「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第32話「現われた伝説の殺人マシーン魔破羅!」
- 2018/03/13
- 18:57
第32話「現われた伝説の殺人マシーン魔破羅!」(1987年8月13日)
漆黒の洞窟の中をガシャガシャ音を立てて歩く、漆黒の鎧に身を包んだ男。
やがて、細い通路を抜けると、広大な空間に出る。そこには左右に蝋燭の炎が燃えている石段が天井近くまで伸びており、その頂上には、黒衣の不気味な老人が鎮座していた。

果心居士「魔破羅か?」
石段の下に立った鎧の男こそ、終盤で大きな役割を果たすことになる魔破羅なる人物であった。
そして老人は、影の忍びの真の棟梁であり、翔を裏から操る果心居士、別名「お方様」であった。

果心居士「影が動かぬ、このままでは翔がヴァジュラを手にすることはかなわぬであろう」
魔破羅「しかし、翔こそヴァジュラを手に出来る選ばれしものと聞きましたが……」
声を聞けば一発で分かるが、魔破羅を演じるのは堀田真三さん。

果心居士「選ばれしものは二人おるのじゃ。翔と、そしてあの風魔の娘、決して風魔にヴァジュラを渡してはならん。ぬしの力で、なんとしても翔にヴァジュラを握らせるのじゃ」
このビジュアルを見れば分かることだが、魔破羅は「スターウォーズ」のダースベーダーを、果心居士は同じく帝国の皇帝をモデルに作られたキャラクターなのである。
依田先生も、ヨーダから来てるし、途中で死んだ礼亜も、レイア姫から来てるんだけどね。
ま、外見のみならず、魔破羅の正体などは、まんまダースベーダーと同じなんだけどね。
さて、今回から第二部「魔界血戦編」と銘打たれて、唯の出生の秘密、また、唯と翔の関係などを軸に、最終話まで連続的にストーリーが進むことになる。
終盤で、主人公が自分の生い立ちについて懊悩しつつ戦っていくと言うのは、過去2作でも見られた構成だが、この3では、なまじ血を分けた姉妹と信じていた結花と由真ががいるだけに、唯の苦悩はそれ以上に深刻なものとなっていて、正直、見てる方もつらくなるんだよね。
第二部になって、明らかに視聴率が落ちているのも、その辺が原因なのではないだろうか。
そして困ったことに、それはレビューする場合も同様で、これから延々と暗い話が続くかと思うと、どうにも気が進まないんだよね。いっそのこと最終話付近までスルーして、代わりに「帰ってきたウルトラマン」(なんで?)のレビューでもしたい気分なのだが、折角ここまで頑張って書いてきたのだからと、何とか自分を奮い立たせてレビューしていきたいと思う。
タイトル表示後、のっけから仏壇のおやじの生命力のありすぎる遺影(別名・風呂上りのビールが旨い!)の前に、深刻な顔で座っている結花、そして由真。
前回のラスト、唯の持っていた女雛に結花の折り鶴が刺さると、翔が同じ箇所に痛みを感じたことから、二人は唯と翔の間に何か密接な関係……たとえば血縁関係……があるのではないかと言う疑惑に囚われているのだ。
結花「父さんさえ生きててくれれば」
由真「あいつ、本当に親父の子なのかよ?」
二人が重苦しく考え込んでいるのは、もしそうであれば、自動的に唯が自分たちとは血の繋がりがないと言うことになってしまうからだった。

2階では、唯が男雛(翔が持っていたもの)を見詰めながら、亡き母親に向かって問い掛けていた。
唯(なんで翔がこれを持っちょったと? 母ちゃん、なんでじゃ……)
その横にこれまた真剣な表情で座っていた依田先生こと般若、翔が狙ってくるかもしれないから自分が預かろうと手を伸ばすが、

唯「イヤじゃ! これは誰にも渡さん!」
依田「唯!」
唯「雛人形ちゅうのは、男雛と女雛が一対になっちょるもんじゃ、翔に持っていかれた女雛はわちの母ちゃんの形見じゃ。じゃったら、この男雛も母ちゃんの形見の筈じゃ」
唯、ひょっとして依田がその辺の経緯を全て知っているのではないかと疑惑に駆られ、しつこく問い質すが、依田は「知らん!」の一点張り。

