第25話「微笑む女神」(1985年3月30日)
花園での優勝を目指して猛練習に明け暮れている川浜ラグビー部。
滝沢は、マークと相談して、控えのバックスだった矢木をフォワードにコンバートすると言う「大胆な」試みを行う。……しかし、視聴者にとっては割とどうでもいいことだった。

光男「おい、もっと腰落とせ!」
勝「もっと押せ押せーっ!」
例によって、グラウンドの外には異様に出席率の高いOBがいて、選手たちにヤジ、いや、檄を飛ばしていた。
こうして見ると、まるで二人とも現役時代、名プレーヤーだったような錯覚を覚えるが、では、ここで二人の輝かしい戦歴を振り返ってみましょう。
光男……相模一高に119対0で負けた時の主将。全国大会出場経験なし。留年経験あり。 内田勝……公式戦全敗。3年の時、光男たちをいじめまくっていた。顔が老けている。 だから、全国大会出場どころか全国優勝を狙っている選手たちからすれば、「うぜえおっさんたちだなぁ」と言うのが正直な気持ちだったのではないだろうか。
あと、光男がまたしても「ハハハハ」セーターを着ているが、他に服持ってないんか?
それはともかく、滝沢にとって気掛かりなのは、主将でありチームの大黒柱である平山の負傷が完治せず、その類まれな能力をフルに発揮できないでいることだった。
言い換えれば、能力をフルに発揮できさえすれば、平山が死のうが生きようが知ったこっちゃないということである(註・ありません)。
他にも、二代目「失言大王」の異名を取る栗原が、しばしば右肩を脱臼するようになっていたことも、滝沢には不安材料となっていた。

練習中にも右肩を脱臼して、マネージャーの明子に関節を入れて貰っている栗原。
「どうなら清美さんに……」と栗原が思っていたことは言うまでもない。

明子「あたいたちも上手くなったもんね、将来、整形外科のお医者さんになるかな」
患者を手術した医者のように、意気揚々と引き揚げる明子。

清美「何暢気なこと言ってんのよ、もし試合の最終に外れたらどうすんのさ?」
清美、真面目な顔で指摘するが、その声が思いっきり鼻声なんだよね。
山本理沙さんがお風邪を召しておられたのだろう。勿論、くしゃみの音は
「くしゅん!」である。
さて、チームに対する周囲の期待は当然膨らみ、あたかも優勝することが既定の事実のように思われているほどであった。

ナレ「しかし、その期待が膨らめば膨らむほど賢治の不安も増大していた。負傷しているのは平山と栗原のほかにまだいた。いや大袈裟に言えば、チーム全員がどこかに故障を持っていた。その中で優勝と言う十字架を負わされた彼らが果たして平常心を保ったまま、戦い抜くことが出来るであろうか。滝沢賢治の眠れぬ夜が続いていた」
ナレーターが、行け行けムードの外野をよそに、滝沢の人知れぬ苦悩を重々しく代弁する。
なお、滝沢の向かって右にいるのは、たまたま映画のプロモーションの為に来日していたサモ・ハン・キンポーである。
翌日、何故か滝沢は、後をマークやOBたちに任せ、生まれ故郷(どこか知らん)の漁村に立っていた。
なお、昨日も今日も、光男と勝はグラウンドに立っております。働く気は全くないようです。

滝沢が、冬の荒々しい海に突き出た桟橋に立っていると、思いっきり老けメイクをした小笠原良智さんが背中から声を掛ける。
そう、滝沢の恩師・藤山洋一である。
藤山「滝沢君」
滝沢「先生、どうもお久しぶりです。すいません、こんな寒いところに」
藤山「いやいやいや……で、私に相談と言うのは?」
もっとも尋ねるまでもなく、藤山には、滝沢が全国大会を前にして助言を求めに来たことは、その憔悴した頬を見れば一目瞭然だった。

