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「好き!すき!!魔女先生」 第2話「トンテンカンとんちんかん」

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 第2話「トンテンカンとんちんかん」(1971年10月10日)

 シリーズ中の傑作のひとつであるが、ひとつ残念なのは、1話の予告で、ナレーターの天地総子氏がストーリーをほぼ全部バラしちゃってることである。

 自分にとってライフタイムベストの本作であるが、無論、不満もいくつかあり、このナレーターがちょっとうるさく感じられる点もその一つ。それでも序盤はまだ大人しい方である。

 冒頭、5年D組で旗野先生が出席を取っている。

 もっとも、彼の担任はC組で、D組はひかるのクラスの筈なのだが……。

 そのひかるは、教頭に案内されて校内を見て回っていた。このドラマ、その辺は割りと適当で、同じ生徒が回によってC組だったりD組だったりすることもしばしばである。

 ここは、まだ赴任したばかりのひかるに代わって、旗野先生がホームルームを担当しているのだ、と言うことにしておこう。

 そのD組の教室の後ろからこっそり入ってきたのは、遅刻の常習犯であるタケシであった。

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 が、旗野先生はとっくにお見通しで、四つん這いになって入ってきたタケシの前に、バットを振りかざして立ちはだかる。

 旗野「今月、貴様、5回目の遅刻だろ?」
 タケシ「えーっと、6回目です」
 旗野「バカモン!」

 タケシを演じるのは同時期に「帰ってきたウルトラマン」のレギュラーをしていた川口英樹さんである。

 今回はゲスト扱いだが、途中から事実上のレギュラーとなる。

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 教頭「はぁ、また剥がしとる。廊下は静かに歩きましょう。近頃はね、どうもこの規則を破る生徒がおりましてな。月先生も見付け次第、厳重に注意してやって下さいよ」
 ひかる「はい」

 一方、ひかるは、前述したように教頭に案内されて校内を歩いていた。

 と、突然建物が激しく揺れ動き、教頭を驚倒させる(シャレじゃ、笑えよ)。

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 教頭「とうとう来たか、関東大地震だ! 退避ーっ!」

 教頭、地震だと思い込み、無声映画のキャラクターっぽい動きで廊下の向こうへすっ飛んでいく。

 こういうところ、やっぱり牧冬吉さんは上手い。

 ひかるは全く動じず、「教頭先生も(規則を)破ってるわ」と、呆れながら見送る。

 それは地震ではなく、旗野先生のバットによる振動であった。

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 旗野「眠かろうが、つらかろうが、断じて遅刻をするな。それが学校と言う共同社会のルールだ、いいか、共同社会のルールを破ってそれを誤魔化そうとする根性が俺は許せん! 分かったか?」
 タケシ「はっ、はい、分かりました」
 旗野「ようし、席に着け」

 節目節目で黒板をバットで叩きながら目玉をひん剥いて説教している旗野先生。

 序盤では、旗野先生はなかなかのスパルタ教師なのだが、徐々に丸くなっていく。

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 もっとも、ここでも、ガミガミ怒鳴り散らした後、語調を和らげて、

 旗野「それでも遅刻した場合は、前の入り口から堂々と入るんだ。そして謝るんだ。俺にじゃないぞ、みんなに謝るんだ。みんなが許してくれたら俺も目をつぶろう」

 と、囁くように諭すなど、厳しいだけの先生でないことを示している。

 旗野「その代わり今度犬みたいな格好で入ってきてみろ。貴様の頭でホームランかっ飛ばすぞ!」

 最後にもう一度怒鳴りつけ、思い切りパットを振り上げる旗野先生。そこで、教室の前の入り口からひかるが入って来る。

 ひかる「旗野先生」
 旗野「あ、いえ、ご心配なく。脅かしですから、単なる脅かし……」

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 ひかる「一番驚いたの、教頭先生ですわ」
 旗野「は?」

