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「ケータイ刑事 銭形雷」 第18話「地球最後の日!~デイ・アフター・トゥモロー殺人事件」

 第18話「地球最後の日!~デイ・アフター・トゥモロー殺人事件」(2006年4月29日)

 いわゆるソリッドシチュエーシンスリラーと言う奴で、個人的にかなり好きなエピソードである。

 突っ込みどころも多いのだが……。

 念の為、「デイ・アフター・トゥモロー」と言うのは、当時公開されたパニック映画の題名である。

 冒頭から、雷のケータイが事件発生を告げている。

 と言っても、それは港区赤坂の某所の地下シェルターで、世界気象極秘会議なるものが開かれるから、そこへ行けと言う意味不明のものだった。

 道々、雷と岡野の会話から、世界気象極秘会議と言うのは、四天王と呼ばれる世界で最も有名な気象学の権威が集まる会議だと言うことが分かる。

 そして雷もその四天王のひとりだと聞かされ、岡野は驚きのあまり固まってしまう。

 さて、二人は地図を頼りに目的地に到着すると、入り口から階段をおりて地下の狭いシェルターに入る。

 そこはコンクリート打ちっ放しの、物置部屋がひとつあるだけの実に殺風景な部屋で、いかにもシェルターと言う感じであった。

 
 オゾン「今日、皆さんにお集りいただいたのはほかでもありません。我々の地球が終わろうとしています」

 四天王プラス岡野が揃ったところで、今回の会議を招集したヨーロッパの気象王「オゾン・デホール」が緊迫した面持ちで口を開く。

 
 トルネード「終わるとは一体どう言うことですか」

 アメリカの気象王「トルネード・ジョージ」を演じるのは毎度お馴染み佐藤二朗さん。

 
 オゾン「こちらご覧下さい」
 エルニーニョ「この天気図、どっかで見たことあんな」

 オゾンは、床の巨大パネルに日本を中心とした天気図が表示させる。

 変な訛りの中東の気象王「エルニーニョ・ラデン」を演じるのは、鑑識・柴田の大堀こういちさんである。

 
 雷「一万年前に起こった氷河期の天気図ですよね。マンモスが絶滅しちゃった」

 アジアの気象王・雷はすぐさま指摘するが、一万年前の天気図はさすがに復元できないと思う。

 オゾン「似ていますが」
 雷「違うんですか?」
 オゾン「これは私の研究所のコンピューターが弾き出した本日11時30分の天気図です」
 岡野「11時30分ってあと30分じゃありませんか」

 
 腕時計を見て叫んでから、ぬかりなくカメラの方を見る、ただの気象好きの岡野。

 
 カメラが引くと、テロップの位置が手前に座るトルネードの真横に変わり、

 
 トルネード「ほうっ、ほうっ、たくさん、たくさんだテロップ」

 トルネードがそのテロップに何発もの空手チョップを見舞い、ボコボコにする。

 テロップを利用した「雷」でよく見られるお遊びである。

 トルネード「すると、ドクター・オゾンはこの地球が30分後に氷河期に巻き込まれると?」
 オゾン「ウィ、ですから気象学の権威であられる皆さんにこの事態を早急にお伝えしなければ!」
 エルニーニョ「馬鹿馬鹿しい、ありえませよ、そんなこと」
 トルネード「コンピューターの誤動作だよ、馬鹿」
 岡野「今日一日晴天だってお天気キャスターの森田さんだって言ってましたよ」

 当然ながら、他の四天王はオゾンの突飛な予測を頭から否定する。

 
 オゾン「気象学の世界ではこんな言葉があります。明日は雨が降る天気ではない。……ミスター岡野、この意味がお分かりですか?」
 岡野「いや、そりゃ言葉どおり、晴れってことでしょ?」

 指名された岡野は戸惑いつつ答えるが、雷が「違いますよ」と即座に否定する。

 
 雷「『明日は雨が降る』と、『天気ではない』の間を……」

 ここでもテロップを利用して雷が岡野に説明する。テロップ好きやなぁ。

 
 雷「こう切ったら……」

 関係ないが、この時の雷の口の形がめっちゃ可愛いのである!

