「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第34話「死闘の果て!今運命の橋を渡る」
- 2018/05/12
- 17:03
第34話「死闘の果て!今運命の橋を渡る」(1987年8月27日)
前回の続きから、再び荒地であいまみえる唯と翔、宿命の二人。
翔「風間、唯、わらわとお前、どこかが似ておる。だがな、この世に何かをなさんとするものはひとりでいい。わらわはお前を倒す。それがこの翔の宿命」
唯「お前こそ、この唯がぶっ倒す」
翔の念力攻撃を予想して身構える三姉妹。
と、彼らの背後に忍び装束の般若があらわれ、翔の念力を封じる為か、九字の印を結ぶ。

魔破羅「怯むな、翔!」
翔「魔破羅……」
翔の後ろにも、謎の忍び・魔破羅があらわれ、般若と同じく印を結び始める。
それにしても、父兄同伴の少女たちによる世界の命運を賭けた戦いって、ヤダなぁ。

般若「魔破羅? 風魔のみが用いる術を、何故?」
般若、魔破羅、それぞれの術が発動したのか、三姉妹と翔の足元に電撃が落ちる。

その衝撃で結花と由真は吹っ飛ばされたが、唯と翔はその場に立ったまま、オーラのようなものを放ちながら、睨み合っていた。
さらに、唯だけでなく、翔の額にも梵字が浮かび上がる。
唯「なんでじゃ……」

魔破羅「帰って来い、風間唯、我らの元へ!」
唯「……」
魔破羅「待っているぞ、唯」
魔破羅、唯に意外な呼びかけをすると、マントを翻して翔とともに姿を消す。
唯「そんな、そんな、わちは一体……」
折角前回、おのれの出自に関する迷いを断ち切ったはずの唯だったが、魔破羅の余計な一言で、再び出口のない迷宮に入り込んでしまう。

唯(わちは、わちは影かも知れん……誰か教えちくり、わちが何者なのか……)
自室に閉じ篭り、翔の所有物だった男雛を見詰めて、果てしのない疑惑に囚われている唯。

結花「話して般若、私たちもう何を聞いても驚きはしないわ」
由真「唯と翔の間に何があろうと、私たちは風間三姉妹さ」
唯「なんでも話しちくり」
唯、一階に降りてくると、姉たちと一緒に、改めて般若に洗い浚い知っていることを話してくれるよう頼む。
で、ちゃっちゃと話せば良いのに、例によって般若は、風魔の里へ行き、自分たちの手で梵字の謎を解き明かすのだ! と、まわりくどい方法を提示する。
般若によれば、風魔の忍びの「長老」と呼ばれる人物がいて、山奥深くに隠棲しているが、結花がこの前、風魔の里で会ったヤエばあさんが、その居場所を知っているらしい。

般若「厳しいお方だ、うまく巡り会えたとしても梵字の謎を話してくれるかどうか分からんが……お前たちの手で切り拓いてみろ」
三姉妹、いつもの手に乗せられ、わざわざ風魔の里へ赴くことになる。
影の皆さん、三姉妹が出掛けている間に、家に火ぃつければいいと思うのだが……。
三人を殺せなくても、心理的経済的にかなりのダメージを与えることが出来ただろう。

魔破羅「風間三姉妹が風魔の里へ向った。恐らく梵字の謎を知る者を探し出そうとしているに違いない!」
だが、魔破羅は、ショッカーと同じく、ライダーのいないところで悪事を働くなどと言う姑息な手段はとらず、地妖に、風魔の里へ飛び、「長老」を抹殺するよう命じていた。

地妖が消えた後、翔がオトヒ・ミヨズと共にあらわれる。
翔「魔破羅、はっきりと教えてたも……風間唯、我らの元へ帰って来いとは、どう言う意味じゃ?」
魔破羅「そのまま取れば良いのです」
翔「あれは真実と申すのか」
魔破羅「かもしれませんな」
キーッ、般若と言い、魔破羅と言い、暗闇司令と言い、どうしてこのドラマに出てくるおやじは、どいつもこいつも、聞かれたことにすぐハキハキと答えようとしないのだろう?
あいつらがもったいぶらずに話してれば、5、6話くらい省略できたんじゃないか?

魔破羅「もしも姫様が風間唯と戦い続けておれば、互いに斃れたでありましょう」
翔「ありえぬ! 魔破羅がひかねば、わらわは必ずや唯を倒しておったであろう」
翔は断言するが、魔破羅は首を振って、
魔破羅「そう簡単にはゆきますまい。世にヴァジュラを手にすることのできる選ばれしものは二人おります」

翔「わらわと……風間唯!」

魔破羅「いえ、石立鉄男です!」

翔「なんでじゃーっ!」

嘘はさておき、三姉妹は、軽トラの荷台に乗って、崖に沿った山道を風魔の里へ向っていた。
実に良い具合に乳白色の霧が谷を覆い、なんとも言えない雰囲気を醸し出している。
ただ、手前の道路工事の人たちは余計だったなぁ。影の忍びが化けているのだが……。

