第15話「ロボライダー誕生」(1989年2月12日)
前回までのあらすじ なんか、こう、色々あったのだ。
……
さて、冒頭、怪魔界へ続く異次元トンネルの中をどつき漫才をしながら飛行中のRXとデスガロン。
デスガロン、RXにビームを放って怪魔界へ辿り着く前に殺そうとするが、結局離れ離れになってしまう。
続いて、ひとみを連れ去られた佐原夫妻が、心配のあまり自宅で夫婦(めおと)漫才を繰り広げるが、特に面白くないのでカット。兄の茂は、真剣な顔付きで、「僕がひとみを助けてくる」と、まるで「郵便局まで切手を買ってくる」的な軽い台詞を吐いて、何の当てもないのに家を飛び出す。

それを追い掛け、全て光太郎に任せなさいと言う玲子。
別にどうでもいいシーンなのだが、ここで、前作のED「Long Long Ago, 20th Century」の哀切極まりないメロディが流れるので、つい胸が熱くなってしまう管理人であった。
不意に今、「豚に真珠」と言う言葉が自分を襲ったが……。
玲子「君まで危険な目に遭ったら……」
茂「わかってるけどさ、ひとみは僕の妹だよ。そりゃあ、
いつもいじめて泣かせているけど、こんな時こそ兄貴としてひとみを助けてやりたいんだ!」
最低なのか立派なのか良く分からないことを口走る茂。
玲子「茂君、男らしくてとても素敵よ。でも、敵はクライシス帝国なの。私たちの力じゃどうにもなんないのよ! 光太郎さんがひとみちゃんを助けて帰ってくるのを待ちましょう」
玲子はそんな茂を不当に持ち上げつつ、なんとか押し止める。

その光太郎、なんとか怪魔界に辿り着くが、そこは「死の砂漠」と呼ばれる荒涼とした場所であった。
……なんか、向こうの地平線に青々とした緑が見えるんですが。
ちなみに「死の砂漠」には、1年のうち30日だけ、太陽の光が差し込む「夏休み」のような時期があり、ちょうど今がその時期に当たっているのだった。
光太郎「デスガロンはどうした?」
と、上空を何かが飛んできたので、慌てて岩陰に身を隠す光太郎。

だが、それはデスガロンではなく、甲殻類を思わせる表皮を持った、ドローンのようなロボットであった。
怪魔ロボット・トリプロン1号である。
光太郎はあっさり発見されて上空からビームで攻撃される。

それを飛んでかわした光太郎の前に、左右対称のデザインをした一対のロボットが立ちはだかる。
トリプロン2号、3号と言い、トリプロン1号と同系統の怪魔ロボットなのだ。
状況に応じて合体するところなど、「イナズマンF」のウデスパーを髣髴させるユニークなキャラである。

光太郎「このままではやられてしまうぞ! ライドロン! ライドロン、来てくれ!」
変身して戦おうともせず、早くもライドロンに助けを求める光太郎。ちょっと情けない。

と、いつもよりやや時間が掛かったが、やがてライドロンの頼もしい姿が現われ、こちらに向かってくる。
そう言えばライドロンのデザインも、「イナズマン」のライジンゴーに似てるかも。

光太郎「ライドロン、来てくれたのか?」
ライドロン「いや、お前、あれだけしつこく呼んどいて、『来てくれたのか?』はないやろ。まるで俺が呼ばれてないのに率先して助けに来たみたいやん」 と、内心ツッコミを入れるライドロンであった。
嘘はさておき、ライドロンは光太郎を乗せると、光の矢になってあっという間に地平線の彼方に消える。

一方、地球のクライス要塞では、ひとみの前にさらわれた6人の少女が、チューブ状のポッドの中で、一列に並んでめそめそ泣いていた。
ジャーク「よし、本国にいるマリバロンの元に送り届けろ」
ボスガン「はい、怪魔界移動トンネルの扉を開けろ」
ポッドは、移動トンネルの中に射出され、怪魔界へ運ばれていく。マリバロンは彼女たちを、ガロニア姫に仕立てたひとみの侍女にしようとしているのだ。

その直後、チャックラムが、デスガロンのミス(なの?)により、RXも怪魔界へ行っちゃったことを知らせる。
チャックラムは「デスガロンはRXの計略に乗り……」と報告しているが、あれって、単にデスガロンの胸のボタンを押しただけ(14話参照)なので、「計略」じゃないだろう。
ジャーク「あの愚か者めが!」
ジャーク将軍、激怒するが、そもそも必要もないのにRXに(怪魔界移動能力を持った)デスガロンを差し向けさせたのは、ジャーク将軍自身なんだけどね!

