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「悪魔のような美女」~江戸川乱歩の「黒蜥蜴」 その2



 「悪魔のような美女」の続きです。

 早苗さんはかろうじて取り返したものの、肝心の黒蜥蜴にはまんまと逃げられてしまい、団の面目丸潰れの明智さん。

 
 文代「黒蜥蜴って女だったの」
 小林「飛び切りの美人だってさ」
 文代「あ、そー、それでまんまと逃げられたのねー、先生は美人に弱いから……」

 事件を知らせる新聞に目を通しながら、聞こえよがしにイヤミを言う文代さん。

 文代「聞いてるんですか?」
 明智「……あっ?」

 だが、明智さんは、何か一心に考え込んでいて、文代たちの会話などまるで聞いていなかった。

 そこへ、とうの緑川夫人から明智に電話が掛かってくる。

 明智も、稚気のある相手だと分かっているので、驚きもせず電話に出る。

 
 明智「もしもし」
 緑川「いかが、ご気分は?」
 明智「はははっ、あの麻酔薬は強烈だったよ。まだ頭が変だよ」

 天知茂先生は、受話器の持ち方からしてダンディである。

 
 緑川「ごめんなさいね。仕方がなかったの」

 緑川夫人の方は、例のアジトで部下たちにかしずかれて優雅なティータイム。

 
 明智「それで、何の用だね?」

 画面が分割されて、明智と緑川夫人が同時に映し出されるのも、当時としてはかなり凝った演出ではないだろうか。

 緑川「私たちの賭けは続きがあると言うことをお忘れなく」
 明智「いいだろう、受けて立つ」
 緑川「まあ、頼もしい」
 明智「なるべく、早く会いたいね」
 緑川「私も……狙った獲物は逃しませんことよ」
 明智「ははは、相変わらず強気だね」
 緑川「明智小五郎を屈服させるのが夢なんです」

 二人のやりとりは、敵味方と言うより、まるっきり恋人同士のそれであった。

 
 文代「まあ、呆れた、まるで恋人と話してるみたい」

 文代にもチクッと言われるが、明智は気にする風もなく、いかにも嬉しそうに窓の外に目をやる。

 さて、緑川夫人こと黒蜥蜴は、明智との甘いやりとりのあと、女王然とした威厳を見せつつ、雨宮と松吉を引き連れて地下室へ下りていく。

 
 そこには、薬液で満たした巨大な浴槽に、冒頭の美青年のパンツ一丁の体が沈めてあった。

 
 そう、あの美青年はあっさり殺されてしまったのである。

 虫も殺さぬような美貌と物腰の一方で、どんな猟奇殺人鬼にも真似できない残虐なことを易々とやってのける、こういう二面性が、黒蜥蜴の最大の魅力なのである。

 原作でも、犠牲者を剥製にする過程は描かれていないから、相当にインパクトのある映像だ。

 
 二人の部下は、美青年を乗せた金網の台をプールから引き揚げ、白い寝台の上に恭しく下ろす。

 全国の若奥様たちに、番組からのプレゼントです!

 緑川「見事な出来栄えだわ、早くお前の恋人を探してあげなくちゃね」

 罪悪感のかけらもなく、その物言わぬ裸体を眺めながら、うっとりした口調でつぶやく緑川夫人。

 無論、彼女は、今度は早苗を攫って剥製にして、美青年の恋人にするつもりなのだ。

 原作では、ここで、明智が身寄りのない自殺志願のOL(早苗さんに瓜二つ)に接近し、父親にも内緒で、本物の早苗さんと入れ替わらせると言うエピソードが挿入される。その後、そうとは知らぬ黒蜥蜴がそのOLを拉致してしまうのだが、要するに、貧乏人の娘なら万が一黒蜥蜴に捕まって殺されても構わないだろうと言う、最低の発想からの防護策であった。

 まぁ、早苗さんがニセモノだと言うことは、読者にも最後まで伏せられてるんだけどね。

 当然ながら、その設定はドラマではカットされている。

 だいたい、黒蜥蜴や父親でさえ見分けがつかないほど早苗にそっくりな女性が、そう簡単に見付かる筈がないっての。

 閑話休題。

 
 岩瀬邸では、特に黒蜥蜴からの新しい予告があった訳ではないが、警察も加わって万全の警戒態勢が敷かれていた。

 波越「防犯ベルを?」
 岩瀬「ええ、天井も床下も寝室へのドア周りもすべて取り付けてあります。窓も鉄柵を付けてあります」
 早苗「まるで牢屋だわ」
 岩瀬「お前の安全の為なんだよ」

