第5話「悪魔がひそむ昔話」(1982年3月6日)
ゴーグルファイブの「落穂ひろい」も、いよいよこれでフィナーレとなりました。
最後は、何でこれをスルーしたのか、自分で自分の判断が腑に落ちない第5話です。
のっけから、スクリーンに過去の敗北の資料映像を映して、反省会を行っているデスダークの皆さん。
ほんとは、怪人もロボットも負けっぱなしなのだから、合成怪獣モズーの製造装置の設計者(総統タブー?)も同時に責められるべきだと思うのだが、もっぱらデスギラーの雷喝は、ロボット担当の二人の博士にのみ向けられていた。

デスギラー「くううっ、なんたることだ、恥を知れ! 恥を!」
早くも完成されつつあるデスギラー節を唸らせて、イガアナとザゾリアを叱り飛ばすデスギラー。

デスギラー「お前たちの作る巨大ロボットは金ばかりかかってちっとも役に立たん!」
悪の組織の幹部が、コストのことを口にする、極めて珍しいシーンである。
ま、実際、4話までは怪人とは別にロボットのスーツを作っているから、制作サイドが同じ感想を抱いていたことであろう。

デスギラー「総統タブーは大変お怒りであるぞ!」
タブー「……」
後方でワシャワシャ手を動かしていた総統タブー、別に怒っているように見えなかったが、デスギラーに言われて、とってつけたように怒り出す。

ザゾリヤ「恐れながら総統タブー……」
タブー「言い訳は無用!」
何か言いかけたザゾリヤだったが、タブーは問答無用で二人に電撃を浴びせる。
少し前まであんなに颯爽としていた両博士のあまりに急速な凋落ぶりに、涙を禁じえない管理人であった。
二人が処罰されるのなら、序盤の前線指揮官であるマズルカだって同じく罰せられないと不公平だと思うんだけどね。

ザゾリヤ「待ってください、総統タブー、私たちとて……」

タブー(電撃)
ザゾリヤ「手を拱いている訳では……」
タブー(電撃)
ザゾリヤ「ございま……」
タブー(電撃)
ザゾリヤ「聞こうよ、一旦!!」 人が一生懸命話しているのにお仕置きをやめようとしないタブーに、さすがのザゾリヤも遂に切れる。
嘘である。
イガアナ「新しい巨大ロボットを作り上げます!」
タブー「うーむ、その言葉に偽りはあるまいな? 今度ぶざまな負け方をしたらこれでは済まんものと思え!」
イガアナ&ザゾリヤ「ハハーッ!」
イガアナ博士の死に物狂いの言質を取ると、漸くタブーは二人を解放する。
しかし、怪人もそうだけど、巨大ロボットだって毎回負けることを宿命付けられている悪の組織において、首領がいちいちその製造責任者を処罰していたら、いくら部下がいても足りないだろう。
もっとも、今回のストーリーはその一件とは全く関係ない。

老人「楽しさいっぱい、夢いっぱい、面白さナンバー1、故郷の昔話『だいだらぼっち』のはじまりはじまり」
後楽園ゆうえんち近くの公園で、一人の老人が紙芝居をしている。

威勢の良い呼び声とはうらはらに、カメラが引くと、客がひとりもいないことが分かり、これでは老人が単なる「気の毒な人」に見えてしまう。

ちなみに、その場にいるのは野良犬の親子だけだったが、明らかにスタッフが撒いたと思われる餌を一生懸命漁っている。
老人「昔、昔のそのまた昔……」
が、老人は一向に気にすることなく、誰もいない寒空に向かって紙芝居を語りだす。
そもそも、この老人、別に職業として紙芝居をしている訳ではなく、単なる趣味でやっているらしい。

男の子「またやってるー」
女の子「いつも同じ話よー」
春男「今時あんな話、ウケるわけないのに」
公園の隅からそれを見ている子供たち。
老人は一種の変わり者として子供たちの間では良く知られているようだ。
ちなみにこの真ん中の女の子が、後のイモトアヤコである(堂々と嘘をつくな)。

老人「おお、坊やたち、そんなところにいないでこっちへおいで」
春男「い、いえ、結構です」
老人「そんな、子供が遠慮することはないよ、タダでいいんだから」
春男「さ、さ、さいならーっ!」
夢中になって「だいだらぼっち」の話をしていた老人が春男たちに気付いて手招きするが、春男は恥ずかしそうに断ると、脱兎のごとく逃げ出してしまう。
でもまぁ、昔の子供は可愛げがあるよね。

マズルカ「おじいさん、紙芝居見せてくださいな」
老人「ああ?」
マズルカ「私たち、昔懐かしい紙芝居の熱烈なファンですの」
と、そこへ、春男と入れ違いに公園にやってきたのが、レザーのつなぎのような、あまり色気のない格好をしたマズルカを戦闘にした胡乱な一団だった。
老人「嬉しいねえ、まだこんな人たちがいたなんて……
はい、ひとり2万ね」
マズルカ「金取んのかい!」 そう、この老人、見掛けは善良そうだが、実は世にも恐ろしいぼったくり紙芝居屋だったのである!

