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「白い人魚の美女」~江戸川乱歩の「緑衣の鬼」(画像復刻版)



 ※この記事は、以前のブログに書いていたものを再編集したものです。

 原作「緑衣の鬼」は、乱歩が古典ミステリー「赤毛のレドメイン家」を下敷きにして書いた作品で、1936年に執筆されている。

 ドラマは、1978年7月8日と言う覚えやすい日に放送された。シリーズ第4弾と、ごく初期の作品である。

 ちなみに管理人は原作「緑衣の鬼」が好きで何度も読み返しているほどだ。これには本来明智小五郎は出ず、乗杉竜平と言うこれ一作限りの奇人探偵が登場するんだけどね。

 さて、冒頭、

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 事務所から引き揚げようとしていた明智と文代は、向かい側のビルに強いライトと影が躍っているのを目撃する。

 文代「大きな影がビルに映ってますね。なにしてるんでしょう」
 明智「誰かの悪戯だろう……帰りに車で寄ってみよう」

 明智の台詞、なんでそういう流れ(単なる悪戯→見に行く)になるのか、かなり違和感を覚える。よほど暇だったのだろうか。

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 二人が言葉どおりに人気のないビルの谷間に来ると、屋上から強いライトを照らし、その前で踊り、その影を向かい側の壁に映している男がいた。

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 しかし、これ、明智が物好きに見にきてくれたから良かったものの、そうじゃなかったら単なるアホやで。

 これは原作にも似たようなシーンがあるが、そもそもこれは犯人が大江と言う探偵小説家を事件に引き込んで騙すための仕掛けなのだ。ドラマでは、いきなり名探偵の明智が標的になっているが。

 無論、ただ踊っているだけでは犯罪ではないので、明智も文代も珍しそうに眺めていたが、

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 ちょうどそこへ通り掛かった女性に、巨大な影が襲い掛かる形になる。しかし、観客からすれば怖いかもしれないが、女性からすればそんな影は見えない筈で、

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 なにもそんなにびびらなくても……と言うことになる。

 ま、彼女は以前から怪しい影に付きまとわれていて、普段から神経過敏になっていたと言う背景があるにしても。

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 怯えている女性にすかさず駆け寄る明智と文代。と、その女性、絹川芳枝は文代さんの大学時代のテニス部の先輩だった。そのつながりがあるので、明智を標的にしたのだろう。原作でも大江に同行していた新聞記者の妹の同級生と言う設定だった。

 芳枝さん、今は、笹本と言う男と結婚して笹本芳枝になっていた。演じるのは夏純子さん。

 ただ、後から分かるのだが、芳枝さんは夏目次郎と言う男の娘なので、旧姓が絹川って変じゃないか?

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 二人は芳枝と一緒にその自宅へ行き、相談を受ける。最近、家の周りに不気味な笑い声と共に現れる不審者に悩まされていると言う。それは、緑のマントに緑の帽子を被り、緑のスーツを着た変態らしい。

 そのせいで、夫で詩人である静雄さんはノイローゼ気味。ただ、思いっきり顔を隠しているのがいくらなんでも怪し過ぎである。

 そんな折、早速その影が現れたので、明智はホイ来たとばかりに追いかけるが、相手は煙のように消えてしまう。だが、その男が落として行ったらしいロケットを拾うと、その中には芳枝さんの数年前の写真が入れてあった。

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 明智は、そのロケットの持ち主が誰か、親友の波越警部に調べてくれるよう頼む。

 波越「君がそこまで乗り気になるとは、相当な美人だな」
 文代「美人も美人、大変な美人ですよ……じゃ行ってきます」
 波越「おい、どこ行くんだよ」
 文代「先生がね、美人が心配だから、見て来いって仰るの、男って美人に弱いんですね」

 4作目にして、天知明智の女好きと言うキャラクターが確立している。ちなみに、今回、小林少年は出ない。と言うか、2作目から5作目まで小林少年は出ないのだ。

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 波越「ははあ、ありゃ相当な皮肉だぜ、君の精神的な浮気に対してさ」

