「恐竜戦隊コセイドン」 第28回「決戦 ゴドメス帝王を撃て」
- 2018/07/31
- 18:15
第28回「決戦 ゴドメス帝王を撃て」(1979年1月12日)
タイトルから分かるように、2クールにわたって描かれてきたコセイドン隊とゴドメス軍の熾烈な戦いに遂に終止符が打たれる節目のエピソードなのである。
もっとも、個人的には、すっかりマンネリになってしまったゴドメスとの戦いの帰趨よりも、マリがこの回を最後に降板してしまうことの方が遥かに重大なのだが……。
冒頭、度重なる敗北に業を煮やしたゴドメス帝王が、はるばる地球までやってきて、ガバン将軍を従え、自ら作戦の指揮を取ると言い出す。
帝王、一番えらい人なのだが、キャラクター的には総監ザジと大差のない外見、性格である。

そんなこととは露知らず、コセイドン隊の面々は暇を持て余して、アイスクリームを食べながら、ゴウとテツが腕相撲をしているのを見物すると言う、実にのどかな時間を過ごしていた。

バンノ「こらーっ、お前たちと来たらもう、いいか、油断するな、ゴドメスを完全に倒すまでは決して息を抜くんじゃない、分かったか? ぶわっかものっ」
と、そこへバンノ隊長が現われ、ガミガミと怒鳴り散らす。
ゴウ「地震、雷……」
テツ「火事、バンノ、はっはははっ」
アルタシヤ「ふふふふっ」
バンノ「なぁにぃ」
ゴウ「いや、何も言ってないですよ」
バンノ「さあみんな、配置に付け、もたもたすんな!」

マリ「はいはい」
バンノ「敵はいつ襲ってくるか分からんのだぞ!」
モリィ「年寄りはうるさいねえ」
バンノ「年寄りぃ? くっ」
バンノにせきたてられ、隊員たちはブツブツ言いながら散会するが、去り際、モリィのぼそっと漏らした一言に目玉をひん剥くバンノであった。
くどいようだが、「コセイドン」の魅力と言うのは、こういう、どうってことのない日常の風景にあるのではないかと思う。ま、それは、優れた特撮ドラマ全般に言えることなのかもしれないが。
裏返せば、何気ないやりとりが楽しく見えるほど、良い俳優を揃えなければ駄目だぜ? と言うことだ。
もっとも、バンノが発破を掛けたのは、時宜に適していた。ゴウたちが持ち場についた早々、戦艦ガルムスが活動を開始したからである。

マリ「隊長、西北22度の上空、1万メートルにゴドメスの戦艦が現われました」
バンノ「ゴドメスめ、またきやがったか、よし、ファイタス、ハクアス出動!」
軍事指揮官としても優れた才能を持つバンノ、戦力の逐次投入などと言う愚策は採らず、直ちに全てのメカを出動させる。

ガバン「コセイドン号がやってきます」
帝王「よし、こっちの思う壺だ。戦闘機を発進させろ!」
ガバン(なんじゃ、このガイコツは……?)
ゴドメス帝王は、先端に大きなシャレコウベの付いた悪趣味な杖をかざして命令する。
帝王じきじきの指揮と言うことで、いつになく多数の戦闘機が出撃し、ファイタス2号、ハクアス2号に襲い掛かり、激しい空中戦が展開される。ファイタス1号も、地上から加勢する。
しつこくハクアス2号の尻を追い掛け回していた編隊を、マリのファイタス2号が見事に撃ち落とす。

モリィ「マリさん、お見事」
マリ「ありがと!」
マリ、モリィの通信に応じると、いかにも嬉しそうに宙をくるくる回転してみせる。

モリィ(今日のマリ、いやに張り切ってるな……)

マリ(この戦いが私にとって、最後の戦いになるんだわ……)
マリ、笑顔から一転、厳しい表情になって、心の中で謎めいた言葉をつぶやくのだった。
だが、次の瞬間、ゴドメス軍の砲火が直撃、あえなく墜落する。
一方、バンノひとりだけとなったコセイドン号にも、戦闘機が押し寄せ、猛攻撃を加えていた。
バンノ、地上にいては危険だと、機を離陸させ、直接ガルムスに戦いを挑もうとする。

帝王「ふふ、いーっひっひっ、ふぁわっはははははっ、タイムGメン!」
と、通信モニターにゴドメス帝王の姿が映し出される。

バンノ「貴様がゴドメスの帝王だな?」
帝王「いよいよ貴様たちと雌雄を決する時が来たようだ」
バンノ「それはこっちで言うことだ。行くぞ!」
帝王「覚悟は出来ておるだろうな、ふふふ、ぬははは、うっはっはっはっ……」
古今東西、太古より、悪の親玉と言うのは笑い上戸と相場は決まっているのだ。
ガルムスとコセイドン号の一騎打ちとなるが、やはり、バンノひとりでは操縦がままならず、エンジンをやられて不時着せざるを得なくなる。
そこを襲えば勝てただろうに、何故かガルムスもそれっきり退却してしまう。恐らく、戦艦のエネルギーが枯渇してしまったのだろう。
出撃していた各メカが、不時着したコセイドン号に次々帰還してくる。