 
 雷「逆の意味にも取れるじゃないですか」
 岡野「そうかー、明日は雨が降る、天気ではない。雨だ! あっはははっ」

 雷に手取り足取り教えられて、事件の謎が解けたような晴れ晴れとした笑顔になる岡野。

 オゾン「さすがはドクター・銭形、素晴らしいっ! この文章は天候と言うものが非常に曖昧な出来事だと言うことを示しています。すなわち、天気が一変しても少しもおかしくない!」

 オゾン、独特の変な喋り方で力まくって断言するのだが、今の言葉は、「天候の曖昧さ」じゃなくて、「日本語の難しさ」を示していると思うんですが……。

 林誠人にしては杜撰なシナリオである。

 と、オゾンがの言葉が終わった直後、不意に地面がぐらぐら揺れ始める。

 オゾン「天候の変化で地殻変動が起こったのかもしれません」

 いや、天候が変化したからって、地面は動かないと思うんですが……。

 
 トルネード「かなり大きい!」

 トルネード、必要以上に騒いでいたが、

 
 トルネード「あっ、終わったよ」

 揺れがおさまった途端、何事もなかったように落ち着く。

 佐藤さん、明らかに30パーセントくらいの力で演技している。

 ……と言うより、完全に遊びに来ていると言ったほうが適切か。

 
 と、その佐藤さんに監督が「喝」を入れる為か、天井から巨大なたらいが落ちてきて、トルネードの脳天を直撃する。

 
 トルネード「……」

 佐藤さん、マジで痛かったのか、それとも21世紀にドリフのようなコテコテのギャグをやらされたせいか、必死に笑いを堪えている。

 一方、臆病な岡野は、地震が怖くて雷の手を握ってそのすべすべの甲を自分の頬に擦り付けていた。

 
 雷「なにやってるんですか、岡野さん?」
 岡野「地震が、地震が……」
 雷「岡野さん!」
 岡野「えっ……? ふぇっ、いや、君を守ってあげようと思ってね」

 不意にオゾンがラジオの前に走り、スイッチを入れる。

 
 女性アナウンサー「午前11時5分頃、東京で大きな地震がありました。成城・震度5、渋谷・震度6、赤坂・震度7……またこの地震によりお台場で巨大な津波が発生しました」

 女性アナウンサーの声は、事件発生を告げるケータイメッセージを担当している小林麻耶さんである。

 雷たちは慌てて外へ出ようとするが、地震のせいでドアが歪んでしまったのか、びくともしない。

 男性アナウンサー「続いて天気予報をお伝えします……」

 続いて落ち着いた男性アナウンサーの声が聞こえてくるが、天気予報やってる場合か!

 普通は長々と地震についてやるよね。せめて「気象情報」にすべきだった。

 男性アナウンサー「北からの前線に伴う低気圧が東京の上空で大型の発達した寒冷低気圧になりました。その為、東京湾では一瞬で海面が10……10メートル? 10メートル上昇、その影響で……」

 原稿を読んでいるアナウンサー自身が目を疑うような数値を聞くと、エルニーニョは素早く電卓を叩いて、津波の高さが40メートルになると計算する。

 
 トルネード「そんな大津波が来たら、東京はもう……もういやだっ」

 引き続きテキトーな演技を続ける佐藤さん。

 早く家に帰りたがっているようにも見える。

 その後、実際に40メートルの津波がお台場を襲い、赤坂周辺が水没し、完全に孤立したとラジオから聞こえてくる。

 
 雷「孤立って……」

 さすがの雷もなす術なく、茫然と立ち竦む。

 追い討ちをかけるように、電線が切れたのか部屋がふっと暗くなる。

 半ばパニックに陥る雷たちだったが、、シェルターの持ち主のオゾンによれば、この部屋には防水加工が施されており、自家発電装置も備えてあると言うことで、みんな、ひとまず落ち着きを取り戻す。

