(※この記事は、2015年4月に執筆した記事を再構成したものです) そう言えば、6月、いよいよブルーレイボックスが発売となりますねえ。
これでまたファンが増えると嬉しいですねえ。
……と言う訳で、久しぶりの「美女シリーズ」のお時間です。 気付けば、前回から2ヶ月経ってしまいました。今回紹介するのは、第11弾、1980年4月12日放送の
「桜の国の美女~黄金仮面2」であります。
言うまでもなく、第6弾「妖精の美女~黄金仮面」の続篇に当たりますが、乱歩の原作に「黄金仮面2」なんてのがあるわけじゃなく、そのキャラクターを使っただけの、オリジナルストーリーであります。
シリーズ後半、原作と懸け離れた内容の作品が目立つようになりますが、タイトルとキャラを借りただけで、完全なオリジナル脚本と言うのはこれ1作きり……と思ったけど、第15弾「鏡地獄の美女~影男」もそんな感じでしたか。
前置きはこれくらいにして、いざ参る(今回はやたら長いのだ)。

「黄金仮面」「パノラマ島」と同様、明智さんの視聴者への語りで始まる。
明智「皆さん、明智小五郎です。またお目にかかります。……黄金仮面、皆さんはその名前を覚えてらっしゃいますか。三年前我が国に潜入した彼は……」 と、「妖精の美女」のハイライトシーンを織り交ぜながら、明智がストーリーを概説する。
「……その後二人は死んだと言う情報が伝わりましたが、私はそれを信じませんでした。黄金仮面は不死身だからです。そして私は待ち望みました、好敵手と再びあいまみえる日を! 皆さん、その黄金仮面は久しぶりに東京に現れたのです」 
ビルの屋上に立って、「はははははははっ、はははははっ、ははっ、うっ、げふっごふっ(むせた)、うはははははっ」と哄笑し、犯罪予告のビラを撒く黄金仮面。
それは、ニュー白銀ビル、近世フランス絵画展の「ルノアールの裸婦」を頂戴すると言う予告状だった。
OP後、例によって暇を持て余した波越警部が明智事務所を訪ねる。
明智は待ちかねたように、黄金仮面から貰った自分宛の予告状を見せる。

文代「つまり挑戦状って訳ね」
波越「受けて立つんだろうね」

明智「勿論!」
波越「ありがたい、じゃあね、君に是非紹介したい人がいるんだよ。黄金仮面逮捕の為にフランスの国際警察から派遣されたジェラール・アベ警部だ」
明智「アベ? 日本人ですか」
波越「いや、親父はフランス人なんだけどね、お袋は日本人のハーフなんだよ。今日成田空港へ着くんだけどね。君、付き合ってくれないか」

空港でジェラールを出迎え、三代目ルーチェ(覆面パトカー?)でホテルへ移動する三人。
ジェラールを演じるのは、大月ウルフ。ウルフ氏自身、ロシア人の男性と日本女性の間に生まれた人である。
ジェラール「黄金仮面に奪われたフランス名画の被害はヨーロッパ全域に及んでます」
明智「彼の犯行は一年前からと聞きましたが」
ジェラール「はい、それが何か?」
明智「彼には不二子さんと言う日本女性がいる筈です。彼女がそばにいながら、どうしてまた盗みを始めたのか……それが分からないんです」
不二子さんは1作目で黄金仮面と相思相愛になり、最後は一緒に海の彼方へ消え去った女性で、由美かおるが演じていた。
波越「明智君、雀百まで踊り忘れずって言うじゃないか」
ジェラール「雀百まで? なんですか」
波越「つまりそのう、チーチーパッパッ、ねえ、ワンハンドレッドイヤーズオールド、ドントフォゲット、ダンスウィズミー、えーっ、かはっ細かいことはね、よそう!」
明智「……」(聞いてない)
ジェラール「……」(聞いてない)

翌日、白銀ビルへ赴き、ビルのオーナーであり「ルノアールの裸婦」の持ち主でもある、付き合って損はない大金持ち、白銀氏と初対面する明智たち。
白銀氏を演じるのはベテラン宇佐美淳さん。特撮ファン的には「ミラーマン」「キョーダイン」などがすぐ思い浮かぶが、管理人が最初にこのドラマを見た時には、まだ「ミラーマン」「キョーダイン」などは見たことがなかったので、何も思い浮かばなかった(当たり前だ)。