 文代さん、ひとりで笹本家へ行くが、芳枝さんが気絶していて、静雄氏は殺されているようだった。死体を確かめようとした文代さんも、何か緑色をした人物に殴られて昏倒する。

 いつまで経っても文代さんが戻らず、イライラする明智。一方、波越からの電話でロケットの持ち主は、夏目菊太郎と言う資産家だと分かる。

 明智は笹本家へ行き、倒れている文代さんを介抱する。だが、静雄氏の死体も、芳枝さんの姿も忽然と家から消えていた。

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 さらに、この間明智が来たときに話を聞いたお手伝いの女性がまっぱで浴室に沈められていた。

 原作だと、ただ縛り上げられるだけだが、ドラマではおっぱいを出すためだけに殺された模様。美女シリーズで、女優ではなくおっぱいにオファーが来た、みたいな扱いをされる女優さんは多いが、彼女の場合、そのおっぱいの見せ方も雑で、なんとも不憫である。

 原作では、以下、大江が事件の表面的な謎を掴むためにあれこれと調べまわったり、とあるホテルに投宿した謎の人物についての描写などに、かなりページが割かれるが、尺が短いせいか、ドラマではだいぶ省略されている。

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 明智は、夏目菊太郎を訪れて話を聞く。演じるのは名優・松村達雄さん。

 芳枝さんは、菊太郎の姪(弟の娘)にあたるが、孤児になった芳枝を世話してきたのに勝手に笹本とか言う詩人と結婚したため、芳枝とはそれっきり義絶しているらしい。

 菊太郎には太郎と言う息子と、知子と言う娘がいた。

 原作では、芳枝の伯父は二人いて、最初の伯父は殺されてしまうのだが、ドラマではひとりに簡略化してある。

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 で、その省略された伯父の代わりに登場するのが、原作にはない知子と言うキャラクター。演じるのは朝加真由美さん、当時23歳くらいか。このおどおどした感じがとても可愛いのである。

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 あと、ブラが透けているのが良いよね!(言うと思った)

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 菊太郎は知らぬ存ぜぬだったが、何か隠しているような彼女を明智が問い詰めると、そのロケットの持ち主が彼女の兄、夏目太郎だと分かる。また、彼の部屋は全体が緑色に塗られ、しかも芳枝さんのブロマイドのような写真がベタベタ貼ってあった。

 知子の話では、太郎は芳枝に惚れていたが、彼女が笹本と結婚したため、それ以来いささか頭がおかしくなって、異常に緑色が好きになったとか。

 軽率が服を着て歩いているような波越警部は、一足飛びに夏目太郎が緑衣の男だと決め付け、直ちに指名手配する。

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 で、東京ホテル浦島と言うところに投宿していた緑色の服を着た男を見た従業員は、配られていた夏目太郎の写真と頬の傷が合致していたので、警察に通報する。

 従業員が、男がシャワーを浴びている隙に部屋に入り、大きなトランクを開けると、

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 行方不明だった芳枝のなまめかしい下着姿が転がり出る。

 だが、従業員も男に殴られて気絶してしまい、その後、警察が駆けつけた時には、施錠された部屋には従業員と芳枝さんの姿だけで、男の姿はなく、窓も内側から鍵がかかっていた。

 犯人は一体どこへ消えたのか首を傾げる波越たち。

 ……波越が落ち着いて考えていれば、この時点で、あっさり事件は解決してたと思うんだけどね。

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 警察に保護された芳枝さん。緑衣の鬼は、イトコの夏目太郎だと断言し、夫の笹本静雄は殺されたとも話す。

 明智、伯父の夏目菊太郎、娘の知子、そして秘書の山崎が臥せっている芳枝さんのところへ駆けつける。

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 山崎を演じるのは荻島真一さん。

 山崎は明智の賛美者で、明智のことを手放しで称賛する。

 山崎「いつも新聞で先生の素晴らしい推理力に感心していたんです。あれは美学ですね、いや芸術ですよ!」
 明智「にゃっはあ、そんな大したことじゃありませんよ」

 型どおりに謙遜しつつ、まんざらでもない明智さん。

 原作では、芳枝さんは伯父(菊次郎)の別邸のある伊豆へ保養へ行き、その伯父が殺された後、もうひとりの伯父(菊太郎)の住む紀伊半島へと舞台が転々と移動するのだが、ドラマでは手近な伊豆(熱川)で全部済ませている。