 折りも折り、その部屋に、新しい応接セットが届くのだが、

 
 運送屋の中に、こういうどう考えても怪しい男(松吉)がいる時点で、視聴者には、黒蜥蜴の犯罪の予備工作だとまるわかり。

 もっとも、波越警部も用心して、運送屋には屋敷には入らせず、警備に当たっていた刑事たちに家具を運び込ませる。

 刑事「疲れましたよ」
 波越「なにっ、お前たちはね、不平が多いんだよ!」

 自分は軽いものしか運ばなかったくせに、一番大きなソファを運んだ刑事が文句を言うのを、なんの遠慮もなく叱り飛ばす波越警部。

 ただ、刑事がそうこぼすのも無理はなかった。何故ならソファの中には……。

 波越「ところでエジプトの星は?」
 岩瀬「はぁ、誰にも分からないところに隠してあります」
 波越「銀行の金庫?」
 岩瀬「あるお方に預かって頂いております」
 波越「なーるほど、わかりました、明智君ですな」
 岩瀬「そのとおり、さすが警部ですね」

 岩瀬が警察を差し置いて明智に宝石を預けたと聞いても波越は驚かず、むしろ誇らしげに、

 
 波越「でっはっはっはっはっは、それぐらいのことは分かりますよ。街の噂じゃね、一に明智、二に明智、三、四がなくて、五にこの波越と、こう言われてますんでな、はっはっはっはっはっ……」

 ふんぞり返って大笑いする。

 お前にはプライドと言うものがないんか?

 
 そこへ、文代と小林少年も応援に駆けつける。

 波越「で、明智君は?」
 文代「夜来ます」
 波越「よし、じゃあ文代君は応接間、小林君は廊下を見張ってくれ」

 何故か、明智はこの肝心な時に顔を出さないのだが、これは原作と同じで、明智がその場にいると、黒蜥蜴の早苗さん誘拐トリックを見破ってしまい、話が進まないからである。

 その後、岩瀬親子、波越、文代の4人が夕食を取っている。

 ドラマでは触れられていないが、早苗の母親は既に他界しているのだろう。原作には出て来るけどね。

 文代「早苗さんは、全く外出なさらないんですね」
 早苗「はい」
 岩瀬「表が怖いって言うんです、擦れ違うひと誰も彼もが黒蜥蜴に見えるんだそうですよ」
 波越「そりゃそうでしょう。何しろ裸にされてトランクに詰め込まれたって訳ですからねえ」
 文代「警部!」
 波越「なに? うん?」

 文代、慌てて警部に注意するが、

 
 もう手遅れで、早苗はその時のことを思い出してしまい、全身を細かく震えさせ、右手に持ったスプーンが、皿に触れてカチカチ鳴っていた。

 波越「いや、これは、どうもすいません」
 早苗「失礼します」

 さすがに鈍感な警部も気付いて謝るが、早苗は気分を害したように席を立ち、自室に閉じ篭ってしまう。

 
 ほどなく、早苗の部屋からピアノの演奏が聞こえてくる。

 文代「あれは?」
 岩瀬「ピアノです」
 文代「いや、そう言うことじゃなくて……」

 嘘である。

 文代「あれは?」
 岩瀬「早苗です。親の口から言うのもなんですが、なかなか才能があるようなんですよ」
 波越「いやぁ、お上手ですよ、素晴らしいねえあのテクニックは」
 文代「あら警部、ピアノ分かるの」
 波越「君、失礼なこと言っちゃいけないよ、普通の人じゃ弾けないんだ、あの第九は」

