第59話「底なし沼の怪人ミミズ男!」(1972年5月13日)
今気付いたけど、まだOPクレジットで、トッコの名前がミツコになってる。いい加減だなぁ。
冒頭、森の中の沼に釣り糸を垂れている二人の男性。
一瞬、水中に基地のようなものが見えたかと思うと、水面が泡立ち、ミミズの化け物が現われる。
怪人「貴様らはここがショッカーの秘密基地と知って来たのかー?」 釣り人「知らん、俺たちは何も知らないんだよぉ」
怪人「そうか、ならば良い。……釣れますか?」
釣り人「ぼちぼちですわ」
……途中から嘘である。
それにしても、相変わらずショッカーの怪人はアホである。自分から機密をベラベラ喋っておって、その口封じをしようとするのだから。
怪人「我々の秘密基地を知って、生きて帰れると思っているのか? バカめ」 釣り人「いや、だから知らないって……」
釣り人たちの抗議にも耳を貸さず、巨大なミミズのような殺人リングを二人の首に巻きつけ、無残に絞め殺してしまう。
怪人「どうだ、思い知ったかーっ!」
釣り人「思い知ったかって言われてもなぁ……」
それが釣り人たちの最期の言葉だったそうです(嘘)。

ちなみにこちらが水中基地になります。
どう見ても沼じゃなくて海底ですね。
自分で仕事を作って自分で片付けて、意気揚々とアジトに引き上げてきたミミズ男。

怪人「アフ、アフアフ! 邪魔者は始末しました」
地獄大使「うむ、誰一人としてこのアジトに近付けてはならんのだ」
しかし、あの釣り人が帰らなかったら、逆に騒ぎになって人が集まってくるような気が凄くするんですが。

地獄大使「ミミズ男、コバルト爆弾による放射能作戦は間もなく開始だ」

地獄大使「従来のコバルト60による爆発、その効果がこれだ。その10倍の威力を持つコバルト120が間もなく日本に到着する」
地図で、コバルト爆弾の影響範囲を示す地獄大使。
「従来の……」と言うことは、コバルト60爆弾は既に何度か使用したことがあるのだろうか? だったらそれで仮面ライダーを爆死させればいいと思うのだが。

地獄大使「この作戦は、ビキニ諸島で行われた水爆実験の際、ただひとつ生き残った生物、シマミミズを改造したお前にしかできんのだ。任務は重い」
怪人「アフアフ、分かっております」
見かけとは裏腹に、ミミズ男はゴジラのような重い宿命を背負った怪人だったのだ。
核爆発によって自分の住処を破壊されたミミズ男に、その核爆弾によって人間たちに復讐をさせようと言うのだろう……か?
だが、既にこのアジトの存在は、ライダーチームの注意を引いていた。

立花「柿沼でまた、二人の男が行方不明になったよ」
ユリ「沼に落ちたのかしら」
エミ「まさか、二人いっぺんになんて底なし沼じゃあるまいし」
五郎「柿沼って、半年ぐらい前、地割れ騒ぎがあったところと違った?」
トッコ「ああ、そう言えばそんなことがあったじゃない。大地震の前触れだなんて、ねえ」
案の定、釣り人の行方不明の記事が、おやっさんの目に留まったのだ。
しかも、「また」と言うことは、その前にも何度か人を殺しているらしい。
そして、地割れと言うのは、コバルト爆弾の実験によるものだろうか?

さて、51番埠頭には、白いスーツにサングラス、胸には赤いバラを挿した男性(中屋敷鉄也)が、アタッシェケースを手に人待ち顔で立っていた。
コバルト120の運び屋なのだが、
運び屋がこんなに目立ってどうすんじゃ! と、とりあえずツッコミを入れておく。
そもそも、同じショッカーの仲間なんだから、こいつがそのまま沼まで持って行けば済む話である。

やがて、受け取り側の人間も埠頭に到着する。
これがまた、深夜の倉庫ならともかく、こんな場所では目立って目立ってしょうがない服装をしていた。

二人が近付くと、運び屋はポケットから半分に割れたチップのようなものを取り出す。黒いスーツの男も、同じようなチップを取り出して、それがぴったり噛み合うのを確かめる。
つまり勘合貿易と言う奴である。時代劇で、悪徳商人が抜け荷をしようとするとき、その割符として花札を二つに切って証とするのはよくあるパターンである。で、それを入れていた財布を、縁日の人込みで可愛い女スリ(例・岡田可愛)に盗られてしまうのである。
で、その女スリの現場を押さえて捕まえるのが、金さんだとか長七郎だとか桃太郎と言うことに相場は決まっているのである(さっきから何の話だ?)