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 熱川のバナナ・ワニ園でワニを眺める芳枝さんたち。ワニを眺めて何が楽しいのか。

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 原作同様、芳枝さんから手紙が来て招待されるのだが、原作では芳枝に惚れている探偵小説家の大江が行って、まんまと犯人の思う壺にはまるのだが、ドラマではその代わりに文代さんひとりで熱川へ行くことになる。

 文代「先生、いらっしゃらないんですか?」
 明智「夏目太郎も笹本氏の死体も発見されていないのに探偵としてノコノコ出掛けるわけには行かないよ」
 文代「先生、怖いんでしょう、芳枝さんに会うのが」
 明智「えうっ、どうして?」
 文代「だって芳枝さんもう未亡人なんですもの……先生ってほんとに美人に弱いんだから」

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 で、ひとりで遊びに来た文代さん。背が高い。

 菊太郎の別邸へ到着するが、来たばっかりでしかも日が暮れかかっているのに、芳枝さんは強引に近くの水族館へ見物へ行こうと文代さんを誘い、さらに、芳枝さんは先に水族館へ行ってしまう。いかにもわざとらしい行動だ。

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 しかも、山崎が文代さんにわざわざ双眼鏡を渡して水族館を見なせいと勧めるのも、かなりわざとらしい。

 原作では丘の上に据え付けられた望遠鏡で、大江が水族館を見るのだが、ドラマと比べるとだいぶ自然である。

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 で、犯人の思惑通り、文代は双眼鏡を水族館付近へ向けて、芳枝さんが「緑衣の鬼」に襲われているシーンを目撃する。

 文代は水族館へ向かう。途中で出会った山崎と一緒に水族館の中を調べる。芳枝さんの服を脱がせている「緑衣の鬼」を見付けて追い掛けるが、向こうから来た山崎と出会っただけで、犯人の姿はまたもや忽然と消えてしまった。

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 肝心の芳枝さんは水槽の中へ裸で投げ込まれていた。山崎が慌てて入って助け出す。

 ここ、夏純子さんは胸は出しているが、下半身は肌色のタイツのようなものを履いているようだ。

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 事件を聞いて明智が東京から飛んでくる。

 芳枝「女ってダメですね。とっても寂しくて夜になると男の方にすがりつきたくなりますわ」

 かなりあからさまに明智を誘う芳枝さん。童貞の明智は焦る。

 芳枝「明智さんはどうして結婚なさらないの」
 明智「別に、訳はありません」
 芳枝「先生、これからも私を助けてくださいますか、探偵と言う職務を越えて」

 明智は芳枝さんの顔を見詰めていたが、

 明智「私はいつどんな時でも探偵と言う職業を捨てられないんです。だから独り者なんでしょうね」
 芳枝「だからいつまで経っても童貞なのよ!」
 明智「ヒィィッ!」

 あまりのショックに明智さんはすぐ東京に帰り、探偵を辞めてこまどり姉妹のマネージャーになったそうです。

 ……嘘である。

 正しくは、

 芳枝「先生って親切そうに見えて、根は冷たい方なんですのね」

 でした。

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 そこへ文代がやってきたので、明智はそそくさと退室する。

 芳枝「文代さん、明智さんが好きなの?」
 文代「えっ」
 芳枝「好きなんでしょう?」
 文代「ええ好きよ。でも先生、全然相手にしてくれないの」

 さりげなく、だがはっきりと明智への好意を口にする文代。他の作品ではまず見られないシーンである。

 一方、知子のところへ子供の使いがきて、兄である太郎からの会いたいと言う手紙を渡す。知子は警察には知らせず、山崎とふたりで指定の洞窟へ向かう。

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 洞窟の入り口まで山崎についてきてもらい、知子はひとりで中へ入る。

 と、奥から「緑衣の鬼」こと太郎が姿を見せるが、その素顔を見た知子は何故か驚きの声を上げる。

 しかし、これはミステリーとしてはアンフェアと言うか、矛盾した描写だ。知子は真犯人の山崎に殺されるのだが、他に見ている人はいないのだから、わざわざ「緑衣の鬼」に変装してから殺す必要はない。そもそもどうやって知子の前に先回りできたのか?