藤山「何をそんなに悩んでおるんや。君はやるだけのことはやった。後はもう結果など心配せんと、君の愛する子供たちを信じてやればええんや」
滝沢は、今まで何度か出て来た藤山の、中学時代に言われた言葉を回想する。
藤山「ええか、愛とは相手を信じ、待ち、許してやること……」 滝沢「信じ、待ち、許す。そうですね、先生」
藤山「そうや、信じ、待ち、許す……」
結局、藤山は昔の鉄板ネタ以上の助言はしてくれなかったが、何故か滝沢は
「目からうろこが落ちた思いで川浜に帰った」のであった。
そして滝沢は、もし花園で城南工大とぶつかった場合、複数で一人の敵と当たるよう大胆な策を案出する。
滝沢「場合によっては自分のマークを捨てても負けているところに応援に行くんだ」
清川「でも先生、もしそれで失敗したら?」
滝沢「そうだ、もし失敗したらもろに穴が開くな。つまりこいつはセオリーを無視した捨て身の作戦だ。それでもやらなきゃならん時がある。城南に勝つ為にはそれぐらいの覚悟が必要だ」
平山「先生の言うとおりだ。失敗を恐れていたんじゃ何も出来ない」
矢木「よおし、一丁やってみますか」
平山「試合中は出来るだけ俺が指示を出す。だが、場合によってはお前たち一人一人の判断で自由に動いてくれ。責任は俺が持つ」
正直、具体的にどうするのか
さっぱり分からないのだが、多分、言ってる彼らも良く分かってなかったと思うので、特に気にする必要はない。
それより、ここは、かつて主将になることさえ拒否した平山の頼もしいリーダーシップぶりに滝沢が目を細める……と言うシーンが重要なのである。
打てる手は全て打つ主義の滝沢は、明日は大坂へ出発しようかと言う日に、部員たちを引き連れてとあるお寺の門をくぐる。

滝沢は、清美と明子を除く全員を本堂に正座させ、全員に団扇太鼓を持たせ、暗闇の中、それをひたすら打たせると言う訓練を行う。
滝沢「黙想……行くぞ」
滝沢の合図で、部員たちは訳が分からないまま、団扇太鼓を撥(バチ)で叩き始める。
最初はリズムもばらばらで、中には退屈のあまり欠伸を漏らす部員もいたが……。

清美「あれ? 太鼓の音、ひとつになっちゃったねえ」
明子「みんな居眠りしちゃって先生一人で叩いてるんじゃない?」
12月末だと言うのに、セーラー服一枚で、本堂から締め出されて座っている二人。
これじゃ風邪も引くだろう。

不審に思った二人がこっそり中を覗いてみると、そうではなく、滝沢と部員たちの叩くリズムが完璧に一体化していたのだった。
ナレーターは
「それはまさしく、全員の心がひとつの太い絆で結ばれた証明であった。またひとつ賢治の心に勝利への確信が深まった」とサルまん的に断言するのだが、同じ場所で長いこと一緒に叩いていれば、どんな集団だってそのうち同じリズムになるんじゃないの?
それを「絆」などと言う、形而上的な美辞で飾り立てられると、さすがにげんなりしてしまう。
正直、藤山との再会も、このシーンも別に必要ないよね。と言うか、無理に話を作ってなんとか尺を埋めようとしているようにしか見えないのである。
だが、その夜、

節子「火事?」
滝沢「ああ」
節子「どのあたりかしら」
滝沢「おい、あれ、クリーニング屋の方向じゃないのか? ジャージをクリーニングに出してるんだ!」
節子「なんですってえ!」(どうでもいい)
サイレンの音に起き上がり、窓を開けて火元の方角を窺っていた滝沢、不意に不吉な予感に襲われ、現場を見にアパートを飛び出す。

滝沢「すいません、燃えてるの何処ですか?」
尾本「せ、先生!」
滝沢「お、尾本!」
尾本「吉村クリーニング店が丸焼けだ!」
たまたま、その現場に出動したのが、元ラグビー部員で、現役時代、光男たちをしばきまくっていた尾本であった。
滝沢の予感は的中し、ラグビー部員たちのユニフォームは、吉村クリーニング店と一緒に紅蓮の炎に包まれてしまったのである。
翌日、グラウンドに部員や教師たちが集まって、善後策を協議している。

