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「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第36話「伊豆の秘湯に隠された秘密」 

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 第36話「伊豆の秘湯に隠された秘密」(1987年9月10日)

 様々な謎を引っ張って引っ張って引っ張って、「ゆーとぴあ」のゴムパッチンのように引っ張りまくってきたこの番組も、そろそろ年貢の納め時(?)と言うことで、今回、漸く唯(と翔)の出生にまつわる謎がつまびらかになる。

 冒頭、風の強い、霧雨けぶる高原を、何人もの忍びが走り抜け、

 
 要所要所で、打ち上げ花火のような筒に松明で点火しては、狼煙を上げていた。

 目立つなぁ……。

 忍者の基本は人目につかないことだと思うのだが、近頃の忍びはその辺、おもいっきり勘違いしているようぢゃと、忍者歴60年の帯庵さんは常々嘆いておられます。

 
 続いて、伊豆の海岸の洞穴の奥に作られた祠の前に座る帯庵の前に、4人の忍びが駆けつける。

 小次郎「小次郎にございま……」
 小三郎「小三郎でござい……」
 小助「小助にござ……」
 小勇太「小勇太にご……」
 小次郎「お呼びにより、我ら一同、参上仕りました」

 リーダーらしい年かさの忍びと、三人の若い忍びが食い気味に名乗りを上げる。

 帯庵「おお、いつもながら見事な食い込みぢゃのう。今度からハイレグ4人衆って呼んでいい?」
 小次郎「駄目です」

 ……嘘である。

 なお、実際は、彼らを呼び出したのが帯庵であることは視聴者には明示されない。

 
 タイトル表示後、相も変わらず自分の出生の秘密についてくよくよと思い煩っている唯。

 唯「わちと翔が双子の姉妹じゃなんて、般若、なんかしっちょるんじゃろう? しっちょるんじゃろう? しっちょるんじゃろう!」
 依田(なんで三回も言うの?) 

 近頃の唯の延々と懊悩の袋小路にぶちあたっているような辛気臭い顔を見ていると、管理人もいい加減ウンザリである。

 時々、ヒデキの「ヤングマン」でも聴いてユーツなど吹き飛ばせよと言いたくなる。

 追記・このくだりを書いた少し後、ポータルサイトを見たら西城秀樹氏死去のニュースが出ていて、その暗合にドキッとした管理人であった(註・この記事の下書きを書いたのは5月17日である)

 
 依田は依田で、特に必要性も感じられないのに、とにかく物事を隠したがる態度を改めようとしない。

 だが、そろそろゴールが見えてきたので、いつまでも出し渋っている訳にも行かず、机の中から一枚の短冊を取り出す。それには謎めいた短歌のようなものが書き付けられていた。

 唯「なんじゃそれ?」
 依田「この歌を持って修善寺に行け。行けばすべてが分かる。お前と翔が巻き込まれた運命の謎、そのすべてが分かる筈だ」

 口頭で言えば簡単なのに、依田はあくまで現地集合現地解散主義を貫き、唯たちに修善寺へ行けと面倒くさいことを命じる。

 やらされていることは、RPGのお使いクエストと同じだ。

 
 唯「……」

 無言であったが、唯の険しい表情からは、「今ここでお前が話せば済むことちゃうんか? あーん?」と言う熱い思いがありありと伝わってくるのだった。

 
 とにかく、言われたことに従うしかない三人は、伊豆北部の修善寺温泉にやってくる。

 唯と結花はむっつりと押し黙っていたが、由真は表面上はまるっきり観光気分で、

 由真「姉貴、ホテルに着いたら露天風呂に入ろうよ」
 結花「そんな暇ないんじゃない?」
 由真「どっほぉしてだよ? せっかく温泉に来たのに風呂にも入んないのかよー?

 全男性視聴者の渇望を代弁してくれる由真。

 
 三人が赤い欄干の橋を渡っていくのを、下の川に釣り糸を垂らしていたタンクトップ姿の三人の若者が、じろりと見上げる。

 それは、冒頭の食い気味忍者たちであった。

 ……

 だから、忍びの基本は隠密だと言っただろうが!

