第32回「UFO来襲 怒りのサイボーグ」(1979年2月9日)
白亜紀で異常事態発生との知らせを受け、コセイドン隊のメンバーが直ちに出動する。

バンノ「ええと、白亜紀のコロニーからの連絡によるとだな、最近、コロニーの住民が相次いで行方不明になってるらしい」
モリィ「20世紀の地球でひところ流行った蒸発ってやつじゃないですか」

バンノ「いや、そうは思えんのだよ、中には円盤に連れ去られるのを見た者もいるらしい」
ゴウ「隊長、ただごとじゃなさそうですね」
バンノ「あ、姫、白亜紀まであと何分だ?」
アルタシヤ「5分と23秒です」
バンノ「あ、そう、じゃコーヒー一杯飲む時間はあるな」
アルタシヤ「うふふ……」
各計器の数字をチェックしながら、隊員と会話するバンノ。
バンノの言葉を受けて、アルタシヤがビックラジィーにお茶の支度をさせるが、レストルームでコーヒーを沸かしていたビックラジィー、部屋の隅に見知らぬ少年が潜んでいるのに気付き、思わず大声を出す。
密航者であった。

アルタシヤ「あなた、名前はなんて言うの」
マコト「湯村マコト」
ゴウ「しょうがないな、黙って乗り込んだりして」
マコト「ごめんなさい、でも白亜紀で働いてるお父さんに用があるんです」
テツ「隊長、引き返しましょう、密航者は直ちに連れ戻す決まりになってますから」
マコト「イヤだ、僕を降ろさないでよ、どうしてもお父さんに会って伝えたいことがあるんだ」

ゴウ「どんなこと?」
マコト「僕のお母さん、三日前に……、二重になったんだ」
ゴウ「帰れ!」 じゃなくて、
マコト「僕のお母さん、三日前に……、死んだんだ」
マコトの言葉に、バンノたちも一瞬言葉を失う。
ゴウ「隊長、連れてってやれませんか」
アルタシヤ「あたしからもお願いします」
人情家のゴウたちはバンノに訴えるが、

テツ「僕は反対だな、規則は規則だ」
ゴウ「なんだと、お前には血も涙もないのか?」
テツ「そんなあまっちょろいこと言ってると、タイムGメンは務まらんぞ!」
ゴウ「なにぃ」
どちらかと言うと融通の利かないテツが真っ向から反対し、両者は険悪なムードになりかけたが、
バンノ「よさんか、二人とも!」

バンノ「ここまで来て、今更引き返すのも燃料の無駄だ、それよりこの子を父親に引き渡した方がずっと経済的で得だぞ」
モリィ「さすがガッチリしてますな、隊長は」
いかにもバンノらしく、やんわりと実利面からテツを説き伏せ、その場を丸く収めてしまう。
だが、マコトから父親の名前が湯村秀人だと聞かされたバンノは、急に深刻な顔になる。

バンノ「確かどっかで……やっぱりそうか」
ゴウ「どうしたんです?」
バンノ「見ろ、行方不明になったコロニーの住人の中に、湯村秀人の名前があるんだ」
不安を抱いた少年を乗せたまま、コセイドン号は無事、白亜紀に到着する。

ゴウ「さあ、マコト君、白亜紀に着いたぞ」
マコト「でも、恐竜は何処にもいないね」
バンノ「そう言われると確かに何処にも見当たらんな」
マコトの指摘したとおり、その日の白亜紀は妙に静かで、外に出て歩き回ってみても、一匹の恐竜にも
出くわさない。
と、不意に山の上から巨大な物体が岩と共に落ちてくるが、それは何者かに殺されたと思われるティラノサウルスの死体だった。

