第48話「奪われた巨大空母」(1982年1月16日)
謀略によってイナズマギンガーにヘルサターンを殺させ、みごと機械帝国を掌中におさめたヘドリアン女王であったが、日夜、ヘルサターン総統の亡霊に悩まされていた。
夢の中で、ヘルサターンの生首から恨みつらみを言われておぞけをふるい、ハッと目を覚まして安堵したのも束の間、

ヘルサターン「機械帝国は不滅だ。黒い太陽神がお前たちに復讐する」
ヘドリアン「ああ、ああぁ……」
ヘルサターン「復讐する!!」
ヘドリアン「ああ、誰かおらぬか!」
今度は目の前にヘルサターンが現れ、迫ってくると言う具合。

アマゾンキラー「女王様、いかがなさいました?」
ヘドリアン「ヘルサターンが……はぁ? ヘルサターン……」
アマゾンキラー「はっ?」
ヘドリアン「ヘルサターン……」
アマゾンキラーが何事かと来た時には、既にヘルサターンの姿は忽然と消えていた。
無論、アマゾンキラーたるもの、幽霊の存在など信じず、ヘルサターンがまだ生きていて何処かに潜んでいるのではないかと、ゼロガールズや戦闘員と共に基地の中を徹底的に調べさせるが、不審なものは見当たらない。
では、ホログラフィー装置が仕掛けられているのではないかと、機械の中を開いてみるが、異常は見られない。
ヘドリアン「イナズマギンガー、そなたの仕業であろう」
イナズマギンガー「ふんっ、おらぁそんなケチな真似はしねえよ。やるなら正面からばっちり行くぜ」
ヘドリアンは、目障りなイナズマギンガーに対抗できる、強力なモンガーを誕生させろとアマゾンキラーに命じる。アマゾンキラーは、サムソンモンガーと言う、いかにも強そうなモンガーの設計図を見せてから、自ら機械生命体製造装置のレバーを下ろすが、

ミイラモンガー「モン、ガァーッ!! ぶるるっ、ミイラモンガァーッ!!」
固唾を呑んで見守る中、装置の中から出て来たのは、設計図とは似ても似つかぬ、いかにも頼りなさそうな怪人だったので、一同、唖然となる。
ヘドリアン「あ、ああ、アマゾンキラー、これはなぁんじゃっ? 私を馬鹿にするのか?」
アマゾンキラー「とんでもございません、これは何かの間違いです」

アマゾンキラー「これは、どうしたことだ?」
もう一度設計図と見比べてみるが、誕生したモンガーとは全く別物であった。
しかし、このサムソンモンガーって、実際、なかなか強そうだよね。キン肉マンの悪魔超人っぽくて。実体化されなかったのが惜しまれる。
ヘドリアン「ヘルサターンの亡霊を仕組んだのも、そなたであろう」
と、ヘドリアン女王、今度はこともあろうに腹心のアマゾンキラーにまで疑いの目を向ける。
ヘルサターンを追い落とす為に、権謀術数に耽ってきたヘドリアンだが、それが昂じて、いささか疑心暗鬼に陥っているようだった。

アマゾンキラー「女王様、それはあんまりなお言葉でございます!!」
ヘドリアン「そなたの顔など、見とうもないわ!!」
アマゾンキラー「女王様!!」
折角ヘドリアンの為に全身全霊で尽くしてきたアマゾンキラー、その挙句にそんなことを言われたのでは立つ瀬がない。
でも、実際、終盤のヘドリアン女王って「デンジマン」の頃に比べると、かなり性格が陰湿になってるよね。(悪は悪として)豪快且つ、さっぱりした気性や、部下に対する襟度が失われているように見える。
で、その嫌な部分をより拡大したのが、「スピルバン」の女王パンドラなのではないかと思う。

ミイラモンガー「なんだなんだ、まるで生まれてきたのが悪いという言い草ではないか。ふーん」
一方、手違いで生まれてしまったミイラモンガーは、周りの反応に気分を害し、むくれてその場にあぐらをかいて座り込んでしまう。
その後ろで白衣を着た戦闘員のひとりが、額に手を当てて俯いているのだが、これは怪人の境遇に同情しているのか、それとも「トホホ……」と思っているのか、どちらだろう?
と、ここでいきなり、機械帝国の真の支配者「全能の神」の正体が明らかになる。
それは、サイモン・ライトのような脳味噌だけの生き物であった。
また、ヘルサターンがその操り人形に過ぎず、やはり、その力で復活させられていたことが判明する。

ヘルサターン「私の出現に大騒ぎでございます」
神「機械帝国を侵略することは誰にも出来ん、誰にも許さん」
「全能の神」の声は、ジェネラルシャドウの柴田秀勝さん。
ヘルサターンの飯塚昭三さんと言い、イナズマギンガーの渡部猛さんと言い、声優陣がめちゃくちゃ豪華である。
さて、アマゾンキラー、ヘドリアン女王の信頼を取り戻すべく、次なる作戦をスタートさせていた。
まず、平和守備隊の通信基地に入り込み、ニセの通信を太陽戦隊に送る。

美佐「東京E地区一帯にブラックマグマの陰謀あり!!」
嵐山「なにぃ……サンバルカン、出動せよ」
飛羽「出動します!!」
ホットパンツからはみ出る美佐の尻肉に敬礼!!

