第8回「結婚しよう」(1985年6月4日)
ラブコメみたいなサブタイトルだが、騙されてはいけない。中身はいつもと同じでドロドロである。
引き続き、しのぶと耐子を屋敷から追い出すことに、青春の全てを賭けている千鶴子。
さいわい、剛造が自分への配慮から、しのぶたちの立場を客人ではなく単なるお手伝いに格下げしてくれたので、工作もやりやすくなった。

まずは、軽いジャブと言う感じで、自宅のだだっ広い庭の植え込みに、自分のマスコットを放り投げてから、それをしのぶと耐子に探させると言う意地悪をする。
うすうす、千鶴子のいやがらせと察しつつ、単なるお手伝いの二人は、ヒーヒー言いながら植え込みの中を探し回らねばならなかった。それを、家の中から冷たく見下ろしている千鶴子。
他にも色んな意地悪をしたのだろうが、ドラマでは省略されている。

耐子「千鶴子さんの胸のうちは読めてるわ、私たちをくたくたにくたびれさせて、嫌気を起こさせて追い出そうとしてるのよ。……もう、おんでちゃおうかなぁ、こんなとこ!」
夜、姉と一緒に皿洗いをしていた耐子が、昼間のことを思い出して、思わず悔し涙を迸らせる。
しのぶほど我慢強くない耐子、お手伝いとして扱き使われるだけならともかく、日夜わかたず仕掛けられる千鶴子からのいやがらせに、つい心が挫けてしまいそうになるのだ。
しのぶ「出ていってどこへ行くの? どうやって暮らしていくの?」
耐子「……」
姉の厳しい問い掛けに、大粒の涙が皿の上に落ちる。

しのぶ「タエちゃん、涙じゃお皿は洗えないのよ。タエちゃんの好きな漫画のオーロラ姫はもっと苦難に耐えてるんでしょ?」
耐子「オーロラ姫にはそばに素敵な王子様がいるもの……」
泣きじゃくりながら言い返す耐子。
オーロラ姫と言うのは、耐子が愛読している少女漫画のヒロインである。
しかし、以前、しのぶも耐子に言われて屋敷を出て行く気になっていたのに、現在は、事実上、それが不可能になっているとは面妖なことである。
まぁ、二人に出て行かれると、スタッフが困るからね。
今度は関西に出張することになった剛造、家族4人でくつろいでいたが、しのぶが剛造の為に氷を持ってくると、千鶴子はしのぶと同席するのも我慢ならないとばかり、荒々しく部屋を出て行ってしまう。
仕事はつらくないかと尋ねる剛造に、今までは客人扱いされて気兼ねしていたが、今はむしろ後ろめたさを感じずに屋敷にいられると笑顔で答えるしのぶに、剛造はいたわりの眼差しを注ぐ。

剛造「どんなにつらいことがあっても私が帰ってくるまでは絶対ここに居るんだよ」
しのぶ「はいっ」
アメリカ出張の時と同じく、そんな約束をさせる剛造であったが、現下の環境では、しのぶと耐子を困らせようと思って言ってるようにしか聞こえない。
剛造とて、何かにつけ千鶴子がしのぶたちを目の仇にしているのは知ってる筈なのに、それでも頑なにしのぶたちを屋敷に住まわせていると言うのは、やっぱりどう考えても不自然である。しのぶが実の娘かもしれないから、手元に置いておきたい……と言うことなのだろうが、しのぶの為を思えば、むしろ、屋敷から解放して別にアパートでも借りてやるのが真の愛情と言うものだろう。以前も書いたことだが。
夜、一日の労働を終えてしのぶと耐子がベッドに入ろうとした時、しのぶが、千鶴子からお菓子を持ってくるよう頼まれていたことを思い出す。
フランス語の勉強をしている千鶴子の部屋に、二人がショートケーキやメロンなどを恭しく持っていく。

千鶴子「何よ、これ?」
だが、例によって例のごとく、千鶴子は些細なことでたちまち機嫌を悪くする。

千鶴子「私が頼んだのは、和菓子の花菖蒲よ」
しのぶ「……」
「贅沢言わんと、出されたもん食わんかいーっ!」と叫びながら、ショートケーキを千鶴子の顔面に塗りたくりたい衝動に駆られるしのぶだったが、
しのぶ「すいません、あいにく切れていたものですから」
さらに、千鶴子、その花菖蒲とやらを売っている老舗の和菓子屋へ行って、買って来いと言い出す。
しのぶ「あの、もう、10時過ぎてますけど」
千鶴子「買ってきてちょうだい」
千鶴子、財布から2万円を出すと、有無を言わさぬ調子で命じる。
やむなく、二人は煮えくり返る腹を抱えて、タクシーでその和菓子屋へ向かう。

