「仮面ライダーBLACK RX」 第16話「奇跡の谷の姫君」
- 2018/05/13
- 17:06
第16話「奇跡の谷の姫君」(1989年2月19日)
前回の続きから、ひとみを救出すべく、怪魔界の「死の砂漠」の険しい砂丘を這い登っている光太郎。

なんとか砂丘を登り切った光太郎だったが、前回、デスガロンとの戦いの最中、何故自分がロボライダーに変身したのか、今更ながらその原因を考えていた。
光太郎「わからない、どう考えても分からない……」
割と細かいことに拘るタイプであった。

光太郎「俺の魂、キングストーンよ、答えてくれ。何故、俺はRXからロボライダーに変身することが出来たんだ?」
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」がモットーの光太郎は、自分のお腹のキングストーンに聞いてみる。
どうでもいいが、ここ、ほんとに「死の砂漠」なの? 見渡す限り豊かな森林が広がっているように見えるのだが。

と、急に光太郎のお腹から眩しい光のかたまりが飛び出し、宙に浮かびながら、
キングストーン「光太郎、悲しみの力だ!」
光太郎「悲しみの力?」
赤ペン先生のように丁寧に光太郎の質問に答えてくれるのである!
聞くほうも聞くほうだが、答えるほうも答えるほうだ。

キングストーン「そうだ、
キングストーンは明快に光太郎の疑問に答えを出すと、再び光太郎のお腹に戻る。
光太郎「ありがとう、キングストーン」
主人公がアクロバッターやライドロンなどの乗り物と話すのもヤだけど、自分の体にインプラントされた石とお話しするのもヤだなぁ。
ちなみにキングストーンの声は大宮悌二さん。自分にとって1年前まではどうと言うことはない名前だったが、現在は「好き!すき!!魔女先生」で、ヒロイン月ひかるの父・アンドロメダ帝王の声を当てていた人だと言う、ちょっとした感慨がある。
そう言えば昨日も「魔女先生」のDVD見たっけ。

光太郎、謎も解けてスッキリしたところで張り切って「奇跡の谷」を探して歩き出すが、その背後に、前回のラストから見え隠れしていたヘッドギアをつけた謎の青年の姿が立つ。
後に光太郎の親友となる「霞のジョー」である。
光太郎が低い崖に挟まれた道を歩いていると、崖の上から大きな岩が落ちてきて、さらにチャップたちが襲ってくる。

そこへ突然現われて光太郎を押し飛ばし、落石から守ったのは意外にもその怪しい青年だった。彼は戦闘能力にも優れていて、光太郎と協力してチャップたちを叩きのめす。
光太郎「ありがとう、助かったぜ。俺は南光太郎、君は?」
ジョー「俺は霞のジョーって言う流れ者さっ」

ジョーは、何故地球人である自分がこんなところにいるのか、自分でも分からないと告げる。
光太郎「そうなのか? よし、キングストーン、教えてくれ!」
キングストーン「知るかそんなこと」
じゃなくて、
ジョー「わかってるのは俺がクライシス人に捕まって改造人間にされかかったと言うことだけだ」
光太郎「改造人間に?」
ジョー「もっとも奴らの隙を見てずらかってきた。お陰では俺は何処へ行ってもお尋ね者さ」

光太郎「そうか、ところで君は変な帽子を被ってるんだね」
ジョー「これか、これはクライシス人が山登りする時にかぶるヘルメットさ」
光太郎、クライシス帝国の風習文物には疎いので、ジョーのいかにもとってつけたような説明を聞いても、疑問に思わず、自分がここに来た目的を打ち明け、助力を求める。さいわい、ジョーが「奇跡の谷」の場所を知っていると言うので、その道案内を頼むのだった。
だが、歩きながら「ひとみちゃーん! ちゃーん! ちゃーん!」と、10キロ四方に響き渡るような馬鹿でかい声で呼び続けたので、その木霊が、同じく「奇跡の谷」へ向かっていたマリバロンの一行のところまで届いてしまう。
マリバロン「光太郎が追ってくるぞ! 急げ! 急ぐのだ!」
まるで至近距離で熊の唸り声を聞いたかのように狼狽するマリバロンであったが、護衛として同行していたトリプロンたちが、ネックスティッカーなる戦闘ロボットが光太郎を足止めする手筈になっているので心配は無用だと言われ、平静を取り戻す。
と、ここでカプセルの中で眠っていたひとみが阿波踊りでも踊っているかのように両手を動かし始める。
子役の演技が壮絶に下手なので分かりにくいが、ひとみが目を覚ましかけているのである。

マリバロン「ガロニア姫、お目覚めでいらっしゃいますか」
ひとみ「ここは何処? 私はひとみよ!」
演技が下手な上に、可愛くないと言う……他にもっと良い子役いなかったの?
前にも言ったけど、9話の本名陽子ちゃんとかさぁ。

マリバロン「何を申されます、あなた様はクライシス皇帝のご息女、ガロニア姫にあられますぞ。姫様、奇跡の谷はもうすぐそこでございますよ」
ひとみ「私はひとみです。私をパパとママのところへ帰して!」