春男(似てる、確かにデスダークのマズルカに似てる!)
嘘はさておき、熱心に紙芝居に聞き入っているマズルカの顔を公園の端から覗いていた春男、その正体を見抜いてしまう。
で、急いで遊園地に行き、秘密の通路から未来科学研究所に入ろうとするが、あいにく、電話ボックスには先客がいて、しかもなかなか電話が終わりそうにない。
春男「ちょっと早くしてよぉ」
我慢できずに春男が窓を叩いて催促するが、
女性「うるさいっ!」 まるで野獣のような形相で怒鳴り返される。
以前も書いた気がするが、この女性、演じているのは若き日の阿知波悟美さんなのだ。
春男、ならばと、ポケットからおもちゃの青虫を取り出し、そっと女性の肩に乗せてやる。
女性「きぃゃああーっ!」 それに気付いた女性、これまた物凄い顔で悲鳴を上げ、すっ飛んで逃げていく。
下積み時代の阿知波さん、ほんの端役でもなんとか目立とうと、必要以上に張り切っておられる。
ニンマリした春男、ボックスに入って未来科学研究所から支給されているブレスレットのボタンを押すと、床がパカッと開いて春男の体を吸い込む。
そこから45度の角度で地下に伸びる滑り台のような秘密の通路になっていて、その途中で、自動的に衣装がコンボイの制服に変わるのだ。
コンボイが、外部から未来科学研究所に入るまでの過程をかなり詳しく描いた貴重なシーンである。

春男「大変だ、大変だ」
本部に着いた途端、大声で騒ぎ立てて仲間の間を走り回る春男。
ちょうど手の空いてる時だったのか、女の子たちがトランプ、

男子たちが将棋で暇を潰しているのが、実に微笑ましい。
春男「大変だ、デスダークが紙芝居を見に来たんだ」
さゆり「うっそぉー」
春男「嘘じゃないよ、確かにあれはマズルカだよ」

赤間たちは直ちに春男に案内させてその公園に行くが、冬枯れの木立の他には、誰の姿もない。
黄島「あれー、なぁ、誰もいないじゃないか」
春男「でも、確かにあそこに」
黒田「大勢が揉み合ったような足跡があるぞ」
赤間「よし、手分けして探そう」

(なんだこの画像?)

(なんだこの画像?)
ミキ、青山、春男の三人は、近所で聞き込みをしたのだろう、岩田と言う表札のかかった老人の自宅へやってくる。

ミキ「こんにちはー」
青山「こんにちはー」
外から呼びかける二人の声に、ギョッとしたのはまさにその時、家の中を引っ掻き回していた戦闘員たちであった。
三人が家に上がり込んだところで、一旦隠れた戦闘員が一斉に襲い掛かってくる。
素手で戦闘員を叩きのめしていた二人だが、両手が鋭いカマになっているカマキリモズーを見て、生身で戦うのは危ないとひとまず家から逃げ出す。

(なんだこの画像?)

家のそばの線路の上をひた走る青山たちと、それを追いかける戦闘員たち。

(だから、なんだこの画像?)

住宅地の中の空き地で待ち伏せ攻撃され、その場に倒れ込むミキと、慌てて駆け寄る青山と春男。
どうでもいいが、青山春男って並べて書くと、まるで安売り紳士服の申し子みたいな名前になるな。

青山「デスダーク、いったい何を企んでいる?」
ミキ「おじいさんは何処?」

怪人「おじいさんは山へ芝刈りに……」
青山「ふざけるな」
怪人「俺はゴーグルファイブの首刈りに!」
カマキリモズーが手を地面につけると、そこから火花が走って三人の眼前で爆発する。
変身する余裕もなく戦闘員に包囲される三人だったが、ここで残りの三人が駆けつけ、ピンチを救う。
相手が5人揃ったのを見ると、カマキリモズーはさっさと退散する。
結局、岩田老人の消息は不明のまま、一旦未来科学研究所に戻る赤間たち。

赤間「間違いなくおじいさんは誘拐されたに違いない」
春男「デスダークはそんなに紙芝居が好きなのかなぁ?」
黒田「紙芝居に異常な興味を持っていることは確かだ……」
春男「いつも
『大学のコンパで調子に乗って脱いだら、翌日からぼっち』の話をしていたよ」
黒田「気の毒に……」
じゃなくて、
春男「いつも『だいだらぼっち』の話をしていたよ」

