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「乳姉妹」 第1回「誕生日の秘密」

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 第1回「誕生日の秘密」(1985年4月16日)

 「不良少女とよばれて」「スクール☆ウォーズ」に続く大映ドラマ「乳姉妹」のお時間がやって参りました。

 念のため、「ちちしまい」ではなく「ちきょうだい」と読みます。つまり、赤の他人だが、生まれた時、同じ女性のおっぱいを吸っていた間柄と言うことである。

 おおまかなストーリーを一言で言うと、運命の悪戯か、はたまたシナリオライターの苦し紛れか、ビンボーでビンボーで仕方のない家庭に生まれた子供と、セレブでセレブで仕方のない家庭に生まれた子供が赤ん坊の時に摩り替えられ、18年後、それぞれの家庭で成長した二人の少女が、偶然めぐり合い、自分たちの出生の秘密を知って悩み苦しみ、傷付き、不良になったり、銀行強盗を働いたり、太鼓を叩いたりするという話である。

 正直、上記2作と比べるとストーリーに一貫性がなく、キャラクターの魅力も乏しいのだが、その分、毎週毎週、大映ドラマ特有のめちゃくちゃな展開が繰り広げられるので目が離せず、ツッコミを入れつつもついつい続きが気になって見てしまうと言う中毒性の高いドラマになっている。

 ただし、この前やった「スクール☆ウォーズ」と同じようなボリュームでレビューすると、管理人、多分、途中で死ぬと思うので、なるべくコンパクトにまとめて紹介して行きたいと考えているが……。

 1カット目から、天を摩すかのように遥かに聳える超高層ビルが映し出されるが、あまりに高いのでカメラに収まり切らない。カメラがティルトすると、ビルの玄関口に「南部開発本社」と言うプレートが見える。

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 その玄関前に車が停まり、手に花束を持ち、黒いベールで顔を覆った喪服姿の若い女性が降り立ち、慌てて整列する社員たちの間を女王然とした風格を漂わせて進んでいく。

 この物語のヒロイン、大丸千鶴子(伊藤かずえ)である。

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 上層階の会議室では、会社の新事業についてのプレゼンが行われていたが、社長の大丸剛造(高橋昌也)は、娘の千鶴子の姿を見ると、「時間だな」と、さっさと会議を切り上げると、大勢の重役たちを尻目に部屋を出て行く。

 剛造の専制君主ぶりが良く出ているシーンである。

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 剛造は、妻・則子(小林哲子)、長女の千鶴子、そして養子で長男の雅人(鶴見辰吾)とともに、とある墓地の真ん中にあって、周囲の墓石を睥睨するかのように傲然と聳え立つクソでかい墓の前に立ち、手を合わせる。

 墓には「大丸慶子」と言う名前が刻まれていた。

 18年前の今日、千鶴子を生んですぐ亡くなった剛造の先妻である。

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 拝んだ後、千鶴子がベールを上げてその顔があらわになる。

 千鶴子「お母様、私のために命をなくされたお母様、千鶴子は18歳になりました。謹んでご報告いたします」

 そして「どんな過酷な運命でも大丸千鶴子を打ち負かすことなんて出来ないわ」と、とてもお墓に向かって言う台詞とは思えないことを言う千鶴子。

 剛造も「今後、お前にどんな過酷な運命が待ち構えていようとも、お前が負けることはない」と千鶴子の強さを保証するが、まさかこれからあんなギャグみたいな運命がひっきりなしに押し寄せてくることになろうとは、神ならぬ身の剛造には知る由もなかった。

 剛造は、生みの母だけでなく、育ての母の則子にも感謝せにゃあかんよと千鶴子に釘を差す。千鶴子がかしこまって母親に礼を言うと、

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 則子「いいえ、私の力など微々たるものですわ」

 と、則子は謙遜して答えるが、その顔は、「そうよ、全て私のお陰なのよ!」といってるようにしか見えないのだった。

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 現在大学生の雅人も、養父に促されて慶子の霊に語り掛ける。

