第1話「恐怖のガイゼル総統と謎のデスパー軍団!」(1974年4月9日)
と言う訳で、「イナズマンF」レビューの始まりです。
一応、新番組なのだが、「イナズマン」最終話のラストから、ストーリーは幕を開ける。
死闘の末、帝王バンバを倒した渡五郎の前に、ウデスパー、そしてガイゼル総統が出現する。
ガイゼル「あ……ビンゴです」 じゃなくて、
ナレ「渡五郎に迫ってきたのは、帝王バンバのファントム軍団よりも、さらに強力なデスパー軍団であった。そして、その恐怖の軍団を率いるガイゼル総統とは……?」
だが、五郎がたちくらみのような感覚に襲われると、ガイゼルも兵士たちの姿も掻き消すようにいなくなっていた。恐らく、あのガイゼルはただの幻影だったのであろう。

しかし、代わりに大幹部ウデスパーと、装いも新たな登場したデスパー兵士が、いきなりマシンガンを撃ってくる。
五郎「新しい戦闘員!」
ウデスパー「渡五郎、このまま帰すわけにはいかん」

ウデスパー「我が軍団の敵は全て倒す!」
ウデスパー、言いながら、鉤爪状のアタッチメントを取り出して、右手に装着する。
そう、その名の通り、ウデスパーは右手に様々な武器を装着して戦う、ライダーマンもどきの戦士なのだ。
また、最初から戦闘員たちが殺傷力の高いマシンガンを携帯しているのは、悪の組織としては実に頼もしいものがあったが、

ウデスパーが高所から飛び降りて五郎に肉弾戦を挑むと、何故か戦闘員たちもお付き合いしてマシンガンを捨て、代わりに槍のような武器に持ち替えるのが、理解に苦しむ行動であった。

五郎、サナギマンに変身するが、ウデスパー、さらにハンマーデスパーと言う今回の怪人の猛攻を受けて、防戦一方となる。
正直、この、サナギマン→イナズマンに進化するという設定も、「F」になった際にやめるべきだったのではないかと思う。気持ち悪いし。
言い忘れていたが、前作の少年同盟と言う組織や、サトコや豪作と言ったレギュラーは「F」では綺麗さっぱり削除されている。死んだとかじゃなくて、最初から「いなかったこと」にされてしまうのが、とても悲しい。
しかも、新しく登場するレギュラーは体育会系のいかつい男(後述)ひとりで、なんと、レギュラーの女性キャラがひとりもいないという、荒涼とした世界になっているのだ。ま、その代わり、女性ゲスト陣はかなり充実してるけどね。
サナギマンからイナズマンに変転するが、イナズマンは帝王バンバとの戦いで既にエネルギーを消耗していた。二人の怪人に、海に面した岩場の崖に追い詰められ、ピンチとなるが、

遠くから、スコープつきのライフルで狙いを定めている者がいた。
これが、唯一の味方レギュラー、荒井誠(上野山功一)なのである。
荒井が彼らの足元を撃った隙に、イナズマンは忽然と姿を消してしまう。しかし、海に落ちた音はしていないのに、どうやってその場所から逃げられたのか、いささか不思議である。
瞬間移動でもしたのだろうか。
人間の姿に戻った五郎は、傷付いた体を引き摺って山の中をさまよっていたが、ちょうど、山道を走っていたカップルと出会い、親切にも彼らの車に乗せてもらう。
カップルにとって不運なことに、その現場を、ウデスパーとハンマーデスパーに目撃されていた。
ところが、功を焦るハンマーデスパーは、いきなり上司のウデスパーを殴り倒してしまう。
ウデスパー「ひ、卑怯だぞ、ハンマーデスパー」
ハンマーデスパー「奴は俺が倒す。悪く思うなよ」
ウデスパー「そりゃ思うわい!」(註・言ってません)
それにしても、しょっぱなから仲間割れとは、早くもデスパー軍団の行く手に暗雲がかかっているように思える……。

五郎「……」
一緒に後部座席に座り、その傷の手当てまでしてくれるカップルの片割れの女性。
劇中ではフルネームは出ないが、鈴木良子と言う役名らしい。演じるのは、「仮面ライダーX」19話でもひどい目に遭っていた八代順子さん。
過去、ファントム軍団の陰険かつ巧妙な策略に幾度となく引っ掛かってきた五郎、不自然なほど親切な彼らの態度に対し、知らず知らず疑惑の眼差しを向けていた。一種の職業病と言う奴である。
良子「これで出血は止まる筈です」
五郎「どうも……お急ぎじゃなかったんですか?」
ところが、どうもそれは五郎の考え過ぎで、二人はほんとにただの通りすがりの親切なカップルに過ぎないようであった。