バンノ「う、うう……あ……」
アルタシヤ「隊長、大丈夫ですか」
バンノ「あは、いやー、なんの、豆腐の角でぶつけたぐらい……こんなものは……あいっつっつっ」
アルタシヤ「ああっ!」
ビックラジィー「強がりを言っても始まりませんぞ、隊長」
不時着の際に肩を負傷したバンノ、最初に戻ってきたアルタシヤたちには平気を装うが、腕を上げた途端、肩に激痛が走って思わず呻き声を上げる。

撃墜されたマリも、モリィに救助されてなんとか戻ってくる。
マリ「隊長、すみません」
バンノ「何をバカなこといっとるか、アルタシヤ、ああ、早くマリを手当てしてやってくれ」

ファイタス1号は、コセイドン号の外に留まり、ゴドメスの第二次攻撃に備えていた。
気短なゴウは、人間大砲でガルムスまで撃ち出してくれとテツに頼むが、
テツ「1万メートル上空に浮かんでる。いくら人間大砲で撃ち出しても、とても届かないだろう」
ゴウ「じゃあこのまま手をこまねいて見てろってのかよ」
テツ「まあ、待て、今にお前の出番が来る……モリィ、応答しろ」
モリィ「どうした?」
テツ「例の件だが、至急答えを出してくれ」
モリィ「OK」
CM後、モリィが何やら忙しく計算している。

バンノ「モリィ、まだか?」
モリィ「あっ、出来たーっ! 隊長、出来ました」
バンノ「おお」

モリィ「テツーっ、出来たぞーっ!」
バンノのインカムを引き寄せ、大声で叫ぶモリィに、バンノがしかめっ面になる。
それはそれとして、途中で入ってきたマリが、帽子を脱いで髪を下ろしているところが可愛いのである!

テツ「よし、それで?」
モリィ「マッハ3で撃ち出せば、敵さんの剥ぎ取り光線の中を突き抜けられるぞ」
テツ「マッハ3? 敵の剥ぎ取り光線の中を、補助ロケットの代わりにハクアス2号を使えばなんとかなるかもしれない」
ゴウ「おい、一体何の話だ」
テツ「実はな、ゴドメスの円盤を人間大砲でどう攻撃するか、モリィと計算してたんだ」

マリ「隊長、あたしに行かせてください!」
バンノ「いや、しかし、その体で……」
と、不意にマリが、吊った腕を三角巾から外して、その作戦への参加を志願する。

マリ「お願いします!」
いつになく真剣な、悲壮な覚悟を秘めた目で訴えるマリ。

バンノ「……」
バンノも、無言でその目をじっと見詰め返し、しばし考え込む。
草野さん、ほんと良い役者だな。この目だけで、バンノがマリのことを単なる部下と言うより、自分の娘のように気遣い、心配していることがひしひしと伝わってくる。
マリ「あたしが行きます!」
バンノ「……よし、わかった。じゃあ、頼むぞ」

マリ「はいっ!」
何故、マリが怪我をおしてそんな危険な任務に自ら志願したのか、その理由は、バンノだけには良く分かっていた。

で、まぁ、マリのハクアス2号が飛ぶのにあわせて、人間大砲からコセイダーとなったゴウが撃ち出されるのだが、ガルムスのすぐそばまで、コセイダーは何の力も借りずに到達しているので、なんか根本的に意味のない作戦だったように見えてしまうのが残念である。
ここは、撃ち出されてすぐハクアス2号に掴まり、ハクアス2号の出力で一気に上昇する……みたいなシーンであるべきだったと思う。
また、剥ぎ取り光線は、地上の物を吸い上げる光線なのだから、単にその光線の中に入れば、向こうで勝手にガルムスの中に引っ張り上げてくれるような気もするのだが……。
結局、ガルムスの下部の剥ぎ取り光線発射孔に肉迫したものの、ストームビームを浴びてハクアス2号もマリも吹き飛ばされてしまう。

だが、そこでコセイダーが空中で回転して、再び上昇を開始、ぐんぐんガルムスに接近して、


コセイダー「どわーっ!」

ガルムスの外壁を突き破って、侵入を果たす。
この壁の破壊ショットは実に見事なのだが、これだと、マリが悲愴な面持ちで出撃した意味が全くなくなってしまうような気がする。
これ、最初からコセイダー一人で行けたやん、と。
しかも、入ったところがすぐガルムスのブリッジになっていて、目の前にガバンとゴドメス帝王が立っていたというお気軽な展開。

コセイダー「数多くの恐竜たちを苦しめ、地球を我が物にしようとした悪の張本人、ゴドメス、許せん、今こそ勝負だぁっ」
最後の戦いと言うことで、時代劇のような決め台詞を放つコセイダー。
ガバンは、先にゴドメス帝王を逃げさせると、自らコセイダーに戦いを挑む。
が、あえなく敗れ、死に際に、ガルムスの自爆or自沈スイッチを入れた為、ガルムスはコセイダーとゴドメス兵たちを乗せたまま、墜落、爆発する。
無論、コセイダーは健在で、ゴドメス帝王との一騎打ちとなる。
帝王、シャレコウベの杖で幻覚を作り出し、コセイダーを苦しめる。