 雅人は、千鶴子が生まれる前に大丸家に養子に来ているので、短い間だが、慶子に育てられているのだ。

 剛造「将来は千鶴子と結婚させ、私の後継者として育てていくつもりだ」
 千鶴子「お父様!」

 父親の言葉に思わず声を高くする千鶴子だったが、少し照れ臭そうなその顔には、来るべき幸せを夢見て開く花のような笑みが浮かぶのだった。

 ところで、以前から管理人、大丸の養子である雅人と、実子の千鶴子は義理の兄妹なのだから、結婚できないのではないかと疑問に思っていたのだが、今回のレビューを書くに当たってちょっと調べてみたら、ちゃんと結婚できるそうです(民法734条)。

 さて、外見的には完璧無比の幸せな大丸一家であったが、そんな彼らの様子を物陰から見ていたひとりの男の卑しい欲の為に、やがてその幸せも滅茶苦茶に踏みにじられてしまう運命にあったのだ。

 剛造たちは眼前に迫った運命の波涛に気付くこともなく、屋敷で千鶴子の誕生パーティーを開く為に墓地を後にする。

 それに続いて、カメラは神奈川県西部、相模湾の西端を形作る人口1万弱の真鶴町の美しい風景を映し出す。

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 ここは、千鶴子が生まれた土地であり、その乳姉妹である松本しのぶ(渡辺桂子)とその妹の耐子(森恵)が生まれ育ったところでもあったのだ。

 耐子「お姉さんが生まれた日は、恐ろしい嵐が一晩中吹き荒れてたそうね。でも今日は海はとっても穏やかだし、嵐が来そうにもないわね」
 しのぶ「ええ、そうね、私はこの海を見詰めながら18歳になったんだわ」

 もうひとりのヒロイン・しのぶを演じる渡辺桂子さん、基本的にはアイドル歌手であり、女優としては事実上これがデビュー作みたいなものなので、はっきり言って演技は下手である。まだしも、森恵さんの方が上手いくらい。

 のっけからこう言っちゃなんだが、渡辺さんはミスキャストだったと思う。少なくともクィーン・オブ・大映ドラマの伊藤かずえさんと張り合えるほどの女優でなかったことは確かである。

 ま、かといって伊藤麻衣子さんなどを連れて来たら、まるっきり「不良少女」だもんね。

 さて、実は全てのいざこざの原因を作ってしまったのが、彼女たちの母親であり、現役の海女である、松本静子(岩本多代)なのであった。

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 その日も、海に潜って罪のない魚介類を拉致してきた静子だったが、海から上がるといかにも疲労困憊と言う感じで、歩くのがやっと……と言う状態だった。

 ファーストカットから、まだ冷たい海に放り込まれた岩本さんの顔が、「なんで演技派美熟女女優の私がこんなことしなきゃならないのよ!」と言っているように見えるのは、全て管理人の妄想のなせる業です。

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 漁を終えた静子と、娘たちが路上でばったり会う。

 しのぶ「お母さん、今日も海に入ったのね、疲れてるんだから無理しちゃ駄目じゃないの」
 静子「何言ってんの、生まれた時から海で育ってんだよ。少しくらいの疲れで壊れるほどやわな体してないの!」
 男「しのぶちゃんに食べさせようと思って無理して採って来たんだってよ。しのぶちゃん、18歳の誕生日おめでとう!」

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 知り合いの魚屋らしい男がしのぶにお祝いの言葉を述べて軽トラに乗り込むが、良く見たら(ウルトラマン80の)セラじゃないの!

 今回キャプしてて初めて気付いた管理人であった。

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 誕生日だからといって特別なことはしてくれないで良いと健気なことを言うしのぶを潤んだ目で見る静子であったが、心の中では(許しておくれ、18年前、私が大丸様のお嬢様に乳を与えることを引き受けなかったら……お前は今頃……)と、詫びていたのだった。

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 物語の中核となる二つの家庭の簡単な紹介が済んだところで、主題歌「RUNAWAY」(歌・麻倉未稀)のイントロが流れ出し、OPとなる。

 ナレ「この物語は、吉屋信子の傑作小説『あの道この道』をベースに、運命に翻弄される二人の少女が、時には敵となりながら、自分の人生を自らの手で拓く姿を通じ、人生とは何かを問うものである!」