 タンクトップ着て釣りやってたら、思いっきり目立つっちゅうの!

 さて、ひとまずホテルに落ち着いた三人。由真の口から、男性視聴者の燃えるような願いを乗せた「露天風呂に入りませう」と言う台詞が飛び出すが、唯は勿論、結花も乗り気ではない様子。

 唯、短冊を手に、歌のことを調べてくるとひとりでホテルを出て行き、

 
 ついで、結花と由真も同じく歌のことを調べに出掛けることになる。

 由真「なんだよぉ、ひと風呂浴びてからだっていいでしょうー?」

 再び、男性視聴者が全力で頷きたくなる台詞を口にする由真だったが、結花はニコリともせず、

 結花「あんた、ちょっとはしゃぎ過ぎじゃない? 何のためにここに来たのか分かってるの?」

 と、由真の浮かれっぷりをたしなめる。

 なお、本編にはないが、予告編には、

 
 昔、観光地によくあった顔出し看板(?)に顔を突っ込んでいる由真、と言うカットがあって、それを踏まえて見ると、結花の叱声ももっともだと頷きたくなる。

 
 由真「私だってつらいよ、あんなに落ち込んだ唯を見るのは……」
 結花「それじゃあ、あんたわざと?」
 由真「唯と翔が双子かも知れないからって……そんなことで三人一緒に落ち込んでたら運命の謎なんて絶対解けやしないもん」
 結花「……」

 もっとも、その後、やや真面目な顔で語る由真の言葉で、由真が、本気で観光気分に浸っていた訳ではないことが分かる。

 
 由真「せめて、あたしひとりでも元気にして唯を励ましてやろうかなって思ってさ」
 結花「由真……」
 由真「なぁーんてね、カッコつけてみただけ!」

 いつわりのない真情を吐露したあとで、いかにも由真らしく照れ隠しに冗談めかしてみせるのだった。

 三人は手分けをして修善寺のあちこちを回って手掛かりを探していたが、その途中、結花も由真も、さっきのタンクトップ軍団に不意打ちを仕掛けられ、あえなく彼らの手に落ちてしまう。

 
 そうとも知らず、四方八方に大蛇のように太い枝を伸ばした松の巨本の上にお股を開いて座り、考え込んでいる唯。

 管理人、この時代のスカートの長さがえげつない長さだったことを大変遺憾に思う。

 これがミニ スカブームの頃だったらな……。

 
 老人「美しい眺めでしょう? 私の兄もここからの眺めが好きでねえ。よくふたりで来たものです。お嬢さんは兄弟いますかー?」
 唯「うん、姉ちゃんたちが二人……いや、もしかしたら三……二人じゃ」
 老人「そぉほですか」

 と、唯の足元に立った老人が、親しげに唯に話し掛けてくる。

 

 
 唯、いきなり木の上から老人のすぐそばに飛び降りる。

 無論、これは男性スタントである。

 
 老人「88箇所めぐりをするのが楽しみでね、毎日歩き回っています」
 唯「じゃあ、この歌のことなんか知らん?」

 老人が宗匠っぽい服装をしていたこともあってか、唯は短冊に書かれた歌を見せて聞いてみる。

 老人「ほぉ、どこかで聞いた……いや、見た歌だが」
 唯「どこじゃ、どこで見たんじゃ?」
 老人「確か、88箇所の何番目かに」

 老人の言葉を聞くや否や、唯はその歌を探しに走り出し、同時に大西結花の挿入歌「哀しみのシャングリラ」が流れ出す。

 88箇所めぐりというのは、四国の巡礼と同様、修善寺にも昭和初期から桂谷88箇所めぐりと言うイベントが行われており、お遍路さんや観光客がスタンプラリーを楽しんでいるのである。