 ひかる、笑いを含んだ声で指摘する。

 いやぁ、この顔、めっちゃ可愛い。

 菊容子さん、結婚したいくらい魅力的な女優(女性)なのだが、それほどフォトジェニックとは言い難いので、意外と綺麗な画像をキャプするのは苦労させられるのである。

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 進「あの先生、頭に来るとすぐバットを振り回すんです」
 ひかる「ずいぶん物騒ねえ」
 ハルコ「大学で4番バッターなんですって、だからあだ名がバットマン」
 ひかる「うふん、正義の味方か」

 放課後、進、ハルコと一緒に帰宅中のひかる。

 東西学園の教師は、何故かいつも生徒たちと同じ時間帯に帰ってしまうことが多い。

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 進「でもその割にカラッとしてるよね」
 ひかる「じゃあ先生としてはまあまあってこと?」
 進「そうだなぁ、何て言ったらいいかな?」

 大人びた物言いで応じる進。

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 ハルコ「月先生のほうがずっと素敵よ!」

 首を傾げながら、ひかるを賛美するハルコちゃん。うう、可愛い。

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 ひかる「ゴマすっても点上げないわよ。うふっ」

 ハルコのお下げ髪に触りながら、冗談で返すひかる。

 こういう、なんてことのないやりとりすら、管理人は大好きで、つい何度もDVDを繰り返してみてしまう要因となっている。

 それにしても、このひかるの仕草、撮影の合間にも、菊容子さんがお姉さんのように子供たちに接していたのだろうと言う想像を掻き立ててくれて、激萌えである。

 ま、実際のところは当時の子役たちに聞かないと分からないんだけどね。ほんとはすげー子供嫌いだったりして(涙)。

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 ひかる(平均的地球人、ふむ、マークするのに適当だわ)

 ひかる、生徒たちの言葉を聞いて、宇宙連合平和監視員の任務として、旗野先生を観察することにする。

 ひかるはそもそも、地球人が宇宙の平和を乱す存在か否かを調査する為にやってきたのである。

 もっとも、それも回が進むにつれて有名無実化して行き、そのうち「子供たちを怪人からを守ること」みたいな平凡なものに変わってしまうのだが。

 その夜、ひかるは竹薮に囲まれた下宿の離れの縁側に立ち、月の母船からのムーンライトパワーを補給しようとするが、寸前でバルが慌てて止める。

 好奇心旺盛なきよばあさんが望遠鏡でこちらを覗いているのに気付いたからである。

 ひかるがきよに話しかけると、きよは決まり悪そうに母屋に引き揚げていく。

 バル「うるさきは女心じゃ。地球でもみんなああなのかね。エネルギー波受信の度にこれでは先が思いやられる。いっそ拠点を変えてはどうじゃな?」
 ひかる「その必要はないわ。物見高いけどとてもいいおばあさんよ。それにおじいさんだって」
 バル「はん、あんたの言葉を聞いておると、地球人はいい奴ばかりじゃわい。贔屓し過ぎるぞ」

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 ひかる「バル、怒らないで。旗野先生を調べる時はね、公平にクールに冷静な目でレポート作るから、ねえ、もうご機嫌直して、宇宙一うるさいおじいさん!」
 バル「う、うん、へっへへへへ」

 ひかる、壁の奥の秘密の部屋で文句を言うバルに向かっておもねるように話し掛ける。

 さて翌朝、プレハブ小屋にトタン板をくっつけたような、タケシの自宅。

 タケシの家には父親がおらず、母親が女手一つで4人の子供を育てていた。

 母親(楠トシエ)は、職場が遠いので朝早く出なければならず、長男のタケシに食事の片付けや弟妹たちの世話をさせていることを常日頃気にしていた。

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 タケシ「お前たち、気をつけていけよ」

 母親が先に仕事に行った後、弟たちを送り出すタケシ。

 タケシ、旗野先生からあれだけ言われていたので今日こそは遅刻しまいといつもより急いで身支度を整える。

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 だが、図工の宿題の家の模型を持っていくのに気を取られ、コンロにやかんが掛けっぱなしになっていることには気付かないまま家を出てしまう。

