第9話「日輪仮面の謎!」(1972年11月28日)
はい、今回のレビューこそ、10/19の記事で書いたように、今度のブログの引っ越し騒動のどさくさで、せっかく苦労して書いておいた下書きを消してしまい、それでも、挫けそうになる己の心を叱咤しながら急遽一から書き直したものなんですねえ。
我ながらブロガーの鑑と言えましょう(うるせえ)。
はぁー、それにしても、よりによって「魔女先生」をバックアップし忘れちゃうとはね……。
残念ながら、最初に書いたエントリーは二度と戻ってこず、書き直したものはあくまで別物なのですが、内容的にはそれほど違いはないと思います。さすがに、多少簡略化してるところもありますが。

さて、劇中、子供たちの間では日輪仮面と言う特撮ヒーロー番組が絶大な人気を博していた。
ガキ大将の正夫もそれにすっかりはまっている一人で、教室でも、日輪仮面のマスクをつけてひとりで遊んで騒いでいた。

ハルコ「かぐや姫先生、来るわよ」
正夫「構うもんか」
ハルコ「先生、折角誉めてたのに」
正夫「えっ、誉めてた?」

優等生のハルコちゃんの言葉に怪訝そうな顔で聞き返す正夫。
ハルコ「そうよ、タツノオトシゴも良い子になったわって」
正夫「ふんっ」
などとやっていると、そのひかるが教室に入ってくる。
正夫は早速、吸盤の付いた矢をひかるに向かって飛ばす。矢は外れて光るの後ろの黒板に張り付く。

ひかる「およしなさい、えいっ!」
ひかる、矢を掴むと後ろを向いたまま投げ返す。矢は正夫の付けていた仮面の額に見事命中し、正夫はのけぞって倒れ、腕を痛め、さらに、近くの席の女の子のノートを床に落として汚してしまう。

マユミ「ああ、ひどいわ」
正夫「なんだよ、そんなノート、もういっぺん書き直せ!」
正夫に罵られ、マユミは両手に顔を埋めてしくしく泣き出してしまう。

その後も正夫と進が言い合いをはじめ、いつまで経っても授業が出来ず、ひかるはうんざりしてしまう。

ひかる「静かに!」
正夫「俺は……」
翼「あれ、どうしたんだよ、竜村くん、声、どうしたんだよ?」
正夫「……」
ひかる、遂にムーンライトリングを使って、正夫の声を消してしまう。
なお、今回だけの出演の、正夫の腰ぎんちゃく的男の子、役名は不明だが、演じるのは「海のトリトン」で有名な声優・塩屋翼さんである。ここでは、便宜上、翼と呼ぶことにする。
目を白黒させながら、口をパクパク動かしたり、喉に手をやったりする正夫。

(この画像、要るか?)

ハルコ「先生、竜村くんが変です」
ひかる「変じゃないわ、先生が静かにって言ったから言うこと聞いたんでしょ」
ひかる、さりげなくまた指輪をきらめかして、正夫の声を元通りにしてやる。
放課後、子分と一緒に帰宅中の正夫、縁日のお祭りに寄り道して出店を冷やかしている。

翼「あっ、おでん」
正夫「お前は食うことばっかり、もう」
翼「じゃあ、お面、お面」
正夫「幼稚なんだよ、んとにーっ!」
お前が言うな。 
ちなみに、お面屋さんの品揃えがチラッと映るが、何しろまだ1972年のこと、それほどたくさんのキャラクターは生まれておらず、うさぎや鬼、天狗などの定番以外では、仮面ライダー、ウルトラマン、スペクトルマン、黄金バット、忍者部隊月光くらいしかない。
そう言えば、菊さんも「月光」に出てるらしいね。
結局正夫が選んだ遊びは射的で、見事に的に命中させると、何を思ったか、さっきマユミが使っていたのと同じようなノートを獲得する。
その後、公園のそばを通り掛ると、同じ東西学園の中等部の生徒たちが、ブランコに乗っていた小学生の女の子たちを追い払うという、大人気ないにも程があることをしていた。