秘書の浅沼由貴と言う美しい女性が、三人に紹介される。白銀氏からよほど信頼されているらしい。
由貴を演じるのは田中麻里(真理)さん。

白銀氏は、特別客を招いてのセレモニーがあるとかですぐ席を外す。
波越「黄金仮面が狙ってくるのは今日じゃないなぁ。一般公開になってからだな」 明智「いや、今日です」
波越「うんーっ?」
明智「間違いなく」
ジェラール「その通り、今日のオープン日逃がすことは彼のプライドが許しません」
波越「う、うん、そうなんだよ、今日なんだよ、今日以外には考えられないんだよ」 毎度毎度のお楽しみ、波越警部のひとり漫才は今回も絶好調!

由貴(スルーして)「テープカットの時間です」と、社長室にあった小さなモニターテレビをつける。

ちょうど、テープにはさみを入れる白銀氏の娘、花子の美しい姿が映し出されていた。
演じる古手川祐子さん、撮影時、二十歳そこそこの若さである。

ジェラール、花子を見て我を忘れたように「桜……」とつぶやく。
明智「えっ、なんて言いました?」
ジェラール「いや、私、日本の美しい女の人を見ると、桜の花を思い出すんです」
由貴「社長令嬢、花子様です」

由貴「会場の中央にあるのが、『ルノアールの裸婦』です」
波越「はぁー、太ってるねえ、しかし」 名画を見てこんな素朴な意見が言える人も、波越警部くらいのものだろう。

会場には、受付として文代さんと小林少年も来ており、油断なく目を光らせていた。
小林「それらしい奴は、見掛けませんでしたね」
文代「油断禁物、勝負はこれからよ」
絵画展だからベレー帽と言う発想が安易過ぎて可愛い文代さん。
モニター越しに平穏無事に進む展示会をまったりと見ている波越たち。そのうち由貴が「絵の方をゆっくり拝見してなかったものですから」と、断って会場へ移動する。

やがて、別室で催されるパーティーに白銀の部下が招待客を誘導し始める。
入れ替わりに、花子と由貴が展示室へ入ってくる。
由貴「私がお嬢様に絵の解説をお願いしたんです。5分間だけ、ね、課長」
課長「じゃ、急いでね」
二人が「裸婦」の前に立って、あれこれ絵について語り合っていると、背後から警備員がひとり近付いてきて、「すみません、お時間です」

何気なく振り向いた二人の眼前に、あの黄金仮面のマスクが!
黄金仮面はすぐピストルを花子に突きつける。

直後、二人を呼びに来た課長、状況を把握すると、
「なんだぁ~黄金仮面だぁ~!」と、ナイスリアクション。
展示室の入り口に、白銀氏やジェラール、波越たちが押し寄せるが、令嬢を人質に取られているのでそれ以上近付けない。
黄金仮面は由貴に命じて「裸婦」を下ろさせる。
その隙に飛びかかろうとしたジェラール、肩に銃弾を浴びて倒れる。

由貴「警部さん、5分以内に警戒を解かなければ、私もお嬢様も、殺すって言ってます」
波越「ま、待て!」

と、彼らの背後から落ち着いた声で「怪我人は何処ですか?」と、手術の支度をした医者と看護婦が現れる。
波越「黄金仮面、怪我人の手当てだけさせてくれ。頼みます」
医者が何気なくジェラール警部に近付こうとすると、黄金仮面の鋭い声が飛ぶ。
黄金仮面「止まれ!」
医者「私は医者ですよ」
黄金仮面「そこまでだ、明智君!」 
黄金仮面の言葉に、思わず顔を上げる医者、そう、紛れもなく明智の変装だった。
ただし、それまでの台詞は別の役者が声をあてている。

看護婦の方は、当然、文代さん。
こんな非常時にピッタリの変装道具一式が用意されていたと言うのはさすがに説得力がないが……。
しかし、実はこの時の黄金仮面はニセモノなのだが、それが一瞬で明智の変装を見破るというのは後の展開と照らし合わせると、ちょっと解せない感じ。

