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アニメ「はいからさんが通る」 第40話「少尉は生きてる心の中で」



 第40話「少尉は生きてる心の中で」 作画監督・田代和男

 あと少しじゃ、頑張ろう。

 さて、満州からとんぼ返りのように帰ってきた紅緒と牛五郎だが、それでも久しぶりに見る東京の街並みに目を見張っていた。

 路面電車、乗合自動車(バス)、自動車、人力車などがひっきりなしに行き交う通り。

 ちなみに、当時、既に、タクシーやオートバイも走っていたのである。

 飯屋で腹ごしらえした後、紅緒は伊集院邸に帰るが、家の裏手で伯爵自ら秋刀魚を七輪で焼いていた。

 
 紅緒(伯爵ともあろうおじい様が、そんなことまでなさるなんて……)

 ふと見れば、屋敷も庭も荒れ放題で、紅緒の胸を蕭条とした風が吹き抜ける。

 紅緒(そうか、もう使用人なんて誰もいないんだっけ……少尉がいた頃はあんなに華やかな屋敷だったのに……)

 【悲報】 如月さん、紅緒にその存在を忘れられる。

 紅緒、思わず溢れそうになった涙を払い、改めて「私がしっかりしなきゃ!」と、自らに気合を入れるのだった。

 この秋刀魚の一件は原作にもあるのだが、特に面白くないのでカット。

 続いて、こちらは原作にはないのだが、何故か紅緒が実家に帰って、みんなで一緒に仏壇を拝んでいるシーン。

 紅緒(ただいま、お母様……)

 紅緒は、亡き母親の遺影に向かって挨拶するのだが、もともと、紅緒は伊集院家に嫁いだつもりでいるのだから、ちょっと日本を離れただけで、わざわざ実家に仏壇を拝みに来るというのも変な話である。

 やがて隣家の蘭丸も来て、懐かしい顔が揃う。

 
 花村「そうか、伊集院少尉の最期は確認されたのか」
 紅緒「……」

 今回の作監は田代の和男ちゃんで、あまり期待はできないのだが、多少上達の跡が見られ、この横顔などはなかなか良く描けている。

 
 蘭丸「じゃああの縁談は立ち消えじゃないの」
 花村「紅緒、私はお前が初めて伊集院家に行く時に、母さんの形見の白い喪服を渡して、二人の夫にまみえてはならんと覚悟の程を申し渡した。じゃが、お前はまだ幸か不幸か、正式な結婚式を済ませておらん」
 ばあや「そうですよ、今のうちならどんないいとこへだってお嫁に行けるんですよ」
 紅緒「いいえ、私は一生涯、あの家から去りません」
 花村「気、気は確かか、紅緒?」
 紅緒「はい、お父様」

 
 紅緒「今、私が家を出れば世間知らずのおじいさまとおばあさまがどうなることか……」

 紅緒、今、孤独なあの老夫婦を見捨てることは人として出来ないと、自分の気持ちを率直に表明する。

 ただ、こう言う会話は、忍の戦死の公報が入った時点で交わされているべきもので、わざわざこのタイミングでそんなことを話し合うのは、いささか不自然である。

 忍が生きているなどと、本気で信じていたのは紅緒ぐらいだろうし。

 それを聞いて、

 
 蘭丸「やっぱり僕のところへは戻ってくれないのかな?」

 などと、図々しいつぶやきを漏らす蘭丸。

 戻るも何も、紅緒は別にお前と暮らしてたわけじゃねえだろうが!

 その後、牛五郎が紅緒を屋敷まで送り届けて帰ろうとすると(って、牛五郎、どこに住んでんだ? ついでに伊集院家に住めば良いのに)、庭の片隅から伯爵たちに呼び止められる。

 
 如月「若様に関する情報は掴めたのですか?」
 伯爵「これ、牛五郎、ほんとのことを言うてくれ」
 伯爵夫人「紅緒さんから口止めされているのですね」
 牛五郎「へ、へい」

 原作では、伯爵たちは紅緒の旅行の目的は何も知らないままだが、アニメでは全て承知の上で、知らないふりをしているのだ。

 伯爵たちに強く迫られ、牛五郎も仕方なく、忍はやはり戦死したようだとありのまま告げる。

 諦めていたこととはいえ、はっきりと忍の死と言う現実を突きつけられ、伯爵たちが嘆き悲しんだのは言うまでもない。

 その後、紅緒が自室でぼんやりしていると、伯爵夫妻が連れ立って入ってくる。

 
 紅緒「何か御用ですか」
 伯爵「ああ、実はな、紅緒、花村家へ引き取ってくれんか?」
 紅緒「ええっ、どうしてですか」
 伯爵「忍が生きておることは間違いないとして、いつ帰って来るか分からんからのう……」

 急に何を思ったか、伯爵夫妻が言いにくそうに紅緒に実家に帰ってくれと言い出すが、

 
 紅緒「嫌です、私……この屋敷がすっかり気に入ってしまったんです。下宿代を払ってもいいから、ここにおいてください」
 伯爵「で、ではどうしても里へは帰らんと?」
 紅緒「はい!」