まんまとおびき出されたサンバルカンは、単独行動していたイーグルが、ミイラモンガーにぐるぐる巻きにされて捕まってしまう。
ところが、アマゾンキラーたちの目の前で、ミイラモンガーごとイナズマギンガーに横取りされてしまう。
ちなみに予告編ナレでは、「ヘドリアン女王がヘルサターンの霊を鎮める為に、イーグルを生贄に……」と言う一節があるが、本編では省略されている。
イナズマギンガーは、密かに用意した自分だけのアジトにイーグルとミイラモンガーを連れて行き、

イナズマギンガー「女王はな、お前の顔を見ると反吐が出るといっておるぞ。そんな女王に忠誠を尽くす必要が何処にある?」
ミイラモンガー「そう言われればそうだ、女王様はわしを毛嫌いなさっておる」
イナズマギンガーの歯に衣着せぬ指摘に、怪人の分際で、自分の身の振り方を考え込んでしまうミイラモンガー。
イナズマギンガー「俺に付き合え、面白い思いをさせてやるぞ」
こうしてイナズマギンガー、簡単にミイラモンガーを抱き込むことに成功する。
イナズマギンガー、荒っぽさだけが身上かと思いきや、なかなかどうして、こういう手練手管にも長けているのだ。
嵐山「なにぃ、バルイーグルとジャガーバルカンを交換しろだと?」
そして、バルイーグルの身柄とジャガーバルカンを交換しようと、嵐山長官に大胆な提案をする。

イーグル「長官、こんな奴らの言いなりにならないで下さい!!」
人質にされた特撮ヒーローの作法を守り、お約束の台詞を口にするイーグルであったが、
嵐山「ほんとにそれで良いんだな?」 イーグル「う゛っ!!」 嵐山長官にまさかの念押しをされて喉が詰まるのだったが、嘘である。
イナズマギンガー「どうする、嵐山? バルイーグルよりジャガーバルカンを取るか? それならばそれでよいのだ」
嵐山「待て、これは重大な○○(聞き取れない)だ、私の一存で決められる問題ではない、一日時間をくれないか」
イナズマギンガー「いや、一時間だけ待つ」
老獪な嵐山、なんとか一時間の猶予を得ることに成功する。
嵐山「音声が明確だった、イーグルが囚われているのは北極ではない」
嵐山は、二人にアジトの場所を捜索させるが、何の手掛かりも得られなかった。
CM後、しきりに腕時計を見ながら、サファリのカウンターで溜息をついている美佐の姿があった。

助八「どうしたの、美佐ちゃん、さっきから時計ばかり気にして?」
美佐「別に」
助八「まさか、恋人と待ち合わせしてる訳じゃないでしょうねえ」
目の前で野菜を切っていた助八が、無神経なことを口にする。
美佐は
殺意を涙を堪えつつ、わざと笑顔で「そうよ」と応じる。
と、学校帰りの子供たちが飛び込んでくる。

正男「ねえ、飛羽さんは?」
美佐「飛羽さんに用なの?」
次郎「剣道教えてもらうことになってるんだよ」
正男「なんだ、飛羽さん、来てないのか」
「サンバルカン」のレギュラー子役、終盤は全然出てこない印象があったが、結構出てるんだね。
ちなみに、最後まで管理人、正男と次郎の区別がつきませんでした。
美佐「飛羽さんはね、飛羽さんはね……」
刻々とタイムリミットが近付いているイーグルこと飛羽の身を案じ、思わず涙をこぼしてしまう美佐。
エミ「美佐姉ちゃん、泣いてるー」
助八「あ、ごめんごめん、僕がね、タマネギ切ってたもんだからねー」
助八、それが美佐の気持ちを慮ってのフォローなら男として立派なのだが、本気でそう思っているのだから、救いようがない。

エミ「助八さんが切ってるのはじゃがいもよ」
助八「あ、そうでした。ぐふふー、間違えちゃったボクー」
助八の明るい声に励まされたように、美佐も涙を拭って笑顔を取り戻す。
助八が、生まれて初めて人の役に立った瞬間だった。
一方、嵐山長官は、ジャガーバルカンをイナズマギンガーに引き渡すと宣言し、欣也と朝夫を驚かせる。
二人はパンサーとシャークに変身してジャガーバルカンに乗り込み、指定された場所へ飛ぶ。