テツ「隊長、首が捻じ曲げられてします」
モリィ「と言うことは、相手は凄い力の持ち主ですな」
バンノ「コロニーの住人の行方不明事件と言い、この恐竜の有様と言い、こりゃ白亜紀に大変なことが起こってるんだなぁ。よし、じゃあ帰ろう」
ゴウ「帰るんかい!」(ズドドドドド)
じゃなくて、
バンノ「手分けして調べてみよう」
ゴウたちは各マシンに搭乗し、周辺一帯の調査を開始する。
29話以降、ファイタス1号にゴウとテツ、ファイタス2号にモリィ、ハクアス2号にビックラジィーと言う組み合わせになるのだが、これでハクアス1号にアルタシヤが乗ってしまうと、コセイドン号にはバンノしかいなくなり、いかにも手薄な印象を与える。
今更言っても仕方ないけど、28話で降板したマリには引き続き出演して欲しかった。
しばらく原生林の中を走っていたファイタス1号のテツとゴウは、前方の開けた場所で、ロボットのようなものが、トリケラトプスと格闘しているのを目撃する。

この、宇宙鉄面党みたいな無表情のマスクは、これ以降、ちょくちょく出てくるサイボーグやロボット兵士が毎回のように被ることになる。
ボディの方も、29話のギギの体を流用しているようで、こちらも何度も出てくると思う。

ファイタス1号から降りて近付こうとしたゴウだが、すぐに察知され、

謎のロボット兵士が、両肩からミサイルを撃ってくる。

激しい爆発を飛んだり転がったりしてよけるゴウ。
よけながら、銃を撃って反撃するが、ロボット兵士には全く利かない。
勝ち目がないと見て、後ろを向いて走り出すゴウ。

ここでも、役者の周囲でボンボン火の手が上がっている。
テツもファイタス1号の武器を使って攻撃するが、ロボットはそれさえ受けても平然としている。
と、ロボットが後退すると同時に、三機の円盤が飛んできて、ファイタス1号に攻撃を仕掛けてくる。
無論、ゴドメス軍の戦闘機とは似ても似つかぬデザインである。
空からの攻撃に苦戦するファイタス1号だったが、モリィのファイタス2号が加勢に駆けつけ、たちまち二機を撃ち落とし、残る一機を追跡する。

テツも、ゴウが戻るのを待ってから、あのロボットを捕まえる為にファイタス1号を前進させる。
ちなみに、今回のロケ、雪が降ったあとであちこちに白い物が見えるのだが、それに合わせて、セットの方にも雪を降らせているのが、いかにも円谷プロらしいこだわりである。
ファイタス1号が放った特殊な衝撃波で、ロボット兵士はあっさり機能を停止し、捕獲される。

一方、モリィは敵のアジトを突き止めるために執拗に円盤を追っていたが、岩山の中からせり出してきた砲塔に不意打ちされ、その隙に岩山の中の基地に逃げ込まれてしまう。
この、岩肌が左右に動いて口が開き、中から砲塔が出てくると言うギミック、実に良く出来ている。
新しい円盤のデザインと言い、後に出てくる宇宙人と言い、最初見たときは、てっきり、ゴドメスに代わる新しい侵略者との戦いが始まるものとばかり思ったのだが、実際はこの1回限りの登場に過ぎなかった。
1回だけなのに、こんなに精巧なミニチュアや円盤を作ってしまう心意気に感動してしまう。

CM後、コセイドン号の研究室で、鹵獲したロボットを念入りに調べているテツ。
バンノ「テツ、どうだ?」
テツ「やはりサイボーグですね、地球以外で作ったメカに、人間の頭脳をセットした代物です」

バンノ「なにぃ、人間の頭脳?」
ゴウ「もしかして、行方不明になったコロニーの住民と関係あるんじゃ?」
バンノが腕組みして考え込んでいると、横からモリィが明るい声で、

モリィ「良いものがありますよ、脳波分析投影機、すなわち、分かりやすく言えばですな、頭の中で考えてることが絵になる機械です。つい最近作ったばかりでしてな」
バンノ「はっはっはっ、お前って奴は次から次へとくっだらんものを発明するんだな、ははは」
モリィは、以前にも合気道マシンなる護身アイテムを発明したことがあるのだ。
モリィ「くだるかくだらんか、試してみなきゃ分からんでしょうが。ちょっとお帽子を」
バンノ「いやいや、おい」
モリィ、勝手にバンノの帽子を取ってアルタシヤに渡し、