清美「だから、だからやっぱり私たちが洗えば良かったのよ!」
明子「あんまりだよ、折角の全国大会だからたまにはクリーニングに出した方がいいって、無理して部費でやり繰りまでしたのに!」
自分たちの責任だと、涙ぐんで叫ぶ清美たち。
で、それに対する滝沢の言葉が、
「泣くな、泣いても始まらん」 と言う、教育者とも思えない、思いやりのかけらもない酷薄な台詞だった。
コイツ、藤山先生に言われたこと、ほんとに分かっているんだろうか?
ここは、せめて「泣くな、誰の責任でもない」くらいのことは言ってあげて欲しかった。
と、尾本に連れられて、吉村クリーニング店の店主がお詫びに駆けつける。火災の原因については何の言及もされていないが、クリーニング店の失火だったのだろう。
……と言うか、煎じ詰めれば、大映ドラマのスタッフが犯人なんだけどね。
彼らはドラマを盛り上げる為なら、平気で人の家に火をつける連中なのである。
吉村「申し訳ありません!」
来るなり土下座して謝罪する吉村に対し、
勝「申し訳ないで済むと思ってんのかぁーっ!」 いの一番に怒号を放ったのは、公式戦全敗と言う輝かしい記録を持つOBの内田勝であった。
矢木「俺たちのジャージ、どうしてくれんだよぉーっ!」 続いて、吉村に掴みかかり拳を振り上げたのが、かつて廃部寸前の相撲部をポイと見捨てて人気のあるラグビー部に鞍替えした矢木であった。
滝沢「やめろ、誰も火事を出したくて出したんじゃないんだ」
光男「だけど、先生、このジャージはイソップが花園で勝つことを祈ってデザインしたもんなんですよ!」

光男の口からイソップと言う名前が出た途端、清美たちも、甘利先生たちも、

どさくさ紛れに、イソップと会ったことのない部員たちも、一様にシュンとしてしまう。
ま、イソップの回想シーンに合わせて、ナレーターが、現役選手たちも、イソップのことは(滝沢や先輩たちから)聞かされて知っていたと説明してるんだけどね。
現実問題として、ジャージを調達しなくてはならないのだが、当時のことで、すぐには15着以上の揃いのジャージを売っている店を探すのは絶望的と思われた。
焼失したジャージの代わりにどうやってジャージを調達するか思案している滝沢と部員たち。
と、不意に、滝沢がカッと目を見開いて、
滝沢「ジャージならあります!」
内田「なんだって?」
滝沢「我々の心の中にです!」 一同「……」
こうして、川浜高校ラグビー部は、全国大会を目前にして突如解散してしまったそうです。
じゃなくて、
滝沢「ジャージならあるんですよ!」
滝沢、そう叫んだかと思うと部室に向かって走り出す。

滝沢、部室に行くと、木製のロッカーの中から大きな袋を取り出して、中から赤いジャージを取り出す。
尾本「これは俺たちの!」
内田「まだあったのか」
滝沢「そうだ、こいつはお前たちの時代に来ていたジャージだ。見ろ、まだ十分使えるぞ!」
そう、それは滝沢が赴任した時にラグビー部で使っていたジャージだった。
内田は、相模一高に109対0で負けた時に着ていたジャージなど縁起が悪いと言って難色を示すが、

滝沢「いや、これで良いんです。あの敗戦の中から新しい川浜ラグビー部が生まれたんです。あの屈辱の大敗があったからこそ、我々はここまでやってくることが出来たんです! そうだな、森田?」
光男「はい!」
滝沢「ところでなんでお前いつも学校にいんの?」 光男「……」
嘘である。
嘘はともかく、光男の額で、早くも生え際戦線が後退しているのが気になる。まだ20くらいなのに。
滝沢「こいつは初心に帰れって言う神の教えかも知れん」 一同(いや、それは違うと思う……) 調子に乗って虫の良いことを口走る滝沢に、その場にいる全員が心の中でノーを突きつける。
まぁ、現実的なことを言えば、光男たちの時代とでは、全体的にみんな体格が大きくなっているから、サイズが合わないんじゃないかと思うんだけどね。
あと、ついでに尾本たちが「俺たちの血と汗と涙が染み込んだジャージだぁ!」などと、どさくさ紛れに口からでまかせを言っていたら、

