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「大江戸捜査網」(第3シリーズ) 第37話「切腹はご免だ!」

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 第37話「切腹はご免だ!」(1974年6月1日)

 誰も呼んでないのに、「大江戸捜査網」の時間がやって参りました。

 「大江戸~」は、「死して屍ひろうものなし」のフレーズが有名な、テレビ東京で15年(!)近くにわたって放送された傑作時代劇である。

 で、この37話と53話に菊容子さんがゲスト出演しており、特にこの37話が菊さんの魅力を存分に味わえる力作なので、いつか紹介したいと思っていたのだ。

 他にも、以前に書いたことがあるが、「魔女先生」のことを簡単に紹介した記事を書いたその日に、テレビで再放送されていたのがこのエピソードであり、なおかつ、オンエアの6月1日と言うのは、管理人が楽天ブログを開始した日でもあり、単なる偶然の一致ではあるが、なんとなく運命のようなものを感じてしまうのである。

 ……と言う訳で、あくまで菊さんの魅力を伝えることを主眼にレビューして行きたいと思う。

 まずはOP。玉木宏樹氏の軽快かつ燃えまくりのテーマ曲に乗って、レギュラーたちの紹介。

 
 第3シリーズの序盤から、5年以上にわたって主役をつとめた里見の浩ちゃん。

 つまり、彼が主役になってから、実はまだ2ヶ月ちょっとしか経っていない時期なのである。

 他に、瑳川哲朗さん、江崎英子さん、安田道代さんらがこの時期のレギュラーである。

 もっとも、毎回必ずフルメンバーで登場する訳ではなく、今回は安田道代さんはお休み。

 ナレ「その頃、江戸の人気者に、韋駄天お光と呼ばれる娘飛脚がいた」

 と言うナレーションと共に、冒頭から、江戸の町を颯爽と駆け抜ける飛脚姿の菊容子さんの姿が映し出される。

 ナレ「その正反対に、全く冴えない一人の若侍がいた……」

 その若侍、神埼新八郎(小沢直平)が、人気のない松林の中で、数人のやくざ風の男に絡まれ、おどおどしていた。二本差しの癖に、新八郎はどうしようもなくヘタレで、やくざたちに土下座して詫びろと言われると、あっさりその場に手をついて「大変申し訳なかった……これで良いのか?」などと平然と言うものだから、やくざたちは馬鹿にされたのかとますます激昂して新八郎を殴る蹴るのボコボコにする。

 ひたすら無抵抗に殴られ続ける新八郎、と、やくざのひとりを鈴のついた状箱で叩いたものがいる。

 お光であった。

 
 お光「なんだいなんだい、よってたかって腰抜け侍いたぶりやがって!」

 「魔女先生」でもたまにやっていたべらんめえ口調で気持ちのいいタンカを切る菊さん。

 オンエア時、23才である。
 
 お光「あんたたち、それでも江戸っ子かい? 豆腐の角にデベソぶつけて死んじまいなー」
 やくざ「言わせておけば、このアマ!」

 
 恐れる色もなくやくざに喧嘩を売るお光を、茫然と見上げている新八郎。

 
 お光「へっ、悔しかったらあたいのこと、捕まえてみな!」

 馬鹿にしたように右手をヒラヒラ動かして挑発するお光。

 それにしても、菊さんが自分のことを「あたい」って言うの、可愛過ぎる。惚れてまうやろ!

 

 
 コケにされたやくざたちは、新八郎をほったらかしてお光を追いかけるが、なにしろ本職の飛脚であるお光の足にかなう筈もなく、

 お光「鬼さん、こちら、手の鳴る方へー」
 やくざ「なんてアマだぁ、ひゃー」

 散々振り回された挙句、途中で息切れして全員ぶっ倒れてしまう。

 で、この菊さんの男のような飛脚姿が最高なのです!

 特にこのシーンでは、黒い腹掛けと白いサラシを巻いたスタイルが、まるで超ミニのスカートから純白のパンティーがチラチラしているように見えて、実にエロいのです!