 しかし「防水加工」て……時計や靴じゃないんだから。

 ここも、「密閉構造になってる」とかの方が良かったかな。

 オゾンが「自家発電装置」にまたがってペダルを漕ぎ、電力が復活する。

 
 岡野「暗いの怖い、怖い、怖い、怖い……」
 雷「またですか、岡野さん?」
 岡野「うっ?」

 暗所恐怖症の岡野は、また雷の手を握って震えていた。部屋が明るくなったのに気付かず、なかなか手を放そうとしないので、雷にやんわり注意される。

 だが、安心するのはまだ早く、次は、大寒波と竜巻が東京を襲うとオゾンは予言する。

 
 トルネードたちと同じく、深刻な顔になる雷。

 岡野「私たちはどうすればいいんです」
 オゾン「このままここで異常気象が去るのを待つのがベストだと思います」

 しかし、異常気象が去るまで1週間かかると聞かされ、青ざめる4人。

 最初は馬鹿にしていたオゾンの予言が見事的中したことで、みんな、オゾンの言葉を一も二もなく信じるようになっていた。

 隣接する物置部屋には、多少の食糧と水が備蓄されていたが、5人の三日分にしかならないと分かる。

 
 と、オゾンの代わりに「自家発電装置」を漕いでいた雷が、ドアの隙間から水が入り込んでいると知らせる。

 岡野「海水が入ってきたんだ」
 エルニーニョ「防水加工されてたんじゃなかったのかよ」
 オゾン「さっきの地震で亀裂が入ったのかも知れませんねー」

 管理人、ここで、ペダルを漕いでいる雷のスカートの中がチラッと見えないかなぁと思って丹念にコマ送りしたことを、恥を忍んで打ち明けねばならない。

 ……で、やっぱり見えませんでした。

 「ケータイ刑事」って、その辺は妙にかっちりしてて、他のシリーズでもチラは一度も見た記憶がない。

 「ケータイ刑事」が、「仮面ライダー」のような全国的な人気を得られなかったのは、その辺に原因があるのかも知れない(註・なこたぁない)。

 その時、再びラジオから声が聞こえ始めたので、みんな急いでラジオの前に集まる。

 津波が再び赤坂を襲い、23階建ての「びーえすあいビル」までが完全に水没したと言う。

 雷「嘘っ!」
 オゾン「だとすると、このドアの向こうはもう、海の底ってことですよ」
 トルネード「はぁやく海水を食い止めなければーっ!」

 早く家に帰りたい佐藤さんのテキトー芝居もますます絶好調。

 岡野たちが服やシーツなどでドアの下の隙間を塞いでいる間に、オゾンがこっそりトルネードを物置部屋に連れて行く。

 
 オゾン「小さい箱にねずみを入れ過ぎるとどうなるかご存知ですか?」
 トルネード「どうなるの」
 オゾン「ねずみたちは自由を失い、ストレスが溜まっていく。そしてだんだん無気力になり、餌を食べる力さえなくなってしまう。最後には強いねずみが興奮して弱いねずみを襲い始める。殺し合いが始まるんです!」
 トルネード「……」
 オゾン「箱の中のねずみは一匹残らず絶滅です。それを防ぐただひとつの方法はねずみの数を減らすこと」

 オゾンは、そんな話をしてトルネードをワナワナさせると、おもむろに棚の奥においていた薬のビンを取り出す。

 オゾン「南米産の猛毒、ウラリです。ドクター・トルネード、これあなたに差し上げましょう」
 トルネード「なに」
 オゾン「どうお使いになろうとあなたの自由です」
 トルネード「いや、要らないよ、要らないって……」

 当然、トルネードは怖がって受け取ろうとしないが、オゾンは無理矢理その手に握らせてしまう。

 このシーンについては、ここで突っ込みを入れておくが、仮にオゾンが、食糧や空気が足りなくなって5人とも死ぬことを危惧していたとしたなら、何故ウラリを自分で使わずにトルネードに渡してしまったのか、とても変である。

