第15話「通り魔に夫の出世を賭ける妻」(1983年11月18日)
実に2ヶ月以上ぶりのハングマンのお時間です。
今回の話、キャプした後で、あんまり面白くないことに気付き、スルーしようかどうか迷ったのだが、せっかく苦労してキャプしたのだからと、一応取り上げることにしたものである。
冒頭、都会の雑踏の中を、異様な、据わった目つきで歩いている佐川と言う中年男。

歩道橋に上がり、手すりに凭れ、いかにも尾羽打ち枯らしたと言う様子だったが、ふと、そばを通り過ぎたサラリーマン風の男性に気付くと、その後についていく。

男性がガード下のトンネルをくぐりぬけたところで、佐川は、内ポケットから柳刃包丁を取り出し、雄叫びを上げながら男性に襲い掛かる。
その体に何度も包丁を突き刺し、相手が倒れてもなお攻撃をやめようとしない佐川。

その目は、完全な殺人鬼の目だった。
演じるのは色んなドラマに出ているベテラン江藤漢さん。
特撮ファン的には、翌年の「星雲仮面マシンマン」のコミカルな編集長役が思い浮かぶ。

この、明るく楽しい編集長が、

これだもんね。
その落差に唖然としてしまう。
佐川は近くにいた通行人にも手当たり次第に斬り付け、何人もの人間の命を奪った挙句、駆けつけた警察に取り押さえられる。
続いて、今度は別の男がとあるサラ金を訪れ、社長を始め、その場にいた者を片っ端から斧で斬り殺すと言う凄惨な事件が起きる。
のっけから大量無差別殺人二連発と言うヘビーな幕開けに、かなり期待したのだが……。

東京モノレールの上で、チャンプと園山が仕事の話をしている。
園山「この記事読んだかね、最近続けて起きた無差別大量殺人、こいつの裏を探ってもらいたいんだ」
チャンプ「これの裏探れって、これ、二人とも犯人捕まってますがな。それに犯行当時は心神衰弱状態で、無罪になるっちゅう話やおまへんか」
園山「ところがね、何のつながりもないと思えるこの二人の犯人に共通したものがあるんだよ。GODはね、これはただの無差別殺人ではない、陰で何か動いてる、こう見ておられるんだ」
チャンプ「すると、無差別殺人は偽装やと?」
チャンプは依頼を引き受けるが、今回は既に犯人が逮捕されていて調査するのが困難だと言うことで、最近では珍しく600万(あるいは700万)と言う高めの報酬だった。
アジトに戻ったチャンプは、ただちにメンバーに事件の概要を説明する。
スライドに、凄惨な大量無差別殺人の現場写真を映し出してメンバーをヤな気持ちにさせてから、
チャンプ「これが路上殺人を行った佐川だ、ドヤにすんどる労務者や。これがサラ金襲撃の中井、アルミ工場の行員、いや、妙なのはな、二人とも事件を起こしよる二週間前から姿を消し取ったちゅうことや」

ET「全く空白なんだな、その二週間」
チャンプ「二人とも記憶がないらしいんだ」
マリア「だけど、たまんないわよね、殺された方は」
他に、二人とも腕に注射痕が認められたが、覚醒剤などの薬物ではなく、麻酔の跡ではないかと言う。
チャンプ「中井も佐川も最初からターゲットは一人やった、ところが人が騒ぎ出した為に結果的に無差別殺人のように見えた、GODはそんな風に考えてはる訳や」
ET「なるほど」
チャンプ「サラ金の社長の方は、ぎょうさんの人間に恨みをこうとるやろから皆目見当つかんけどな、問題はこのおっさんや」
と、チャンプは幸せそうな夫婦の写真をスライドに映す。佐川に最初に殺された吉田と言う男性とその妻・英子である。

