第26話「ボスガンの反撃」(1989年4月30日)
前回に引き続き、ボスガンのRX打倒作戦が展開する26話である。
ボスガン、一旦クライス要塞に引き揚げ、RXに対する怒りを改めて滾らせていた。
その一方、前回敗れたロボライダーへの対策として、怪魔イナズマ剣と言う、前回用いた名剣を上回る威力を持つ剣を作らせていた。
二回続けて名剣の力に頼ろうとするのは、いささか芸がないが……。
ボスガン、ダミーのロボライダーをそのイナズマ剣で両断してみせる。

ボスガン「見事だ、
本物のロボライダーと同じ素材で作られたシミュレーションロボライダーを切り裂く、この、怪魔イナズマ剣、もうRXも恐るるにたりん」
さらっと聞き捨てならないことを口にするボスガン。
ロボライダーと同じ素材が作れるのなら、それを使ってガテゾーンに強力な怪魔ロボットを作らせたら、RXとも、かなり良い勝負が出来たのではないか?
あるいは、お家芸の偏狭なセクショナリズムを発揮して、ボスガンはその技術を持ちながら、あえてガテゾーンにそのことを秘密にしていたのかも知れない。
さて、ジョーは光太郎の勤める……って、最近全然仕事してないけど……会社の社員食堂で、ウェイターのバイトをしていたが、いかにもジョーらしく、その勤務態度は接客業にあるまじき乱暴なものだった。

吾郎「なってないねえ、アルバイトって言ってもサービス業なんだからさー、もっと丁寧に仕事してよ」
ジョー「わかってるよ」
吾郎「その横柄な口の聞き方から直して貰いたいなぁ、光太郎さんから頼まれたから雇ってんじゃないのよぉ」
コックの吾郎から小言を言われるが、いかにもやる気なさそうに聞き流しているジョー。
と、いきなり食堂にボスガンが現れ、怪魔イナズマ剣でジョーに斬りかかって来る。
ジョーはなんとか窓を突き破って脱出するが、同じ頃、車を運転していた玲子も怪魔獣人ガイナギンガムに襲撃され、重傷を負ってしまう。
病院に収容された玲子の枕元に、光太郎とジョーが駆けつける。

ジョー「ボスガンの奴、兄貴に近付く者には災いがあるとか言ってた」
光太郎「なに、俺に近付くものには災いが? 玲ちゃん……ジョー、俺の為に済まない」
光太郎、立ち上がってジョーに頭を下げる。
ジョー「何言うんだよ、兄貴、玲ちゃんはともかく、俺は兄貴と一緒にクライシスと戦う人間だ。俺に余計な気遣いはしないでくれ」
ジョーはわざと明るい声と表情で、沈みがちな光太郎の気持ちを引き立てようとする。
光太郎、ジョーを玲子のそばに残して、佐原家の様子を見に行く。
だが、それより先に、ガイナギンガムが買い物から帰宅した唄子の前に現れて、「子供たちの命が惜しかったら光太郎をこの家に近付けさせるな」と脅す。
ボスガン、光太郎を仲間たちから引き離して孤立させ、その上で抹殺しようと考えているのだ。
光太郎がやってきたのは、その少し後だった。

光太郎「おばさん、何か変わったことはなかったですか」
唄子「あのう、あのう、ちょっと言いづらいんだけど……きゃりーぱぴゅぱぴゅっ!」
光太郎「確かに言いづらいですね……つーか、言えてませんけど」
じゃなくて、
唄子「あのう、あのう、言いづらいんだけど、もう家に来ないで欲しいの」
光太郎「おばさん、何かあったんですね?」
唄子「とにかく、来ないで欲しいの!」
唄子はそれだけ言って家の中に引っ込み、光太郎に門前払いを喰わしてしまう。
光太郎「……おばさん、ひとみちゃんや茂君、おじさんにもよろしく」
唄子の豹変がボスガンの脅迫によるものであることを察しつつ、光太郎はドア越しに別れを告げて立ち去る。

光太郎と入れ違いに子供たちが帰ってくる。
茂「光太郎兄ちゃんじゃなかったの?」
唄子「いい、これからは絶対に光太郎兄ちゃんと会っては駄目よ」
茂「ええっ、ママ何言ってんだよ、光太郎兄ちゃんはクライシスから地球を守る為に戦ってるんじゃないか!」
唄子「ママはあなたたちを守らなければならないのよ」
茂「俺たちを守ったって、クライシスに地球を乗っ取られたらみんなやられちまうよ、俺、光太郎兄ちゃんを呼んでくる!」
光太郎が聞けば涙が出そうなことを言ってくれる茂、母親の言いつけを無視して、光太郎を追って走り出し、ひとみもそれに続く。
その光太郎、川べりに立って水の流れを眺めながら、