その中で、あちこちに炎が吹き上がる中での立ち回りなんてのもあって、これなどは、「仮面ライダー」などの本家・等身大ヒーロー番組でもなかなかお目にかかれないような映像である。
しかし、まあ、最後はコセイダー、「時間よ止まれ」技も使わずにサクッと倒してしまう。
ゴドメス帝王、はっきり言ってザコであった。これなら総監ザジやケスチーノ、デストランの方がよっぽど強かった気がする。


崖の上で帝王が倒れ、かなりの高さのある爆炎が空を焦がす。


マリ「やったぁーっ!」
ハラハラしながら戦いを見守っていたコセイドン隊のメンバーも、コセイダーの勝利に歓喜の声を爆発させる。
ああ、マリ、ほんと可愛い。なんでこの子を降板させようとしたのか、スタッフの考えが理解できない。
あるいは、川崎たか子さんの方の都合だったのだろうか。でも、その割に、最終回だけ再登場してるんだよね。やはり、制作費の削減の意味も込めた、リストラの一環だったのだろう。
彼らに故郷を滅ぼされたアルタシヤとビックラジィの喜びは一際大きかったが、

アルタシヤ(ゴドメスは、滅びた……)
喜びが一段落した後、アルタシヤは何故か涙をこぼして、悲しそうな表情になるのだった。
でも、ゴドメスが滅びたって言ってるけど、滅びたのは地球侵略軍と、ゴドメス帝王だけなのだから、ゴドメスの本星や、他の植民地惑星は他のゴドメス軍と共に健在で、ちゃんと帝王の跡を継ぐ王族だっていた筈なのだから、全然滅びてないと思うんだけどね。
まぁ、とにかく、これでゴドメスが地球にちょっかいを掛けてくることはなくなったのである。

戦いの後、ささやかな慰労会が開かれている。
そこに出されるのがバヤリース一杯ずつと言うのが、貧乏臭くて悲しいが……。
と、通信機から出し抜けに、タイムマザーの機械的な声が発せられる。
タイムマザー「時空管理局よりお知らせがあります。ハルナ・マリ隊員は帰還後、直ちに本部に出頭しなさい、本日付で新石器時代のパトロール隊に転属が決まりました」

マリ「……」
みんなの視線を受けて、つらそうに俯くマリ。
そう、マリはこの戦いの前から既に別の時代への転属が決まっていたのだ。
初めてそれを知らされた仲間たちは、失望と驚きの色を隠せない。

ゴウ「そんな急に……」
バンノ「いやぁ、実はな、この件は前々から内定していたことなんだ、手薄な新石器時代のパトロール隊を補強する為には、どうしてもマリのような優秀な女性隊員が必要なんだ」
ゴウの抗議を遮って、バンノが宥めるように説明する。
しかし、なんで「女性隊員」じゃなきゃ駄目なのか、その辺が今ひとつ分からない。

ゴウ「何故黙ってたんだ、マリ、水臭いぞ」
マリ「ごめんなさい、みんなと別れるのはつらいけど、仕事の為なら仕方ないわ、笑って送ってちょうだい」
マリ、無理に笑って見せて言うが、さすがにテツたちの表情は暗い。それでも、寂しさを振り切るように、
テツ「そうか、まぁ、部隊は違っても目的は同じなんだからお互い頑張ろう!」
マリ「ありがとう」
改めて乾杯した後、バンノがしみじみした口調で、「別れると言えばだな、アルタシヤとビックラウスともこれでお別れだなぁ」と、言い出す。
ゴウ「そうなったら、ますます寂しくなる」
もともと、二人はテレサ星からゴドメスに終われて地球に逃げてきたので、ゴドメスがいなくなれば、地球に留まる理由はなくなってしまうのだ。だが、アルタシヤは、既に決意していたのだろう、即座に、
アルタシヤ「いいえ、私は地球に残ります。私にとって、地球は第二の故郷なんです。皆さんと力をあわせて地球の平和を守る為に戦いたいんです!」
テレサ星の再建は良いのか? と突っ込みたくなるが、こうしてアルタシヤとビックラジィーは引き続き地球に留まり、今後は正式なコセイドン隊のメンバーとして活躍することになる。
バンノ「よし、マリの前途と、アルタシヤとビックラウスの新しい門出を祝って、もう一度乾杯!」
ラスト、時空トンネルの中を21世紀へ向けて進むコセイドン号の内部が映し出される。

最後はやはり、マリのアップで締めましょう。
もっとも、さっきも言ったように、マリはこれっきりいなくなる訳ではなく、最終回に、粋な形で再登場することになる。
でも、一応、これで卒業と言うことになるので、川崎たか子さん、お疲れ様でした!
さて、次回からは、再び白亜紀を舞台にして起こる様々な事件を描く単発エピソード形式に切り替わることになる。しかし、前半までと比べると、正直、ストーリーの質は落ちるし、愛しのマリもいないので、スルーする回も結構出てくると思う。
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