第15話「甦る悪魔の大元帥」(1982年5月15日)
当初から予定されていたのか、テコ入れの為か、新たなる大幹部デスマルクが初登場するエピソードである。と、同時に、ちびっ子たちに中間管理職の悲哀をイヤと言うほど見せつけてくれたイガアナ&ザゾリヤ博士の最後のエピソードでもある。
個人的にはデスマルク大元帥にはあまり魅力を感じないが、イガアナとザゾリヤと言う、覚えにくい名前のキャラが消えてくれたことには感謝している。レビューする時に紛らわしいからね。
さて、前回のラスト、突然動き出したデストピアだったが、その行く先が南極であり、海底に沈んでいたひとつの棺を回収することが目的だったことが判明する。

引き揚げられた棺の表面には、「DESMARK」と言う文字が刻まれていた。
デスギラー「これはデスマルク大元帥の棺ではありませんか! デスダークの歴史において最強の勇者……その名も高き伝説の英雄!」
タブー「今、二千年の眠りから醒めるのぢゃ!」

タブーの呼び声に応じて、棺の蓋がひとりでに持ち上がる。
中には金色の鎧をつけたあばた面の中年男性が横たわっていた。
デスマルク大元帥である。
デスマルクは無言で立ち上がると、自分の左右に置いてあった二つの人形に「ベラ、ベス」と呼びかける。人形は立ち上がると、たちまち全身タイツ姿の女性に変わる。侍女ベラとベスである。

デスマルク「総統タブー、お久しゅうございます! 総統閣下の下で再び戦えること、光栄に存じます」
タブー「よくぞ申した。お前の力が必要になったのだ。デスダークを指揮して世界征服を成し遂げよ」
二千年ぶりに総統タブーに拝謁し、改めて忠誠を誓うデスマルク。
しかし、そもそもなんでデスマルクは二千年もの長きにわたる長期休暇を取っていたのか、その説明が一切ないのは物足りない。
その様子を、後ろの出入り口の陰から、前述の博士二人がこわごわと覗いている。デスギラー以上におっかなそうな上司の出現に怯えていると言った風情である。
デスマルク「イガアナ、ザゾリヤ!」
イガアナ&ザゾリヤ「ははーっ」

デスマルク「わしは長い間眠っていたので活力を取り戻さねばならん。人間の命のエキスを集めて参れ」
イガアナ「命の」
ザゾリヤ「エキスを?」
えげつなく爪の長いデスマルク大元帥。
これは二千年眠っている間に伸びたのだろうか?
これでは、おちおちオ○ニーも出来んではないか。
デスギラー「分かっておろうな、今度失敗すれば、むぉ命乞いは聞かんぞ!」
イガアナ&ザゾリヤ「ははーっ」
前回、すんでのところで処刑されるところだった二人、畏まって平伏する。
いやしくも博士と呼ばれる身でありながら、戦闘員のするような仕事を命じられる姿は哀れを誘うが、二人とも既に度重なる屈辱を舐め尽くして、自尊心も擦り切れてしまったのか、そんなことに反発する余裕すらないのだった。

コブラの形をしたナイスなパイプで、タバコのようなものを吸って、恍惚の表情を浮かべるデスマルク。
さすがに二千年ぶりに目覚めたばかりで、まだ頭がシャンとしないのだろう。
デスマルク(ふふ、メールがえげつないほど溜まってるだろうなぁ……) 
ザゾリヤ「絶対に失敗許されないわ」
イガアナ「子供を狙おう。子供なら仕損じることはあるまい」
ザゾリヤ「元気の良い子が来るわ」
すっかり自信をなくしている二人は、街へ出たものの、初手から捕まえやすい子供に狙いを絞って公園の雑木林の中から標的の品定めをしている。
そして、ちょうど彼らの前を通り掛かったのが、コンボイのリーダー格である達也少年であった。

達也「うわあああーっ」
タイミングよく達也がひとりで公園の中を突っ切ろうとしたので、彼らは同行させていたハモチズーに達也を襲われ、見事に「命のエキス」を抽出することに成功する。
ただし、すべての生命エネルギーを吸い尽くす前にゴーグルファイブが駆けつけた為、達也は一命を取り留める。