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 タケシ、途中の原っぱでガキ大将の正夫に話し掛けられる。

 正夫「おい、小島」
 タケシ「あ、タツノオトシゴだ。学校は?」
 正夫「まだ始まりやしないよ、ほら、な、だから遊んで行けよ。お前と勝負したくて待ってたんだよ」

 正夫、同じメンコ名人のタケシとメンコの勝負をしようと迫る。

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 タケシ「遅刻しちゃうよ」
 正夫「構うもんか、どうせ毎日遅刻してるくせに」
 タケシ「やだ!」
 正夫「ちょっと待てっつんだよ、小島! この野郎!」

 タケシ、拒否して逃げ回るが、ひとまわり体格の大きな正夫にはかなわず、たちまち捕まってしまう。

 実際、正夫の藤江さんの方が3つも年上なんだけどね。

 正夫「俺は東西学園メンコ名人、お前は名誉十段じゃねえか」

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 ひかる「あっはははははっ、誰が名人ですってえ、あんまり笑わせないでよ竜村君、憚りながらこの月ひかるを忘れちゃいませんかってんだ!」

 と、横から弾けるような笑い声がしたかと思うと、いつの間にかひかるが立っていて、得意のべらんめえ口調で割って入る。

 正夫「先生もやんのか」
 ひかる「貸してごらん。えいっ」

 ひかる、正夫のメンコを地面に叩きつけると、その衝撃で地震が起き、二人とも尻餅をついてひっくり返る。無論、ムーンライトリングによる超能力である。

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 ひかる「タケシ君」
 タケシ「はいっ」

 茫然と立ち上がるタケシに、ひかるが声を掛けて促す。

 ひかる、急いでいるタケシを正夫から解放してやろうと助け舟を出したのだ。

 タケシ、嬉々として落ちている模型の家を拾うと、それを抱えてさっさと学校へ行こうとする。

 正夫「おい、ちょっと待てよ!」
 ひかる「勝負!」

 すかさずひかるが勝負を挑み、正夫もメンコ名人の誇りがあるので、つい応じてしまう。

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 ひかる「いざっ!」

 ひかる、メンコに軽くキスしてからもう一度地面に叩きつける。

 今度はメンコが燃え上がり、近くを走っていた自転車の男性まで衝撃で倒れてしまうほどの威力だった。

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 ひかる「つまり摩擦によって熱を発したのね。理科で習ったでしょ、オトシゴ君? うん?」

 ひかる、唖然として座り込んでいる正夫に済まして言うと、メンコを放り投げて行ってしまう。

 一方、タケシはひかるのお陰でかなり早く学校に到着することが出来た。

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 太一「やあ、おはよう小島君」
 タケシ「つぶれちゃうよ」
 太一「あ、この家、穴が開いてるよ」
 タケシ「ええっ?」

 中庭で、クラスメイトの丸木太一、通称マルタンボウと会ったタケシ、太一から指摘され、初めて窓の部分の紙が剥がれていることに気付く。

 タケシ「タツノオトシゴが……ちくしょう」

 先ほど、正夫から逃げようとして模型を放り出した際に、破れたらしい。タケシ、その場にいない正夫に向かって悪態をつく。

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 太一「セロテープ貸そうか?」
 タケシ「それじゃ透き通っちゃうよ」
 太一「ううん、そうだ、このメンコ貼ったら飾りだと思って」
 タケシ「うん」

 教室に行く途中、それをどう補修しようかと真剣に悩む二人。

 結局、太一のアイディアで怪獣のイラストの描かれたメンコを裏返しにして貼ることにする。

 太一、図体の割りに神経がか細いが、誰とでも仲良くなれる気のいい少年なのである。

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 やがて始業のチャイムが鳴り、旗野先生が職員室からやってきて、D組のガラス戸から中の様子を窺い、言われたとおりちゃんとタケシが着席しているのを見てにんまりする。

 しかし、やっぱりこのクラスはD組らしい。

 では、ひかるは今、何処にいるのだろう?

