第39話「尻もちおてんば娘」(1981年11月7日)
いかにも女性ライターの筒井ともみさんらしいサブタイトル。
なんとなく、前回やった「宇宙刑事シャイダー」の第41話「直撃じゃじゃ馬娘」に通じるものがある。
ちなみに自分が「サンバルカン」のレビューをしようと思い立ったのは、実はこのエピソードを紹介したいが為であった。
一面青々とした稲が広がるのどかな農村地帯。
ある農家の家族三人が田んぼの草を抜いていたが、息子の兼太が稲の異変に気付き、慌てて両親に知らせに来る。

兼太「父ちゃん、大変だよ、稲がおかしんだ!」
父親「どれ……これは!」
稲を揉むと、腐ったように真っ黒な汁が溢れる。慌てて他の穂を調べてみるが、全て同じであった。
当然、その一帯の農民は恐慌状態に陥る。
それだけでサンバルカンが乗り出すのはいささかおかしい気もするが、さっそく飛羽が調査員を装ってその河南村へ急行する。
まず、農業試験所へ行き、職員から話を聞くが、病気でも、害虫の仕業でもなく、原因は全く不明と言うことであった。

子供「ぼくらサンデーの記者を兼太が呼んだって言うのか?」
兼太「稲のこと調べて欲しいって投書を出したら来てくれるって連絡があったんだ!」
子供「嘘つけー」
学校の校庭で、友人たちにやや自慢げに話している兼太。
「ぼくらサンデー」と言うのは初耳だが、ちらっと映る表紙を見る限り、子供向けのテレビ・漫画雑誌のようである。
兼太、何故か友人たちから嘘つき呼ばわりされて、追い掛け回されてどつきまわされる。
放課後、駅の改札で首を長くして記者が降りてくるのを待っていたが、それらしい人物は見当たらない。

諦めて帰ろうとしたとき、右手にフランスパン、左手に「ぼくらサンデー」を抱えた若い女性が、最後に改札から出てくる。
みどり「ああ、パン好きの私がお米のレポートだなんて……」
兼太、にんまりするとその女性に話しかける。
兼太「あ、あのう、雑誌社のお姉さんですか」
みどり「兼太くん?」

兼太「わーい、感激だぁ。僕ねえ、すげえ(?)心配してたんだ、お姉さん、来てくれないんじゃないかって」
みどり「仕方ないわ、鬼より怖い編集長の命令ですもの。それにしてものどかねえ、特ダネにはまるで縁がなさそうね」
背後の駅に「大麻」と書かれていて、一瞬ドキッとするが、大麻駅ではなく、埼玉県の大麻生(おおあそう)駅である。

正直につぶやくと、振り向いてフランスパンに齧り付くみどり。演じるのは、叶和貴子さん。「宇宙刑事ギャバン」にレギュラーとして出演する数ヶ月前である。
そして兼太は、これも数ヶ月後に「大戦隊ゴーグルファイブ」のコンボイとしてレギュラー出演することになる大原和彦さんである。
ついでに言うと、美女シリーズの傑作「天国と地獄の美女」の放送が、翌年の正月である。

と言うことは、ほぼ同時期に、同じ健全明朗なお姉さんが、こぉーんなことをされていたわけで、それを想像しながら見ると、なんとなく嬉しくなってしまう管理人であった。
それにしても、「ぼくらサンデー」なんて雑誌の記者が、特ダネを欲しがってもしょうがあるまい。だったら、そもそもこんな雑誌社には勤めてないだろう。
あと、「ぼくらサンデー」に、稲の奇病なんて記事は載らないと思うんですが……
やる気なさそうだったが、それでも稲の写真をカメラで撮るみどり。

と、近くの畦で住民から聞き取り調査をしている若い男がいた。飛羽である。
みどり「何かお分かりになって? あなたも稲のこと調べにいらしたようね」
飛羽「君は?」
みどり「多分、あなたのライバル」
飛羽「ライバルぅ?」
やる気はない割に、功名心の強いみどりであった。
と、そこへ駐在と数人の農民が来て、鎮守の裏に化け物が出たと騒ぐ。
化け物は、言うまでもなくブラックマグマのムカデモンガーであり、アマゾンキラーたちの姿もあった。稲の異変は、ムカデモンガーのばら撒くムカデの形をしたメカ虫と、ムカデモンガーの撒き散らすムカデガスによるものだったのだ。
ブラックマグマはさらに世界中の作物を枯れさせ、大飢饉を起こそうと企んでいたのだ。
そんなことして何が楽しいのやら……
飛羽、バルイーグルに変身して戦うが、ムカデモンガーたちはさっさと退却する。