チャンプ「タサカ貿易の超エリート社員、大変有能な男で、次期ロサンゼルス支店長の椅子は目前やったそうや」
ET「殺しを依頼した奴がいるって言うのか」
チャンプ「そう言うことだ、さて、死んで得するのは誰か」
と言う訳で、ハングマンはまず、吉田と言うサラリーマンの遺族に当たることにする。
それにしても、サラ金の社長の方は、恨みを買い過ぎて犯人の見当がつかないからって、何の調査もされないのは可哀想過ぎる。調査の難易度と言う現実的な問題もあるだろうが、当時のサラ金に対する世間の風当たりの強さを反映しているとも言えそうな扱いである。
ETとマリアが社員寮に行くと、ちょうど吉田の遺族が引越しをしているところだった。夫が殺されたので社員寮からも立ち退かなければならなくなったのだ。ETは、マリアに周辺の聞き込みを任せ、自分は例によって雑誌記者を名乗って吉田未亡人・英子に近付く。
ET「奥さん、失礼なことをお伺いしますが、ご主人とは週何回セックスしてました?」 じゃなくて、
ET「奥さん、失礼なことをお伺いしますが、ご主人が亡くなられて一番得をするのは誰ですかね」
英子「どういうことです」
ET「金銭的に、たとえば、保険金とか、遺産相続とか」
英子「保険金はたった500万しか入っていません、主人の方の田舎の財産も大したことありません」
ET「会社はどうです、派閥争いとか、重役の椅子を巡る競争とか」
英子「会社のことは私、良く分からないんです」

美佐「奥様……」
英子「相沢さん、長い間お世話になりました」
美佐「いいえ、私のほうこそ……ご実家の方へ行かれるんですか」
英子「ええ、とりあえずそこに」
美佐「あのぉ、これみんなで出し合ったんですの、お見舞金なんてほどのものじゃないんですけど」
英子「いいえ、そんなこと……」
英子は遠慮するが、相沢美佐と言う女性は、半ば無理矢理、その封筒を英子の手に握らせる。
美佐「ほんとに旦那様、あんな通り魔みたいな奴に……私、まだ信じられませんわ」
美佐、改めて吉田の突然の奇禍を、鼻をつまらせ、涙を流さんばかりに嘆いてみせる。
吉田親子が行った後、ETはさりげなく相沢美佐に話しかける。
ET「つらいでしょうねえ、こんな時の遺族って言うのは」
美佐「ええ、私もつらくてつらくて……」
だが、その後、社員寮の奥さんたちから情報を集めてきたマリアと合流したETは、彼女に関する意外な
側面を聞かされる。

マリア「吉田さんが死んで一番得するのは相沢って部長だそうよ。その奥さんが凄いきつい人」
ET「きつい人って……たった今、その相沢夫人手人に会って来たよ。涙ながらに吉田夫人を励ましてみんなから集めた見舞金を渡してたぜ」
マリア「みんなから集めた? おかしいわねえ、会社から見舞金が出たからみなさんやめたって言ってたけど……」
ET「確かにおかしな話だなぁ」
見舞金を集めておいて自分の懐に入れると言うのなら、単なるガメつい女だが、逆に、集めてもいない見舞金を遺族に渡すというのはどう言う料簡だろうと、二人とも首を傾げる。
実際は自分ひとりの出した金だが、相手が受け取りやすいようにそんな嘘をついたとも考えられるが、どうも、近所の評判を聞く限り、相沢美佐はとてもそんなことをするような女ではないようなのだ。
話は一転、公園のベンチに、石山と言う酔っ払いの浮浪者がいた。

演じるのは、これまた1年前の「大戦隊ゴーグルファイブ」では、ゴーグルイエローの生き別れの父親を演じていた森章二さん。

と、そこへ現れたのが、人相の良くない二人組の見知らぬ男。
左側は、「ハングマン」に小悪党役でちょくちょく出ている塩見三省さん。右側の人も、ようく見る顔だが、名前が分からない。
彼らは警察手帳を見せてから、小山を居酒屋へ連れて行き、散々飲み食いさせる。
小山はてっきり彼らが何か重要なネタを知りたがって、それでご馳走してくれるのだと浅はかなことを考え、遠慮せずに好意を受ける。
良い気分に酔い潰れた小山を後部座席に放り込むと、二人は車を出す。
だが、前方に警察の検問を見て急に道を帰るところを見ると、彼らは本物の刑事ではないらしい。
一方、マリアは美佐の通っているエアロビ教室に潜り込み、彼女と親しくなる。

美佐「若い方、良いわね、私、疲れちゃって」
マリア「奥様だってまだ若いじゃありませんか」
美佐「何言ってんのよ、私もう三十過ぎよ」
前回、あれだけ強烈なエロスパワーが炸裂したというのに、その反動か、今回はそっち方面がからっきしである。せいぜい、このマリアの豊満な胸くらいしかない。