 もっとも、ドラマに幾つか出てくる番所と、現実の番所とが同じかどうかは定かではない。

 
 で、割とあっさり唯は、同じ歌が書かれた立て札が立っている番所に辿り着く。

 しかも、そこにある石碑には梵字が刻まれていた。
 
 唯「じゃけん、ここに何が?」

 同じ歌を発見したものの、だからと言って謎が解けるわけでもなく、唯が途方に暮れて周囲を見回すと、すぐ目に付くところに、結花の折り鶴が、由真のリリアンの糸によってぶら提げられているではないか。

 男の声で、二人を助けたかったら○○と言う神社へ来いと言われ、唯は迷うことなくその場所へ。

 
 そこで待ち受けていたのが、さっきの老人であったが、変装をかなぐり捨てると、忍び本来の姿を現わす。そう、老人は小次郎と言う、忍びたちのリーダー格であったのだ。

 演じるのは三重街恒二さん。「スカイライダー」38話で、若者たちにえげつない脳手術を施していたドクター・メテオである。

 
 ヨーヨーを握り締めて身構える唯であったが、すぐに人質にされた姉たちも連れて来られ、迂闊に手が出せなくなる。

 
 小次郎「おぬしは先ほど姉は二人と言ったが、翔のことを忘れたのか? おぬしと翔は血を分けた姉妹、しかも双子の姉妹」
 唯「お前ら、なにもんじゃ?」
 小次郎「おぬしを迎えに来たのじゃ。さ、そのヨーヨーを捨てて翔の元へ来い。翔が首をなごうして待っておるぞ。妹に会いたい、妹に会いたいと泣いておるぞ……」

 小次郎が繰り返し誘いかける声を聞いているうちに、唯は催眠術でも掛けられたような虚ろな表情に変わっていく。

 
 唯「翔が、わちを……わちも翔に、あいたか……」

 つぶやきながら、戦意をなくしたように、ヨーヨーを構えた右手を下ろしてしまう。

 
 結花「傀儡の術!」
 由真「しっかりしろ、唯!」
 唯「……」

 あっさり敵に捕まっちゃった人に言われてもねえ……。

 もっとも、唯はその声でハッと我に返る。

 唯「傀儡の術など、わしには通じんわい!」
 小次郎「……」

 今の今まで完全に術にかかっていた人に言われてもねえ……。

 小次郎「今のは傀儡の術ではない。心眼の術でお前の心の中に隠された本心を引き出したまでのことだ!」

 
 唯「ちがう、わちは、わちは……」

 ヨーヨーを握り締めて必死に反論の言葉を探していた唯だったが、

 
 唯「しゃからしかーっ!」

 見付からなかったようです。チーン。

 唯、勢い良くヨーヨーを投げるものの、ヨーヨーは小次郎の顔の横を素通りしてしまう。

 小次郎「何故外す?」
 唯「なんでかわからんけど、お前にヨーヨーが投げられんのじゃ」
 小次郎「はぁーっはっはっはっはっ」

 小次郎、それを聞くと哄笑し、ついで、何を思ったか結花たちを解放してしまう。二人はすぐに唯の後ろにまわり、それぞれの武器を構える。

 
 小次郎「どうだ、人質は返したぞ。戦う気になったか?」
 由真「舐めた真似しやがって!」
 唯「いかん、戦ったらいかん」
 由真「何言ってんだよ、翔のこと知りたくないのかよ」
 結花「どうしたって言うの?」

 結花たちも、唯の不可解な行動に不満を漏らす。

 
 唯「わからん、じゃけん、姉ちゃんたちは手を出したらいかん!」

 理屈ではなく、ただ心が命じるままに鋭く姉たちを制し、小次郎の面を改めて凝視する唯。

 
 黒目がちのどんぐりまなこから、射るような眼差しを放つうち、さっきの宗匠風の扮装をしていた時の小次郎の温顔と、今の忍びとしての厳しい顔とが二重写しになる。

 それだけで小次郎の本質を見抜いたのか、

 唯「わちはやめた!」

 あろうことか、ヨーヨーを小次郎の足元に投げ捨て、戦いを放棄してしまう。

 
 小次郎「どうした?」
 唯「お前らを倒さんと翔とわちの話が聞けんのなら、わちは聞かんでも良い。わかったんじゃ、こいつらと戦いたくない訳が……こんひとは、風魔の人間じゃ。もしかしたら影に飲まれた奴らかも知れん。じゃけん、風魔は風魔じゃ」
 小次郎「……」
 唯「翔とわちの運命に何があったかは死ぬほど知りたい。じゃけん、その為に風魔とたたかわにゃならんのなら、わちは知らんでもいい!」