 ナレーションは言うまでもなく芥川隆行さん。

 なんかもう、この重厚なナレーションだけで、ドラマの全てを語り尽くしてしまい、早くも「完」と言う字が浮かんで来そうな感じである。

 それなら管理人も実に楽なのだが、あいにくとこれから始まるのである(涙)。

 ちなみに、どう考えても主役は伊藤かずえさんだと思うのだが、何故かクレジットで最初に表示されるのは鶴見さんなんだよね。納得いかん。

 そう言えば「不良少女」も、主役はどう見ても伊藤麻衣子さんなのに、国広さんが先頭だったな。

 OP後、引き続き真鶴。

 学校から帰った後、一緒に新聞配達のバイトをしている松本姉妹。

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 しのぶ「はい、朝刊でーす」
 おばちゃん「もう夕方だよ!」

 じゃなくて、

 しのぶ「はい、夕刊でーす」
 おばちゃん「はい、ごくろうさま」

 静子の方も、採って来た魚介類を行商して歩いていたが、その途中、胸部に激しい痛みを感じてその場にへたり込む。半年前から時折起こるその発作は、静子に「死」を予感させていた。

 ……けど、静子は最終回まで不死鳥のごとくバリバリ生き続けるのだった。

 その代わり、若い衆が三人ほど死んじゃいますが。

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 配達先の一つに、大丸家所有の別荘風の建物があり、現在、改装作業が急ピッチで行われていた。

 親方「千鶴子お嬢様がな、GWに遊びに来るんじゃよ」
 耐子「お姉さん、千鶴子さんと言ったらお姉さんの乳姉妹じゃないの」
 しのぶ「千鶴子さんはどんな人なんですか」
 親方「うーん、ははは、あんたたちも可愛いがな、お嬢様はな、誰が見てもハッとするような凄い美人なんだぞ。はっはっ」

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 親方(あ、いかん、想像しただけで勃って来た……)

 親方によると、その別荘で剛造の妻・慶子が千鶴子を産み落として亡くなって以来、ずっと放置されてきたのだが、剛造は18年ぶりにそこに手を入れ、千鶴子の18歳の誕生日の贈り物にするつもりらしい。

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 耐子「綺麗な人なんだってさ」
 しのぶ「どんな人なのか、早く会って見たいわね」
 耐子「優しい人だといいなぁ」
 しのぶ「優しい人に決まってるわよ」
 耐子「そうね、千鶴子さんお姉さんと一緒にお母さんのおっぱい吸った人だもん。優しい人に決まってるよね」
 しのぶ「やあねえ、タエちゃんたら」

 帰り際、まだ会ったこともない千鶴子と言うお嬢様について想像をめぐらす二人であったが、実物が、優しいどころか、日本一性格の悪い女であろうとは知る由もないのだった。

 それにしても、森恵の真っ赤と言うか、ピンク色のほっぺたが可愛過ぎる!

 その頃、東京の大丸邸では、千鶴子の誕生パーティーの準備が着々と進められていた。何しろ日本有数の大企業の令嬢の誕生パーティーだけあって、本職のコックやウェイター、メイドが大量に動員された本格的なものだった。

 一方、千鶴子は、毎日専属の教師の指導の下、毎日(?)ピアノのレッスンに励んでいたのだが、今日は練習したくないと駄々をこねていた。

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 教師「ピアノは少しでいいから毎日続けないと上達しませんよ。特に今日は皆さんにお聞かせするんでしょう。一度でいいからお稽古しましょうね」
 千鶴子「何よ先生、まるで私を子ども扱いして……レッスンなどしなくてもそのときになればきちんと弾くからだいじょぶよ」

 早くも千鶴子の比類なきわがままぶりの一端がうかがえる。

 それでも母親にたしなめられてしぶしぶピアノ前に座り弾き始めるが、いかにも集中力の感じられない演奏だった。そこへ雅人が入ってきて、

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 雅人「そんないい加減なショパンを聞かされたんじゃ、お客様もたまったもんじゃないな」
 千鶴子「雅人兄さん」
 雅人「お客様はみんな君の18歳のバースデーを祝う為に来てくれるんだ、心を込めてもてなさないとね、それに僕も君のピアノをじっくり聞きたいし」
 千鶴子「雅人兄さんが? そう、それじゃわたし、雅人兄さんの為に弾くわ」

 千鶴子は兄の言葉にパッと瞳を輝かせると、うってかわって力の入った演奏を始める。

 この、一見自立しているように見えて実は男に依存している女性キャラクター、「不良少女」のモナリザや笙子、「スクール☆ウォーズ」の圭子など、大映ドラマにおける典型的なヒロイン像である。