その代わり、達也はあっという間に白髪の老人になってしまい、明日をも知れない命となる。
医師「信じがたいことですが、この子は本当に老化してしまったんです。しかもその老化は今も進んでいます」
赤間「じゃあこのままでは!」
黄島「これ以上年を取ったら死んじまうんじゃないか?」

ミキ「治療の方法はないんですか?」
医師「暗黒科学のやることはあまりにも我々の想像を超えています」
例によって、こんな時の医者はクソの役にも立たないと特撮ドラマでは相場が決まっているのである。
あかね「達也君が死んじゃうなんて!」
青山「馬鹿なこと言うもんじゃない」
春男「そうだよ、そんなことがあってたまるもんか!」
彼らの叫び声で目を覚ましたのか、達也は起き上がると、杖を突きながら、よろよろとコンボイたちの仕事部屋にやってくる。

自分の席に座り、
達也「僕はコンボイなんだ」
赤間「達也君、君は今病気なんだ、休んでなくちゃ駄目なんだ」
達也「僕はここにいたいんだ、みんなと一緒にいたいんだ……」
老人になった達也の声は、それらしい別人の声で吹き替えられている。
一方、意気揚々と達也の「命のエキス」を持ち帰った両博士であったが、デスマルクはそれには見向きもせず、
デスマルク「愚か者めぇ! わしがこんな子供の命のエキスで満足すると思っておるのか?」
イガアナ&ザゾリヤ「ははーっ」
デスマルク「デスダーク最強の男が甦ったのだ。人間どもの命のエキスをことごとく抜き取る覚悟でやれい」
再び「命のエキス」を集めに東京に上陸したイガアナたちだったが、いかにもユーウツそうな顔。

イガアナ「人間の命をことごとく吸い尽くせなどと……無理を言うお方だ」
ザゾリヤ「いくらデスダーク最強の男か知らないけど、命のエキスを飲まねばただの男でしょうに」
公園のあずまやで、デスマルクの嫌がらせのような命令をもてあまし、途方に暮れている二人。
「そろそろ辞め時かなぁ」と言うような顔でとぼとぼ歩き出した時、ベスとベラがあずまやの中に忽然と現われる。
そして二人で水晶球を掲げ、その中に映るデスマルクからのメッセージをイガアナたちに聞かせる。
デスマルク「わしはただ眠っていたのではない。総統タブー閣下からじきじきの睡眠教育を受けていた。二千年にわたり、デスダークの歴史と暗黒科学の全てをな……」

デスマルク「わしは大元帥であると共にまた、デスダーク最高の暗黒科学者でもあるのだ!」

デスマルク「……」
イガアナ&ザゾリヤ(そんだけかい!!) てっきり何か小言を言われるのかと思ったら、単なる自己アピールで終わってしまったデスマルクのメッセージに、思わず心の中で全力で突っ込みを入れてしまう二人だったが、たぶん、ほんとである。
イガアナ「ま、参りました、直ちに命のエキスを……」
何だかよく分からないが、二人はすっかり恐れ入って、慌ててその場から駆け出す。
だが、ゴーグルファイブのいない地方でやれば良いのに、達也を襲ったのと同じようなところでランニング中の若者を襲おうとした為、またしてもゴーグルレッドに邪魔されてしまう。
と、一瞬で空が暗雲で埋め尽くされたかと思うと、稲光が走り、イガアナ、ザゾリヤ、ハチモズーの三人を有無を言わさずデストピア内に回収してしまう。

デスギラー「分かったか、デスマルク大元帥の力! 命のエキスなどをめぇし上がらなくとも、これほどまでに偉大なるぞ!」
イガアナ&ザゾリヤ「ははーっ」(こればっかり)