すかさずこういう画像を貼ってあげたのにな、と少し残念な管理人でした。
これは第5話で、尾本たちが後輩たちをボッコボコにしてるところです。
尾本も内田もいつの間にかいっぱしのOBヅラしてるけど、実際はろくにラグビーの練習もせず、ツッパリごっこと下級生いじめに明け暮れていただけだもんね。
清美「任しといて、あたしたちで洗うから」
明子「ようし、やったろうじゃないの!」
無論、何年もロッカーに放置されていたジャージは臭かったが、今やすっかり頼もしいマネージャーに成長した清美と明子が力強く引き受ける。
そう言えば、二人も大会の後、卒業しちゃうんだよね。今のうちから代わりのマネージャーを養成しておかないとまずいのではないだろうか?

吉村「私にもお手伝いさせてください!」
内田「なぁに言ってんだ、あんたんとこ丸焼けになっちゃったんだろ?」
吉村「いや、手で洗います。せめても罪滅ぼしに、この手の皮、擦り剥けるまで!」
吉村さん、気張り過ぎて目玉が落っこちそうである。
しかし、恐らく自宅兼店舗だったのだろうが、この年末の寒い時期に家が全焼して路上に放り出されたら、吉村一家も大変だろう。きったねえジャージなんか洗ってる場合じゃないと思うんですが。
とにかく、この冬空の下、清美たちが外の洗い場で、ごしごし手でジャージを洗うという、見てるだけで風邪を引きそうな寒いシーンとなる。そりゃ、山本さんも風邪引くわ。
一応、撮影時はぬるま湯を使っているのだろうが。

さらに、洗って乾かしたジャージを繕ったり畳んだりするのは、何の因果でラグビーバカの妻になったのかと最近思い悩むことが多くなった節子さんや柳先生の仕事であった。

でも、この二人、「乳姉妹」(現在、鋭意レビュー執筆中)ではどちらもケバい衣装と化粧のキャラを演じることになるかのかと思うと、ちょっと笑えてくる。
それにしても、スタッフは意識してやってるのではないだろうが、「洗濯や裁縫は女の仕事!」と頭から決め付けているのがイヤなシーンだよね。
つーか、
自分で着るジャージぐらい自分で洗わんかいっ! 
洗い場に圭子が現われ、自分も手伝おうと申し出る。
清美「いんですかぁ?」
圭子「当たり前でしょ、私だってマネージャーのお手伝いしてた時もあったんですもの」
明子「でもぉ、大財閥のお嬢様に……」
圭子「何言ってんの!」
明子たちが遠慮するのを、圭子はからっとした笑顔で笑い飛ばす。
圭子「それに加代さんが生きてたら、きっと何処からでも
湧いて飛んできたと思うわ」

清美「……」
明子「……」
圭子の何気ない一言で、つい在りし日の加代の姿を思い浮かべ、俯いて涙ぐんでしまう二人。
それにしても、前にも書いた気がするが、「不良少女~」と不倶戴天の仇敵同士として激しいバトルを繰り広げていた両者が、こうやって和気藹々としている様子を見ると不思議な気がする。
現場で、「不良少女~」の頃の話をするなんてこと、あったのかなぁ?
で、多くの女性たち(と吉村さん)の手を経て、古ぼけたジャージは新品同然のユニフォームに生まれ変わる。

仕上がったジャージを綺麗に畳んで部室のテーブルの上に置き、整列する節子さんたち。

滝沢「みんな、ほんとにありがとう!」
それに対し、滝沢が礼を言って、選手ともども深々と頭を下げる。

感謝の言葉を口にする、詰襟の学生服姿の部員たち。
……
これじゃまるで
学徒出陣である。
これから出征でもするんか?
そう考えると、女性たちが差し出したジャージが、千人針に見えてくる……。