 
 文代「えっ、第九?」

 
 波越「う、いや、えー、第五だったかなぁ、あれは第三だったかなぁ……ズズズ」

 と言う波越警部の小ボケを挟みつつ、

 
 カメラは、ひたすらピアノを弾いている早苗さんを映し出す。

 
 と、早苗さんの背後にある、さっき運び込まれたばかりのソファの表面が、生き物のようにモコモコと波打ち、蠢き出す。

 
 まさかと思っていると、果たして、最初からソファの中に隠れていた賊が現れるという、いかにも戦前の乱歩っぽい展開となる。

 ま、戦後も似たようなのを書いてるけど。

 
 ピアノに夢中の早苗だったが、すぐ背後に人の気配を感じ、振り向くと、

 
 いかにも黒蜥蜴らしい、艶やかな仮面をつけた緑川夫人が立っていた。

 
 早苗「ハッ」
 緑川「しっ!」

 人差し指を立ててそれを振りながら、素早く早苗に飛び掛かってクロロフォルムで眠らせてしまう。

 しかし、これ、運ぶ途中で見付かってたら、かなり情けない状況で逮捕されていたのではないだろうか。

 ソファに、割と大柄な女性がまるごと一匹入ってたら、その重さで普通気付くよね。しかも、共犯者ではなく仮にも刑事たちが運んだのだからなおさら危険なトリックだったろう。

 ちなみに原作では黒蜥蜴自身はそんな危ないことはせず、浮浪者に化けた部下が潜り込んでいた。そして、代わりに早苗さんを押し込め、自分は浮浪者が酔っ払って屋敷に入り込んだと思わせて、まんまと屋敷から逃げ出すのである。

 で、浮浪者がローゲーを吐いたので、ソファが汚れ、それを交換することになって、早苗さんを入れたまま、黒蜥蜴の部下が家具屋に扮してソファを運び出し、トリック完成となる。

 しかし、ドラマでは、あまり綺麗な絵とは言えないので、大胆な改良が加えられている。

 早苗さんの部屋から物音がしたので、すぐ外の廊下に椅子を置いて番をしていた田村刑事と小林少年が立ち上がり、ノックをして、

 田村「変な音がしたんですが、どうかしましたか」
 声「いいえ別に」

 と明らかに早苗と別人の声が答え、続いてまたピアノの音が聞こえてくる。

 だが、二人は全く気付かず、椅子に戻ってしまう。

 
 無論、それは、早苗さんの衣装をまとった緑川夫人が代わりに弾いているものだった。

 早苗さんは既にソファの中に押し込められているのだ。

 
 文代「間違ったわ」
 岩瀬「珍しいことがあるもんだ」
 文代「さっきより荒々しくなったみたい……」

 明敏な文代だけは、急にピアノの弾き方が変わったことに気付くが、まさか別人が弾いているとまでは気付かない。そこへ、刑事が、さっきの運送屋が不良品を配達してしまったと言ってソファの交換に来たと知らせに来る。いかにも怪しいのだが、波越は全く気にせず、今度も運送屋ではなく、刑事たちに運ばせることで満足する。

 田村たちが早苗の部屋をノックすると、困ったことに、

 
 こんな顔した人がいけしゃあしゃあと現れる。

 緑川「はい、こんな格好でごめんなさい」
 田村「……」

 これが現実世界だったら、

 田村「あんた誰?」
 緑川「え、いや早苗ですけど……」
 田村「ふざけるな! 誰だ?」
 早苗「いや、その、だから早苗……」
 田村「いい加減にしろ! おばさん、誰? どこ? どっから入ったの?」

 などと言う心温まる会話が交わされ、緑川夫人は無事死亡と言うことになるのだろうが、これはフィクションであり、美女シリーズである。

 
 田村「あ、家具屋が、長椅子が不良品だそうで、取替えに来ましてね」
 緑川「あら、どうぞ」

 田村以下、パックをした緑川夫人の顔を見た刑事たちが、0.1秒たりとも疑わず、それを本物の早苗だと思い込んでしまうと言うイリュージョンが演じられることになる。

 刑事たちは、まるで本職の家具屋のようにテキパキと早苗さん入りのソファを運び出していく。

 
 緑川「ごくろうさまです。私、お風呂に……」
 小林「どうぞ」

 いや、小林君、「どうぞ」じゃなくてさぁ……(by明智)

 明智の引き立て役に過ぎない刑事たちはともかく、小林少年まで露ほども気付かないと言うのは、いくらなんでもありえない話である。

 ここは、明智さん方式にして、加山麗子さん自身が、早苗に化けた緑川夫人を演じるべきだったのではないか?