ジャーク「ガテゾーン、トリプロンに命じてデスガロンをすぐさま処罰せよ」
ガテゾーン「デスガロンは我が怪魔ロボット大隊最強の戦士です。なにとぞもう一度チャンスを……」
上司のガテゾーンは、そう言って宥恕を請うが、
ジャーク「ならん! たとえ最強の戦士であろうと、重大な過ちを犯したものは処罰あるのみだ!」 が、ジャーク将軍は腹立たしいほど頑なで、杓子定規にデスガロンの処罰(処刑)を撤回しようとしない。
ストーリー上の都合だと言え、見ていてジャーク将軍の頑迷さにイライラさせられるシーンである。
何故、そんな形式的なルールにこだわって、類まれな戦士であるデスガロンを自ら潰そうとするのか?
愚かとしか言いようがないし、人の上に立つ人間として、あまりに狭量である。
第一、だったら、クライシス皇帝の娘を死なせるという、デスガロン以上に重大な過ちを犯したマリバロンが処罰されず、元気に作戦に従事していると言うのは明らかにおかしいではないか?
また、それとは関係ないが、光太郎が怪魔界にいる……つまり、地球上にはいないと言う状況は、ジャーク将軍にとってまたとない好機だったのではないだろうか? マリバロン以外は手が空いているのだから、この隙にいくらでも破壊活動なり、移住計画なりを進めることが出来た筈だと思うのだが?
あるいは、この隙に佐原家の人々や玲子を拉致して、殺すなり洗脳するなり人質にするなり、やりたい放題だったと思うのに、彼らはそのことを思いつきもしないのである。
さらに敷衍すれば、「RX」の番組としてダメなところのひとつは、今挙げたようなジャーク将軍以下の侵略部隊のどうしようもない無能ぶり、バカさ加減が、随所に見られるところだと言えるかもしれない。
閑話休題、
トリプロンたちの目の届かないところで、しばし休息を取っている光太郎とライドロン。

光太郎「さすがのお前でも怪魔界には移動できないのかと冷や冷やしたぜ」
ライドロン「RXあるところ、ライドロンとアクロバッターあり!」
光太郎「うん!」
ライドロン「怪魔界への入り口を見つけるのに手間取ってしまった。心配させてゴメン」
車が謝っちゃったよ、オイ! さっきの話の続きではないが、前にも言ったように、「RX」でイヤなのは、こう言う風に光太郎とライドロンたちが普通に会話を交わすところなんだよね。
それと、重大な事に気付いたのだが、ライドロンって普通に怪魔界に出入りできるの?
だったら、デスガロンを利用せずとも最初からライドロンで行けば良かったんじゃないの?
ま、いちいち細かくツッコミを入れていたらきりがないのでこの辺にしておこう。
さて、その後、再び光太郎の前にトリプロン各機が出現するが、それは光太郎ではなくデスガロンを狙っていたものだった。

デスガロン「やめろ、トリプロン、俺はお前たちより上級の戦士だぞ」
2号「ジャーク将軍の命令により、お前を破壊する」
デスガロン「ジャーク将軍の? ちくしょう、あの金ピカハゲオヤジめぇっ!(註・言ってません)」
もっとも、デスガロンはRX以上の戦士なので、トリプロン三体がかりでもかなわない。
なにしろ、「怪魔ロボット大隊最強の戦士」だもんね。
……じゃあ、処刑できないじゃん。
ジャーク将軍がますますバカに思えてきた。

デスガロン「むざむざ破壊されてたまるか」
それはそれとして、デスガロンのデザインは秀逸である。
少なくとも今回登場する(して欲しくなかったが……)ロボライダーよりはカッコイイ。

光太郎「そうか、デスガロンは俺を帝国に連れてきたので、処罰を受けているのか」
岩陰から一部始終を見ていた光太郎、状況を把握する。
てっきり「デスガロンには悪いことしたなぁ」と反省するかと思いきや、
光太郎「敵が仲間割れしている間に……うひひ」
と、反省の色を微塵も見せず、とっととその場から逃げ出してしまうのであった。
ここ、光太郎がデスガロンに加勢してトリプロンを撃退したら面白い展開になっていたんじゃないかと思うが……。
デスガロン「何故、俺を助けた?」
光太郎「さあな、俺のせいでお前が処刑されるのをむざむざ見てられなかったのかもしれないな。とにかくこれで貸し借りなしだぜ」
デスガロン「ふっ、礼は言わんぞ。今度会った時は……決着をつけてやる」
……みたいなハードボイルドな会話を妄想するのもまた楽しからずや。
さて、マリちゃんは、ひとみや送られて来た侍女候補の少女たちと一緒にいたが、偵察に出ていたチャップが戻ってきて、付近に光太郎がいることを知らせる。
マリバロン、慌ててそこから移動しようとするが、何者かがチャップをぶん殴って乱入してくる。