黄金仮面「下がりたまえ、そうでないと、ジェラール警部とお嬢さんの命はないよ」
明智は潔く変装を解いて、
明智「黄金仮面、いや、ムッシュー、ロベール・サトウ、3年の間に君の手口は銀行ギャングなみに成り下がったのか?」 と、好敵手の「堕落」を目の当たりにして、嘆かわしそうに吐き捨てる。
黄金仮面「君らの警戒が見事な為に、非常手段を取った。さ、警戒を解かなきゃ撃つ!」
改めて、花子の頭に銃口を突きつける黄金仮面。
白銀氏としては当然、名画より娘の命が大事と言うこともあり、しぶしぶ、波越たちは指示に従う。明智も、怪我をしているジェラールを気遣いながら展示室から出て行かざるを得なかった。

黄金仮面は、花子を人質に、名画を持ってすたこらさっさとビル内を逃げ回る。
警察から逃げながら黄金仮面は屋上へ上がるが、花子はその間に縛られてトイレに放置されていたのを文代さんに見付けられる。

黄金仮面は、予め用意していた鉤爪のついたロープをボウガンのようなもので発射し、向かいのビルの手摺に絡ませる。

そしてこちら側のロープをきつく縛ると、サーカスの曲芸師のようにそのロープにまたがって、するするとビルの谷間の虚空へ身を進ませて行く。これはちゃんとスタントがビルの間を渡っているようで、なかなか迫力のある映像となっている。

少し遅れてやってきた警察や小林少年たちも、まさかロープを切ったり銃を撃ったりする訳にも行かず、手をつかねて「戻れ!」「戻らないと撃つぞ!」などと呼びかけるしかなかった。無論、黄金仮面にそんな脅しは通用せず、あっという間に向こうのビルの屋上に無事到達してしまう。
黄金仮面は気取ったポーズを小林たちに見せると、意気揚々と去って行く。ただし、その身辺には盗んだ名画らしき物は見当たらなかった。
身軽な動きでビルの屋上から降りてくる黄金仮面、だが、その前に宿敵明智が立ちふさがる。
明智「待っていたぞ! ロベール」
さすがは明智さん、黄金仮面の動きを先読みしてここで待ち伏せしていたらしい。
抵抗する黄金仮面を投げ飛ばし、その仮面を奪おうとする明智。そこへ波越たちも駆けつける。

が、仮面の下からは、ロベールとは似ても似つかぬ純和風のおっさんが出てきたので大変お困りになる明智さん。
波越警部たちがそばにいなかったら、そのまま屋上から捨ててるところだが、
波越「お前、黄金仮面の部下か?」
男「変な外人に頼まれたんだ。黄金仮面の格好してビルの綱渡りやってくれってよ、お、俺、スタントマンなんだ! 10万円やるって言うからよぉ」 と言う男の言葉で、黄金仮面のからくりが明らかになる。
つまり、ビル内を逃げている途中、本物とニセモノが入れ替わったのだ。まぁ、その本物も、ニセモノの黄金仮面なんだけどね。ややこしいっ。
同時に、明敏な明智、白銀ビルから出て行く救急車のサイレンに気付き、顔色を変える。

ジェラール警部を収容したその救急車は正真正銘の救急車だったが、その助手席には本物の(ニセモノだけど)黄金仮面が陣取り、ピストルを運転席に向けていた。
そして、その横には「ルノワールの裸婦」が……。

明智と波越が追跡しているのに気付いた黄金仮面は、ある場所で救急車を止めさせ、そこで待っていた仲間の女性の真っ赤なRX-7(そんな目立つ車を逃走に使うなよ……)に乗り移る。逃げる際には、ご丁寧に救急車のタイヤを撃ち抜いて。

完全に黄金仮面に裏をかかれ、恐縮しきりの波越警部と、さすがに苛立ちを隠せない白銀氏。
波越「まことにどうも、申し訳ありません!」
白銀「黄金仮面の足取りは?」
波越「はっ、ただいま懸命に捜査中です。あの、女性の共犯者がいたことは確かなんですが、ま、いずれにせよ、『ルノワールの裸婦』は必ず取り返してご覧に入れます」

そこへ、ナイスリアクション課長が来て、オーシャン火災保険の調査員・高田麗子(漢字は適当)を社長と警部に紹介する。
白銀「警視庁の波越警部です、お互い、協力してやってください。あの絵には2億しか保険かけてないんですからね」
波越「2億しかぁ? あのボインがそんなに高いんですか?」
高田「警部、早速ですが、事件発生前後の状況を詳しくお話し頂けますか?」
美女シリーズで、保険調査員なんて肩書きのキャラが出てくるのは異例だが、この高田麗子を演じている人、何処かで見たことがある顔だなぁと思っていたら、