出発前、そぼ降る雨の中、滝沢はイソップの墓をひとり訪れていた。
滝沢「イソップ、お前が折角デザインしてくれたジャージだったが、そいつを着て花園で戦うことが出来なくなってしまった。勘弁してくれ。だがな、お前があのライジングサンに託した精神だけは、俺たちは決して忘れはしない。今度のジャージは少し色褪せているが赤だ。そうだ、燃える朝日の赤だ。イソップ、お前の後輩たちが、そいつを着て花園で戦う姿を見ていてくれ」
墓に向かって割と大きな声で語り掛ける滝沢。
普通、そう言うのは心の中で語りますよね。
あと、こんな時期に雨が降ってたら、普通は「めんどくせー、行くのやめた」となりますよね。
翌日、予定より一日遅れで滝沢たちは新幹線で大阪へ旅立った。
無論、実際に大阪でロケをする訳じゃなく、一部ニュース映像をまじえているだけで、いつものグラウンドでの撮影となる。
さて、いよいよ全国大会が始まるが、川浜はシード高なので、一回戦は戦わずに済み、宿舎の近くのグラウンドで仕上げの練習を行う。
平山「いいか矢木、モールやラックで、ボールを取るだけじゃ駄目なんだよ。取った後が大事なんだよ。(中略)よし、じゃあ今のプレーをもう一回やってみよう」

ナレ「ここへ来て、賢治の口数がめっきり少なくなっていた。迂闊に喋ると、ラグビーのルールを知らないことが選手たちにバレてしまうからである」
……嘘である。もっとも、山下真司さんがルールを知らなかったのはほんとだが。
正解は、
ナレ「ここへ来て、賢治の口数がめっきり少なくなっていた。口を出す必要がないほど、選手たち個人個人がプレーを考え、研究しあうようになってきたのだ」
でした。

練習試合ながら、選手がトライを決めたのを見て、手を叩いて喜ぶ清美が可愛いのである!
さて、暮れも押し迫った12月30日、川浜の最初の試合が行われる。
川浜は62対0で危なげなく完勝し、3回戦に進出する。
そして1月1日には、「なんで正月にラグビーせにゃならんのだ」とぼやきつつ、51対0で勝利を収める。
とんとん拍子に日程は進み、1月3日には準々決勝が行われる。川浜は手負いの平山を徹底的にマークされて苦戦するが、16対10でなんとか振り切る。
続く1月5日の準決勝も勝ち、川浜は、遂に決勝戦に駒を進めるのであった。
そして決勝の対戦相手は、やはり、ライバルと目していた城南工大に決まる。
それにしても、この日程は実際の大会をなぞっているのだろうが、一日おきの試合と言うのは大変だよね。
決勝を翌日に控えた1月6日の夜、宿舎に珍しい人がやってくる。元校長の山城である。

節子「校長先生!」
宿舎には節子さんとゆかりの姿もあった。

山城「ちょっと苦戦してるようだな」
滝沢「すみません」
山城「謝って済む問題じゃないよ」
間違えました。
山城「君が謝ることじゃないよ」
と、内田(父)がいつものように素っ頓狂な声で「優勝間違いなし!」と放言するが、選手たちは盛り上がるどころか白けた様子で黙り込んでしまう。

内田「ははははは、はは、はは……」
馬鹿笑いを張り上げていた内田も、それに気付いて尻すぼみになる。

光男「いい気なもんだぜ、みんな平山のことで心配してるって言うのによぉ」
圭子「よしなさいよ。内田さんだってほんとは心配でたまらないのよ」
いつの間にか、光男と圭子が(親戚の法事に出ている)本物の夫婦みたいな雰囲気を漂わせているのが、なんとなく不愉快な管理人であった。
何度も言って来たことだが、圭子ほどの女、光男には勿体無い。
平山はひとりだけ別の部屋にいて、羨ましいことに清美と明子のスペシャルサービスを受けていた。

