第2話「戦慄のサファリ!海中大作戦!!」(1974年4月16日)
有名スポーツ選手が次々とデスパー軍団にさらわれるという事件が起きる。
二日後、そのうちのひとり、プロボクサー勝山の無残な死体が川で発見される。
さらに、

荒井「柔道の坂本選手だ。凶器は勝山選手と同じ矢だ。体力のあるスポーツ選手ぱかり攫って弓矢で殺す。これは一体どう言うことなんだ」
五郎「逃げようとして撃たれたんじゃないでしょうか」
荒井「私は被害者の足に付着している土の分析を急ぐ」
前作と違い、インターポールの荒井が仲間になっているので、こう言う事件現場に五郎が立ち入っても、あまり違和感はない。

その時、五郎は、近くの物陰からこちらを覗いているデスパー軍団の怪人らしき姿を見掛け、急いで追いかける。

五郎は袋小路のようになっている畑にノコギリデスパーを追い詰めるが、
怪人「待った、この勝負、一日待ってくれ」
五郎「一日待つ?」
怪人「頼む、今、お前と戦ってる暇はないのだ」
じゃあ、わざわざ顔見せんなよ……。
てっきり、わざと五郎の注意を引いて特定の場所におびき出す作戦だと思ったのだが。
とにかく、怪人は「明日になれば分かる」と、謎の言葉を残して五郎の前から姿を消す。

一方、デスパー軍団の本部では、ガイゼル総統が幹部、戦闘員たちを相手に訓辞を垂れていた。
ガイゼル「帝王バンバはミュータントを仲間にしようとして悉く失敗した。人間どもは家畜同様だ、奴隷として労役に使い、はたまたサファリとして楽しめばよい。つまり殺したい時はいつでも殺せる、とるに足らぬ生き物だ。しかるに、ミュータントはどうか、ミュータントは我が新人類にとって有害な存在だ。それはイナズマンをみれば分かる。ミュータントの中から第二のイナズマンが出ないという保証はない。ミュータントは敵だ。ミュータントは殲滅すべきである」
ガイゼルは改めてデスパー軍団の基本方針を闡明にすると共に、「サファリ作戦」とは別に、潜在的な力のあるミュータントを探し出し、抹殺する新たな作戦を発動させる。
と言っても、具体的には、戦闘員が車で町を流しながら、探知機で発見したミュータントの素質のある子供の家にいちいち白羽の矢を立てていくという、地道な作業であった。
当然、家に矢が立っていたら目立つので、そのひとつが五郎の目に留まり、五郎はそれを家人の代わりに引き抜いてアジトに持ち帰る。

五郎「熱線発射装置になっている。奴らはいったい何をやらかすつもりだ?」
矢を分解した五郎は、あっさりその正体を突き止めるが、どう考えても、デスパー軍団が矢の刺さった家を狙っていることは明らかなのに、行動を起こさず座り込んでいると言うのは解せない。
インターポールの組織力を利用して、ただちに他の矢も引き抜かせるべきだったろう。
そこへ荒井から通信が入り、殺された選手たちが鬼神峠なる場所にいたことが判明したからそこへ調査に行くと言うことだった。
その夜、ノコギリデスパーのアジトから熱線誘導装置なるユニットが夜空に打ち上げられ、

そこから、あの矢の刺さった各家庭に電波が送られ、それらの家が一斉に爆発する。
しかし、この場合、矢自体は誘導装置に過ぎず、熱線はあくまでそのユニットから発射され、それぞれの矢に命中する……とした方が分かりやすかっただろう。
上記の台詞と爆破シーンでは、熱線が、ユニットからでも矢かでも、どちらからでも発射されたように受け取れるからである。
ま、細かいことはともあれ、ミュータント抹殺作戦は見事に成功する。
実はノコギリデスパーが言っていたように、本来は明日決行される筈だったのだが、五郎が矢に気付いたのを見たウデスパーが急遽、実施時刻を繰り上げたのである。ショッカーの首領のように一度決めた予定時刻にこだわるようなことはせず、状況の変化に柔軟に対応したウデスパーの機宜の判断がもたらした勝利と言えよう。
もっとも、標的の子供たちがその攻撃で確実に殺されたかどうかまでは分からない。家にいなかった場合も考えられるし、それこそ、ミュータントである彼らに予知能力や瞬間移動能力などで逃げられた可能性もありうるからだ。

ウデスパー「ミュータント殲滅作戦の小手調べは大成功です」
それでも、成功するのはいつも実験ばかりと言うショッカーと比べれば、緒戦で早くも成果を出してしまったデスパー軍団の優秀さが際立つシーンではある。
しかも、

戦闘員「インターポール秘密捜査官、荒井誠」
ウデスパー「なにぃ、インターポール?」
周辺を探っていた荒井をあっさり捕獲し、さらにその身元までたちどころに明らかにしてしまう。
寡黙なガイゼルは手振りで荒井を下がらせるが、明日予定されている「サファリ」のまたとない獲物が手に入ったと、いかにも愉快そうであった。
果たして「サファリ」とは何なのかという疑問を残したまま、CMです。
CM後、荒井の後を追って鬼神峠へ向かう五郎の姿があった。
途中、荒井の帽子と財布を拾うが、