と、トラックと擦れ違いざま、ひとりの雲水がいきなり網代笠を運転席に投げ込み、運転手を気絶させる。
同時に、作業員に化けていた影たちが唯たちに襲い掛かってくる。
だが、それは唯たちを殺す為ではなく、

地妖「唯様には手を出すな、唯様は我らの仲間じゃ」
雲水姿の地妖(大島宇三郎)がことさらにそう言って、唯に心理的ゆさぶりをかけるのが目的だった。
唯「嘘じゃ、嘘じゃ、嘘じゃ!」
唯、怒りに任せてヨーヨーを地妖目掛けて投げるが、地妖はよけようともせず、その体でまともに受ける。
地妖「そうです、唯様、人を憎悪なされ、その力が影としてのあなたを育てるのです」
唯「しゃからしかーっ!」
地妖「さぁ、もっと打ちなされ」
唯「……」
唯、ヨーヨーを構えるものの、攻撃を促す地妖の不気味な笑みを前に、戦意を喪失してしまう。
しかしまぁ、これは、SWで、ルークに、暗黒面は良いとこ一度はおいでと誘う、ダースベーダー、あるいは皇帝そのままだね。

地妖、言いたいことだけ言うと煙玉を目の前に叩き付けるが、

御自分で投げた煙玉の爆発に、御自分が一番驚かれていました。
煙と共に地妖は姿を消すが、空から再び声が降ってくる。
地妖の声「唯様、またお迎えに参ります」
唯「聞きとうないーっ!」
唯、両手で耳を塞ぎ、その場にしゃがみこんでしまう。
終盤、繰り返し描かれるこの唯のメンタルの弱さ、見ていてちょっとうんざりさせられる。
それはともかく、やがて霧も晴れ、三人は遂に風魔の里へ辿り着く。一見したところは、なんの変哲もない山間の小さな村のようであった。

由真「ここがおやじの生まれた風魔の里かぁ」
結花「唯」
唯「……」
結花、勇気づけるように、俯いている唯の肩に手を置く。

ヤエばあさんのところへ向う途中も、
(もしわちが影じゃったら、わちのために死んでいった人はどうなるんじゃ?)
礼亜や、小太郎の影武者・弥助の死を思い浮かべ、うじうじと悩む唯であった。
ヤエばあさんとはすぐ会えて、唯は性急に「長老は何処にいるのか教えちくり」と頼むが、

老人「やかましいのう! 全くいい心持ちで寝ていたのに……長老に会いに来たのか」
唯「おじいさんは知っちょると?」
老人「ああ、時々話し相手に行ってやっておる」
唯「連れてっちくり、案内しちくり」
ヤエばあさんの連れ合い風の老人が出て来て、面倒臭そうな顔をするが、勘の良い人にはすぐ分かると思うが、この老人こそ、その長老なのだった。
長老と言うにはいささか貫禄がないが、演じるのは名優・奥村公延さん。
長老は、般若や帯庵を忍びとして育てた人であるらしい。でも、般若はともかく、帯庵の田中浩さんとはほとんど年が違わないから、ちょっと違和感がある。
ここは、帯庵の友人であり、般若を育てた人、で良かったんじゃないの。
キャラ的には、SWのヨーダみたいなポジションかなぁ。

すぐ長老のところへ連れて行ってくれとせがむ唯であったが、老人はまず飯を食ってからだとヤエばあさんに支度をさせ、囲炉裏で結花たちと一緒に食事を取る。唯だけはそれどころではないと言う顔で離れたところに腰掛けている。
老人「どうして食わんのや」
唯「はよう出発しようや、おじいさん!」
老人「慌てんでも長老は逃げやせん」
唯「わちは急いじょるんじゃ!」
老人がなだめるが、唯は立ち上がって叫び、みんなをびっくりさせる。
唯(こんげな気持ちのままではわちは……どうすればいいんじゃ?)
その後、漸く老人の案内で長老とやらのところへ向かっている三姉妹。

その際もいちいち唯の深刻な顔をアップで映し、魔破羅や地妖の謎めいた言葉を回想させるのであった。
長老の在所は思ったより遠く、その夜は川沿いの岩場で野宿をすることになる。

老人「何をそんなに悩んでおる?」
唯「わちらの体に梵字があるんじゃけど、それがどういう意味なのかを聞きたいんじゃ」
老人「それを知ったらどうなるんじゃ?」
唯「世の中を乱すものをやっつけられる」
老人「誰が?」
唯「わちが」
老人「お前一人でか? どうしてそんな秘密を知らなきゃならんのじゃ」
唯「自分はその仲間かも知れん」
老人「仲間だったら戦えんのか?」

唯「そんなげなこつじゃなか! つらいんじゃ、こんげな気持ちのまま、姉ちゃんたちと一緒にいるのは」
翌日、4人は漸く長老のいると言う滝に通じる吊り橋の前までやってくる。
しかし、老人、「時々話し相手に行って」いると言っていたが、さすがに泊まり掛けで行くというのは変だよね。無論、老人自身が長老なのだから、嘘だったのだが。