それにしても、こいつらが並ぶと、「人間オセロゲーム」でもしているようである。
この後、真ん中の男の服が黒に変わる(註・変わりません)。
えー、それで、管理人もだいぶ飽きてきたのだが、話を続けよう。

同じ頃、辰三と三郎と言う小悪党が、まんまと宝石店から宝石を盗み出すことに成功していた。
それにしても、辰三と三郎と言うネーミングはひどいよね。
また、辰三がアタッシェケースを提げて宝石店から出てくるだけで、その窃盗(詐欺?)の具体的な内容が全く描かれていないのが実に物足りない。
辰三「見ろーっ」
三郎「うわ、すげー、兄貴、いくらくらいあるんでしょうねえ」
辰三「そうだな、軽く見積もっても、
1000万かな」
安っ! いくら1972年のドラマだからって、それだけの宝石で1000万は安過ぎないか?
で、嫌な予感がしたのだが、案の定、

辰三たちはその後、黒スーツの男たちの車と接触しそうになって、黒スーツもよしゃいいのにわざわざ車から降りて辰三たちと殴り合いを演じるのである。
おまけに、急いでいたので間違って宝石の入ったケースを掴んで行ってしまうと言う、既視感バリバリのミスを犯してしまう。
「仮面ライダー」に限らず、70年代の特撮ドラマを見てるとしょっちゅう出てくる展開である。
そんなに都合よく、外見が同じものを持ってる奴とぶつからねえっての。
それはさておき、取り違いに先に気付いたのは路上に放置された辰三たちであった。

辰三「ヨウカンじゃねえか」
蓋を開けて、コバルト120のケースを見た辰三、実にのどかな勘違いをする。
どうでもいいが、コバルト120のケースには、鍵も掛かってなかったのか?

怪人「こともあろうにコバルト120を得体の知れない男たちに取られてしまったとはー。それでことが済むと思っているのか?」
さて、沼のほとりでは、黒スーツたちのとんでもないミスが発覚して、ミミズ男にこっぴどく叱られていた。
なにはともあれ、ミミズに叱られたくはないよね。

と、この手の話では珍しいことに、その取り違えた相手と言うのがすぐ現われる。あれから急いで車で追跡してきたのだ。
辰三「まあまあ慌てなさんなって、ほう、仮装舞踏会ですかな? いやー、わしらね、その宝石に用があるんでさ」
怪人「うるさい、そのケースを寄越せー」
辰三「ふざけるな、てめえたち、こっちがおとなしくケースを交換してやろうと下手に出てりゃいい気になりやがって……おい、なんだよミミズの化けもんみたいなお面かぶりやがって」
辰三、状況判断が全く出来ないバカなのか、それとも単なるバカなのか、堂々と彼らの中に入って取引を持ちかける。
しかし、最初に黒スーツにボコボコにやられている時点で、大人しく相手が宝石を渡してくれそうもない相手であることくらい、どんなバカでも分かりそうなものだが?
辰三がピストルを持っている、と言うのならその自信の程も頷けるんだけどね。

辰三「カーニバルと勘違いしてんじゃねえか、おい……」
怪人「アフアフ」
辰三「アフアフって……、お面じゃないわ、これ!」
てっきり、ただの被り物だと思って気楽にその体に触れた辰三だが、すぐにそれが本物だと気付き、笑顔が凍りつく。
辰三はあっさり気絶するが、三郎はケースを持って逃げ出す。
で、この三郎になかなか戦闘員が追い付けないのである。とほほ。
さらに、捕まる前にちょうど柿沼の調査に訪れていた猛と滝に出会う。
猛はライダーに変身、ミミズ男と激しいバトルを繰り広げるが、

あの殺人リングを巻きつけられ、もがきながら崖から海へダイブする。
え、海……? と思われる方がいるかもしれないが、柿沼は実は海の近くにあって、少し行けばすぐ海岸に出られるのだった。

CM後、ライダーは猛の姿になって岩場に倒れている。やがて目を覚まし、よろよろと立ち上がる。
猛(負けた、完全に奴に負けた。しかし何故これが外れたんだ? どうやってこれを外したんだ?)
手にはあの殺人リングがしっかりと掴まれていたが、空中でどうやってそれを外したのか、猛には全く覚えていなかった。