しのぶ「ごめんくださーい」
無論、もう店は閉まっていたが、二人はシャッターをガンガン叩いてお願いする。
さいわい、温厚そうな主人が出てきたので、事情を話して、その(しのぶたちにしてみれば)クソみたいな和菓子を売ってもらう。
もっとも、帰りのタクシーの中で、耐子が「真夜中でも喜んでお菓子を売ってくれるなんて、ほんとに世の中ってお金だね」と、感心したように言ってるので、正価以上の金を払ったことが分かる。
でも、しのぶは開口一番、お得意様である大丸千鶴子の名前を出しているのだから、別に金を握らせなくても売ってくれただろう。だいたい、老舗和菓子屋の主人ともあろうものが、夜中に起こされたからって、そんな娘っ子たちから、過分の代金を受け取るとも思えない。
それはともかく、

耐子「私、決めたからね。私、石にかじりついてでも、勉強して金持ちになって見せる。その為には千鶴子さんにどんなにいじめられったって我慢するよ。出て行けったって、出てってやるもんか」
しのぶ「タエちゃん……」
大丸家での暮らしや、千鶴子との確執に晒されるうちに、耐子の性格まで歪んできたのではないかと危ぶむしのぶだった。
もっとも、この宣言は、さっきの管理人の当然の疑問に対する(スタッフからの)エクスキューズのようにも聞こえる。これで当面、しのぶや耐子が、千鶴子のイジメに耐えかねて屋敷から出て行くという事態は起こらなくなった訳で、剛造もスタッフも一安心である。
だが、二人が屋敷の前でタクシーから降りた直後、門の外に待ち伏せしていた路男たち渡り鳥連合に捕まってしまう。
路男、明日出張に行く剛造が、何時の飛行機で発つのか、しのぶから聞き出そうと言う腹だった。

路男「お前たちは千鶴子にいいように扱き使われている。おやじの大丸を俺たちが痛め付ければ千鶴子も泣く、そうすればお前らの溜飲も下がるだろう。大丸の乗る飛行機は何時の便だ?」
しのぶ「正午の広島行きです」
意外にもしのぶ、即答するが、

路男「ふっ、お前、嘘をつくのが下手だな」
しのぶ「いいえ、旦那様は正午に……」
路男「機転を利かせて嘘の時間を教えたって俺の目は誤魔化せねえ」
しのぶの性格を熟知している路男、それが剛造を庇う為の偽りだと見抜く。
で、結局、姉を助けようとして、耐子が正確な時刻と行き先を知らせた為、路男は二人を解放してすぐに退散する。
このままでは、剛造の身に危険が及ぶかもしれないと考えたしのぶは、悩んだ末、雅人に相談する。

雅人「さ、遠慮は要らないよ」
そして、雅人がしのぶを自室に招じ入れるところを、2階から降りてきた千鶴子に目撃されてしまうのだった。
千鶴子「しのぶさんがお兄様の部屋に?」
事情を知らない千鶴子は、当然、雅人としのぶが恋仲なのではないかと、今までとは少し違った瞋恚の炎を目に宿す。
しのぶから話を聞いた雅人は、警察にも護衛を頼んでいるから大丈夫と言いつつ、念の為、自分が剛造に言って出発を1時間早くして貰うことにして、しのぶを安堵させる。

しのぶ「遅くなって申し訳ありません」
千鶴子「……」
その後、しのぶが花菖蒲とやらを千鶴子の机の上に置くが、

千鶴子、わざわざ買い求めさせたそのお菓子を、無言で払い落としてしまう。
しのぶ「お嬢様!」
「丹精込めて作ってくれた職人さんに失礼やろがーっ!」と、叫びつつ、床に落ちた和菓子を千鶴子の鼻の穴に押し込んでやりたい衝動に駆られたしのぶだったが、なんとか自制する。
それにしても、千鶴子、前代未聞のワガママ娘だから当然だが、とりわけ、こういう、マッチポンプ的と言うか、自作自演的と言うか、ひとり相撲的と言うか、一言では表現しにくい、理解不能の行動が多いような気がする。たとえば、
・しのぶたちの為にドレスを仕立ててやる→あえて燃やす
・しのぶに服の着替えを持ってこさせる→あえて着ない
・しのぶたちにわざわざお菓子を買いに行かせる→あえて払い落とす
みたいなね。

千鶴子「あなた、雅人兄さんの部屋で何してたの?」
しのぶ「セックスしてました」 千鶴子「ヒィイイイイッ!」 あまりのショックに千鶴子の髪の毛は一瞬で真っ白になったそうです。めでたし、めでたし。
じゃなくて、
しのぶ「……」
千鶴子「あなた、お兄様が好きなのね。でもお兄様はいずれ私の夫となる人よ、それを承知で私の目を盗んで、なんといってお兄様に愛の告白をしたの?」
嫉妬のあまり、冷静な判断力を失った千鶴子、一方的にしのぶを責め立てる。
……ま、良く考えたら、千鶴子が冷静な判断力を失ってるのはいつものことか。

雅人「千鶴ちゃん、何をバカなこと言ってるんだ?」
見兼ねて雅人が入ってきて、出発時刻の件をしのぶの代わりに説明するが、
雅人「部屋に入れたのは僕の方だ」
千鶴子「そう、知らなかったわ、お兄様までしのぶさんを好きだったとは」

