第27話「人間ジャングル!」(1982年8月14日)
冒頭、あちこちに様々な動物の彫像が置かれ、実際に羊や馬なども飼育されている公園で、小学校のクラスが写生をしている。

何故か知らぬが、そこは、近郷近在のロリコン覗 き魔がこぞって集まるパワースポットと化していた。

ひろ子「なかなか上手いわね」
引率しているのは、担任のひろ子先生。
ふくよかで優しそうなひろ子先生、教師と言うより慈母と言うようなイメージで、教室で、男の子が間違って「お母さん」と呼んでしまう恥ずかしい事象を誘発する罪作りな先生であった。

ひろ子「達也君、もう少し上手くならないと駄目ね」
達也「えへへ」
そしてそのクラスには、コンボイのリーダー・達也少年の姿もあった。
最近「バイオマン」のレビューで、すらっとしたプリンス役の達也君の画像を目にする機会が多いせいか、その、まるまる太った顔がますます可愛らしく見える。
と、その横にいたズッコケ三人組が、崖の下で写生したいと言うが、ひろ子先生はきっぱりと却下する。

だが、先生に言われたくらいでやめてはズッコケ三人組の名が廃ると言うことで、三人はみんなと離れてこっそり崖下の森の中へ入り込んでしまう。
「夏休みなのに、写生なんてやめて遊ぼうぜ!」
そう言えば、なんで夏休みなのにこんなことをしているのだろう?

だが、そこに落ちていたスイカがスイカモズーと言う怪人になり、特殊な種を飛ばして三人の体に張り付けると、三人の体はあっという間にヤシ科の植物に変わってしまう。

三人の悲鳴をかすかに聞きつけたひろ子先生と達也、三人を探しにその場所までやってくる。
スケッチブックが落ちていたあたりで大声で三人の名前を呼ぶが、まさか植物に変わっているとは夢にも思わない。

デストピアでは、三人の少年を使った実験の様子がモニターに映し出されていた。
マズルカ「いかかでございます、スイカモズーの威力は?」
デスギラー「スイカモズーはどんな種類の植物にでもなる種を体内に持っているのです」
デスマルク「なぁるほどのー、この調子で世界の人間どもを植物にしてしまえばそっくりそのまま世界を支配できるという訳か」
こうして直ちに人間ジャングル作戦が開始される。
個人的には、環境破壊の元凶である人間を植物に変えてしまうと言うのは、なかなか良いアイディアではないかと思うのだが……。

達也が、赤間たちを引き連れてあの現場にやってくると、ちょうどひろ子先生が上司や保護者たちかに取り囲まれて非難の集中砲火を浴びせられているところだった。
父親「うちの子をどうしてくれるんですか、先生」
母親「先生の責任ですよ!」
教頭「これは大問題ですぞ、ひろ子先生、子供たちが行方不明になったでは済みませんぞ。学校の名誉に関わる」
ひろ子「教頭先生、申し訳ありませんでした。でも、確かにスイカのお化けを見たんです」
ひろ子先生は現場に駆けつけたとき、チラッと立ち去るスイカモズーの姿を見掛けていたのだが、あいにく達也は見ていなかったので、ゴーグルファイブの初動も立ち遅れてしまったらしい。
無論、保護者たちはスイカのお化けの仕業だと言うひろ子先生の言葉を、責任逃れの与太だと決め付け、ますます厳しく糾弾する。

見ていられなくなった達也が割って入り、精一杯ひろ子先生を庇う。
達也「やめてよ、ひろ子先生をいじめないで!」
ひろ子「達也君……」

黒田「何の手掛かりもないな」
ミキ「ひろ子先生が嘘をついてるとも思えないわ」
赤間「スイカのお化けか……まさかデスダークの仕業?」
ざっとその辺を調べた後、額を寄せて話し合う、絵になる一軍の三人。
絵にならない二軍の青山と黄島は、台詞がないどころか、ろくに写して貰えないのだった。チーン。
その後、スイカモズーは本格的な攻撃を開始、手始めに商店街を襲って逃げ惑う客たちに種を飛ばし、様々な植物に変えてしまう。
しかし、スイカの怪人がスイカの種を飛ばすというのもナンだな……。
ゴーグルファイブもすぐ駆けつけ、ひとしきりバトルとなるが、スイカモズーには逃げられてしまう。

スイカモズー、スイカに化けると、ちょうど団地の前にあった八百屋の移動販売車のスイカの中に紛れ込む。
そして、ちょうど客にスイカを注文された八百屋の兄ちゃんが、スイカモズーの化けたスイカを知らずに抱えて、その部屋まで運んでしまう。