バンノ「俺にやる?」
モリィ「あちらに絵が出ますから、スイッチを入れますよ」
そのヘンテコな機械をバンノの頭に被せ、スイッチを入れると、

コードでつながっている壁のモニターに、スパゲッティの写真が映し出される。

モリィ「だぁーっははぁっ、隊長、お腹が空いてるんでしょ」
バンノ「ああーっ!」

モリィ「スパゲッティが……」
バンノ「いや、こりゃ分かっちゃうんだなぁ」
アルタシヤ「あっははははっ」
見事、思っていたことを当てられ、恥ずかしそうに口に手をやるバンノがめっちゃ可愛いのである!
その横で大笑いしてるアルタシヤも可愛い!
モリィ、一旦スイッチを切ってから、もう一度入れ、

モリィ「さぁて、その次に考えてることはですな、さて、何が出ますか」
バンノ「……」
バンノ本人も、興味深そうにモニターの方を見るが、
モリィ「出たぁーーーっ! 隊長!」 何と、次に映し出されたのは、まごうことなき女性の下半身のヌードであった。

バンノ「うはっ」
バンノも思わず大口を開け、ギャグ漫画のキャラクターみたいな顔になる。

そばで見ていたアルタシヤ、裸を見て一瞬「まぁ」と言う顔になるが、

「もう、男の人ってエッチなんだから……」みたいな、包容力を感じさせる微笑を浮かべるのだった。
この辺、マリだったら絶対「キャーッ! イヤーッ!」などと叫んで大騒ぎしていたであろうことを思い合わせると、より大人のアルタシヤの性格描写がしっかりなされていることに注目したい。

バンノ「おいおい、バカモノ、やめろ! バカ、消してくれ!」
いつまで経っても消えない恥ずかしい画像を体で隠そうとするバンノ、その様子を見てゲラゲラ笑うゴウたち。
ストーリー上はなくてもいいシーンなのだが、管理人は大好きである。
前にも言ったけど、特撮ドラマ……に限らず、ドラマの面白さはこういう「遊び」の在否に左右されるところが、かなり大きいのではないかと思う。
対して、戦隊シリーズや仮面ライダーなどの、いわゆるチャンバラ形式の特撮ドラマは、アクションシーンに時間を割くあまり、こういう「遊び」のシーンに欠けていることが多く、それが、管理人が、たとえば「魔女先生」、「快傑ズバット」、「ちゅうかなぱいぱい」などの諸作品の方を高く評価する要因にもなっている。
ところで、子供向け特撮番組で、これだけ際どい画像が映し出されるのは、かなり珍しいことではないだろうか。
あと、バンノ隊長、空腹だったのだろうから食い物のことを考えるのはともかく、勤務中に女性のヌードを思い浮かべるのは、さすがにどうかと思う。
バンノ「も、バカモノ、あの、サイボーグで試してみろ」
モリィ「はぁい、わかりました。ひひっ、すけべ!」
バンノ「恐ろしい機械だな」
隊長としての威厳が今のですっかり地に落ちてしまったバンノだった。
その後、サイボーグにその機械を使ってみると、果たして、コロニーが何者かに襲われている映像が映し出された。もっとも、それに使われているのはゴドメス編の襲撃シーンのバンクのようである。

バンノ「これで大体分かってきたぞ、何処かの異星人がこの白亜紀を占領しようとして、コロニーの住人をサイボーグに変え、自分たちの手先に使ってたと言う訳だ」
攫った人間の脳をサイボーグに移植するとは、正体不明の侵略者は、ゴドメス軍よりよっぽどえげつない連中だった。
ビックラジィー「しかし、そうなるとマコト君のお父さんも、サイボーグに改造された可能性が強いと……」
不用意なビックラジィーの発言に、マコトはつらそうな顔になって部屋を飛び出す。ゴウが慌てて追いかける。