 ま、この点をあまりしつこく追及しても誰も得をしないので今日のところはこのくらいにしといたるわ。

 タケシ「先生、僕、遅刻しなかったよ」
 旗野「バカモン、そんな当たり前のこと自慢するな」

 旗野先生が教室に入ってくるなり、立ち上がって誇らしげにアピールするタケシ。旗野先生は、わざとしかつめらしい顔をしてたしなめる。

 旗野「しかし、今日は非常に爽快な気分で授業が始められる。おはよう」
 生徒たち「おはようございます」
 旗野「うーん、気持ちいいー」
 教頭「旗野君、旗野君!」
 旗野「折角気分が盛り上がったのに……」

 旗野先生が朝の挨拶をしていると、教頭が入ってきて慌てた様子で手招きする。

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 教頭「あのね、小島と言う生徒をすぐ帰しなさい。家が燃えてる」
 旗野「え? 本当ですか」

 教頭から意外なことを耳打ちされた旗野先生、思わず、何も知らずに模型の家をためつすがめつしているタケシの顔を見遣る。

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 無論、東映はあまり特撮ドラマに金をかけないので、火事の映像は出て来ず、次のシーンではタケシたちが半焼した自宅に悄然として帰ってくる様子が描かれる。

 母親「あ……、あら、あら」
 タケシ「母ちゃん、ごめんね」
 母親「はぁらーっ」

 人に厳しいが自分にも厳しい旗野先生は、タケシの家が火事になったのは、自分が遅刻するなとタケシに強く言ったせいだと責任を感じ、その修繕費に充てようと、校長に給料の前借りを頼んだり、用務員の山部に借金を申し込んだりする。

 山部はああ見えてちゃっかりしていて、金を貸してくれるが、きっちり旗野先生からカタ(担保)を取る。

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 CM後、借金のカタとして、山部にスーツとズボンを巻き上げられた旗野先生が、ランニングシャツとトランクスと言う寒々しい格好で校舎から出てくる。

 旗野「ハックション!」
 生徒「先生、どうしたの?」
 旗野「なんでもない、さよならー」

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 ひかる「遅いわね、旗野先生、いつもこの時間に帰るのに……んまっ、地球人って気まぐれだわ」

 ひかるは、門の前で旗野先生が出てくるのを待っていたが、

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 やがて、その旗野が下着姿で歩いて来たのを見て、思わず「キャッ!」と、小さな叫び声を上げる。

 ……

 ちくしょう、可愛いじゃねえかよぉっ!(何を怒っとるんだ、おまいは?)

 旗野先生も一瞬引き返し掛けたが、後ろの女子生徒に押され、やむなくひかるの前にやってくる。

 旗野「いや、これはあの、追い剥ぎにあったんじゃないんです、誤解のないように、ハッ、イッチニッイッチニッ……」

 旗野先生、照れ隠しに自分で掛け声を発しながらランニングを始める。

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 ひかる「地球人としてもレベル以下かしら? 待って、先生!」

 呆れたようにしげしげとその後ろ姿を眺めていたひかる、慌ててその後を追いかける。

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 そして、長い下り坂を、二人並んでピョンピョンももを上げながら走り降りると言う、シリーズ中でも好きなシーンのひとつとなる。

 このドラマ、屋外の撮影は東映の生田撮影所から遠くない川崎市多摩区や東京都多摩市あたりで行われていたのではないかと思うが、地理不案内の管理人には良く分からない。ただ、いかにも多摩丘陵らしい、こういう長い坂道がしょっちゅう出てくるのである。