だがそれは、光太郎ではなくデスガロンであった。
デスガロン「マリバロン様、私にもう一度チャンスを与えて下さい」
マリバロン「チャンスを?」
デスガロン「私は必ずRXを倒して見せます」
マリバロン「ふんっ」
膝を折って嘆願するデスガロンに、マリバロンは冷ややかな笑いで報いるが、ふと何か思いついたように、

マリバロン「よかろう、お前が見事RXを倒せば、私がジャーク将軍の怒りを解こうではないか」
デスガロン「ありがたき幸せ!」
さらにマリバロンはデスガロンにある「秘策」を授ける。
CM後、マリバロンはわざとひとみたちと一緒に歩いているところを光太郎に見せ付け、チャップたちに攻撃させて時間を稼ぎつつ、

硬い岩山を巨人の手で刳り貫いて出来たような空間に、光太郎を誘い込む。

彼らを追いかけて地底の石窟のような場所に辿り着いた光太郎であったが、そこにはマリバロンたちの姿はなく、代わりにデスガロンが現われる。
光太郎も腹を括って、ここで初めてRXに変身するが、

それを待っていたかのように、分厚い石の扉が落ちてひとつしかない入り口を塞ぎ、部屋を密閉してしまう。
マリバロンの声「はーっはっはっはっ、RX、デスガロン、その部屋は特殊な石で作られた反逆者を閉じ込める牢獄、お前たちのどちらかが勝ち残ろうと、そこから外には一歩たりとも出られんぞ!」
さらに頭上からマリバロンの高笑いが響く。
デスガロン「マリバロン、俺との約束を破る気か」
マリバロンの声「黙れデスガロン、ジャーク将軍の命は絶対であるぞ」
デスガロン「おのれーっ!」
そう、いかにもマリバロン、いや、クライシスらしい下劣な策略だったのだ。
しかし、これも、二人が本格的に戦い始める前に罠を発動させてしまうのは、いささか軽率な行為のようにも映る。デスガロンなら、普通に戦ってRXに勝てるのだから、とりあえず手出しをせずに二人の勝負の行方を見守る方が賢明だったのではないだろうか。
そう言う意味では、下手をすれば、デスガロンをRXの仲間にしてしまいかねない危険なタイミングだったと言えるだろう。

実際、それを聞いたRXが、「協力してここを出ることを考えないか」とデスガロンに提案して、折角の計略が台無しになりそうになったくらいである。
もっとも、デスガロンもいい加減トサカに来ており、その提案を蹴って改めてRXに勝負を挑んできたので実現はしなかったのだが。
で、まぁ、戦いになるのだが、前回同様、RXは一方的にデスガロンに押しまくられる。

RX(ダメだ、今の俺の力では奴には勝てない!)
その強さは、戦闘中、RXが勝つのを諦めたほどであった。
だが、戦いの中、祭壇に眠っていたひとみが騒ぎで目を覚まし、起き上がったところにデスガロンがRX目掛けて投げたブーメランのような武器を受け、悲鳴を上げてその場に倒れてしまう。

RX「ひとみちゃんっ!」
RXが抱き起こすが、ひとみは一度目を開けてから、あっさり息を引き取ってしまう。
マリバロンの声「はーっはっはっはっはっ、RX、恨むなら己を恨め、貴様が抵抗しなければひとみは死ななかった。ひとみを殺したのは貴様だ!」
RX「なにっ」
再びマリバロンのヒステリックな声が響き、RXを嘲り笑う。
RX「ひっ、うっ、わあああああーっ!!」
RX「ううっ、うああーっ!!」 ひとみを抱き上げ、体を震わせて悲しみの絶叫をほとばしらせるRX。
倉田さんの熱演であるが、やっぱり表情のないスーツに声だけ被せても、いまいち光太郎の感情が伝わらないのが難である。
ここは、一度光太郎の姿に戻してから、演技させるべきだったろう。
ちなみにこのひとみ、後に実はマリバロンの作ったニセモノだったと判明する。言うなればガロニア姫のニセモノのニセモノである。
素朴な疑問だが、何故マリバロンはわざわざそんなものを祭壇に残して行ったのだろう? こう言う事態を予測して、RXを精神的に動揺させる為だろうか?