広田「ほら、早くどけよ」
追い払われた女の子の中にはそのマユミもいて、またしても泣きべそをかいていた。

マユミ「先生に言いつけるから」
広田「言ってみろよ、中学部の広田と聞いてセンコーのほうが逃げてくぜ」

正夫「言う必要は無い!」
広田「てめえ、この野郎!」
正夫「正義の味方・日輪仮面ただいま参上!」
そこへいきなり現れたのが、お面とマント代わりの風呂敷をつけ、日輪仮面に扮した正夫であった。
ガキ大将だが正義感の強い正夫、さっきのこともあってマユミを助けようとしたのだろうが、単に、日輪仮面になりきって、ヒーローごっこがしてみたかったというのもあるだろう。
正夫、腕は怪我していたが、さすが東西学園の番長を自負するだけあって強く、たちまち三人の中学生をぶちのめして追い払ってしまう。

正夫「お嬢さん、ブランコをどうぞ」
マユミ「日輪仮面、ありがとう」
ま、普通はすぐその正体が正夫だと気付くところだが、これはドラマなので、マユミは全く気付かない。

マユミ「かっこいい!」
しかも、いつの間にかマユミの足元には、あのノートの新品が落ちていた。

教頭「月先生は、ちょいと生徒を甘やかし過ぎる!」
ひかる「そうでしょうか」
教頭「そうですとも、たとえば竜村正夫、ああ言う生徒には教師のつもりでは当たってはいかん」
同じ頃、ひかるは校長室に呼び出されて、校長と教頭から指導方法について説教されていた。

ひかる「じゃ、どういうつもりで当たりますの?」
教頭「猛獣使いです、生徒がドライなら教師はハードボイルドで行くより他にはありませんぞ!」
ひかる「はーどぼいるど……」
校長「子供は果物と同じです、ひとりが腐れば他の新鮮な部分まで駄目になります。問題は竜村一人にとどまらなくなりますぞ」
ひかる「はい……」
某・金曜八時のドラマのはるか前にも、教育問題に関して「腐ったミカン」的な表現がされていたんだね。
一方、いじめっ子たちを撃退した正夫は、子分の翼に自分が日輪仮面だということは絶対秘密にしろと言いつけていた。
正夫「日輪仮面の正体はな、最終回まで秘密ってことになってんだかんな」
翼「うん」
だが、二人の他にも日輪仮面の正体に気付いた者がいた。物陰から一部始終を見ていた旗野先生である。

旗野「正義の味方に拍手を送るぜ」
後の12話でも分かるように、旗野先生は正夫の性格を、担任のひかる以上に良く理解しているのだ。

翌朝、当然のことだが、マユミが興奮気味に昨日のことをクラスメイトに話している。
進「信じられないなぁ」
ハルコ「誰かの悪戯だわ」
進「タツノオトシゴかぁ?」
中学生に喧嘩で勝てるのは正夫くらいしかおらず、みんなの視線が期せずして正夫に集まるが、正夫は素知らぬ顔で教科書をめくっている。
ま、日輪仮面のファンを公言している正夫が、そんな美味しい話題に食いつかない時点で怪しいのだが、小学生のハルコたちにはそこまでは見抜けない。

マユミ「まさか、あんな意地悪がぁ? それに、右手怪我してるでしょう」
ハルコ「そうか、そうね、片手じゃあ喧嘩できないわね!」
マユミの指摘に、ハルコも声を弾ませて同意する。

正夫「ああちゃ、はがゆ……」
彼らの会話には無関心を装って、わざとらしく大きな欠伸をする正夫。
ちょうどそこへひかるが入ってきて、そんな正夫を見詰めながら、

ひるか(タツノオトシゴが腐った果物だなんて、信じられないわ……)
正夫は確かにいたずらっ子でガキ大将だが、その性根までが腐っているとはどうしても信じたくないひかるであった。
その日の放課後、正夫は、広田が太一を捕まえて何か聞き出そうとしているのを見掛け、再び日輪仮面に扮して広田を懲らしめ、太一を助けてやる。

急いでその場から離れようとした正夫、向こうから来た旗野先生とぶつかってしまう。
旗野「お、おい、日輪仮面、早く逃げろ」
正夫「旗野先生……」
旗野「馬鹿、正義の味方なんかを生徒にした覚えはないぞ」