 唯、途中から小次郎たちの表情が深い感動に塗り替えられていくのに気付かず、言いたいことだけ言って、その場から走り去ろうとするが、

 依田「良くぞ言った! 唯!」

 聞き覚えのある声が、その足を踏みとどまらせる。

 そう、依田ちゃんである。

 
 依田「この者たちはお前のその言葉を待っていた。この者たちはお前の父・小太郎の配下のものだ」
 小次郎「よくぞここまで、立派な忍びに成長されました……我ら一同、うれしゅうございます!」

 感極まったように面を伏せてから、

 小次郎「帯庵どのもお喜びでございましょう」
 唯「じいちゃんが? じいちゃんがおると?」

 まるっきりRPGだが、そこのイベントをクリアした三人に、依田は、山を下った海岸で帯庵が待っているから行って話を聞いてこいと指示する。

 
 で、その海岸の洞窟と言うのが、冒頭に出て来たあの場所であり、小次郎たちが会っていたのが他ならぬ帯庵であったことが、視聴者に初めて明かされる。

 例によって祠にこもって非現実的な暮らしを送っている帯庵、外から「じいちゃーん!」と言う唯の声を聞いて、外へ出る。

 
 唯、走ってくると、そのまま帯庵の厚く、温かい胸に飛び込む。

 何気に、二人がじかに会うのは1話以来になるんだっけ?

 
 唯「じいちゃん!」
 帯庵「唯、ひさしぶりじゃの……よくここまで成長してくれた」

 唯は号泣し、帯庵も泣きこそしなかったが、懐かしそうに目を細めて唯の肩を抱いてやるのだった。

 少し離れたところから、帯庵とは初対面の結花たちがその様子を眩しそうに見詰めている。

 なお、その場所には海風が強く吹き付けてきて、もし70年代だったら確実にスカートがめくれてチラが発生していたのになぁと心の底から残念に思う管理人であった。

 伊豆の海岸で、遂に帯庵と再会した唯(と結花、由真)。

 
 で、漸くここで、帯庵の口から、待ちに待った「謎解き」じゃないが、「ネタばらし」が行われる。

 帯庵「これからお前たちに話すことはお前たちにとってはとてもつらいことだ。覚悟は出来ているな? 17年前、わしの娘・奈津と風魔鬼組の頭・小太郎とが結ばれた。そして奈津は双子を生んだのじゃが、小太郎には5人の部下がおっての、さっきの小次郎たちの他に、もうひとり、小源太という男がおった」

 つまり、帯庵は、唯と翔の母方の祖父に当たる訳だ。

 悲劇は、その小源太が、奈津のところに祝いの品を届けに来た日に起きたという。

 ここから、実際にその時の模様が回想シーンで描かれる。

 
 奈津「ほんとにいいんですか、小源太さん、この人形はあなたの家に伝わる家宝でしょう?」
 小源太「家宝だからこそ、このお二人に差し上げたいのです」

 古い木箱の中から何かを取り出そうとしている小源太に、気兼ねするように奈津が問い掛けている。

 小源太のほうは、はっきり顔は見えないように撮られているが、声が堀田真三さんなので、一発で小源太こそが、魔破羅だと言うことがわかってしまう。

 奈津「でも、あなたには女の子が二人もいるのに」
 小源太「あの子たちには新しいのを買ってやりますから」

 
 そして、小源太が持ってきた人形と言うのが、他ならぬ、唯と翔がひとつずつ持っていた、あの男雛と女雛だったのだ。

 だが、小源太が箱から出して並べた途端、

 
 女雛の手から扇が飛んで落ち、

 
 男雛の持っていた刀が抜けて、同じくひとりでに落ちるという怪奇現象が起こる。

 同時に、そばで寝ていた双子の赤ん坊が火のついたように泣き始める。

 それを目の当たりにした奈津は、当然、

 