光太郎(俺の為におじさん一家やみんなを不幸にする訳にはいかない。しばらくはみんなと別れて、俺一人で戦わなければ……)
さすがに寂しそうな面持ちで、悲愴な決意を固めていた。

と、いきなり目の前の水面が爆発し、巨大な水柱がそそり立つ。
それを見て、
光太郎(俺って、もしかしてエスパーなの? サイオニクス戦士なのぉ?) と、超ポジティブな勘違いをしてしまうあたり、光太郎のタダモノではないところが見て取れ……ません。
無論それは、水中に潜んでいたガイナギンガムが勢い良く飛び出したことによるものだった。

光太郎「玲ちゃんを襲い、俺の周囲の人たちを脅したのは貴様だな?」
怪人「光太郎、貴様の息の根を止めてやる!」
光太郎、RXに変身して怪人と戦うが、横合いから現れたボスガンに斬りかかられたところを、怪人の鋭い牙で目を思いっきり噛まれてしまう。

RX「目がっ、目がっ」
ボスガン「RX、もはや何も見えまい、今日がお前の最期の日だ」

RX「卑怯だぞ、ボスガン、お前は誇り高き戦士だと思ってきたが、所詮はクライシス、邪悪な塊だ」
ボスガン「黙れ、RX、次の将軍の地位に就く為にはどんな手段を使ってでも貴様を倒さねばならんのだ!」
RX、前回同様、ロボライダーに変身するが、

ボスガン「無駄だ、RX、ロボライダーに変身してもこの剣を跳ね返すことは出来んぞ」
わざわざその為に作らせた怪魔イナズマ剣を手に、ボスガンは自信たっぷりに殺到する。
ちなみにここで初めてかかる挿入歌、水木一郎の「永遠のために君のために」が、なかなか燃える曲なのである。
「終わりなき戦いに勇気のピリオド~♪」
「痛み出す傷口が勝利を導くのさ~♪」
「勇気を信じろよ、こんな時こそ~♪」
当時のCDにはこの曲だけ入ってなかったんだよね。
それはさておき、ロボライダーの装甲でも怪魔イナズマ剣を防ぐことは出来ず、やむなくアクロバッターを呼び寄せて退却するしかない光太郎であった。
CM後、林の中で休んでいた光太郎のところへ、茂とひとみがやってくる。

光太郎「茂君、ひとみちゃん、俺に構わず家に戻るんだ」
茂「何言ってんだよ、兄ちゃんが怪我をしているのに放っておけるかよ」
ひとみ「そうよ、女がすたるわ!」
光太郎「生意気なこと言ってんじゃねえ!」(と叫んで殴る)
ひとみ「へぶっ!」
途中から嘘であるが、茂ならともかく、幼いひとみにそんな背伸びした台詞を言わせるのは感心しない。
健気な二人は両側から光太郎の体を支えて、安全な場所まで移動する。

茂「光太郎兄ちゃん、具合はどうだい?」
光太郎「ああ、だいぶ良くなった。ありがとう」
茂「ひとみ、俺は川でハンカチ冷やしてくるから、頼んだぞ」
茂がその場を離れた直後、光太郎の鋭い聴覚は、こちらに近付いてくる戦闘員たちの足音を捉える。
光太郎、花が見たいと言ってひとみを遠ざけさせると、わざと戦闘員たちの前に出て囮になろうとする。

戦闘員たちは、ここぞとばかりに目の見えない光太郎をボコボコにして、今までの鬱憤を晴らす。
しかし、クライシスのチャップも、殺傷能力の高い武器を持ってない点で、ショッカーの戦闘員と大差ないんだよねえ。
デスパー軍団やマクーのように、戦闘員がマシンガン持ってたら、確実に光太郎を殺せただろうに。

ジョー「兄貴、どうだい、まだ痛むか?」
光太郎「ああ、もうだいぶ良くなった」
しばらく後、光太郎は駆けつけたジョーに助けられ、工事現場の粗末な小屋で休んでいた。
と、小屋の外に、ボスガンたちがやってくる。そして戦闘員たちが担いでいる檻の中には、茂とひとみの姿があった。結局、あの後、クライシスに捕まってしまったらしい。

光太郎「ジョー、どうした?」
ジョー「あ、いや、なんでもない」
ジョー、目の見えない光太郎にはそのことを言わず、隠そうとするが、すぐバレてしまう。
ボスガン「出て来い、光太郎、出て来なければ子供たちの命はないぞ」
光太郎「ジョー、俺はボスガンをひきつける。お前はひとみちゃんたちを助け出してくれ」
光太郎、小屋を飛び出してボスガンたちと戦い、その隙に、ジョーが檻から茂たちを救出する。
ジョー、孤軍奮闘する光太郎を見捨てておけず、茂たちを逃がすと、戦場に舞い戻る。