正夫「ありがとう、神はあなたに微笑むだろう、サラバサバラ」
正夫、気取った言葉と変な挨拶を残して、風のように走り去る。
この正夫の言う「サラバサバラ」って、やっぱり「まことちゃん」から来てるのかなぁ? それとも辻真先さんオリジナルのフレーズか?
さらにその翌日、井原さんたち仲良し三人組が珍しく遅刻してD組の教室に入ってくる。

ひかる「三人揃って遅刻? 何処で道草食ってたの?」
ひかる「ね、怒らないから正直に言って御覧なさい」 こういう教師の言葉をうっかり信じて、今まで何人の小学生が煮え湯を飲まされてきたことか……。
だが、三人は意味ありげに目を見交わすだけで、なかなか口を開けようとしない。
ここで、三人が遅刻した理由が視聴者だけに回想シーンで示される。
そう、彼らも登校の途中で広田に捕まって、日輪仮面の正体について聞かれていたのだ。無論、彼らは何も知らないので答えようがなかったが、

広田「確かにしらねえんだな。じゃ、行け。そのかわり、俺たちのことをセンコーに言いやがったら……おい、太田黒!」
太田黒「あ゛あ゛ーっ!」 今度の広田は、太田黒と言う用心棒を連れており、広田の合図で、太田黒は木を手刀でへし折ったり、看板を拳でぶち抜いて見せたりする。
広田「こいつはな、もう30過ぎてるんだ。わかったか?」 三人(気の毒に……)
じゃなくて、
広田「こいつはな、空手二段なんだ。わかったか?」
三人は、彼らに脅されているので本当のことが言えず、結局、井原さんが忘れ物をしたのでみんなで取りに帰って遅くなったのだと言って誤魔化す。
ひかる「そ、いいわ、今度から気をつけてね」
ひかる、その場ではそれ以上追及しなかったが、仮にも教師である、彼らが嘘をついているのはすぐ分かった。

その後、昼休みの時間になって、三人が校庭に出てきたところを捕まえて、
ひかる「井原さん、あなた、今朝、何を忘れたんだっけ」
井原「えっ」
ひかる「お財布だったわね、たしか」
井原「は、はい、そうです」
一瞬まごつくが、井原さんがすぐ相槌を打ってそそくさとひかるの前から立ち去る。
ひかる、悲しそうな目で「何故ほんとのことを言ってくれないの?」と、つぶやく。
ひかるがカマをかけて、彼らが嘘をついたことをはっきりさせたシーンなのだが、ここは、最初に井原さんたちが具体的に「○○を忘れました」と言ってないので、いまひとつすっきりしない。井原さんたちが、たとえば咄嗟に「体操服を忘れました」と言っていたのなら、嘘だったと断言できるのだが、実際は、何を忘れたとは言っておらず、もしかしたら、ほんとに財布を忘れたのかも知れないからである。
CM後、ひかるが校庭で遊んでいる子供たちを見ながら、いかにも鬱屈した様子で溜息をついている。

校長「月先生、どうなさいました」
ひかる「反省してるんです。他の果物まで腐り始めました」
校長「と言うと?」
ひかる「生徒が私に嘘ついてるんです。がっかりだわ」
校長「そりゃいかん、すぐ叱ってやんなさい」
ひかる「だって、それを確かめる為に私も嘘ついちゃったんです、叱る資格なんてありません」
と、見れば、鉄棒にぶら下がった井原さんに、例によって正夫がいたずら(性的な意味ではなく)しているではないか。

ひかる「こぉのぉー」

ひかる「こらーっ!」
ひかる、バッグを校長に預け、パンプスを脱ぐと、それを持ったまま、

ひかる「こぉらぁー、こら待て!」

ひかる「タツノオトシゴーっ! いい加減にしろーっ!」
裸足で、魅惑の大根足もあらわに、正夫を追い掛け回すのだった。
……
も、最高だね。こんな先生がひとりいるだけで、学校もさぞや楽しい場所になることだろう。
最後はリングの力を使って正夫と翼をコケさせるが、ひかるは正夫のみならず、生徒たち全員に対する怒りを爆発させる。
ひかる「君たちなんて嫌い! わざと私の前で悪戯したり、嘘をついて誤魔化したり!」 
井原「……」
いじめっ子が懲らしめられて笑っていた井原さんたちも、ひかるの叫びに思わず俯いてしまう。