マリア「でも奥様、体の線がとっても綺麗ですわ。私二十代かと思ってました」
美佐「えっ、やだわぁ、うふふふ……」
お世辞と分かっていても嬉しくなった美佐、マリアに、近々夫がロサンゼルス支社に栄転になるのだと教えてくれる。
美佐「人間なんて何処に運が転がってるか分かんないわねえ。でも……」
マリア「でも、どうなさったんです?」
美佐「あ、あっ、なんでもないわ」
幸せの絶頂にありながら、時々美佐の面上をよぎる翳りのようなものが気になるマリアだった。
単に、他人の不幸と引き換えに得た自分たちの幸運に、気が差すのか、それとも……?
マリアの調査で、相沢に、正式にロス支店長への辞令が出たことが分かり、今度はチャンプがその相沢に接近を試みる。
夕方、これから祝賀会をやるという相沢が部下たちと一緒に会社から出てきたところへ、無遠慮な大声を立てながら駆け寄り、

チャンプ「相沢さん! このたびはありがとうございます!」
相沢「いやぁ、ありがとう。……しかし、あなた、どなた?」
チャンプ「なぁにを言うてはりまんねん、水臭い、ワイですがな、ワイですがな、任せなさい!」
さすが、厚かましさでは余人の追随を許さないチャンプ、全くの初対面のグループの中に飛び込み、あっという間にその主導権を握ってしまう。

チャンプ「相沢さん、ロスの支店長就任、おめでとうございます」
相沢「しかし、これで三軒目だろう、乾杯疲れしちゃったよ」
チャンプ「いやー、乾杯ってのは何回してもええもんやおまへんか、ねえ?」
次の場面では、早くも三軒目の店に来ており、チャンプは相沢のそばに座り、まるっきり、祝賀会の幹事気取りであった。
全く見ず知らずの人間たちの中に溶け込んで、店を三軒はしごしても、まだ赤の他人だとバレないという、これは立派な才能である。

チャンプ「いや、あの、こんな席でなんですけどね、なくならはった吉田さんにはえらいお世話になってましてねえ」
相沢「うん、不幸な災難に遭われた吉田君にはほんとに気の毒だと思う。僕の良きライバルだったんだが、みんな、彼のご冥福を祈りたい」
チャンプが吉田の名前を出すと、相沢もにわかに真面目な顔になり、その場のみんなを促して黙祷するという、殊勝な真似をしてみせる。
その辺のわざとらしさは、わざわざ見舞金を出して慰めた相沢夫人と、相通じるものがあった。
チャンプはみんなが神妙にしているのに、平気で唐揚げを頬張りながら、
チャンプ「うん、こりゃうまい、なかなかスパイスがきいとる。しかし、吉田さんもえらい災難でしたな、しかし、そう言うたらなんですけど、そのお陰で相沢さんは支店長言うことに……」
相沢「おい、君、やめてくれ、そういう言い方は、僕だって驚いてるんだ、彼の死には……まさか、こんなことには」

チャンプ「えらいすいません、しょうもないこと言うて、お詫びのしるしに、あのー、カラオケで、都会的ムードで一曲歌いまひょ、あ、Gの65……夜がつめたぁぁぁい~心が寒い~♪」
それのどこが
「お詫びのしるし」なのか不明だが、チャンプは立ち上がると、カラオケで気持ち良さそうに「旅笠道中」を歌い上げるのだった。
だが、相沢はチャンプの歌声など耳に入らない様子で、むっつりと押し黙って沈んだままだった。
性豪チャンプは、翌朝、ダミーの旅行会社に出勤して加代子のおっぱいを揉み倒してから、アジトでETたちと落ち合う。

ヌンチャク「調べたら、相沢雄一は路上殺人の2週間前、自分の口座から300万と200万の現金を引き出しています」
ET「500万か」
マリア「犯人の佐川と直接会った様子は?」
ヌンチャク「全くありません」
チャンプ「引き出したのはどっちや」
ヌンチャク「妻の美佐の方です」
どっちが引き出したかまで、良く分かったな、ヌンチャク!
マリア「その奥さんが見舞金と称して自腹でお金を渡した」
チャンプ「引っ掛かる夫婦やなぁ、いや、旦那の相沢の様子もおかしいのや。なやんどるみたいやしな」
ET「ようし、当たってみよう」
一方、人家のない山の中にぽつんと建つ徳丸クリニックと言う精神病院があった。
ある夜、建物の窓を突き破って、拘束服を着せられた男が脱出を図るが、あえなく周辺の森の中で見付かって、看護士に連れ戻される。
そして、その拘束服の男こそ、酔っ払いの浮浪者・石山であり、看護士の中には、あの人相の悪いニセ刑事二人の姿もあった。
さて、ハングマンは本格的に相沢夫妻を叩いてみることにして、ETが面識のある美佐を食事に誘い、マリアの方は、ホステスを装って一方的に相沢に電話を掛けて、これまた会う約束を取り交わす。
相沢夫妻、夫婦仲がうまくいってないのか、夫も妻もあっさり浮気の誘いに引っ掛かって、同じ駐車場にノコノコやってきたところを、ETたちに取り囲まれる。