マリバロン「これはいかん。一刻も早く奇跡の谷へ連れて行き、この娘の記憶を消してしまわなければ!」
光太郎の声「ひとみちゅわぁーん!」
マリバロンがシリアスな顔で考え込んでいると、再び光太郎の耳を聾するような大声が降ってきて、マリバロンの繊細な神経を逆撫でする。
マリバロン(あのバカ!)
あの悩みのかけらもない能天気な笑顔を思い浮かべたマリバロン、光太郎に対する、番組始まって以来の強烈な殺意を抱くのであった。

おまけに、光太郎の声を聞いたひとみがカプセルから出て、トコトコと逃げ惑い、それをチャップたちがなかなか捕まえられないと言う「地獄絵図」が繰り広げられ、マリバロンは発狂しそうなほどのストレスに晒されるのだった。
光太郎、予想以上にマリバロンたちに接近していたと見え、ひとみの足でも光太郎たちの前まで辿り着くことが出来た。
だが、ここで、味方の筈のジョーがいきなり光太郎に鋭い飛び蹴りを食らわす。

光太郎「霞のジョー、何をする?」
ジョー「地獄に落ちろ」
マリバロン「霞のジョー、光太郎を死の谷に突き落とせ、息の根を止めろ」
マリバロン、ジョーに命令すると、ひとみと一緒にパッと姿を消す。

なだらかな斜面の上で、光太郎とジョーのハイレベルな戦いが演じられる。
しかし、このトランポリンを使った飛び蹴り、倉田さん本人が見事に演じられているのが凄い。

続いて、トリプロンたちの言っていたネックスティッカーも登場する。
大きな手が可愛らしく、ちょっと猫っぽいデザインのロボットである。

ジョー、自分の意思で光太郎を襲っているのではなく、ヘッドギアを介してネックスティッカーに操られているらしい。
光太郎、変身する余裕もないまま、ジョーの攻撃を受けて「死の谷」を転がり落ちていく。
マリバロンの方は、邪魔が入らぬうちにと「奇跡の谷」で早くも儀式を行っていた。
滝の前にしつらえた壇の上にひとみと侍女の少女たちを立たせ、自身は滝壺の前の河原に片膝をついて、なにやら怪しげな呪文を唱えている。
と、そのうちひとみの目が赤く輝いたかと思うと、その背後で爆発が起き、少女たちの頭上に火花と七色の光が降り注ぐ。

マリバロン「奇跡じゃ! 奇跡が起こった。ガロニア姫、あなた様はまさしくガロニア姫です!」

CM後、光太郎が目を覚ますと、いつの間にか洞窟の中の石の寝台に横たえられていた。
周囲には、クライシス人らしい男性が数人いて、光太郎を見守っていた。
光太郎「あなたは?」
ミンバ「わしらは死の谷に隠れ住むクルミン族です。わしの名は村長のミンバ……あなたは死の谷に倒れておられた。三日間もここで眠っていたのです」
ミンバ村長は、元々彼らは「奇跡の谷」を守護する部族だったのが、1000年前にクライシス皇帝から追い払われ、以来、ずっとこの谷に隠れ住んでいること、「奇跡の谷」の「聖なる滝」に打たれたものは「大いになる成長」と「不老不死」の二大特典が与えられると教えてくれる。
光太郎は彼らに案内して貰って、「奇跡の谷」へ向かうことにする。
ちなみにミンバ村長は、スナフキンの声の西本裕行さん。特撮にもちょいちょい出ておられる。
光太郎、早速「奇跡の谷」へ移動を始めるが、再びジョーとネックスティッカーのコンビに攻撃される。
RXに変身し、戦うが、ネックスティッカーは剛力のうえに俊敏で、苦戦を強いられる。


ジャンプしようとした瞬間を狙い撃たれ、大ダメージを受けるRX。
RXのままでは勝てないと見るや、

おもむろに立ち上がると、両拳を握り締めて、前回習得したロボライダーへの多段変身をやってのける。
変身するたびにいちいち何か悲しいことを思い出さないといけないのは難儀だと思うが、あくまでそれはロボライダーへの進化の際に必要だったことで、2回目以降は気合を入れるだけで変身できるようになったらしい。
ロボライダー「俺は悲しみの王子・RX・ロボライダー!」
「悲しみの王子」って、自分で名乗るのはちょっとカッコ悪い。
ロボライダーは特に防御力に優れているので、素のRXを苦しめたネックスティッカーの砲撃を食らっても、涼しい顔をしている。

ネックスティッカーが戦線離脱しようとしたのを見て、アクロバッターを呼ぶが、

そのグリップを握ると、ボディの上を光が走り、一瞬で別の形のマシン・ロボイザーに変わってしまう。
そう、RXは、ロボライダー、そして次回登場するバイオライダーと、形態に応じてそのマシンのデザイン・性能も変わってしまうのだ。
金かかってるよねぇ。さすがバブル時代のドラマだよね。
……ま、肝心のデザインがあんまりカッコ良くないのが玉に瑕だが。
ロボライダー、ロボイザーでネックスティッカーに追いつき、その動きを封じると、