清美「氷持ってきたわよ」
ボールを手に部屋に入ってくる清美の顔が可愛いので貼りました。

平山「すまん、迷惑掛けて」
清美「何言ってんのよ、これがあたしたちの仕事なんだからぁ」
明子「そうよ、この脚で明日も活躍して貰わなきゃね!」
平山「すまん」
とてもそうは見えないが、彼らは同学年と言う設定なのだ。
平山と清美なら、なかなか良い取り合わせだと思うのだが、このドラマ、恋愛要素が稀薄なのが玉に瑕なのである。光男と圭子は、最初から結婚の約束をしているような感じで、あまり恋愛ドラマにはならないからね。
そう言えば、朝男じゃなかった、大木も、誰かを好きになる……みたいな描写は皆無だったな。強いて言えば、節子さんに憧れを抱いていたという程度か。
宿舎にはコーチのマークも駆けつける。それを潮に、滝沢は部員たちにそろそろ就寝するよう促す。

滝沢「ようし、みんなそろそろ寝ろ」
山城「おやすみ、ゆっくり寝るんだぞ」
光男「頑張れよ!」 全員(……何を?) それはそれとして、ライトが眼鏡の片方に反射して、山城が昔のタモリみたいになっている。
この後、東京から電話が掛かってくる。元オールジャパンの監督である大北(近藤洋介)からであった。
そのアドバイスと言うのが、
大北「明日の試合はな、お前が勝つと信じれば勝つ。いいな、まずお前が信じることだ。忘れるな、信は力なりということを」 まさに、この弟子にしてこの師ありと言う感じの、ガチガチの精神論であった。
それと同じこと、相手チームの監督にも言ってやれよ。
翌朝、選手たちはみんなの見送りを受けながら、バスで出発する。

無言で夫に向かって頷いて見せる節子さんが、相変わらず綺麗なのであった。

あと、窓から顔を出している選手たちが、左側の門柱でガリガリ頭を削り落とされていったら面白いなぁと思った管理人であった。
同じ頃、競技場の最寄り駅は、大勢の人で溢れ返っていた。
駅員が下車した客たちに、拡声器で「帰りの切符をあらかじめ買っておいて下さい!」とお願いしているが、実際、試合の後、観客たちがどっと駅に押し寄せて、物凄い混雑になるのだろう。

その中には、OBのマルモの姿もあった。駅員の言葉を聞いて、言われたとおり切符を買っていると、その肩をぽんぽん叩く者がいた。

マルモ「大助! お前、良く来られたな!」
それはチームメイトの大木だった。
しかしマルモの台詞、「良く(おめおめと)来られたな!」みたいに聞こえて、なんか大木が昔、ラグビー部に対して顔向けできないような不祥事でも働いて追放されたかのようである。

大木「……」
マルモ「おい、何すんだよ!」
大木、にっこり笑ってマルモの切符を取ると、手でちぎって捨ててしまう。
大木「今夜は旅館で先生と飲み明かすんだ。こんなもの要るか!」
いかにも大木らしい型破りな行動であった。
ただ、飲み明かそうと思っているはお前であって、マルモではないと思うんだけどね。
そしてカメラはいよいよ、決勝戦の桧舞台を映す。

ここで、第1話の冒頭に出て来た清美たちの映像が6ヶ月ぶりに再登場する。
つまり6ヶ月掛かって、漸く冒頭のシーンに繋がった訳である。ブログではもっと時間が掛かっているから、管理人としても、ちょっと感慨深いものがある。
ちなみにこれは、第1話の映像、つまり初期に撮影されたものを使っているので、清美の髪もさっきより短くなっている。

コート姿の大木が、大三郎の遺影を抱いている夕子、光男、圭子たちのところにやってくる。
大木「先輩」
光男「おお、大助、お前も来たのか」

大木「おやじさん連れてきたんですね」
光男「ああ、この決勝戦だけは是非見せたいってな。姉さん、今から泣いてちゃしょうがないだろ!」
夕子「あほ、泣いてんやない。あまり寒いよって、鼻水出てるだけや」
グラウンドに出て来たマーク、観客席の節子たちに気付いて挨拶する。