雅人「千鶴ちゃん!」
あまりにひどい言い草に、雅人、右拳を握り締めて怒りにぶるぶる震える。
千鶴子「またいつかみたいに私を殴るおつもり? 良いわ、いくら殴られても、私、お兄様をしのぶさんには渡さない!」
雅人「千鶴ちゃん!」
無論、優しい雅人に千鶴子をグーで殴ることなどできよう筈もなかった。
翌朝、出発時刻が変更されたとも知らず、路男は橋の下で、仲間たちに襲撃計画を説明してから、

路男「俺が血で書いた復讐の果たし状だ」
と、剛造に叩きつける予定の手紙を取り出し、
路男「みんなも聞いてくれ……大丸、俺は犯罪者の子だ。それも犯罪の中でも一番汚いと言われてる誘拐犯の子だ。そう言えばもう分かるだろう?」
朗々と、みんなの前で読み上げるのだった。
この文面で、18年前、千鶴子(ほんとはしのぶだけど)を誘拐したのが路男の両親だったこと、父親がその時に命を失い、母親は現在行方知れずだと言うことが、視聴者に明らかにされる。

血で書いたと言う割りに、妙に子供っぽい路男の手。
でも、「許さない」じゃなくて、「赦さない」と書いてるところなど、端々に教養の高さが窺えるのだ。
もっとも、難しい漢字の書き取りは暴走族の得意分野だけどね。そこんとこ夜露死苦!
路男「だが、千鶴子を取り返すに当たり、お前の仕組んだ非道なからくりを俺は赦さない! たとえ犯罪者でも、俺にはかけがえのなかった父と母……お前の行為を神や仏が赦しても、田辺路男は赦さない!」
自分で書いた文章を自分で呼んで、感極まって泣き出しちゃう路男。
最後は、自分を神様や仏様と同列に並べちゃうあたり、タダモノではない。
冗談抜きで、新興宗教の教祖にでもなったら成功するんじゃないかなぁ。
まだまだ続く路男の独演会。
路男「俺はやがて、お前が愛する千鶴子を奪い、思う存分辱めるだろう! それこそがお前にとって地獄にも等しい苦しみだからだ!」 分からないのはその点で、路男が18年前のことで剛造を恨むのはいいとして、なんでそのことについて責任も関係もない千鶴子が路男にれーぷされなきゃいかんのだ?
あと、あまりに感情込め過ぎて、これから肝心の復讐を決行しようと言うのに、なんか、もうそれ読んだだけで満足して、そのまま路男が家に帰っちゃいそうな雰囲気が漂ってるのもペケ。
渡り鳥の皆さんも、自分で書いた手紙を自分で読んで感動して泣いている親分の姿に、さぞやドン引きしてるだろうと思いきや、
渡り鳥「分かったぜ、会長!」 渡り鳥「やってやろうじゃねえか!」 その心配は御無用であった。
ま、まともな神経の持ち主なら、とっくの昔に路男のもとから消えてるだろうからね。
だが、折角盛り上がったのも束の間、剛造が1時間出発を早めたことが分かり、慌てて空港へ行ったものの、既に剛造を乗せた機は大空へ飛び立った後だった。チーン。

一方、屋敷のしのぶたちのもとに、龍作からの歓迎されざる手紙が届いていた。
郵便配達屋さん泣かせの、ほとんど判読できないひどい字だったが、いかにも龍作にふさわしい。

龍作の声「俺は今、小菅の東京拘置所にいる。俺はひどく不自由している。面会に来て、次の品物を差し入れてくれ。現金2万円、歯ブラシ、歯磨き、下着、石鹸、タオル、ちり紙、うちわ、あんぱん、バター、ウィンナーソーセージ、ビスケット、ミカンの缶詰、のりの佃煮……」
しのぶ「……」
一口で言って、
最低の文面だった。 こんな場合、嘘でも、「迷惑掛けてすまない」などの文言が添えられているのが最低限の礼儀だが、日本が世界に誇る人間のクズ・龍作を見損なっては困るのである。
ある意味、こんな要求がいけしゃあしゃあと出来るって、一種の「才能」のような気がしてきた。
耐子「父さんの図々しいのには目が眩むわ、この上、まだ私たちに迷惑掛けようってんだから」
横から手紙を読んだ耐子も、半ば呆れ、半ば感心したような声を上げる。
耐子「まさか、面会に行くつもりじゃないわよね?」
しのぶ「……」
そのまさかであった。もっとも、龍作も、しのぶの性格を知った上でこんな手紙を出しているのだが。
さて、雅人、なんとか千鶴子のしのぶたちに対する態度を改めさせたいと考え、大学の図書館で参考になりそうな本を探していた。