 紅緒はきっぱり断る。

 伯爵夫妻、忍がほんとに死んだと知った紅緒が、自分たちを見限ってしまうのではないかとその気持ちを確かめに来たのだろう。

 うーん、これは、誇り高い伯爵夫妻とは思えない、さもしいというか、得手勝手な態度のように見えて、違和感がある。

 しかも、

 
 伯爵「良かったのう、婆さん」
 伯爵夫人「はい」

 それを聞いた二人は、手を取り合って紅緒の目の前で喜びをあらわにするのだが、さすがにそれはおかしいだろう。

 こう言う会話は、せめて、部屋を出てからにしないと。

 これでは、伯爵夫妻が、自分たちのエゴのために紅緒をこの屋敷に縛り付けて、その未来を台無しにしようとしている……とも取れてしまう。

 翌朝、久しぶりに冗談社に水色のセーラー服で出社した紅緒、青江編集長の顔を見た途端、泣き出してしまう。

 なお、セーラー服と言っても、いわゆる女子高生の制服ではなく、文字通りのセーラー服、すなわち水兵服のようなファッションである。

 Q.伊集院家が窮乏している割りに、紅緒がやたら衣装持ちなのはどうしてですか?

 A.少女漫画だからです。

 
 紅緒「すいません、ずっとこらえてきたのに、編集長の顔を見たら、気が緩んじゃって……」
 青江「……」

 取材旅行の報告を聞きながら、黙って紅緒の鼻を噛んでやる青江。

 青江「ふうむ、無駄足だったか」
 紅緒「その場に居合わせた人がそう言うのですから、信じるしかありません」
 青江「で、その印念大佐と言うのは?」

 
 印念「もう、廃人同様、今後は廃人二十面相として活躍する予定」

 印念、今度のショックでパッパラパーになってしまったことが、ギャグめかして表現される。

 アニメでも原作でも、これが印念大佐のラストショットとなる。

 
 紅緒「でも、そんなことで恨みを晴らしたって、少尉はもう……」
 青江「現実と言うのはいつも残酷なものだなぁ。知らなかったほうが、まだ幸せなのかも知れん」
 紅緒「編集長……」

 
 青江「いや、とにかくわが社は女子社員を追い払う貴重なチャンスを逃した訳だ。こうなったら、仕方ないから死ぬまでこき使ってやる!」
 紅緒「編集長!」

 
 青江「そうして過ぎたことは少しでも早く忘れてしまうことだ」
 紅緒「いいえ、忘れません」
 青江「……」
 紅緒「……」

 なんだ、この間は?

 原作では、続いて、「だって生まれて初めて愛した人なのに(中略)その人の分まで私も一生懸命生きていく~」などと、紅緒に心境を語らせて、なかなかの名場面になっているのだが、何故かアニメではその肝心な台詞を省略している。

 
 青江「ようし、結構なことだ、ではまず、東京市街自動車会社の女子車掌採用の取材、くわえて……」

 青江、トレードマークの長キセルでテーブルを叩きながら、次々と仕事を言い渡していく。

 紅緒に考える間もなく仕事を与えて悲しみを忘れさせようと言う、青江なりの配慮であった。

 
 青江(おかしな気持ちだ、俺はあいつの婚約者が死んでいて良かったと考えている……あいつを失わなくて良かったと考えている……)

 青江、初めて、自分が紅緒に惹かれはじめていることに気付く。

 さて、一気に2年の月日が流れ、大正10年の4月となる。

 
 蘭丸「紅緒さん、紅緒さん、待ってよーっ!」
 紅緒「なぁに、蘭丸?」

 蘭丸の声に振り向いた紅緒は、すっかりオールドミスになって声までしゃがれていた。

 ただし、それは蘭丸が見ていた悪夢だった。

 
 蘭丸「うわっ、なんちゅう悪夢……びっくりしたぁ。だけど、無理ないんだなぁ、この頃の紅緒さんと来たら、まぁるで仕事の鬼と言うか、女離れしちゃってさぁ……」

 だが、最近、仕事にかまけてろくにデートもしてくれない紅緒の現況を見ていると、そのうち悪夢が現実になりかねないと不安に駆られる蘭丸だった。

 ラスト、紅緒は靖国神社の春の臨時大祭の取材を命じられるが、そこで偶然、(紅緒に内緒で)靖国神社に参拝している伯爵夫妻の姿を目撃して、新たな涙を誘われるというシーンとなる。

 ただし、これは原作にはない。

 また、大正10年の時点では、まだシベリア出兵自体が終わっていないと言うのに、既に忍が合祀されていると言うのは、早過ぎるような気もする。

 実際、シベリア出兵の戦没者が合祀された際の臨時大祭は、大正14年である。

 正直、このシーン、要らないと思うが、

 
 ナレ「どうして戦争なんかあるんだろう?」

 木陰から、泣きながらその様子を見守っている紅緒の顔にかぶさるナレーションの一言は、鋭く視聴者の胸に突き刺さる。

 以上、ストーリーがあるようでないような第40話でした。
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コメント

確かに今回はどうも意味の無い展開が多かったですね😅どうせなら、もう少し引っ張って欲しかったですがね😓

Re: タイトルなし

> 確かに今回はどうも意味の無い展開が多かったですね😅どうせなら、もう少し引っ張って欲しかったですがね😓

スルーしても良かったですね。

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zura1980

Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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