スイカモズーを探してレッドがやってきたのは、その直後だった。
レッド「何処行った? ……まさか? ゴーグルアイ!」
レッド、もしやと思ってゴーグルアイでその野菜や果物を調べてみるが、何の異常も見られない。
スイカの中身を、叩かなくても調べることが出来て便利である。
スクラッチを……いえ、なんでもありません。
5人はあの子供たちも同じように植物にされてしまったのではないかと再びあの場所へ。

赤間「多分、達也君のクラスメイトの変わり果てた姿に違いない」
ミキ「どうすればこの子たちを元の姿に戻すことが出来るの?」
赤間「わからん」
スイカモズーは、買われた家で包丁を入れられそうになるが、元の姿に戻って逆にその家族を全員スイカにしてしまう。
それで、そのスイカをスイカモズーがバクバク食べてしまったら、なかなかホラーな結果になったと思うのだが、さすがにそう言う展開にはならない。共食いになるしね。

スイスモズーはますます調子に乗り、今度は、車や人でごったがえす大通りを、一気に密林に変えてしまう。

一方、ひろ子先生は校長に辞表を提出する。
ひろ子「長い間、お世話になりました」
校長「生徒が行方不明となったのはデスダークの仕業とわかったんです、何も辞めなくても」
校長はそう言って慰留するが、

教頭「校長、ひろ子先生は我が校の名誉に傷をつけたんですぞ!」
校長「しかし……」
ひろ子先生を日頃から目の仇にでもしていたのか、教頭は鼻息荒く、辞任は当然だと喚く。
ひろ子「教頭先生の仰るとおりですわ、私がついていながら……あの時、ちゃんと注意するべきでした」
責任感の強いひろ子先生は、あくまで引率者としての自分が悪いのだと、一礼して部屋を出て行く。
達也「先生……」
ひろ子「……」
校長室の外の廊下には、達也以下、クラスの全員が心配そうに集まっていた。ひろ子先生は寂しそうな笑みを浮かべると、無言で教室へ向かう。

ひろ子「皆さん、今日でお別れです。楽しかった、遠足、運動会、仲良く食べた給食の味、先生、決して忘れません……うっ、思い出しただけで吐き気がしてきたわ、うげーっ! げーっ!」
達也「……」
じゃなくて、
ひろ子「皆さん、今日でお別れです。楽しかった、遠足、運動会、仲良く食べた給食の味、先生、決して忘れません……」
達也「先生、辞めないで!」
教室に戻り、改めて別れの挨拶をするひろ子先生。
達也を皮切りに生徒たちが次々と立ち上がり、辞めないで欲しいと声を上げる。

赤間「先生が責任を取って辞める?」
ミキ「ひろ子先生ってとっても優しい先生なんでしょう?」
達也「そうだよ。あの先生を嫌いな奴なんているもんか、ひろ子先生はお母さんみたいに優しくて勉強だってなんだって一生懸命教えてくれたんだ!」
未来科学研究所で、そのことを仲間に話し、ひろ子先生の素晴らしさを照れもせずに全力で力説している達也。
達也「だからお願いだよ、先生を助けてあげてよ、そうすれば先生だって……」 黒田「助けてやりたいさ」
青山「俺たちだって必死に探してるんだよ」
黄島「だけど、敵は何処にいるか分からないんだ」
涙ながらに訴える達也であったが、「先生を助けて……」と言う台詞はちょっとおかしくないか? ここは「クラスメイトや植物にされた人たちを元に戻してあげてよ、そうすれば……」の方が、より適切だったろう。
手の打ちようがないと嘆く黒田たちだったが、ここで赤間がスイカモズーをおびき出す妙案を思いつく。

赤間「頼むぞ」
さゆり「はい」
場面は、東都中央病院前で、ナースコスプレをしたさゆりに赤間が声を掛けているシーンに飛ぶ。
職員や黒田たちの手で、どしどしと植物にされた人間が病院に担ぎ込まれているのだ。
いいですねえ、さゆりさんのまっ平らな胸!
どうせなら、みどりさんがいる時にやって欲しかった。そうすれば、貴重な小林伊津子さんの看護婦姿が見れたものを!