 そう言えば、「スクール☆ウォーズ」でも、この二人は兄妹の役だったんだよね。いささか芸のない配役である。性格的には、それぞれ180度違っているが。

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 プロ並みの演奏(……って、まぁ、実際に弾いてるのはプロなんだけど)を披露した後、千鶴子はGWに、一緒に真鶴の別荘に行かないかと誘う。

 雅人「僕はゼミの発表があるからね」
 千鶴子「駄目よ、お兄さんが行かないなら私も行かないわ! 一緒じゃないとイヤ!」

 まるっきり子供のような千鶴子であった。

 別に今に始まったことではないので、雅人も押し切られて同行を約束させられる。

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 と、急に雨が降ってくる。お手伝いさんは「折角のパーティーなのに」と眉を顰めるが、千鶴子は、

 千鶴子「雨の為に来られない客なら来なければいいのよ。私は嵐の夜に生まれた大丸千鶴子、嵐の中のバースデーパーティーなんて素敵じゃない」

 などと、訳の分らないことを言いながら窓の外を眺めていた。

 さて、ここで一部読者の方のお待ち兼ねのあの方が登場されます。

 ライブハウス「火の国」で、

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 気持ち良さそうにペット(トランペットのこと。このドラマではトランペットのことはペットと呼ばないといけない決まりになっている)を吹き鳴らしているのが、キング・オブ・大映ドラマの松村雄基さん演じる田辺路男である。

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 そして、盛り上がるステージを客席の後ろの方から見ている謎めいた美女。

 これまた大映ドラマには欠かせない岡田奈々さん演じる辻優子である。

 しかし、「不良少女」の恭子、「スクール」の節子などとは真逆のキャラクターである。

 マンネリ打破の一環であろうが、はっきり言って岡田さんにはこう言う役は似合わない。そもそもタバコ吸ってるポーズが全然サマになってないもんね。

 岡田さんがスモーカーかどうかは知らないが。

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 演奏の後、優子は路男を自分の部屋に連れて行く。優子はこの店のオーナーなのだ。

 優子「私とあんたが初めて会ったのは1年前だったわ。あんたが誰にも話せない悲しみを背負っている人だと私はすぐわかった。その悲しみの全てをペットに託したいと言うから私はあんたを預かったのよ」
 路男「わかってる、俺もそのつもりだ」

 のっけから、日常生活や普通のドラマではまず聞けないような「大映節」が炸裂する。

 こんな台詞、まともな人間なら一生口にしないよね。

 それにしても、この手の服は、岡田さんのような胸のない人が着てもあまり似合わんな。
 
 優子「今日のあんたのペットには殺気があったわ、憎しみが渦巻いていた」
 路男「優子さんよ、どうしてあんたに俺の殺気が分かるんだ?」

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 優子「……」

 優子さん、まさかそんなことを聞かれるとは思っても見なかったので、一瞬困った顔になる。

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 優子「……」

 とりあえず、笑って誤魔化す優子さんであった。

 スタンフォード大学の研究によれば、人生の揉め事の9割方は、笑って誤魔化すことが出来るそうデス。

 今日、4月13日は乳姉妹の誕生日と言うだけではなく、路男にとっても重大な意味を持つ日付であったが、その過去が明らかになるのはずっと先のことである。

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 島田「今からこいつら連れて新しく出来た猫カフェに行くんだ、お前も来い」
 優子「私は……まだ仕事が」
 島田「優子、こんなゼニにもならねえくだらねえ店でもお前がどうしてもって言うからやらせてるんだぜ。すぐ用意しろ」
 優子「はい」

 路男と入れ違いに現われたのが、小さな暴力団の組長・島田である。優子は島田の女で、この店も実際は、島田の持ち物なのだ。

 なんでこんな男と……と誰しも思うことだが、優子は、とあることが原因でこの男から逃れられない体になっていたのだ。それが明らかになるのもかなり後のことである。

 さて、見るからにコワモテで、優子をモノのように扱う島田だが、話が進むに連れてむしろ優子なしでは生きていくが出来ないチェリッシュなボーイであることが判明する。

 余談だが、一見ただの脇役にしか見えない島田が、(スリッパで)潰されても潰されても起き上がり、終盤まで執念深く物語に関わることになろうとは、管理人、この時点では夢想だにしなかった。

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 店を出た路男は、ドラマの主要舞台のひとつである紅葉坂教会と言う教会に行き、涙ぐみながら神に祈りを捧げていた。

 若山「優子の店でラッパ吹くぐらいではお前の嵐はおさまりそうにないな。しかしお前はまだ熱い涙を持っている。その涙を凍らせるな」
 路男「若山先生、下衆の逆恨みだってことは分かってる。だが4月13日が来ると、決まって俺の中に嵐が吹き荒れる。18年前、あの女さえ生まれなかったら!」

 そこの牧師である若山を演じるのは、話が長いことで有名な名古屋章さん。
 
 でも、男の子が初回から涙を見せちゃ駄目!

