第34話「呪われた亡霊たち」(1981年10月3日)
若干季節外れの感じもするが、17話同様、お化けの出てくる話である。
冒頭、場末の文化会館みたいな会場で、場末のディスコみたいなファッションショーが開催されている。

ステージでくるくる回っているのが、ゆかりと言う場末のファッションモデルである(註・場末じゃないです)
彼女は美佐の友人でもあり、客席の中には、当然のごとく美佐の姿があった。
だが、突然会場が真っ暗になったかと思うと、怪しい人影が宙を舞い、ゆかりを掻っ攫ってしまう。

それは、どう見ても120パーセント日本人にしか見えないが、紛れもなくルーマニア出身だと言い張ってるドラキュラ伯爵であった。
演じるのは、スーツアクターの新堀和男さん。

ドラキュラ「おお、久しぶりじゃ……」
ドラキュラは我慢できずにゆかりの白い喉笛に鋭い牙を突き立てるが、続いて現われたアマゾンキラーに「あなたの狙う相手は嵐山美佐だと言った筈だ!」と言われ、血を吸うまでにはいたらない。
てっきり、ドラキュラはモンガーか戦闘員が化けているのかと思ったが、それはノロイモンガーと言う霊媒的能力を持つ怪人によって呼び出された、
本物のドラキュラ伯爵の霊であった。
いや、本物て……
なんか釈然としないのだが、話を続けよう。
ノロイモンガー「消えろ、ドラキュラ!」
ノロイモンガーがなにやら呪文を唱えて一喝すると、ドラキュラの姿は歪んで消えて数羽のコウモリになってしまい、部屋の中を飛び回る。
ゆかりを探しに美佐がやってきたときには、既にアマゾンキラーもノロイモンガーも引き揚げており、美佐が見たのはそのコウモリだけであった。
朝夫「ドラキュラかもしれないだって? 宇宙旅行も夢じゃないって時代に、古いなぁ、美佐ちゃんも」
サファリで美佐の体験談を聞いた朝夫は、開口一番笑い飛ばす。
しかし、「宇宙~時代に」と言う言い方も、今となっては死語に近い言い回しだよね。
美佐「何よ、人の言うことちっとも聞いてくれないんだから」
朝夫「ひょっひょっ、そう興奮しないで」
欣也「こいつは本当にドラキュラかもしれないぜ」
美佐「確かにコウモリを満たし、ゆかりさんの首のところに赤い斑点が……」

飛羽「赤いはんてん? 赤い半纏、着っせまっしょか~?」
嵐山(いや、それは稲川淳二の怪談だろ) ……と言うのはもちろん嘘だが、美佐が「斑点」と形容したのには、若干引っ掛かる。あれはどう見ても「傷口」だったからだ。
その後、パトカーや白バイが繰り出して、とある池のそばの道で検問を行っていると、

不意に、周囲に濃い霧が立ち込めたかと思うと、池の真ん中に道が出来て、その上を、お馬さんに乗ったガンマン風の男がパカラパカラと駆けて来るではないか。

警官A「何者だ?」
ビリー「俺は……地獄から帰って来たビリー・ザ・キッドだ」

警官B「ビリー・ザ・キッドぉ?」
警官A「えらい流暢な日本語喋ってますけどぉっ!!」 21歳の若さで殺された伝説のアウトロー、ビリー・ザ・キッドの霊を演じるのは、毎度お馴染み、高橋利道さん。
ビリー「俺を殺した保安官の仲間のお前たちに復讐してやる!」
死んでいる間にやや老けたビリー、目にも止まらぬ早撃ちで警官たちの足元に銃弾を撃ち込む。
ビリーは哄笑を響かせると、来た道をパカラパカラ走り去って行く。

警官たちに実害はなかったが、いつの間にか、バルイーグルを模した人形が警官の首に吊り下げられていて、その後ろには「サンバルカンを抹殺せよ ブラックマグマ」と言う文章が書かれていた。

続いて、林の中を本を読みながら散策していたうら若き女性の前に、今度はドラキュラ伯爵が飛び降りる。

で、この女性が、なかなか綺麗なのだった。役名はないが、石田裕子さんと言う方だと思う。

牙を剥いて美女に襲い掛かるドラキュラ伯爵。
なんか、原田泰造にしか見えんが……
が、そこへバルイーグルが飛び込んできたので、またしてもドラキュラは美女の生き血を吸うことかなわず、無念を抱いて退散する。
ドラキュラが去った後、近くの幹にさっきと同じ人形がナイフで突き刺してあった。