ひかる「私がこの汚れた地球で望みをかけてるのは君たちだけだって言うのに……これ以上私を怒らせたら」

ひかる「アンドロメダ星雲に帰って報告するわよ! (ピュウッ!)地球人は大人から子供まで精神的に歪んでる。宇宙平和に有害でーす!」

ひかる「って……あれ?」
靴を振り回して夢中で熱弁をふるっていたひかるだが、子供たちの様子がおかしいことに気付き、怪訝な顔で周りを見回す。
見れば、時間が止まったように子供たちが静止しているではないか。
無論、ひかる以外にそんな真似が出来るのはバルしかいない。

バル「ふぇっ、精神的に未熟なのは姫、あんたもじゃよ。平和監視員がみだりに身分と目的を明かしてはならんの!」
見れば、いつの間にかバルが鉄棒にぶら下がっていて、分別顔で指摘する。
興奮のあまり言ってはならないことまで口走りかけたひかるを、周囲の時間を止めて助けてやったのだ。
その後、ひとりで帰宅中の翼が広田たちに捕まり、脅され、遂に日輪仮面の正体が正夫だとバラしてしまう。

一方、旗野先生は羨ましいことに、ひかるの借りている離れへ招待され、料理をふるまわれていた。
旗野「これで食べるんですか」
ひかる「ええ」
旗野「はぁ、漫画みたいですね」
が、なにしろアルファ星人のひかるの料理である。台のような食器に、巨大な赤いゼリーのようなものが乗っており、まわりにはマシュマロのようなものが散らばっているという、珍奇なものだった。しかも、それをマジックハンドでつまむという趣向。
恐る恐るマシュマロを口に入れた旗野先生だったが、一口味わうなり、目を輝かせてパクパクと頬張る。
旗野「うまい、これはなんですか?」
もっとも、それらは、隣の隠し部屋から聞き耳を立てているバルによれば「最低の宇宙食」なのだと言う。

旗野「美人は家事が下手糞だって言いますけど、これなら立派な奥さんになれます」
ひかる「まあ」
台を両手で持ち上げて、ゼリーに齧り付いていた旗野先生、ひかるの料理の腕を絶賛する。

バル「そおら来た、次は僕の奥さんになってくれ、これだから地球人は油断がならんわい! ううん!」
常々、ひかるに変な虫がつくのを警戒しているバル、次の展開を勝手に予想して怒声を上げ、文字通り頭を噴火させてしまう。
その衝撃は仕切りの壁を激しく揺らすほどで、旗野先生は思わず「地震かなぁ?」と、料理を抱えたまま腰を浮かす。

ひかる「そうなんです、私、自信がなくなりました」
いつの間にか、ひとり物思いに耽っていたひかる、上の空で旗野先生の言葉に反応する。
旗野「は? なんだシャレか」
ひかる「……」
旗野「すいません」
旗野先生、笑いかけるが、ひかるの屈託ありげな視線を受けて、すぐ真面目な顔になる。

旗野「何の自信ですか?」
ひかる「教師としての」
旗野「とんでもない、月先生ほど適任の人が他にいますか」
ひかる「だって、竜村くんなんか私見るたびに余計悪戯するんですよ」
旗野「なんだそんなこと」
ひかる「そんなこと?」
旗野「そこがあいつらしい愛情表現なんです、つまり先生の気を引こうってんですな」
旗野先生、自身、同じような経験があるのだろう、正夫の……思春期の少年の本心を正確に読み取っていた。
旗野「僕が太鼓判押します。奴の正体は正義の味方です!」
その正夫、自分のことが話題になっているとも知らず、ハルコと進の、5年D組の学級委員長的な二人から責められていた。

進「教頭先生に聞いたんだ」
正夫「だから何を?」
ハルコ「かぐや姫先生、困ってるって、あなたのことで校長先生に叱られたそうよ」
正夫「俺のことで? 大きなお世話だい」
進「そんなこと言って良いのかい、もし先生が他のクラスに移されたらどうすんだよ?」
正夫「えっ、まさか」