一応改造人間のジョー、常人離れした跳躍力でガイナギンガムの頭上を飛び越える。

果敢にもボスガンにも立ち向かい、その怪魔イナズマ剣をジャンプしてかいくぐるが、

ボスガン「ぬおっ!」
ジョー「ぐわーーーっ!」
やはりボスガンの敵ではなく、

怪魔イナズマ剣で、まともに腹を切り裂かれる。
ここでやっと視力が戻った光太郎、急いでジョーに駆け寄る。

光太郎「ジョー、しっかりしろ」
ジョー「兄貴、俺はだいじょぶだ」
光太郎「ジョーーーーッ!」 ジョー「あ……」
ほんとに大丈夫だったジョーだが、至近距離で光太郎の馬鹿でかい声を浴びせられ、即死したそうです(註・嘘)。
光太郎「ボスガン、貴様ら許さんっ!」 泣きそうな顔で叫ぶ光太郎。

RXからバイオライダーに変身すると、
バイオライダー「ボスガン、貴様のような卑劣な奴は剣士でも貴族でもない、俺が打ち倒してやる!」
と、タンカを切るのだが、剣士はともかく、貴族なんてものは古今東西、卑劣かつ陰湿なものだと相場は決まってますけどね。
前回はロボライダーのことを忘れ、今回はバイオライダーのことを忘れていたボスガン、自慢の怪魔イナズマ剣も、ゲル化したバイオライダーには通用しない。

バイオブレードで、怪魔イナズマ剣の放つ電撃を受け止めると、

バイオライダー「とあっ!」
それを野球のバットのように振り切って、

ボスガンにお返しするというマンガみたいな技を披露する。
最後は怪魔イナズマ剣を叩き落し、勝負あり。
その後、ガイナギンガムを倒して事件は解決する。
光太郎、すぐに変身を解くと、倒れているジョーに駆け寄り、抱き起こす。

光太郎「ジョー、死ぬんじゃないぞ、
ジョーッ!」
ジョー「あ……」
折角、死の淵から這い上がろうとしていたジョーだったが、再び光太郎の殺人音波を間近で聞いて、今度こそ立派に成仏されたそうです(註・嘘)。
光太郎「ジョーッ!」 ジョー「兄貴、うるさい……」
光太郎「なんだってぇーっ!」 ジョー「あ……」
じゃなくて、
光太郎「ジョー!」
ジョー「兄貴、俺は兄貴に会えて嬉しかったぜ」
光太郎「バカヤロウ! なに弱気なこと言ってるんだよ、生きるんだ、生きて俺を助けてくれ」
ジョー「し、死んでたまるか、霞のジョーは不死身だ……うっ」
光太郎の手を握って無理に笑って見せるジョーだったが、苦しそうに呻くとガクッと首を垂れてしまう。
光太郎「ジョーッ! ジョーッ!」 ジョー(あ、もう駄目だ……お迎えが来た……)
以上、光太郎の馬鹿でかい声をネタにしつこく遊んでみました。
ただ、管理人、オンエアの際に、倉田さんの過剰演技を見て、子供心にも「鬱陶しいなぁ」と思ったことを覚えている。
ちなみに、どう見ても死んだ筈のジョーだったが、後に、実は単なる重傷で、しばらく戦列から離れることになっただけだと分かり、視聴者をがっかり、いや、拍子抜けさせる。
ラスト、ボスガンは努めてサバサバした態度を装って、ジャーク将軍に復命していた。

ボスガン「後一歩のところまでライダーを追い詰めたのですが、手傷を負った為にやむなく引き揚げてまいりました」
ジャーク「ボスガン、それでは余の後の将軍の地位は狙えぬではないか」
さすが抜け目のないジャーク将軍、ボスガンの魂胆などとっくにお見通しであった。
ボスガンも内心ドキリとしたが、素知らぬ顔で否定する。
ボスガン「何を申されます、私はただひたすら将軍の為にRXを倒そうとしたのですぞぉ、将軍の地位などそんな野心などあろう筈がありません」
ジャーク「まぁ、よい……ボスガン、怪魔イナズマ剣を余に抜いて見せよ」
ボスガン「……」
言われたとおり、ボスガンが怪魔イナズマ剣を鞘から抜くと、

ジャーク「むんっ」

ボスガン「おおっ」
ジャーク将軍、杖からビームを発して、ボスガン自慢の剣をいとも簡単にへし折ってしまう。

ジャーク「はっはっはっはっはっ、うわーっはっはっはっ……」
ボスガン「……」
そして、心底楽しそうに高笑いを響かせながら去って行く。
ボスガンに実力の違いを見せ付けて、自分の後釜に座ろうなどと大それた野望は持たぬよう牽制したつもりだろうが、それは同時にボスガンのプライドをひどく傷付けることになった訳で、それが組織全体の利益にかなうものかどうか、ジャーク将軍は今一度よく考えるべきだったろう。
……
つーか、お前がRXと戦えよ! 終わりです。
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