嵐山「なにっ、モンガーが現われた?」
飛羽「稲を枯らしたのも奴らです」
嵐山「これ以上被害が広がらぬよう一刻も早く奴らを!」
さて、現場に遅れてやってきたみどりは、飛羽からバルイーグルが化け物を蹴散らしたと聞かされると、俄然、バルイーグルの姿を写真におさめて、特ダネにしようと張り切る。

かなり高い松の枝に、みどりと兼太が腰掛けている。

兼太「サンバルカンまでやってきたなんて、なんだか凄いことになってきちゃったねー」
みどり「大スクープのチャンスよ。ライバル社よりも先に化け物の正体を見つければ、サンバルカンの独占インタビューも夢じゃないのよ!」
上の画像、叶さんにとてもこんな真似が出来るとは思えないので女性スタントではないかと思うが、どうも良く分からない。

最初とは打って変わってやる気を出したみどりだったが、興奮し過ぎて枝から落っこち、タイトルどおり、見事な尻もちをついてしまう。
みどり「そうだ、いい考えがあるぞ!」
転んでもただでは起きないみどり、スクープを撮る妙案を思いつき、走り出す。

みどり「大変、大変よー、稲を食べちゃう化け物が出たのー」
欣也「何処に出たんです、その化け物は?」
みどり「あ、あっちの田んぼに」
それは、化け物が出たと言い触らして、サンバルカンをおびき出そうと言う単純なものだった。
だが、嘘から出た真ではないが、欣也たちの前にムカデモンガーと戦闘員たちが現われ、襲ってくる。

欣也「バルシャーク!!」
朝夫「バルパンサー!!」
……
改めて見ると、二人ともめっちゃ弱そうだな。
バルイーグルも駆けつけ、本格的なバトルとなるが、

みどり「どいて、どいて」
スクープが欲しいみどり、戦場をうろちょろしながらシャッターを切り、サンバルカンの邪魔をする。
イーグル、たまりかねてみどりの体を担いでサンドバルカンの座席に下ろすが、
みどり「こんなことで諦めたりするもんですか」
なおもカメラを構えて突っ込む。

いいですね、この野心的な美貌。
だが、彼女をムカデモンガーから守ろうとしたシャークが足を強く打たれて負傷してしまう。
やむをえず、サンバルカンはみどりを連れて一旦退却する。

パンサー「いいかい、特ダネを掴みたい君の気持ちも分かるがな、大事なのは米を食い荒らすモンガーを捕まえることなんだよ」
みどり「ごめんなさい、ハッスルしちゃって」
鎮守の社の石段に座り、とても朝夫とは思えない逞しい体つきのパンサーに叱られてしょんぼりしているみどり。

イーグル「とにかく無事でよかったよ、おてんば記者さん!」
うなだれるみどりの額を指でポンと突く男前のバルイーグル。
みどりは、三人から、ブラックマグマがこの村のみならず世界中の穀物を枯らそうとしているのだろうと聞かされると、ますます強く自分を責めるのだった。

兼太「お姉さん!」
みどり「駄目だなぁ、私って、いまひとつってとこでいつもずっこけちゃんうんだから」
村を流れる水路を眺めながら、みどりが落ち込んでいると、背後から兼太が声を掛ける。
兼太「そんなこと言うなんてお姉さんらしくなぁーいよ、特ダネ掴むんじゃなかったの?」
みどり「そのつもりだったけど……」
兼太「僕んちおいでよ、うーんとご馳走するよ」
みどり「ううん、食欲なんて全然ないわ」
沈んだ顔で首を横に振るみどりであったが、

みどり「おかわり! お米がこんなに美味しいなんて!」
次のシーンでは、兼太の家で、物凄い勢いでご飯を掻っ込んでいると言うお約束の展開となる。
もっとも、叶さんはあくまで上品に食べているので、あまり大食いしてる雰囲気にならないのが惜しい。

たらふくご飯を詰め込んで、すっかり元気を取り戻したみどり。

みどり「汚名挽回、今度こそこの手でモンガー見付けてやるわ」
兼太「そんな、お姉さん一人で?」
で、みどりは兼太の作った稲の被害の分布図を手掛かりにムカデモンガーたちの居所を突き止め、それをサンバルカンに知らせて見事、汚名挽回するのだった。
事件解決後、駅のホームで兼太との別れを惜しんでいるみどり。

みどり「でも、あのハンサムなライバルさんにもう一度会いたかったなぁ」

電車の窓から、走って追いかける兼太に手を振るみどり。
駅の近くの土手から、人知れずみどりを見送る飛羽たちの姿を映しつつ、終わりです。
以上、なかなか爽やかなストーリーであったが、叶さんの衣装があまり色っぽくないのが玉に瑕であった。
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