ハルコ「ほらごらんなさい、竜村くんだって困るくせに」
正夫「うん……」
と、そこへ広田たちが現れ、三人を取り囲む。

広田「竜村だな」
正夫「だからなんだよ?」
広田「日輪仮面!」
正夫「ええっ」
いきなり正体を指摘され、さしもの正夫も驚きを隠せない。
広田たちは、正夫のみならず、一緒にいたハルコたちも無理矢理近くの神社の境内へ連れて行く。

ハルコ「あんっ、助けてー」
そして、ここで、遂にハルコちゃんの汚れなきパンツがチラしてしまうのである!
マドンナ的存在のハルコちゃんには、是非、最後まで純潔を貫いて欲しかったところだが……
……あ、画像貼ってるの俺か。
なお、念の為言っておきますが、管理人はロリコンではありません!
単にハルコちゃんが好きなだけです!(同じことだろ)
それはさておき、ちょうどそこへ通り掛かった井原さんがその様子を目撃していた。
再びひかるの下宿。

ひかる「まあ、竜村くんが井上さんを助けたんですか? 何故黙ってるのかしら」
場面が変わっている間に、ひかるは日輪仮面のことを旗野先生から聞かされていた。
井上さんと言うのは、マユミの苗字である。

旗野「照れ臭いんだなぁ、つまり、僕には分かります。男同士だから……たとえば、うん、あの、僕だって、月先生には色々とお話したいことが……うえふぇっ……あるんですけれども……照れちゃうな。う、うう、うん……ぶぉーっほっ! ぶぉほっ!」
この際、一気にひかるに愛の告白をしようとするが、旗野先生、ここぞと言う時に意外とだらしなく、なかなか本題に入れず、しきりに咳き込むばかりだった。
そうやって旗野先生が愚図愚図しているうちに、なんとしてもひかるを旗野先生から守りたいバルが、こちらに向かっていた井原さんの存在に気付いて、超能力で、離れの玄関先まで瞬間移動させてしまう。
つまり、バルは井原さんをこの場に闖入させて、旗野先生の告白を邪魔しようとしたのだ。

ひかる「旗野先生、風邪?」
旗野「いえ、風邪ではないんです。しかし、熱を出してる点では同じなのです」
旗野先生も、何とか勇気を振り絞って料理の台を脇にどけ、じりじりひかるに迫り、

旗野「聞いてください、月先生、僕……」
ひかる「……」
井原「先生!」
いよいよ告白をしようとするが、そこへバルの目論見どおり井原さんが飛び込んできておじゃんとなる。
もっとも、旗野先生が近寄ると、ひかるも身を引きながらムーンライトリングに息を吹きかける気組みを見せているので、別にバルが余計なことをせずとも、ひかるの身が「危険」になることはなかったであろう。

井原「嘘をついてごめんなさい、でも、中学生に脅されて怖かったんです」
ひかる「そう、その中学生が竜村君たちを連れていったのね?」
井原「はい、それで、もう黙っていられないと思ったんです」
旗野「正義の味方がばれたか」
ひかる「井原さん、ありがとう、あなたが来てくれたお陰で先生、自信がついたわ。5年D組は誰も腐ってなんかいなかった」
井原さんから全てを聞いたひかるは、晴れ晴れとした笑顔を取り戻し、力強く断言する。

旗野「月先生、始末は僕がつけてきます。どうかご心配なく! むっ!」
ひかる「あっ」
旗野先生、ひかると井原さんの頭を支えにして、中庭へ飛び降りる。
ひかる「余計心配だわ」
前回のスリとの一件もあって、ひかるの旗野先生へのそう言う方面への期待はすっかり萎んでいた。
再び神社の境内。

太田黒に一方的に殴られている正夫を、中学生に腕を取られたハルコちゃんが悔しそうに見ている。
広田「やめろ、太田黒、殴るなら、あの二人を殴ってみな」
正夫「よせったら、あいつを殴ったら俺が承知しねえぞ」
広田「承知しねえとどうすんだ」
正夫「こうだっ」
正夫、広田の体を突き飛ばすと、

正夫「俺が防いでる間に逃げろ!」
身を挺して、ハルコと進を逃がそうとする。
普段は乱暴でいじめっ子だけど、いざと言う時は仲間思いの頼れる男になるあたりは、ジャイアンに通じるところがあるよね。