「バトルフィーバーJ」第29話の「見たか!?口裂け女」に出ていたDJを演じていた中田彩子さんだった。
管理人、「桜の国~」を見れば「どこかで見たような……」と思い、「バトル~」を見れば「どこかで見たような……」と、記憶の堂々巡りをしていたのだが、今回やっとこの二つが結びついて解決した。「美女シリーズ」と「戦隊モノ」と言うおよそ関連のない作品だったので、なかなか思い出せなかったのだろう。
閑話休題。

まんまと黒星を喫した明智事務所の面々。
文代「先生には共犯者の正体が分かってるんですか?」
明智「ああ、時間的経過を分析すればすぐ分かる。小林君」
小林「はい」
明智「昨日の事件の時間表と人物の配置表、見せたまえ」
小林「あ、すいません、まだぁ出来てないんです」
渋い顔で頭に手をやる小林。
それを聞くと、
明智「まだぁ? 探偵の第一歩は犯行の経過の分析だ。その○○を作るのが君の仕事だろ?」
と、明智としてはかなり厳しい口調で叱る(○○の部分は良く聞き取れない)。
小林「はいっ」
小林少年がふてた(老けたではない)顔で答えた時、「ごめんください、明智先生いらっしゃいますか」とあの高田麗子が顔を見せる。

明智「高田麗子さんですね。さっき波越警部から電話がありました、さ、どぅーぞ」
初めて会う麗子に、にこやかに席を勧める明智さん。
高田「あたし嬉しくて!」
麗子は、明智の前に座るなり、目をキラキラさせながら叫ぶように言う。
明智「どうしてですか?」
高田「だって、先生のお仕事ぶりは前から敬服しておりました。この仕事を選んだのも先生に憧れていたからですわ!」

明智「はっはは」
ストレートな賛辞に、まんざらでもない顔の明智さん。なんか可愛い。

明智「で、ご用件は」
高田「あの絵には高額の保険が掛かっていたんです」
明智「そうですってねえ、あなたの会社も大変でしょう」
高田「はい、絵を取り戻すこと、つまり犯人の正体を突き止めることが私の仕事になりましたが、先生と同じ事件を担当できるなんて夢のようですわ!」
と、いちいち明智に媚を売る(ように見える)高田に、文代さんが背後から殺意を込めて(註・込めてません)睨み付けている。

明智「でも相手は黄金仮面です、なかなかの強敵ですよ」
高田「ええ、でも直感ですけど、私、手掛かりを掴みましたの……今日先生をお訪ねしたのもこの閃きが当たっているかどうかお尋ねしようと思って……先生、今度の事件の共犯者は会社内部の人間と睨んでるんですが」
明智「それは鋭い、私も、同意見です」
高田「ほんとぉ? 先生もそうお思いですか、じゃあ私の探偵としての勘もまんざらじゃないんですね!」
さらに麗子は、その共犯者の正体も既に掴んでいるのだと話す。明智も「ほう、それはたいしたものだ」とお世辞抜きで誉める。
高田「先生に打ち明けたいけど言えませんわ、だって先生と私はいわば商売敵でしょう? もし私の直感が当たっているなら私、先生に挑戦しようと思って参りましたの」
明智「挑戦?」
高田「調査員も一種の探偵でしょう? もし私が名探偵明智小五郎より先に犯人を突き止めることが出来たら、私は一躍有名になりますものね」
明智「なーるほど、私にとって強力なルワィバルの登場ってことですか」
明智はむしろ相手の旺盛な野心に楽しそうな表情だった。
また、去り際の麗子に「黄金仮面は恐ろしい男です、くれぐれもそれをお忘れなく」と忠告するのが、いかにも明智らしい。
高田「分かっています。今日の先生との出会いが私の新しい門出になるよう、頑張ります」

麗子が事務所のドアを閉めた直後、
小林「なんだよ、あの女!」
文代「ちょっと、おかしんじゃないのー」
と、ポケットに手を突っ込んでいじけた声を出す二人の助手。かなり情けない。
小林「先生に挑戦するなんてね、生意気なんだよ」
文代「でもね、探偵ってのは自分の力を忘れてしまうくらい魅力のある仕事なのよ。あたしだっていつかは先生を出し抜きたいと思ってるのよ」
小林「ほんと? 僕だってねえ、毎晩先生の鼻を明かす夢ばかり見てるもんねえ」
明智「そして目が覚めたら叱られてばっかりだろ?」 
小林「その、通り」
鋭く突っ込まれて、
亀みたいな顔になる小林少年。
原作の小林少年は、それこそ明智小五郎に匹敵するほど優れた探偵なのだが、美女シリーズではただの助手扱いである。と言うか、引き立て役の一人である。