良子「いいえ、私たち、昨日結婚したんです」
五郎の問い掛けに、良子、少し恥ずかしそうに俯き加減に告白する。
五郎「じゃあ、昨夜はお楽しみで、イッヒッヒッ」 ……嘘である。
五郎「じゃあ、新婚旅行?」
良子「あっ……」
五郎「それはおめでとうございます」
鈴木「この良子とは小学校時代からの友達でしてね、長い間の夢がかなってやっと結婚にこぎつけたんですよ」
五郎「へー、ご主人、ストーカーだったんですか?」
良子「違います!」
……嘘である。
五郎(幸せな二人を巻き込んではいかん!)
五郎は当然そう考え、しばらく車が山道を走ったところで、突然降りると言い出す。

良子「お気をつけて」
五郎「どうもありがとうございました……どうぞお幸せに」
車がカーブの向こうに消えるのを見て、肩の荷が下りたような気分になる五郎だったが、その直後、二人の車はハンマーデスパーに襲撃され、ガードレールを越えて断崖を滑り落ち、

無残にも、二人は幸せの絶頂から文字通り奈落の底へ叩き落されるのだった。
こう言う容赦なくハードなところが、「F」の際立った特徴なのである。
ハンマーデスパー「ううっ、渡五郎がいないっ、ええい、くそっ」
車の残骸と死体が転がる河原に降りて来たハンマーデスパー、五郎が既に車を降りていたことを知って、悔しがる。
駆けつけた五郎が、カップルの悲惨な最期を目の当たりにして、自分を責めると共に、デスパー軍団に対する怒りを滾らせたのは言うまでもない。

五郎「俺を乗せたばっかりに……気の毒なことをしてしまった。デスパー、許さん!」
と、そこへ再びあの謎の男が現れ、いきなり五郎の足元をライフルで撃ってくる。
五郎「誰だ、待て!」
荒井「……」
五郎「お前は何者だ? どうして俺を狙う?」
五郎、その場を駆け出して男に追いつき、向かい合って詰問していると、五郎がつい今まで立っていた場所で激しい爆発が起きる。
恐らく、ハンマーデスパーたちが時限爆弾でも残していったのだろう。

五郎「……」
荒井「君をあの餌食にしない為にやったのさ……冷酷で無残なデスパー軍団の手口、渡五郎、東南大学三年……」
疑り深い五郎、容易に荒井を信用しなかったが、その後、色々あって、最後は工場の機械室のようなところから秘密の通路を経てたどりついた小さなアジトの中で、漸くその素性を明かされる。

荒井「国際刑事警察機構の秘密捜査官、荒井誠、新人類の動向を調査中なんだ。あの時も、足場を狙って転落させるしか手がなかった。手荒い方法ばかりで勘弁してくれ。君のことは全て分かっている。デスパー軍団を相手に出来るのは君だけだ、大事にして欲しい」
五郎もそれですっかり荒井を信用し、協力してデスパー軍団と戦うことになるのだった。
荒井「君は今日からここに住みたまえ、奴らは君を狙って平気で無差別攻撃する。人間の命など虫けら同然にしか考えていない。君が町に住んでたら、周りの人もやられてしまう。ここは地下50メーターの秘密のアジトだ。それに迷路になってるから、絶対に誰も入って来れない」
五郎「これ以上、関係のない人を巻き添えにする訳にはいかない、お願いします」
荒井「うん、月5万だよ」
五郎「金取るんかい!」 途中から嘘であるが、五郎は、良子たちのことがあったばかりだし、素直に荒井の提案を受け入れて、大学寮を出てこのアジトに居を移すことに同意する。
これはなかなか巧みな設定で、これで、五郎と大学との縁も切れ、同じ大学に通う豪作の存在を自然にフェードアウトさせることが出来た訳である。

一方、抜け駆けをして、しかも五郎に逃げられたハンマーデスパーには、きついお仕置きが待っていた。
戦闘員「ハンマーデスパーを連行しました」
ウデスパー「ハンマーデスパー、お前は功を焦るあまり、このウデスパーを闇討ちにしたな」
ハンマーデスパー「ああ、あのことに関しては深く反省しております。申し訳ありません、ガイゼル総統」
激昂するウデスパーをよそに、ガイゼルは机に向かってひとりチェスをしていたが、

ガイゼル「お前の役割は何か?」
ハンマーデスパー「はぁ?」
ガイゼル「ハンマーデスパー、お前の使命は」
ハンマーデスパー「日本無差別破壊作戦、しかし、渡五郎が、イナズマンめが……」

ガイゼル「……」
ハンマーデスパー「おわっ」
ガイゼル、いきなり、手にした杖でハンマーデスパーの頭を刈り飛ばしてしまう。
ガイゼル総統の帝王バンバ以上の冷酷さが良く出ているシーンだが、ハンマーデスパーはそれくらいでは死なず、必死に謝罪して、何とかもう一度だけチャンスを与えられるのだった。
で、ハンマーデスパーが建設現場に罠を仕掛けて誘い込み、イナズマンを殺そうとするのだが、荒井の助けもあって、イナズマンはなんとかハンマーデスパーを撃破するのだった。
以上、後半はほとんど省略してしまったが、なかなか密度の濃い第1話でしたー。
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