地獄大使「仮面ライダーを倒したのは上出来だが、肝心のコバルト120を奪われたとはどう言うことだ?」
怪人「申し訳ありません、必ず取り戻します!」
一方、アジトに戻ったミミズ男は、地獄大使に鞭でしばかれていた。
しかし、「ライダーを倒した」ことの方が、放射能作戦とやらよりよっぽど価値があると思うんだけどね。
もっとも、すぐ首領によって、猛が健在であること、コバルト120を猛が持っていることが告げられる。

猛(俺はどうやってこの輪を外したんだ? 一分でも、いや一秒でも早くこの輪の外し方を考えないと今度こそ完全に負ける)
その猛、ひとり殺人リングを見詰めながら、考え込んでいた。

そこへ滝、おやっさん、三郎がやってくる。猛は、急いで殺人リングをポケットにしまうと、計測器のようなものをコバルト120に近付ける。
滝「凄い放射能反応だ」

このコバルト120、金属製のケースをガコッと外す感触がちょっと楽しそうである。
猛「コバルト60の放射能をさらに強力にしたコバルト120」
滝「ショッカーはこいつで新型爆弾を作ろうとしてるんだ」
猛「とにかく、これはショッカーの手から守らなければいかん」

三郎「野上の兄貴は一体どうなるんでざんしょう?」
滝「安心しろ、きっと助け出してやるさ。なぁ、本郷?」
猛「……もう少し時間をくれ」
滝は自信たっぷりに請け負うが、珍しく猛は即答を避け、部屋を出て行く。
その後、アパートに帰った三郎の前にミミズ男が現われ、猛たちに毒を飲ませて殺し、コバルト120を持ってくるよう脅迫する。

猛(あの時、俺は、輪を外そうとして全神経を首に集中していた)
レーシングクラブ(?)の屋上で、もう一度、崖から落ちた時のことを回想している猛。

ここで不意に、落下しながら左手で腰のパワースイッチをひねり、

ライダーパワーで殺人リングを外したことを思い出すのだった。
猛(そうか、あの瞬間、パワースイッチを入れたんだ、ライダーパワーで輪を引き千切ったんだ)
……
いや、そんな明確な行動を、どうして忘れていたの?
これが、それこそ知恵の輪を外す時のような微妙な手の動きだった、とか言うのなら、思い出すのに苦労するのも分かるのだが、パワースイッチを入れるって、忘れようとしても忘れられない行為だと思うのだが。
どうやって外したか覚えていないと言うアイディア自体は面白いのに、肝心のその外し方があまり面白くないという、いかにも島田真之氏らしいシナリオである。
その後、三郎は猛たちに毒を盛ろうとするが、小悪党らしく肝が小さく、あっさり何もかもばらしてしまう。

戦闘員「三郎が裏切りました」
怪人「なにっ、三郎が裏切った? この男を血祭りにしてコバルト120を奪い返すのだ」
沼のほとりでわざわざ十字架まで用意して辰三を縛り上げていたミミズ男、部下の報告を聞くと、ヤケクソ気味に叫ぶ。
しかし、寸前でライダーが助けに来て、再び海辺に移動して最後のバトルに突入する。
ライダー、殺人リングを最初と同じくライダーパワーで外すと、ライダーキックをお見舞いする。

ミミズ男、蹴られて海へ落ちると、

いまひとつ勢いのない爆発を起こして死亡する。
それと同時に柿沼のアジトも木っ端微塵に砕け散り、ショッカーの野望は潰えたのであった。
何故怪人と一緒にアジトまで爆発したのかを気にしてはいけないのである。
何故気にしてはいけないのかと言うと、気にしても仕方ないからである。
ラスト、ライダーガールたちも含めて全員が岩場にやってくる。抱き合って泣いている辰三と三郎を笑ってみているおやっさんたち。

トッコ「男同士の友情ってとこかしら?」
五郎「あの二人、これに懲りてきっと泥棒やめると思うよ」

だが、そんな彼らと距離を置き、ひとり海を眺めている猛の姿があった。
振り向いて、暗い、寂しそうな顔で喜びに踊っている辰三たちを見る。
改造人間である自分は、もうああいう人間らしい喜びとは無縁なのだと、仮面ライダーの孤独が浮き彫りになる名シーン……かと思いきや、

徐々にその顔が、いかにも楽しそうな笑顔に変わっていくのだった。
……
意味が分からんのじゃい! 以上、終わってみれば、結局ショッカーが何をしたかったのか、さっぱり分からないままであった。
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