アルタシヤ「じい、もっと気をつけて口を利かなくては駄目じゃありませんか」
ビックラジィー「申し訳ありません」

ゴウ「マコト君……」

マコト「ゴウさん、もしお父さんがサイボーグにされていたら僕のことなんか忘れてるんだろうね」
ゴウ「そんなことあるもんか、たとえどんなことがあろうとも、マコト君のことを忘れる筈がないさ」
しかし、最初に捕まえられたこのサイボーグは、この後、どうなったのだろう?
脳自体は生きているのだから、破壊する訳にも行かず、かと言って、そんな姿で人間社会で生きていける筈もなく、タイムGメンもその処遇に苦慮したのではないだろうか。

さて、こちらは、岩山の中にアジトを構える悪の人たち。

司令官「サイボーグK2よ、あの子供を殺せ、この白亜紀の生き物はたとえ子供であろうと容赦するな」
彼が、モスギス星人の司令官だが、1話だけの登場なので、特に名前はない。
なんとなく「円盤戦争バンキッド」のブキミ星人っぽいが、脳味噌が外に露出したような、なかなか気持ち悪いデザインである。
司令官は、今度はファイタス1号に密航したマコトが、ひとりで岩山に向かっているのを監視カメラで見て、さっきと瓜二つのサイボーグにその抹殺を命じる。
だが、マコトはそのちょっとした仕草を見て、それが父親だと直感する。

マコト「お父さん、お父さんだろ。僕だよ、ほら、マコトだよ!」

K2「マ、コ、ト」
マコト「うん、そうだよ、お父さんの子供、マコトだよ」
K2「……」
まだ父親としての記憶が残っているのか、マコトの顔をじっと見ていたK2は、マコトの体から手を放すと、後ろを向いて逃げるように走り出す。
K2は、反対側から来たゴウとテツと遭遇し、反射的に攻撃態勢をとるが、

マコト「やめて、撃たないで、このサイボーグは僕のお父さんなんだ」
ゴウ「なんだって?」
マコト「このお兄さんたちは僕の友達なんだ、だから仲良くしてよ」
マコトに説得されると、K2は素直に構えていた銃を下ろす。

司令官「この裏切り者が!」
と、横の山の上に、司令官とその部下たちが現れる。
テツ「誰だ、お前たちは?」
司令官「第76惑星に住むモスギス星人だ。白亜紀を征服し、地球の歴史を変えて我々の植民地にする為にここにやって来たーっ!」
ゴウ「なんだとぉ!」
しかし、いきなり第76惑星って言われてもねえ……。
せめて○○太陽系の第76惑星くらいは言って欲しかった。
それにしても、えらい子沢山の太陽系である。
人間の心を取り戻したかに見えたK2だったが、モスギス星人のリモコンによってあえなく爆死してしまう。
怒りに燃えるゴウとテツによって、モスギス星人は滅ぼされる。

事件解決後、白亜紀に立てた父親の墓の前にいるマコト。
マコト「ゴウさんの言ったとおりだったね」
ゴウ「何が?」
マコト「お父さん、サイボーグにされてもちゃんと僕のこと覚えていてくれたもん」

バンノ「マコト君、これからはお父さんやお母さんの分までしっかり生きるんだぞ」
マコト「はい」
両親を一度に亡くした少年に対し、バンノはすごく適当な励ましの言葉を掛けるのだった。

撮影時、風が強く、みんなの髪もぼさぼさになっているのだが、後ろに立つアルタシヤが、自然に髪の毛を押さえているのが、ちょっと良いな、と思いました。
ナレ「父と母を失い独りぼっちになっても、マコトは強く生きようとしている。タイムGメンは、そのマコトの姿に深い感動を覚えると共に、自分のことじゃなくて良かったと胸を撫で下ろすのだった」
じゃなくて、
ナレ「父と母を失い独りぼっちになっても、マコトは強く生きようとしている。タイムGメンは、そのマコトの姿に深い感動を覚えると共に、地球を狙う悪に改めて怒りを燃やすのだった」
以上、深刻な内容の割りに、ドラマとしての深みの感じられないエピソードであった。
少し後の37話でも、ほぼ似たような設定が用いられているが、そちらの方がまだドラマとしては面白い。

最後にもう一枚アルタシヤの画像を貼って、お開きにしよう。
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