 長い髪を束ねて後ろに垂らしているポニーテールのような髪型も、実に爽やかで可愛らしい。

 
 お光「おかんさん、お冷ご馳走してー!」

 そのお光、さすがに疲れたのか、ぜーぜー言いながら桔梗屋に飛び込んでくる。

 ちょうどご飯を食べていた音次郎(里見浩太朗)、その勢いに目を白黒させる。

 
 お光「へー、へー」
 音次郎「脅かすな、この野郎」
 お光「へっへへっ、こんなことでたまげるようじゃ、兄ぃも大した男じゃないねえ、へへっ」
 音次郎「なにおー、野郎!」

 ただ、ただ、可愛い。

 お光、音次郎とは顔見知りらしい。

 この桔梗屋と言うのは、別に隠密同心と関係がある訳ではないが、彼らの溜まり場になっている飯屋なのである。

 
 おかん「入ってくるなりへらず口、おみっちゃんらしいわね、はい、お水」
 お光「ありがとう」
 お春「ね、でも、どうしたの、おみっちゃん、いつになく息弾ませて」
 お光「なにねー、サンピンいたぶってたやくざ、ちょいとからかってやっただけさ」
 音次郎「どうしようもねえ、じゃじゃ馬だな、そんなんじゃいつまで経ったって嫁には行けねえぞ」
 お光「ふん、余計なお世話だよ」

 桔梗屋のおかみ・おかんは、白木万理さん、そこで働いているお春と言う女の子は、立花かおるさん。

 なお、サンピンと言うのは、当時の最低ランクの下級武士の年収が3両1分、つまり約31万円だったところから来ており、そう言う侍をあざける言葉として使われていたらしい。ひとつ賢くなったね!

 お光と入れ違いに入ってきた金太と言う瓦版売りが、ましら党の片割れ・鬼吉という男が何者かに殺されたというニュースを持ってくる。

 
 戸板に乗せられて運ばれるその死体を見送った音次郎と、同じく隠密同心の井坂十蔵(瑳川哲朗)が行き合わせたところで、サブタイトルが表示される。

 井坂十蔵は、第1シリーズから最終話まで活躍した古参キャラであり、シリーズの陰の主役とも言うべき存在なのである。

 ましら党とは、1年前に江戸を荒らしまわった盗賊一味のことで、役人の手で全滅させられたが、奪った7000両もの金が行方不明となっていた。

 音次郎たちは、内藤勘解由の命で、その事件の探索に乗り出すことになる。

 一方、ましら党事件の解決に執念を燃やす神埼左門なる老練の同心がいた。

 彼は、北町奉行・室戸大和守および筆頭与力・緒方主水から、定町廻から、吟味方与力への栄転を内示されるが、奪われた7000両が発見されるまではましら党の事件が解決したとは言えないと言って、それを固辞する。

 
 で、その仕事熱心な同心の一人息子と言うのが、あの新八郎なのだった。

 昼間から書物を枕にうたた寝している新八郎、

 
 その夢の中では、共に飛脚の格好をしてお光と一緒に土手を走ったり、

 
 仲良く土手の斜面に寝転がったり、

 
 あまつさえ、お光の汚れなき唇を奪おうなどと言う大それた野望をたくましゅうしていた。

 もっとも、その直前に帰宅した父親に起こされたので、菊さんの唇は無事だった。

 新八郎、こともあろうに、飛脚になりたいなどと言い出す。

 
 新八郎「はさみ箱を肩に~、ちりりんちりんん鈴鳴らし、走る姿は飛脚じゃないか~、ほんに飛脚は男伊達!」
 左門「……」

 調子に乗って、厳格な父親の目の前で節をつけて言いながら、飛脚の真似をしてみせる新八郎。

 この後、左門に斬り殺されたそうです(註・嘘)。

 左門「バカモン、お前と言う奴はなんたることを……庭へ出るんだ、その腐り切った性根を叩き直してやる!」

 言葉どおり、左門は息子を庭に連れて行き、竹刀でバシバシ折檻するのだった。

 一方、音次郎は、鬼吉が親しくしていたと言う飲み屋の女に近付き、カマをかけて、鬼吉が奉行所の役人を強請っていたらしいことを探り出す。また、そのネタをある飛脚から聞き出したとも。