 

 
 驚きに目を見張り、ついで、

 奈津「……あんた、まさか何か変なものが取り憑いてるみたいだからって、うちに押し付けに来たんじゃないでしょうねっ?」

 などと、じっとりとした疑惑の目を小源太に向けても良いと思うのだが、向けません!

 それはさておき同じような画像を三枚も貼ってしまったのは、この若き日の奈津を演じている藤井佳代子さんが、めっちゃ綺麗だからです!

 個人的には「3」のキャストの中で一番好きかも。

 
 それはさておき、激しく泣き叫ぶ双子の額に、それぞれ異なる梵字が浮かび上がる。

 
 結花「カーン(不動明王)とバイ(薬師如来)の梵字!」
 由真「……」
 唯「嘘じゃ、翔とわちが姉妹じゃなんて! そんげな話、しんじとうない! じいちゃん、嘘じゃろ、じいちゃん!」

 回想シーンから一旦現実に戻ると、唯は騒々しく喚き散らす。

 しかし、唯は、前回のラストで、瀕死のオトヒの口から、翔が双子の姉であり、呪いを掛けられて成長をストップさせられていることを聞かされ、翔に同情までしていたくらいなのだから、この取り乱し方はいささか解せない。

 
 帯庵「カーッ!」

 帯庵も鬱陶しくなって、右手を突き出して唯を一喝する。

 唯が上京したあと、帯庵が寺から姿を消した理由がなんとなく分かるような気がする……。

 帯庵「こげんことで動揺してどうすっとか、これから話すことはもっとおそろしかことぞ」

 再び回想シーン。

 奈津と小源太が、突然出現した梵字に驚いていると、いきなり部屋に、影の忍びが二人飛び込んでくる。

 彼らは雛人形を奪いに来たらしいが、小源太に邪魔されて、女雛だけを持って退散、小源太もそれを追って外へ。

 

 
 奈津「はっ」

 その直後、急に部屋が暗くなって雷光が走ったかと思うと、

 
 奈津のそばに、いつの間にか不気味な老人が立っていて、忍びが取り損ねた男雛を拾い上げる。

 銀河皇帝じゃなくて、「おかたさま」、すなわち果心居士である。

 と、何故か、片方の赤ん坊の額の文字が消える。

 
 果心居士「額に梵字を抱くものがいつの日かヴァジュラを手にするという……うう、ふっふっふっ」
 奈津「何するの、あ、やめてー!」
 果心居士「この子はわしが貰っていくぞ。ヴァジュラは影のもの」

 果心居士は、抵抗する奈津を突き飛ばし、梵字が浮き出ているほうの赤ん坊を抱きかかえると、現われた時と同じように忽然と消えてしまう。

 
 再び部屋が明るくなったところへ、小源太が忍びから取り戻した女雛を手に戻ってくる。

 これが、女雛が唯のもとに、男雛が影……翔のもとにと別々に存在することになった事情であった。

 唯「なんでじゃ、なんでわちだけ梵字が消えたんじゃ?」
 帯庵「男雛はお前の運命の象徴だったからじゃ、影星を操る男がお前の運命の象徴である男雛に手を出した瞬間、お前の額から梵字が消えたのじゃ」
 唯「じいちゃん、その男は誰じゃ? 翔を連れて行ったその男は?」
 帯庵「果心、居士」
 唯「果心居士?」
 帯庵「何百年も闇にひそみ生きながらえ影星を操るおそろしか男ぞ」