一方、腕を撃たれて入院加療中のジェラール警部の病室へ、白銀氏の令嬢・花子が見舞いに訪れていた。
美しい桜の生け花を切り整えていく花子の顔や手付きを憑かれたような顔で見守っていた警部、感極まったように「夢見てるみたいだ。花子さんのような方に看護して貰えるなんて」とささやきかける。
花子「そんな、私の為にお怪我をなさったんですから……」
ジェラール「……桜の花のようだ」
花子「桜の花?」
ジェラール「私の母は日本人です。20年も前に亡くなりました。優しくてしとやかで、母を思うと、不思議と桜の花が浮かぶんです。あなたを見た途端、桜のイメージが浮かんだんです。お知り合いになれたのも母の魂が導いてくれたのかもしれない」
花子「まぁ、フランスの方はお世辞が上手で」
ジェラール「いや、ほんとなんです。花子さん、恋人いる?」
警部の質問に、花子は恥ずかしそうに「ええ」と微笑む。
ジェラール「そうですか……羨ましいです。あなたのような方を恋人に持った男が」

そこへノックの音がして、明智が見舞いの菓子折り(かどうか知らんが)を持って登場。
明智「お元気そうで安心しました」
ジェラール「4、5日で退院できます」
明智「実はお嬢さんにお伺いしたいことがあるんですが……あなた、展示場へ戻られたのは秘書の浅沼さんに誘われたからだそうですね」
花子「はい、パーティー会場へ行こうとしたら、急に絵の説明をして欲しいって」
横で聞いていたジェラールが「ああ、分かりました」と大声を出す。
ジェラール「黄金仮面は初めから花子さんを人質に取る作戦を立てていた。そう考えるんですね? では、あの社長秘書は黄金仮面の共犯者と言うことになりますね」

その浅沼由貴に、あの高田麗子が早くも接触していた。
彼女は正面から由貴が黄金仮面の共犯者だろうと指摘する。無論、由貴はあくまで否定する。
高田「私は事件のビデオテープを見てはっきりあなたが共犯者だと思ったの。白銀社長の秘書になったのは1年前でしたね。私の勘では、それも黄金仮面の指令でしょ?」
由貴「証拠もないのにいい加減なこと言わないで下さい!」
高田「いいえ、何よりの証拠は、あなたがパーティーの始まる前にお嬢さんを人のいなくなった会場に無理に誘ったことよ。あんなに警備が重要な中に黄金仮面が堂々と現れたのは、元々お嬢さんを人質にする計画だったからよ。そして救急車から乗り移った黄金仮面の車の運転も、勿論、あなた……どう、もう何もかも話したら?」
由貴「そんなバカバカしい話にいちいちお答えする気になれません、失礼します!」
麗子は走り去ろうとする由貴を呼び止め、自信満々の顔付きで
「保険調査員だからって馬鹿にしないほうがいいわよ。私は明智小五郎と張り合ってるんですからね! そのうちはっきりした証拠を持ってくるわ!」と宣言する。
野心溢れる彼女らしい態度、台詞だが、これが結局彼女の命を縮める結果となった。

波越「明智君も浅沼由貴が共犯だと睨んでたの?」
明智「ええ、彼女が白銀社長の秘書になる前に務めていた旅行社に当たってみたら、前からロベールと文通していたことが分かりました。何気なく覗いた同僚の社員がロベールに出す封筒の宛名を覚えていてくれたんです」
……しかし、黄金仮面ともあろう者が、本名の「ロベール・サトウ」名義で女の子と文通するかなぁ?
波越「そうか、保険調査員の勘もまんざらじゃなかったんだなぁ」
明智「保険調査員? 高田麗子ですか」
波越「浅沼由貴が共犯者だと決め込んで本人にぶつけたらしいんだ。あなたは黄金仮面の部下かって……相当動揺していたから間違いないって電話してきたんだよ」
明智「そこまで言い切ったとなると危険だな、急ぎますよ!」
明智、アクセルを踏み込む。
その2へ続く。
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