第17話「僕は竜宮城を見た」(1984年5月26日)

のっけから、モンスターが、海亀に見立てたジュウオウの背中にまたがり、「むかし、むかし、浦島は~♪」と、「浦島太郎」の童謡を歌いながら、のたのたネオグラードの司令部の中を回っていると言う、とんでもないシーンで幕が開く第17話である。
ま、今回ははっきり言って完全な箸休め的なエピソードで、スルーしても構わなかったのだが、パン チラはあるし、なにしろ
書くのが楽チンなので、あえて取り上げることにした。
我ながら最低の動機である。
それはさておき、他のジューノイド5獣士と一緒に、やる気なさそうに手拍子を打っているファラキャットがめっちゃ可愛いのである!
「浦島太郎」の絵本を広げ、モンスターとジュウオウの「芸」を見ていたファラ、
(……音痴!) 心の中で溜息と一緒に吐き出す。
いや、ファラさん、音痴とかそう言う問題じゃなくて……。
歌い終わったモンスター、起立すると深々とドクターマンに向かって一礼し、それに子分のジュウオウがやんやと喝采を送る。

ドクターマン「静まれ! お前たちにはこの歌の意味が分からんのか」
ジュウオウ「はいな?」
ドクターマン「浦島太郎と言う男が、ユートピアへ行ったことを意味しているのだ」
ファラ「ユートピア?」
ドクターマン「余はユートピアを見付ける計画を立てた!」

メイスン「……!」
ドクターマンの突拍子もない発言に、

目を見開き、ついで反射的にファラの方に視線を向けるメイスン。
管理人にはメイスンの心中が手に取るように分かります。
心配になったのでしょう、「前から予兆があったが、今度こそ完全にボケたか」と……。
しかし、ドクターマンはボケた訳ではなく、大真面目にユートピア、つまり竜宮城を探し当てようとしていたのだ。ま、思い付くのは勝手だが、それを実際にやらされる部下たちはたまったものではない。

ファラ「一体どうやって?」
ドクターマン「まず、浦島太郎の子孫を捕まえてくることだあっ!」 力強く断言した後、

思いっきりカメラ目線になるドクターマン。
こっち見んじゃねえよ。 一方、レッドワンこと史朗は、おばちゃんがやってる売店で
アンパンと牛乳、計200円(消費税ゼロォオオオオオオオッ!)を買い求めていた。
これが、地球の平和を守る戦士の食事かと思うと不憫で涙が止まらない。
それにしても、バイオマンって生活費を何処から得ているのだろう? 過去の作品と比べても、「バイオマン」は特にその辺が曖昧である。前作「ダイナマン」も似たようなものだったが、まだしも発明クラブに所属していて、夢野司令から研究資金と言う名目でお小遣いを貰っていたと言う想像も成り立ったのだが、本作ではそう言う後見人も存在しないしね。

だが、店を出てきたところで、野球のヘルメットを被った男の子にパンと牛乳を掻っ攫われてしまう。
考えたら、今はこう言う個人経営の売店ってあまりないよね。ほとんどコンビニに取って代わられて。
それはともかく、男の子、次郎は公園に行き、滑り台の上で戦利品のパンにかぶりつこうとするが、史朗、腐っても(註・腐ってないです)バイオマンである、あっという間に次郎を見付けてしまう。
次郎「放せよーっ! 警察へ連れて行く気か?」
リュックを掴まれて、滑り台から下ろされた次郎、獰猛な野良猫のように身を捩じらせて暴れ回る。

史朗、カメラが回ってなかったらそうしたいところだったが、なにしろ腐っても(註・だから腐ってないってば)正義のヒーローである。
史朗「うちに帰るんだ、パンはやるから……お前、家出してきたな。家の人が心配してるぞ」
次郎「ふん、誰も俺のことなんか」
史朗「そう言う言い方は止せ、君がちゃんと反省するなら、俺も家の人にあまり叱らないように口添えしてやる」
次郎「ほんとにぃー?」
気前良く、その日の朝飯(?)を進呈してやったばかりか、親切にもバイクの尻に乗せて次郎を家まで送ってやることにする。
その途上、モンスターたちに襲撃される。だが、彼らの狙いは史朗ではなく、次郎少年の方だった。
史朗はレッドワンに変身、仲間もすぐ駆けつけてモンスターたちを撃退するものの、その混乱に紛れていつの間にか次郎は行方をくらませていた。

幸い、自宅の住所は聞いていたので、5人はとりあえず次郎の家を訪ねてみる。
史朗「すいません、次郎君、帰ってますか」
浜子「ああん? またあの子がなんかやらかしたんですかー」
史朗「いえ、実は悪い奴らに狙われるようなんで……」
その家は、浦島と言う鮮魚店で、母親の浜子を演じているのが、あの呉恵美子さんなのである。
普段から手に負えない子供なのだろう、史朗の言葉を聞いても浜子はさして驚いた風もない。