色々調べて見付けたのが、こんな本だった。
ま、こんなもんに頼って千鶴子の性格を直せると思ってる時点で見込みはないのだが。
その帰り、雅人はしのぶが歩道を歩いているのを見て、車を停め、声を掛ける。
雅人「まだ昼過ぎだよ、学校もう終わったの?」
しのぶ「いいえ、早引けしたんです」
しのぶ、あの手紙を雅人に見せて、これから面会に行くところだと告げる。
しのぶ「お父さんには誰一人、面会に来る人も、差し入れをしてくれる人もないに違いありません。私が行かなければ……」

雅人「君、この2万円、持ってるの?」
しのぶ「奥様に給料の前借りをお願いしようと思ったんですけど、どうしても言い出せなくて」
雅人「じゃあ、これを持って行きなさい」
雅人、財布を出して、2万円をしのぶに渡す。
しのぶ「ありがとうございます、これはきっとお返しします」
どうでもいいが、彼らの背後の道路標識が「左急カーブ」じゃなくて、「左急カヴ」に見える。

雅人「……」
一礼して歩いて行くしのぶの後ろを姿を見ていた雅人、あんなろくでなしの父親にも同情や優しさを出し惜しみしないしのぶの健気さに、初めて、しのぶに対する愛に似たものを覚えるのだった。
……だが、
ナレ「急いでその思いを振り払った。自分が愛すべきなのは、あくまで千鶴子であることを知っていたからである」 いやいやいや、雅人さん!
「愛」って、知るものじゃないでしょう? 感じるものでしょう?(註1)
(註1……管理人、決して発狂した訳ではありません、ご心配なきよう)
その後、拘置所の前の差し入れ屋に立ち寄ったしのぶだが、ちょうどその時、店にいたのが優子だと言う偶然が起きる。
無論、二人が会うのはこれが初めてだった。

しのぶ「あの、差し入れってどうしたら良いんでしょうか?」
優子「手続きは簡単よ、この差し入れ票に名前と住所、差し入れする品物を書き込めば良いの、こんな風にね。それから面会もするんだったら、あそこが受け付けよ」
優子、優しくしのぶに説明し、自分の差し入れ票も見せてくれる。
それによって、しのぶは相手が辻優子と言う名前だと言うことを知る。ちなみにそれによると優子は26才らしいが、これは、岡田奈々さんの実年齢と同じである。
優子が先に帰った後、差し入れ屋のおばさんの口から、優子がヤクザの情婦であること、組の下っ端が逮捕されたのでそれに差し入れに来たことなどが語られる。

龍作「よく来てくれたな、へへへ、いやぁ、だけどなぁ、考えてみると……」
しのぶと面会した龍作、嬉しそうに笑み崩れつつ、
「お前には苦労のかけっぱなしだなぁ」などと殊勝な台詞を言う筈もなく、
龍作「色々とたらねえものがあるんだよ、ほら、耳掻きとか、ジャムとか、週刊誌とか……」 そう、龍作の頭にあるのは、ひたすら自分のことだけ。
龍作をそんじょそこらのダメ人間と一緒にしてもらっては困るのである。
それにしても龍作、とても拘置所に入れられている人間とは思えない厚かましい態度である。下宿している大学生が、母親に仕送りを頼んでるようにしか見えない。
龍作、明日も来てくれと頼むが、さすがのしのぶも難色を示す。
龍作「俺も一年に二年の実刑は免れそうもねえや。いつムショ送りになるかわかりゃしねえ。そうなりゃ、おめえと会うこともできなくなるしよ、だから、会えるときにこうして会っておきたくなってなぁ。俺ぁ、確かにろくなオヤジじゃなかったけどよ、心の中じゃおめえが可愛くってよ、ほんとだよ。だからさ、この仕切りさえなきゃおめえを抱いてやりてえくらいだよ。な。しのぶ、来てくれ、な?」
しのぶ「分かったわ、分かったわ、お父さん」
が、龍作の見え見えの泣き落としにころっと騙されたしのぶ、その願いを聞き入れてやるのだった。
無論、龍作が欲しいのは差し入れだけなのだが、それでも、独房の中で多少の人恋しさを感じているのは事実だったろう。
一方、路男、「火の国」へ優子に会いに来るが……あれ、前に、もう二度と会いませんとか言ってなかったっけ? ま、いいか……、例によって島田に虐待されている優子を見て心を痛める。
とうとう我慢できなくなって、強引に優子の手を取って彼女を助け出そうとする。
この辺が、偉そうなことを言ってもまだ子供だなぁと言う感じが良く出ている路男の短絡さである。
が、島田たちに見付かり、再び殴り合いとなるが、今度はちょっと相手が多かった。あえなく捕まり、島田にボコボコに殴られる。
優子、咄嗟に島田の部下が持っていたドスを奪い取り、切っ先を自らの白い喉に向けながら、

優子「路男を放して、でないと私は死ぬよ!」
島田「てめえ、なにしやがる」
優子「私が死んだら店はやってけないよ、客は私目当てに来てるんだからね。いいのかい?」
自分自身を人質にして、島田を脅迫する。
しかし、何気に優子さん、自分が飛び切り良い女だと言う自覚があったんですねえ。まぁ、鏡見りゃ分かりますけどね。
島田「放してやれ、優子ほどの女、代わりはおいそれとはみつからねえ」
島田、そう嘯いて要求を呑み、路男を解放してやるが、実のところは、代わりもなにも、島田は優子なしでは一日も生きていけないヘタレなので、優子を奴隷のように扱っていても、結局は優子の言いなりになるしかないのだった。