 音次郎、その飛脚を探し出そうと、江戸の町飛脚を虱潰しに当たってみる。その中には、お光の父親が経営している飛脚問屋・三度屋もあった。

 仕事から帰ってきたお光と、音次郎が店先で話していると、

 
 お光「あれっ、あ、あんた……いつかのサンピン!」

 
 新八郎「サンピンはひどいな、私は町同心・神埼左門の一子、新八郎……実は折り入って頼みたいことがある」
 お光「頼み?」

 新八郎はいきなり土間に座り込んで深々と頭を下げると、

 新八郎「お願いします、私をあなたの弟子にして下さい」
 お光「弟子にぃー?」
 新八郎「はい、軽やかに走るあなたの姿を見て私はハタと気がついたんです、飛脚こそ、もっとも人間らしい仕事だ。四角四面の侍稼業をきっぱり捨てて私も飛脚になろうと」

 
 お光「へんっ、寝惚けんじゃないよ、やくざに喧嘩売られてぺこぺこ頭下げるような意気地なしに飛脚が務まると思ってんのかい? お断りだね、塩まかれないうちにとっとと帰んな!」

 新八郎、一大決心をしての頼みだったが、お光はいかにも江戸っ子らしい小気味のいい語り口で、すげなく追い返そうとする。

 言ってることは容赦ないのだが、表情豊かな菊さんの口から、美しい声音で紡ぎ出されるタンカは、聞く者に一種の快感をもたらしてくれる。

 ドMにとっては女神様のようなお方である。

 新八郎も、それくらいでは諦めず、承知してくれるまで店の前に立たせて貰うと言い出し、早速実行に移す。

 
 父親「ああ、お待ちを」
 お光「どうせ一刻ももちゃしないよ、ほっときなよ、おとっつぁん」

 どう見ても、パンティー履いてるようにしか見えない……。

 この衣装考えた奴、天才だよ!

 

 
 さらに、立ち上がってすたすたと店の奥へ引っ込んでしまう時の、ムチムチした白い足のなまめかしさ!

 素材の画質は、決して良いとは言えないので、キャプでは、テレビで見ているような感じは出せないのだが、このシーンだけは是非貼りたいと思っていたので、これでレビューの目的はほとんど果たせたも同じである。

 音次郎「いや、邪魔したな」
 父親「どうも」
 音次郎「お侍さん、しっかり頑張んなさいよ」
 新八郎「ありがとう、頑張ります」

 井坂十蔵は、金太が持ってきてくれた1年前の瓦版を見て、ましら党を捕まえたのが、緒方主水と言う同心で、それによって筆頭与力に出世したことを知る。

 不知火お吉(江崎英子)が、その与力が奉行所から出て何処かへ行くのを尾行するが、何故か、神埼左門も彼の後をつけまわしているらしいことが分かる。

 魚屋の格好をした江崎英子さんのムチムチしたフトモモも魅力的だが、今回の主役はあくまで菊さんなので、今回は敢えて画像は貼らないでおく。

 
 緒方「まだあの男の味が忘れられんのか?」
 女「うん、いぢわる! 今じゃ、身も心も旦那のモンですよん」

 緒方、人目を避けるようにとある一軒家に入っていくが、そこは、緒方の囲っている愛人宅だった。

 なんかの罰ゲームですか、これ?(失礼だな、君!)

 その夜、依然として新八郎はすきっ腹を抱えて店の前に立っていた。

 やがて、沛然と雨が降り出し、しきりにくしゃみを連発する新八郎。

 さすがにお光が見兼ねて、くぐり戸を開けて声を掛ける。

 
 お光「いい加減におしよ、気になって眠れないじゃないかー」
 新八郎「いや、申し訳ない」
 お光「ふぅん……」

 新八郎が諦めて帰ろうとしないので、溜息をついて家の中へ戻るお光。

 
 父親「お光、何か着るもんでも持っていってあげたらどうだ、風邪でも引かれたらお気の毒だ」

 父親がそう勧めるが、

 お光「ほっときゃいいんだよ、あんなサンピン、風邪引こうが死んじまおうが、知ったこっちゃないよ!」

 お光、袖に手を入れたまま、口を尖がらかせてうそぶくと、さっさと奥へ引き揚げてしまう。

 
 同じ頃、アジトにしている荒れ寺で、それぞれの情報を突き合わせている三人。

 音次郎「そうか、妾のところになぁ」
 井坂「ふっ、人間、出世すれば女が出来るか」
 お吉「あーら、羨ましいんじゃないんですか、旦那?」
 井坂「その通りだ」
 お吉「あはは」