あかね「読んだことあるわ、大男が池や山を作ったと言う昔話でしょ?」
誠「非科学的だね」
誠が、腕を組んでエラソーに斬り捨てるが、

みどり「そりゃあ仕方ないわよ、昔は科学が発達してなかったんですもの。昔の人に説明のつかないことは大男や鬼の仕業なんかにされちゃったのよ」
みどりさんが優しくとりなすように説明を加える。
相変わらずみどりさんは小学校の先生みたいで可愛い!
突然ですが、管理人が選ぶ「こんな人が小学校の担任だったらいいな!」ベスト5の発表です。
第5位……日高久美子さん
第4位……松岡まりこさん
第3位……塚田きよみさん
第2位……小林伊津子さん
そして栄えある第1位は……もちろん、菊容子さんでしたー! パチパチパチ。

達也「大ナマズが地震を起こすとか?」
みどり「そうね」
いやー、みどりさんの画像は貼り甲斐がありますなぁ。

赤間「どうやらデスダークはおじいさんの昔話の中に何か恐ろしい事実が隠されていることに気付いたのかも知れないぞ」
みどりさんと子供たちの会話を聞いていた赤間が、自分の推理を口にする。

黒田「うん」

ミキ「……」
赤間の意見に賛同する黒田とミキが、それぞれアップで映し出された後、

黄島&青山「……」
二軍の黄島と青山は、二人まとめて、しかも子供と一緒の画面で片付けられる。
なんという厳しい、血も涙もない格差社会だろう……。

その頃、岩田老人はマズルカたちに捕まって、生まれ故郷の村に連れて来られていた。
老人「紙芝居が好きだなんて良くも騙したな!」

マズルカ「早く解放して貰いたかったら、だいだらぼっちの話を全部喋ってしまいなさい」
老人「くどいぞ、わしが知っとるのは、紙芝居になった話だけだ」
マズルカ「ええい、まだそんなこと言うか」
老人「……」
マズルカたちを罵りつつ、久しぶりに若い女性の局部を間近に見ることが出来て、なんとなく嬉しい岩田老人であった。
どうやらマズルカたちは赤間の睨んだとおり、今や岩田老人しか知らない昔話の中に隠された何かを手に入れようと、こんなことをしているらしい。
ただ、そもそも、老人以外知らない話の中に重大な秘密が隠されていることを、マズルカたちがどうやって知ったのかと言う、根本的な疑問が湧く。
と、そこへ変身済みの5人が現れる。

レッド「それがだいだら池、向こうに見えるのが法師山、そしてここはおじいさんの故郷、必ずお前たちが来ると思っていたぞ!」
さすがコンボイを擁するゴーグルファイブである。岩田老人の経歴や地名などから、素早くマズルカたちの目的地を割り出し、彼らより先に訪れて待ち伏せしていたらしい。
ちなみに法師山と言うのは、「だいだらぼっち」を漢字で「大太法師」と書くことから来ている。
その場でひとしきり戦いとなるが、イガアナ、ザゾリヤ両博士の手助けもあって、マズルカは老人を連れて上手く逃げ去ることが出来た。
博士たちが前線に出て来るのは異例のことで、

ザゾリヤ「危ないところだったわね」
マズルカ「ありがとうございます、しかし、イガアナ博士、ザゾリヤ博士、何故こんなところまで?」
マズルカも、礼を言った後、底意地の悪そうな顔でからかうように問い掛ける。
イガアナ「新しいシステムの巨大ロボットを作るのにカマキリモズーの体をサンプルにしたいのじゃ」
ザゾリヤ「超音波断層写真を撮ります」
イガアナ「カマキリモズー、ポーズ!」
外見は古めかしい写真機を構えて、イガアナ博士が命じると、

怪人「チーズ!」
カマキリモズー、恐ろしい外見と懸け離れたお茶目なポーズを取る。

イガアナ「バ、バカモン、芸術写真ではなーい!」
思わず怒鳴りつけるイガアナであったが、なんとなく、博士たちが怪人にすら小馬鹿にされているような雰囲気も感じられて、ますます二人が不憫に見えてくる。
もっとも、その後はザゾリヤ博士の命じられるままにテキパキと姿勢を変えるカマキリモズーであった。
要するに、その写真を元に、立体図を起こし、カマキリモズーそっくりの巨大ロボットを作ると言うのが二人の開発した新しいシステムだった。
これ以降、デスダークの巨大ロボットは怪人の体にコングの足を取り付けたデザインで統一されるようになり、スタッフも大助かりであった。