路男「優子さん、俺の為にぃ!」
悲しげな目をして島田に連れて行かれる優子の後ろ姿を見て、頭を掻き毟って、好きな女ひとり救えない自分の不甲斐無さを呪う路男だった。
路男、優子を女性として愛している訳ではなく、あくまで姉のような存在として慕っているだけなのだろうが、優子が自分にとって大切な人であることに変わりはない。
路男の苦悩は深く、重かった。
翌朝(?)、しのぶがかなり遅刻して教室に入ってくる。

男谷「……」
だが、我らがプリケツ男谷は、にっこり微笑んだだけで席に着くよう促す。
まだプリケツ男谷の出番があったとは意外だった。
と、まなみたちが立ち上がり、口々に、最近、しのぶが遅刻・早退を繰り返していることを指摘し、
生徒「それに泥棒の父親に面会とかで」
生徒「私たち、正直言って、そんな人とは一緒に勉強する気になれません」
しのぶ「……」
どうせまた千鶴子が言い触らしのだろう、彼らはしのぶの父親のことまで持ち出してしのぶを非難する。

男谷「……」
プリケツ男谷、彼らの心無い言葉に、三浦友和ばりの鋭い眼光を、まなみたちではなく、彼らを裏で操っている千鶴子に向ける。

千鶴子「……」
千鶴子もその視線に気付くが、不敵に微笑んで目を逸らす。
大丸剛造の娘と言う立場さえあれば、どんな悪事も許されると言う驕りが感じられる目だった。
これが、熱血・滝沢先生だったら、その教師魂で独力で千鶴子の腐った性根を叩き直すことも可能だったろうが、存在感の薄い、下手をするとしのぶと一緒にいじめられそうな頼りなさのプリケツ男谷には無理な注文だった。それでも、なんとか勇気を出して彼らを叱り付ける。

男谷「君たち、何を言うんだ。父親がどんな人間であれ、それは松本しのぶさんの責任ではない」
しのぶ「……」
男谷「さ、授業を続けるぞ」
生徒たち「そんだけかいっ!」(ズドドドドド!)
心の底では教師から厳しい言葉を掛けられることを期待している生徒たちは、プリケツのあまりに淡白な説教に対し、一斉にツッコミを入れたと言う。
嘘はさておき、プリケツの一言で、多少、救われたように顔を上げるしのぶだった。
プリケツ、自分の指導力不足を認めるかのように、後日、千鶴子の母親・則子を学校に呼びつける。

則子「それじゃ、千鶴子さんが友達をけしかけてしのぶさんをいじめてると仰いますの?」
男谷「そうは申しません。ただ、お嬢さんが一言言えば、しのぶさんに対する不当なイジメはなくなる筈ですが。千鶴子さんは明らかに黙認しています。奥様はしのぶさんの保護者でもありますし、その立場から御家庭でももっとしのぶさんに対する温かい気配りをお願いします」
則子に対する態度も実に歯切れが悪く、あまりに下手からで、迫力に欠けたものであった。
要するに相手の心に響かない言葉なのだ。
これも、滝沢なら、小沢アニキのふてくされた母親を一発で改心させたような効果も期待できたのだが。
案の定、則子は学校から帰ると、加害者である千鶴子ではなく、被害者のしのぶのほうを責める。

則子「気配りをしろって言われたけど、どう気配りをしろって言うのかしら?」
しのぶ「……」
則子「しのぶさん、大丸家の体面に関わります。今後面会には通わないで下さいね」
しのぶ「ご迷惑をおかけしてすみません。……でも、もう一度、明日だけ行かせて下さい」
則子「まあ、これほど言っても?」
しのぶ、父親に面会できるのは明日一日しかないと言い、何度も頭を下げてお願いする。

雅人「お母さん、行かせて上げたらどうですか?」
千鶴子「私も行きたければ行けばいいと思いますわ」
則子「千鶴子さん!」
千鶴子「ただし、しのぶさんや耐子さんがこの家を出ると言う条件でね。しのぶさん、どうするの?」
とにかく、なにがなんでもしのぶを追い出したい千鶴子、この機会を利用して、悲願達成を果たそうとする。
しのぶも一瞬、本気でそうしようかと考えたが、例によって出立前の剛造の言葉が足枷になり、則子の命令に従って面会を断念し、大丸家から自由になるチャンスを放棄してしまう。

その後、風邪気味だったところに、仕事の疲れや様々なストレスが重なり、とうとうしのぶは仕事中にぶっ倒れてしまう。
と言っても、風邪をこじらせただけで、医者を呼んだり、入院したりするほどではない。
翌朝、学校を休むことになったしのぶが、ふらふらと家から出て行くのを見て、雅人が声を掛ける。
どうせ休むのだから、やはり父親の面会に行くのだという。