マーク「こんにちは、今日、パパ、勝つからね」
5年前から全く成長していないゆかり、笑顔でVサインを作る。

節子、ついでグラウンドに立つ夫の背中に視線を向ける。
ちなみに、第1話の観客席の節子さんと、今回の節子さんでは髪型が明らかに違ってます。
ナレ「川浜高等学校教諭、同ラグビー部監督滝沢賢治は、その前夜一睡もしていなかった。それは高校ラグビーの頂点を決する戦いを翌日に控えた興奮からだけではなかった。川浜高校赴任以来、今日までのさまざまな思い出が寄せては返す波のように賢治の脳裏を駆け巡り、眠りを奪い取ったのだ」 つまり、1話から25話まで描いてきたのは、滝沢の長い長い回想シーンだったとも言える訳である。

ラスト、いつものように部員たちに互いの手を握らせ、思いをひとつにしようとする滝沢。
アナウンサー「おやおや、またしても川浜高校はチャネリングでUFOを呼ぶつもりでしょうか?」
解説者「なにしろ宇宙人の力だけでここまで勝ちあがって来たチームですからねえ」
滝沢「ちゃうわっ!」 嘘はさておき、滝沢の、
「1時間、思いっきりラグビー楽しんで来いよ!」と言う最後の台詞は、なかなか素晴らしい。
そして、円陣を解いてグラウンドに駆けて行く役者たちの映像に合わせて、

川浜のモデルとなったチームの、実際のニュース映像に繋げるセンスは、やはり鳥肌モノである。
……
あ、そうか、あのジャージ事件は、このニュース映像のユニフォームと、劇中のユニフォームとを合わせる為の深謀遠慮だったのか!
うーむ、マジで感心してしまった。
やがて試合開始のホイッスルが鳴り響く。
ナレ「運命の1時間の始まりであった……」

最後は、前髪が垂れてより可愛くなった清美の画像と、

どんな時も溜息が出るほど美しい節子さんの画像で締めましょう。
いよいよ次回、最終回です!
●おまけ1
このドラマとは一切関係ないのだが、つい先日、読者の方からすすめられた岡田奈々さん主演の「青春の構図」と言う映画を見た。
1976年だから、「スクール~」の8年前である。
岡田奈々さん演じる女子大生を中心にした青春群像劇である。
内容的には特にどうと言うこともないのだが、多少貼りたい画像もあった。よって、この場を借りてそのいくつかを紹介させて貰うことにした。

岡田さんは、女子大生でバスケットボール部に所属しているのだが、当時のことなのでユニフォームがブルマである!
これだけでも死ぬほど嬉しいのだが、

友人の秋野暢子に頼まれて、部員勧誘のポスターのモデルを頼まれるシーンでは、魅惑のヒップのバックショットが、かぶりつきで見放題となる。

また、親から継いだガソリンスタンドも経営しているのだが、その制帽をかぶった姿が、まるっきりマリオで可愛過ぎるのである。

「スクール~」とは全く関係ないが、早乙女愛さんも出ておられ、これまた悩ましいブルマ姿を披露されておられる。

色々あってラスト、岡田さんのチームと早乙女さんのチームの試合が行われるのだが、そこでも二人のお尻が画面の上を乱舞すると言う、夢のような映像が見られるのだった。
……さっきから尻の画像ばっかり貼ってるような気がするが。

ついでに、岡田さんのバスケットボールのコーチを、二郎さんが演じていて、既にここで共演してたんだなぁと言うことが分かる。
●おまけ2
ついでに触れておくが、ちょうど昨日「事件記者チャボ!」を見ていたら、その第3回に、

大木の松村さんがゲスト出演されておられた!
いわゆる不良少年の役だが、恋人を殺してしまい、しかも水谷豊に詰め寄られたらあっさり口を割り、自首したくねえよーと泣き喚くような、大映ドラマで松村さんが演じている不良キャラに比べたらかなり情けない役柄であったが、その初々しさは貴重である。
しかし、この顔、松村さんと言うより、若い頃の遠藤憲一さんみたいである。
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