と、結花たちも静かに2階に上がってきて、唯と同じ質問をぶつけてくる。

依田「知らん、たとえ知っていたとしても、話す訳にはいかん。どうしても知りたければお前たち三人、力をあわせて、影と戦い抜くことだ」
唯「そんげなこつ言うて、こんげな気持ちでどうやって影と戦えっちゅうのか?」
頑なに回答を拒絶する依田。無論、依田は何もかも知っているのだが、色々と差し障り(註1)があって、自分の口からは教えられないのだった。
(註1……依田が口頭で教えても、あんまり盛り上がらない)

由真「そうだよ、力をあわせてって言ったってなぁ、唯と翔の関係がはっきりしなけりゃ、戦いようがねえじゃねえか。もしかして、こいつと翔は……」
結花「由真!」
由真が軽はずみなことを口走りそうになるのを、鋭く結花が止める。

唯「姉ちゃんたち、わちを、わちを疑っちょるんか? 結花姉ちゃん! 由真姉ちゃん!」
だが、その言葉はしっかり唯の耳に入ってしまっていた。
泣き出しそうな顔で二人に歩み寄り、縋るような眼差しで二人の姉を見る唯。だが、結花と由真も、冷たく視線を逸らしてしまう。
唯「そんなげなこと……ひどか、ひどかーっ!」
唯、体ごと投げ出すようにその場に突っ伏し、悲痛な叫び声を放つ。
結花「分からないのよ、私だってどうしたらいいか……」
結花も、戸惑ったように、ぽつりと本音を漏らす。
……
ね、こんな鬱陶しい会話がこれからずーっと続くんですよ? ちょっと眩暈がしてきた。
だいたい、こんなシーンばっかりだと台詞が長くなって書くのが大変ではないか(結局それかい!)

それはさておき、風間家を出た悩める指導者・依田の前に、意外な人物が現われる。
托鉢草の姿に身をやつした、丸大ハムの化身、帯庵和尚であった。
ついでに、帯庵はタイアンと読むのだが、これも元々は「スターウォーズ」のオビワンから来ているのだ。
帯庵「久しぶりじゃの、般若」
依田「帯庵様!」
依田は帯庵に助言を求めるが、結局、「唯自身の力で謎を解くのも、ヴァジュラを手にして天輪聖王と戦う宿命を帯びたものの試練ぢゃ!」と言う、あまり意味のない答えしか返ってこなかった。
依田「つまり、このままほっとけと言うことですね」
帯庵「そうぢゃ!」
天輪聖王と言うのは、いわゆるラスボスで、「てんりんしょうよう」と読む。
しかし、いきなりそんな名前を出されても、1話から欠かさず見てきた視聴者じゃないと理解できないだろう。
終盤の視聴率低下は、そんなところにも原因があったのではないだろうか。
つーか、そもそも、もう「スケバン刑事」でもなんでもなくなってるしね。

一方、翔の前には、数人の忍びが参上していた。
オトヒ「烈火衆にございます」
ミヨズ「刺客としては最も恐るべき集団」
翔はいつになく感情的に、風間三姉妹を抹殺し、雛人形を取り返して来いと厳命する。
そして翔は翔で、唯の持っていた雛人形と自分の肉体との関係に戸惑いと疑念を感じていた。つまり、翔も、唯と自分との関係については何も知らないらしいのだ。
さて、唯たちの嵐のような葛藤をよそに、星流学園では、依田が普段と変わりなく英語の授業を行っていた。
唯、授業など上の空で、ひたすら翔のことや雛人形のことを考えていたが、やがて(こうなったら、わちひとりでも!)と、決断と立ち上がり、授業中にも拘らず、教室を出て行こうとする。
依田「風間君、授業中ですよ」
唯「しゃからしかっ!」
ゴロウとヒデがすかさず追い掛けようとするが、