ヘドリアン「どうじゃ、わらわの作ったノロイモンガーじゃ。世界中の地獄や魔界に住む亡霊たちを自在に操ることが出来るのじゃあははははは」
ヘルサターン「さすがはヘドリアン女王、サンバルカンの刺客に不死身の亡霊たちを使うとは……」
最近、すっかりブラックマグマの指揮権をヘドリアン女王に奪われ、ヒルナンデスの南原状態になりつつあるヘルサターン総統。今回も、ヘドリアン女王の作戦をひたすら傍観するだけ。
意気上がるヘドリアン女王は、三人目の亡霊、ジャンヌ・ダルクを召喚させる。

当然、ジャンヌ・ダルクと言えばうら若き乙女と言うことで、ドラキュラやビリーと違って、それなりに説得力のある女優さんが演じておられる。藤枝亜弥さんと言うらしい。
嵐山「ブラックマグマが我々に挑戦してきた」
飛羽「ドラキュラやビリー・ザ・キッドの正体は一体なんなんだ?」
欣也「目撃者たちの話によるとまるで亡霊のように出没しているらしいな」
朝夫「あの時、美佐ちゃんの話をちゃんと聞いてあげりゃよかった」
一方、サンバルカンも、残された人形から一連の騒動の黒幕がブラックマグマであることを知り、本腰を入れて対策に乗り出すことにする。

さて、美佐がゆかりのマンションに花束を持って見舞いに行くと、今しもドラキュラがひつこくゆかりの血を吸おうと襲い掛かっているところだった。
美佐はゆかりを庇うように、ドラキュラと正面から対峙する。

ドラキュラ「そんなに私が怖いのか?」
美佐「近付くと……」
美佐、ドラキュラ対策の為に用意していたのか、胸に下げたロザリオの十字架を取り出して突きつける。
ドラキュラが十字架に弱いと言うのは幼稚園児でも知っている常識だが、このいかつい顔のドラキュラにはあまり効き目がなかった。何故なら、
ドラキュラ「残念でしたー、俺んちは代々、浄土真宗東本願寺派なのー! だから十字架関係ないのー!」 美佐「くっ……って、あんたやっぱり日本人でしょ?」
ドラキュラ「はうっ!」 じゃなくて、
ドラキュラ「お前にも吸血鬼として生き永らえねばならぬこの苦しみを味わわせてやる!」
ドラキュラは十字架の威光にもめげず、美佐の首に両手を伸ばす。
しかし、ドラキュラの悲願は三たび妨害される。今度はサンバルカンの三人が突入してきた為、窓から下へ飛び降りる。何しろ新堀さんが演じているので、ドラキュラ本人がジャンプしているのが何気にカッコイイ。

美佐「ゆかりぃ」
ゆかり「……」

安堵して、ゆかりは美佐のおっぱいに
むぎゅっと顔を押し付ける。
素朴な疑問だが、女性の方は、同性にこう言うことをされたらどんな感じになるんだろう? やっぱり性的興奮を覚えるのだろうか。押し付けた方も、おっぱいの感触に性的興奮を覚えるのだろうか?
あと、真顔でこんなことを考えている私はアホなのだろうか?
そうそう、言い忘れていたが、ゆかりを演じているのは後藤いずみさん、どこかで聞き覚えがあるなぁと思ったら、「ダイナマン」第36話にちょっとだけ出て来た女性秘書を演じていた方だった。
サンバルカンはドラキュラを追って森の中へ踏み込むが、ノロイモンガーが待ち受けていてドラキュラたち三人を呼び出してサンバルカンと戦わせる。

で、ドラキュラやビリーは良いのだが、ジャンヌちゃんが、サイズが合ってない甲冑をかぶり、しかも動けないので下半身だけ外しているスタイルが、かなり情けないものがあるのだった。
ま、本来ならちゃんと動ける甲冑のような衣装を発注すべきなのだろうが、予算がなかったのだろう。
だったら、最初からジャンヌ・ダルクじゃなくて、マリー・アントワネットあたりにしとけば良かったんじゃないの? ま、ジャンヌ・ダルクだって甲冑を着けてないと駄目と言う法はないんだけどね。
それはともかく、亡霊戦士の三人にはサンバルカンのいかなる攻撃も通じず、バルイーグルは遂に仲間に退却を指示せざるを得なくなる。