タブー「デスマルク、その二人を処刑せよ」
イガアナ「えっ、ええ、お許しを!」
ザゾリヤ「お、お助けを!」
ここでタブーから、無慈悲な命令が下される。

なおも命乞いをする二人であったが、デスマルクの指先から発射される光線を浴び、煙のように消えてしまう。
悪の幹部にしては実にあっけない、無残な最期であった。
デスマルク「役に立たぬものは常にこうなる。これがデスダークの掟だ」
デスギラー「デスマルク大元帥、私は博士どもの命よりもっと素晴らしいエキスを差し上げましょう」
すっかりデスマルクの太鼓持ちと化したデスギラー、早速点数稼ぎの為に、達也の命のエキスを餌に、ゴーグルレッドの命のエキスを手に入れようとする。
CM後、荒野に、ゴーグルレッドひとりがやってくる。デスギラーに呼び出しを受けたのだ。

デスギラー「ふっふふ、良い物を見せてやる。これが達也と言う子の命のエキスだ。これを体に戻せば元の子供に戻る」
レッド「本当だな」
デスギラー「いぃやしくもデスギラー将軍、嘘はつかん! とぉり戻したくば、おおれと勝負しろ」
レッド「望むところだ!」
デスギラー「ただし、仲間を呼ぶことはならんぞ、貴様と俺との一騎打ちだ」
レッド「よし!」
悪だけど、戦士としての誇りを持つ男デスギラー、堂々の頂上決戦を申し出る。
しかし、デスギラー、達也の命のエキスと言う絶好の「人質」がありながら、求めたのが一対一の戦いだけと言うのは、あまりに策がなかったように思える。
あるいは、まだ、一対一ならレッドには必ず勝てると言う自信があったのだろうか。

二人が互いの剣を抜いて火花を散らしている頃、老人となった達也の容態が急変し、しきりに赤間の名を呼び続けていた。
みどり「段々弱ってきたわ」
春男「レッドに知らせなきゃ」
コンボイたちは急いでレッドに連絡するが、デスギラーとの戦いに全力を注いでいるレッドにはそれに応じる余裕などなかった。
デスギラーの鋭い剣に、さしものレッドも苦戦するが、それでも最後は相手の剣を叩き落す。

戦いを見守っていたマズルカは、デスギラーのピンチと見て、ハチモズーにレッドを攻撃させるが、

デスギラー「邪魔をするな!」
デスギラーは逆にハチモズーを突き飛ばし、あくまで一対一の勝負を続けようとする。
その後も一進一退の攻防が続くが、やがてコンボイたちの知らせを受けたブラックたちも駆けつけた為、結局、なし崩し的に総力戦に移行してしまう。
と、さっきと同じように急に辺りが暗くなったかと思うと、幾筋かの雷光がゴーグルファイブの周囲に落ちて、激しい爆発を起こす。
デスマルク「はっはっはっはっ、はぁーっはっはっはーっ!」 ついで、空にデスマルク大元帥の巨大な顔が浮かび上がり、その哄笑が山野に響き渡る。
デスギラー「おおお、デスマルク大元帥、偉大なる力に感謝いたします」
レッド「なに、デスマルク大元帥?」
デスマルク、ひとしきり笑うとパッと姿を消す。
デスギラー「デスマルク大元帥、最強の勇者にて最高の科学者にお前たちの命のエキスを捧げるのだ」
デスギラー「ハチモズー、やれぇあーっ!」 ほんと、デスギラー高橋さんの独特の台詞回しは最高である。
戦いの後(一言で済ますな)、デスギラーから奪還した命のエキスによって達也は無事、元の姿に戻る。

それを心配そうに見守っている仲間たちだが、ここで、みどり、ミキ、あかね、さゆりという、番組の誇る4大美女がワンカットに収まると言う奇跡が起きる。
女性陣のみならず、赤間にせよ、黒田にせよ、「ゴーグルファイブ」って、ヒーローサイドのルックスと言う点では、戦隊シリーズ最高なのではないかと最近思う管理人であった。
敵味方を含めて評価すると、「ダイナマン」が一番かな。

文字通り、豊頬の美少年の姿を取り戻した達也少年。
「バイオマン」では颯爽とした美少年プリンスを演じている井浦さんだが、この頃は、まだ丸々として実に可愛らしい。

達也「あれ、みんなどうしたの」
赤間「こいつー、心配させやがって」
黄島「何にも覚えてないのかよ」
達也「うん」
ケロッとして答える達也に、みんなもどっと笑う。
しかし、老人になっている間の記憶が欠落していると言うのは変だけどね。
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