依田「待てーっ! 授業中だ。勝手は許さん!」
不意に、依田が、まるで別人のような口調で叱咤する。
依田もこの一件には相当頭を痛めていて、平静なようでいて平静ではなく、つい地が出てしまったのだろう。

その迫力に、ヒデとゴロウはそそくさと席に戻り、他の生徒たちも怯えた顔で依田を見詰めていた。
風呂敷に包んだ男雛を背負って、唯が校庭を駆けていると、針のようなものが飛んできて目の前の幹に突き刺さる。

だが、それは影の刺客ではなく、由真の投げたリリアン棒であった。
唯「由真姉ちゃん」
由真「何処行くんだよ?」
唯「わからん、わからんけど、わち、雛人形のこと調べてみようと思うて」
由真、再びリリアン棒を唯の足元に突き立てる。

唯「何するんじゃ、由真姉ちゃん」
由真「てめえひとりに勝手な真似させる訳にはいかねえんだよ!」
唯「なんでじゃ、わちはただこの雛人形を……」
由真「うっせえ!」
由真、唯の言葉に耳を貸さず、何度もリリアン棒を投げ付ける。
由真「やっと妹だって思えてきたのに、マジで兄弟だと思えてきたのにぃ、どう考えたっててめえと翔は訳ありじゃねえかーっ!」

由真「……」
唯「由真姉ちゃん」
由真、喋っているうちに涙ぐんでしまう。

由真「姉ちゃんなんて呼ぶんじゃねえ。てめえなんか、もしかして翔の……」
勢いに任せて由真がそこまで言い掛けた時、由真の左肩に何かがぶつかって、それを邪魔する。
無論、それは結花の投げた折り鶴だった。
結花「やめなさい、それ以上は口に出してはいけないことよ」
由真「だってえ」
唯「姉ちゃんたちは、姉ちゃんたちは……姉ちゃんたちの馬鹿ーっ!」
唯は、大声で叫ぶと、そのまま向こうへ走り去ってしまう。

結花「あの子に八つ当たりして何になるって言うのよ?」
結花、由真を別の場所に連れて行くと、改めて説教する。
由真「だって、あいつと翔は……やっぱりあいつのせいなんだよ、おやじが殺されたのはあいつのせいなんだよ!」
が、由真の気持ちは収まらず、その手を振り払ってヤケクソ気味にそんなことを叫ぶ。

結花「由真! なんてこと言うのよ!」
結花、さすがに聞き捨てならず、その顔を思いっきり引っ叩く。
由真「言いたかないよ、だけど、だけど何もわかんないんだぜ? 考えれば考えるほど頭の中が滅茶苦茶になって……悔しくて」
叩かれて草の上に座り込んだまま、恨めしそうに姉に訴えては、再び落涙する由真。
結花「私だって悔しいわよ、あんたと同じこと、考えない訳ないじゃない」
由真「……」
結花「でもねえ、唯はもっと悔しいんじゃないの? もっといたたまれない気持ちなんじゃないの? あの子の気持ち、分かってあげなくちゃ」
結花が由真の前にしゃがんで優しく諭すと、漸く由真も落ち着きを取り戻す。
……
ぐう、それにしても、こんな気の滅入るシーンばっかりだと、レビューしてても全然楽しくない。ギャグもツッコミもひとつも入れられないではないか。
と、管理人の声が届いたのか、ここでやっと動きのあるシーンになる。さきほどの烈火衆が突然彼らの周囲に現れ、次々と鎖を投げ付けて、結花と由真の体を縛り上げてしまう。

由真「姉貴!」
体を密着させた状態のまま、鎖で身動き取れなくなった二人。

続いて二人の烈火衆が、手にダイナマイトのような筒を持つと導火線に点火し、結花たちのそばに立つ。
由真「こいつら一緒に死ぬ気だよ!」
結花「まさか」
そのまさかであった。烈火衆は、無条件で自爆攻撃を行う、クレージーな集団だったのだ。
……しかし、少なくともこの場合、結花と由真の体を完全に拘束しているのだから、自爆攻撃など仕掛ける必要はなかっただろう。離れたところから、ダイナマイトを投げれば済む話である。
だが、そこへ依田こと般若が走ってきて鎖を切り、烈火衆から二人を引き剥がすと、