マズルカ「恐れながら、巨大ロボットなぞお作りになる必要はないと存じますが」
イガアナ&ザゾリヤ「なにっ?」
マズルカ「私たちの調べによりますと、この地方の何処かにそれは恐ろしいオロチが眠っている筈なのです。誰もその正体見たものはいないけれど……」

マズルカ「そいつをひとたびこの世に放てば、天を駆け巡り、たちまち人間どもを食い殺し、鳥や獣も草や木に至るまで命を奪ってしまうのです」
しっかりお手入れされたワキを全開にして、邪悪な目論見を滔滔と語るマズルカさん(28歳・OL)。
マズルカによれば、そのオロチとやらの隠し場所がこの地方に伝わる「だいだらぼっち」の昔話の中に隠されているらしい。

黄島「だいだら池と法師山か……」
ミキ「静かな村ねえ」
赤間「ああ、おじいさんは昔、この村を出て東京へ働きに行ったんだそうだ」
黒田「今では親戚もいない」
特別の計らいで、一軍と一緒の画面に入ることを許された黄島さん。

みどり「おじいさん、寂しかったのね。それで懐かしい故郷の『だいだらぼっち』の話をみんなに聞いて貰いたかったのかも……」
本部にいるコンボイも、美しい村の景色をモニター越しに眺めていたが、みどりさんの漏らしたつぶやきに、やや粛然とした顔になる。

春男「ゴーグルファイブ、必ずおじいさんを助けてあげて!」
春男、紙芝居のことを馬鹿にしていた自分を恥じ、そんな願いを5人に伝える。
達也君もだが、春男もかなり可愛いよね。このインカムの持ち方とか。

黄島「春男君、心配するなって!」
再び特別の計らいで、センターに陣取ることを許された黄島さん。
しかし、この映像は、一体誰が撮っているのだろう?
5人は手分けをして、村人たちに片っ端から話を聞いてまわるが、オロチについての手掛かりは得られなかった。
ミキ「村の人はもう誰も『だいだらぼっち』の話なんて知らないみたい」
黄島「昔話や言い伝えはどんどん忘れ去られるばっかりだよ」
黒田「ああ、その忘れられた話の中にデスダークが探し求めるものがある筈なんだが……」
ゴーグルファイブはなおも情報収集に努めるが、依然耳寄りな情報は掴めず、さすがの彼らも諦めかけた時、赤間が、ふと見上げた石段の上の神社に、たくさんの絵馬が奉納されているのに気付く。

ミキ「なぁに?
赤間「絵馬だ。願い事や魔よけの絵を描いて奉納するんだ」」
赤間たちが石段を上がってそれらの絵馬を仔細に調べると、中に一枚、ひときわ大きく、古い絵馬が混じっていた。しかもそれには、巨大な蛇の絵が描かれていた。
赤間「オロチだ。おい、蛇と言えば邪悪なものの代表と言われている」
黒田「忘れられている言い伝えとはこのことかもしれんぞ」
赤間「ようし、オロチの言い伝えに関係のありそうな場所を探すんだ」
一方、マズルカも、村にオロチ岩なるものがあることを岩田老人から聞き出し、遂にそれらしい岩を発見する。

戦闘員とカマキリモズーが力を合わせてその岩を動かすと、その下から出て来たのは、真っ赤な毒ガスのようなものであった。
そこへゴーグルファイブが駆けつけ、岩田老人を保護する。

マズルカ「遅かったわね、ゴーグルレッド、人を食い殺し、草木の命も奪うオロチとは有毒ガスのようだったわね」
レッド「昔の人がせっかく塞いだものを」
マズルカ「このあたりはたちまち死のガスに包まれるわ」
物凄く嬉しそうにうそぶくマズルカだったが、正直、そんな小さな村を皆殺しにしたところで、デスダークにとっては何の意味もないことではないのだろうか?
が、その毒ガスも怪力を誇るゴーグルイエローが岩を元の場所に戻した為、ほとんど流出することなく食い止められ、苦労した作戦も水の泡。
イガアナ、ザゾリヤ苦心の新方式の巨大ロボットも登場するが、無論、何の波乱もなくゴーグルロボに倒されるのだった。
劇中では省略されているが、その後、両博士が総統タブーからどんな酷い目に遭わされたか、想像するだに恐ろしいことである。
ラスト、再びあの公園で紙芝居をしているおじいさん。だが、今度は春男たちコンボイの5人が熱心に聞いてくれているのだった。

最後は、そんなほのぼのした光景を少し離れたところから見ているミキの笑顔で締めましょう。
以上、「ゴーグルファイブ」の「落穂ひろい」、これにて終了となります。
……
と思ったら、まだ劇場版が残ってるじゃないか! ちくそう。
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