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 剛造「本日は娘・千鶴子の18歳の誕生日にあたり多数お集り頂きまして……」

 さて、大丸邸ではいよいよ千鶴子の誕生パーティーが開催されていた。

 いかにもセレブな列席者たちで、大広間は足の踏み場もないほどだった。

 ま、ほんとはたくさんあるんだけどね、踏み場。

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 剛造のスピーチを聞いている面々が映し出されるが、この夫婦は雅人の実の両親である。

 父親の方は、イソップの父親役でお馴染み、北村総一郎さん。

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 また、千鶴子の学友たちもドレスアップして参加していたが、その中のひとり、ピアノ教師の横にいるのが、「不良少女」にも出ていた百瀬まなみさんである。

 管理人一押しの女の子だが、学校が舞台ではないので、出番がほとんどないのが惜しまれる。せめて猛(小沢仁志)たちのグループの不良役だったら、もっと活躍できただろうに。

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 母親「雅人さん、お久しぶりね」
 雅人「兄さんや姉さんたちは元気ですか」
 母親「ええ、とってもみんなあなたに会いたがってるわよ」

 剛造のスピーチが終わると、雅人の両親が剛造、そして雅人に挨拶する。

 後に、彼らは剛造の姪夫婦だと言うことが分かる。子供の出来ない大丸夫妻に請われて、数人いた子供のひとりを養子に出したのだ。

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 まなみ「あの人が雅人さんね、素敵な方ね~」
 友人「千鶴子さんは雅人さんと結婚することが決まってるんでしょ」
 千鶴子「ええ、そうよ、お父様ったら、私と雅人兄さんの婚約を今日皆さんの前で発表してくれると思ってたのに」

 周囲からちやほやされている限りは、千鶴子は物分りの良いお嬢様なのだった。

 と、そこへ部屋中に響くような大声を上げながら若山がやってくる。彼は剛造の戦友であり、家族ぐるみの付き合いをしているのだ。劇中の人物の中では、ほとんど唯一、剛造と俺お前で話せる人物である。

 剛造はすぐ雅人と千鶴子を呼んで若山に挨拶させる。

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 若山「大丸が後継者に望んでるだけあって二人ともなかなかいい面構えになってきた」
 剛造「いやいや、お前にそう言ってもらうと本物だ」
 若山「こんな良い息子と娘を持ってお前は幸せだ。羨ましいぞ」
 剛造「羨ましいのはお前の方だ。お前は少年航空兵時代から血の赴くままに生きてる」

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 剛造「ところで牧師の仕事のほうはどうだ?」
 若山「いや、牧師と言ったって名ばかりでね、酒は浴びるほど飲むし、気に食わん奴はぶっ飛ばすし、神様が怒るようなことばっかりやっとるわ、はぁーっはははっ!
 雅人(笑ってるで、オイ!)

 自虐的な台詞を放つと、いつもの発作的な豪傑笑いをかます名古屋章さんでした。

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 その後、バースデーケーキの蝋燭の日を一気に吹き消す千鶴子であったが、

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 それに繋げて、小さな部屋で、千鶴子のとは比べものにならないほど小さなケーキの蝋燭を吹き消しているしのぶの姿が映し出される。

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 静子「しのぶ、誕生日おめでとう」
 耐子「お姉さん、おめでとう」

 さっきも書いたけど、耐子の真っ赤なほっぺたが可愛過ぎる!

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 あと、大丸家との格差を表現する為とはいえ、バースデーケーキ、あまりに小さ過ぎないか?