 井坂の慨嘆をお吉が混ぜっ返し、それに井坂も冗談で応じると言うほのぼのしたやりとり。

 音次郎は、緒方をつけていたのが神埼という同心だと聞いて、軽く目を見張る。

 
 翌朝、水溜りの出来た店の前にお光が顔を出し、新八郎がいなくなっているのを見て、
 お光「ふん、思ったとおりだ……」

 ホッとしたような、でも、少し寂しそうな口調でつぶやいて、家の中に戻るが、

 
 黄八丈(風)の着物のたもとをぶらぶらさせながら廊下を小走りに進んでいたが、向こうから何やら物音が聞こえてきたので、ふと足を止める。

 
 新八郎「あ、お嬢様、おはようございます」

 と、曲がり角から雑巾を突きながら現われたのは、他ならぬ新八郎だった。

 
 お光「あ……あんた!」
 新八郎「朝ごはんはとっくに出来ております、店の掃除も終わっております」

 さすがのお光もギョッとして、咄嗟に言葉も出ない。慌てて父親のところへ行き、

 
 お光「ね、おとっつぁん、あれ一体どう言うことなんてすか」
 父親「まぁ、二、三日いて貰うさ、そのうち音を上げて逃げ出すだろう」

 そう説明すると、父親は落ち着き払ってお茶を啜る。

 早速、飛脚の格好をして街中を走り回っている新八郎とお光。

 まぁ、同心の息子がいきなり飛脚の仕事なんて無理だろうから、お光が一緒に走って基本的な脚力を鍛えてやっているのかも知れない。

 だが、新八郎はイヤに張り切っていて、逆にお光のほうが「新八ぃ、少し休もうよぉ~」と、甘えるように言い出す始末だった。

 
 で、土手の斜面に二人して座ると言う、新八郎が夢にまで見た状況になる。

 新八郎「素晴らしい、実に爽快だ。夢を見ているようだ」
 お光「なんべんおんなじこと言うのさ、いい加減におし……でもさ、あんたも親不孝だね」
 新八郎「どうしてです」
 お光「親の心、子知らず、大事なひとり息子が飛脚になんかなったんじゃ、今頃おとっつぁん、泣いてるよ」
 新八郎「父は父、子は子です。それに私は学問も剣術もまるでダメでしてね、まして十手片手に悪人と渡り合うなんて、考えただけでもゾッとしますよ」

 
 お光「なっさけないねえ、まったく……」

 新八郎の言葉に、心底呆れたと言う風に、右手を額に当てて嘆くお光。

 新八郎「でも、それでいいじゃありませんか、人間にはそれぞれ気性にあった生き方というものがあるんです。侍とか町人とかにこだわることはありませんよ」

 新八郎、いかにも部屋住みの若者らしい理想論を開陳するが、

 
 お光「そんなことはないさ、お侍はやっぱりお侍……決して町人にはなれないよ」

 年は同じくらいでも、遥かに良く世間を知っているお光にあっさり切り捨てられる。

 
 お光「あたいね、昔好きな人がいたんだ。その人旗本の息子でね、あたいたち夫婦になる約束までしてたんだ」
 新八郎「……」
 お光「でも、結局はダメだった。いざとなると○○○○が邪魔になってね。それ以来あたい、二度とお嫁に行こうなんて考えないことにしたのさ」

 地面に寝転んで、そんなうち明け話をするお光。

 ○○○○の部分は、DVDでもテレビでも音が消されていた。身分に関することを言ってると思われるが、何と言ってるのかは分からない。

 ちなみに、お光の言葉とは違って、江戸時代、武士の身分を町人や農民に売ることは別に珍しいことではなかったらしい。無論、その身分によって値段にも差があって、同心の神崎家の場合、その値段はだいたい200両、約2000万円だったそうな。

 
 その日の夜(?)、桔梗屋に集まって楽しくお酒を飲んでいるお光、新八郎、音次郎たち。

 音次郎「そうかい、するとお前のおやじってのはひとつの事件をずーっと追っかけてるのかい」
 新八郎「はい、なにせ人一倍頑固で融通の利かない性分でしてね」
 音次郎「いやいや、それでこそ八丁堀の鑑ってやつだ。へっ、それに引き換えおめえってのは……」