シャーク「イーグルはどうした?」
パンサー「イーグルを出せ」
イナズマギンガー「イーグルは無事だ、お前たちが変な真似しねえように、ちょっと隠してあるだけだ。さぁ、合体してサンバルカンロボを作れ」
シャーク「イーグルを連れて来い」
イナズマギンガー「先にサンバルカンロボを合体させろ」
どちらも譲らず、会話は平行線を辿るが、
嵐山「シャーク、パンサー、言われたとおりにするんだ」
本部の嵐山が、二人に落ち着いて指示する。
二人は歯噛みしつつ、言われたとおりジャガーバルカンから各メカを発進させ、イナズマギンガーの前でサンバルカンロボに合体してみせる。
イナズマギンガーは二人を降ろさせると、自分が操縦席に乗り込む。

イナズマギンガー「遂に手に入れたぞ、無敵の超兵器、これで地球を支配できる」
目論見どおりにことが運び、ご満悦のイナズマギンガー。
でも、考えたら、それ一機で地球を支配できてしまうサンバルカンロボって、物凄い兵器だよね。ある意味、核兵器より恐ろしい兵器かも知れない。

イーグル「おい、イナズマギンガーの奴隷さん」
ミイラモンガー「なにぃ、俺を奴隷呼ばわりするのか」
イーグル「イナズマギンガーの言いなりじゃないか、それじゃ奴隷と同じだよ」
ミイラモンガー「だ、黙れえ、わしは機械帝国のミイラモンガー様だ。イナズマギンガーごときの奴隷ではないわ」
イーグル「ほおっ~、腰抜けの癖に口だけは一丁前だな」
ミイラモンガー「わしを侮辱したなぁ。ようし、腰抜けかどうか、わしの実力を見せてやるぅ!」
ミイラモンガー、誕生時の態度から見てもわかるように、妙にプライドの高い怪人であった。そこをイーグルに利用されて逆上し、イーグルの拘束を解いて一対一で戦おうとする。イーグルは、自由になると、さっさとアジトから逃げ出してしまう。
悪よりヒーローの方が道徳的に劣っているという、これもひとつの実例である。
しかし、イーグルの機転で逃げられたかといいようなものの、もしミイラモンガーが引っ掛からなかったら、嵐山はどうやってイーグルを助け出すつもりだったのだろう?
下手したら、騙されたイナズマギンガーに殺されていたかも知れないのに。
話は前後したが、イナズマギンガーが早速サンバルカンロボを動かそうとするが、どのボタンを押しても何の反応もない。うろたえるイナズマギンガーの頭上のスピーカーから、嵐山の哄笑が響く。
嵐山「はっはっはっ、すべてはオートコントロールされているんだよ」
イナズマギンガー「なんだとぉ?」
そう、シャークとパンサーが操縦しているように見えて、実は最初から本部のメカでオートコントロールされていたのだ。
でも、それならパンサーもシャークも、操縦してる時点で嵐山の策略に気付く筈だが?
それはさておき、嵐山は遠隔操縦でイナズマギンガーの体に電流を流し、操縦席から排出してしまう。
後は特に書くこともない。サンバルカンとミイラモンガーのラス殺陣となって、事件は終わる。

ヘドリアン「この裏切り者!!」
イナズマギンガー「なんだとぉ、やるか、こい!!」
さて、機械帝国に戻ってきたイナズマギンガーに、女王以下、攻撃の構えを取るが、イナズマギンガーは両肩のミサイルランチャーを起こして、敢然と応じる姿勢を見せる。
機械帝国全体を相手にしても勝ってみせるという、イナズマギンガーのますらおぶりに惚れ惚れする。
アマゾンキラー「あなたが何の目的で地球へやってきたか分かりました、地球征服!!」
イナズマギンガー「その通り、俺は地球を支配したい、支配して見せる!!」
ヘドリアン「なぁにを?」

その瞬間、彼らの背後で「ふっふっふっ」と、不気味な笑い声が聞こえたかと思うと、ヘルサターンが幽霊のようなおぼろな姿で左手から忽然と現われる。

一同「……」
白昼堂々現れた亡霊に、さすがのヘドリアンもイナズマギンガーも声を失う。

ヘルサターン「ふっふっふっふっ……」
ヘルサターン、笑いながらそのまま右手にフェードアウトする。
一同「通行人かいっ!!」 この日、機械帝国始まって以来の全力突っ込みの大音声が、オーロラの下に響き渡ったという。
ラスト、約束どおり子供たちに剣道を教えている飛羽の姿。

あまりにちっちゃくて、手にした竹刀に振り回されているようなルミちゃんや、

ぶかぶかの防具を着て一生懸命打ち込んでいるまりちゃんが可愛いのである!!
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