 そうすれば、明智さんに匹敵する変装の名人と言うことで、黒蜥蜴の株もグッと上がると思うのだが。

 その後、やっと明智さんが岩瀬邸に到着する。

 さすがに明智が面と向かえば、自分の年もかえりみずに早苗に成りすました緑川夫人の正体を見破ることなど造作もなかっただろうが、緑川夫人もそれを見越してか、風呂に入ってそれを防ぐ。

 PDVD_083.jpg
 岩瀬「早苗、変わったことはないか?」
 緑川「いーえー、別に」

 浴槽の縁に足を引っ掛けながら、脱衣所からの岩瀬氏の声に、精一杯キャピキャピした声で応じる緑川夫人。

 
 岩瀬「気をつけるんだよ、窓の鍵はかかってるか?」
 緑川「はいー」
 岩瀬「明智先生、早苗はこのとおり、間違いなくお風呂にいますよ」

 
 明智、少し気になる風だったが、さすがに父親の目の前で風呂場に踏み込む訳にも行かず、脱衣所から出て行く。

 ただ、そこには文代さんもいたのだから、念には念を入れて、風呂場をちょっと覗いてもらうということは出来たのではないだろうか?

 
 それはさておき、長居は無用とばかり、緑川夫人はパスタオルをきっちり体に巻きつけると、浴室から庭へ出て、塀を飛び越し、ちょうど早苗さんを詰めたソファを屋敷から運送中のトラックの荷台に飛び乗る。

 

 
 雨宮「マダム、うまくいきましたぜ」
 緑川「明智の悔しがる顔が見たいわ、はははっ」

 運転席の雨宮の言葉に、黒いマスクを外して高笑いする緑川夫人。

 
 その頃、岩瀬邸では、明智の指示で、岩瀬氏が家具屋に確認の電話を入れていた。

 岩瀬「なに、明日届ける筈? 妙なこと言うね、注文した品はとっくに届いているんだよ!」

 案の定、家具屋との話は食い違い、明智たちはまんまと一杯食わされたことを知るのだった。

 慌てて風呂へ確かめに行くが、当然、中は空っぽ。

 
 明智「黒蜥蜴だ!」
 波越「そんなバカな……」

 明智は、小林少年たちから話を聞くと、たちどころに黒蜥蜴のトリックを看破する。

 明智「長椅子ですよ、黒蜥蜴は最初に運んだ長椅子の中に忍んで、この家に入り、そしてその長椅子に早苗さんを入れて運び出したんですよ」
 波越「なぁるほど、やるなぁ、たいしたもんだなぁ」
 小林「警部、感心してる場合じゃないでしょう」

 
 明智「見事にやられた!」

 最初からその場にいなかったとはいえ、同じ相手に二度も出し抜かれるというのは、明智にしては珍しいことだった。

 一方、原作と違い、早苗さんは既に黒蜥蜴のアジトへ連れて来られていた。

 
 お嬢様にしてはかなりローライズのパンティーを履いた下半身から、

 
 剥き出しのおっぱいが映し出されるのだが、

 
 それを、脱ぎ女優ではなく、加山麗子さん本人が演じているのだった。

 原作では、早苗(と言っても替え玉なのだが)、船でアジトまで運ばれた後、パンティーまで没収されて、同じく全裸の美青年と一緒に檻の中に入れられるという屈辱的な目に遭うのだが、かわいそうに、ドラマでは美青年はとっくの昔に殺され、剥製にされているのだった。

 
 両腕を鎖でつながれて木の枠に吊るされた早苗さんのはかない半裸体を、三方から緑川夫人たちが無遠慮に見詰めている。

 
 緑川「早苗さん、とうとうあなたを手に入れましたよ。ふふふ、ここが私の自慢の美術館です」

 緑川夫人は、周囲の展示スペースに陳列してある、さまざまな人間の剥製を早苗に見せびらかし、

 
 最後に、剥製にされたばかりのあの美青年を紹介する。

 緑川「この青年はずっとあなたを待っていたの。あなたがこの右側に収まれば、愛の構図が完成するという訳」
 早苗「まあっ、私を剥製に?」
 
 
 緑川「そっ、完璧な標本を作るには、たっぷりと時間がかかるわ、まずクロロピクリン溶液に三日ほど漬けて、骨や内蔵や筋肉を抜き取って、構図を考えながら蝋を詰め、そして乾燥させる」
 早苗「なんのためにこんなことするの?」
 黒蜥蜴「人間の一生のうちで一番美しい姿のまま保存したいのです、これが私の美学です」
 早苗「……」