 酒を酌み交わしながら、音次郎はさりげなく、新八郎の父親がましら党を探索していた時のことを聞き出そうとする。

 緒方と左門は、一緒にましら党のねぐらに踏み込みが、緒方はその必要もないのに、まるで口封じでもするように賊を斬り殺しているようだった。

 だが、左門が賊の一人を生け捕りにして、大番屋で7000両のありかを問い質そうとする。

 しかし、口を割る間もなく、その男は差し入れの弁当に何者かに毒を盛られて死んでしまい、結局7000両のゆくえは分からずじまいとなったという。

 金太「おーう、新八、こっち来て一緒におどらねえかよ」
 新八郎「結構ですね、やりましょう」

 話が一段落したところで、招き猫を抱いて踊っていた金太が新八郎を誘う。

 
 お光「新八、およしよ、みっともない。お侍のするこっちゃないよ」

 お光がしかめっ面でたしなめるが、

 
 新八郎「お嬢さん、私は町人ですよ」

 新八郎は、まるで気にする風もない。

 
 お光「……」

 新八郎に、もう少し毅然と振舞って貰いたいのか、お光は不満そうにそっぽを向いてしまう。

 
 おかんの三味線で二人がタコ踊りを始めると、そこへ神埼左門が入ってくる。

 左門「一緒に帰るんだ、さあ、新八郎」
 新八郎「私は帰りません、この人のお陰で私は自分の生き甲斐を見付けたんです。いまさら侍の暮らしに戻るつもりはありません」
 左門「新八郎!」

 左門、いきなり新八郎の顔をぶん殴る。

 新八郎「殴ってください。それで父上の気が済むものなら……」
 左門「貴様ぁ」

 お望みどおり、新八郎の顔を左右からボコボコにするが、音次郎が割って入る。

 左門「お、お前とは、もう親でなければ子でもない、今日限りで勘当だ」
 新八郎「……」
 音次郎「旦那!」
 新八郎「勘当か、これで私も晴れて町人って訳だ。ハッハッハッハッ」

 父親が憤然と出て行った後、静まり返る店の中で、ヤケになったように高笑いを響かせる新八郎であった。
 ところが、左門は、その帰宅途中、覆面の武士たちに襲われ、殺されそうになる。だが、彼を追ってきた音次郎によって危ないところを助けられ、かすり傷で済む。

 屋敷に帰り、音次郎に傷の手当てをして貰いながら、左門は、新八郎に自分の跡を継いで同心になって欲しかったと言う、もはや叶わぬ夢を語ると同時に、世間知らずの息子のことをくれぐれも頼むと、親心を覗かせるのだった。

 さて、隠密同心の調べで、緒方の妾の家に、しょっちゅう同じ飛脚が出入りして少なからぬ金を届けていることが分かる。

 そこで、音次郎は大胆な行動に出る。お光の三度屋を訪ね、

 
 音次郎「お、お光坊、俺も今日から飛脚の仲間に入れて貰うからな」
 お光「ええーっ? 兄貴もかい」
 音次郎「うん」
 お光「やぁれ、やれ、みんな陽気のせいで頭がおかしくなっちまったんじゃないのかい?」

 お光、心底呆れ果てたような声を上げる。

 お光「面倒見切れないよ、も、勝手におし!」

 音次郎、自ら飛脚に身をやつして、その怪しい飛脚をマークしようと考えたのだ。

 一方、左門を襲った刺客たちが、とある道場の剣士たちであり、その道場に籍をおく緒方の指図によって左門を殺そうとしたことが判明する。

 井坂は、道場破りに扮してその道場へ行き、緒方と試合をしてその太刀筋を見て、鬼吉を殺したのが緒方だと確信する。

 音次郎は、怪しい飛脚・平次を追って小田原まで行き、深夜、彼が墓守と一緒に、とある荒れ寺の墓地の下から数個の切り餅(小判25両が入った白い包み)を取り出しているのを目撃する。