 トルネードだって、その点を疑問に思うべきなのだが、そう言う描写は一切ない。

 さて、その後も異常気象を伝えるニュースは続き、今度は巨大台風が発生し、成城を跡形もなく破壊して、砂漠にしてしまったという。

 さすがにそんな短時間で砂漠にはならないと思うんですが……。

 その後、みんなで水を飲もうということになって、その支度をトルネードが買って出る。

 
 トレイに紙コップを並べ、ペットボトルの水を注いでいく。その傍らには、ウラリのビンが……。

 
 やがてトルネードが用意した水を、オゾン以外の4人が喉を鳴らして飲み干す。

 雷「おいしい~」
 エルニーニョ「いやぁ、水がこんなにありがたいものだとは思わなかったよ」
 雷「はい」

 ところが、「まったくですよ」と相槌を打っていた岡野が、急に苦しそうに咳き込み始める。

 

 

 
 岡野「おっほっ……」
 雷「岡野さん、どうしたんですか?」

 しゃがんで苦しそうに変な咳をしている岡野に、雷が慌てて駆け寄る。

 愛(演・宮崎あおい)と違って性格の良い雷の人柄が滲み出ているシーンであると同時に、雷の、コマ送りするたびに多彩に変化する美しさ・可愛らしさをあますところなく読者の皆さんに伝えるべく、似たような画像を三枚も貼ってしまった管理人であった。

 もっとも、岡野のコップにはウラリは入っておらず、単に水が気管に入っただけだった。

 ところが、岡野が苦しむさまを満足そうに見てから水を飲んだオゾンが、同じように苦しみ出し、トルネードに、「裏切りましたねーっ」と叫びながら掴みかかる。

 
 トルネード「あはっあはっ」

 オゾンはトルネードを追いかけて物置部屋に入ったところでばったり倒れ、動かなくなる。

 岡野、その脈を取って、「死んでる!」

 オゾンが死に際に残した言葉や、トルネードが落としたウラリのビンなどから、すぐにエルニーニョたちはトルネードが一服持ったのだと疑い、問い詰める。

 
 エルニーニョ「おめえ、そのウラリで俺たち全員殺すつもりなんだべ?」
 トルネード「違うよー!」
 エルニーニョ「そうすれば食糧を独り占めすることが出来る。異常気象が過ぎ去るまで生き延びることが出来る」
 トルネード「違うよー、違うよー、違うよー、違うんだよー!」(日本語訳・早く帰りたい、早く帰りたい、早く帰りたい、早く帰りたいよー!)

 エルニーニョ、トルネードを激しく責めるが、今度は仲裁に入った岡野に憎しみの目を向ける。

 極限状態に置かれて、ストレスが溜まり、むやみに気が立って怒りの捌け口を求めているのだろう。

 エルニーニョ「おい、なんだこのミスター・岡野、こうなったのもお前にも原因があるんじゃねえのか?」
 岡野「私が? なんで?」
 エルニーニョ「そもそもおめえ、四天王じゃねえじゃねえかよ、なんでここにいるんだよ!」

 エルニーニョ、いるべき筈のない岡野のせいで、食糧の分け前が減ったと岡野を非難する。その尻馬に乗って、トルネードが、オゾンを殺したのも岡野だと罪をなすりつけようとする。

 雷はおっさんたちの醜いいさかいには関心がなく、ウラリのビンや、ペットボトルのラベルなどを考え深そうに見詰めていたが、やがて「よどむ、悪の天気……」といつもの台詞をつぶやき、CMです。

 CM後、ラジオから流れる声が、今度は(映画と同じく?)大雪が降り始めことを告げ、オゾンが予言したように地球はこのまま氷河期に入ってしまうのではないかと思われた。

 当然シェルター内の気温も下がり、電気ストーブを焚き、みんなありあわせの毛布や服を被っている。

 
 岡野「これで水と食糧はすべて均等に分配しました」
 エルニーニョ「これで、いつ、どれだけ食べようとも自由ってわけだな」
 岡野「ええ、自己責任においてね」

 おっさんたちも落ち着きを取り戻し、岡野が残った水と食糧をきっちり4等分して机の上に並べている。

 それはともかく、寒そうに毛布をケープのように被っている雷が可愛いのである!