 ちなみにこの坂は、この前、管理人がレビューしようとして挫折した「帰ってきたウルトラマン」第15話で、高野浩幸氏と川口英樹氏がアメリカンクラッカーで遊んでいた坂で、ついでに高野氏が「超人バロム1」の撮影の合間に自転車で遊んでいて転んで怪我をした坂でもある(確か)。

 ひかる「まあ、呆れた。タケシ君の家が焼けたのをご自分のせいになさるおつもり?」
 旗野「当然です、あいつは僕の指示を守って遅刻せずにやってきた。その結果、台所がおろそかになり、小火を出した」
 ひかる「だから修理代を出そうとなさったのね、地球人て単純ね」
 旗野「単細胞、結構、僕は僕の道を走ります」

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 旗野「しかし、月先生はタフですねえ」

 旗野先生、大学では野球部に所属していて、専門は美術だが、なかなかのスポーツマンなのである。その旗野をして感心せしめるひかるの体力も馬鹿にならないものがあった。

 実際、菊さんは番組の路線変更後は、初の女性変身ヒーロー・アンドロ仮面としてしっかりアクションをされているし、後の「変身忍者嵐」でも、くの一として野山を駆け回っておられたから、かなり運動能力の高い人だったと思われる。

 旗野、ひかるにまで借金を申し込むが、

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 ひかる「お金なら心配しなくていいんです」
 旗野「ええっ?」
 ひかる「タケシ君のお母さんの勤め先は建材店でしょ。同情したご主人が余った材料、下さったんですって」
 旗野「はぁー」

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 ひかる「だから、後はそれを使って建てる人手だけ……旗野先生の専門は確か図工でしたわねえ」
 旗野「あ、そうか、そうか、じゃ、工作の要領で小島の家を建てりゃいい訳だ」

 旗野もすぐひかるが言わんとしていることを理解する。

 しかし、大工仕事と図画工作とでは、全くの別物だと思うけどね。

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 旗野「実に素晴らしいアイディアです。ありがとう……」

 旗野、感激して思わずひかるに急接近する。

 と、「へへへへっ」と冷やかすような下品な笑い声が横合いから飛んできて邪魔をする。

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 見れば、近くの茂みの中に正夫、進、ハルコのレギュラー三人がいて、二人の様子を覗き見していた。

 正夫「バットマン、俺たちに遠慮することねえんだぜ?」
 旗野「この野郎!」
 正夫「うわー、逃げろー!」

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 大人をからかう三人を、旗野が怒鳴って追いかけようとすると、三人は脱兎のごとく坂を下っていく。

 ハルコは真面目で優等生なので、正夫たちと一緒にこんなことをするのは極めて珍しい例である。

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 その後、原っぱを話しながら歩いている正夫たち。

 進「ねえ、君たち、そう思わない? 月先生って不思議だなぁ」
 正夫「思うよな、月先生が来てからよ、お前みたいな弱虫が俺と決闘したんだもんな」
 ハルコ「小島君だって遅刻しないで済んだしね!」
 進「月先生には何か秘密がある。そんな気がするんだ、僕」

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 正夫「秘密かあ、どっかのスパイかな」
 ハルコ「まさか」
 正夫「だって、小説や漫画読んでも、女スパイはみんな美人じゃねえか!」
 進&ハルコ(だからなんだよ?)

 さて、旗野先生は張り切って、さっそく図工の要領で小島家の修繕を開始していた。

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 旗野「こいつとそっくり同じ形にひと月以内に仕上げて見せます」
 タケシ「先生、ほんとに雨の漏らない家、出来るのか?」
 旗野「馬鹿、先生を疑うとはけしからん」

 旗野先生、小島一家に対し、タケシの作った模型とそっくりに立て直して見せると宣言するが、早くもタケシは懐疑的な眼差しを向ける。

 はっきり言って、旗野先生が借りたお金で、本職の大工さんを雇った方が簡単だと思うんですけどね。

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 タケシ「だいぶ違うなぁ」
 旗野「うるさい、お前の工作が下手だからだ!」