RXの凄まじい怒りと悲しみなど意に介さず、必殺の電撃パンチを放つデスガロン。
いくら気張ったところで、勝てないものは勝てない……筈だったが、

ナレ「その時、不思議なことが起こった。デスガロンの攻撃を受け、死を覚悟したRXであったが、悲しみの涙がRXの秘められた再生能力を活き活きと発動させたのである!」

強引なナレーションと共に立ち上がったRX、サンライザーが回転する歯車をイメージしたような全く新しいものに変わり、

そのボディも、光の中でロボット風のものに変貌してしまう。

デスガロン「何者だ、お前は?」
ロボライダー「俺は悲しみの王子、RX・ロボライダー!」
そう、これが今では当たり前となった、ライダーの多段変身が初めて発動した瞬間なのである!
オンエアを見ていた自分も、「おおっ」と唸ったことを覚えている。
もっとも、ほどなく「よく見たらあんまりかっこよくない……」と言うことに気付いてしまい、その興奮もたちまち醒めてしまったのだが。
あと、悲しいからって別のライダーに変身するのはどうかと思う。
ロボライダー、あまり説得力はないがとても強く、あれほど苦しめられていたデスガロンを圧倒する。
デスガロン「こんなバカな、俺にこれほどの打撃を与えられるとは」
ロボライダー「デスガロン、お前はRXの力に対抗して作られた怪魔ロボットだと言ったな?」
デスガロン(言ってないけど……) ロボライダー「俺はお前以上の力を得て生まれ変わった。ロボライダーだっ」
デスガロン「……」
なんか釈然としないデスガロン(と管理人)であった。

ロボライダー「ボルテックシューター!」
ロボライダーになると、武器も変わり、両手を近付けてその間に生じた光が、近未来的な銃になる。
デスガロンも銃を持っていて、撃ち合いになるがロボライダーが一瞬早く、相手の銃を弾き飛ばす。
ロボライダー、デスガロンには目もくれず、ボルテックシューターで扉を撃ち砕くと、ひとみの体を抱いて外へ出て行く。
デスガロン、しつこく追いかけてきて戦いを挑むが、ボルテックシューターで右腕を飛ばされ、あっさり敗北を認める。

デスガロン「ロボライダー、俺の負けだ。あの世に行く前に、お前にひとつだけ教えておこう。ひとみは生きているぞ。それはニセモノだ」
驚いてひとみを見ると、その体は煙のように消えてしまう。
死ぬ間際に急に親切になったデスガロンは、マリバロンたちが「奇跡の谷」を目指しているであろうことまで教えてくれる。

デスガロン「さらば、ロボライダー!」

デスガロン、トドメを受けることなく、爆発してバラバラになってしまう。
ここは、爆発に光の破片を合成しているのが惜しい。
「RX」でちょいちょい見られる映像処理だが、はっきり言って余計である。
デスガロン、強くてカッコ良くて、個人的には「RX」の中で一番好きな怪人だったのだが、味方にも裏切られ、その真価を発揮することなく、ロボライダーの引き立て役みたいな最期だったのがかわいそうだった。
ロボライダー→RX→光太郎と変身を解くと、光太郎は「奇跡の谷」を探しにすぐに歩き出す。

と、それを物陰から見詰めている、ヘッドギアのようなものを付けた謎の男の姿があった。
後に光太郎の盟友となる「霞のジョー」である。

一方、大名行列のようにひとみを奉じて「奇跡の谷」へ向かっていたマリバロンの前にトリプロンが現われ、デスガロンの死と、ロボライダーのことを報告する。
それを聞いたマリバロンの反応は、
マリバロン「おそろしや、RX……」 そんだけかいっ!(管理人の魂の叫び)
自分の余計な策略のせいで宿敵RXに新たな力を与えてしまったことへの反省が、微塵も感じられないマリちゃんであった。
はっきり言って、この一件だけで、マリバロンはデスガロン同様、「死刑!」にならないとおかしいんだけどね。

マリバロン「急げ、RXに見付からぬうちにガロニア姫を奇跡の谷へお連れするのだ!」
美味しそうなフトモモを剥き出しにして号令をかけるマリちゃんでした。

ラスト、岩だらけの斜面を這うようにして登っている光太郎の背後から、怪しげな男がオコジョのように頭を出して覗いていると言う映像で、16話へ続くのであった。
オンエアの時、純真な少年だった管理人は、なんか間の抜けた映像だなぁと思っていましたが、純真なおっさんになった今見ても、やっぱり間が抜けてました。
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