 とにかく、いつまで経っても知子が帰ってこないと山崎が警察に打ち明け、捜索に来るが、

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 知子さんは哀れ、絞め殺されていた。

 可愛い朝加真由美さん、もう少し見たかったなぁ。

 その後、笹本静雄のものと思われる死体が、銀行の貸し金庫から発見される。

 夫の葬儀を済ませ、芳枝と山崎が事務所へ挨拶に来る。

 芳枝の口ぶりではどうやら二人は愛し合っているらしい。

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 二人が帰った後、からかうような口調で、

 文代「何考えてるんですか? ぽしゃった魚が惜しいんですか?」
 明智「いや、夏目家の財産のことだよ。もし夏目太郎が相続できないとすれば、一体誰のものになるんだ……」

 さて、芳枝さんと山崎は、菊次郎に結婚したい旨を話すと、菊次郎も賛成で、彼らに財産を相続させてもいいような口ぶりだった。

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 ま、そこまではいいのだが、二人が別室へ退いてから、

 芳枝「よかった伯父様許して下さって!」

 と、喜ぶのも、いささかアンフェアな描写だ。

 さらに「少しは財産も下さるそうよ」と、芳枝が山崎に話すのもおかしい。この場合、「あとは遺言状を書かせるだけね」などと言うのが自然だろう。……ま、そうすると視聴者に犯人が誰だかバレてしまうが。

 二人がセックスしていると、別荘中が停電になり、「緑衣の鬼」が現れる。そして芳枝さんの姿が消えてしまう。

 当然、明智や警察がやってきて、芳枝さんの捜索が行われる。で、いろいろあって、芳枝さんは無事、保護される。

 だが、「緑衣の鬼」は今度は芳枝さんを奪うのではなく、殺してやると予告してくる。

 実際、芳枝さんがひとりで寝ているとベッドの下から日本刀が突き出て、背中に怪我をするという事件が起こる。

 ただ、これもねえ、他に誰もいない密室状態なのだから、警察にも芳枝さんの自作自演だと一発で分かりそうなものだが。

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 芳枝「明智先生、絶対に大丈夫だと言って下さったじゃないですか!」

 珍しく依頼人からなじられる明智さん。

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 さらに、

 山崎「はっきり言います。僕は明智さんの無能ぶりにがっかりしています。何が名探偵です!」

 ボロクソに言われても、返す言葉のない明智さん、聞こえないふりをして窓の鍵を調べていた。

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 その後、明智は、「二つの不可解」「五つの不可能」と言う表を貼って、事件のおさらいをしながら要点を指摘して行く。

 「不可解」は、犯人の行動の不自然さを、「不可能」は、犯人が閉ざされた空間から忽然と姿を消してしまう事象を指す。

 これは、原作にもほぼ似たような一覧表が出てくる本格ミステリーっぽい小道具で、それはそれでいいのだが、

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 「どおして」が、「どおして」も気になる管理人であった。

 誰が書いたんだコレ。

 と、明智が突然東京へ引き揚げると言い出す。東京でなにやら重大事件が起こったらしい。波越警部も一旦帰京すると言う。

 一方で、明智は菊太郎の財産を芳枝さんに譲ると言う遺言状を東京の弁護士に渡す仕事も頼まれていると明かす。

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 別の用事があると言う菊太郎も明智たちと一緒に出掛けたが、帰ってきた老人は普段と様子が違っていた。

 ぶっちゃけると、菊太郎老人は外出先で明智と入れ替わり、老人に変装した明智がのこのこと帰っていたのだ。

 これは原作にもある、相当無理のある展開なのだが……。

 その夜、「緑衣の鬼」が現れて老人を撃ち殺してしまう。騒ぎを聞いて駆けつけた芳枝さんだが、山崎を呼んでいる間に、老人の姿は跡形もなく消えていた。

 消しゴムのようによく消えるドラマだ。

 と、「緑衣の鬼」を名乗るものから電話があり、水族館に老人の死体があると言う。二人が、残っていた刑事たちと恐る恐る水族館へ行くと、

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 死んだ筈の夏目老人が生きていた。しかも二人も。

 無論、一方は明智の変装だった。

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 べりべりべり

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 ジャーン!