 果たして、どう見ても模型とはかけ離れた内装になっていくのを見て、タケシがぽつりと疑念を漏らすが、こともあろうに旗野は、それをタケシの工作のせいにするのであった。

 しかし、まあ、旗野先生のキャラクター造型ひとつとっても、同時期の「仮面ライダー」などとは段違いの深さと奥行きが感じられる。

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 その後、工事(?)の完成具合を見に、ひかる、そして正夫たちが小島家を訪れる。

 正夫「大したことねえな、月先生」
 ハルコ「そうね、張り切ってんのバットマンだけだもん」
 進「何か奇跡が起こるかと期待してたんだけどなぁ」

 正夫たちは玄関口に立って、みすぼらしい内装を見回して無遠慮な声を上げる。それでも、壁は塞がって、窓もちゃんと元通りになっているのだから、本職の大工でない旗野先生の仕事としては大したものではあるのだが、事前の期待が大きかったせいで、彼らの目にはそう映ってしまうのだ。

 もっとも、今回ひかるは全くノータッチなので、「奇跡」を期待する方が間違っているのだが。

 旗野「こらっ、そこの三人、たっとるだけか?」

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 正夫「あっ、いけね!」

 目ざとく旗野先生に注意されて、三人とも思わず顔を伏せる。

 特にこの時のハルコちゃんの、ペロッと舌でも出しそうな照れた顔がめっちゃ可愛いのである!

 旗野「月先生、あなたもお願いします」
 ひかる「はぁーい、人類のオスって横暴なのね」

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 と言う訳で、その場にいる全員力を合わせて片付けや掃除を行うことになる。

 何が嬉しいってあーた、70年代のドラマは、基本的に大人も子供もミニスカなのが嬉しいのであります!

 一方、部屋のラジオが、台風の接近で、今晩から大荒れの天気になることを告げていた。

 タケシ「先生、台風が来るんだって、家倒れない?」
 旗野「こいつー、よし、耐久力テストだ」

 旗野先生、自分の作った家の頑丈さを試そうと、正夫と部屋の真ん中で相撲を取るが、案の定、それだけであっさり梁が落ちてくる。

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 「ダメだこりゃ」と言う風に、目を丸くして溜息をつくひかるとハルコ。

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 タケシ「先生……」
 旗野「うん、やもえん、今夜一晩、お前たち家族はどこか他所へ泊まれ」
 タケシ「じゃあ先生は?」
 旗野「無論、責任上、俺はこの家で頑張る!」

 さすがの旗野もこのまま小島一家を住まわせるのは危険だと判断する。

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 その夜、予報どおり台風の暴風圏内に入った小島家は、容赦なく雨と風を叩きつけられ、今にも押し潰されそうな頼りなさであった。

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 同じ頃、小島一家は何故かひかるの借りている離れで寝ていた。

 しかし、よりによって一番狭いひかるの部屋を選ぶとは、いささか無理のある展開である。それこそ、今夜は誰もいない旗野先生の家に行けばいいのである。

 それはそれとして、ひかるの部屋に他人が寝泊りするのはこれが最初にして最後のケースとなる。

 隠し部屋にいるバルは、壁越しに聞こえてくる子供たちのいびきや寝言に気も狂わんばかりに悶えていたが、そのうち、いつの間にかひかるの気配が消えているのに気付く。

 バル「はてな、姫は何処に行かれた、姫?」

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 旗野「おお、倒れん、倒しはせんぞ、この俺がいる限り!」

 旗野先生、ガンガン雨漏りのする部屋で、周りにバケツやたらいを並べ、傘を差して頑張っていた。

 と、強風で木が飛んできて窓を突き破るが、旗野は挫けずにちゃぶ台をバリケードにして窓を塞ごうとする。

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 そしてその様子を、テレポーテーションで様子を見に来たひかるが、壁際に立って切なそうな、悲しそうな目で見詰めている。