 
 トルネード「全部食べたとしても誰も分けてくれない」
 雷「ええ……」

 毛布をケープのように被っている雷が可愛いのである! あ、さっきも言ったか。

 と、今度は雷が、何か異臭がしないかと言い出す。

 それは、「ヘ硫酸ガス」なるものが部屋の中を通る管から漏れ出していることが判明する。

 岡野が慌てて裂け目にハンカチを巻くが、とてもそれだけでは流出を止めることは出来ない。

 
 岡野「ヘ硫酸ガスが部屋に充満したら我々はひとたまりもないぞ」
 エルニーニョ「このガスの濃度からすると、部屋に充満する時間は、およそ、3分30秒だっぺ!」

 エルニーニョ、電卓を叩いてたちどころにタイムリミットを弾き出す。

 ところで、管理人が、わざわざこのような美的興奮とは程遠い画像を貼ったことに、疑問を抱かれる慧眼の読者の方がいらっしゃると思う。

 管理人が理由もなく大堀こういち氏の、それもアップの画像を貼る筈がないからである。

 無論、ちゃんとした理由があるのだが、それはレビューを読み進めていただければおのずとご理解いただけると思う。

 
 あと、3分30秒の命と聞いて、雷もこんな表情になる。

 ……

 管理人の狙いはどうやらここにあったようである。

 すなわち、その前の画像は、この雷の美しいアップをより美しく見せる為の引き立て役だったのである。

 ……って、前にもやったか、このネタ。

 と、トルネード、不意に「あーああー」とターザンのように叫んだかと思うと、自分の机の前に座り、

 
 物凄い勢いで自分に割り当てられた水や食糧を口に流し込み始める。

 トルネード「3分30秒で死ぬんだったら、食べ残したってしょうがないでしょ!」

 三人が唖然として見守る中、トルネードのお腹があっという間に風船のように膨らんでいく。

 トルネード「あうー、食ってやった、たらふく食ってやったー」

 満足そうにお腹を叩くトルネードであったが、

 
 岡野「うん、止まった、ガスが止まったぞーっ!」
 雷「ほんとだ」
 トルネード「止まったって……この子の立場は?

 事態の急変に、今度はトルネードが茫然として妊婦のように膨らんだお腹を抱えて叫ぶ。

 これは、佐藤さんのアドリブかなぁ。

 エルニーニョ「ま、自己責任だからよ、な、ドクター・トルネード、くれぐれも飢え死にだけは注意してくださいませ」

 エルニーニョ、小気味良さそうにトルネードを嘲笑うが、パニック状態になったトルネードに首を絞められ、あえなく死んでしまう。

 さらに、それを止めようとした岡野も、押し飛ばされてコンクリート壁に頭を強く打ち付ける。

 
 雷「大丈夫ですか?」
 岡野「すまない、君を守ってやれなかった。許してくれ……ああ」
 雷「岡野さん! しっかりしてください、岡野さん! 岡野さん、死んじゃいやっ!」

 そして、あっけなく岡野は息絶える。

 ま、無論、こんな簡単に相棒が死ぬ訳はないので、これは芝居なのだが、嘘でもこう言うシーンを見ると、管理人は「不良少女」の最終回を思い出さずにはいられない。

 