 音次郎は二人が去った後、墓の下を調べ、千両箱に入った小判の山を発見する。それらは、包み紙の封印から、1年前、ましら党が札差から奪った金だと分かる。緒方は、ましら党の盗んだ7000両を横取りしてこの墓地に隠し、その一部を少しずつ飛脚に運ばせては、自分の妾に届けさせていたのだ。

 だが、音次郎はあえてそれには手をつけず、内藤勘解由からの書状と言う形で、江戸の左門にそのことを知らせて、左門に手柄を立てさせてやろうとする。

 左門は、首尾よく江戸に戻る途中の平次を押さえ、そのはさみ箱から、ましら党に奪われた小判の包み紙を数個発見する。

 
 左門「お糸、心配掛けたが、内藤様のお陰で遂に動かぬ証拠を掴んだぞ。話はお奉行様に通してある。明日、緒方主水の悪事を暴いていただくつもりだ。これで心残りは新八郎のことだけだ」

 証拠の小判を仏前に置いて、亡き妻にしみじみと語る左門。

 だが、左門はその北町奉行こそ、事件の黒幕であることを知らない。

 
 お光「ねえ、新八、この前、おとっつぁんが怪我した時だって見舞ってあげなかっただろ、一度帰ってあげたらどう? ね、新八ったら」

 新八郎の部屋に、お光が入ってきて、普段とは別人のような優しい口調で新八郎に勧めるが、

 
 新八郎「私と父は赤の他人同士なんだ。父がどうなろうと、私の知ったことではありません!」
 お光「なんだって? 町人にはね、そんな人情の薄い奴はいないよ! やっぱりお前はお侍さ、出来損ないのサンピンだよ!」
 新八郎「……」

 新八郎の冷たい返事に、たちまち険しい顔になり、手厳しい罵言を叩きつけると、襖をピシャリと閉めて出て行く。

 これから毎日、あんな美女から飛び切りの罵声を浴びせられるのかと思うと、嬉しさのあまり身震いしてしまいそうになる、ドMの新八郎でした。

 
 しかも、その後、襖を後ろ手に閉めると、

 お光「バカ、バカ、新八のバカ! バカ、バカ……」

 涙ぐみながら、悲しそうにその場にいない新八郎を罵るお光坊でありました。

 も、最高! 言うことなしですね。

 ま、お光は、侍だろうと町人だろうと、人として踏むべき道は同じだということが言いたかったのだろう。

 ところが、その夜、何者かが神崎家に忍び込み、眠っている左門の目を掠めて、あの金を別のものと摩り替えてしまう。

 
 奉行「では、早速証拠の品を見せてもらおう」
 左門「はっ」

 何も知らない左門、翌日、奉行所に出向き、紫の袱紗に包んだものを懐から取り出して、町奉行に直接見せようとするが、いつの間にか、それは封印のない白い金包み(全くのニセモノなのか、中身は小判なのかは良く分からない)に変わっていた。

 
 奉行「これが証拠か?」
 左門「はい、申し訳ありません。いつの間にかニセモノとすりかえられたようで」
 奉行「そのような言い訳が通ると思うておるのか? 神崎、おぬし、あらぬ罪をでっち上げ、緒方主水を失脚させるつもりであろう?」
 左門「いいえ、決してそのような……」
 奉行「弁解無用、貴様のことは直ちにお目付けに報告する。おって沙汰があるまで控えておれ!」

 緒方と同じ穴のムジナの町奉行は、左門の弁解に耳を貸さず、一方的に決め付けて荒々しく退出する。

 時を移さず、目付けから、左門に切腹と言う重い沙汰が下される。しかも翌日の未の刻(午後1時~3時)に行われると言う異例の処置だった。

 
 瓦版を見てそれを知ったお光は、急いで新八郎のところへ行き、

 お光「あんた、これでもあんたはおとっつぁんとは赤の他人だって言えるのかい? どうなんだよ?」
 新八郎「……」

 無言で瓦版を読んでいた新八郎、いきなり店を飛び出して行く。

 その足で奉行所の前まで行き、必死に「父上ーっ! 新八郎です!」と、呼びかけるが、番人に追い返される。

 
 左門「新八郎、お前の方が正しかったな……達者で暮らせよ」

 奉行所の牢獄の中に座ってそれを聞いていた左門は、そうつぶやいて双眸から涙を流すのだった。

 しかし、いくら切腹が決まったからって、同心が奉行所の牢屋に入れられるかね?