二人の体に覆い被さるようにして伏せる。


烈火衆はダイナマイトを手放す余裕もなく、爆発で跡形もなく吹っ飛んでしまう。
……これだけ見るとただのアホである。
しかし、このシーン、フィルムを繋いだ跡がないんだよね。つまり、烈火衆が倒れた後、一旦役者をどかせてから爆発させているのではなく、役者をその場に残したまま、ノーカットで爆発させているのだ。

依田、すぐに立ち上がって残りの烈火衆を物凄い形相でねじ伏せる。こわ……。


続いて、今度は面白い顔で烈火衆の頭上を飛び越えると言うアクションを見せる。
結局、残りの烈火衆はすべて依田の手によって倒される。
終盤、鬱陶しい展開が続くのだが、依田の活躍するシーンが増えるのが救いである。
そして萩原流行さん、何気にアクションが出来る人だと言うことが判明する。
この一連の殺陣は、ぜんぶ御本人が演じているのだ。
一方、唯は墓地へ行き、父親の墓に向かって自分の行く道を尋ねていたが、そこにも烈火衆が襲い掛かってくる。

不意を衝かれた唯、あっさり烈火衆に取り押さえられてしまう。
唯「お前ら、何モンじゃ?」
頭領「烈火衆」
唯「レッカー車?」
頭領「いや……烈火衆」
唯「レモンスカッシュ?」
頭領「烈火衆!」
唯「加齢臭?」
頭領「……ごめん、俺、悪いけど先に帰るわ」
部下「ちょっと、頭領!」
じゃなくて、
頭領「貴様の命ももうすぐ終わりだ、この二人が共をしてやる。自爆を以て敵を巻き込み、倒すのが我ら烈火衆!」

烈火衆の頭領の言葉に、(求人広告に人が来なくて大変じゃろうな……)と、思わず同情してしまう唯であった。
だが、ここで「貴様の父、小太郎も、我らが倒した!」と余計な自慢をしてしまった為、

唯「父ちゃんを? お前らが?」
戦う意欲を失いかけていた唯の怒りを呼び覚ましてしまう。
唯「許さん、許さん!」
唯、器用にヨーヨーを操って敵の手から逃れ、ジャンプしてその場所から離れる。

結花たちの時と同じく、烈火衆は単なる自爆で果ててしまう。
しかし、よく墓場でこんな撮影が出来たなぁ。

頭領、それならばと、手にダイナマイトを持って唯目掛けて突っ込んでくる。
一見、ただのアホにしか見えなかったが、さすが頭領だけあって、唯の投げたヨーヨーを瞬間移動でかわすと、

その背後に現われて、唯を羽交い絞めにする。
絶体絶命のピンチであったが、ここで結花と由真が駆けつけ、なんとか頭領を唯から引っぺがし、

頭領も、オ○ニー的自爆で果てるのだった。
……
烈火衆、どこが「最も恐るべき集団」だったのだろう?
だいたい、「これから自爆しますわよ、オホホホ」と言わんばかりに、点火したダイナマイトをこれ見よがしに持ってる時点で、標的に逃げられるよね。

烈火衆の敗北を知らされた翔の前に、あの魔破羅が現われる。
魔破羅「お方様より命を受け、今日より姫様の片腕となりまする」
翔「お方様が?」
魔破羅「まずは手土産に、面白いものをご覧に入れましょうぞ」
魔破羅、挨拶代わりに一発芸でもやるのかと思いきや、ずかずかと雛人形の前に踏み込むと、女雛を掴み、その体に隠されていた梵字……翔の額に浮かび上がるものと同じもの……を翔たちに見せる。
同じ頃、由真が男雛の背中に唯と同じ梵字が記してあることを発見していた。
唯もそれを見て、「なんでじゃ、なんでじゃ、なんでじゃ!」と、叫び続けるのだった。
ああ、やっと終わった。しんどかった。
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