二人も中学生の手を振り解いて正夫のそばへ駆け寄ると、
進「オトシゴ、無理すんなよ。僕たち黙って殴られるよ」
ハルコ「そうよ、私も我慢する!」
正夫の侠気に応えて、涙が出るほど嬉しいことを言ってくれる
広田「泣かせるねえ、空手二段に殴られたらもっと泣けるぜ」
広田はそんな彼らをせせら笑って、太田黒に正夫を殴らせようとするが、

旗野「むぁてえー、正義の味方、ここにあり、日輪仮面、ただいま参上!」
そこへ突如現れたのが、正夫と同じような扮装をした旗野先生だった。
が、正夫より役に立たない旗野先生、建物の回廊から下へ飛び降りようとして着地に失敗し、よろけたところを太田黒にぶん殴られて、あえなく気絶すると言う醜態を演じる。
広田がその仮面を剥いで誰なのか調べようとするが、その瞬間、心配になって境内に瞬間移動していたひかるがムーンライトパワーを発動させ、旗野先生の体を人形のようにふわりと浮かせてどこかへやってしまう。
呆っ気に取られて空を見上げる広田たちの前に再び現れたのが、本物の(?)日輪仮面であった。

日輪仮面「仮面の正体誰に見せぬ、改めて行くぞ!」
その日輪仮面は、本物の正義のヒーローさながら、鮮やかに広田たちをぶちのめす。

アクション自体は「仮面ライダー」のそれと比べるといたってささやかなものだが、それでもちゃんとトランポリンを使った跳躍シーンもある。
大喜びする正夫たちを尻目に、マントで体を覆うと、パッと姿を消してしまう。

正夫「あれが本物の……」
ハルコ「日輪仮面!」
進「テレビのロケでもあったのかなぁ?」
正夫「だけどなんだか、旗野先生に似てたなぁ」
不思議そうに周囲を見回す正夫たち。
正夫の台詞からも、自分も最初見たときは、てっきり旗野先生の体をひかるが操っていたのだと思っていたが、

しばらくバイクを走らせた後、日輪仮面が仮面を脱ぐと、

ひかる「ふうーっ、あはっ」
その下から出て来たのは、意外にもひかる自身の姿であった。
これにはちょっと意表を衝かれた。
無論、ここでのアクションやバイクシーンはスタントだが、この時点で既に、番組をアクションヒーロー路線に変更したいという一部スタッフの思惑が反映されていたのかもしれない。
で、問題の旗野先生はどうしたかと言うと、彼らの頭上の木の枝に腰掛けて眠っていたのだった。
ラスト、校舎の屋上から、ひかるが、校庭で飽きずに日輪仮面ごっこをして遊んでいる正夫を楽しそうに見下ろしていると、左右から校長と教頭も来て、

校長「なっておらん、怪我をして少しはおとなしくなると思ったのに」
教頭「月先生、早く」
ひかる「は?」
教頭「竜村に何とか言っておやんなさい」
ひかる「あ、はい」

ひかる「タツノオトシゴー! 私にもやらせてよ!」
ひかる、何を思ったか正夫に向かって大声で叫ぶと、

いかにも楽しそうにそこからいきなり飛び降りてしまう。

ここで、ローアングルからひかるの飛び降りる様子が、もう、あますところなく映し出されて、管理人、思わず昇天しそうになるのでした。

別のアングルからもう一度。
無論、実際はこんな高いところから飛び降りている訳ではないので、間違いなく菊さん本人が演じていると思われ、パン チラだと喜んだら、女性スタントだった……と言うのなら、まだマシなほうで、最悪、女装した男性スタントだったという、キャプ職人がしばしば遭遇する恐怖とは無縁の、トレビアンなアクションであった。
ま、どうせなら、ブルマじゃなくて、菊さんが家を出た時に履いていたパンツのままでトライして頂きたかった所だが、贅沢は言うまい。

ひかる「貸してえー」
さらに、着地して正夫に駆け寄る時の、このなんとも言えない愛らしさ!

最後は、正夫に借りた水鉄砲を、実に楽しそうに撃っているひかるの笑顔で締めましょう。
以上、鋼のような精神力で、同じレビューを二度書き上げた管理人でありました。
- 関連記事
-
スポンサーサイト