、滝沢や江川にとっては永遠の長さに感じられた。
江川「(ラインから)出たのか……?」
審判「ピーッ! トライ!」
トライを宣言した審判の声は、たちまち観衆の大歓声の渦に飲み込まれる。
抱き合って、喜びを爆発させる川浜の選手たち。

大木「……」
あまりに劇的なシーンに、大木も固まってしまう。
清美「やったーっ!」 泣きそうな顔で叫ぶ清美が可愛いのである!

ナレ「この一瞬からしばらくの出来事を、滝沢賢治は何一つ記憶していない。栗原が何度も手を回して叫んでいたのも、赤津がゴールキックを外したのも賢治の目には何一つ入らなかった。そして10秒後に……」
審判「ピピッ! ノーサイド!」
忘我の状態の滝沢の耳に、ノーサイドを告げる笛が飛び込んでくる。
7対3、川浜の勝利であった。
抱き合って嬉し泣きにむせぶ平山と清川。
大変麗しい男の友情であったが、傍目には大変麗しくないので画像は割愛させて頂きました。

光男「やったーっ!」
圭子「キャーッ!」
光男、どさくさ紛れに圭子を抱き締めて絶叫する。

圭子(もう、いつまで抱きついてんのよ!)
圭子の顔が、嬉しいと言うより困って笑っているように見える。

マルモ「勝ったーっ!」
大木「勝ったよーっ!」
大木も、マルモと抱き合って喜びを爆発させる。

1話から全然成長しない娘ゆかりがはしゃぐそばで、目に涙を浮かべて喜びを噛み締める節子さん。

滝沢、まだボーっとしていたが、マークに肩を叩かれて漸く我に返る。
マーク「賢治、賢治!」
滝沢「マーク……勝ったんだな、きゃったんだな、マーク?」
マーク「勝ったんだよう、賢治、ユア・ウィナー!」
滝沢「誰がウィンナーやねん!」 じゃなくて、
滝沢「勝ったぞーっ!」

両手を広げてガッツポーズを取ると、グラウンドに走り出て選手たちと人間団子状態になる。
ま、そんなのはどうでもよくて、その周りで泣きべそ掻きながら手を叩いている清美が可愛いのである!

続いてマスコミのインタビュー。
滝沢「こんな嬉しいことはありません。勝てる、そう信じていたものの、不安でした。こいつらがこんな素晴らしい試合やってくれて、信は力なりです!
泣かせて下さい、思いっきり泣かせて下さい。勝ったぞーっ!」
これが滝沢の最後の台詞になるのだが、最後の最後まで暑苦しいキャラであった。
光男「やったーっ!」 圭子(も、いい加減にして……)
光男に抱かれるシーンが最後のカットとなった不運な圭子さんでした。

他にも内田親子に、夕子、大木たちの感動に打ち震える姿が延々と映し出されるのだが、それよりも、川浜に劣らぬほど見事な戦いぶりを見せた城南の選手や江川の様子を少しでいいから映して上げて欲しかった。

節子「……」
山城「奥さん、奥さん! 顔をあげてよくご主人を見て上げなさい。日本一のご主人ですぞ」
節子さんは、涙を堪えきれずに俯いていたが、山城にそう言われて、なんとか顔を起こす。
しかし、別に
「日本一のご主人」じゃないよね。単に監督してるチームが全国大会で優勝しただけのことで。

節子「はいっ」

しゃくりあげながら、顔を上げ、真っ直ぐ前を見る節子さん。

グラウンドでは滝沢の胴上げが始まっていた。
そんなのはどうでもよくて、画面の隅でどさくさ紛れに清美と明子に抱き付いているマークが羨ましいのである。そしてこれが、清美が画面に映ったラストカットになるのかな?

もう一度、後から後から溢れる涙を止めることが出来ない節子さんのアップ。

父親「加代、川浜が勝ったぞ。
これで俺は大金持ちだ!」

イソップの父親と甘利先生も、最後まで墓地でラジオを聞いて、勝利の喜びを分かち合うのであった。
なんかこの二人だけ、貧乏くじを引いてるように見えるのは気のせいだろうか?

勝又の声「監督の滝沢さん、感無量でしょう。おめでとう」
尾本「……」
最初の出動から戻って、またテレビに齧り付いていた尾本も、歓喜の涙をしたたらせる。
いや、だから、まるで
「かつてラグビーに青春をかけて全国大会を目指したが力及ばず、後輩たちにその夢を託して卒業したOB」みたいな顔するのやめてもらえませんかね?

と、そこへ再び警報ベルが鳴って尾本たちはまたしても出動することになるのだが、はっきり言って蛇足だったと思う。なんかコントやってるみたいで。
いよいよラストシーンとなる。
がらんとした競技場。
少し前までの熱狂が嘘のように静まり返っている。

ここで、中盤に出て来たグラウンドキーパーの海老名が再び登場する。
後片付けをしていると、家族から電話が掛かってくる。
海老名「はいはい、おっ、生まれたか? それで男か、女か? 男? そうか、分かった、分かった、名前はな……」
管理人、てっきりここで、海老名が孫の名前に「賢治」と付けるのだとばかり思っていたのだが、
海老名「ああ、今夜うちでゆっくり考えるわ」 海老名の予想外の答えに、
「賢治じゃないんかいっ!!」 と、思いっきりコケる管理人であった。
じゃあ、その孫が生まれるとか、名前を考えるとか、全然関係ない話じゃん。
脚本家は一体何を考えていたのだろう?

誰もいない観客席に、節子とゆかりがぽつねんと座っている。
前にも書いた気がするが、一度肺炎で死にかけた娘を、真冬の空の下、いつまでもそんな吹きさらしに置いてちゃダメですよ、節子さん。

ふと見れば、グラウンドに滝沢が出て来て周囲を見渡している。
やがて節子に気付いてその顔を見遣るが、

強い信頼で結ばれた夫婦には言葉は要らず、互いの目を見て頷き合うだけで十分心は通じるのだった。

やがて、一人残っていた海老名がスイッチを切ると、スコアボードのパネルが一枚一枚裏返っていく。
ナレ「戦いは終わった、川浜高校の優勝は節子をはじめとする関係者全ての人によって成し遂げられたのである。滝沢賢治は勝利者となった。だが、賢治は知っている。今日と言う日が終わった瞬間から、また新たなる戦いがここから始まるのだと……」 ナレーションを背に、スコアボードを見る滝沢のアップ、そしてまっさらになったスコアボードの映像で、「おわり」となるのだった。
以上、全26話、何とか完走いたしました!
劇中のラガーマンには遠く及ばないが、管理人も今、それなりの達成感を味わっております。
ただ、最後にこんなことは言いたくないが、今回は試合のシーンが多いので、書いててあんまり面白くなかった。登場人物の多くも、ずーっと叫んだり騒いだりしてるだけだしね。
なお、DVDの最終巻には、松村邦洋を司会に、山下真司、伊藤かずえ、松村雄基の三人による座談会も収録されているのだが、もうそこまで触れる気力はないので、各自でチェックして頂きたい。
それを見れば、滝沢(山下真司)がほんとに何も考えてなかったことが良く分かります。
と言う訳で、最後までお付き合い下った読者の皆様、ありがとうございましたっ!
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