街頭の巨大モニターに、その様子がテレビ中継されている。
レポーター「植物にされた人を元に戻す薬が東都大学の研究室で完成いたしました」

通行人は一様に安堵の声を上げるが、その中に、逆に険しい表情になる女性がいた。
人間の姿をして街を歩いていたマズルカであった。
マズルカ「そんな馬鹿な、人間に戻れる薬が作れるなんて……」
その情報をデストピアに持ち帰り、物陰でひそひそ相談するマズルカたち。
スイカモズーは、そんな薬が作れる筈がないと断言し、マズルカも半信半疑のようであったが、
デスギラー「このことが総統タブーに知れれば我らの信用はなくなるぞ!」 もう、とっくになくなってると思いますが……。 意外と小心者のデスギラーが、それが事実か否かより、そのことが上司の耳に入って自分の信用が失墜することを恐れて、冷静な判断力を失ってしまい、結果的に、作戦全体の瓦解につながってしまう。
別に赤間、そこまで深く考えての計略ではなかったろうが、組織における人間の微妙な心理の綾が表現された、戦隊シリーズではなかなか「大人」なやりとりで、私は好きである。
ただ、デスギラーがここで評価を気にする相手は、何を聞いても「面白い、やれーっ!」としか言わない総統タブーより、何を考えているか計り知れないデスマルクの方がよりリアルだったと思う。

こうしてマズルカはみすみす赤間の計略に引っ掛かり、再び人間の女性に扮してその病院を訪れる。
マズルカ「あの、研究室はどちらでしょう?」
こうして見ると、マズルカも背が高くてなかなかの美人だということが分かる。

さゆり「あなたは?」
マズルカ「スイカになった私の兄を元に戻したいんですの」
さゆり「まぁかわいそうに……そこを右へ曲がって地下へ降りてください」
兄を思う妹を、涙ぐんでまで熱演するマズルカに、さゆりも胸を打たれて研究室の場所を教えてやる。

マズルカ「どうも……」
足早に駆け出しながら、うまくいったと笑みを浮かべるマズルカ。
だが、無論、さゆりはちゃんとそれがマズルカだと見抜いて、赤間と打ち合わせどおりに指示したのだ。
果たして、研究室にはゴーグルファイブが待ち伏せしていた。
もっとも、策略が成功したにも拘らず、マズルカにもスイカモズー(マズルカが抱いていたスイカに化けていた)にもあっさり逃げられたのでは、画竜点睛を欠くと言うものであった。
未来科学研究所で、コンボイの一員として敵の行方を追っていた達也だったが、涙ながらに別れを告げたひろ子先生の面影が脳裏を離れず、遂に任務を放棄して、自ら現場に赴き、なんとかしてスイカモズーたちを見つけ出そうとする。

達也(先生、待ってるんだよ、僕がきっと奴らのアジトを探し出して見せる)
ひろ子先生があの植物にされた三人の前で佇んでいると、スイカモズー捜索中の赤間がやってくる。
赤間「あなたは達也君の担任の……」
と、赤間の通信機に、達也がいなくなったとコンボイたちから連絡が入る。

赤間「なんだって、まさか森へ……」
走り出そうとする赤間を、ひろ子先生が鋭く呼びとめる。
ひろ子「待ってください、達也君に何かあったんなら私も行きます」
赤間「いや、しかし」
ひろ子「達也君は私の生徒だったんです!」
赤間もひろ子先生の熱意に負け、バイクの尻に彼女の尻を乗せて達也を探しに向かう。
後は特に書くこともない。
達也は見事に移動中のデスギラーたちを発見するが、自分も見付かって植物にされかかるが、そこへ赤間とひろ子先生が駆けつける。達也を助けたあと、ゴーグルファイブがスイカモズーを撃破して、事件解決となる。
スイスモズーの死と共に、植物にされた人間たちは全員元の姿に戻る。

ラスト、晴れて学校に帰ってきたひろ子先生を、達也たちが総出で迎える。
他の子供たちと並ぶと、達也君の足の長さがひときわ目立つ。
優しいひろ子先生だが、あの問題児三人には、きっちり頭にゲンコツを落としていくのだった。
まぁ、当時は、女の先生でも結構本気で殴る人いたからねえ……。
男の先生なんか、トゲの付いた金属バットで生徒をボコボコにしてたもんねえ(註・嘘です)。

それを楽しそうに見ている赤間たち。
今回は、ミキの見せ場がろくになく、せいぜいこんな画像を貼るくらいしか楽しみがない。
さゆりと一緒にナースコスプレを披露してくれていたら……。

赤間「良かったですね、校長先生」
校長「うん、ひろ子先生が戻ってくれてよかった。なぁ、教頭先生?」
教頭「はっ、あっはは……」
校長に話を振られて、決まり悪そうに愛想笑いを浮かべる教頭であった。
この教頭の卑屈な顔に、デスギラーの姿が重なって見えてしまうのは、管理人だけだろうか?
以上、なかなかハートウォーミングな佳作であった。
ひろ子先生が、もっと若くて自分好みの顔だったら、最初からレビューしていただろう。
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