相沢「なんだ君たちは」
ET「ちょっとお尋ねしたいことがありましてね」
相沢「おかしなことをすると、訴えるぞ、警察に」
ET「出るところに出られる立場ですかねえ?」
相沢「……」
ET「こっちには分かってるんだ、殺しの依頼だよ。ライバルの吉田さんの……頼んだんだな?」
ETが正面から切り込むと、夫婦は青褪めた顔で押し黙り、手に手を取ってその場から逃げ出す。自ら罪を認めたのと同じことであった。
が、ヌンチャクが車で追いかけ、あえなく駐車場の壁際に追い詰められる。

相沢「無差別大量殺人……まさかあんな大事件になるとは思ってもみなかったんだ」
美佐「私たち、ただ、吉田さんをレースから外して貰えるって聞いて」
元々、根っからの悪人と言うより、強欲な小心者に過ぎない二人は、ハングマンが強く脅すまでもなく、自分たちからベラベラ経緯を話してくれる。
プールで泳いでいた美佐に、見知らぬ中年男性が出し抜けに話し掛けて来たのだが、それが先程出てきた徳丸くんだったのだ。
徳丸「奥さんのところも大変だ。ロス支店長のポストはやはり吉田さんに決まりそうですよ。そうなるともう日は当たらないな、敗残者だ。奥さんの夢なんでしょう、ご主人が栄転してロサンゼルスで暮らすのが」
美佐「あなた、何処の誰なんですか」
徳丸「奥さん、お役に立ちましょうか」
美佐「どう言う風に?」
徳丸「吉田さんをレースから外すんですよ」
美佐は夫にそのことを話し、結局徳丸に依頼することになり、二人は、向こうが差し向けた車で彼の病院らしき建物に連れて行かれたと言う。
もっとも、車に乗るとすぐ目隠しをされ、それを外したのは徳丸のいる部屋に入ってからなので、二人は病院の場所も、名前も、外観も一切知らないのだった。無論、徳丸と言う名前も。

徳丸「やあ、良く来てくれましたね、お金は持ってきてくれましたか」
美佐「……」
徳丸「うん、これで商談は成立だ」
美佐「ほんとに、吉田さんの代わりにロスの支店長に?」
相沢「まさか、詐欺じゃないだろうな」
徳丸「信じて貰いましょう、約束どおり吉田さんがレースから外されたら、残りの200万を集金に伺います。よろしいですね?」
こうして約束どおり、吉田は徳丸の仕組んだ大量無差別殺人の犠牲者のひとりとして、出世レースはもとより、人生と言うレールからも蹴落とされたのだった。
ET「吉田さんの奥さんに渡した見舞金はせめてもの償いつもりだったんだな」
美佐「……」
ET「しかし、偽の医者じゃないのか、そいつは?」
美佐「いいえ、あの部屋と言い、しみついたホルマリンの臭いと言い、間違いないわ」
すっかり自分たちの行いを悔いた相沢夫婦は、ハングマンの問い掛けに、徳丸のところへ連れて行かれた夜のことを出来る限り思い出し、病院の所在地を特定する手掛かりを提供する。