 せいぜい、自宅に謹慎させられると言うのが妥当だろう。

 あるいは、奉行の室戸が、左門が悪あがきをして余計なことをしようとするのを防ごうとして、あえて牢にぶち込んだのかもしれない。

 自分たちの計画がおかしな具合になって、桔梗屋で額を集めて話している三人。

 
 井坂「我々の情けが返って仇になったようだな」
 音次郎「ああ」
 お吉「でも、神埼左門は証拠の品を手に入れたことを町奉行にしか話してない筈ですよ」
 音次郎「そこだよ。つまり黒幕はもう一人いたって言う訳さ。じゃあ後は手筈どおり頼むぜ」

 既に、次の計画は練られているようで、音次郎はそれだけ言って再び新八郎のところへ赴く。

 
 新八郎「え、小田原まで?」
 音次郎「ああ、その寺の墓に、おめえさんのおやじの無実を証明できる品が隠されているんだ。そいつを明日の未の刻までにおやじさんのところに届けるんだ」
 新八郎「……」
 音次郎「新八郎、おめえが男になれるかなれねえかの瀬戸際だぞ!」
 新八郎「……」

 音次郎は、あえてもう一度証拠の品を取りに行かせる役目を、息子の新八郎に託そうとする。

 重要な任務を成し遂げさせて新八郎を一人前の男にしてやると同時に、親子の関係を修復してやろうと言う、粋な計らいであった。

 
 お光「新八!」
 新八郎「……兄貴、お供します!」

 任務の重さにしばし黙りこくって考え込む新八郎であったが、お光にも期待の眼差しを向けられ、最後にはしっかりとした声で引き受ける。

 
 その夜、例によって悪党が寄り合いを開いて、今回の悪事の反省会を開いている。

 その席で初めて、元々7000両の横領を企んだのは緒方で、途中から室戸を仲間に引き込んだこと、緒方の妾が、ましら党の首領の情婦だったこと、捕えられたましら党の男に毒を盛ったのも、その女であること、などが明らかにされる。

 で、これまた例によって、天井裏には不知火お吉が忍び込んでいて、彼らの会話をばっちり盗み聞きしているのだった。

 さて、翌日の朝、音次郎と新八郎は小田原に到着し、音次郎は証拠の金を持たせて先に新八郎を江戸に帰らせる。そして、自分は、金の見張りをしていた殺し屋の墓守を死闘の末に倒す。

 
 ナレ「隠密同心、心得の状、我が命我が物と思わず……」

 切腹の時刻が刻々と迫る中、新八郎は江戸の町に入り、お光に介添えされながら奉行所に急ぐ。

 その様子と並行して、井坂十蔵とお吉が、奉行所に向かう姿が描かれ、ちょっと変則的だが、いつもの決まり文句が語られる。

 
 ナレ「……御下命いかにても果たすべき、なお、死して屍ひろうものなし、死して屍ひろうものなし!」

 重大なことなので二回言ったよ。

 音次郎も、馬に乗って江戸に急行していたが、隠密同心が敵地に乗り込む際に、こんな風にバラけて向かうのはかなり珍しいことである。

 
 新八郎「しばらく、しばらくお待ちください!」
 左門「新八郎!」
 新八郎「お願いします。お待ちください! お願いします」

 今まさに腹を切ろうとした左門だったが、そこへ新八郎が叫びながら駆け込んでくる。

 ちなみに、ここでは本物の刀で腹を割くようになっているが、実際は、なにしろかなり痛そうなので、刃物のかわりに扇子などを置いて、それに手を伸ばした瞬間に介錯人が後ろから首を斬ると言うのが、江戸時代での切腹の作法だったらしい。

 勿論、ほんとに腹を切っちゃう剛の者もいたそうである。

 目付「何事じゃ、騒々しい、放してやれ」

 さすがに目付まで緒方の一味ではなかったので、新八郎を取り押さえている役人たちに命じて、自由にさせる。

 
 新八郎「なにとぞ、この小判をお調べください! 私の父が正しかったことが証明される筈です」
 奉行「お目付け殿、このような小細工に騙されてはなりませんぞ」
 目付「……」
 新八郎「この金こそ、ここにいる二人がましら党から横取りした金でございます。小田原の在にある金の隠し場所も、またそれを江戸に運び込んだ飛脚の名も全て明白!」