ところが、吊り橋に近付いたところで、再び地妖たちが現われ、その行く手を塞ぐように立ちはだかる。
地妖「唯様、この橋を渡ってはいけません、帰りましょう。影の世界へ」
唯「……」
唯、敵を前にしても棒立ちのまま、影と姉たちの戦いをただ見詰めている。

老人は木の陰に隠れつつ、「何をためらっておるのじゃ、早く橋を渡り、長老に会って来い!」と、唯をけしかける。
結花「唯、早く行きなさい」
由真「ここは任せな」

姉たちの声にも押され、唯は決然と走り出し、吊り橋の真ん中付近まで一気に渡るが、

何を思ったか、急に立ち止まり、死闘を演じている姉たちの姿を振り返る。
唯の脳裏には、33話での人妖との戦いの際、本当の妹かどうもかわからない自分の為に駆けつけ、必死に守ってくれた姉たちの姿が浮かんでいた。
唯(わちのこれまでの戦いは一体何じゃったんだ?)

唯、グローブを嵌めてヨーヨーを握り締めると、
唯「わちは、わちは行けん、この橋は渡れん。ひとりではこの橋は渡れんのじゃ!」
涙をこぼしながら吠えるように叫ぶと、姉たちのところへ引き返す。

唯「この橋は三人で渡るんじゃ!」
唯、結花に手裏剣を刺そうとしていた地妖の手にヨーヨーのチェーンを絡ませる。

唯「お前は、お前は、わちがぶっ倒しちゃる!」
やっと唯の瞳に闘志が甦る。
地妖「ならば、殺すまでよ!」
唯の態度を見て、地妖も本性を現わす。彼らは本気で唯を仲間に誘っていた訳ではなく、それによって唯を動揺させ、撹乱させるのが狙いだったのだ(ろう)。

が、由真のリリアン、唯のチェーンで両腕を封じられ、さらに老人……長老に網代笠をぶつけられたところに、

地妖「おわーっ!」
結花の強烈な蹴りが炸裂!
ただし、これはスタントが演じている。
地妖はそのまま谷底へ転落する。
結花「唯、どうして?」
唯「この橋をひとりで渡ったらいかんのじゃ、三人で行かんと」
長老「よう、そこに気が付いたな」
老人、ここでがらりと口調を変え、重々しく語り始める。

長老「そのことに気付かない限り、梵字の謎を知ることはかなわなかったろう」
由真「まさか……」
結花「長老?」
長老、小さく頷いて見せると、

長老「お前は何でも自分中心に考えておる。それが迷いを生み、疑惑を生む、分かるかな?」
唯「……」
長老「自分は父の子供であろうとすること、姉たちの妹であろうとすること、そして自分だけが世を救うことの出来る人間だと思い込むこと……この橋を渡り切ってしまっておればその驕りは消えることはなかったであろう。よう戻ってきたな、唯」
橋をひとりで渡るか否か、それが、長老が唯の心を試す為に課したテストだったのだ。

改めてみんなで橋を渡りながら、やっと長老の口から梵字の謎が語られる。
長老「この風魔の里には180年前から伝わる伝説があるのじゃ。影星あらわれし時、影星射る三人の戦士あらわれたり、再び集いし時、戦士の頬伝う金色の涙に世は救われる……生きとし生けるものが悲しみ苦しんでいた時、神の声を聞いた一人の少女が人々を絶望から救ったのじゃ。戦うたびに少女は涙を流し、その涙が流されるたび、人々は美しい光を浴び、かぐわしい匂いに包まれたという。そして奇跡が天と地を結びつけたのじゃ。その時、少女を助け、痛みを分かち合えた二人の少女がいたのじゃ」

長老の最後の言葉にそっと目を見交わす結花と由真。
結花(言ってる意味わかる?)
由真(わかんね)
じゃなくて、
結花(私たちって……)
由真(唯のおまけかい!)
と、思っていたのだろう。
さて、少女たちが世を救い、去った後、人々は彼女たちを忘れないよう、三尊一体の像を作り、それがこれから向う滝の下に安置されているらしい。
だが、その途上、死んだと思っていた地妖が再び攻撃を仕掛けてくる。地妖は三人に撃退されるが、長老は、唯を庇って手裏剣を受けてしまう。
長老は「梵字は風魔特有のもの、思い悩むことはない」と言い残し、従容と死を迎える。

三人はあっさり問題の滝に辿り着き、長老の遺言に従って、岩に刻まれたそれぞれの梵字に手を触れる。
すると、梵字が光り、滝の水がどんどん引いていったかと思うと、滝の奥の洞窟に、不動明王のような三尊一体像が出現し、神々しい光を放つ。
そして中央の大きな像の額には、唯と同じ梵字が刻まれており、

それに呼応して唯の額にも梵字が浮かび上がる。
また、左右の小さな像には、それぞれ右足、左腕と言うように、結花、由真と同じ体の位置に同じ梵字が刻まれていた。

結花「私たちは唯を守るもの……」
由真(やっぱり、おまけかよ……)
唯「わちは……」
三人が三尊一体像を見詰めたまま、「つづく」のであった。
次回で、いよいよミヨズ・オトヒとお別れしなくてはならないのがつらいのである!
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