飛羽「いくら我々が攻撃してもまるで手応えがないんです」
欣也「確かに姿は見えるけど、実体がないんです」
嵐山「恐らくヘドリアン女王の妖術で呼び寄せた霊をモンガーが操ってるんだろう」
三人は本部に戻って嵐山たちと対策を協議するが、さしもの嵐山も何の妙案も思い浮かばない様子。
しかし、念仏を唱えるとか、お札を貼るとか、一般的な悪霊払いくらい思い付きそうなものだけどね。
調子に乗ったヘドリアン女王は、さらに亡霊たちを暴れさせ、何の手も打てないサンバルカンを嘲笑する。
その後、サンバルカンはいかにも怪しい洋館を発見して乗り込むが、それはヘドリアン女王の仕掛けた罠で、彼らは逆に、ノロイモンガーによって亡霊の世界へ叩き落されてしまう。

その中で、三人は再び亡霊たちに襲われる。
うーむ、やっぱりこのジャンヌのスタイルはNGだよね。
女優さんがなかなか綺麗なだけに勿体無い。

さっきと同じく、サンバルカンの攻撃は一切利かず、亡霊たちに一方的に痛め付けられる。
ドラキュラ「いくら倒そうとしたところで、もはや我々に死はないのだ」
ジャンヌ「あるものはただ、人間たちへの憎しみだけだ」
イーグル「何故そんなにも人間たちのことを?」
ジャンヌ「聞くがいい、サンバルカン、祖国フランスの為に戦った私を人々は魔女として処刑したのだ」

ここで、実際に火刑に処されているジャンヌの姿が映し出される。

ジャンヌの声「生きながら火炙りにされる苦しみがお前たちにわかるかっ」
三人「わかりません」
それにしても、甲冑つけたままでは、あまり中まで火が通らないと思いますが……。

ドラキュラ「我々は皆、人々の罵りと憎しみを受け、孤独のままこの世を去った。今もこの胸に打ち込まれた杭の痛みが疼く~」
切々と生前受けた苦しみを訴えるドラキュラ。
この時、味方も含めた5人が、
「いや、おめえ実在してねえじゃん!」と、心の中で激しくツッコミを入れていたと言う。
イーグル「そうか、お前たちはあまりに不幸な死に方をした為に、人間たちを恨むようになってしまったんだな!」
シャーク「お前たちはブラックマグマに利用されているだけなんだ!」
しかし、ジャンヌはともかく、ビリーは好き放題強盗したり人を殺したりした挙句に殺されていて、死後もずっと人気者だったのだから、そんなに人間を恨んでいるとも思えないのだが?

亡霊たちはサンバルカンの言葉には耳を貸さず、念力や火炎攻撃でサンバルカンを苦しめる。
ここは、てっきり、正攻法ではなく情に訴えるやり方、たとえば、美佐の優しさとか祈りとか、そう言うことで亡霊たちを浄化させるのかと思ったのだが、サンバルカンは何の伏線もなく、それぞれのバルカンスティックを組み合わせて光を放つ「サンバルカン合体剣」と言う技を繰り出し、亡霊たちを撃退してしまう。
……いや、だったら最初からその技を使えば良かったのでは?
どうもこの雑な処理は納得できない。
サンバルカンは現実世界に戻ると、ノロイモンガーと戦ってこれを撃破する。

戦いの後、再び亡霊たちの姿が浮かび上がり、
ビリー「お前たちの言うとおりだった」
ジャンヌ「どうやら私たちは憎しみの為に心をゆがめ、愚かな過ちを犯していたらしい」
ドラキュラ「許してくれ、サンバルカン、さらばじゃーっ!」
と、何故か三人はサンバルカンが何もしてないのに勝手に改心してしまい、成仏する。

ラスト、丘の上に立てたありあわせのお墓に、美佐が花を供えて手を合わせている。
欣也「亡霊たちももう二度と悪さはしないだろう」
飛羽「安らかに眠ってくれ」
ナレ「サンバルカンの優しい心が亡霊たちにも通じたのであろうか」 と言う締め括りのナレーションも、いまひとつ内容と合ってないような……。
まだしも、戦いの途中で美佐が祈りを捧げた為に亡霊たちが改心し、ナレ「美佐の優しい心が……」となっていれば、納得できたのだが。
以上、終わってみればストーリーらしいストーリーのない弾けまくったエピソードであり、三人の女性ゲストが全員綺麗だったと言うのがほとんど唯一の収穫であった。
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