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 最後に髪をちょっと整える仕草がたまらなくダンディな天知先生。

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 ただ、残念ながら、その後の早着替えはナシ。ゆっくりとガウンを脱ぐだけである。

 明智は犯人たちを罠に掛けるため、東京へ引き揚げたと見せて、わざと老人を殺害するよう仕向けたのだ。無論、銃の弾は事前に空砲とすりかえていた。

 明智は事件の謎解きをする。つまり犯人の狙いは元々夏目家の財産であり、「緑衣の鬼」の正体は夏目太郎ではなく、最初の被害者だと思われていた笹本静雄だったのだ。笹本邸の周囲に出没していた影は、「スライド」だったらしい。明智さん、さりげなく口にしているが「スライド」はないんじゃないか、「スライド」は。

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 もっとも、不気味な声については携帯プレーヤーと言う最新のアイテムを使ったことになっているが。

 原作だと「腹話術」だからね。さすがに「腹話術」はないだろうと、読みながら思ったものだ。

 菊太郎の娘の知子を殺したのも、相続人の一人だったからだ。そして最後は菊太郎老人に取り入り、老人が遺言状を書いた途端、老人を殺そうとしたのだ。短絡的にもほどがあるだろ。

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 明智「夏目財閥の財産30億を狙ったのです。そして今その目的を遂げたと思っている男……すなわち君、山崎、君が緑衣の鬼、夏目太郎、笹本静雄、この三役を務めた……」

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 明智「真犯人だ!」

 山崎はなおも「証拠があるんですか?」と抗弁するが、明智はホテルの密室から消えたトリックも、部屋に残った芳枝さんが後から鍵を閉めれば可能だと、物的証拠と言うより、論理的な説明でねじ伏せる。

 ま、確かにそうなんだけど、そもそもなんで彼らはわざわざ山崎が出た後、全ての鍵を閉めるなんてことをしたのだろう? 自分(芳枝)が犯人だと言ってるようなものじゃないか。原作だと、部屋の中に「緑衣の鬼」の影をちらつかせて、不可解さをアピールする意味もあったのだけれど、ドラマでは全く不要な小細工に見える。

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 山崎はあっさりと負けを認め、毒を仰いで……それから、そばの水槽へ続く階段をよろめきながら昇り、「芳枝」と言いながらドブンと落ちる。

 ……なんでわざわざ水槽へ飛び込んだのだろう?

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 さらにそれを見た芳枝さんも毒を飲み、喘ぎ苦しみながら階段を昇る。で、周りに一杯ひとがいるのに、誰もそれを止められないのだ。最後は物凄い形相で明智を見ながら、山崎に続いて水槽に落ちる。

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 芳枝「明智、呪ってやるう~」

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 明智(ううっ、呪われるのはヤダなぁ)

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 芳枝さん、山崎に寄り添いながらなおも悶え苦しむ。

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 黙って見てないでなんとかしろ!

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 文代「恐ろしい人だったけど、死に顔は美しいわ……」

 言うてる場合か!

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 で、水槽に沈む二人を映しながら、エンドクレジットになるのだが、明智たちがずーっと水槽の中の死体を見ているのが、妙に間抜けと言うか、笑いを誘うものになっている。

 以上、突っ込みどころが多過ぎて困る迷作なのだが、考えればあの複雑なストーリーの「緑衣の鬼」をかなり忠実に再現しており、さらに尺が70分と極めて短いことを考慮すれば、むしろなかなか良くまとまっていると言うべきなのかも知れない。

 ミステリーとしてアンフェアな描写や、終盤のバタバタした感じが残念だ。
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Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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