財布の中に、こんな写真が入っていた。
五郎(もしかすると荒井さんは……)
五郎が鬼神峠に到着して早々、割とあっさり、「サファリ」が何なのか視聴者に示される。

そう、それはジープに乗ったガイゼルが、弓矢で逃げ惑う人間を撃ち殺すと言う、和風「人間狩り」なのだった。
つまり、これは地球征服の作戦でもなんでもなく、ガイゼルひとりの趣味を満足させる為に行われている余興に過ぎないのだった。
こういうところも、必ず実利の見込める作戦しか採らなかったショッカーとは大違いだよね。
ま、それは良いんだけど……、
ガイゼル「でぇ~~~、揺れるっ、揺れる~っ!」 アウトドアでの「人間狩り」の得物に、弓矢はNGじゃないかと……。
おまけに、

ガイゼル「クソッ、この!」
戦闘員「……」
揺られながら前に伸ばしたガイゼルの手や弓が、運転している戦闘員の頭に当たると言う奇跡まで起きてしまい、管理人は腹を抱えて大笑い。
うーん、ここは普通に、ライフル銃で良かったんじゃないかなぁ?
かてて加えて、

肝心のフィールドがそれほど広くない為、逃げ惑う選手とガイゼルが、あわやガッチンコしそうになるというハプニングが発生し、またも管理人の笑いを誘う。
丘の上からそれを見ていた五郎は、
五郎(あんまり楽しくなさそうだ……) じゃなくて、
五郎「狩りを楽しむ為に、わざわざ鍛えた選手を攫ったのか!」
ガイゼルの底知れぬ残酷さに戦慄するのだった。
まさに選手が射られそうになった時、五郎は思わず丘を駆け下り、身をもって選手を庇う。

ガイゼル「渡五郎、ふっふっふっふっ、良い獲物が舞い込んできたのう」
ウデスパー「ふっふっふっ、計算どおりです」
ガイゼル「今日のサファリは一段と楽しくなるぞ」
無論、むざむざ狩りの獲物になる五郎ではなく、激しく抵抗するが、そこへ縛られた荒井が連れて来られる。
ちなみにその際、荒井の背後にガードレールが見えて、せっかくの秘境感が台無しになってます。

ウデスパー「少しでも動いてみろ、仲間の体は蜂の巣になるぞ」
ウデスパー、今度は機関砲のようなアタッチメントをつけて、荒井の胸に据えて五郎を脅す。
荒井「渡君、私に構わず戦いなさい」
五郎「しかし!」

荒井「私は職業柄、いつかはこうなると覚悟は出来ている。私に構うな」
荒井、例によって「人質の作法」にのっとって、そんな殊勝なことを言うのだが、
五郎(だからってほんとに構わずに戦ったら、絶対あとで怒られるんだよなぁ……しかも、どう見てもこの人体育会系だし……) 「はい、そうですか」とばかりに戦えないのが、ヒーローのつらいところなのである。
五郎「じゃ、荒井さん、何があっても怒らないって念書書いて貰えます?」
荒井「え、いや、それは……」
……嘘である。
荒井「何故戦わん、自分の使命を忘れたのか、君はそれでも男か? ガイゼル総統、私を的にしろ」
五郎「荒井さん!」
荒井「うるさい!」
荒井、意気地なしのヒーローに逆切れすると言う、人質にあるまじき挙に出る。
無論、それは、自分が五郎の足手まといになることを恐れてのことだった。

荒井「さあ、私を早く野獣にしろ。サファリを楽しむが良い」
ガイゼル「良かろう、荒井を自由にしろ」
が、今度は五郎が自分が獲物になると言い出し、抵抗する荒井に当身を食らわし、強引に立場を入れ替える。
こうして、五郎が獲物となって、「サファリ」が再開される。
ガイゼル「ああっ、もう~、狙いが定まらんのよぉ~!」(ノブ風)
が、弓矢で人間狩りはしにくいことは、さっきと変わらずだった。
そんな悪条件でも、見事、五郎の肩に矢を突き立ててしまったのだから、ガイゼルの腕もなかなか大したものである。
しかし、

ガイゼル「さすがは渡五郎、素晴らしい手応えだった」
ウデスパー「ノコギリデスパー、後はお前の仕事だ」
と、ガイゼルはトドメを刺すこともせず、ノコギリデスパーに後を任せてさっさと帰っちゃうのである!
うーむ、いくらまだ番組が始まったばかりで余裕があるからとはいえ、デスパーが、イナズマンの息の根を止める千載一遇のチャンスを逃がしたように見えてしょうがないのだが。
あるいは、ガイゼル、どうしても見たいテレビ番組(水戸黄門の再放送とか)があったのかもしれない。
こうなればもう書くことはない。五郎、サナギマン、次いでイナズマンに変身し、激闘の末、ノコギリデスパーを倒すのだった。
その際、タイトルにあるように、大空や水中を舞台に、ライジンゴーとデスパー軍団との戦いが労力と時間を掛けて描かれているのだが、そう言うことには興味のない管理人は、一気にすっ飛ばすのだった。
スポンサーとしては、そこが一番視聴者に見て欲しいパートではあったろうが。
考えたら、俺って、子供の時でも、特撮などを見てもあまりそれに関連した玩具(ソフビとか超合金とか変身アイテムとか)を欲しいと思ったことはなかったなぁ。せいぜい、怪獣の消しゴムくらいか。
ラスト、次なる戦いへの闘志を燃やす五郎のアップに、勇ましいナレーションがかぶさる。

ナレ「ガイゼル総統率いるデスパー軍団の組織力はファントム軍団を遥かに凌いでいる。だがイナズマンは、人類の自由を守って
ただひとり戦い続ける」
……
荒井「えっ、俺は勘定に入ってないの?」 あれだけ頑張ったのに、ナレーターからサクッと無視される荒井さんであった。
どうでもいいけど、上野山功一さんって、伴淳三郎に似てない?
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