 痛々しいほどの奮闘ぶりを見ているうちに、ひかるはなんだか泣き出しそうになるのだった。

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 やがて、旗野は角材か何かが頭に落ちてきて、あえなく気絶してしまう。

 ひかる「単純だけど頑張り屋、最後まで滑稽なほど責任を貫こうとする。これが地球の人間なら私たちも見直さなくては……」

 ひかる、タケシの模型の家に目を留めると、おもむろに「ムーンライトパワー」を発動させる。

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 そして、模型の家をどんどん大きくしていき、最初のみすぼらしい家を、鉄筋コンクリートの真新しい2階建ての家と入れ替えてしまう。

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 旗野「いてえなぁ、いつの間にか眠っちまったんだな」

 翌朝は台風一過の秋晴れとなる。

 漸く目覚めた旗野先生がぼんやりと室内を見回していると、タケシたちが元気良く雪崩れ込んでくる。

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 タケシ「先生、凄いや、あの嵐にびくともしなかったんですね」
 母親「まぁ、ええ、だから母ちゃん言ったろ、先生様は嘘つかねえって」

 母親も、見違えるように立派になった内装を見て、ホクホク喜んでいる。

 ま、いくらなんでもありえないことなのだが、小島家の人たちは細かいことは気にしないたちなので、深く怪しむこともしない。

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 旗野「なんて言うか、その……しかし、我ながら良く出来たなぁ」

 タケシの弟をおんぶしたまま立ち上がった旗野、不思議そうな顔で室内を見渡す。

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 母親「あらーっ!」

 ところが、一点だけ、ひかるも手抜かりをしていた。あの、太一が貼ったメンコも、そのまま巨大化されて壁に大きな怪獣の絵が描かれることになってしまったのだ。

 この辺の伏線も見事である。

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 タケシたちは外へ出て、その立派な外観に見惚れていた。

 旗野「どうなってんのかなぁ?」

 少し離れたところから、正夫たちもその「奇跡」を驚きの目で見ていた。

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 ハルコ「信じられないわ、嵐に洗われて立派になるなんて」
 進「月先生だよ、きっとあの先生が奇跡を起こしたんだよ」
 正夫「さもなきゃ、バットマンの建てた家なんて残ってる訳ねえもんな」

 三人は顔を寄せ合って何やらヒソヒソ相談していたが、その夜、今度こそひかるの正体を突き止めようと敷地に入り込み、離れのひかるを監視する。

 だが、そこを主人である竹取武右衛門に見付かり、竹薮の中へ連れて行かれる。

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 武右衛門「なるほど、それで先生が姿を見せると、物事が丸く収まる。それが不思議だと言うんだな」
 正夫「はい」
 武右衛門「先生の正体突き止めて、どうする気だ?」
 正夫「さあ、それは」
 ハルコ「別に」

 改まって聞かれると、返答に困る三人であった。

 武右衛門「では、不思議は不思議のままが一番良い。いつもわしはそう思うことに決めておる。そうだ、かぐや姫先生とでも思うてはどうだな?」
 ハルコ「かぐや姫?」
 武右衛門「とかく、理屈で割り切る世の中に、ひとつくらい不思議があったほうが住みやすいと思わんかね」

 この武右衛門の素敵な言葉で、正夫たちはこれ以降、ひかるの正体を無理に突き止めようとはしなくなる。そして同時に、この台詞は、この番組全体の基本的なスタンスを表現しているようにも聞こえる。

 ハルコ「かぐや姫先生」
 進「かぐや姫先生」
 正夫「かぐや姫先生!」

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 ラスト、月からのエネルギー波を受信し終えたひかるが、竹薮の向こうから聞こえてくる「かぐや姫先生ーっ!」と言う呼び声に、笑顔で振り向いたところで「つづく」のであった。

 これをきっかけに、正夫たちはひかるのことを折に触れ、「かぐや姫先生」と呼ぶようになる。
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Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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