 ある意味、こんなミニサイズのバースデーケーキ頼んだら、特注になってむしろ高くなりそうだが。

 逆に言うと、千鶴子のバースデーケーキも中途半端な大きさだった。もっと馬鹿でかいケーキにしないと。

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 静子「さあ、サザエも焼けたよ」

 あの、静子さん、いくらなんでもケーキにサザエのつぼ焼きの取り合わせは激マズなのでは?

 スタッフも、撮ってる時に気にならなかったのだろうか?

 耐子、千鶴子がこのGWに別荘に遊びに来ると話すと、静子は急に険しい顔付きになり、うちとはもう何の関わりもないのだと強調し、さらに「しのぶも耐子も別荘に近寄っちゃいけません」と強く申し渡すのだった。

 耐子「どうしてなのよ、お母さん、姉さんと千鶴子さんは乳姉妹なんだし、友達になるくらいなら……」

 これにはさすがにしのぶたちも納得できず、抗議の声を上げるが、

 静子「友達だなんてとんでもないわ、あちらさんと私たちは違う世界の人間なの、一生交わることのない別の世界なの。いい、大丸別荘に絶対に近寄っちゃ駄目よ?」

 静子は頑な態度を崩さず、改めて念を押すのだった。

 静子(しのぶと千鶴子さんを会わせる訳には行かないんだ)

 二人の娘は母親の胸に秘められた痛切な思いなど知らず、戸惑いの色を浮かべるばかり。

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 だが、静子の願いも空しく、既にその時大丸邸では、千鶴子が、書斎に金を盗みに忍び込んでいた松本龍作(井川比佐志)と、自分の運命の歯車を大きく狂わせることになる宿命的な出会いを果たしていた。

 龍作「千鶴子か、やあ、でっかくなりやがったなぁ」
 千鶴子「誰なの、人を呼ぶわよ」
 龍作「へへへっ、人を呼んで困ることになるのはお前の方だよ。俺はお前の出生の秘密を握ってる男だ」
 千鶴子「私の出生の秘密?」
 龍作「ああ」

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 千鶴子「何を馬鹿なこと言ってるの? あなた頭がおかしいのね」
 龍作「はっ、よく言ってくれるぜ、お前はな……」

 龍作、その場で千鶴子の秘密を暴露してやろうとするが、ちょうどそこへ千鶴子を呼ぶ則子の声が聞こえたので、龍作は「出生の秘密が知りたかったら真鶴の別荘に来い」と告げ、数枚の紙幣を奪って逃げていく。

 千鶴子も、龍作のことは一切口外せず、何事もないふりを装って広間に戻る。

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 千鶴子、とてもピアノを弾く気になれず、レコードでハードロック系の音楽をかけて、友人たちと一緒に踊りまくるのだった。

 何度見てもトホホなダンスシーンである。

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 千鶴子は、その夜、龍作の言葉が耳を離れず、なかなか寝付けないでいた。

 千鶴子(馬鹿げたことだわ、私に出生の秘密んてある筈がないわ……大映ドラマじゃあるまいし)

 千鶴子は頭の中で何度も繰り返していたが、ベッドの中にいても疑念は払拭できず、明日の朝早く真鶴へ行って、真相を確かめることにする。

 翌日、まだ薄暗い中、始発電車で龍作が真鶴駅に降り立つ。

 だが、その姿を見掛けたセラが、静子にそのことを教える。静子は顔面蒼白になると、その足で龍作が寝泊りしていると言う海辺の小屋へ向かってひた走る。

 果たして、そこには長い間行方をくらませていた夫・龍作の姿があった。

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 静子「……」
 龍作「よお、お前、まだしぶとく生きていやがったのか」
 静子「何しに帰ってきたのさ? しのぶと耐子にはあんたは死んだって言ってるんだ、あんたが父親だなんて話せるもんか」
 龍作「なんだい、それが16年ぶりに帰ってきた亭主に言う言葉かよ」
 静子「何が亭主だい! 16年間無しの礫、生きてるのか死んでるのかさえわかりゃしない。どうせろくなことしてなかったんだろうけどね」
 龍作「ああ、16年間シャバとムショを行ったり来たりよ」
 静子「あんたなんてどっかで野垂れ死にしてくれた方が良かったんだよ!」
 龍作「うるせえバカヤロウ!」