 
 恭子さんを守る為、カッコよく爆死して逝った哲也の綺麗な死に顔を……。

 ……

 お互い、年は取りたくないものである。

 
 トルネード「ああ、全部俺のもんだ」
 雷「……」

 雷、振り返ると、怒りと悲しみを瞳に込めて、水と食糧を独り占めして机に座っているトルネードの背中を睨み付ける。

 雷「ドクター・トルネード、私はあなたを許さない!」

 雷、立ち上がって凛然とした声で叫ぶが、

 トルネード「ああ?」

 トルネードは怯む色もなく平然と雷に向かってきて、たちまち雷を壁際に追い詰める。
 
 
 トルネード「あのさぁ、最後にね、強いもんが生き残るんだよ、うん、それがなぁ、自然の摂理だなぁ」

 佐藤さん、意外と背が高いので、そばに立つと雷に覆い被さるような威圧感を生む。

 そして、陽性と言うか、お笑いキャラが表芸と思われている佐藤さん、実は何を考えているのか分からない無表情な悪役と言う、裏芸も持っているのだ。

 
 偉そうなことを言っても、所詮、か弱い女子高生の雷、本物の殺人鬼を前にしては、蛇に睨まれた蛙のように体が竦んでしまう。

 ここで管理人からお知らせがあります。怯えた雷の上目遣いがめっちゃ可愛いのです!

 
 雷、なんとかトルネードの腕から逃れようとするが、あえなく捕まり、喉をグイグイ絞められる。

 
 雷「待って」
 トルネード「命乞いか」
 雷「ガス、さっきよりも臭いがひどくないですか?」
 トルネード「……確かに」

 自分を殺そうとしている相手にも、つい敬語を使ってしまう、雷の性格の良さが滲み出ているシーンである。

 
 結局、へ硫酸ガスのせいでトルネードは息苦しくなって手を放し、そのまま床に倒れて動かなくなる。

 続いて雷も、机にもたれるような格好のまま息絶えてしまう。

 結局、登場人物が全員死亡という物凄い結末になってしまう。

 誰も「自家発電装置」を漕いでないのに電気が消えないという点については多めに見てやって欲しい。

 だが……、

 ……その時、不思議なことが起こった。(by政宗一成)

 最初にウラリを飲んで死んだはずのオゾンが、パッと目を開け、何事もなかったように立ち上がったのである!

 ま、この手のミステリーやサスペンスでは割とありがちだが、最初に死んだと思われていた人間が実は生きていて、それが事件の黒幕だったと言うオチなのである。

 物置部屋からテニスボールをつきながら出て来たオゾン、岡野たちが「へ硫酸ガス」が漏れていると騒いでいた管に鼻を近付けて嗅いで見るが、何の臭いもしない。

 
 オゾン「ガスなんて出てないじゃないか……」

 そうつぶやいて振り向いたオゾン、目の前に、これも死んだ筈の雷がにこにこして立っているのを見て、ギョッとする。

 
 雷「謎は解けたよ、ワトソン君」
 オゾン「?」
 岡野「あれ、今日はちょっと早いんじゃないの?」
 雷「もう、途中で止めないで下さいよー」
 岡野「ああ、ごめんごめん、そいじゃ、仕切りなおしでもう一度、ヨーイ、ハイ」

 さらに岡野までビンビンした姿で現われ、雷と楽屋落ち的なコントを演じる。

 改めて、いつもの「お仕置き」が下されたあと、雷の謎解きとなる。

 
 雷「地震も水漏れも全部あなたが機械仕掛けで仕組んだ罠だったんですよね」
 オゾン「何を証拠に?」
 雷「どこかにスイッチがある筈です」
 岡野「これだな」

 岡野が電卓のボタンを押すと、最初の時のように地面がグラグラと揺れ動く。

 まず、これについて突っ込みを入れておく。

 雷は、その電卓で地震や様々な現象を起こしたと言うのだが、地震が起きた時に、オゾンの手には電卓などなかった。それに、終盤になって気温が下がったのもその装置による仕掛けだったのだろうが、物置部屋に寝ていたオゾンが、どうやってそのリモコンを操作できたと言うのだろう?

 そもそも、手のひらに隠れるような小さなリモコンならともかく、こんな馬鹿でかいリモコンで操作していたら、一発でバレるっちゅうの。

 雷「あなたは気象学の四天王を一堂に集め、極限状態に追い詰めることを考えた。そうすればいずれ、生き残るための殺し合いが始まる……」

 
 雷「あなたの目的はそこにあったんじゃありませんか。でも、殺し合いに巻き込まれたら元も子もありません。だからあなたは一番初めに死んだふりをする必要があった。あの時あなたは、ボールか何かを腋の下に挟んでおいたんです。そうすれば一時的に脈が止まり、死んだように見える」

 と、雷は推理するのだが、ボールを腋の下に挟んで死んだふりなんて、ほとんど縄文時代の奇術のトリックである。それに、確かに脈は止まるかも知れないが、心臓の鼓動や呼吸はどうやって止めるのだろう?