前回の対デスガロン戦ではなし崩し的に戦いが終結したので披露することが出来なかった、ロボライダーの必殺技を出す。
と言っても、ボルテックシューターと言うこぶりの銃を生成し、それを棒立ちのまま撃つと言う、何の捻りもない技で、正直、スタッフはもうちょっと真面目に考えろと思ってしまう。
しかし、今や仮面ライダーは、何パターンもフォームチェンジしたり、銃や剣を使って戦ったりするのが常識になってしまったが、多段変身を行い、専用の銃と刀(バイオライダーのバイオブレード)を使って戦うRXこそが、それらの先駆者、パイオニアと言っても良いだろう。
(厳密には、剣についてはXライダーのライドル、多段変身についてはストロンガーのチャージアップ、スーパー1のファイブハンドなどが淵源なのかもしれないが……)


ともあれ、ボルテックシューターの一撃で、ネックスティッカーは、ほとんど見せ場もないまま吹っ飛ばされてしまう。
ネックスティッカーの死と共に、ジョーは本来の自分を取り戻す。
別に脳改造された訳ではなく、あのヘッドギアでマインドコントロールされていただけらしい。
もっとも、改造手術(具体的にどんな改造をされたのかは不明)の際、全ての記憶を失っており、住所も本名も思い出せなくなっていた。
で、気になるジョーの素顔だが、

一瞬反応に困るような、微妙なルックスだった。
ただし、数年後、その渋い声は、洋画のジョージ・クルーニーなどの吹き替えで、全国のお茶の間に流れることになる。
そう、今や声優としても活躍されている小山力也さんなのである。
管理人が初めてその声を聞いたのは1990年代末の「ピースメーカー」あたりだったと思うが、無論、しばらくはそれが「霞のジョー」と同一人物だとは全然気付かず、そうと知った時は驚いたものである。
それはともかく、これ以降、ジョーは光太郎の良き相棒となり、レギュラーとして活躍することとなる。
ちなみに倉田さんの弁では、小山さんのほうが年上だったのだが、番組では光太郎の弟分のようなポジションだったので、番組終了後も「アニキ」と慕われているらしい。
さて、ジョーはしばらく死の谷で休息し、光太郎ひとりで「奇跡の谷」へ行くことになる。
一方、地球では早くも2週間が経過していた。

ボスガン「ジャーク将軍、チャップからの報告によりますと、茂がひとみを捜してうろついているそうです」
ジャーク将軍「茂が……?」
地球征服を企む悪の総司令官が、まるで友達の名でも呼ぶように子供の名を呼ぶのを聞いて、つい笑ってしまうのは自分だけだろうか?
ジャーク将軍「うむ、ボスガン、茂を怪魔界へ引き摺り込め!」
ボスガン「はい」
何をトチ狂ったのか、ジャーク将軍は「魔空空間へ引き摺り込め」っぽい言い方で、新たな命令を下す。
命令は直ちに実行に移され、来なくていいのに半ズボンの小太りの少年、さらには近くにいた玲子まで怪魔界へ転送される。
ジャーク将軍、茂を光太郎に対する人質にするもりだったのだろうが、その余計なちょっかいが、結果的にマリバロン苦心の「ひとみをガロニア姫に仕立てちゃおうぜ!」作戦を台無しにしてしまうことになる。
どうして、こう、クライシスの幹部たちは余計なことをしたがるのだろう? バカなの?
「奇跡の谷」の近くでトリプトンたちが茂を人質にして光太郎を脅すが、そこへ颯爽と現われたのが、死の谷へ行った筈のジョーであった。ジョーは優れた戦闘能力を見せて、トリプトンから茂を奪還する。
光太郎「君はどうして?」
ジョー「俺はあんたを兄貴分と決めた。これからは何処にでもついて行く」
光太郎「ジョー、後悔するなよ」
ジョー「へんっ、死んだって後悔するもんか」
ま、死んだら後悔できなくなりますけどね。

と、そこへ突然、マリバロンに導かれた7人の若い女性たちが現われる。
みんなドレス姿であったが、

とりわけ、中央の化粧の濃い女性は、王冠のようなものをつけ、女王のような威厳と気品をその身に漂わせていた。
これが、ひとみが「聖なる谷」の力で一気に大人になったひとみなのだ。周りの侍女も、誘拐された少女たちが成長した姿なのだ。
ストーリーの流れ上、「気品を漂わせている」と書いたが、正直なところ、管理人、オンエアで見た時から、「品のない顔だなぁ」と思っていたことは、俺とお前だけの秘密だ。
演じるのは丸山真穂さん。「ジェットマン」のマリア役の人ね。

アダルトひとみ、いや、ガロニア姫は、いきなり目を光らせると、その超能力で光太郎たちを宙に浮かせる。
「聖なる滝」に打たれたことで、「大いなる成長」「不老不死」に加え、「超能力」までゲットしてしまったらしい。
「聖なる滝」の三大特典である。
……って、そんな便利なものがあるのなら、クライシス皇帝はじめ、ジャーク将軍たちもみんなそれを浴びたら無敵だったんじゃないの? と言う素朴な疑問を抱きつつ、17話へ続くのであった。
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