 耐子が生まれてすぐ家を飛び出したきり音信普通だった龍作に対する静子の態度は、当然だが極めて冷たいものだった。

 だが、龍作が18年前の秘密をネタに、大丸財閥を強請ろうとしていると聞くと、静子の軽蔑は怒りに変わる。

 しかし、元々の原因を作ったのは他ならぬ彼女自身なので、静子の怒りはすなわち、自分に対して向けられたものでもあった。

 静子「あんたーっ、私がこの18年間、どんなに自分の犯した過ちに身を苛まれて生きてきたか分かってんのかい? 私たちの罪滅ぼしはしのぶを幸せにしてやることだけなんだよーっ!」

 静子が肺腑から搾り出すような悲痛な声で訴えるが、何処に出しても恥ずかしくないダメ人間の龍作は、

 龍作「へへっ、世迷言抜かしやがって」

 鼻の先で笑い、歯牙にもかけようとしない。

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 静子「あんたがどうしても18年前の秘密持ち出すって言うなら、あんた殺して私も死ぬ!」
 龍作「あ、あぶねえ!」
 静子「私はこの18年間、ずっとこの覚悟で生きてたんだ」

 静子、龍作が考えを改めるつもりがないことを知ると、仕事用の包丁を取り出し、その場で龍作を刺し殺そうとする。

 大きなことを言っても所詮小心者の龍作はそれを見ただけで肝を飛ばし、怯えまくって腰が抜けそうになる。

 だが、そこへ母親を心配してしのぶたちがやってきたので、静子は慌てて包丁をしまい、亭主を向こうに押しやると、急いで娘たちをその場から離れさせる。

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 その龍作、荒い波の打ち寄せる岩場で千鶴子と再会する。

 千鶴子「ゆうべの泥棒さんね、私の出生の秘密とやらを聞かせてもらおうかしら」
 龍作「泥棒さんか、はっはっはっはっ」

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 千鶴子「何がおかしいの? どうせお金が目当てなんでしょ」
 龍作「ああ、そうだよ、金だよ、金、それも億と言う金が欲しいんだよ。俺の握ってる秘密にはそのくらいの価値があるってことだよ」
 千鶴子「話して御覧なさい」
 龍作「いいのかよ、俺がこの秘密を口にしたら最後、お前さんは俺の足元にひれ伏すことになるんだよ」

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 千鶴子「おだまり! 私がお前のような薄汚い男の足元にひれ伏してたまりますか。二度と無礼なことを言ったら許さないわ!」

 気位が高い上に短気な千鶴子は、龍作に愚弄されると、たちまち柳眉を逆立てて女王のような厳しい口調で龍作を罵倒すると、「二度と私の前に現われるな」と付け加えてその前から立ち去る。

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 千鶴子は、同じく岩場で彼女を待っていた雅人のところへ行くと、いきなりその胸に飛び込む。

 雅人「千鶴ちゃん、どうしたの」
 千鶴子「ねえ、雅人兄さん、たとえばよ、私がもし大丸剛造の娘でなくとも、私と結婚してくれる?」
 雅人「馬鹿なこと言うなよ」
 千鶴子「答えて、雅人兄さんは私が大丸剛造の娘だから結婚するの? 私が普通の、平凡な男の娘だったら雅人兄さんは私とは結婚しないの?」
 雅人「千鶴ちゃん、君が誰の娘だろうと僕には関係ないよ、僕が願っているのは、将来、僕の妻になる君が思いやりがあって他人の痛みが分かる女性になって欲しいと言うことだけだ」

 雅人の優等生的な答えに安堵した千鶴子は、安らいだ表情で雅人の逞しい肩に身を委ねるのだった。

 しかし、雅人のささやかに思えた「願い」が本当の意味で実現するには、当人たちが思ってもみなかった長い時間と、紆余曲折を必要とするのだった。

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 さて、その後、あっけなく、海の近くの石段で静子としのぶたちは千鶴子(と雅人)と出会うことになる。

 千鶴子の出生の秘密を知る静子は、成長した千鶴子の姿を見た途端、息が止まりそうになる。

 そのまま行き過ぎればどうということはなかったのだが、千鶴子が耐子の持っている花を見て、

 千鶴子「あら、綺麗なお花ね、譲って頂けるかしら」
 耐子「駄目です、これはご先祖様のお墓に手向ける花です。だからお断りします」

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 千鶴子「ただで頂こうと言ってるんじゃないのよ、お礼は十分にするわ」
 耐子「お礼だなんて」