石山「ひぃぃ、やめてくれぇ、これだけはやめてくれぇ~」
徳丸「何べん逃げても無駄だぞ、じゃ、いいね」
看護士「はい」
徳丸「これは一種のショック療法だ」
石山「やめて、やめて……」
徳丸「お前みたいな社会の役に立たない、クズみたいな人間にはうってつけだ。これをあと数回やれば、完全に私の言いなりになる」
石山「……」
その徳丸クリニックの、「悪の組織」のアジトのような部屋では、拘束服を着せられた石山が電気椅子のようなものに座らされ、頭に電極のようなバンドを嵌められ、何か特殊な「処置」をされていた。
ま、特撮ヒーローではよくある、洗脳装置のようなものであろう。
つまり、今回の犯罪は、「怪奇大作戦」の「狂鬼人間」と同じく、人工的に狂人を作り出し、それによって人を殺させるという、巧妙かつ卑劣な犯罪だったのだ。
「狂鬼~」では、狂人になっても元に戻れるが、こちらは狂人のまま、と言うより、廃人同然にされてしまうのだから、一層タチが悪いと言える。しかもその被験者にされるのは、依頼とは何の関係もない石山や佐川のような人間なのだから、ますますもってひどい話である。
さらに、それを、正義の人・タケナカ参謀が主導しているというのが、なかなかのインパクトである。
しかし、キチガイによる無差別殺人と見せかけてターゲットを殺すというのは、「ハングマン2」でもやってたよね、確か。あちらは覚醒剤中毒患者だったっけ?
さて、ETとヌンチャクは、相沢夫婦から得た情報を元に、甲州街道を走り、割と簡単に徳丸クリニックを発見する。
この辺のあっけなさも、今回のストーリーのつまらなさの一因である。
ちなみにETは、ヌンチャクに車で待たせておいて、単身、侵入を図るのだが、

徳丸クリニックとして使われているのが、管理人がレビューを書く時に毎週のように見ている、70~80年代の特撮でお馴染みのクリーム色の建物なのだった。
ETは易々と建物内部を探索し、さらに、徳丸たちが、嫌がる石山に無理矢理注射をしているところを目撃する。

具体的にどんな薬を打たれているのか不明だが、何度も薬物を投与され、電気ショックを与えられた石山は、すっかり呆けたような顔になっていた。
今、この手の表現はテレビじゃ無理だろうなぁ。

徳丸「いいか、この男の顔をようく覚えるんだ、お前はこの男を殺さなければならない!」
その上で、徳丸は年配の男性の顔写真を石山の腐りかけた脳に刻み込み、具体的な殺害方法もレクチャーする。
また誰かから注文を取って、その男を殺さねばならないことになっているのだろう。
ET、職員に発見されて追跡されるが、無事に脱出してヌンチャクの車に戻る。
東京に戻ったETは、仲間たちに徳丸の所業を説明する。

ET「街で見かけてきた男を、ショック療法で心身を半ばイカれさせ、その上で催眠療法で洗脳して、冷酷無残な殺人鬼に仕立て上げる。殺しは自分たちでやってないから、あとは野となれ、山となれと言う訳だ」
ヌンチャク「直接手を下すよりもっとタチが悪いっすよ」
チャンプ「どう言う男や、その徳丸っちゅう医者は?」
ET「優秀な精神科医らしい、だが、彼の治療法はあまりに危険が多過ぎ、とかくの批判がある。現に彼のやりすぎの治療によって犠牲になった患者の家族から訴えられ、莫大な補償金を支払わされたりした」
マリア「そのお金を払う為に考え付いたのね、リモコン殺人」
犯罪の構図は明らかになった。こうなれば、徳丸たちをハンギングするだけである。

徳丸たちは、建物の外側の階段のところで、マネキン人形を使ったリハーサルを行っていた。
レールに乗せられた人形の顔には、大きな顔写真が貼られており、他の人間だと何の反応も見せなかった石山が、さっきの年配の男性の顔を見るなり、狂ったように……って、もうとっくに狂ってるんだけど、金属バットでその顔をボコボコにする。

徳丸「ようし、ようし、よく飲み込んだ、それでいい、それでいい」
部下に石山を取り押さえさせ、まるで調教した犬を誉めるように石山を誉める徳丸くん。
と、そこへ、どこからともなくETたちが現れ、あっという間に徳丸たちをぶちのめし、捕まえる。
しかし、徳丸クリニックは、侵入者があったばかりだと言うのに、全然外部からの侵入を警戒してる様子が見えないのはいささか解せないし、物足りない。