雅人「どうしても行かないと駄目なの?」
しのぶ「父との約束なんです。最後にこれだけは差し入れてあげるって」
しのぶ、雅人に父親からの要求を書いたメモを見せるが、

……
調子に乗るのもたいがいにしろぉおおおっ!! そのあまりの厚かましさに、ドラマと知りつつ、ぶち切れてしまう管理人であった。
どうでもいいが、龍作、酒飲みの癖に甘党なんだね。
雅人「じゃあ僕が代わりに行こう」
しのぶ「そんな……」
しのぶに負けないくらい人の好い雅人は、そんなことを言い出す。しのぶは遠慮するが、結局好意に甘えさせて貰うことにする。
だが、毎度お馴染み、その一部始終を千鶴子が見ていたからサァ大変!

千鶴子「しのぶさん、学校は?」
しのぶ「休ませていただきます」
千鶴子「そう、でも、歩けるくらいなら仕事は出来るわね。私の部屋を掃除しといて頂戴。家具も全部上げて隅々までね」
しのぶ「てめえの部屋くらい、てめえで掃除しろタコ」 千鶴子「……」
なぁーんてことを言ってやったら気持ちが良いだろうなぁと思いつつ、従うしかないしのぶだった。
一方、生真面目な雅人は、差し入れだけでなく、わざわざ龍作に面会してしのぶからの言葉を伝えるのだった。

龍作「あーあー、世の中で一番会いたくねえやつのせがれが会いにきやがった」
雅人「頼まれたものは差し入れしておいた。あなたからも何かしのぶさんに伝言があると思う、僕はそれだけを聞きに来た」
龍作「そうさなぁ、俺が出所するまで似金を貯めとけって言っといてくれ。たんまりと俺に貢ぐ為にな」
雅人「それが実の娘さんに言う言葉ですか?」
聞きしに勝る龍作のクズっぷりに、思わず声を荒げる雅人だったが、

龍作「へへっ、しのぶは俺の娘でも何でもねえや。だからこそ、無理を承知の上で毎日面会に来続けさせたんだ」
雅人「なんだって?」
龍作「俺は父親じゃねえってことよ」
雅人「冗談はよしたまえ」
龍作「へっへっへっ、まぁ、冗談かどうかは今に分かるさ」
実刑を食らってヤケになっているのか、龍作は、大切なネタの一端を雅人にバラしてしまう。
もっとも、それだけでは、雅人には千鶴子としのぶが幼い頃入れ替わっているなどとは分からない。
しかし、この龍作の台詞って何か変だよね。
「実の娘ではない」→「無理を承知で~」と言うのは、文章の繋がりがおかしいと思うのだ。
逆に言えば、もし実の娘だったら、そんな無理は言えないと言うことになるのだが、そもそも、目下、世界ダメ人間グランプリV9達成中の龍作ともあろうものが、相手が実の娘だからって、自分の欲望を満たす為に扱き使うことを遠慮するとも思えないのだ。

それはさておき、しのぶ、バカ正直に千鶴子の部屋を、わざわざ家具まで動かして掃除していた。
学校から帰ってきた千鶴子は、ねぎらうどころか、
千鶴子「あなた、朝からやってまだ終わらないの?」 全力でしのぶをなじるのだった。
さすが、龍作の実の娘である。性格の悪さは、育ちからだけではないようだ。
しのぶ「すいません、体が思うように動かなくて……」
千鶴子「だったら無理をしないでこの家を出て行ったら? こんな苦労はしないで済むのよ」
……
無理をさせてるのはてめえだろうがっ!! あっ、すいません、あまりにムカついたので、つい我を忘れてしまいました。

そこへ雅人と耐子が入ってくる。
雅人「千鶴ちゃん、しのぶさんになにやらしてるんだよ」
千鶴子「お兄様は黙って見てらして」
耐子「お姉ちゃん、私、手伝うよ」
耐子がしのぶに手を貸そうとすると、
千鶴子「あなたには命じてないわ。手伝うんだったらこの家を出てお行き」

耐子「ええ、いいわ!」
しのぶ「タエちゃん、私なら大丈夫、どんなことがあってもこの家に留まってみせるって言ったのはあんたでしょ」
耐子が怒りをあらわにして当然の反応を示すが、しのぶは歯痒いほどに従順で、あくまで千鶴子の命令をまっとうしようとする。
が、病気と過労から、またしてもその場に倒れてしまう。雅人たちが慌てて抱き起こすが、
千鶴子「立ちなさいよ、途中で掃除をやめられては困るわ」 眉ひとつ動かさず言い放った千鶴子の態度は、ほとんどサイコパスの域に達していた。
と言うか、ここまで来ると、ただのアホにしか見えん。