 一般人ならともかく、現役の刑事たちを誤魔化すのは実際にはほとんど不可能だったと思う。

 雷の職業など、同じ四天王のオゾンなら事前に知っていた筈だろうし。

 それと、今回はあっという間に殺し合いが始まったからいいものを、これが何日か後に始まっていたら、とてもじゃないがそれまで死んだふりを続けることは出来なかっただろう。

 雷「後は私たちが殺し合いをするのを黙って見ていればいい」
 オゾン「ガスっていうのは嘘だったんですか?」

 
 雷「ええ、みなさんお疲れ様でした」

 雷が呼びかけると、これまた死んだ筈のトルネードたちも暢気に起き上がって、雷の横に勢揃いする。

 トルネード「すべてあなたを騙す為の芝居だったんですよ」
 エルニーニョ「負けず劣らずの名演技だったべ」

 ここでも突っ込みを入れておく。

 まず、オゾンが死んだふりを続けていて、「ヘ硫酸ガス」のことを耳にしたら、とてもじゃないが落ち着いて死んだふりをしていられなかっただろう。また、死んだふりをやめた後のその態度は、部屋に致死性のガスが充満しているとは思えないほど落ち着き払っていた。

 オゾンは、雷たちがガスによって死んだと思い込んで死んだふりをやめたのだから、当然、慌てて換気するなり、ガスを止めようとするのが普通だろう。逆に、ガスがなかったのなら、雷たちがガスで死んだことを不審に思った筈である。

 つーか、シェルターとつながっている物置部屋に寝転がっていた自分が死ななかったと言う時点で、オゾンは、ガスの話が嘘だと言うことに気付くべきだった。

 そしてトルネードたちの殺し合いが、すべて雷の書いた筋書きだったと言うのだが、一体、いつ、そんな話し合いをしたのか、その説明が一切ない。オゾンの転がっている物置部屋のドアは開きっぱなしになっていたのだから、あの狭いシェルターで、オゾンに気付かれずに打ち合わせをするのはほとんど不可能だったろう。

 一旦、ストーリーに話を戻す。

 雷は、オゾンにどうやって見破れたかと聞かれると、ペットボトルのラベルを見たからだと答える。

 雷「あのペットボトル、製造されたのは三日前でした。おかしいですよね、あなたはこう言った筈なのに……」

 雷は、序盤で、オゾンが水や食糧について、「しばらく使っていないので……」と何気なく言っていたことを覚えていたのだ。

 ……じゃあ、その時点でさっさとオゾンを叩き起こしてドアを開けさせれば良かったのでは?

 無理にオゾンの計画に乗って殺し合いの芝居などする必要はなかっただろう。

 エルニーニョ「何でよー、俺たちに殺し合いをさせようと思ったんだよ」
 オゾン「君たちといつもいつも十把一絡げで四天王って呼ばれるのがうざったかったんだよぉ!」
 雷「……」

 肝心の動機だが、気象王の称号を独り占めしたかったからという、雷たちも呆れて絶句してしまったほど馬鹿馬鹿しい動機だった。

 なお、あの緊急事態を告げるラジオが、あらかじめオゾンが用意していた偽ニュースだったことは言うまでもない。

 で、最後に今回一番の突っ込みどころに入りたいが、それは、どうしてオゾンに、トルネードが自分のコップに毒を盛ったことが分かったか?と言うことである。

 ウラリ……もっとも実際はただの水だったと思う(註・自分も殺されるかも知れないのに、本物の毒薬をトルネードに渡す訳がない……そもそも、それを入れた水を飲んだオゾンが生きているのだから無害なのははっきりしている)が、それをトルネードに渡したからって、トルネードが最初の機会にすぐコップに混ぜるとは限らないし、トルネードがどのコップに毒を盛るか、予知能力者でもない限り、オゾンに分かる筈がない。

