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横溝正史シリーズ2 「不死蝶」その1

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 前回から結構間が開いてしまった。

 「不死蝶」は横溝正史シリーズ2の第4作。全3回。監督は森一生、脚本は野上龍雄&米田いずみ。複数の脚本家が書いているのはシリーズではこの作品だけだ。

 原作は昭和28年執筆の同名小説。ただし、いま角川文庫で読めるのは昭和33年に長篇化されたものらしいので、全体的に文章に締まりがないのはその為だろう。オリジナル版も読みたいものだ。

 原作はマイナーな部類で、ミステリーとしてはそれほど面白くないが、メロドラマとしてはなかなか楽しめる。で、それを忠実に映像化した本作は、意外なことにシリーズ中でも屈指の名作になっている、と自分は思う。好みで言えば前回の「仮面舞踏会」の方が好きだが、ドラマとしての完成度では、これが一番だと思う。

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 さて、冒頭、黒いベールを被った謎めいた女性が、鍾乳洞の井戸の中へ落ちていく幻想的なイメージショットから入る。

 ルルルルールルーッと言う女性コーラスをバックに、竹下景子の声で、

 「わたしは帰ってきます。蝶が死んでも翌年にはまた甦るように……」

 23年前にある女性が残した文章が聞こえる。タイトルはここから来ている訳だ。

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 そして事件の発端となる依頼が、日和警部によって金田一の下宿へもたらされる。信州の射水(いみず)と言う架空の町に住む矢部杢衛と言う老人からのある人物の調査をしてくれと言う依頼だった。日和警部の先輩がその町の警察署長をしている関係で、日和警部がその仕事を持って来た訳だ。

 単なる身上調査などに興味のない金田一は断ろうとするが、同時に届いた金田一に対する警告状を見て、逆に闘志を掻き立てられ、一転して依頼を引き受ける。

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 汽車で現地へ向かう金田一。道路を並走するスポーツカーに乗っているのは、ヒロインである竹下景子である。

 ……言いたいことがあるが、やめておく。

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 金田一が矢部家へ着く前に、新聞記者の田代(山本紀彦)や、玉造康雄、矢部都(みやこ)と言ったキャラクターと出会う。

 矢部家と玉造家は射水の仇敵同士の間柄だが、それぞれの家の男女が恋仲になっていると言う、「ロミオとジュリエット」状態なのである。

 原作では康雄はブンガク青年的な感じだったが、ドラマではもっと行動力のある自動車整備士と言うキャラを江木俊夫が演じている。彼はさっさとこの町を出て、二人で東京へ行きたがっていた。

 また、田代からは、ちょうど今この町に鮎川マリと言うブラジルの大富豪の養女が滞在していると聞かされる。

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 で、やっと矢部家に到着。矢部家は射水町きっての素封家なのである。ドラマでは建材会社と限定されていたが、とにかく射水の主権者のような存在なのだ。

 そのライバルである玉造家は、原作では健在だが、ドラマではキャストとシナリオを減量するためか、既に没落して、今では先ほどの康雄しかいないという状態。

 金田一に依頼した当主の杢衛を演じるのは特別出演の小沢栄太郎。長男の慎一郎を山本昌平、その妻の峯子を岩崎加根子が演じている。その娘がさっきの都である。

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 と、峯子の兄であり、矢部家の番頭格の宮田文造が仕事から帰ってくる。

 峯子「東京から私立探偵が来たの」
 宮田「そうか、とうとう来たか。旦那もよせばいいのに、古傷をほじくり返せばみんなが痛い思いをするだけだ……」

 演じるのは植木等。助演男優賞をあげたいほど、良い仕事をしてます。

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 その晩、杢衛と宮田が、改めて金田一にいきさつを説明する。

 逐語的に書いていると長くてしょうがないので簡単に説明すると、23年前、慎一郎と恋仲になった玉造朋子と言う女性が、鍾乳洞の中で、慎一郎の弟の英二を鍾乳石で刺し殺したと目され、冒頭に掲げた遺書を残して井戸へ身を投げた。慎一郎は当時、峯子と婚約していたが、朋子と駆け落ちまでしようとしていたのだ。

 次男を殺されたことを今でも恨みに思っている杢衛は、朋子は死んだのではなく、抜け道を通って、教会の神父の助けを借りて海外へ逃亡したものと思い込んでいた。

 そして23年後の現在、ブラジルから鮎川マリがやってきた。そして彼女が伴っている母親・君江こそ、憎むべき朋子ではないかと、杢衛は言うのだ。

 ただ、君江はほとんど外出しない上、いつも黒いベールを被っているので素顔が分からない、そこで金田一に素性を確かめて欲しいと言うのが依頼の内容だった。

 宮田「金田一さん、あたしは正直言って半信半疑なんです。でもぉ、旦那様のお気持ち考えますとこのことははっきりさせといたほうが良いと思いまして……」

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 などと話していると、当の鮎川マリが屋敷へやってきて、明日のパーティーに出席してくれるよう言いに来る。奇しくも、明日は英二が殺された日にあたり、また、彼女が住んでいるのは元の玉造の別荘だった。

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 その翌朝、惰眠を貪った金田一の世話をしに、都がやってくる。都を演じるのは栗田ひろみさん。

 金田一は、庭で働いている頬に傷のある男について訊く。都は、昨日来た親戚の古林徹三なる男で、ここで雇って貰ったらしいと話す。

 また、都は、杢衛自身、過去に玉造の娘と恋に落ちたが、家同士の争いに引き裂かれたことがあると言う。ドラマではその相手は出てこないが、原作ではちゃんと存命である。

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 都「おじい様もその女の人も諦めたらしいけど、みんな馬鹿ね」
 金田一「そうかなぁ」
 都「違うの?」

 金田一「人間て言うのは、時代の中で生きてるもんだ。その時代の因習の中でそれぞれ戦ったり、憎んだりして、みんな一生懸命生きてきたんだから、馬鹿だなんて言っちゃいけないよ」

 自身、因習と時代に翻弄された人たちの悲劇を見てきた金田一だからこそ、吐ける台詞であり、ある意味、横溝正史シリーズを一言でまとめたような言葉である。

 その夜、玉造家でのパーティー。無論、金田一も列席する。

 オープニングは、

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 マリの召使・カンポによるマラカスダンスであった。

 これがまた妙に長いのだ。

 原作にもカンポと言う召使は出てくるけどね。

 演技が終わると、みんな拍手喝采する。なおカンポを演じているのはジョン・パームさんです(たぶん)。

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 杢衛もパーティーに来ていたが、彼の目的はあくまで、君江の化けの皮を剥がすこと。挨拶にも出てこない君江について、娘のマリにイヤミを言う。

 マリは母は具合が悪いと言っていたが、不承不承、家庭教師の河野朝子(松本康世)に君江を呼びに行かせる。

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 ちょうど屋敷の庭でいちゃついていた康雄と都、黒いベールをまとった君江らしい女性が鍾乳洞の中へ入っていくのを目撃する。

 都がそのことをパーティー会場へ知らせに来る。マリによれば、君江は夢遊病らしい。

 横溝正史は、夢遊病が大好き。

 で、鮎川マリや杢衛、都、金田一、新聞記者の田代や、警察関係者も含め、大勢で鍾乳洞へ君江を探しに行く。

 そう言えば、田代は、原作では確かマリの知り合いのプロテニスプレーヤーじゃなかったっけ? 原作はあまり読み返していないので覚えてないや。

 そして最後、杢衛は23年前と全く同じに、鍾乳石を胸に突き立てられて殺されてしまう。

 第2回へ続く。


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Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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