なお、格闘シーンで、マリアが、タイトスカートの裾を引っ張ってから、

思いっきり看護士を蹴り上げるシーンがあって、その際、パンストごしだが、一瞬、下着が見えている。
管理人、前々から、パンストをこの世から撲滅したいと思っているのだが……。
ちなみに、可哀想な石山さんは、これっきり物語からフェードアウトしてしまう。
彼は純然たる被害者なのだから、台詞だけで良いから「あの男はちゃんとした精神病院へ預けたよ」みたいなフォローが欲しかった。
ところで、今回のストーリーがつまらないのは、色々要因があるが、この石山さんの扱いもそのひとつだと思う。結局、彼氏、徳丸たちの悪魔のような犯罪を視聴者にビジュアルでわすりやすく示す為のサンプル以外の、何の存在意義もないまま終わっているのである。
石山については、視聴者は、何のデータも背景も教えられていないので、感情移入のしようがない。
私見だが、石山は元々チャンプかETの知り合いだったが、運悪く徳丸たちに捕まって洗脳され、無差別殺人をさせられ、その事件を知ったメンバーが義憤に駆られて事件の裏を調べようとする……と言う風にしておいた方が、石山の存在意義も出てくるし、謎解きの面白さも倍増し、ストーリーもよりドラマティックになっていたと思う。
しかるに、本編では、のっけから園山の口から視聴者に、これがただの無差別殺人ではなく、裏に巧妙な犯罪が隠されているということがバラされてしまっている。これじゃ、面白くないよね。
さて、ハングマンはその場で直ちに徳丸たちをハンギングするのだが、

徳丸「や、やめろ、いったい何をするつもりだ? 君たち、暴力はやめなさい」
チャンプ「暴力はやめなさい? おのれはなんじゃい、こりゃ、ええっ、植物人間作りあげやがって、フランケンシュタインのつもりか、このドアホがっ」
これまた予想通り、あの洗脳装置に徳丸たちを座らせて、彼ら自身に電気ショックを味わって貰おうという、独創性のカケラもない方法が採用されていた。

ま、佐原さんの面白顔と言う、珍しいものが見れるのだけが収穫であった。
ETは一旦スイッチを切ってから、

ET「では話して貰おうか」
チャンプ「おい、院長よ、そもそもお前なんでこんなこと考え出した?」
徳丸「これは人間頭脳の開発だ、偉大な発明なんだ」
マリア「その研究を利用して人殺しに使ったのね」
徳丸「違う、私はそんなことしていない……」
なおも頑強に否定する徳丸だったが、より強い電流を浴びせられると、部下の看護士たちが次々白状し始め、最後は徳丸も罪を認めるのだった。
徳丸たちはショックのあまり気を失い、次に目覚めると、引き続き洗脳装置に縛り付けられていたが、部屋は真っ暗で、ETたちの姿は消えていた。
同じ頃、ハングマンからの招待状を受け取った吉田の妻・英子が指定されたビルの入り口のところをうろうろしていた。

英子「何があるんでしょう?」
男「さあ、私は妙な手紙に呼び出されまして」
英子「もしや、あなた、渋谷のガード下の事件の?」
男「ええ、兄があの無差別殺人に巻き込まれまして」
英子が、近くにいた人に話し掛けてみると、彼らも事件の被害者の遺族であることが分かった。
つまりハングマンは、無差別殺人の被害者の遺族全員に招待状を出した訳で、招待客の数としてはシリーズ最多記録だろう。

ビルの前には、大きなトラックが乗り捨てられていて、そのうちビルの関係者が騒ぎ出す。
と、トラックに付いているスピーカーから、助けを求める徳丸たちの声が聞こえ始める。

続いて、トラックの荷台の扉が、ガルウィングのように左右に割れて上がり始める。

荷台には、洗脳装置に座った徳丸たちの姿があった。
そう、彼らは眠っている間に椅子ごと荷台に運ばれ、ここまで連れて来られていたのだ。
こうして、開放型マジックミラー号上の人となった徳丸たち。
続いてスピーカーから、さっきの罪を告白したテープが大音量で流れ出し、徳丸たちは企画系女優さんたちよりもいたたまれない、恥ずかしい目に遭うのだった。
英子たち遺族に激しく罵られる徳丸と看護士が汗だくになって必死で否定する中、数台のパトカーがやってきて、ハンギングは終了する。
なお、別の車の中には手錠をかけられた相沢夫婦の姿もあった。
考えてみれば、彼らは徳丸がそこまで非道なことをするとは知らずに金を払ってしまった訳で、ある種の被害者といえるかも知れない。身から出た錆ではあるが。
ちなみにサラ金事件の依頼人の方が野放しになっているのは不公平のようだが、おそらく、徳丸の自供でその依頼人も断罪されたことだろう。
ラスト、すべてを見届けたハングマンたちがそれぞれの車で去っていくところで、終わりとなる。
以上、つまらないという割りに妙に長くなってしまった15話でした。
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