 自分のやっていることに何の後ろめたさも感じていない様子の緑川夫人の主張に、絶句する早苗。

 レクターも顔負けの、完全なサイコパスである。

 
 緑川「世の中にこれほど美しいものがあるでしょうか。おまけに世界の宝石で飾るのよ、この剥製たちのアクセサリーを見て! ルビー、サファイア、エメラルド……」

 緑川夫人、頬を少女のように桜色に上気させ、自分のコレクションの素晴らしさを語り、夢見るような眼差しになる。

 
 緑川「そしてあなたの額にはそう、世界最高のダイヤモンド、『エジプトの星』を嵌め込んで差し上げますわ。うふふふふっ、あっはははははっ」
 早苗「……」

 早苗の黒い髪をもてあそび、いかにも楽しそうに笑う緑川夫人の姿に、早苗は戦慄する。

 早苗の目には、緑川夫人が狂っているとしか思えないのだった。

 
 淡い夕暮れの中、少し霞んだ空気の中に屹立する高層ビル群。

 まだ建設中のビルもあって、実に良い「絵」になっている。

 明智探偵事務所では、三人が、事件を知らせるテレビニュースを見ていた。

 
 アナウンサー「(中略)捜査は難航しております。警視庁の波越警部は早苗さんは既に東京都内を離れ、黒蜥蜴の隠れ家に拉致されたものと見ています」

 
 その直後、再び黒蜥蜴から電話がかかってくる。

 緑川「早苗さんは確かに頂きました」
 明智「ああ、まんまとやられたよ」
 緑川「この勝負は私の勝ちね」
 明智「正直言って君の腕には舌を巻いたよ。しかし最後の勝負はまだ分からない。僕は必ず君を捕らえて見せるよ」

 
 緑川「大した自信ね、その自信があなたを魅力的にしているようだけども、残念ながらは私は決して捕まりませんからね」

 緑川はそう断言して電話を切る。

 文代「しゃくね、この夕焼けのどこかで黒蜥蜴が先生を嘲笑ってるんだわ」

 ここから、三島由紀夫の戯曲(?)をとりいれた幻想的なイメージシーンとなる。

 
 明智「夕陽が沈むと、やがて夜が来る、黒蜥蜴の世界が」

 
 黒蜥蜴「夜はわたくしのもの、男はみんな跪くのにただひとり歯向かう男がいる」

 
 明智「怖い女だ、黒蜥蜴は」

 
 黒蜥蜴「怖い男よ、明智小五郎は」

 
 明智「追っている私がいつの間にか追われている」
 黒蜥蜴「追われている私がいつの間にか追っている」
 明智「このままじゃあ、こっちの負けだ」
 黒蜥蜴「心を閉ざして戦わなくては」

 
 明智「美しすぎるぞ、黒蜥蜴」
 黒蜥蜴「かしこすぎる探偵、明智小五郎」

 最後に、イメージの世界の二人が向かい合い、

 明智「最後の勝ちはこっちのものだ!」

 黒蜥蜴「最後の勝ちはこっちのものよ!」

 美女シリーズ中でも極めて印象的な名場面である。

 その3へ続く。
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コメント

恐るべき黒蜥蜴

>虫も殺さぬような美貌と物腰の一方で、どんな猟奇殺人鬼にも真似できない残虐なことを易々とやってのける、こういう二面性が、黒蜥蜴の最大の魅力なのである。
復讐とかじゃなくて、完全に自分の「趣味」「趣向」ですからね。恐ろしい・・・

>幻想的なイメージシーン
この台詞の掛け合いは最高ですね!流石ジェームス三木先生。

>小林少年まで露ほども気付かないと言うのは、いくらなんでもありえない話である。
「美女シリーズ」の小林少年ってどうも見せ場が無い気がします。

Re: 恐るべき黒蜥蜴

> 復讐とかじゃなくて、完全に自分の「趣味」「趣向」ですからね。恐ろしい・・・

趣味でやってるのが良いですよね。

> 「美女シリーズ」の小林少年ってどうも見せ場が無い気がします。

結局、みんな明智さんの引き立て役ですからね。

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Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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