 お光に腰抜け侍と馬鹿にされたのが嘘のように、重役たちを前にして堂々と口上を述べる新八郎。

 
 緒方「知らぬ、そのような世迷言、誰が真に受ける? さっさと消えてうせろ」

 言い忘れていたが、緒方は、ブラック将軍の丹羽又三郎さん、奉行の室戸は、近藤宏さんでした。

 
 井坂「しかとそうかな? 証人ならここにおる」
 女「あっうっ」

 と、廊下の曲がり角から、井坂とお吉が、緒方の妾を引っ立てて登場。

 しかし、この女性、割と重要な役なのに役名すらないと言うのは不憫だよね。

 井坂「北町奉行所筆頭与力・緒方主水、室戸大和守を抱き込んで、ましら党が盗んだ7000両を着服した上に、探索に当たった神埼左門を罠に仕掛けた罪、まことに言語道断! さらにまた貴様の悪事を知って強請ろうとした鬼吉を殺した罪も明らか。すべてのからくりはあの女が白状した。観念せい」
 奉行&緒方「観念します」

 こうして事件は解決……したら、隠密同心が困っちゃうのである!

 奉行「貴様たち、何者だ?」

 
 井坂「隠密同心、井坂十蔵」(カァーッ!)

 室戸の質問に、待ってましたとばかりに答える井坂たち。

 
 お吉「同じく、不知火お吉」(カァーッ!)

 (カァーッ!)と言うのは、何処からか聞こえてくる効果音である。

 ここから、勇壮なテーマ曲に乗って、いつものラス殺陣となる。

 二人と言うのは、「大江戸」でも最少人数だと思われるが、その割に大して苦戦することなく、バキバキ悪を斬って行く。

 緒方は、道場で一度わざと負けている井坂が斬り、逃げようとした奉行は、ここで漸く到着した音次郎、いや、伝法寺隼人によって成敗される。

 今回のラス殺陣、途中でメンバーが現われるのも異例だし、真っ昼間、目付などの事件とは関係のない公の人物の前で行われるのも、極めて異例のことである。

 
 父親「お光、どうした、体の具合でも悪いのか」
 お光「ううん、別に。ちょっと考え事してただけ」

 事件解決後、店の入り口に腰掛け、いかにも寂しそうに黙り込んでいるお光を、父親が気遣う。

 もう新八郎はここへは戻ってこず、父親の跡を継いで同心になるのだとばかり思い込んでいるのだ。

 
 父親「新八のことか」
 お光「うん、お侍の子はやっぱりお侍、うふっ、あたいの言ったとおりさ」
 父親「お光、お前はほんとは新八が好きだったんだろ?」
 お光「ま、まさか、あんな腰抜けサンピン、さぁ、仕事仕事!」

 未練を振り切るように、わざと明るい声を上げて店から飛び出たお光だったが、

 
 お光「……」

 店の前に立っている者を見て、思わず固まる。

 
 お光「新八……」
 新八郎「悪かったね、腰抜けのサンピンで」

 
 お光「な、なに言ってんだい、そのサンピン根性叩き直してやるから付いて来な!」

 照れ隠しのようにぶっきらぼうな口調で言って、元気良く走り出すお光と、続いて走り出す新八郎。

 江戸の町を薫風のように駆け抜けていく二人の姿を、清々しい気持ちで見送る隠密同心たちであった。

 しかし、お光は良いかも知れないが、神崎家の行く末はどうなるんでしょうか?

 ……ま、いっか。

 以上、案の定、必要以上に長くなってしまったレビューでした。

 今この瞬間の嘘偽りのない気持ちを述べると、「もう二度とやりたくない!」と言うことになりそうだ。

 やっぱり時代劇のレビューは、現代劇のそれより数倍つらい。

 それにしても、この若さ溢れる菊さんが、この回のオンエアから1年足らずで帰らぬ人になってしまうとは、神ならぬ身の誰が予想しえただろうか。

 もし健在だったならば、53話以降も、何度もゲスト出演、あるいは、レギュラーに抜擢なんてこともあったかもしれないと思うと、ますます残念でならない。
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