雅人「千鶴ちゃん、なんてこと言うんだ!」

遂に我慢できなくなって、雅人がその頬を音高くビンタする。

千鶴子「お兄様は、お兄様はやはりしのぶさんがお好きなのね?」
雅人「そんな問題じゃない! しのぶさんはまだ安静が必要な体なんだ!」
トンチンカンなことを言う千鶴子を叱り飛ばすと、雅人はしのぶの体を抱えて部屋を出て行く。
とうとう医者が往診に来て、しのぶを診察している。

女中「だらしないわねえ、三日間も寝込まれたんじゃ、仕事が増えて困ってしまうわ」
女中「でも、良いことがひとつあるわ、しのぶさんは働き過ぎるもの、私たち何かと比べられるじゃない。寝込んでくれてホッとしたわ」
大丸家の人間は、どいつもこいつも腐っているのか、部屋の外に立った同僚のお手伝いが、聞こえよがしに、しのぶへの心ない言葉を口にする。

しのぶの枕頭に座っている耐子、怒りの目付きでそんな腐れ外道たちを睨みつける。
いっそのこと、ブルードルフィンに変身してボッコボコにしてやればいいのにと思ったのは管理人だけではあるまい。
鈴子「そんな言い方ってないでしょ? しのぶさんは同じ仕事仲間なのよ」
さすがに、見兼ねたお手伝い頭の鈴子がやんわりとたしなめるが。

一方、雅人は自室に篭り、例の本を丹念に読んでいた。
雅人「彼らを素直な本性に立ち返らせるのに必要なのは、殴ることではなく、抱き締めることである。憎悪ではなく、愛情である……」
と、いかにも滝沢が言いそうな、そんな一節を真に受けちゃった雅人、翌日、意外な行動に出る。

千鶴子を、セスナの飛行場に連れて行き、
千鶴子「わあー! じゃあ、お兄様、乗せてくれるのね?」

実際に、自ら操縦桿を握って、千鶴子に大空の旅をプレゼントするのだった。
ここは、ちゃんとセスナを飛ばして撮影しているのがえらい。

千鶴子「素敵ぃ!」
雅人「うん、これで操縦免許があったら、なお素敵なんだけどね!」
千鶴子「………………え?」
嘘である。

雅人「高度700、今僕たちは東京の人間の中で一番高いところにいる」

千鶴子「いいわぁ、ほんとに空って……」
鳥のように自由自在に空を飛び回るのが楽しいのか、もしくは、下等な人間たちを足元に踏み付けているのが嬉しいのか、まるで別人のようなまろやかな笑顔を弾けさせる千鶴子。
ほとんど二重人格者である。
雅人「この清浄な大気の中で僕は言いたい、千鶴ちゃん、僕と婚約してくれ!」 このタイミングで、雅人がいきなりプロポーズする。

千鶴子「ええっ?」

雅人「僕らは周りからいつかは結婚すると決められているが、男として僕は成り行き任せではなく、はっきりとプロボースしておきたい」
千鶴子「でも私は、お兄様を失望させてるんでしょう? もう嫌われてるんでしょう。お兄様はしのぶさんを好きなんでしょう」
雅人「そんな自分を貶めるようなことを言うんじゃないよ。さぁ、地上に激突する前に返事を聞かせてくれ!」
雅人、そう言うと、操縦桿をグイと押し込んで、機体を急降下させる。

千鶴子「ああ……」
ぐんぐん迫ってくる地表を、幼子のような怯えた目で見る千鶴子。

千鶴子「キャアッ!」
返事どころではなく、最後は雅人の腕にしがみつくのだった。
千鶴子のキャラはキャラとして、やっぱり伊藤かずえさんは可愛いよね。
こうしてセスナは地上に激突し、雅人と千鶴子は無事、天国で結ばれたのでした。
「乳姉妹」・完。
じゃなくて、

雅人「じゃ、いいんだね」
千鶴子「はい」
雅人「僕らが結婚するのはまた先の話として、その前に頼みがある。これからは僕のことをお兄様ではなく雅人さんと呼んで欲しいってことだ」
千鶴子「そうするわ」
雅人「僕は君の恋人としてふさわしい男になれるよう努力するつもりだ。だから君も僕のことだけを中心に考えて欲しい。しのぶさんが君にとってどんな存在であれ、そんなことよりも、優しく美しい僕の妻になってくれる為に自分を磨いて欲しい」
千鶴子「……」
雅人「どうしたの?」

千鶴子「お兄様は、雅人さんは、私のようなワガママな娘を見捨てないでいてくださったのね」
雅人「僕は一度隙になった女性は信じ抜く、生涯嫌いにはならないさ!」
千鶴子「雅人さんっ」
嬉しさのあまり、涙ぐんで雅人に抱きつく千鶴子。

そして、ぶっちゅう~っと、肉感的なキスを交わすのでした。キャーッ!
ナレ「私は愛されている……その実感が千鶴子にもたらした変化は驚くべきものであった」
……と言う訳で、久々に始まりますよ、千鶴子のジェットコースター性格変化!