 それでも、オゾンが死んだふりをして見せたとき、トルネードは別に意外そうな顔をしなかった。つまり、実際にトルネードは、最初にオゾンだけを殺そうとしていたことになる。

 しかし、想定されるあらゆるパターンの中で、オゾンの芝居がトルネードの不審を招かないケースはたったひとつだけ、トルネードが他のもののコップには毒を入れず、オゾンのコップにだけ毒を入れたと言うケースである。

 では、トルネードがどのコップに毒を入れたかを知らず、また予想も出来ないオゾンが、一か八かで死んだふりをして見せたことが、偶然にも事実に符合していたと言うのだろうか。それは、いくらなんでも出来過ぎと言うものだろう。

 もし、トルネードがオゾン以外のコップにもウラリを入れていたら、当然それを飲んでも何も起きないのだから、オゾンの詐術は一発でトルネードにばれてしまっていた筈だ。

 それと、細かいことだが、オゾンは岡野が水を飲んで咳き込み始めたのを確認してから、ニヤリと笑って初めて水を飲んでいる。

 しかし、オゾンが渡したウラリは無害だったのだから、それを見たら笑うよりむしろ不思議に思うのが普通ではないか。

 そして、オゾンの狙い通り、その後にトルネードたちの殺し合いが始まるのだが、仮に、それが雷たちの芝居でなかったとしても、そんな上手い具合に全員死んでくれたとは到底思えない。

 普通に考えて、一番体力のありそうなトルネードが生き残る、あるいは、二人ならば一週間は食いつなぐことが出来るのだから、トルネードとエルニーニョが組んで、雷たちを殺していたかも知れない。その場合、オゾンは一体どうするつもりだったのだろう?

 
 岡野「オゾン・デホール、殺人未遂現行犯で逮捕する」

 最後に、びびりまくっていただけの岡野がそう言ってカッコよくオゾンに手錠を掛けるのだが、果たして、今回の件で殺人罪が適用できるだろうか?

 ウラリが本物だったらともかく、前述したように論理的に考えてそれが本物である筈がない。だとすれば、自分が死んだふりをして仲間に相互不信を起こさせたと言う程度で、殺人教唆も成立しないだろう。

 元々、トルネードたちの殺し合いだってそのたくらみを見抜いた雷の仕組んだお芝居だった訳だし。

 罪があるとすれば、雷たちを偽ってシェルターに閉じ込めた監禁罪くらいではないだろうか。

 とにかく、今回のシナリオはミステリーとしては林誠人とは思えぬほど杜撰だったが、最初に書いたように、面白いことは面白いのだった。

 やっぱり、主人公たちと一緒に、視聴者もこういう現実にはまずありえない極限状況に追い込まれる仮想体験が味わえる……と言うのは、フィクションの最大の楽しみの一つであるということなのだろう。

 
 開かない筈のドアも、リモコンを押すと簡単に開き、雷たちは地下の息苦しいシェルターからやっと解放され、天変地異とは無縁の爽やかな春の日差しを浴びて、生きている喜びを改めて実感するのだった。

 雷「これにて、一件落着」

 ラスト、いつものように仲良く二人で帰っている雷と岡野。

 道々、岡野はオゾンの作り出した偽ニュースの災害を笑い飛ばすが、雷は真剣な顔で「わかりませんよ、このまま環境汚染が進めば近い将来、地球には必ず異常気象が起こります。私たち一人一人が地球を守るんだと言う意識を持たないと」と、岡野に説く。

 ま、既に毎年、異常気象になってると思いますが……。

 
 雷「テレビの前のみんなもエコしようね!」

 教育番組のお姉さんのような口調で、カメラの向こうの視聴者に語りかける雷のアップで幕。

 そう雷に言われたら、我々も思わず「はい、喜んで!」と居酒屋の店員のように快活に答えるしかないではないか。

 と言う訳で、久しぶりに突っ込み甲斐のある「ケータイ刑事」であった。

 あー、疲れた。
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70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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