竜太「お、珍しいサンゴだ」
浜子「ああ、あれね、ご先祖様から伝わるモンなんだけどね。なんだか死んだ父ちゃんが言ってたのは、浦島太郎のお土産だとか言ってたねえ、私らね、浦島太郎の子孫なんだと、はっ」
ジュン「えーっ」
真吾「浦島太郎の?」
ひかる「プッ!」
神棚の横に飾ってある小さなサンゴを見て驚く竜太に、浜子が馬鹿馬鹿しそうに講釈を垂れる。
浦島太郎の子孫と聞いて、思わず吹き出してしまうひかるであった。

史朗「浦島太郎の物語はほんとにあったことかもしれない。だから、新帝国ギアは何かの手がかりを次郎君に求めて……」
いくらなんでも察しが良過ぎる気がするが、史朗はそれだけで、ドクターマンが夢物語のような計画を企てていることを見抜いてしまう。
ところが、浜子と彼らが話しているのを、すぐ近くで次郎が見ていた。次郎は史朗が自分のしたことを母親に言い付けたのだと思い込み、目の前の発泡スチロールの箱を蹴飛ばすと、悪態をついて飛び出してしまう。
次郎「嘘つき! 言い付けやがったなぁーっ!」
史朗(いや、最初からそんな約束してない……) 5人は慌てて次郎を追いかけるが、広い駐車場に入ったところで再びモンスターたちが現われ、次郎を捕まえてしまう。

戦闘員たちの銃撃を、左右に分かれて側転でかわすバイオマンたち。
……
いやぁ、満開ですねえ。……桜が。
どうせならひかるも、ミニスカを履いていて欲しかったところですね。
もっとも、ジュンは本人だが、ひかるは女性スタントが演じているようだ(……が、その直後に本人が見事な側転からのアクションを決めているので、ひょっとしたら本人かもしれない)。
しかし、今度は戦闘員を倒している間にまんまと次郎を拉致される。浜子も息子の名を呼びながら駆けつけるが、呉さんの出番はそれで終わり。
これじゃあ、折角彼女を起用した意味がないよね。

メイスンは、次郎を記憶再生装置にかけ、ついでに自ら催眠術をかけて、浦島太郎から受け継がれている無意識の記憶を呼び起こすことに成功する。

ドクターマン「あった、竜宮城の宝はあったのだ!」
やがて海底の竜宮城、そして金銀財宝が映し出され、その映像はネオグラードにも送られてくる。
ドクターマン「何処の海岸なのか、調査しろ!」
でもなぁ、その記憶は何百年も前のものなのだから、宮殿や宝が果たしてそのまま残っているかどうか?
そう言う意味では、タイムマシンで当時の時代に遡って金銀財宝を手に入れようとした、「宇宙刑事ギャバン」第18話「乙姫様コンテスト ハチャメチャ竜宮城」におけるマクーの方が一枚上手と言えるだろう。
……ま、そもそもタイムマシンの方が、金銀財宝などよりよっぽど利用価値があったと思うけれど。
つーか、そもそも竜宮城ねえし(それを言っちゃあ……)
一方、史朗を除く4人はバイオベースに戻り、浦島伝説の残る海岸を片っ端から調べようとしていた。

竜太「随分たくさんあるなー」
ジュン「これ全部探すのー?」
そのあまりの多さに、始める前から悲鳴を上げるジュン。

ひかるが目を丸くし、「やれやれ」と言う風に口を開くのが、実に表情豊かでチャーミングなのである。
その頃、史朗は、モンスターたちと一緒にジープに乗せられ、海岸の場所まで案内させられていた(?)次郎を見付け、ひとりバイクで追跡していた。
今回は、それに対するギアの猛攻撃と、史朗の苦闘ぶりが見せどころとなっているのだが、
特にどうでもいいのでカット。

モンスターたちは遂にその場所、松原海岸に到着するが、そこに埃と血でまみれた傷だらけの史朗が立ちはだかる。
モンスター「貴様ぁ、まだ生きていたのか」
史朗「モンスター!」
次郎「お兄ちゃん、そんなになってまで助けに来てくれるなんて……」
色々あって、史朗は次郎を救出し、他の4人と共にモンスター、ジュウオウを撃退し、さらにカメカンスをバイオロボで粉砕する。

戦いの後、お互い手を振りながら駆け寄る次郎とバイオマンたち。
しかし、いくらなんでもバイオロボ、でか過ぎない?
次郎、史朗の体に飛び付いて泣きじゃくる。

史朗「泣かなくても良い!」
次郎「俺、嬉しいんだ。だってよ、俺のこと本気で心配してくれたのは、お兄ちゃんが初めてなんだ」
史朗「そんなことはない、やっぱり一番心配してくれたのは、お母さんだぞ」
次郎「うん!」
史朗、いかにも教育的な発言で締め括るが、やっぱりこの場に浜子が来てないと説得力がないよね。
それに、ギアは竜宮城のある場所を知ったのだから、この後、こっそり海に潜って財宝を探すことは可能だったと思うんだけどね。ま、あるかどうかは別にして。
以上、最初に書いたように、まさに「箸休め」的なエピソードであった。
同じモチーフでも、ギャバンの18話の方がよっぽど遊び心(と水着ギャルの競演)があって面白かった。
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