 静子は、一刻も早く千鶴子たちから離れたかったので、「タエちゃん、差し上げなさい」と、千鶴子から顔を背けたまま言い、耐子の手から花をひったくって千鶴子に渡す。

 千鶴子「はい……ただで貰うのは私のプライドが許さないの」
 静子「……」

 千鶴子、財布から5000円札を取り出すと、静子に差し出す。

 千鶴子の顔をまじまじと見詰める静子の顔は「実の娘がすげーイヤな性格の女に育ってた!」と言う驚きそのものであった。

 あ、思わずバラしてしまったが、18年前に静子が生んだのはしのぶではなく千鶴子だったのだ。つまり、龍作は千鶴子の実の父親に当たる訳だ。

 それは同時に、しのぶこそが剛造の実の娘だと言うことも意味していた。

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 雅人「千鶴ちゃん、そんなことをしてはいけないよ。この人たちに失礼じゃないか」

 千鶴子と一緒に大金持ちの家で育てられた割りに、雅人はよく物の道理をわきまえたジェントルマンで、すぐに割って入って千鶴子をたしなめる。

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 千鶴子「私はたとえ花一輪でもひとさまから恵んで貰うのは好まないの……受け取って!」
 静子「……」

 静子、紙幣を鼻先に突きつけられて陶然とした表情を浮かべていたが、やがてばったりと倒れ込んでしまう。

 雅人「どうしたんです?」
 しのぶ「いえ、なんでもありません。母は長年の貧乏暮らしが祟って、高額紙幣の香りを嗅ぐといつもこうなってしまうんです」
 千鶴子「まぁ、お気の毒に……」
 静子「ああ、稲造、稲造……もう、どうにでもあなたの好きなようにしてえぇーっ!」
 耐子「お母さん、しっかりして!」
 しのぶ「でも、稲造だからまだ良かったんです。もしこれが諭吉だったら……」

 ……って、さっきから何を出鱈目書いとるんじゃい!

 でも、紙幣を鼻先に突きつけられた静子の表情がついそんな妄想を掻き立てたのは事実である。

 無論、静子は新渡戸稲造にノックアウトされた訳ではなく、心臓の発作を起こしたのだ。

 PDVD_061.jpg
 と、そこへ「待ってました」とばかりに現われたのが、路男をリーダーとする「渡り鳥連合(笑)」と言う暴走族グループであった。

 路男は一旦通り過ぎるが、すぐUターンして静子たちのところへ戻ってくる。

 路男「どうした?」
 しのぶ「お母さんが……」

 PDVD_062.jpg
 ヘルメットを脱いだ路男の精悍な顔を何気なく見るモナリザ、いや、千鶴子。

 PDVD_063.jpg
 朝男、いや、路男も千鶴子の顔を見返す。

 もっとも、かねてから大丸剛造に対する復讐を企てていた路男は、あらかじめ千鶴子の顔を見知っていた。

 路男「大丸千鶴子か?」
 千鶴子「ええ、そうよ。誰なのあなた?」
 路男「俺は渡り鳥連合会長、田辺路男だ」

 PDVD_016.jpg
 千鶴子「……」
 雅人「……」

 必死に笑いを堪える二人。

 雅人「君、すまないが車を止めて来てくれないか」
 路男「あんたが大丸剛造の養子、大丸雅人か?」
 雅人「どうして僕のことを?」
 路男「いや、なんかの記事で読んだのさ、大丈夫だ。すぐに車を捕まえてくる」

 腹に一物も二物もある路男だが、別に悪人と言う訳ではないのでまずは静子を病院に運ぶのが先決だと、快く引き受けて車を探しに行く。

 しのぶたちは路男の拾ってきたタクシーに母親を乗せ、病院へ。

 PDVD_064.jpg
 ここで、再び芥川ナレの重々しい声で、原作にある序詞のような歌が読み上げられる。

 この映像とナレーション、今回は最後に出てきたが、2回目以降は、OPの前に挿入されることになる。

 PDVD_065.jpg
 静子「そうだ、もうこうするしかない……」

 ラスト、病院で意識を取り戻した静子が思い詰めた表情でつぶやいた言葉の意味することとは……?

 と、主要キャラを満遍なく登場させ、千鶴子(としのぶ)の出生の秘密で、ほどよく視聴者の興味を掻き立てたところで、初回は終わりとなる。
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70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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