しのぶと耐子が中庭に洗濯物を干していると、にこやかな千鶴子が来て、
千鶴子「しのぶさん、後でテニスをしない? あなたたちにも息抜きが必要よ」

しのぶ「……」
耐子「……」
一度や二度のことではないので、二人は一瞬押し黙り、

しのぶ(またか……)
耐子(またね)
と言う風に、醒めた目を見交わす姉妹だった。
千鶴子「急にこんなことを言っても信じられないかも知れないけど、私、もうあなたたちにつらく当たらないわ」 千鶴子がそう言ったのが、DVDの42分15秒である。皆さんも、銘記して頂きたい。
耐子「あてになりゃしないわよ、千鶴子さん、気分屋だから」
千鶴子の豹変には慣れている耐子、千鶴子が立ち去った後でぼやくようにつぶやくが、次のシーンでは4人がテニスウェアを着て、大丸家のテニスコートに集まっている。
無論、しのぶと耐子はテニスなど全くやったことがない人種だった。
千鶴子「いいこと、サーブの基本はなんといってもラケットの中心に球を当てることなの」
雅人「じゃあ僕が模範を見せるからね」
雅人、そう言ってベースラインの外に立ち、立て続けにラケットを振るが、ボールはひとつも飛ばず、次々と足元に落ちるだけ。

耐子「ぷっ、あっはっ」

耐子「下手よね、空振りばっかりぃ」
初心者の耐子は、それを見て無遠慮な笑いを漏らす。
うーむ、思わず三枚も貼ってしまったが、森恵さんが可愛過ぎる!
しかし、妹役なのに、ヒロインである渡辺さんより明らかに綺麗なのは、ある意味、ミスキャストだよね。

千鶴子「ラケットを見せてあげて」
しのぶ「へぇー」
千鶴子に請われて雅人が自分の持っているラケットを二人に見せると、それが真ん中が四角く切り取られた特殊なものだったので、しのぶは感心したような声を放つ。
雅人「これはプロがよく使うサーブ練習用のラケットだ。この真ん中の穴をスッと抜けるように球を打てれば、正確なサーブってことになる」
しのぶ「雅人さん、凄いですね!」
しのぶは、大丸家に住むようになって以来、初めてと言えるような明るい笑顔を見せる。
しのぶのでかい胸は、春が来たような暖かさで満ちる。

雅人「ラケットが上向いているからそう言う風になっちゃう。だから打つ時にスナップを利かせて……」
手取り足取り、耐子をコーチしている雅人。
しかし、この可愛らしさ、千鶴子がしのぶのことばかり気にして、耐子に対しては全く嫉妬しないのが、ちょっと不自然に思えるほどだ。
まぁ、千鶴子にとってみれば、耐子はまだほんの子供で、恋敵になどなる筈がないと考えているのだろうが、実際は、十分、雅人の恋愛対象になる年頃なんだけどね。
ナレ「何処までも優しい雅人、それを見るしのぶの目に、慕わしさが溢れたのも無理はなかった」

千鶴子目線でのしのぶの(文字通りの)バストショット。
渡辺さん、はっきり言って美人とは言いがたいが、この巨乳は凄いです。

ナレ「雅人だけを愛そうとしていた千鶴子にとって、しのぶの眼差しは一気に胸を貫いた。将来、雅人を巡って、しのぶが自分のライバルとなるのを直感したのである」
プロポーズされたばかりだというのに、とことん自分に自信のない千鶴子。
ナレ「……それはそれとして、耐子の控え目なミニ スカ姿がめっちゃ可愛いのである!」 芥川さんまで見惚れてしまう、耐子のテニスウェアが可憐過ぎる!
それでも、なんとか気分を落ち着かせて、温容をキープする千鶴子であったが、汗だくになった雅人を見て、タオルを持って行こうとしたところ、それより先にしのぶが走り出して、タオルを雅人に渡してしまう。

しのぶ「はい」
雅人「おっ、ありがとう」
くどいようだが、テニスウェアの耐子が可愛い。抱き締めたいほど可愛い(うるせえ)。

千鶴子「……」
傍から見れば些細な出来事だったが、山の天気のように変わりやすい千鶴子の心境を変化させるには十分だった。

千鶴子、しのぶに向かって駆け出すと、

いきなりその顔を引っ叩く。
これがだいたい、44分45秒。つまり劇中の時間にして、2分30秒しか
「急にこんなことを言っても信じられないかも知れないけど、私、もうあなたたちにつらく当たらないわ」と言う約束は守れなかった訳である。
何と言うか、もう、人間として終わってよね、千鶴子って。

雅人「千鶴ちゃん、何をするんだよ」
しのぶ「お嬢様!」
千鶴子「雅人さんは私の婚約者よ!」 しのぶ「はぁ……」
周囲には全く理解できない怒りを一方的に爆発させた千鶴子、そのまま自室に引き篭もると、改めてしのぶをこの屋敷から叩き出そうと、決意を新たにするのだった。
以上、久しぶりに千鶴子のジェットコースター性格変化を堪能した管理人であった。
冗談抜きで、ここまで精神が不安定なのは、もはや心の病の一種だよね。
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