 その後、小太郎と小源太は翔を取り戻すべく果心居士に戦いを挑むが、あえなく敗れ、それ以来小源太は行方不明となり、奈津も影によって殺されたと言う。

 唯「母ちゃん、母ちゃん……」

 
 結花「ひとつ聞いてもいいですか?」
 帯庵「うん、恋人なら募集中じゃよ」

 じゃなくて、

 帯庵「なんじゃ」
 結花「小源太という人には娘が二人いたといいましたよね、もしかしてそれは……」

 
 帯庵「やだ、やだ、聞きたくない! やだよーっ!」
 結花(ゲッ)
 由真(ゲッ)
 唯(ゲッ)
 帯庵「……あれ、何この空気? もしかして、台詞ひとつ飛ばしちゃった?」

 じゃなくて、

 
 由真「やだ、やだ、聞きたくないよ! やだよーっ!」

 帯庵の口から、薄々そうではないかと思っていた衝撃の事実が飛び出そうになったので、由真が駄々っ子のように騒ぎ出す。

 帯庵はしばらくの沈黙の後、小太郎が、小源太の娘であった結花と由真を引き取り、自分の娘として育てたこと、そして実の娘の唯は(影から狙われるのを防ぐ為か)妻の父・帯庵に託したのだと打ち明ける。

 
 唯ではなく、自分たちこそ小太郎の実の娘ではなかったと知らされ、さすがの結花もぽろぽろと涙をこぼす。

 帯庵「いかばかり波風荒き海原も法の舟にて越ゆるうれしさ……この意味が分かるか? 唯、結花、耐えるのじゃ、忍ぶのじゃ、どのような試練が訪れようと耐えて忍んで戦うのじゃ。人と人とは血の繋がりではない、心じゃぞ

 噛んで含めるようにつらすぎる運命を背負った少女たちに説く帯庵であったが、

 
 結花「由真……」
 由真「おやじは生きてる。死んでないよ、私たちの本当のおやじは絶対生きてるー」

 由真の台詞で、そのありがたい教えが、全く理解されていないことが判明するのだった。

 いや、今の今まで小太郎のことをおやじ、おやじと慕っておきながら、生まれて初めてその存在を教えられた実の父親のことをおやじと呼ぶというのは、さすがに変じゃないか?

 これでは小太郎のことを、思い出ごとポイと海にでも放り捨ててしまったようにも聞こえるではないか。

 真面目な話、この場面では、自分たちが小太郎の実の娘ではなかったという一点に絞って、由真がひたすら衝撃を受けている……と言う程度にとどめておいて、実の父親の安否について二人が思いを馳せるのは、次回以降にするべきだったと思う。

 
 ラスト、高原の上で依田が改めて唯たちに訓示している。

 依田「お前や結花たちにはこれからもっともっと厳しい試練が訪れる筈だ。戦えるか、唯」
 唯「般若、どんげなこつがあってもわちは影と戦う。戦って戦ってきっと果心居士ちゅう男を倒して見せる」
 依田「良くぞ言ってくれた、小次郎、小太郎のあとを継いで、風魔に新しい頭目が生まれた。狼煙を上げて風魔のものに知らせよ」

 
 小次郎たちが景気良く打ち上げる狼煙を見ながら、改めて闘志を燃やす唯であったが、小太郎の実の娘と言う「地位」から一瞬で滑り落ちて、妹の筈の唯にその跡目を継がれちゃった結花と由真たちの心境はかなり複雑なものであったろう。

 こうして、唯の出生の秘密が解けたと思ったら、今度は結花たちの実の父親の秘密と言う、厄介な家庭問題が割り込んできて、ストーリーを渋滞させることになり、管理人、正直ウンザリである。

 ところで、昨日、諸星大二郎の「暗黒神話」を読んでいたら、主人公が特別な人間である証のマークのようなものを体に付けられるところや、馬頭観音の左右に日光・月光菩薩が並んでいるビジュアル(34話の三位一体像)など、このドラマと共通する部分があるのに気付いた。

 梵字とか、「3」のラスボスである転(天)輪聖王と言う名前も出てくるし。

 シナリオライターが、そこから着想を得ている可能性はあると思う。
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Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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